JP4279431B2 - 運転状態判定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転状態判定装置に係り、より詳しくは、運転中の車両の挙動を示すデータに基づいて運転者の状態を判定する運転状態判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、運転中の車両の挙動を示すデータに基づいて運転状態(運転者の操舵機能)が正常であるか否かを判定する運転状態判定装置があったが、この種の運転状態判定装置による誤判定の原因として、判定条件に適応しないデータの排除が適切に行われないことが挙げられる。特に、車線変更時の運転状態は正常状態であるにもかかわらず、操舵機能低下時の状態に類似しているため、車線変更時のデータを用いて運転状態を判定した場合、異常状態であると誤判定される可能性が高かった。
【0003】
図8には、車線変更と、居眠り運転等によって生ずる操舵機能低下時とにおける車両の走行軌跡と操舵波形(横向き加速度)の一例が示されている。同図に示されるように、車線変更と操舵機能低下時とでは、走行軌跡は大幅に異なるものの、操舵動作の周波数成分は、ほぼ同一であることがわかる。従って、車線変更時のデータを用いて運転状態を判定した場合には異常状態であると誤判定される可能性が極めて高い。
【0004】
この問題を解決するために適用し得る技術として、特開平5−85221号公報には、ウィンカースイッチの操作が検出された場合に車線変更が行われるものと判定して、このときには異常操舵の判定を行わない技術が記載されている。また、特開平9−277848号公報には、修正操舵量(車両の車線内の走行を維持するための操舵量)を周波数分析し、特定の操舵周波数帯の操舵スペクトルの有無により車線変更の有無を判定する技術が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平5−85221号公報に記載の技術では、運転者によるウィンカースイッチの操作を検出することによって車線変更の発生を判定しているので、運転者がウィンカースイッチを操作せずに車線変更を行った場合には対応することができず、この結果として運転状態の判定精度が低下する可能性がある、という問題点があった。
【0006】
また、上記特開平9−277848号公報に記載の技術では単一スペクトルにより車線変更の有無を判定しているが、修正操舵と車線変更の操舵成分は2秒〜10秒程度と非常に狭い領域に存在するため、機能低下による操舵を車線変更のための操舵であると誤判定してしまい、この結果として運転状態の判定精度が低下する可能性がある、という問題点があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解消するために成されたものであり、車線変更の誤検出に起因する判定精度の低下を防止することができる運転状態判定装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の運転状態判定装置は、運転中の車両の挙動を示すデータに基づいて運転者の状態を判定する運転状態判定装置であって、操舵の状態を示す時系列データを検出するための操舵状態検出手段と、前記時系列データから車両の車線内の走行を維持するためのゆっくりとした修正操舵に対応する第1周波数帯域の操舵成分と早い修正操舵に対応する第2周波数帯域の操舵成分とを分離する分離手段と、前記分離手段により分離された第1周波数帯域の操舵成分の操舵量及び第2周波数帯域の操舵成分の操舵量を算出する操舵量算出手段と、前記操舵量算出手段により算出された第1周波数帯域の操舵量が当該第1周波数帯域に対応して予め定められた基準値よりも大きくかつ第2周波数帯域の操舵量が当該第2周波数帯域に対応して予め定められた基準値より大きな場合にのみ車線変更が有ったと判定する車線変更判定手段と、前記車線変更判定手段によって車線変更が有ったと判定された場合に当該車線変更に対応する車両の挙動を示すデータを前記運転者の状態を判定するためのデータから除外するデータ除外手段と、を備えている。
【0009】
請求項1記載の運転状態判定装置によれば、操舵状態検出手段によって操舵の状態を示す時系列データが検出され、分離手段によって、から車両の車線内の走行を維持するためのゆっくりとした修正操舵に対応する第1周波数帯域の操舵成分と早い修正操舵に対応する第2周波数帯域の操舵成分とが分離される。なお、上記操舵状態検出手段には、横向き加速度に対応した横加速度信号を出力する横加速度センサ、ハンドル(ステアリングホイール)の操舵量である操舵角に対応した操舵量信号を出力する操舵角センサ等が含まれる。
