JP4282786B2 - 乗物の模擬音発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗物の模擬音を発生するための装置に関し、特に、運転操作者の操作状態に応じて実際の運転時に近く駆動音を変化させることで現実感のある模擬音を発生するような乗物の模擬音発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、TVゲームやパソコンゲームにおける自動車レーシングゲームや、近年普及しているドライビングシミュレータなどでは、運転操作する者に実際の運転状態に応じたエンジン音(エンジンの爆発音や機械音や吸排気音等からなる駆動音)を伝えることで臨場感を高めるために、エンジン(駆動装置)の模擬音を発生するような装置が使用されており、そのような乗物の模擬音発生装置としては、実際の乗物の定常運転時の駆動音(エンジン音)を数秒間分だけデジタル信号として記録保持した駆動音データ(エンジン音データ)を、操作の状態に応じてピッチ(音の高さ)やボリューム(音の大きさ)を変更しながら繰り返し再生する、所謂実音ループ再生法による模擬音発生装置が従来から一般的に使用されている。
【0003】
すなわち、上記の実音ループ再生法における駆動音データについては、例えば、サンプリングレート(即ちサンプリング周波数)が44.1KHZ である場合、周期が約2.268×10-5秒毎にエンジンから発せられる音の音圧値が取り込まれ、この所定周期毎のシーケンシャルな音圧値データの集合がエンジン音の音圧波形のデジタルデータ(即ちデジタル信号としての音データ)であって、サンプリングレートが大きくなる程、より実際の駆動音の音圧波形に近いデータとなる。
【0004】
そのような駆動音データを乗物の運転状態(エンジン回転速度やアクセル開度等)に対応した駆動音として再生する場合、再生しようとする運転状態における駆動装置の回転速度が、デジタル信号として記録保持した定常運転時の駆動装置の回転速度と一致するときには、サンプリングレートと同じ再生レート(すなわちサンプリング周期と同じ再生周期)で、記憶させたシーケンシャルな音圧値データを順々に再現することにより、定常運転時の駆動音と同じ音圧波形を再生できる。
【0005】
これに対して、駆動装置の回転速度が高くなるような操作では、音の再生レートを上げ(即ち、再生周波数を大きくして再生周期を短くし)、記憶させたシーケンシャルな音圧値データを順々に再現する周期を短くすることで、音圧波形を時間軸方向に縮めた波形として、再現音をデジタル信号として記録保持した定常運転時の駆動音よりも高い音としている。
【0006】
また、駆動装置の回転速度が低くなるような操作では、音の再生レートを下げることで、低くなる駆動装置の回転速度に比例したピッチに変更して再生すると共に、アクセルを踏み込んだ状態ではボリュームを上げ、アクセルを戻した状態ではボリュームを下げるようにしている。
【0007】
しかしながら、上記のような定常運転時の数秒間分の駆動音データのみによる実音ループ再生法では、一応実際の駆動音を録音して再生していることで、録音した駆動装置の回転速度に近い定常運転パターンではかなり実際に近い音が出せるものの、録音した駆動装置の回転速度から離れた回転速度や過渡状態の音については、ピッチやボリュームを変更して再生しても不自然な音とならざるを得ない。
【0008】
そこで、そのような問題を解決するために、様々な運転状態での駆動音を実際に録音してそれぞれを数秒間分の駆動音データとしておくことにより、運転操作に対応した運転状態に最も近い運転状態で録音された駆動音データを選択的に読み出して、この数秒間分の駆動音データについて更にピッチやボリュームを変更しながら繰り返し再生するということが従来から既に提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような実音ループ再生法による乗物の模擬音発生装置において、様々な運転状態での駆動音をそれぞれ数秒間分ずつ録音して、それらの実音をデジタル信号の駆動音データとして記録保持しておくためには、該装置の記憶手段の容量を非常に大きくしておくことが必要となり、そのことが安価な製品を作る上での障害となっている。
【0010】
さらには、上記のような実音ループ再生法による乗物の模擬音発生装置では、例えば、気筒数や気筒配列が異なるエンジン(駆動装置)の音をそれぞれ出そうとすると、その都度それぞれのエンジンについて音を録音して記録しておかなければならず、そのように多種多様なタイプの駆動音をそれぞれ複数の運転状態について記録しておくということは、記憶容量やコスト上の制約があることから、現実には採用し難いものとなっている。
