(第1実施形態)
以下、本発明の電子キーシステムを自動車のスマートキーシステムに具体化した第1実施形態を説明する。
図1に示すように、スマートキーシステム1は、携帯機2とエンジン始動制御装置3とを備えている。携帯機2は、運転者によって所持されるものである。エンジン始動制御装置3は、自動車側に設けられるものである。そして、スマートキーシステム1は、携帯機2とエンジン始動制御装置3との双方向通信が可能に構成されている。
携帯機2は、受信機能及び送信機能を有している。携帯機2は、受信アンテナ11、受信回路12、マイコン13、送信回路14、送信アンテナ15、電池16、トランスポンダ17、蓄電回路18を備えている。受信回路12は、エンジン始動制御装置3から送信されてくるリクエスト信号を受信アンテナ11を介して受信するためのものである。そして、受信回路12は、エンジン始動制御装置3からのリクエスト信号を受信すると、そのリクエスト信号を復調して受信信号を生成し、その受信信号をマイコン13に出力する。マイコン13は、図示しないCPU、ROM、RAM等からなるCPUユニットであり、メモリ13aを備えている。このメモリ13aには、携帯機2毎に個別に設定されたIDコードが記憶されている。
そして、マイコン13は、前記受信回路12から受信信号が入力されると、リクエスト信号に応答するために、携帯機2のIDコードを含む信号を送信回路14に出力する。送信回路14は、マイコン13から入力された該信号を所定周波数(本実施形態では300MHz)の電波に変調して送信アンテナ15を介して送信するためのものである。電池16は、上記のようにリクエスト信号に応答して携帯機2のIDコードを含む信号を送信するための電源である。尚、電池16は、ボタン型電池(一次電池)により構成されている。トランスポンダ17には、該トランスポンダ17毎、つまり携帯機2毎に個別に設定されたトランスポンダコードが記憶されている。そして、トランスポンダ17は、エンジン始動制御装置3から送信されてくるトランスポンダ起動用電波に基づいて起電力を発生し、前記トランスポンダコードを含む信号を所定周波数(本実施形態では134KHz)の電波として送信する公知の構成である。
ここで、前記受信アンテナ11は、上記したようにエンジン始動制御装置3からのリクエスト信号を受信するための媒体として機能するとともに、エンジン始動制御装置3から送信されてくる蓄電用電波を受信するための媒体としても機能する。尚、受信アンテナ11は、コイルアンテナにより構成されている。そして、エンジン始動制御装置3の送受信アンテナ27から送信されてきた蓄電用電波が受信アンテナ11に達すると、電磁誘導により該受信アンテナ11の両端に起電力が生じる。加えて、送受信アンテナ27と受信アンテナ11との相互電磁誘導によっても受信アンテナ11の両端に起電力が生じる。蓄電回路18は、これらのように受信アンテナ11の両端に生じる起電力、つまり前記蓄電用電波から得られる電磁波エネルギーを蓄積するためのものである。尚、この蓄電回路18は、コンデンサを主体として構成されている。
そして、このようにして蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーは、電池16が消耗して携帯機2に電池切れが発生している場合であって、且つこのように携帯機2に電池切れが発生している場合に本来活用される筈のトランスポンダ17に何らかの異常がある場合のバックアップ電源として活用される。即ち、携帯機2は、このように電池切れ及びトランスポンダ異常が同時に発生した場合にも、受信回路12、マイコン13、送信回路14の各々が、蓄電回路18により蓄積された電磁波エネルギーから電力を得ることにより動作可能となるように構成されている。具体的には、携帯機2において電池切れ及びトランスポンダ異常が同時に発生した場合には、受信回路12、マイコン13、送信回路14の各々は、蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーにより電力が賄われて起動される。
そして、受信回路12は、このようにして起動された場合には、同じく蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーにより電力を賄うことで、受信アンテナ11により受信されたリクエスト信号を復調して受信信号を生成し、その受信信号をマイコン13に出力する。一方、マイコン13は、上記のようにして起動された場合には、同じく蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーにより電力を賄うことで、リクエスト信号の応答信号、つまり携帯機2のIDコードを含む信号を送信回路14に出力する。他方、送信回路14は、上記のようにして起動された場合には、同じく蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーにより電力を賄うことで、前記リクエスト信号の応答信号を所定周波数(本実施形態では300MHz)の電波に変調して送信アンテナ15を介して送信する。換言すれば、送信回路14は、蓄電回路18により蓄積された電磁波エネルギーが、メモリ13aに記憶されているIDコードを含む信号を送信可能なレベルに達している状態で前記リクエスト信号が送信されてきたことを条件として、該リクエスト信号に応答して前記IDコードを含む信号を送信する。
エンジン始動制御装置3は、送信回路21、送信アンテナ22、受信アンテナ23、受信回路24、給電回路25、送受信回路26、送受信アンテナ27、スマートECU28を備えている。送信回路21は、スマートECU28から入力されるリクエスト信号を所定周波数(本実施形態では134KHz)の電波に変調して送信アンテナ22を介して送信するためのものである。尚、送信アンテナ22は、運転席のシート直下に配設されたコイルアンテナにより構成されている。そして、この送信アンテナ22から送信されるリクエスト信号は、車内の略全域に及ぶように、且つ車外に漏れないように配慮されている。具体的には、図2に2点鎖線で示す第1領域A1の範囲内にリクエスト信号が送信されることとする。
