JP4275273B2 - 受信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去する受信機に関し、特に、拡散信号の特性を利用して干渉信号を除去するに際して、干渉信号のレベルが比較的小さい帯域において干渉除去処理により却って生じてしまう受信品質の劣化を防止する受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばDS−CDMA方式を用いた移動通信システムでは、各移動局装置に異なる拡散符号を割り当てることで複数の移動局装置と基地局装置との多重通信を実現している。具体的には、各移動局装置では送信対象となる信号を自己に割り当てられた拡散符号により拡散変調して無線送信する一方、基地局装置では各移動局装置に割り当てられた拡散符号を用いて受信信号を逆拡散することで希望の移動局装置からの信号を復調する。また、同様に、移動局装置では基地局装置からの受信信号を自己に割り当てられた拡散符号により逆拡散することで自己宛の無線信号を復調する。
【0003】
図5には、例えばPN(疑似雑音信号)系列から構成された拡散符号系列の一例を示してある。
同図に示されるように、1単位(1シンボル分)の拡散符号は複数のチップデータ(例えば”1”値と”−1”値の並び)から構成されており、このチップデータの並びのパターンを異ならせることにより複数の異なる拡散符号を生成することができる。ここで、拡散符号は、例えば或る拡散符号を1チップ時間以上ずらすと当該拡散符号との相関がなくなるといった特性を有している。
【0004】
また、同図には、1つのチップデータの時間幅(チップ区間Tc)と1シンボル分の拡散符号の時間幅(ビット区間T)とを示してある。ここで、1シンボル分の拡散符号の時間幅は、送信機(例えば移動局装置や基地局装置)から受信機(例えば基地局装置や移動局装置)へ送信する送信データ(例えば”1”値と”0”値)の時間幅と対応している。すなわち、拡散符号を構成するチップデータの変化速度は、当該拡散符号により拡散変調される送信データの切換速度(シンボル切換速度)に比べて非常に速い速度となっている。
【0005】
ところで、上記のような無線通信では、通信に用いている周波数帯域内に、意図に反して他の(すなわち、CDMA方式以外の)狭帯域信号等が入り混じって干渉を生じさせてしまう場合がある。このような干渉信号が例えばシステム設計時に想定していた雑音等による妨害の程度より大きい場合には、受信機での受信品質が著しく劣化してしまうことが生じる。
【0006】
また、例えば周波数帯域の有効利用を目的として、CDMA方式のように比較的広い周波数帯域を用いて通信する方式とFM(周波数変調)方式等のように狭帯域を用いて通信する方式とにより多重通信を実現することも考えられる。具体的には、例えばCDMA方式による拡散信号の周波数帯域にFM方式等のアナログ通信方式による信号を多重して周波数帯域の有効利用を図ることが原理的には可能である。しかしながら、もしもCDMA受信機が受信信号からFM方式等による信号を除去できないとすると、当該信号と拡散信号とが互いに干渉してしまうため、ビット誤りが増加し、受信品質の劣化を招いてしまう。
【0007】
なお、図6には、CDMA方式による拡散信号とFM方式による信号(FM干渉波)とを含む受信信号のスペクトルの一例を示してあり、横軸は周波数を示し、縦軸はスペクトル強度を示している。
以上のように、CDMA方式による拡散信号の周波数帯域に干渉信号が意図的或いは偶発的に存在してしまうと、CDMA受信機では拡散信号の受信品質が劣化してしまうといった不具合があり、特に、干渉信号のレベルが非常に大きい場合には、CDMA方式による拡散信号を正常に復調することが不可能になってしまうことも生じる。
【0008】
このような不具合に対処するものとして、例えば図7に示す干渉除去回路をCDMA受信機に備えて、当該干渉除去回路により受信信号からFM変調波等の干渉信号を除去することが考えられる。
同図に示した干渉除去回路は、CDMA方式による拡散信号の特性を利用することで、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を抽出して除去することができるものであり、例えば受信信号に複数の干渉信号が含まれる場合にも干渉除去性能を有し、高い電力の狭帯域干渉信号を抽出して優れた干渉除去を実現するものである。また、この干渉除去回路により行われる干渉除去処理は、例えば最小2乗平均誤差法(MMSE)を実現する方法として知られるLMS(Least Mean Square)のアルゴリズムを用いて行われる。
