JP4275439B2 - フルカラー用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法等のフルカラー用トナーに関し、より詳しくは結着樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂を用いたフルカラー用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機、プリンタ等の電子写真法による画像形成装置では、従来の黒色トナーのみを使用したモノクロ画像に加え、イエロー、マゼンタ、シアンの3原色のカラートナーを使用し、更にはそれらカラートナー及び黒色トナーを適宜重ね合わせることにより多彩な色再現を可能とするフルカラー複写機、フルカラープリンタ等が市場でも多く見られる。上記装置において作成されたフルカラー画像はてかりのある光沢度の高いものが多い。
【0003】
一方、熱効率が高く、使用温度が160〜200℃と比較的低く安全性に優れ、また装置の小型化が図れること等から、定着装置としてローラ定着方式が低速機から高速機に亘る画像形成装置において従来から広く採用されている。このローラ定着方式は一般に、圧接させたヒータ内蔵上・下定着ローラの間に転写紙を通し、転写紙が上・下定着ローラを通過する間にトナーを転写紙上に溶融固着させるものである。光沢度は上記した定着温度によって変わってくるものである。
【0004】
また、非磁性1成分用のトナ−に関してではあるが、カラ−化も視野に入れながら低温定着を目指してトナ−用の結着樹脂の分子量分布の改善を図ったものがある(特許文献1参照)
フルカラー画像として写真原稿をきれいに再現するためには、光沢度の高いものが好ましい。
【0005】
また、エネルギーの低減等の要望からより低い定着温度で定着できるトナーも望まれてきている。
【0006】
これまで、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いたフルカラー用トナーでは、上記した高光沢画像が得られるようなものは開発されてきている。
【0007】
一方、環境安定性やコストの観点から結着樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂を使用してフルカラー用トナーを作製することも考えられる。しかしながら、従来使用されてきたスチレン−アクリル系樹脂を使用してフルカラー用トナーを作製した場合、低い光沢しか得ることができず、所望の高光沢画像が得られない。さらに、定着ローラにトナーが付着するといういわゆるオフセットが発生してしまう。
【0008】
【特許文献1】
特開平05−019530
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は結着樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂を使用し、高い光沢を得つつ、オフセットが発生しないフルカラー用トナーを提供することにある。
【0010】
また、特許文献1記載のトナ−では重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、Mw/Mnの値が8以上と高いため後述のようにコ−ルドオフセットが発生するおそれがある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するフルカラー用トナーにおいて、結着樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂を用い、GPCにより測定されるトナーの分子量分布において、少なくとも一つのピークを有し、分子量2×103〜1×104の領域に主成分のピークを有し、かつ分子量が5×102以下の成分のトナー全体に占める割合が20重量%以下であり、分子量が2×105以上の成分のトナー全体に占める割合が7重量%以下であり、重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、Mw/Mnの値が3.6≦Mw/Mn≦5であることを特徴とするフルカラー用トナーが提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
これまで検討されてきたスチレン−アクリル系樹脂を使用したフルカラー用トナーでは光沢度の低い画像しか得られなかった。これに対し、特に原稿が写真などの場合に望まれる高光沢画像を得るためにはトナーの分子量が大きく関わると考えられる。トナーの分子量を低くすればトナーの粘性を下げることができ、高光沢画像が得られるのではないかと考えられるが、単に分子量を低くしても高光沢画像を得ることができず、しかもオフセットが発生することがあった。
【0013】
また、これまで高光沢画像を得ることができた結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用したフルカラー用トナーの特性をそのままスチレン−アクリル系樹脂に適用しても同様の性能を得ることができなかった。
【0014】