【0011】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、乗物の模擬音発生装置において、より少ない記憶情報量により多様な運転状態における様々な実際の駆動音に近似させて模擬音を発生させることができるようにすることを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、上記の請求項1に記載したように、運転操作者による運転操作手段の操作量を検出する運転操作検出手段と、検出された操作量に応じて駆動装置の回転速度を計算する回転速度計算手段と、上記の操作量と上記の回転速度の入力に応じて発音制御信号を出力する発音制御手段と、予め駆動装置の駆動音データを記憶させてある記憶手段と、発音制御信号に応じて記憶手段から駆動音データを読み出し、音圧信号に対応する電圧信号として出力する模擬音出力手段とを有する乗物の模擬音発生装置において、
記憶手段が、上記の操作量と上記の回転速度をパラメータとして駆動装置の運転状態を複数の範囲に分け、各範囲の略中央状態で録音した駆動装置の駆動音のそれぞれを、駆動装置の周期的発音間隔と略同じ長さの音圧波形で、駆動音のデジタルデータとして、駆動装置の操作量と回転速度をパラメータとする配列データのかたちで記憶させたものであり、
発音制御手段が、上記の操作量と上記の回転速度の入力に応じた運転状態範囲の駆動音データを、駆動装置の周期的発音間隔に対応する間隔で繰り返して発音させるように、且つ、各運転状態範囲の駆動音データのそれぞれについて、記憶手段から読み出される駆動音データの繰り返される各回の発音制御信号毎に、大きさや高さや音色の少なくとも何れかを各信号毎に変化させて出力するように、発音制御信号を出力するものであることを特徴とするものである。
【0013】
また、上記の請求項1に記載したエンジン模擬音発生装置において、上記の請求項2に記載したように、駆動装置が内燃機関であり、駆動装置の周期的発音間隔が、内燃機関における気筒の爆発間隔であって、駆動音データは、アクセル操作量とエンジン回転速度をパラメータとしてエンジンの運転状態を複数の範囲に分け、各範囲の略中央状態で録音したエンジンの駆動音のそれぞれを、気筒の爆発間隔と略同じ長さの音圧波形で、駆動音のデジタルデータとして、アクセル操作量とエンジン回転速度をパラメータとする配列データのかたちで記憶させたものであることを特徴とするものである。
【0014】
また、上記の請求項2に記載したエンジン模擬音発生装置において、上記の請求項3に記載したように、発音制御信号に応じた記憶手段からの駆動音データの読み出しについて、空吹かし時急加速走行時、急減速走行時、緩減速走行時のそれぞれに対応して、アクセル操作量とエンジン回転速度をパラメータとする駆動音の配列データからの駆動音データの読み出し傾向を変化させていることを特徴とするものである。
【0016】
また、上記の請求項1乃至3の何れかに記載したエンジン模擬音発生装置において、上記の請求項4に記載したように、模擬音出力手段からの出力に際し、実際に駆動音を録音したときの駆動装置の回転速度と、模擬音発生装置内での計算上の駆動装置の回転速度との比率に応じて、駆動音のデジタルデータをアナログデータに変換する際の再生レートが変更されるように制御されていることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の乗物の模擬音発生装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の乗物の模擬音発生装置の一実施形態についての概略を示す構成ブロック図であって、模擬音発生装置1は、運転操作手段2と運転操作検出手段3と回転速度計算手段4と発音制御手段5と記憶手段6と模擬音出力手段7を有するもので、本実施形態では、通信回線を通して駆動音データを外部から記憶手段6に取り入れることもできるように、通信制御手段8とメモリ記憶制御手段9が設けられている。
【0019】