【0009】
なお、同図に示した干渉除去回路は、2つの信号に分配される入力信号の一方を遅延させる遅延素子31と、遅延素子31からの信号と後述するフィルタタップ係数演算制御部34からのフィルタタップ係数とを用いて干渉信号成分を抽出する適応フィルタ32と、抽出された干渉信号成分を前記分配される入力信号の他方から減算して当該減算結果を出力信号とする減算器33と、当該出力信号と遅延素子31からの信号とに基づいてフィルタタップ係数を更新するフィルタタップ係数演算制御部34とから構成されており、これら各構成要素31〜34の詳細については後述する本発明の実施例で述べる。
【0010】
また、上記のような最小2乗平均誤差法を用いたものとして、例えば特開平9−321734号公報に記載されたCDMA干渉除去装置では、各拡散符号相互間に相関が存在する場合に、複数の異なる拡散符号により拡散変調した拡散信号を多重通信するに際して、受信信号から希望の拡散信号以外の拡散信号(すなわち、希望の拡散信号にとっては干渉信号)を除去する構成が開示されており、この干渉除去の仕方として、最小2乗平均誤差法が用いられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば上記図7に示したような干渉除去回路を備えたCDMA受信機では、CDMA方式による拡散信号や白色性の熱雑音信号や周囲雑音信号(白色雑音信号)等の広帯域な信号成分に対して狭帯域な干渉信号成分が十分に支配的な(すなわち、十分にレベルが大きい)伝搬路環境では干渉信号成分の抽出性能を有しているものの、逆に、狭帯域な干渉信号成分が支配的でなく干渉電力が低い受信環境(すなわち、干渉レベルが小さい受信環境や白色雑音レベルが大きい受信環境)では、干渉除去処理を行うことによって却って当該処理を行わない場合と比べて受信誤り率の特性を劣化させてしまい、受信品質を劣化させてしまうといった不具合があった。
【0012】
具体的に、図8には、上記のような誤り率特性の劣化の一例を示してあり、同図のグラフの横軸は1つの干渉信号(干渉波1波)当りのD/U((希望のCDMA拡散信号の電力)/(狭帯域干渉信号の電力))[dB]を示し、縦軸はCDMAユーザ(移動局装置)におけるBER(ビット誤り率)を示している。同図のグラフには、干渉除去処理を行わない場合(“除去回路なし”)の特性例と、1つの干渉信号が受信信号に含まれていて干渉除去処理を行う場合(“干渉波1波”)の特性例と、2つの干渉信号が受信信号に含まれていて干渉除去処理を行う場合(“干渉波2波”)の特性例と、4つの干渉信号が受信信号に含まれていて干渉除去処理を行う場合(“干渉波4波”)の特性例とが示されており、各干渉信号の電力は全て等しいものとしてある。
【0013】
同図に示されるように、上記したD/Uが比較的小さい場合(すなわち、干渉信号電力が希望CDMA拡散信号電力と比べて十分に大きい場合)には上記図7に示したような干渉除去回路により干渉除去処理を行うことで誤り率特性を向上させることができるが、逆に、上記したD/Uが比較的大きい場合(すなわち、干渉信号電力が希望CDMA拡散信号電力と同程度或いはそれより小さい場合)には当該干渉除去処理を行うことで却って誤り率特性が劣化してしまうことが生じる。
【0014】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、CDMA方式により拡散変調される拡散信号の特性を利用して、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去するに際して、例えば干渉信号のレベルが比較的小さい帯域において当該干渉除去処理により却って生じてしまう受信品質の劣化を防止し、これにより、受信品質を向上させることができる受信機を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る受信機では、次のようにして、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去する。
