JP4279948B2 - 超音波画像診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
超音波画像診断装置に関し、特に詳しくは超音波ドプラ計測の操作性向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来において、被検体である患者体内組織における関心領域を診察するための画像情報を得るために、その侵襲性の低さと操作の容易さから超音波画像診断装置が広く用いられている。これらの超音波画像診断装置により提供される画像情報伝達の機能に対して、操作者である医師や臨床検査技師などからは更なる利便性および操作性の向上が求められている。
【0003】
これらの操作者側からの要求に対して、従来の超音波画像診断装置においては様々な技術が適用されてきた。特に近年における超音波画像診断装置の急速な普及に伴い、医療現場において超音波画像診断が日常的に用いられるようになっている。特に超音波ドプラ法による血流情報に基づいた診断手法は、ドプラ計測機能を備えた超音波画像診断装置の普及に伴って急速に広まっている。
【0004】
超音波ドプラ法による診断手法のひとつに、超音波ドプラ法で得られた流速値に基いて所定の演算式により診断の指標を数値として得る方法がある。この方法では超音波画像診断装置の備えるモニタなどに表示された流速値波形上に、所定の流速値を示す位置にて2個所の測定点を設定する。この設定される測定点は例えば図3に示すようにAの位置に第1の流速値にマーカを示し、またA'の位置には第1の計測カーソルを表示し、両者の交点をもって決められる。また同様に、Bの位置に第2の流速値のマーカを示し、またB'の位置には第2の計測カーソルを表示する。この両者の交点をもって、やはり測定点として決定する。
【0005】
AのマーカとBのマーカは共に図示しない操作卓等から入力設定された流速値に基いて画面上に表示される。またA'とB'のカーソルは操作卓からの操作者の指示によって表示画面を見ながらトラックボールなどの操作により決められる。計測時間14に基いて流速値波形11の変動量から所定の演算式で演算を行い、その結果を診断指標として評価する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術による超音波画像診断装置のドプラ計測機能においては、流速値波形上に測定点を設定する操作を例えば手入力やトラックボールの操作によって行っていた。このため表示されている流速値波形を見ながら操作者は位置を見つけなければならず、負担の大きいものとなっていた。
【0007】
また、操作者の熟練度やくせなどにより、同一の流速値波形に対して同一の測定点を決める作業に差が生じていた。このことはせっかく診断指標を演算により求めても結果にばらつきが出てしまう。測定点を決める時の条件によって診断指標にも差が生じてしまうので、再現性の点で決して満足なものではなかった。
【0008】
本発明の超音波画像診断装置が解決しようとする課題は、これらの課題に対するものであり、診断指標のための測定点設定を容易に行え、再現性の高い診断指標の演算ができる超音波画像診断装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するために本発明においては、被検体内を超音波の送受信をしながら走査してドプラ情報を得る超音波画像診断装置において、
前記ドプラ情報に基づいて流速値波形を描出する流速値波形描出手段と、
任意の流速値を入力設定可能な流速値設定手段と、
前記流速値設定手段による設定値を示す前記流速値波形上の位置において測定点を設定する測定点設定手段と、
前記測定点での流速値に基づいて演算を行い診断指標を求める診断指標演算手段と、
を備えることを特徴とする超音波画像診断装置をもって解決手段とする。
【0010】
また、前記診断指標演算手段は、
前記演算に用いる演算式を任意の演算式に入力設定可能な構成を備えることを特徴とする請求項1記載の超音波画像診断装置をもって解決手段とする。
【0011】
また、前記測定点設定手段は、
当該測定点設定手段により設定された測定点を前記流速値波形上の任意位置に変更設定可能な任意設定手段を備えることを特徴とする請求項1または2のいずれか一つに記載の超音波画像診断装置をもって解決手段とする。
【0012】
以上のような本発明による解決手段によれば、操作者が入力設定した流速値と同じ流速値を示す流速値波形上の位置に、診断指標を演算するための測定点を設定できる。
【0013】
また、診断指標演算手段に適用される演算式は操作者の任意の演算式に入力設定することができる。
【0014】
また、測定点設定手段により設定された測定点を操作者の任意の流速値の測定点に変更設定することが可能である。
【0015】
本発明の目的とするところは、診断指標のための測定点設定を容易に行え、再現性の高い診断指標の演算ができる超音波画像診断装置を提供することにある。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について以下に図を参照しながら説明する。
【0017】
図1には本発明の実施の形態による超音波画像診断装置の構成を説明するための概略が示されている。このような構成による超音波画像診断装置は、超音波の送受信を行うための超音波探触子1と、この超音波探触子1の送受信を駆動制御する送受波回路2と、送受信信号にハードウェアでの信号処理を行うDSC回路3と、超音波断層画像を表示するモニタ10とからなる。またこれらの構成に加えて、本発明の実施の形態を構成する画像記録メモリ4、ドプラオートトレース処理部6、測定点取得処理部7、指標算出処理部8、グラフィックス表示メモリ9とを備える。なお、操作者の指示入力を行うために操作卓5が設けられている。
【0018】
次に本構成による動作を説明する。
【0019】
超音波探触子1は被検者の体表との接触面部分に図示しないトランスデューサを備えている。このトランスデューサにより送受信回路2から送られる電気的な駆動パルスに応じた超音波パルス信号が被検者の体内に向けて送信される。この送信された超音波パルス信号は被検者の体内の組織や血液によりそれぞれ固有の率をもって反射される。この反射される超音波パルス信号を再びトランスデューサにて受信して電気的な受信パルスとして送受信回路2に伝達される。