そのような各手段からなる模擬音発生装置1の概略については、図1に示すように、運転操作者による運転操作手段2の操作量に応じて運転操作検出手段3から出力される運転操作信号に応じて、回転速度計算手段4から回転速度信号を出力させると共に、回転速度計算手段4からの回転速度信号と運転操作検出手段3からの運転操作信号とにより、発音制御手段5から発音制御信号を出力させて、模擬音出力手段7において、記憶手段6に記憶されている音のデータを発音制御信号に応じて処理してから電圧信号で出力することにより、アンプを通してスピーカから模擬音を発生させるものであって、その具体的な実施形態について、対象となる乗物を自動車として以下に説明する。
【0020】
運転操作手段2は、模擬音発生装置1の用途や、対象となる乗物によって様々に異なるものであり、例えば、パソコンゲームに使用される場合には、キーボードやマウスが運転操作手段となり、家庭用のTVゲーム機に使用される場合には、押しボタンや操作レバーが運転操作手段となり、アーケードゲーム機のレーシングゲームやドライビングシミュレータに使用される場合には、アクセルペダルとブレーキペダルとシフトレバーが運転操作手段となる。
【0021】
運転操作検出手段3は、運転操作者の運転操作手段2によるアクセル開度やブレーキ開度やシフト位置(運転操作量)を検出するものであり、回転速度計算手段4は、運転操作検出手段3により検出されたアクセル開度(運転操作量)による運転操作信号と、図示していない記憶装置にあらかじめ記録されているエンジン(駆動装置)の出力特性と車両の走行抵抗のデータとに基づいて、エンジン出力(駆動出力)と走行抵抗のバランスがとれるエンジン回転速度(回転速度)を計算するものである。
【0022】
発音制御手段5は、運転操作検出手段3により検出されたアクセル開度やブレーキ開度やシフト位置の信号(運転操作信号)と、回転速度計算手段4において計算されたエンジン回転速度信号(回転速度信号)とに基づいて、模擬音出力手段7に対して発音制御信号を出力するものであり、模擬音出力手段7は、発音制御手段5からの発音制御信号に応じて、記憶手段6に予め記憶されているエンジン音(エンジンの爆発音や機械音や吸排気音等からなる駆動音)のデータを記憶手段6から読み出し、該エンジン音データの音圧信号に対応する電圧信号を出力するものである。
【0023】
記憶手段6は、実際に録音したエンジン音をエンジン音データとして予め記憶させたものであって、エンジン音データは、本実施形態では、図2に示すように、アクセル開度とエンジン回転速度をパラメータとしてエンジン運転状態を複数の範囲に分け、各範囲の略中央状態において録音した実際のエンジン音(エンジンの爆発音や機械音や吸排気音等からなる駆動音)のそれぞれを、図3に示すような、気筒間の爆発間隔に応じた長さの音圧波形の単位で、デジタルデータとしたものである。
【0024】
なお、それぞれのエンジン音データについては、各エンジン運転範囲における実際のエンジン音を、車外に設置したマイクによってそれぞれ収録したり、あるいは、運転者に聞こえる音として車内に設置したマイクによってそれぞれ収録したり、適宜の方法によって収録してから、それぞれ必要な短い部分を取り出してデータに加工したものである。(なお、自動二輪車では、車内での収録の替わりに運転者のヘルメット内に装着されたマイクによって収録することとなる。)
【0025】
また、図2に示すようなエンジン運転状態の各範囲のそれぞれのエンジン音データからなるデータは、一つの車種について、後進を含む変速ギヤの各シフト毎にそれぞれ作成されることとなり、記憶手段6には、必要とする車種毎に、図2に示すようなデータを、各シフト毎の複数ずつ記憶させることとなる。
【0026】
そのように記憶手段6に記憶されたエンジン音データの読み出しについて以下に説明すると、実際の運転における急加減速走行時には、アクセル開度とエンジン回転速度は異なる状態でそれぞれ変化するものであって、変速ギヤを固定した状態で急加減速走行を行なった場合には、図4に示すように、エンジン回転体と車体の慣性のため、アクセル操作の後にエンジンの回転速度の変化が遅れて発生することとなり、その場合、エンジンの吸排気音は、アクセル開度に応じて音の大きさが変化し、エンジンの機械音は、アクセル開度によって音の大きさがあまり変わらず、むしろエンジン回転速度によって大きく変わる。
【0027】
そのため、急加速の場合は、まず吸気音と排気音が優勢となってから、その後エンジン回転速度が上昇するにつれてエンジン機械音が大きくなるのに対して、急減速の場合は、逆に吸気音と排気音がまず小さくなってから、エンジン回転数が下がるにつれてエンジン機械音が小さくなる。なお、空吹かしでは、車体の慣性分がなくなるので、エンジンのアクセル開度に対するエンジン回転速度の応答は急加減速走行より速くなるが、基本的現象としては同じである。