すなわち、選択手段が受信信号の帯域を分割して得られる複数の帯域の中で信号レベルが所定値より大きい帯域を選択し、選択された各帯域(1或いは複数の帯域)に関して、時間差手段が受信信号を構成する当該帯域の信号を分配して得られる2つの信号間に拡散符号の1チップ分以上の時間差を与え、抽出手段が時間差を与えた2つの信号間で相関のある信号成分を干渉信号成分として抽出し、除去手段が抽出した干渉信号成分を受信信号から除去する。
【0016】
従って、必ずしも受信信号の全帯域に関して干渉除去処理が行われるのではなく、例えば信号レベルが所定値より大きい帯域のみに関して干渉除去処理が行われるため、干渉信号のレベルが比較的小さい帯域(すなわち、信号レベルが所定値より小さい帯域)において干渉除去処理により却って生じてしまう受信品質の劣化を防止することができ、これにより、受信品質を向上させることができる。
【0017】
なお、信号レベルが所定値と等しい帯域に関しては、干渉除去処理が行われる構成が用いられてもよく、干渉除去処理が行われない構成が用いられてもよい。また、所定値としては、例えば信号レベルが当該所定値より大きければ比較的大きい干渉信号(すなわち、干渉除去処理により却って受信品質を劣化させてしまうことが生じない程度の大きさの干渉信号)を含んでいるものとみなすことができる程度の値が設定されるのが好ましく、例えば通信環境や受信機の性能や要求される受信品質等のシステム状況に応じて任意に設定されればよい。
【0018】
また、上記した時間差手段と抽出手段と除去手段によると、選択された各帯域に関して、受信信号中の拡散信号は1チップ分以上の時間差が与えられることにより前記2つの信号間での相関がなくなる一方、FM変調波等の干渉信号は通常チップデータに比べて緩やかに変化することから前記2つの信号間で相関を有するため、このような干渉信号を抽出して受信信号から除去することができ、このような干渉除去処理により、受信品質の劣化を防ぎ、受信品質を向上させることができる。このように、本発明では、拡散信号の特性(上記した無相関性)を利用することで、例えば無線伝送路で加わった相関性のある干渉信号を抽出して除去することができる。
【0019】
なお、本発明により抽出して除去することが可能な干渉信号としては、必ずしもFM変調波に限られず、要は、時間差を与えた場合に拡散信号に比べて高い相関性を有するもの、すなわち、受信信号に時間差を与えて前記2つの信号間で拡散信号の相関成分をなくした場合においても相関成分を有するものであればよい。具体的には、例えばCDMA方式以外のTDMA方式やFDMA方式等による信号を干渉信号とみなして除去することも可能である。
【0020】
また、上記した1チップ分以上の時間差とは、前記2つの信号間で拡散信号の相関成分をなくすことができる程度の時間差であって、且つ、前記2つの信号間で除去しようとする干渉信号の相関成分を残すことができる程度の時間差のことである。
【0021】
また、上記のような受信機の具体的な構成例として、本発明に係る受信機では、次のようにして、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去する。
すなわち、分割手段が受信信号を分配して得られる2つの信号の一方を複数の帯域の信号に分割し、再構成手段がこれら帯域分割された複数の分割信号の中でレベルが所定値より大きい信号を残存させた受信信号と同じ帯域幅の信号を再構成し、時間差手段が受信信号を分配して得られる他方の信号と再構成される信号(再構成信号)との間に拡散符号の1チップ分以上の時間差を与え、抽出手段が時間差を与えた2つの信号間で相関のある信号成分を干渉信号成分として抽出し、除去手段が抽出した干渉信号成分を受信信号から除去する。
【0022】
従って、必ずしも受信信号の全帯域に関して干渉除去処理が行われるのではなく、例えば前記複数の分割信号の中でレベルが所定値より大きい信号を残存させるとともに他の分割信号の帯域にはゼロレベルの信号(無信号)を割り当てた信号が受信信号と同じ帯域幅の信号として再構成されて干渉除去処理に用いられるため、上記と同様に、干渉信号のレベルが比較的小さい帯域において干渉除去処理により却って生じてしまう受信品質の劣化を防止することができ、これにより、受信品質を向上させることができる。
【0023】