【0010】
また、請求項1記載の運転状態判定装置では、操舵量算出手段によって、分離手段により分離された第1周波数帯域の操舵成分の操舵量及び第2周波数帯域の操舵成分の操舵量が算出され、車線変更判定手段により、操舵量算出手段により算出された第1周波数帯域の操舵量が当該第1周波数帯域に対応して予め定められた基準値よりも大きくかつ第2周波数帯域の操舵量が当該第2周波数帯域に対応して予め定められた基準値より大きな場合にのみ車線変更が有ったと判定され、データ除外手段により、上記車線変更判定手段によって車線変更が有ったと判定された場合に当該車線変更に対応する車両の挙動を示すデータが運転者の状態を判定するためのデータから除外される
【0011】
このように、請求項1に記載の運転状態判定装置によれば、操舵の状態を示す時系列データから車両の車線内の走行を維持するためのゆっくりとした修正操舵に対応する第1周波数帯域の操舵成分と早い修正操舵に対応する第2周波数帯域の操舵成分を分離し、分離した第1周波数帯域の操舵成分の操舵量及び第2周波数帯域の操舵量を算出し、算出した第1周波数帯域の操舵量が当該第1周波数帯域に対応して予め定められた基準値よりも大きくかつ第2周波数帯域の操舵量が当該第2周波数帯域に対応して予め定められた基準値より大きな場合にのみ車線変更が有ったと判定しているので、単一スペクトルにより車線変更の有無を判定する場合に比較して高精度に車線変更の有無を判定することができると共に、車線変更の誤検出に起因する判定精度の低下を防止することができる。
【0012】
また、請求項1記載の発明は、請求項2記載のように、前記データ除外手段が、前記操舵状態検出手段により検出された時系列データから車線変更に対応するデータを除外し、前記データ除外手段により車線変更に対応するデータが除外された時系列データに基づいて車両の横変位量及び操舵周期を推定する推定手段と、前記推定手段により推定された車両の横変位量及び操舵周期に基づいて運転者の状態を判定する判定手段と、をさらに備えてもよい。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項3記載のように、前記推定手段により推定された車両の横変位量及び操舵周期を複数記憶する記憶手段をさらに備え、前記判定手段が、前記記憶手段に記憶された複数の車両の横変位量及び操舵周期を平滑化し、平滑化された横変位量及び操舵周期に基づいて運転者の状態を判定してもよい。
【0014】
また、請求項2又は請求項3記載の発明は、請求項4記載のように、前記推定手段により推定された車両の横変位量及び操舵周期を所定の基準車両速度での横変位量及び操舵周期に正規化する正規化手段をさらに備え、前記判定手段は、前記正規化手段により正規化された横変位量及び操舵周期に基づいて運転者の状態を判定してもよい。
【0016】
線変更時の操舵には、ゆっくりとした操舵と早い操舵が含まれる。
【0018】
このため、本発明では、周期が相対的に短い操舵及び長い操舵に各々対応する2つの周波数帯域を分離している
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る運転状態判定装置の実施の形態について詳細に説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態に係る運転状態判定装置10の構成について説明する。
【0020】
同図に示すように、本実施の形態に係る運転状態判定装置10は、ECU(Electronic Control Unit)12を備えており、ECU12はCPU(中央情報処理装置)14、各種プログラムやパラメータ等を記憶したROM(Read Only Memory)とプログラム実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)とを含んで構成されたメモリ16、ECU12外部からの各種信号を入力する入力ポート18、及びECU12外部に各種信号を出力する出力ポート20を備えており、メモリ16、入力ポート18、出力ポート20はCPU14に接続されている。
【0021】
一方、入力ポート18には、横向き加速度に対応した横加速度信号を出力する横加速度センサ(横Gセンサ)32、車速に関連した物理量に対応した車速信号を出力する車速センサ34、及びウィンカースイッチの操作を検出して車線変更信号を出力する車線変更センサ36が接続されており、出力ポート20には、各種情報の表示等に用いる表示部38、及び何らかの異常状態が発生した際に警告音を発生する警告音発生部40が接続されている。上記各センサや表示部38、警告音発生部40は、操舵ならびに走行状態を妨げることのないように車両に搭載されている。