そこで本発明者等は、トナーの分子量分布における分布度合やピーク位置によって高光沢画像を得られるのではないかと鋭意検討を重ねた結果、特定の範囲に最も面積の大きいピークが存在し、トナーの分子量分布がブロード(トナー粒子が存在する分子量幅が広範囲なもの)であるかシャープ(トナー粒子が存在する分子量幅が比較的狭いもの)であるかなど特定の分布にすることによって、高光沢画像を得つつ、オフセットが発生しないトナーを得ることができることを見出した。これにより、様々な機械仕様に対応可能となった。
本発明のトナーは、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法、懸濁・乳化重合法等のそれ自体公知の方法で製造し得るが、製造設備や生産性などの点から粉砕分級法が好適に使用できる。かかる粉砕分級法では、結着樹脂及び着色剤、必要により磁性粉や電荷制御剤、離型剤などのトナー組成物をヘンシェルミキサーやV型混合機などで前混合した後、二軸押出機などの溶融混練装置を用いて溶融混練する。この溶融混練物を冷却した後、粗粉砕・微粉砕し、必要によりその後分級して、所定の粒度分布を有するトナー粒子とする。そして必要によりこのトナー粒子の表面を表面処理剤で処理しトナーとする。
【0015】
高品質の画像を得るためには、前記トナーの体積中心粒径は5.0〜12.0μmの範囲であるのが好ましい。
【0016】
本発明の結着樹脂では、スチレン−アクリル系樹脂が使用される。
【0017】
スチレン−アクリル樹脂の基体となる単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロルスチレン、ヒドロキシスチレン等のスチレン誘導体;メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。
【0018】
上記各種単量体の混合物は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等任意の方法で重合し、本発明で使用する結着樹脂とすることができる。かかる重合に際し、使用できる重合開始剤としては過酸化アセチル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の公知の重合開始剤を使用することができる。これら重合開始剤は単量体総重量に対して0.1〜15重量%の範囲で使用するのが好ましい。
【0019】
本発明において、トナーの分子量分布はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて以下のようにして測定される。なお、測定に用いたGPC装置は,東ソ−製のHLC−8220GPCであり,カラムは東ソ−製のTFKgel GMHxl(2連)を用いる。
【0020】
トナー100mgとTHF(テトラヒドロフラン)20mlとを混合し、均一に溶解するまでボールミルなどで攪拌する。その後、遠心分離器にて分離した上澄み液をGPCの試料とする。試料中のトナー濃度は、1〜10mg/mlが好ましい。
【0021】
測定においてはTHFを溶媒として、GPC装置のカラムを40℃で安定化させた後、この温度でカラムに毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の有する分子量分布は、数種の単分散ポリスチレン標準試料を用いて作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出される。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば、分子量500〜100万のポリスチレンなどを用い得る。
【0022】
カラムとしては、スチレン−ジビニルベンゼン系のポリマー系カラムなどを挙げることができる。
【0023】
本発明におけるピークとは極大値又は肩のことである。
【0024】
ここで、本発明における主成分のピークについて、図1を用いて説明する。図1はGPCにより測定された分子量分布図の一例である。この分子量分布図における曲線の極小値及び肩から下へ直線を引く。そうした直線と直線の間の部分をピーク面積もしくは肩の面積とする。図1では1〜6の数字の部分がそれぞれのピーク面積もしくは肩の面積である。本発明では、この面積が最も大きいもののピークを主成分のピークとした。つまり、図1では4におけるピークXが主成分のピークとなる。
【0025】
主成分のピークがあまり高分子領域に存在すると、定着温度が低い場合、トナーが溶け難くなり溶けたトナーと溶けなかったトナーとで凝集力が弱まり、いわゆるコールドオフセットが発生してしまう。また、弾性が強いことから定着画像の表面が粗くなり、画像の光沢度が低くなってしまう。
【0026】
逆に、主成分のピークがあまり低分子領域に存在すると、定着温度が高い場合、トナーの弾性が弱くなり、トナー間の凝集力が弱まって、いわゆるホットオフセットが発生してしまう。
【0027】
また、主成分のピークが存在する分子領域が適当な範囲にあったとしても、それだけでは高光沢画像を得つつ定着温度が高温でも低温でもオフセットしない範囲を広げることはできない。主成分のピークが適当な分子領域に存在したとしても、それよりも低分子領域や高分子領域にあまり多くのトナー粒子が存在してしまうと、定着温度が低温でも高温でも溶け難くなってオフセットが発生しやすくなり、定着可能な温度幅が狭くなってしまう。
【0028】