なお、上記の具体的な構成例では、再構成信号と受信信号との間に時間差を与えてこれら2つの信号間で相関のある信号成分を干渉信号成分として抽出する構成を示したが、例えば2つの再構成信号を生成してこれら2つの再構成信号間に時間差を与えてこれら2つの信号間で相関のある信号成分を干渉信号成分として抽出する構成を用いることも可能である。この場合、例えば受信信号を分配して得られる2つの信号のそれぞれに分割処理や再構成処理を施して2つの再構成信号を生成する構成を用いることもでき、また、例えば受信信号に分割処理や再構成処理を施して再構成信号を生成した後に当該再構成信号を2つの信号に分配する構成を用いることもできる。
【0024】
また、上記の具体的な構成例では、帯域分割された複数の分割信号の中でレベルが所定値より大きい信号を残存させた受信信号と同じ帯域幅の信号を再構成して当該帯域幅の再構成信号を用いて干渉除去処理を行ったが、例えば信号レベルが所定値より大きい各帯域毎に別々に干渉除去処理を行う構成を用いることも可能である。
【0025】
また、上記のような受信機の更に具体的な構成例として、本発明に係る受信機では、次のようにして、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去する。
すなわち、分割手段が受信信号を複数の帯域の信号に分割し、再構成手段がこれら帯域分割された複数の分割信号の中でレベルが所定値より大きい信号を残存させた受信信号と同じ帯域幅の信号を再構成し、再構成された信号の値を再構成信号値として、算出手段が連続する複数の時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルと所定のタップ係数ベクトルとの内積値を算出し、減算手段が対象時刻の受信信号値から当該対象時刻に比べて拡散符号の1チップ分以上の所定時間ずれた連続する複数の時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルを用いて算出手段により算出される内積値を減算し、更新手段が設定された規則に従って減算手段の減算結果に応じてタップ係数ベクトルを順次更新することにより、対象時刻の進みに応じて算出手段により算出される内積値を干渉信号値に近づける。
【0026】
従って、上記と同様に、必ずしも受信信号の全帯域に関して干渉除去処理が行われるのではなく、例えば前記複数の分割信号の中でレベルが所定値より大きい信号のみを残存させた信号が再構成されて干渉除去処理に用いられるため、干渉信号のレベルが比較的小さい帯域において干渉除去処理により却って生じてしまう受信品質の劣化を防止することができ、これにより、受信品質を向上させることができる。
【0027】
また、上記した算出手段と減算手段と更新手段によると、対象時刻の受信信号値から減算される内積値が当該対象時刻に比べて1チップ分以上の時間ずれた時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルを用いて算出されるため、上記した無相関性を有する拡散信号が当該内積値として抽出されてしまわないようにする一方、比較的相関性の高いFM変調波等の干渉信号が当該内積値として抽出されるようにすることができ、これにより、受信信号値から当該内積値を減算することで受信信号から干渉信号を除去して、受信品質を向上させることができる。
【0028】
なお、上記した1チップ分以上の所定時間とは、例えば上記した1チップ分以上の時間差の意味と同様に、拡散信号の相関成分をなくすことができる程度の時間であって、且つ、除去しようとする干渉信号の相関成分を残すことができる程度の時間のことである。具体的には、例えば1チップ分以上の所定時間として1チップ分の時間を用いることもでき、また、例えば1チップ分の時間に比べて長い時間を用いることもできる。
【0029】
また、上記のようなタップ係数ベクトルの一例として、受信機では、次のようにして、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去する。
すなわち、分割手段が受信信号を複数の帯域の信号に分割し、再構成手段がこれら帯域分割された複数の分割信号の中でレベルが所定値より大きい信号を残存させた受信信号と同じ帯域幅の信号を再構成し、再構成された信号の値を再構成信号値として、算出手段が連続する複数の時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルと所定のタップ係数ベクトルとの内積値を算出し、減算手段が対象時刻の受信信号値から当該対象時刻及び当該対象時刻の前後の連続する複数の時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルを用いて算出手段により算出される内積値を減算し、更新手段がタップ係数ベクトルの成分の中で対象時刻の再構成信号値に対応する成分をゼロとするとともに当該対象時刻からのずれが拡散符号の1チップ分以上の所定の時間以内である時刻の再構成信号値に対応する成分をゼロとした規則に従って減算手段の減算結果に応じてタップ係数ベクトルを順次更新することにより、対象時刻の進みに応じて算出手段により算出される内積値を干渉信号値に近づける。