【0022】
なお、横向き加速度に対応した横加速度信号とは横向き加速度に比例した信号、横向き加速度変化に比例した信号等であり、車速に関連した物理量に対応した車速信号とは車速に比例した信号、車速変化に比例した信号、車の加速度に比例した信号等に相当する。横Gセンサ32が本発明の操舵状態検出手段に相当する。
【0023】
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る運転状態判定装置10の作用について説明する。なお、図2は運転状態判定装置10が運転者の運転状態(操舵機能)を判定する際に、ECU12のCPU14において実行される運転状態判定処理プログラムの流れを示すフローチャートであり、該プログラムはメモリ16のROMに予め記憶されている。
【0024】
同図のステップ200では所定時間(本実施の形態では約20秒)の間、横Gセンサ32、車速センサ34及び車線変更センサ36から横加速度信号、車速信号、及び車線変更信号を入力して、各信号に基づいて得られる横向き加速度、車速の各々の時系列のデータ、及びウィンカースイッチの操作を伴った車線変更の有無を示すデータをメモリ16におけるRAMの所定領域に記憶する。
【0025】
次のステップ202では運転者の意志による車線変更の有無を判定する車線変更判定処理を行う。次に、図3を参照して、本実施の形態に係る車線変更判定処理について説明する。なお、図3は車線変更判定処理を行う際にCPU14で実行される車線変更判定処理プログラムの流れを示すフローチャートであり、該プログラムもメモリ16のROMに予め記憶されている。
【0026】
同図のステップ250では上記ステップ200でメモリ16に記憶されたウィンカースイッチの操作を伴った車線変更の有無を示すデータが車線変更が有った旨を示すものであるか否かを判定し、車線変更が有った旨を示すものである場合(肯定判定の場合)はステップ262へ移行し、車線変更が有った旨を示すものではない場合(否定判定の場合)にはステップ252へ移行する。
【0027】
ステップ252では上記ステップ200でメモリ16に記憶された横向き加速度の時系列データに基づいて修正操舵量を抽出し、次のステップ254では抽出した修正操舵量に対して操舵成分の分離を行う。
【0028】
運転中の操舵成分は道路の形状に応じた操舵と、車両を車線内に維持するための操舵である修正操舵とから成っているが、これらの操舵は車両の横向き加速度に直接現れる。そこで、本実施の形態では、上記ステップ200で測定した横向き加速度の時系列データを必要とする操舵周波数帯域毎に分離することにより、上記道路の形状に応じた操舵と上記修正操舵による操舵とを区別する。
【0029】
操舵周波数帯域毎への分離は、バンドパスフィルタ、周波数分析等によっても可能であるが、本実施の形態では移動平均に基づく方法を適用している。すなわち、時系列で測定したデータを分離したい周波数成分に応じたデータ数で平均化することにより、上記分離したい周波数成分より高い周波数成分は除去され(例えば、10秒に相当する数のデータを平均化すると10秒未満の周波数成分は除去される)、ゆっくりとした周波数成分のデータが得られる。このような平均化の処理を時系列データに順に行っていく(移動平均)ことにより、必要とする周波数成分の時系列データに分離することができる。逆に、平均化する前のデータから平均化されたデータを削除することにより、高い周波数成分のデータが得られる。
【0030】
また、本実施の形態では、平均化するデータ数を必要とする周波数成分に応じて複数設定することにより、修正操舵に相当する周波数成分を更に分離している。
【0031】
図4は移動平均化するデータ数によるフィルタ特性の一例を示すものであり、本実施の形態では、同図に示すような特性となるように平均化するデータ数を設定している。
【0032】
図4に示す例では、操舵成分を道路形状による操舵成分と修正操舵成分とに分離し、更に修正操舵成分を相対的に早い周波数成分(短い周期成分)とゆっくりとした周波数成分(長い周期成分)とに分離している。すなわち、この例では、最終的に3つの周波数成分に分離している。
【0033】