受信回路24は、携帯機2から送信されてくる信号、つまり携帯機2のIDコードを含む信号、換言すればリクエスト信号の応答信号を受信アンテナ23を介して受信するためのものである。そして、受信回路24は、携帯機2からの前記IDコードを含む信号を受信すると、その信号を復調して受信信号を生成し、その受信信号をスマートECU28に出力する。
送受信回路26は、スマートECU28から入力されるトランスポンダ起動用信号及び給電回路25から供給される電力に基づいて所定周波数(本実施形態では134KHz)のトランスポンダ起動用電波を生成し、そのトランスポンダ起動用電波を送受信アンテナ27を介して送信するためのものである。また、送受信回路26は、スマートECU28から入力される蓄電用信号及び給電回路25から供給される電力に基づいて所定周波数(本実施形態では134KHz)の蓄電用電波を生成し、その蓄電用電波を送受信アンテナ27を介して送信するためのものでもある。
尚、送受信アンテナ27は、運転席の右寄り前方に配設されたエンジン始動スイッチ50の近傍に配設されたコイルアンテナにより構成されている。そして、この送受信アンテナ27から送信されるトランスポンダ起動用電波や蓄電用電波はいずれも、車内における極めて狭い領域、好ましくは運転席に座った状態で手が届く領域、本実施形態ではエンジン始動スイッチ50の周辺20mm〜50mmの範囲内のみに及ぶように配慮されている。具体的には、図2に2点鎖線で誇張して示す第2領域A2の範囲内にトランスポンダ起動用電波や蓄電用電波が送信されることとする。
また、前記送受信回路26は、携帯機2から送信されてくる信号、つまり携帯機2のトランスポンダコードを含む信号を送受信アンテナ27を介して受信するためのものでもある。そして、送受信回路26は、携帯機2からの前記トランスポンダコードを含む信号を受信すると、その信号を復調して受信信号を生成し、その受信信号をスマートECU28に出力する。
スマートECU28は、図示しないCPU、ROM、RAM等からなるCPUユニットであり、メモリ28aを備えている。このメモリ28aには、対応する携帯機2のIDコードと同一のIDコード(自動車側のIDコード)が記憶されている。また、同メモリ28aには、対応する携帯機2のトランスポンダコードと同一のトランスポンダコード(自動車側のトランスポンダコード)が記憶されている。
そして、スマートECU28は、車内の略全域に亘る第1領域A1にリクエスト信号を送信したことに基づいて、受信回路24から携帯機2のIDコードを含む受信信号が入力されると、携帯機2のIDコードと自動車側のIDコードとが一致しているか否かを判断する。つまり、この場合、スマートECU28は、IDコード照合を実行する。また、スマートECU28は、エンジン始動スイッチ50の周辺の極限られた範囲に亘る第2領域A2にトランスポンダ起動用電波を送信したことに基づいて、送受信回路26から携帯機2のトランスポンダコードを含む受信信号が入力されると、携帯機2のトランスポンダコードと自動車側のトランスポンダコードとが一致しているか否かを判断する。つまり、この場合、スマートECU28は、トランスポンダコード照合を実行する。
そして、スマートECU28は、前記IDコード照合により両IDコードが一致したこと、又は前記トランスポンダコード照合により両トランスポンダコードが一致したことを条件としてEFIECU40にエンジン始動許可信号を出力する。つまり、これらの場合、スマートECU28は、エンジン始動許可制御を実行する。
EFIECU40には、エンジン始動スイッチ50が電気的に接続されている。そして、EFIECU40は、上記のようにスマートECU28からエンジン始動許可信号が入力されている状態でエンジン始動スイッチ50のノブがスタート位置まで回動されると、図示しないセルモータを制御することによりエンジンを始動させる。
エンジン始動スイッチ50は、運転者により回動操作可能なノブを備えたロータリスイッチにより構成されている。尚、該ノブには、携帯機2を挿入するためのスマートキー挿入口が凹設されている。そして、エンジン始動スイッチ50は、前記スマートキー挿入口に携帯機2が挿入された旨を検出するためのキー検出スイッチ51を備えている。このキー検出スイッチ51は、スマートECU28に電気的に接続されている。そして、スマートECU28は、キー検出スイッチ51から入力される検出信号に基づいて、エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入された旨を検出する。
前記スマートECU28には、インジケーターランプ60が電気的に接続されている。このインジケーターランプ60は、インストルメントパネル内に配設されたLEDにより構成されている。そして、スマートECU28は、IDコード照合により両IDコードが一致すると、インジケーターランプ60を点灯させる。即ち、インジケーターランプ60は、IDコード照合により両IDコードが一致したことに基づいてエンジンの始動が許可されている旨、つまりスマートイグニッション機能が有効である旨を報知するためのものである。
また、前記スマートECU28には、ドアカーテシスイッチ70が電気的に接続されている。このドアカーテシスイッチ70は、車載ドアの開閉状態を検出するためのものである。そして、スマートECU28は、ドアカーテシスイッチ70から入力される検出信号に基づいて、車載ドアが開閉された旨を検出する。
そして、スマートECU28は、ドアカーテシスイッチ70からの検出信号に基づいて、車載ドアが開閉された旨を検出すると、携帯機2とエンジン始動制御装置3との双方向通信を確立させるために、車内の略全域に亘る第1領域A1にリクエスト信号を間欠的に送信する。つまり、スマートECU28は、車載ドアが開閉されたことをトリガとして、通常はスマート制御を実行する。