【0030】
このような受信機では、上記した再構成信号ベクトルを構成する再構成信号値の中でタップ係数ベクトルのゼロ以外の成分と対応する再構成信号値、すなわち、対象時刻に比べて1チップ分以上の時間進んだ時刻の再構成信号値と対象時刻に比べて1チップ分以上の時間遅れた時刻の再構成信号値との両方を用いて干渉信号値(上記した内積値)を算出しているため、例えば上記した本発明の請求項3に係る受信機のように対象時刻に比べて1チップ分以上の時間進んだ再構成信号値のみ或いは遅れた再構成信号値のみを用いて干渉信号値を算出する場合と比べて、干渉除去の精度を高めることができる。
【0031】
ここで、以上では、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去する場合を示したが、帯域分割により得られる複数の帯域の中で信号レベルが所定値より大きい帯域のみ(或いは所定値以上の帯域のみ)に関して干渉除去処理を行うという思想は、例えばCDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号のI成分及びQ成分から当該干渉信号を除去するような受信機にも適用することが可能なものである。具体的には、例えば比較的大きい干渉信号が含まれているものとみなすことができる程度の信号レベルを有する帯域のみに関して、I成分及びQ成分の干渉除去処理が行われればよい。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施例に係る受信機を図面を参照して説明する。
なお、本例に係る受信機の要部は受信信号から干渉信号を除去する構成であるため、以下では、主として当該構成について説明する。
図1には、本発明に係る受信機に備えられる干渉除去回路の一例を示してあり、この干渉除去回路には、入力される受信信号r(t)の帯域を分割して得られる複数の帯域の中で信号レベルが所定値より大きい帯域を選択する帯域選択部1と、後述するフィルタタップ係数演算制御部4からのタップ係数制御信号に従って帯域選択部1からの出力信号z(t)から干渉信号成分を抽出する適応フィルタ(適応FIRフィルタ)2と、受信信号r(t)から当該干渉信号成分を除去する減算器3と、減算器3からの出力信号と帯域選択部1からの出力信号z(t)とに基づくタップ係数制御信号を適応フィルタ2へ出力するフィルタタップ係数演算制御部4とが備えられている。
【0033】
まず、帯域選択部1の構成例や動作例を説明する。
なお、帯域選択部1に入力される信号r(t)は上記のように受信機により受信されて干渉除去回路に入力される信号r(t)であり、この入力信号r(t)には、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と共に例えば狭帯域を用いた通信方式による複数の干渉信号(例えばFM変調信号)が含まれているとする。なお、tは時刻を示しており、本例では1サンプル時間を最小単位とする整数の離散値であるとする。
【0034】
上記図1に示されるように、本例の帯域選択部1は、N(Nは2以上の整数)個の帯域N分割フィルタX1〜XNを備えた帯域分割フィルタバンク11と、帯域選択回路12と、N個の帯域再構成フィルタY1〜YNを備えた帯域再構成フィルタバンク13と、加算器14とから構成されている。
【0035】
帯域分割フィルタバンク11は、N個の帯域N分割フィルタX1〜XNを用いて、入力信号r(t)をN個の周波数帯域の信号に分割し、これら帯域分割した複数の分割信号を帯域選択回路12へ出力する機能を有している。なお、帯域分割フィルタバンクの詳細が、例えば「ディジタル信号処理シリーズ第14巻「マルチレート信号処理」貴家仁志著 昭晃堂p.89〜p.127」(以下、文献1と言う)に記載されており、当該帯域分割フィルタバンクを例えば多段に接続することで帯域をN(この場合にはNは2のべき乗)分割することが可能である。