道路形状による操舵成分は他の操舵成分に比較して最もゆっくりした成分であるので、平均化するデータ数を最も多く設定することによって当該道路形状による操舵成分grを得、元の測定データから操舵成分grを削除することによって修正操舵成分(gm+gh)を得る。次に、操舵成分grを得る際のデータ数より少ないデータ数で平均化することによって修正操舵のゆっくりとした操舵成分gmを得る。更に、修正操舵成分(gm+gh)と操舵成分gmとの差分から早い操舵成分ghを得る。
【0034】
次のステップ256では上記ステップ254で得た操舵成分(早い操舵成分ghとゆっくりとした操舵成分gm)毎の判定値を算出する。すなわち、上記ステップ254で求めた時系列データは、その中でも周波帯域分布があるが、その絶対量を表すため、本ステップ256では判定のための単位時間を設定し、自乗平均値等から操舵成分毎の操舵量を判定値(短い周期の操舵量Shと長い周期の操舵量Sm)として算出する。
【0035】
次のステップ258では長い周期の操舵量Smが基準値Lmより大きいか否かを判定し、大きい場合(肯定判定の場合)はステップ260へ移行して短い周期の操舵量Shが基準値Lhより大きいか否かを判定し、大きい場合(肯定判定の場合)はステップ262へ移行して車線変更フラグに車線変更があったことを示す‘1’を代入した後に本車線変更判定処理プログラムを終了して運転状態判定処理プログラムのステップ204へ移行する。
【0036】
一方、上記ステップ258において長い周期の操舵量Smが基準値Lmより大きくないと判定された場合(否定判定された場合)と、上記ステップ260において短い周期の操舵量Shが基準値Lhより大きくないと判定された場合(否定判定された場合)には、共にステップ264へ移行して車線変更フラグに車線変更がなかったことを示す‘0’を代入した後に本車線変更判定処理プログラムを終了して運転状態判定処理プログラムのステップ204へ移行する。
【0037】
上記ステップ258乃至ステップ264の処理によって、長い周期の操舵量Smが基準値Lmより大きく、かつ短い周期の操舵量Shが基準値Lhより大きい場合にのみ車線変更があったものと見なして(図5(A)参照)、車線変更フラグに‘1’を設定し、長い周期の操舵量Sm及び短い周期の操舵量Shの少なくとも一方が対応する基準値以下である場合には車線変更がなかったものと見なして(図5(B)参照)、車線変更フラグに‘0’を設定している。
【0038】
上記ステップ252及びステップ254の処理が本発明の分離手段に、上記ステップ256乃至ステップ264の処理が本発明の車線変更判定手段に、各々相当する。
【0039】
ステップ204では車線変更フラグの値に基づいて車線変更があったか否かを判定し、車線変更があった場合(肯定判定の場合)はステップ200へ戻り、車線変更がなかった場合(否定判定の場合)にはステップ206へ移行する。ここで、車線変更フラグの値が‘1’である場合は車線変更があったと判定し、‘0’である場合には車線変更がなかったと判定する。本ステップ204の処理が、上記車線変更判定処理において車線変更があったと判定された場合に、これ以降行われる運転状態(操舵状態)の判定において上記ステップ200によって得られたデータを用いないようにしている処理であり、この処理が本発明のデータ除外手段に相当する。
【0040】
ステップ206では操舵機能評価値として上記ステップ200で測定した横向き加速度に基づいて横変位量及び操舵周期を算出する。
【0041】
本実施の形態では、横向き加速度を積分することにより横変位量を推定し、該積分による増加率に基づいて操舵周期を推定する。すなわち、判定する単位時間では操舵の周期が一定でほぼ正弦波状であると仮定すれば、横向き加速度の積分値である横向き速度の振幅は、元の横向き加速度の振幅と周期とから定まる。このことから、横向き速度と横向き加速度との振幅の比率(増加率)を求めることにより操舵周期を推定することができる。
【0042】
このとき、横向き加速度を横向き速度に変換する積分計算は横向き加速度の時系列データの積算によって行う。従来、操舵周期の算出は周波数分析によって行われており、高速フーリエ変換や自己相関関数等による畳み込み積分等が一般に適用されているが、これらの従来手法では算出精度は高いものの、計算量が著しく多く、処理の負担が大きい。これに対して、本実施の形態では、上述したように時系列データの積算によって操舵周期を算出しているので、上記従来手法に比較して演算量を大幅に削減することができる。
【0043】