また、主成分のピークが存在する分子領域が適当な範囲にあり、それより低分子領域にも高分子領域にもトナー粒子があまり存在しなかったり、前記適当な範囲にほとんどトナー粒子が存在するようなものでは、定着温度が高いと溶けすぎてホットオフセットが発生してしまう。
【0029】
上記のような見地を得た発明者らは実験を重ねた結果、少なくとも一つのピークを有し、トナーが分子量2×103〜1×104の領域に主成分のピークを有し、かつ分子量が5×102以下の成分のトナー全体に占める割合が20重量%以下であり、分子量が2×105以上の成分のトナー全体に占める割合が7重量%以下であり、重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、Mw/Mnの値が3.6≦Mw/Mn≦5としたときに、高光沢画像を得つつ所望の定着可能な温度幅を得ることができた。
【0030】
トナーの主成分のピークが分子量2×103〜1×104の領域よりも低い領域にあった場合、光沢度が高くなりすぎたり、ホットオフセットが発生する。トナーの主成分のピークが分子量2×103〜1×104の領域よりも高い領域にあると、光沢度が低くなりすぎたり、コールドオフセットが発生する。
【0031】
分子量が5×102以下の成分のトナー全体に占める割合が20重量%を超えると、ホットオフセットが発生し、分子量が2×105以上の成分のトナー全体に占める割合が7重量%を超えると、コールドオフセットが発生する。
【0032】
また、Mw/Mnの値が3.6より小さいと、ホットオフセットが発生する。Mw/Mnの値が5より大きいと、コールドオフセットが発生する。
【0033】
本発明におけるトナーの分子量分布は、結着樹脂としてのスチレン−アクリル系樹脂の分子量分布を基本となる単量体の分子量で調整したり、トナーを作製する段階の溶融混練の段階で、温度や混練条件を調整するなどによって得ることができる。
【0034】
使用する結着樹脂はガラス転移温度が55〜65℃の範囲のものが好ましい。ガラス転移温度が55℃未満の場合、現像装置やトナーカートリッジ内で固まるおそれがあり、他方65℃を超える場合、紙などの被転写物にトナーが十分に定着しないことがあるからである。
【0035】
結着樹脂中に含有させる着色剤としては、例えば下記のものがある。
ブラックトナー用着色剤:
カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等。
イエロートナー用着色剤:
C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー4、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー93等のアゾ系顔料;黄色酸化鉄、黄土などの無機系顔料;C.I.アシッドイエロー1等のニトロ系染料;C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー21等の油溶性染料等。
マゼンタトナー用着色剤:
C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、C.I.ディスパーズレッド15等。
シアントナー用着色剤:
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25、C.I.ダイレクトブルー86等。
【0036】
上述した着色剤は、定着樹脂100重量部当り、2乃至20重量部、特に4乃至15重量部の量で使用される。
【0037】
また、必要に応じて電荷制御剤を含有させることができる。電荷制御剤としては、これまで公知の電荷制御剤を使用でき、例えば正帯電性電荷制御剤としては、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、カルボキシル基含有脂肪酸変性ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、アミン系化合物、有機金属化合物等を使用でき、負帯電性電荷制御剤としては、オキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、金属錯塩染料やサリチル酸誘導体等を使用できる。
【0038】
また、必要に応じて離型剤を含有させることができる。離型剤としては、従来公知のワックス、例えば、パラフィンワックス、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスや、モンタンワックス、カルナバワックス、蜜蝋、木蝋などがを使用される。
【0039】
これら離型剤は、融点が50乃至140℃、特に70乃至120℃であるのが好ましい。
【0040】
また、これらの離型剤の含有量は、通常、結着樹脂成分100重量部当たり、1乃至20重量部、特に、3乃至10重量部であることが好ましい。
【0041】
また、必要に応じて表面処理剤を使用することができる。表面処理剤としては、トナーの帯電制御性や流動性などを調整するために、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の無機微粉末;ポリメチルメタクリレート等の有機微粉末;ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。表面処理剤の添加量は、トナー粒子当たり0.1〜2.0wt%の範囲が好ましい。当該表面処理剤とトナー粒子との混合は、例えばヘンシェルミキサー、V型混合機、ターブラミキサー、ハイブリタイザー等を用いて行うことができる。