一方、スマートECU28は、キー検出スイッチ51からの検出信号に基づいて、エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入された旨を検出すると、該エンジン始動スイッチ50の周辺の極限られた範囲に亘る第2領域A2にトランスポンダ起動用電波を送信する。即ち、スマートECU28は、携帯機2からトランスポンダコードを含む信号を送信させるために、このようにトランスポンダ起動用電波を送信する。つまり、スマートECU28は、エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入されたことをトリガとして、前記スマート制御からイモビライザ制御に切り替えて該イモビライザ制御を所定時間(本実施形態では最長で10秒間)に亘って実行する。ちなみに、スマートECU28は、このようなイモビライザ制御に伴って該10秒以内にトランスポンダ照合により両トランスポンダコードが一致したと肯定判断すると、該肯定判断した時点でイモビライザ制御を打ち切る。
他方、スマートECU28は、上記のように前記スマート制御からイモビライザ制御に切り替えてから10秒間が経過しても、自動車側のトランスポンダコードと一致するトランスポンダコードを含む受信信号が送受信回路26から未だ入力されない場合には、第2領域A2に蓄電用電波を送信する一方、第1領域A1にリクエスト信号を送信する。つまり、スマートECU28は、イモビライザ制御を実行しているにも拘わらず、自動車側のトランスポンダコードと一致するトランスポンダコードを含む受信信号が送受信回路26から入力されないまま前記所定時間が経過したことをトリガとして、前記イモビライザ制御からバックアップ制御に切り替えて該バックアップ制御を実行する。そして、スマートECU28は、このバックアップ制御において、蓄電用電波とリクエスト信号との混信を防止するために、蓄電用電波とリクエスト信号とを交互に送信する。
次に、エンジンを始動させる場合の動作について説明する。
さて、運転者が車載ドアを開閉して乗車してくると、エンジン始動制御装置3の送信アンテナ22から第1領域A1にリクエスト信号が送信される。つまり、スマートECU28によりスマート制御が実行される。そして、前記リクエスト信号に応答して携帯機2の送信アンテナ15から該携帯機2のIDコードを含む信号が送信されてくると、スマートECU28により、携帯機2のIDコードと自動車側のIDコードとが一致しているか否かが判断される。つまり、スマートECU28によりIDコード照合が実行される。
ここで、運転者が対応する携帯機2を所持している場合には、両IDコードが一致するため、スマートECU28からEFIECU40にエンジン始動許可信号が出力されるとともに、インジケーターランプ60が点灯される。つまり、スマートECU28によりエンジン始動許可制御が実行される。そして、このようにエンジンの始動が許可されている状態で、運転者により、携帯機2が用いられることなく、エンジン始動スイッチ50のノブが直接的にスタート位置まで回動される。すると、EFIECU40によりセルモータが制御されてエンジンが始動される。
一方、携帯機2に電池切れが発生している場合には、運転者が該携帯機2を所持して車内に進入してきても、スマートイグニッション機能が無効になることからインジケーターランプ60は消灯されたままである。このため、かかる場合には、携帯機2を所持して車内に進入してきた段階で本来点灯される筈のインジケーターランプ60が消灯されたままであることの要因が、携帯機2の電池切れによるものである旨を認識した運転者により、エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入される。
すると、エンジン始動制御装置3の送受信アンテナ27から第2領域A2にトランスポンダ起動用電波が送信される。つまり、スマートECU28によりイモビライザ制御が実行される。そして、前記トランスポンダ起動用電波に基づいて携帯機2のトランスポンダ17から該携帯機2のトランスポンダコードを含む信号が送信されてくると、スマートECU28により、携帯機2のトランスポンダコードと自動車側のトランスポンダコードとが一致しているか否かが判断される。つまり、スマートECU28によりトランスポンダコード照合が実行される。
ここで、運転者が対応する携帯機2を所持している場合には、両トランスポンダコードが一致するため、スマートECU28からEFIECU40にエンジン始動許可信号が出力される。つまり、スマートECU28によりエンジン始動許可制御が実行される。そして、このようにエンジンの始動が許可されている状態、つまり対応する携帯機2がエンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に挿入されている状態から、運転者により、同携帯機2が用いられて、エンジン始動スイッチ50のノブが間接的にスタート位置まで回動される。すると、EFIECU40によりセルモータが制御されてエンジンが始動される。
他方、携帯機2に電池切れが発生している場合であって、且つトランスポンダ17に何らかの異常がある場合には、スマートイグニッション機能に加えて、イモビライザ機能もが無効になる。このため、かかる場合には、スマートイグニッション機能が無効である場合のエンジン始動操作を行ったにも拘わらずエンジンが始動されないことの要因が、トランスポンダ17に何らかの異常があることによるものである旨を認識した運転者により、エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入されたまま維持される。詳しくは、前記運転者により、携帯機2が用いられて、エンジン始動スイッチ50のノブが間接的にロック位置まで回動された状態で、エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に該携帯機2が挿入されたまま維持される。
すると、エンジン始動制御装置3の送受信アンテナ27から第2領域A2に蓄電用電波が送信される一方、同エンジン始動制御装置3の送信アンテナ22から第1領域A1にリクエスト信号が送信される。詳しくは、蓄電用電波とリクエスト信号とが交互に送信される。つまり、スマートECU28によりバックアップ制御が実行される。その後、前記蓄電用電波等に基づいて、やがて携帯機2の蓄電回路18により電磁波エネルギーが蓄積されると、前記リクエスト信号に応答して、携帯機2の送信アンテナ15から該携帯機2のIDコードを含む信号が送信されてくる。すると、スマートECU28により、携帯機2のIDコードと自動車側のIDコードとが一致しているか否かが判断される。つまり、スマートECU28によりIDコード照合が実行される。