【0036】
帯域選択回路12は、帯域分割フィルタバンク11から出力されるN個の分割信号を入力し、これらN個の分割信号の中で受信電力レベルが所定値より大きい分割信号の帯域については当該分割信号をそのまま帯域再構成フィルタバンク13へ出力する一方、受信電力レベルが当該所定値以下である分割信号の帯域については無信号(ゼロレベルの信号)を帯域再構成フィルタバンク13へ出力する機能を有している。なお、本例の帯域選択回路12は例えばロジック回路から構成されており、スイッチ等を用いて上記の処理を実現している。
【0037】
また、本例では、分割された各帯域内の信号電力レベルの総和値を上記した各帯域の分割信号の受信電力レベルとして用いており、このような受信電力レベルが或る値より大きいときに当該受信電力レベルを有する分割信号に比較的大きい干渉信号が含まれているものとみなすことができるような当該値が上記した所定値として例えば予め受信機に設定されている。
【0038】
帯域再構成フィルタバンク13は、帯域選択回路12から出力されるN個の帯域の信号(各帯域毎に分割信号或いは無信号)を入力し、N個の帯域再構成フィルタY1〜YNを用いて、これらN個の信号をフィルタリングして加算器14へ出力する機能を有している。また、加算器14は帯域再構成フィルタバンク13から出力されるN個の信号を合成して上記した元の入力信号r(t)と同じ帯域幅の信号を再構成し、再構成した信号(再構成信号)を適応フィルタ2及びフィルタタップ係数演算制御部4へ出力する機能を有している。なお、上記した文献1に示されるように、帯域再構成フィルタバンクでは、N個の帯域に分割された信号を完全に元の帯域の信号に再構成することが可能である。
【0039】
ここで、図2には、上記のような構成からなる帯域選択部1により処理される信号の具体例を示してあり、同図(a)〜同図(d)に示したグラフの横軸は周波数(f)を示し、縦軸はスペクトル強度(受信電力レベル)を示している。
まず、同図(a)には、帯域分割フィルタバンク11に入力される信号r(t)の一例を示してあり、この信号r(t)はCDMA拡散信号に複数(本例では4つ)の狭帯域干渉信号が混じった受信信号である。
【0040】
次に、同図(b)には、入力信号r(t)を帯域分割フィルタバンク11によりN個の帯域の信号に分割した場合の分割信号の一例を示してある。
次いで、同図(c)には、帯域選択回路12から出力されるN個の信号の一例を示してある。同図(c)に示されるように、受信電力レベルが所定値より大きい帯域(本例では4つの帯域)の分割信号のみが選択されて出力されるとともに、受信電力レベルが当該所定値以下である帯域については無信号が出力される。
【0041】
そして、同図(d)には、帯域再構成フィルタバンク13及び加算器14により帯域合成された後の再構成信号の一例を示してある。同図(d)に示されるように、狭帯域干渉信号が含まれるとみなされる帯域の分割信号のみが再構成信号中に残存させられる。一方、狭帯域干渉信号以外のCDMA拡散信号や白色性の雑音信号については、当該狭帯域干渉信号と近い周波数位置(すなわち、同じ帯域内)にある成分を除いては、そのほとんどが除去されて再構成信号中に残存させられないようにすることが実現されている。
【0042】
以上のように、本例の受信機に備えられた帯域選択部1では、入力信号r(t)を帯域分割して得られる複数の分割信号の中で受信電力レベルが所定値より大きい信号を残存させるとともに他の分割信号の帯域には無信号を割り当てて構成した再構成信号が、前記入力信号r(t)と同じ帯域幅の信号として、適応フィルタ2やフィルタタップ係数演算制御部4へ出力される。
【0043】
従って、本例の受信機では、必ずしも受信信号の全帯域に関して干渉除去処理が行われるのではなく、受信電力レベルが所定値より大きい帯域のみ(すなわち、比較的大きい干渉信号が存在するとみなされる帯域のみ)に関して干渉除去処理が行われるため、干渉信号の受信電力レベルが当該所定値以下である帯域(すなわち、比較的大きい干渉信号が存在しないとみなされる帯域)において干渉除去処理により却って生じてしまう受信品質の劣化を防止することができ、これにより、受信品質を向上させることができる。
【0044】