次のステップ208では上記ステップ206によって算出した操舵機能評価値(横変位量及び操舵周期)を補正する。すなわち、操舵周期や横変位量は車両の速度や道路の曲率等によって若干の変動がある。例えば、操舵周期は速度が低い場合は相対的にゆっくりとした周期(長い周期)になり、逆に高速になれば早くなる傾向がある。そこで、このような影響をなくすための基準車両速度(例えば、100km/h)を設定し、該基準車両速度に相当する値に正規化する。同様に、道路の曲率の影響に関しては直線道路に相当する値に正規化する。ここで、上記正規化における補正係数は、事前に車両の特性と運転傾向(操舵周期や横変位量)等から作成したマップデータとして設定する。
【0044】
次のステップ210では以上の処理によって得られた操舵機能評価値が有効なデータであるか否かを判定し、有効なデータである場合(肯定判定の場合)はステップ212へ移行し、有効なデータでない場合(否定判定の場合)には上記ステップ200へ戻る。ここでは、操舵機能評価値として有効なデータと考えられる下限値及び上限値を後述するステップ216で得られる特性値に基づいて設定しておき、この下限値から上限値までの範囲内に操舵機能評価値が入る場合に有効なデータであると判定し、入らない場合に有効なデータでないと判定する。
【0045】
ステップ212では上記ステップ208において補正された操舵機能評価値を運転者の特性値としてメモリ16のRAMの所定領域に記憶し、次のステップ214では所定時間(本実施の形態では数分)分の特性値が取得されてメモリ16のRAMに記憶されたか否かを判定し、記憶されていない場合(否定判定の場合)は上記ステップ200へ戻り、記憶された時点(肯定判定となった時点)でステップ216へ移行する。このステップ200乃至ステップ214の繰り返し処理によって上記所定時間分に対応する数の特性値を得ることができる。
【0046】
ステップ216ではサンプリングの変動を減らすために、以上の処理によって得られた上記所定時間分の特性値を平滑化する。本実施の形態における平滑化は、例えば特性値の移動平均などにより行なわれ、特性値や特性値の変化量などの平均値、標準偏差などを算出する統計処理が行なわれる。
【0047】
次のステップ218では上記ステップ216で平滑化された特性値に基づいて操舵状態の判定を行う。
【0048】
すなわち、上記のように算出した特性値は疲労状態などにより変化しており、その変化状況から運転者の操舵状態を判定することができる。しかしながら、一般的にこれらの特性値は個々の運転者の特性の違いによる個人差や、同一の運転者であっても状況の違いによりその特性が異なる個内差などによって、必ずしも特定の値を示さない。そこで、まず、その走行状態に応じて判定するための判定基準値を設定する。
【0049】
本実施の形態では、運転者の運転状態が平均的状態(標準的な状態)、上限状態(運転が消極的に行われている状態)、下限状態(運転が積極的に行われている状態)の何れの状態であるのかを判定するため、各特性値の平均値、標準偏差値、上限値、下限値等を算出し、これらの値に基づいて各特性値毎に平均値、上限値、下限値を判定基準値として設定する。
【0050】
次に、平滑化された特性値と、このようにして得られた判定基準値との差を判定特性値とする。このようにして各特性値(操舵周期及び横変位量)毎に判定特性値(判定操舵周期及び判定横変位量)を検出し、この判定特性値により運転者の操舵状態を判定する。
【0051】
運転者の操舵能力の低下により、操舵周期及び横変位量は正常状態での操舵周期及び横変位量に対して増加していく。そこで本実施の形態では、操舵周期が長く、かつ横変位量が大きい場合は消極的な操舵状態であると判定し、操舵周期が短く、かつ横変位量が少ない場合は積極的な操舵状態であると判定する。操舵状態は、これらの2状態量を総合した指標として、例えば図6に示すようなファジィ推論により推定する。この例では、判定特性値である判定操舵周期と判定横変位量から操舵状態を推定する。また、操舵周期、横変位量の変わりに各々の変化量、標準偏差量、同変化量の内のいずれかの組み合わせでも操舵状態を推定できる。このファジィ推論について説明する。ファジィ推論則としては、if〜then〜(もし〜ならば〜)の形で以下の規則を用いる。
(1)もし判定操舵周期が長く、かつ判定横変位量が大きければ、操舵状態は消極的である。
(2)もし判定操舵周期が短く、かつ判定横変位量が少なければ、操舵状態は積極的である。
【0052】
上記の言語値は図6に示したメンバシップ関数によって定量化され、前件部のメンバシップ値の最小値が後件部のメンバシップ値として採用され、後件部の加重平均値が操舵状態を示す値として採用される。このように複数の状態量を総合することにより判定精度を向上できる。
【0053】