そして、該IDコード照合により両IDコードが一致すると、スマートECU28からEFIECU40にエンジン始動許可信号が出力されるとともに、インジケーターランプ60が点灯される。つまり、スマートECU28によりエンジン始動許可制御が実行される。そして、このようにエンジンの始動が許可されている状態、つまり対応する携帯機2がエンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に挿入されており、且つエンジン始動スイッチ50のノブがロック位置まで回動されている状態から、運転者により、同携帯機2が用いられて、エンジン始動スイッチ50のノブが間接的にスタート位置まで回動される。すると、EFIECU40によりセルモータが制御されてエンジンが始動される。
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(1)携帯機2の蓄電回路18により、エンジン始動制御装置3からの電磁波エネルギーが蓄積される。そして、該蓄積された電磁波エネルギーにより電力が賄われて、携帯機2のIDコードを含む信号が送信回路14により送信される。そして、エンジン始動制御装置3のスマートECU28により、携帯機2のIDコードとエンジン始動制御装置3側のIDコードとが一致したことを条件としてエンジンの始動が許可される。このようにエンジン始動制御装置3からのトランスポンダ起動用電波に基づいて該トランスポンダ17毎、つまり携帯機2毎に個別に設定されたトランスポンダコードを含む信号を送信するトランスポンダ17に依存することなく、エンジンの始動を許可することが可能となる。従って、トランスポンダ17を用いない別の手法によりエンジンの始動を許可することができる。
(2)上記(1)に記載したように、トランスポンダ17を用いない別の手法によりエンジンの始動を許可することができることから、携帯機2に電池切れ及びトランスポンダ異常が同時に発生している場合にも、エンジンを始動させることができる。つまり、トランスポンダ17を用いたイモビライザ機能に依存しない好適なスマートキーシステム1を提供することができる。
(3)エンジン始動制御装置3から蓄電用電波とリクエスト信号とが交互に送信される。このため、蓄電用電波とリクエスト信号との混信を防止することができる。
(4)IDコード照合により両IDコードが一致してエンジンの始動が許可されている場合には、インジケーターランプ60が点灯される。このため、該点灯による報知に基づいて、エンジンの始動が許可されている旨を運転者に確実に認識させることができる。
(5)特に、蓄電回路18により蓄積された電磁波エネルギーにて電力が賄われたことに基づいて、エンジンの始動が許可されている場合にも、インジケーターランプ60が点灯される。このため、携帯機2に電池切れ及びトランスポンダ異常が同時に発生している場合において、該点灯による報知に基づいて、エンジン始動スイッチ50のノブをスタート位置まで回動させるタイミングを運転者に確実に認識させることができる。つまり、利便性に優れたスマートキーシステム1を提供することができる。
ちなみに、本実施形態の構成とは異なり、前記電磁波エネルギーにて電力が賄われたことに基づいて、エンジンの始動が許可されても、何ら報知を行わない構成の場合には、運転者は如何なるタイミングでエンジン始動スイッチ50のノブをスタート位置まで回動させればよいのか知る由もなく、運転者にとって不便である。
尚、前記第1実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入されて、且つ該携帯機2が用いられてエンジン始動スイッチ50のノブがスタート位置まで回動されたまま所定時間(例えば5秒間)が経過したことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御がいち早く開始される構成としてもよい。このように構成すれば、携帯機2に電池切れ及びトランスポンダ異常が同時に発生している旨を予め認識している運転者による蓄電の意志に基づいて、バックアップ制御がいち早く開始される。従って、携帯機2に電池切れ及びトランスポンダ異常が同時に発生している場合において、蓄電回路18のコンデンサに電磁波エネルギーがいち早く蓄積されることから、エンジンの始動が許可されるまでの待ち時間を短縮することができる。
・エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入されて、且つ該携帯機2が用いられてエンジン始動スイッチ50のノブが所定時間(例えば10秒間)以内に所定回数(例えば3回)に亘ってスタート位置まで回動されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御がいち早く開始される構成としてもよい。
・ロータリスイッチにより構成されている前記第1実施形態のエンジン始動スイッチ50において、蓄電用電波とリクエスト信号とを交互に送信するための蓄電用位置を設けた構成としてもよい。この場合、エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入されて、且つ該携帯機2が用いられてエンジン始動スイッチ50のノブが蓄電用位置まで回動されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御がいち早く開始される。
尚、ロータリスイッチにより構成されているエンジン始動スイッチ50において、スマートキー挿入口に携帯機2が挿入されてから携帯機2が用いられてノブがスタート位置まで回動される場合の該回動方向と、同じく携帯機2が用いられてノブが蓄電用位置まで回動される場合の該回動方向とは、逆方向である構成が好ましい。なぜなら、携帯機2に電池切れ及びトランスポンダ異常が同時に発生している場合を主として蓄電用位置に切り替えられることから、該蓄電用位置は使用頻度が極めて低いものである。従って、上記の好ましい構成とは異なり、回動方向が同一である構成、つまりスマートイグニッション機能を用いてエンジンを始動させる場合において、ノブをスタート位置まで回動させる途中で蓄電用位置を経る構成であれば、エンジン始動操作時にノブの操作長さが延びて煩雑となるからである。換言すれば、回動方向が逆方向である構成にすれば、スマートイグニッション機能を用いてエンジンを始動させる場合において、エンジン始動操作が煩雑化されてしまうことを回避することができる。