このため、本例の受信機では、例えば狭帯域干渉信号の受信電力によらずに、受信信号に含まれる干渉信号成分を従来と比べて精度よく適応フィルタ2により抽出して受信信号から除去することができ、これにより、例えば雑音成分や歪み成分を付加することなく、精度のよいCDMA拡散信号を干渉除去後の出力信号e(t)として出力することができる。
【0045】
ここで、本例では、上記した帯域選択部1の機能により、本発明に言う受信信号の帯域を分割して得られる複数の帯域の中で信号レベルが所定値より大きい帯域を選択する選択手段が構成されている。なお、本例では、信号のレベルとして上記した受信電力レベルを用いたが、本例のように各帯域毎に干渉信号が含まれているか否かを判定することができるようなものであれば、どのような信号レベルが用いられてもよく、例えば信号の振幅レベルを用いることも可能である。
【0046】
また、本例では、受信信号r(t)が帯域選択部1により処理されて出力信号z(t)として出力されるに際して当該出力信号z(t)には受信信号r(t)と比べて拡散符号の1チップ分の時間幅以上の遅延が生じさせられており、このような時間差を当該出力信号z(t)と受信信号r(t)との間に与える機能により、本発明に言う選択された各帯域に関して受信信号を構成する当該帯域の信号を分配して得られる2つの信号間に拡散符号の1チップ分以上の時間差を与える時間差手段や、本発明に言う受信信号を分配して得られる他方の信号と再構成される信号との間に拡散符号の1チップ分以上の時間差を与える時間差手段が構成されている。なお、この時間差としては、例えば上記した出力信号z(t)と受信信号r(t)との間で拡散信号の相関成分をなくすことができ、且つ、除去しようとする干渉信号の相関成分を残すことができる程度の値に予め設定されている。
【0047】
また、本例では、上記した帯域分割フィルタバンク11の機能により、本発明に言う受信信号を分配して得られる2つの信号の一方を複数の帯域の信号に分割する分割手段や、本発明に言う受信信号を複数の帯域の信号に分割する分割手段が構成されている。ここで、帯域分割数Nとしては、例えば当該分割数Nが大きいほど狭帯域干渉信号の抽出精度が高くなるため好ましいが、反面、回路規模や処理遅延が増大することが生じ得るため、これらを比較考量して適当な数に設定されればよい。なお、通常の態様としては、分割数Nとしては例えば2〜32程度の整数値が用いられる。
【0048】
また、本例では、上記した帯域選択回路12や帯域再構成フィルタバンク13や加算器14の機能により、本発明に言う帯域分割された複数の分割信号の中でレベルが所定値より大きい信号を残存させた受信信号と同じ帯域幅の信号を再構成する再構成手段が構成されている。
【0049】
次に、適応フィルタ2や減算器3やフィルタタップ係数演算制御部4の構成例や動作例を説明する。
なお、上記図1に示した干渉除去回路では、入力される受信信号r(t)が2つの信号に分配されて、一方の入力信号r(t)が上記した帯域選択部1に入力される一方、他方の入力信号r(t)が減算器3に入力される。また、帯域選択部1から出力される出力信号z(t)は、上記したように一部(或いは干渉信号の受信状況によっては全部)の帯域の分割信号のみが残存させられているといった点を無視すれば、例えばr(t−τ)と表すことができ、以下では、説明の便宜上から、当該出力信号z(t)をr(t−τ)と示して説明する。ここで、τは帯域選択部1により与えられる遅延時間である。
【0050】
図3には、適応フィルタ2の構成例を示してある。
同図に示した適応フィルタ2には、例えば直列に並べられた(n−1)個の記憶素子S1〜Sn-1から構成されるシフトレジスタと、n個の乗算器J1〜Jnと、(n−1)個の加算器K1〜Kn-1とが備えられている。なお、nはフィルタタップ数である。
【0051】
シフトレジスタには帯域選択部1から出力される信号r(t−τ)が入力され、この信号が複数の記憶素子S1〜Sn-1に時系列的に格納される。また、各記憶素子S1〜Sn-1に格納される信号は順次後続する記憶素子へシフトされていく。
具体的に、例えばシフトレジスタに入力される信号r(t−τ)の当該シフトレジスタ内における系列u(t)は式1で示される。ここで、u(t)はベクトルである。
なお、本明細書では、信号等を表すものとして用いる記号がベクトルである旨や行列である旨を示さない場合には、当該記号はスカラーであるとする。
【0052】
【数1】
【0053】