【0020】
DSC回路3は、操作者の指示や超音波画像診断装置に予め設定された動作モードに応じて、例えば画像データのズーム表示のための信号処理を行う。このような信号処理はDSC回路3を構成するハードウェアにより電気的に処理される。
【0021】
このDSC回路3には画像記録メモリ4が接続しており、この画像記録メモリ4とDSC回路3との間で画像データのやり取りが行われる。画像記録メモリ4はDSC回路3からの画像データを記憶し、また逆に必要に応じてDSC回路3に記録された画像データを送り出す。この画像記録メモリ4に記録される画像データは通常のBモード像以外に、ドプラ波形やMモード、CFMなどの表示画像も含まれ、静止画と動画も区別なく記録される。
【0022】
ドプラオートトレース処理部6は、画像記録メモリ4から出力された画像データのうちドプラ波形について、その波形のエンベロープをトレースするものである。この波形のエンベロープをトレースすることにより、時間経過と流速値の変動の関係を示すグラフを描出することができる。このトレースは画像記録メモリ4から出力されるドプラ波形に基いて信号処理をすることにより得るもので、従って忠実に元のドプラ波形のエンベロープ成分と同一の流速値波形が作り出される。
【0023】
このドプラオートトレース処理部6にて生成された流速値波形は、次に測定点取得処理部7に送られ、ここで測定点の設定のための信号処理が行われる。ここで設定される測定点は、超音波画像診断装置5に備わる操作卓5から入力設定された流速値に基いている。この入力された流速値と同一の流速値を示す流速値波形上に測定点を設定する。この測定点は目的とする診断指標により異なるものの、例えば図2に示されるように第1の測定点12と第2の測定点13の2点が決められる。
【0024】
また流速値波形11の表示には第1の流速値Aと第2の流速値Bの両者の位置が表示される。この両者の位置表示は操作卓5から入力指示された流速値を示すためになされ、モニタ10にて操作者が目視にて確認することができる。
【0025】
指標算出処理部8では、測定点取得処理部7にて設定された第1の測定点12と第2の測定点13とが変数として用いられて、予め設定された演算式により演算される。たとえば一般に用いられる指標値dp/dtの演算式によれば、第1の測定点12が−1m/s、第2の測定点13が−3m/sとなった時には、
P=4v2より 4×(−3m/s)2−4×(−1m/s)2=32が求められる。
【0026】
この値より、32/dt×1000として、dtには第1の測定点12と第2の測定点13との時間差が入力される。この演算結果をもって診断の指標を求めることができる。
【0027】
図2にて示した表示や指標算出処理部8にて演算により求められた診断指標は共に表示データとしてグラフィックス表示メモリ9に送られる。このグラフィックス表示メモリにおいてはモニタ10にて表示するための画像データを保存しておき、DSC回路3から出力された画像データと共にモニタ10にて表示される。
【0028】
なお、指標算出処理部10での演算に用いられる演算式は、前出の演算式にとらわれること無く、たとえば操作卓5から操作者の任意の演算式入力によって演算することもできる。任意の演算式により演算ができるので補正の関数を盛り込んだり、あるいは初期設定値に無い演算式を用いることができる。さらに、操作卓5から入力された任意の演算式は超音波画像診断装置に登録して記憶させておくこともでき、後日の繰り返しの同様な演算に対して時間的な効率が良い。
【0029】
また、測定点取得処理部7にて決定された測定点は操作者の任意によって変更することができる。たとえば図2に表示されている流速値波形11に対して第1の測定点12と第2の測定点13とが決定されたが、ここに固定せずに流速値波形11上の他の位置に再設定することができ、この再設定された位置にて演算することができる。この再設定の操作は、操作卓5によって入力される操作者の指示により行われ、キーボードでの数値入力やトラックボールによる位置指定などの方法が用いられている。
【0030】
なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0031】
【発明の効果】
以上述べた本発明による超音波画像診断装置によれば、診断指標のための測定点設定を容易に行え、再現性の高い診断指標の演算ができる超音波画像診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による超音波画像診断装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態による流速波形表示の一例を示す図である。
【図3】従来の技術による流速波形表示の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…超音波探触子、2…送受信回路、3…DSC回路、4…画像記録メモリ、5…操作卓、6…ドプラオートトレース処理部、7…測定点取得処理部、8…指標算出処理部、9…グラフィックス表示メモリ、10…モニタ、11…流速値波形、12…第1の測定点、13…第2の測定点、14…計測時間

Claims (3)

  1. 被検体内を超音波の送受信をしながら走査してドプラ情報を得る超音波画像診断装置において、
    前記ドプラ情報に基づいて流速値波形を描出する流速値波形描出手段と、
    任意の流速値を入力設定可能な流速値設定手段と、
    前記流速値設定手段による設定値を示す前記流速値波形上の位置において測定点を設定する測定点設定手段と、
    前記測定点での流速値に基づいて演算を行い診断指標を求める診断指標演算手段と、
    を備えることを特徴とする超音波画像診断装置。
  2. 前記診断指標演算手段は、
    前記演算に用いる演算式を任意の演算式に入力設定可能な構成を備えることを特徴とする請求項1記載の超音波画像診断装置。
  3. 前記測定点設定手段は、
    当該測定点設定手段により設定された測定点を前記流速値波形上の任意位置に変更設定可能な任意設定手段を備えることを特徴とする請求項1または2のいずれか一つに記載の超音波画像診断装置。
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