・前記第1実施形態とは異なり、運転者により押圧操作可能なボタンを備えたプッシュスイッチにより構成されるエンジン始動スイッチ50を採用してもよい。尚、該ボタンには、携帯機2を挿入するためのスマートキー挿入口が凹設されている。そして、このエンジン始動スイッチ50は、前記スマートキー挿入口に携帯機2が挿入された旨を検出するためのキー検出スイッチ51を備えている。そして、同エンジン始動スイッチ50は、運転者により直接的に又は携帯機2が用いられて間接的にボタンが押圧操作された後、該押圧操作が解除されると、モーメンタリ機能によりボタンが基準位置まで自動復帰する。
そして、スマートイグニッション機能を用いてエンジンを始動させる場合には、エンジンの始動が許可されている状態で、運転者により、携帯機2が用いられることなく、エンジン始動スイッチ50のボタンが基準位置から第1ストロークに亘って直接的に押圧操作される。すると、EFIECU40によりセルモータが制御されてエンジンが始動される。
一方、携帯機2に電池切れが発生している場合には、運転者によりエンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入される。すると、エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入されたことをトリガとして、スマートECU28によりスマート制御からイモビライザ制御に切り替えられて該イモビライザ制御が所定時間(例えば最長で10秒間)に亘って実行される。その後、エンジンの始動が許可されている状態から、運転者により、携帯機2が用いられて、エンジン始動スイッチ50のボタンが基準位置から第1ストロークに亘って間接的に押圧操作されると、EFIECU40によりセルモータが制御されてエンジンが始動される。
他方、スマートECU28によりイモビライザ制御が実行されているにも拘わらず、該スマートECU28によりエンジンの始動が許可されないまま前記所定時間が経過したことをトリガとして、同スマートECU28によりイモビライザ制御からバックアップ制御に切り替えられて該バックアップ制御が実行される。その後、エンジンの始動が許可されている状態から、運転者により、携帯機2が用いられて、エンジン始動スイッチ50のボタンが基準位置から第1ストロークに亘って間接的に押圧操作されると、EFIECU40によりセルモータが制御されてエンジンが始動される。
・同じくスマートキー挿入口に携帯機2が挿入されて、且つ該携帯機2が用いられてボタンが基準位置から第1ストロークに亘って押圧操作されたまま所定時間(例えば5秒間)が経過したことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御がいち早く開始される構成としてもよい。
・同じくスマートキー挿入口に携帯機2が挿入されて、且つ該携帯機2が用いられてボタンが所定時間(例えば10秒間)以内に所定回数(例えば3回)に亘って基準位置から第1ストロークに亘って押圧操作されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御がいち早く開始される構成としてもよい。
・同じくスマートキー挿入口に携帯機2が挿入されて、且つ該携帯機2が用いられてボタンが基準位置から前記第1ストロークよりも長い第2ストロークに亘って押圧操作されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御がいち早く開始される構成としてもよい。
・図1に破線で示すように、蓄電用電波とリクエスト信号とを交互に送信するための蓄電用スイッチ80を前記エンジン始動スイッチ50とは別に配設した構成としてもよい。この場合、エンジン始動スイッチ50のスマートキー挿入口に携帯機2が挿入されて、且つ蓄電用スイッチ80が操作されたことをトリガとして(操作順不問)、スマートECU28によりバックアップ制御がいち早く開始される。
・前記第1実施形態において、携帯機2からトランスポンダ17を省略してもよいことは言うまでもない。ちなみに、携帯機2に電池切れが発生している場合には、イモビライザ機能が無くても、蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーをバックアップ電源として、携帯機2とエンジン始動制御装置3との双方向通信を確立することができるからである。尚、この場合、メモリ28aには、自動車側のトランスポンダコードを記憶させておく必要がない。そして、スマートECU28は、トランスポンダ起動用信号を送受信回路26に出力する必要がない。また、同スマートECU28は、トランスポンダコード照合を実行する必要がない。加えて、送受信回路26は、トランスポンダ起動用電波を生成する必要がない。つまり、前記第1実施形態のスマートキーシステム1からイモビライザ機能に関するものを省略してもよいことは言うまでもない。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明する。尚、図3に示す本実施形態のスマートキーシステム1が、図1に示す前記第1実施形態のスマートキーシステム1と主に異なる点は、イモビライザ機能が省略されている点である。つまり、本実施形態のスマートキーシステム1は、携帯機2においてトランスポンダ17が省略されている一方、エンジン始動制御装置3において給電回路25、送受信回路26、送受信アンテナ27が省略されている。
さて、本実施形態の携帯機2において、受信アンテナ11は、エンジン始動制御装置3からのリクエスト信号を受信するための媒体として機能するとともに、エンジン始動制御装置3から送信されてくる蓄電用電波を受信するための媒体としても機能する。尚、受信アンテナ11は、コイルアンテナにより構成されている。そして、エンジン始動制御装置3の送信アンテナ22から送信されてきた蓄電用電波が受信アンテナ11に達すると、電磁誘導により該受信アンテナ11の両端に起電力が生じる。加えて、送信アンテナ22と受信アンテナ11との相互電磁誘導によっても受信アンテナ11の両端に起電力が生じる。蓄電回路18は、これらのように受信アンテナ11の両端に生じる起電力、つまり前記蓄電用電波から得られる電磁波エネルギーを蓄積するためのものである。尚、この蓄電回路18は、コンデンサを主体として構成されている。