【0042】
本発明のトナーは一成分系現像剤又は二成分系現像剤として用いることができる。二成分系現像剤として用いる場合に使用するキャリアに限定はなく、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体金属及びそれらの合金、あるいは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライトなどのソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライト等の鉄系酸化物及びそれらの混合物等の磁性体材料を焼結及びアトマイズ等を行うことによって製造した磁性体粒子、及び当該磁性体粒子の表面を樹脂被覆したものを使用することができる。
【0043】
キャリアの粒子径は、一般に電子顕微鏡法による粒径で表して30〜200μm、特に40〜150μmのものが好ましい。またキャリアの見掛け密度は、磁性材料を主体とする場合は磁性体の組成や表面構造等によっても相違するが、一般に2.4〜3.0×103kg/m3の範囲が好ましい。
【0044】
【実施例】
参考例1、実施例2、3、参考例4及び比較例1〜6のトナー及び二成分系現像剤を次のようにして作製した。
結着樹脂の製造例1
スチレン70重量部,アクリル酸ブチル30重量部からなるモノマ−溶液を,重合開始剤であるV−59(2,2`−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、和光純薬製)10重量部と溶媒としてのトルエン200重量部が入っている溶液中(コンデンサ−を具備し,トルエンを還流)に3時間かけて滴下した(温度40℃)。滴下終了後重合開始温度を40℃とし、1時間当たり4℃昇温させながら12時間重合反応を行ったトルエンを減圧蒸留して除去し,表1記載の参考例1のトナ−用の結着樹脂No.1を得た。
結着樹脂の製造例2
重合開始剤にV−59を11重量部用い、重合開始温度を60℃とし一定温度で12時間重合反応を行った以外は、製造例1と同様にして表1記載の実施例2のトナ−用の結着樹脂No.2を得た。
結着樹脂の製造例3
重合開始剤にV−59を8重量部用いた以外は製造例1と同様にして表1記載の実施例3のトナ−用の結着樹脂No.3を得た。
結着樹脂の製造例4
重合開始剤にV−59を15重量部用いた以外は製造例2と同様にして表1記載の参考例4のトナ−用の結着樹脂No.4を得た。
結着樹脂の製造例5
重合開始剤にV−65(2,2‘−アゾビス(2.4−ジメチルバレロニトリル)、和光純薬製)を12重量部用いた以外は製造例2と同様にして表1記載の比較例1のトナ−用の結着樹脂No.5を得た。
結着樹脂の製造例6
重合開始剤にV−59を5重量部,V−65を3重量部を混合した混合物を用いた以外は製造例2と同様にして表1記載の比較例2のトナ−用の結着樹脂No.6を得た。
結着樹脂の製造例7
重合開始剤にV−59を15重量部,V−65を3重量部を混合した混合物を用いた以外は製造例2と同様にして表1記載の比較例3のトナ−用の結着樹脂No.7を得た。
結着樹脂の製造例8
重合開始剤にV−65を8重量部用いた以外は製造例1と同様にして表1記載の比較例4のトナ−用の結着樹脂No.8を得た。
結着樹脂の製造例9
重合開始剤にV−59を13重量部,V−65を3重量部を混合した混合物を用いた以外は製造例2と同様にして表1記載の比較例5のトナ−用の結着樹脂No.9を得た。
結着樹脂の製造例10
重合開始剤にV−65を9重量部用いた以外は製造例2と同様にして表1記載の比較例6のトナ−用の結着樹脂No.10を得た。
参考例1
結着樹脂No.1に、電荷制御材として4級アンモニウム塩化合物(P−51、オリエント化学製)3重量部、着色剤としてのシアン顔料(PB15−3、チバガイキ−製)4重量部、及び離型剤としてフィッシャ−トロプシュワックス(FT−100、日本精鑞製)5重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、2軸押出機で溶融混練してトナー用樹脂組成物を調製した。得られたトナー用樹脂組成物を気流式粉砕機で微粉砕し、風力分級機で分級処理し、体積基準での平均粒径が8μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100重量部に対して、表面処理剤としての疎水性シリカ(TG820,キャボット社製)を0.5重量部、酸化チタン(EC−100T,チタン工業製)を0.8重量%を添加し、ヘンシェルミキサーで高撹拌混合してトナーとした。
【0045】
そしてこのトナーをシリコーン樹脂で表面被覆した平均粒径80μmのフェライトキャリヤ(EF−60B,パウダ−テック社製)にトナー濃度が5重量%となるように配合し、均一に攪拌混合して二成分系現像剤とした。
【0046】
なお、得られたトナーの分子量分布は後述する表1に記載する。
実施例2、3、参考例4及び比較例1〜6
上述のようにして製造した結着樹脂を用いて参考例1と同様にしてトナ−を製造した後、参考例1と同様にして二成分現像剤とした。 なお、得られたトナーの分子量分布は後述する表1に記載する。
【0047】