【0028】
そのような実際の運転時におけるエンジン音の変化と近似してエンジン模擬音が変化するように、本実施形態では、模擬音発生装置1において急加減速走行と緩加減走行の操作を行なった場合には、記憶手段6の中に記憶させた図2に示すようなデータのそれぞれに対して、図5に示すように、急加減速走行の操作では、図の周辺に沿ったライン(1−19−24−6−1)で運転状態が変化するように、発音制御信号によってエンジン音データが順次読み出されるように制御されている。
【0029】
また、緩加減走行の操作では、実際の運転ではエンジン回転体と車体を加速するのに要する力は走行抵抗に比べて無視できるほど小さくなり、定常走行時とほぼ同じアクセル開度で運転できることから、図の対角方向のライン(1−24−1)で運転状態が変化するように、発音制御信号によってエンジン音データが順次読み出されるように制御されている。
【0030】
上記のように記憶手段6から模擬音出力手段7に運転状態に応じたエンジン音データを読み出させるための発音制御信号は、記憶手段6に記憶させたそれぞれの運転状態範囲のエンジン音データが何れも気筒間の爆発間隔に応じた長さの音圧波形であるのに対応して、そのような極めて短い音圧波形のデータを所定の長さのエンジン音として再生させるために、エンジン音データを気筒間の爆発間隔に対応する間隔で繰り返し発音させるものとなっている。
【0031】
そのような発音制御信号の具体例としては、例えば、MIDI( Musical Instrument Digital Interface 、即ち、電子楽器の演奏情報をやりとりするために International Midi Association によって制定された電子楽器演奏データの世界共通フォーマット)の発音制御信号があり、エンジン音データは、この発音制御信号によって指定されたべロシティ(鍵盤楽器でキーを押し下げる速度、ここでは音量と対応)と音程に基づいて一義的に模擬音出力手段7に読み出され、模擬音出力手段7から電圧信号として出力される。
【0032】
なお、MIDI規格の発音制御信号については、普通は一つのコマンドで30ビットを要し、通信速度は31.25kbpsであって、一秒間に約1042個のコマンドを送ることが限界となるものであって、更に、音を出すときにはONとOFFの二つのコマンドが必要なことから、結局一秒間に約521個の音を出すのが限界である。
【0033】
これは4サイクル4気筒エンジンの場合15630rpmに相当し、通常のエンジン音ならば充分にカバーできるが、F1の多気筒エンジンのような高回転速度域の音を出す場合や、複数の車の音を同時に出したり音楽を出したりすることも考慮すると不十分であり、それを打開するための方策としては、一つの発音制御信号で複数の音を任意の間隔で出すことが考えられるが、これは通常のMIDIコマンドでは制御できないので、新たに機能を追加する必要がある。
【0034】
この点に関しては、模擬音発生装置1において、例えば、その音源装置および発音制御信号をMIDI規格に準拠させると共に、一つの発音制御信号により記憶手段6から読み出したエンジン音を指定した時間間隔で複数回発音させるという特別に追加された機能を持たせることにより、安価なMIDI音源装置を使用しながらもMIDI規格の通信速度で制約される発音間隔よりも短い時間間隔で発音させることができ、それによって、F1の多気筒エンジンのような高回転時の音も生成可能となる。
【0035】
図6は、発音制御手段5から出力される発音制御信号を模式的に表したものであって、本実施形態では、各運転状態範囲のエンジン音データのそれぞれについて、各気筒の爆発間隔に応じた長さの発音制御信号を繰り返して出力する場合に、繰り返される各回の発音制御信号毎に、音の高さが異なる二種類の発音信号を、各発音制御信号毎にその大きさの割合を変えて同時に出力することで、読み出すエンジン音データについて、各回の発音制御信号毎に音の大きさ、高さ、音色等が変化するように制御している。
【0036】
すなわち、一つの運転状態範囲のエンジン音データについて見ると、図3に示すように、実際のエンジン音では、毎回の爆発が不安定でばらつくことにより各爆発毎の音圧波形もばらついており、そのような音圧波形のばらつきによってブザーのような単調な音とはなっていないのに対して、そのエンジン音の内の各気筒の爆発間隔に応じた長さの一つの音圧波形のみを取り出して同じ状態で単に繰り返すだけでは、それによって再生されるエンジン模擬音が、実際のエンジン音と比べて単調な音となってしまう。