そして、このようにして蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーは、電池16が消耗して携帯機2に電池切れが発生している場合のバックアップ電源として活用される。即ち、携帯機2は、このように電池切れが発生した場合にも、受信回路12、マイコン13、送信回路14の各々が、蓄電回路18により蓄積された電磁波エネルギーから電力を得ることにより動作可能となるように構成されている。具体的には、携帯機2において電池切れが発生した場合には、受信回路12、マイコン13、送信回路14の各々は、蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーにより電力が賄われて起動される。
そして、受信回路12は、このようにして起動された場合には、同じく蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーにより電力を賄うことで、受信アンテナ11により受信されたリクエスト信号を復調して受信信号を生成し、その受信信号をマイコン13に出力する。一方、マイコン13は、上記のようにして起動された場合には、同じく蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーにより電力を賄うことで、リクエスト信号の応答信号、つまり携帯機2のIDコードを含む信号を送信回路14に出力する。他方、送信回路14は、上記のようにして起動された場合には、同じく蓄電回路18のコンデンサに蓄積された電磁波エネルギーにより電力を賄うことで、前記リクエスト信号の応答信号を所定周波数(本実施形態では300MHz)の電波に変調して送信アンテナ15を介して送信する。換言すれば、送信回路14は、蓄電回路18により蓄積された電磁波エネルギーが、メモリ13aに記憶されているIDコードを含む信号を送信可能なレベルに達している状態で前記リクエスト信号が送信されてきたことを条件として、該リクエスト信号に応答して前記IDコードを含む信号を送信する。
一方、本実施形態のエンジン始動制御装置3において、送信回路21は、スマートECU28から入力されるリクエスト信号を所定周波数(本実施形態では134KHz)の電波に変調して送信アンテナ22を介して送信する。また、送信回路21は、スマートECU28から入力される蓄電用信号を所定周波数(本実施形態では134KHz)の電波に変調して該蓄電用電波を送信アンテナ22を介して送信する。尚、送信アンテナ22は、運転席のシート直下に配設されたコイルアンテナにより構成されている。そして、リクエスト信号には、対応する携帯機2のみから該リクエスト信号の応答信号を送信させるための特定コードが含まれている一方、蓄電用電波には、該特定コードが含まれていない。そして、送信アンテナ22から送信されるリクエスト信号及び蓄電用電波はいずれも、車内の略全域に及ぶように、且つ車外に漏れないように配慮されている。具体的には、図2に2点鎖線で示す第1領域A1の範囲内にリクエスト信号及び蓄電用電波が択一的に送信されることとする。
本実施形態のスマートECU28のメモリ28aには、対応する携帯機2のIDコードと同一のIDコード(自動車側のIDコード)が記憶されている一方、前記第1実施形態のメモリ28aとは異なり、トランスポンダコードが記憶されていない。
そして、スマートECU28は、ドアカーテシスイッチ70からの検出信号に基づいて、車載ドアが開閉された旨を検出すると、携帯機2とエンジン始動制御装置3との双方向通信を確立させるために、車内の略全域に亘る第1領域A1にリクエスト信号を間欠的に送信する。つまり、スマートECU28は、車載ドアが開閉されたことをトリガとして、通常はスマート制御を実行する。
一方、スマートECU28は、運転者により、携帯機2が用いられることなく、エンジン始動スイッチ50のノブが直接的にスタート位置まで回動されたまま所定時間(本実施形態では5秒間)が経過したことをトリガとして、前記スマート制御からバックアップ制御に切り替えて該バックアップ制御を実行する。そして、スマートECU28は、このバックアップ制御において、蓄電用電波とリクエスト信号との混信を防止するために、蓄電用電波とリクエスト信号とを交互に送信する。
ところで、本実施形態のエンジン始動スイッチ50は、運転者により回動操作可能なノブを備えたロータリスイッチにより構成されている。尚、前記第1実施形態のエンジン始動スイッチ50とは異なり、該ノブには、携帯機2を挿入するためのスマートキー挿入口が凹設されていない。そして、同エンジン始動スイッチ50は、前記第1実施形態のエンジン始動スイッチ50とは異なり、キー検出スイッチ51を備えていない。
次に、エンジンを始動させる場合の動作について説明する。
さて、運転者が車載ドアを開閉して乗車してくると、エンジン始動制御装置3の送信アンテナ22から第1領域A1にリクエスト信号が送信される。つまり、スマートECU28によりスマート制御が実行される。そして、前記リクエスト信号に応答して携帯機2の送信アンテナ15から該携帯機2のIDコードを含む信号が送信されてくると、スマートECU28により、携帯機2のIDコードと自動車側のIDコードとが一致しているか否かが判断される。つまり、スマートECU28によりIDコード照合が実行される。
ここで、運転者が対応する携帯機2を所持している場合には、両IDコードが一致するため、スマートECU28からEFIECU40にエンジン始動許可信号が出力されるとともに、インジケーターランプ60が点灯される。つまり、スマートECU28によりエンジン始動許可制御が実行される。そして、このようにエンジンの始動が許可されている状態で、運転者により、携帯機2が用いられることなく、エンジン始動スイッチ50のノブが直接的にスタート位置まで回動されると、EFIECU40によりセルモータが制御されてエンジンが始動される。