参考例1、実施例2、3、参考例4及び比較例1〜6におけるトナーはそれぞれ分子量分布が異なっているが、これらはスチレン−アクリル系樹脂を作製する基となる単量体の分子量や重合時間を変更するなどで調整したり、トナー作製時の溶融混練の温度や混練条件の変更などで分子量分布を変えている。
【0048】
上記実施例、参考例及び比較例の現像剤についてカラープリンタLS−8000C(京セラ株式会社製)の改造機(現像器の現像剤を上記のようにして作成した現像剤と交換し、定着装置の定着温度を可変できるように改造)を用いて画像形成を行い、定着温度を140℃としたときの光沢度及びオフセット、定着温度を180℃としたときの光沢度及びオフセットについて評価した。
【0049】
上記実施例、参考例及び比較例の評価基準は次のようである。
(画像の光沢度)
定着温度が140℃と180℃での光沢度を測定した。測定にはA4サイズの用紙(富士ゼロックス社製、C2紙、70g紙)を用い短辺を搬送方向とした。測定に用いた画像は用紙の短辺の中点を結ぶ線上に3×3cmのベタ画像を3個、その中心が線上になるように配置し、また中央のベタ画像はその中心を用紙の中心と合わせ、画像の中心間の間隔は10cmとした。ベタ画像のトナ−量は0.7mg/cm2であった。
【0050】
測定は1個のベタ画像に関して3箇所行い、5枚のベタ画像部の平均値を光沢度とした。光沢度の測定はベタ画像部を、JIS−Z8741 60度鏡面光沢度測定法に準じて,グロスメータ(日本電色製PG−1M)を用い入射角60度で測定する。
【0051】
どちらの温度とも光沢度が10以上であった場合は○、一方でも10を下回っていた場合は×とした。なお、表の数値は上記2つの定着温度における測定結果のうち良いい結果となったほうの値である。
(オフセット)
定着温度を140℃と180℃として画像形成を行い、それぞれについて定着ローラにトナーが付着していたかどうかを確認し、オフセットが発生しなかった場合を○、発生した場合を×とした。140℃でのオフセットをコールドオフセットとし、180℃でのオフセットをホットオフセットとした。オフセットの測定にはA4サイズの用紙(富士ゼロックス社製、C2紙、70g紙)を用い短辺を搬送方向とした。測定に用いた画像は用紙の長辺の中点を結ぶ線上に3×3cmのベタ画像を3個、その中心が線上となるように配置し、また、中央のベタ画像はその中心を用紙の中心と合わせ、画像の中心間の間隔は7cmとした。ベタ画像のトナ−量は0.7mg/cm2であった。
【0052】
結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
Mw/Mnが低いと、定着温度180℃の場合に光沢度が高くなりすぎ、ホットオフセットが発生する。Mw/Mnが高いと、定着温度が180℃の場合に光沢度が低くなりすぎ、コールドオフセットが発生する。主成分のピーク分子量が2×103より小さいと光沢度が高くなりすぎ、ホットオフセットが発生する。主成分のピーク分子量が1×104より大きいと、光沢度が低くなりすぎ、コールドオフセットが発生する。分子量が5×102以下の成分の全体に占める割合が20重量%を超えると、光沢度が高くなりすぎ、ホットオフセットが発生する。分子量が2×105以上の成分の全体に占める割合が7重量%を超えると、光沢度が低くなりすぎ、コールドオフセットが発生する。
【0055】
これに対し、本発明では定着温度が140℃と180℃という広い範囲で変更しても、高光沢画像(光沢度10以上)を得ることができ、しかもオフセットが発生しなかった。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のフルカラー用トナーを用いることによって、高い光沢を得つつ、オフセットが発生することのない画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る主成分のピークを説明するための一例であるGPCにより測定された分子量分布図。
Claims (3)
- 少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するフルカラー用トナーにおいて、
結着樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂を用い、
GPCにより測定されるトナーの分子量分布において、少なくとも一つのピークを有し、分子量2×103〜1×104の領域に主成分のピークを有し、かつ分子量が5×102以下の成分のトナー全体に占める割合が20重量%以下であり、分子量が2×105以上の成分のトナー全体に占める割合が7重量%以下であり、重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、Mw/Mnの値が3.6≦Mw/Mn≦5であることを特徴とするフルカラー用トナー。 - 電荷制御剤をさらに含むとともに、当該電荷制御剤が、4級アンモニウム塩化合物であることを特徴とする請求項1に記載のフルカラー用トナー。
- 前記結着樹脂が、モノマー成分を、溶媒中にて重合させて得られてなるスチレン−アクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のフルカラー用トナー。
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