【0037】
そのような点を考慮して、本実施形態では、上記のように発音制御信号として音の高さが異なる複数の発音信号をその割合を変えて同時に出力することで、読み出されるエンジン音データについて、各回の発音制御信号毎に音の大きさ、高さ、音色が変化するように制御して、短い音圧波形単位の繰り返しによる再生音に変動を生成することにより、一つの運転状態範囲のエンジン音データに基づいて生成するエンジン模擬音自体についても、より自然な音として再生するようにしている。
【0038】
さらに、本実施形態では、模擬音出力手段7において、記憶手段6から読み出したデジタルデータをその音圧波形に相当する電圧信号として出力するに際し、実際にエンジン音を録音したときのエンジン回転速度と、装置内での計算上のエンジン回転速度との比率に応じて、エンジン音のデジタルデータをアナログデータに変換する際の再生レートが変更されるように制御されている。
【0039】
すなわち、各運転状態範囲の略中央状態で録音した各エンジン音データを、操作に応じて計算されたエンジン回転速度が運転状態範囲内でどこに位置するかに関係なく、一律に同じ再生レートで再生すると、図7(A)に示すように、ある運転状態範囲から隣の運転状態範囲へ移るときに、エンジン模擬音のピッチが急激に変化することとなるが、本実施形態では、上記のように、装置内での計算上のエンジン回転速度に応じて再生レートを変更していることで、図7(B)に示すように、運転状態範囲の境界付近でできるだけピッチが変わらないようにしている。
【0040】
以上に述べたような本実施形態の乗物の模擬音発生装置1によれば、多様な運転状態における様々な実際のエンジン音に近似させてエンジン模擬音を発生させることができ、しかも、記憶手段6に記憶させておくエンジン音データが、気筒間の爆発間隔と略同じ長さの音圧波形という極めて短いものであるため、様々な運転状態でのエンジン音データをそれぞれ記憶させたとしても、そのために要する記憶容量が大きくなるようなことはない。
【0041】
しかも、模擬音発生装置1自体が必要とするハードウエアについては、従来の実音ループ再生法による装置と大きな差が無いため、既存の模擬音発生装置を利用することもできる。
【0042】
さらに、本実施形態では、気筒間の爆発間隔に相当する長さの音圧波形によるエンジン音データを、気筒間の爆発間隔に対応する間隔で繰り返して発音させているため、発音間隔の制御方法を変えれば、同じエンジン音データにより異なる気筒数や気筒配列のエンジン模擬音も簡単に発生させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、気筒間の爆発間隔に対応する間隔で繰り返し出力される発音制御信号が、記憶手段6から読み出されるそれぞれの運転状態範囲のエンジン音データ自体について、各回の発音制御信号毎に音の大きさ、高さ、音色を任意に変化させるように制御するものであることによって、一つのエンジン音データの繰り返しにより再生される一つの運転状態のエンジン模擬音自体についても、実際のエンジンと同じ様な毎回の爆発にばらつきがある自然な音として再生することができる。
【0044】
また、本実施形態では、模擬音出力手段7からの出力に際し、実際にエンジン音を録音したときのエンジン回転速度と、装置内での計算上のエンジン回転速度との比率に応じて、エンジン音のデジタルデータをアナログデータに変換する際の再生レートが変更されるように制御されていることで、ある運転状態範囲から隣の運転状態範囲に移行する際に、隣り合った運転状態範囲の境界付近で音のピッチができるだけ同じとなるようにすることができ、運転状態の変化によるエンジン模擬音の変化を滑らかで自然なものとすることができる。
【0047】
ところで、上記のような本実施形態の乗物の模擬音発生装置1については、様々な用途において利用可能なものであって、例えば、図8は、ゲームセンターに設置されるアーケードゲーム機を示すもので、自動車レーシングゲーム用のアーケードゲーム機10には、表示画面11やスピーカー12が設置されていると共に、シフトレバー13とアクセルペダル14とブレーキペダル15がそれぞれレーシングゲームを行なうための操作手段として設置されており、このシフトレバー13とアクセルペダル14とブレーキペダル15を運転操作手段として模擬音発生装置1を設置することにより、スピーカ12を通して実際の運転状態に近似したエンジン模擬音を得ることが可能となる。