一方、携帯機2に電池切れが発生している場合には、運転者が該携帯機2を所持して車内に進入してきても、スマートイグニッション機能が無効になることからインジケーターランプ60は消灯されたままである。このため、かかる場合には、携帯機2を所持して車内に進入してきた段階で本来点灯される筈のインジケーターランプ60が消灯されたままであることの要因が、携帯機2の電池切れによるものである旨を認識した運転者により、携帯機2が用いられることなく、エンジン始動スイッチ50のノブが直接的にスタート位置まで回動されたまま維持される。
すると、エンジン始動制御装置3の送信アンテナ22から第1領域A1に蓄電用電波が送信される一方、同エンジン始動制御装置3の送信アンテナ22から第1領域A1にリクエスト信号が送信される。詳しくは、蓄電用電波とリクエスト信号とが交互に送信される。つまり、スマートECU28によりバックアップ制御が実行される。そして、上記のように携帯機2の電池切れを認識した運転者により、運転席のシート直下に配設された送信アンテナ22に対して携帯機2が翳される。実際には、運転席のシートに向けて携帯機2が翳される。その後、前記蓄電用電波等に基づいて、やがて携帯機2の蓄電回路18により電磁波エネルギーが蓄積されると、前記リクエスト信号に応答して、携帯機2の送信アンテナ15から該携帯機2のIDコードを含む信号が送信されてくる。すると、スマートECU28により、携帯機2のIDコードと自動車側のIDコードとが一致しているか否かが判断される。つまり、スマートECU28によりIDコード照合が実行される。
そして、該IDコード照合により両IDコードが一致すると、スマートECU28からEFIECU40にエンジン始動許可信号が出力されるとともに、インジケーターランプ60が点灯される。つまり、スマートECU28によりエンジン始動許可制御が実行される。そして、このようにエンジンの始動が許可されている状態で、運転者により、携帯機2が用いられることなく、エンジン始動スイッチ50のノブが直接的にスタート位置まで回動されると、EFIECU40によりセルモータが制御されてエンジンが始動される。
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(6)前記第1実施形態の(1)に記載の作用、効果と同様に、トランスポンダ17を用いない別の手法によりエンジンの始動を許可することができる。
(7)上記(6)に記載したように、トランスポンダ17を用いない別の手法によりエンジンの始動を許可することができることから、トランスポンダ17を有していない携帯機2に電池切れが発生している場合にも、エンジンを始動させることができる。つまり、トランスポンダ17を用いたイモビライザ機能に依存しない好適なスマートキーシステム1を提供することができる。
(8)上記(6)、(7)を換言すれば、携帯機2からトランスポンダ17を省略することが可能である。このようにトランスポンダ17を省略した携帯機2の構成であるが故に、部品点数の減少に伴う携帯機2の低コスト化、携帯機2の小型軽量化に貢献することができる。
(9)上記(8)に加えて、エンジン始動制御装置3から給電回路25、送受信回路26、送受信アンテナ27を省略することが可能である。このように給電回路25、送受信回路26、送受信アンテナ27を省略したエンジン始動制御装置3の構成であるが故に、部品点数の減少に伴うエンジン始動制御装置3の低コスト化、エンジン始動制御装置3の小型軽量化に貢献することができる。ひいては、自動車の低コスト化、小型軽量化、車内スペースの有効活用に大いに貢献することができる。
(10)前記第1実施形態の(3)に記載の作用、効果と同様に、蓄電用電波とリクエスト信号との混信を防止することができる。
(11)前記第1実施形態の(4)に記載の作用、効果と同様に、インジケーターランプ60の点灯による報知に基づいて、エンジンの始動が許可されている旨を運転者に確実に認識させることができる。
(12)特に、蓄電回路18により蓄積された電磁波エネルギーにて電力が賄われたことに基づいて、エンジンの始動が許可されている場合にも、インジケーターランプ60が点灯される。このため、携帯機2に電池切れが発生している場合において、該点灯による報知に基づいて、エンジン始動スイッチ50のノブをスタート位置まで回動させるタイミングを運転者に確実に認識させることができる。つまり、利便性に優れたスマートキーシステム1を提供することができる。
尚、前記第2実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・IDコード照合により両IDコードが一致していないにも拘わらず、つまりエンジンの始動が許可されていないにも拘わらず、エンジン始動スイッチ50のノブがスタート位置まで回動されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御が開始される構成としてもよい。
ここで、スマートイグニッション機能が有効である場合には、対応する携帯機2を車内に持ち込むだけでエンジンの始動が許可される。このため、対応する携帯機2を所持している運転者は、スマートイグニッション機能が有効であることを前提として、エンジン始動スイッチ50のノブをスタート位置まで回動させる操作を行う。一方、携帯機2に電池切れが発生している場合において、インジケーターランプ60が消灯されていることを目視していないことに起因してスマートイグニッション機能が無効である旨を認識していない運転者は、スマートイグニッション機能が有効であるものとして前記操作を行う筈である。換言すれば、スマートイグニッション機能が有効であるか否かに拘わらず前記操作が行われることから、上記の構成によれば、スマートイグニッション機能が無効である場合でも、前記操作が無駄になることなく有効利用される。
・エンジン始動スイッチ50のノブが所定時間(例えば10秒間)以内に所定回数(例えば3回)に亘ってスタート位置まで回動されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御が開始される構成としてもよい。