次のステップ220では上記ステップ218によって得られた判定結果を表示部38に表示し、次のステップ222では上記ステップ218の処理によって得られた操舵状態を示す値に基づいて操舵機能が低下しているか否かを判定する。
【0054】
本実施の形態では、以上のように推定した操舵状態を示す値、判定サンプリングデータ区間毎の横変位量等から操舵機能が低下しているか否かを判定する。以下の判定条件を満たしたとき操舵機能が低下していると判定する。
【0055】
1)操舵状態を示す値が規定値を越えたとき。
【0056】
2)操舵状態を示す値が規定値を越え、かつ横変位量が規定値を越えたとき。
【0057】
3)横変位量が規定値を越えた回数が規定時間内に規定回数を越えたとき。
【0058】
上記の条件を満たすとき運転者の操舵機能が低下していると判定する。
【0059】
各規定値は上記ステップ218で設定された前記判定基準値の値に応じて予め参照マップなどに記憶された値を使用する。また、各規定値はその操舵機能の低下の状態、例えば注意状態、危険状態などのようにその段階に応じて複数の設定が可能である。
【0060】
ステップ222において操舵機能が低下していると判定された場合(肯定判定の場合)はステップ224へ移行して警告音発生部40に対して警告音を発生させた後にステップ226へ移行し、操舵機能は低下していないと判定された場合(否定判定の場合)はステップ224の処理を行うことなくステップ226へ移行する。
【0061】
ステップ226では運転者からの指示入力の有無等に基づいて、運転状態判定処理プログラムによる運転状態判定を継続するか否かを判定し、継続する場合(肯定判定の場合)は上記ステップ200へ戻り、継続しない場合(否定判定の場合)には本運転状態判定処理プログラムを終了する。
【0062】
図7には、車線変更判定の有無における操舵機能の判定結果の一例が示されている。この例では、車線変更判定を行っていないときは操舵機能判定によって2回の警告が行われている。1回目の警告はウィンカースイッチの操作を伴わない車線変更を操舵機能が低下したものと誤判定されて行われたものである。2回目の警告は居眠り運転による操舵機能の低下が検出されて行われたものである。
【0063】
一方、車線変更判定を行うと、1回目の警告時の操舵成分には基準値Lm以上のゆっくりとした修正操舵成分に加え、基準値Lh以上の早い修正操舵成分が含まれるため、車線変更であることが判定される。従って、このときには警告が行われない。一方、2回目の警告時では修正操舵成分が見られず、操舵機能低下と判定されて警告が行われる。
【0064】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る運転状態判定装置では、横向き加速度の時系列データから修正操舵に対応する周波数帯域の時系列データのみを抽出して相対的に早い周波数成分(短い周期成分)とゆっくりとした周波数成分(長い周期成分)に対応する2つの周波数帯域毎に分離し、分離された時系列データから得られる周波数帯域毎の判定値が周波数帯域毎に予め定められた基準値より大きな場合にのみ車線変更が有ったと判定しているので、単一スペクトルにより車線変更の有無を判定する場合に比較して高精度に車線変更の有無を判定することができると共に、車線変更の誤検出に起因する判定精度の低下を防止することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、修正操舵に対応する周波数帯域を2つに分離する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上に分離する形態としてもよい。この場合は、車線変更の有無の判定に要する時間は長くなってしまうものの、より多角的な判定が可能となるので、判定精度を向上することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、操舵機能が低下していると判定された場合に警告音を発生する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、表示部38にその旨を示す表示を行ったり、該表示と上記警告音の発生とを併用する形態としてもよい。
【0067】