【0048】
さらに、図9は、搭載されたバッテリの電力により電動モータで駆動される電動自動車を示すもので、オートマチックの電動自動車20には、アクセルペダル21とブレーキペダル22が運転操作手段として設けられ、車両の駆動装置として動力ユニット(電動モータと変速装置のユニット)23が搭載されていると共に、動力ユニットの制御装置を含む各種の電子回路や、CPU、メモリ、アンプ等からなる電子制御ユニット24が設置されている。
【0049】
また、前輪の回転方向から前進と後進の別を検出し、前輪の回転速度から車速を検出する車速検出装置25や、車体の前傾斜、平坦走行、後傾斜の別や、傾斜の程度を検出する外部負荷検出装置26や、車両周囲の騒音を検出する騒音センサとして周囲騒音検出装置27や、更に、図示していないが、アクセルペダル21の踏み込み量を検出する負荷検出装置や、ブレーキペダル22の踏み込み量或いは踏み込み速度を検出する制動力検出装置等が、電子制御ユニット24内の動力ユニット制御装置に運転状態を伝えるための検出装置としてそれぞれ設置されている。
【0050】
そのような電動自動車20に対して、本実施形態の模擬音発生装置1を電子制御ユニット24内に設置することにより、アクセルペダル21とブレーキペダル22を運転操作手段とし、車速検出装置25や、外部付加検出装置26や、アクセルペダル21による負荷検出装置や、ブレーキペダル22による制動力検出装置等の検出装置群を運転操作量検出手段として、周囲騒音検出装置27の検出結果に応じた音量で、電子制御ユニット24内の各アンプから、車体に設置された車外向けスピーカ28や車内向けスピーカ29を通して、実際の運転状態に近似したリアルなエンジン模擬音を発生させることが可能となる。
【0051】
なお、電動自動車や電動二輪車のような電動車両の場合、一般道路を走行するときに、従来のようなエンジン音がなく音が静かなことにより、通行人に認識され難いことが安全性の上で問題になると考えられ、その対策としてエンジン模擬音を発生するような装置を設けることが従来から考慮されていることから、乗物の模擬音発生装置1は、そのような電動車両に対して効果的に利用されるものと思われる。
【0052】
以上、本発明の乗物の模擬音発生装置の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態に限られるものではなく、例えば、その用途については、快適なエンジン音を研究したりデザインしたりするような場合にも使用することができ、また、家庭用のTVゲームやパソコンゲームにおいても使用することができ、また、運転や操縦の技術を習得するためのシミュレータ等においても使用することができるものであって、その対象となる乗物についても、自動車に限らず、自動二輪車や航空機や船舶やその他の乗物に対しても適用可能なものである。
【0053】
また、その具体的な構造についても、例えば、運転操作手段については、自動車の場合のようにアクセルペダルやブレーキペダルやシフトレバー(オートマチックの場合は不要)に限らず、自動二輪車の場合にはスロットルグリップを使用したり、航空機の場合にはスロットルレバーを使用したり、また、家庭用のTVゲームでは押しボタンや操作レバーを使用したり、パソコンゲームではキーボードやマウスを使用する等、適宜設計変更可能なものである。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の乗物の模擬音発生装置によれば、多様な運転状態での多様な駆動音データに基づき、操作状態に応じて実際の駆動音に近似した模擬音を発生させることができ、しかも、記憶手段に記憶させておく駆動音データの記憶容量を小さくすることができて、装置の製品コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乗物の模擬音発生装置の一実施形態についての概略を示す構成ブロック図。
【図2】図1に示した模擬音発生装置における記憶手段内のデータ格納の一例を示す説明図。
【図3】図2に示した記憶手段のデータの各運転状態範囲において実際に録音されるエンジン音圧波形の一例を示す説明図。
【図4】急加減速走行時の運転状態におけるアクセル開度とエンジン回転速度のそれぞれの変化を比較して示す説明図。
【図5】図2に示した記憶手段のデータについて、急加減速と急加減速の各走行時における各運転状態範囲のエンジン音データの読み出し順序の違いを示す説明図。