・ロータリスイッチにより構成されている前記第2実施形態のエンジン始動スイッチ50において、蓄電用電波とリクエスト信号とを交互に送信するための蓄電用位置を設けた構成としてもよい。この場合、エンジン始動スイッチ50のノブが蓄電用位置まで回動されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御が開始される。
尚、ロータリスイッチにより構成されているエンジン始動スイッチ50において、ノブがスタート位置まで回動される場合の該回動方向と、ノブが蓄電用位置まで回動される場合の該回動方向とは、逆方向である構成が好ましい。なぜなら、携帯機2に電池切れが発生している場合を主として蓄電用位置に切り替えられることから、該蓄電用位置は使用頻度が極めて低いものである。従って、上記の好ましい構成とは異なり、回動方向が同一である構成、つまりスマートイグニッション機能を用いてエンジンを始動させる場合において、ノブをスタート位置まで回動させる途中で蓄電用位置を経る構成であれば、エンジン始動操作時にノブの操作長さが延びて煩雑となるからである。換言すれば、回動方向が逆方向である構成にすれば、スマートイグニッション機能を用いてエンジンを始動させる場合において、エンジン始動操作が煩雑化されてしまうことを回避することができる。
・前記第2実施形態とは異なり、運転者により押圧操作可能なボタンを備えたプッシュスイッチにより構成されるエンジン始動スイッチ50を採用してもよい。尚、エンジン始動スイッチ50は、運転者によりボタンが直接的に押圧操作された後、該押圧操作が解除されると、モーメンタリ機能によりボタンが基準位置まで自動復帰する。
そして、スマートイグニッション機能を用いてエンジンを始動させる場合には、エンジンの始動が許可されている状態で、運転者により、携帯機2が用いられることなく、エンジン始動スイッチ50のボタンが基準位置から第1ストロークに亘って押圧操作される。すると、EFIECU40によりセルモータが制御されてエンジンが始動される。
一方、携帯機2に電池切れが発生している場合には、運転者により、携帯機2が用いられることなく、エンジン始動スイッチ50のボタンが基準位置から第1ストロークに亘って直接的に押圧操作されたまま維持される。すると、運転者により、携帯機2が用いられることなく、エンジン始動スイッチ50のボタンが基準位置から第1ストロークに亘って直接的に押圧操作されたまま所定時間(例えば5秒間)が経過したことをトリガとして、スマートECU28によりスマート制御からバックアップ制御に切り替えられて該バックアップ制御が実行される。そして、運転者により、送信アンテナ22に対して、実際には運転席のシートに向けて携帯機2が翳される。その後、エンジンの始動が許可されている状態から、運転者により、携帯機2が用いられることなく、エンジン始動スイッチ50のボタンが基準位置から第1ストロークに亘って直接的に押圧操作されると、EFIECU40によりセルモータが制御されてエンジンが始動される。
・同じくIDコード照合により両IDコードが一致していないにも拘わらず、つまりエンジンの始動が許可されていないにも拘わらず、エンジン始動スイッチ50のボタンが基準位置から第1ストロークに亘って押圧操作されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御が開始される構成としてもよい。
・同じくボタンが所定時間(例えば10秒間)以内に所定回数(例えば3回)に亘って基準位置から第1ストロークに亘って押圧操作されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御が開始される構成としてもよい。
・同じくボタンが基準位置から前記第1ストロークよりも長い第2ストロークに亘って押圧操作されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御が開始される構成としてもよい。
・図3に破線で示すように、蓄電用電波とリクエスト信号とを交互に送信するための蓄電用スイッチ80を前記エンジン始動スイッチ50とは別に配設した構成としてもよい。この場合、蓄電用スイッチ80が操作されたことをトリガとして、スマートECU28によりバックアップ制御が開始される。
・前記第2実施形態において、前記第1実施形態と同様に、携帯機2にトランスポンダ17を追加する一方、エンジン始動制御装置3に給電回路25、送受信回路26、送受信アンテナ27を追加してもよいことは言うまでもない。尚、この場合、前記第1実施形態と同様に、エンジン始動スイッチ50のノブには、携帯機2を挿入するためのスマートキー挿入口を凹設する。そして、同エンジン始動スイッチ50は、前記第1実施形態のエンジン始動スイッチ50と同様に、キー検出スイッチ51を備えることとする。
尚、前記第1実施形態及び前記第2実施形態に共通して、前記各実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・インジケーターランプ60の点灯による報知に代えて又は加えて、音による報知を行う構成としてもよい。
・スマートイグニッション機能に代えて又は加えて、スマートエントリ機能を有するスマートキーシステム1に具体化してもよい。ちなみに、スマートエントリ機能とは、対応する携帯機2を所持している運転者が自動車に近付いて所定領域(例えば、自動車の周辺約0.7m〜1.0mの範囲内)に進入してきた場合に車載ドアのアンロックを許可する機能である。そして、このように車載ドアのアンロックが許可されている状態でドアアウトサイドハンドルに触れると車載ドアがアンロックされる。
さらに、上記各実施形態より把握される技術的思想について、以下にそれらの効果と共に記載する。
〔1〕前記電子キーシステムにおいて、前記作動制御装置は、両IDコードが一致したことに基づいて制御対象の作動が許可されている旨を報知する報知手段を有していること。このように構成すれば、報知手段による報知に基づいて、制御対象の作動が許可されている旨をユーザに確実に認識させることができる。
3…作動制御装置としてのエンジン始動制御装置、21…第2送信手段としての送信回路、26…第3送信手段としての送受信回路、28…制御手段及び切替手段としてのスマートECU、28a…第2記憶手段及び第3記憶手段としてのメモリ、60…報知手段としてのインジケーターランプ。