更に、本実施の形態では、横Gセンサ32によって得られた横向き加速度に基いて横変位量を導出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ハンドル(ステアリングホイール)の操舵量である操舵角に対応した操舵量信号を出力する操舵角センサを備え、該センサによって得られる操舵量に基づいて横変位量を算出する形態としてもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、操舵の状態を示す時系列データから車両の車線内の走行を維持するためのゆっくりとした修正操舵に対応する第1周波数帯域の操舵成分と早い修正操舵に対応する第2周波数帯域の操舵成分を分離し、分離した第1周波数帯域の操舵成分の操舵量及び第2周波数帯域の操舵量を算出し、算出した第1周波数帯域の操舵量が当該第1周波数帯域に対応して予め定められた基準値よりも大きくかつ第2周波数帯域の操舵量が当該第2周波数帯域に対応して予め定められた基準値より大きな場合にのみ車線変更が有ったと判定しているので、単一スペクトルにより車線変更の有無を判定する場合に比較して高精度に車線変更の有無を判定することができると共に、車線変更の誤検出に起因する判定精度の低下を防止することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る運転状態判定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る運転状態判定装置で実行される運転状態判定処理プログラムの流れを示すフローチャートである。
【図3】運転状態判定処理プログラムの実行途中で実行される車線変更判定処理プログラムの流れを示すフローチャートである。
【図4】車線変更判定処理プログラムにおける修正操舵量抽出及び操舵成分の分離の説明に供するグラフである。
【図5】車線変更の有無の判定の説明に供するグラフであり、(A)は車線変更があった場合の状態を、(B)は車線変更がなかった場合の状態を、各々示すグラフである。
【図6】操舵状態の判定法を説明するための線図である。
【図7】本発明の全体的な作用の説明に供するグラフである。
【図8】従来技術の問題点の説明に供するグラフである。
【符号の説明】
10 運転状態判定装置
12 ECU
14 CPU
16 メモリ
32 横加速度センサ(操舵状態検出手段)
34 車速センサ
36 車線変更センサ
38 表示部
40 警告音発生部

Claims (4)

  1. 運転中の車両の挙動を示すデータに基づいて運転者の状態を判定する運転状態判定装置であって、
    操舵の状態を示す時系列データを検出するための操舵状態検出手段と、
    前記時系列データから車両の車線内の走行を維持するためのゆっくりとした修正操舵に対応する第1周波数帯域の操舵成分と早い修正操舵に対応する第2周波数帯域の操舵成分とを分離する分離手段と、
    前記分離手段により分離された第1周波数帯域の操舵成分の操舵量及び第2周波数帯域の操舵成分の操舵量を算出する操舵量算出手段と、
    前記操舵量算出手段により算出された第1周波数帯域の操舵量が当該第1周波数帯域に対応して予め定められた基準値よりも大きくかつ第2周波数帯域の操舵量が当該第2周波数帯域に対応して予め定められた基準値より大きな場合にのみ車線変更が有ったと判定する車線変更判定手段と、
    前記車線変更判定手段によって車線変更が有ったと判定された場合に当該車線変更に対応する車両の挙動を示すデータを前記運転者の状態を判定するためのデータから除外するデータ除外手段と、
    を備えた運転状態判定装置。
  2. 前記データ除外手段は、前記操舵状態検出手段により検出された時系列データから車線変更に対応するデータを除外し、
    前記データ除外手段により車線変更に対応するデータが除外された時系列データに基づいて車両の横変位量及び操舵周期を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定された車両の横変位量及び操舵周期に基づいて運転者の状態を判定する判定手段と、をさらに備えた
    請求項1記載の運転状態判定装置。
  3. 前記推定手段により推定された車両の横変位量及び操舵周期を複数記憶する記憶手段をさらに備え、
    前記判定手段は、前記記憶手段に記憶された複数の車両の横変位量及び操舵周期を平滑化し、平滑化された横変位量及び操舵周期に基づいて運転者の状態を判定する
    請求項2記載の運転状態判定装置。
  4. 前記推定手段により推定された車両の横変位量及び操舵周期を所定の基準車両速度での横変位量及び操舵周期に正規化する正規化手段をさらに備え、
    前記判定手段は、前記正規化手段により正規化された横変位量及び操舵周期に基づいて運転者の状態を判定する
    請求項2又は請求項3記載の運転状態判定装置。
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