【図6】図1に示した模擬音発生装置において発音制御手段から出力される発音制御信号の一例を示す説明図。
【図7】図1に示した模擬音発生装置における模擬音出力手段からの出力に際し、デジタルデータをアナログデータに変換する際の再生レートを(A)変更しない場合と(B)変更する場合のそれぞれについて、エンジン模擬音の音圧波形を示す説明図。
【図8】本発明の乗物の模擬音発生装置の使用対象の一例を示すアーケードゲーム機の斜視図。
【図9】本発明の乗物の模擬音発生装置の使用対象の他の例を示す電動自動車の概略説明図。
【符号の説明】
1 乗物の模擬音発生装置
2 運転操作手段
3 運転操作検出手段
4 回転速度計算手段
5 発音制御手段
6 記憶手段
7 模擬音出力手段
10 (模擬音発生装置を備えた)アーケードゲーム機
20 (模擬音発生装置を備えた)電動自動車
Claims (4)
- 運転操作者による運転操作手段の操作量を検出する運転操作検出手段と、検出された操作量に応じて駆動装置の回転速度を計算する回転速度計算手段と、上記の操作量と上記の回転速度の入力に応じて発音制御信号を出力する発音制御手段と、予め駆動装置の駆動音データを記憶させてある記憶手段と、発音制御信号に応じて記憶手段から駆動音データを読み出し、音圧信号に対応する電圧信号として出力する模擬音出力手段とを有する乗物の模擬音発生装置において、
記憶手段が、上記の操作量と上記の回転速度をパラメータとして駆動装置の運転状態を複数の範囲に分け、各範囲の略中央状態で録音した駆動装置の駆動音のそれぞれを、駆動装置の周期的発音間隔と略同じ長さの音圧波形で、駆動音のデジタルデータとして、駆動装置の操作量と回転速度をパラメータとする配列データのかたちで記憶させたものであり、
発音制御手段が、上記の操作量と上記の回転速度の入力に応じた運転状態範囲の駆動音データを、駆動装置の周期的発音間隔に対応する間隔で繰り返して発音させるように、且つ、各運転状態範囲の駆動音データのそれぞれについて、記憶手段から読み出される駆動音データの繰り返される各回の発音制御信号毎に、大きさや高さや音色の少なくとも何れかを各信号毎に変化させて出力するように、発音制御信号を出力するものであることを特徴とする乗物の模擬音発生装置。 - 駆動装置が内燃機関であり、駆動装置の周期的発音間隔が、内燃機関における気筒の爆発間隔であって、駆動音データは、アクセル操作量とエンジン回転速度をパラメータとしてエンジンの運転状態を複数の範囲に分け、各範囲の略中央状態で録音したエンジンの駆動音のそれぞれを、気筒の爆発間隔と略同じ長さの音圧波形で、駆動音のデジタルデータとして、アクセル操作量とエンジン回転速度をパラメータとする配列データのかたちで記憶させたものであることを特徴とする請求項1に記載の乗物の模擬音発生装置。
- 発音制御信号に応じた記憶手段からの駆動音データの読み出しについて、空吹かし時急加速走行時、急減速走行時、緩減速走行時のそれぞれに対応して、アクセル操作量とエンジン回転速度をパラメータとする駆動音の配列データからの駆動音データの読み出し傾向を変化させていることを特徴とする請求項2に記載の乗物の模擬音発生装置。
- 模擬音出力手段からの出力に際し、実際に駆動音を録音したときの駆動装置の回転速度と、模擬音発生装置内での計算上の駆動装置の回転速度との比率に応じて、駆動音のデジタルデータをアナログデータに変換する際の再生レートが変更されるように制御されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の乗物の模擬音発生装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP06952898A JP4282786B2 (ja) | 1997-10-15 | 1998-03-04 | 乗物の模擬音発生装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-297717 | 1997-10-15 | ||
JP29771797 | 1997-10-15 | ||
JP06952898A JP4282786B2 (ja) | 1997-10-15 | 1998-03-04 | 乗物の模擬音発生装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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