ここで、信号r1は或る時刻にシフトレジスタに入力される信号であり、いずれの記憶素子S1〜Sn-1も通過せずに乗算器J1へ出力される信号である。また、信号r2〜rnはそれぞれ当該時刻に各記憶素子S1〜Sn-1から出力される信号であり、それぞれ各乗算器J2〜Jnへ出力される信号である。
【0054】
各乗算器J1〜Jnにはそれぞれ上記した各信号r1〜rnが入力されるとともに、後述するフィルタタップ係数演算制御部4からの各タップ係数制御信号h1〜hnが入力され、各乗算器J1〜Jnでは入力した2つの信号を乗算して(すなわち、各信号r1〜rnを各タップ係数制御信号h1〜hnで重み付けして)当該乗算結果を加算器K1〜Kn-1へ出力する。
ここで、フィルタタップ係数演算制御部4から出力されるフィルタタップ係数系列h(t)は式2で示される。なお、h(t)はベクトルである。
【0055】
【数2】
【0056】
また、各乗算器J1〜Jnから出力される乗算結果は加算器K1〜Kn-1により総和され、当該総和結果が適応フィルタ2から出力される。ここで、後述するように本例のフィルタタップ係数系列h(t)は、当該総和結果が受信信号中に含まれる干渉信号成分と同じ信号となるように、フィルタタップ係数演算制御部4により逐次更新される。
具体的に、適応フィルタ2から出力される信号(すなわち、上記した総和結果)FM(t)は式3で示される。ここで、式3中のΣは和を表している。
【0057】
【数3】
【0058】
なお、本明細書で用いる記号“*”は、当該記号の前後に配置される記号がそれぞれスカラーであるかベクトルであるか行列であるかに応じて、例えばスカラー同士の乗算や、ベクトル同士の乗算や、行列同士の乗算や、スカラーとベクトルとの乗算や、スカラーと行列との乗算や、ベクトルと行列との乗算を示す。特に、ベクトル同士の乗算は、2つのベクトルの内積値を算出する演算を表している。
【0059】
上記のようにして適応フィルタ2では、フィルタタップ係数演算制御部4からのタップ係数制御信号に応じて、帯域選択部1から入力した遅延信号r(t−τ)から上記した干渉信号成分を抽出し、干渉波抽出信号FM(t)として減算器3へ出力する。
本例では、上記した適応フィルタ2の機能により、本発明に言う(帯域選択部1により)再構成された信号の値を再構成信号値として、連続する複数の時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルと所定のタップ係数ベクトルとの内積値を算出する算出手段が構成されている。なお、本例では、上記したu(t)が連続する複数の時刻の再構成信号値r1〜rnから成る再構成信号ベクトルに相当し、上記したh(t)がタップ係数ベクトルに相当し、上記したFM(t)が内積値に相当する。
【0060】
減算器3は遅延していない入力信号r(t)と適応フィルタ2からの出力信号FM(t)とを入力し、当該入力信号r(t)から当該出力信号FM(t)を減算して当該減算結果e(t)を出力する機能を有している。
ここで、上記した減算結果e(t)は本例の干渉除去回路から出力される信号であり、式4で示される。
【0061】
【数4】
【0062】
本例では、後述するフィルタタップ係数演算制御部4からのタップ係数制御信号が逐次更新されることで、上記した干渉波抽出信号FM(t)が受信信号中の干渉信号と同じ信号となるため、上記した減算結果e(t)は受信信号から当該干渉信号を除去した信号、すなわちCDMA方式による拡散信号となる。
【0063】
フィルタタップ係数演算制御部4には帯域選択部1から出力される信号r(t−τ)と減算器3から出力される信号e(t)とが入力され、フィルタタップ係数演算制御部4はこれらの信号を用いて、適応フィルタ2から出力される信号FM(t)が干渉信号成分と同じ信号になるようなタップ係数制御信号を演算し、演算したタップ係数制御信号を適応フィルタ2へ出力する機能を有している。
【0064】
本例のフィルタタップ係数演算制御部4では例えばLMS(Least Mean Square)やRLS(Recursive Least Square)等のアルゴリズムを用いて上記したタップ係数制御信号を演算することができ、本例では一例として、LMSアルゴリズムを用いた場合を説明し、また、RLSアルゴリズムを用いた場合についても後述する。
まず、LMSの一般式を説明する。
LMSの更新式は一般に式5で示される。
【0065】
【数5】
【0066】
ここで、h(t)は時刻tにおけるフィルタタップ係数系列であり、μは収束の時間や精度に関係する係数であるステップサイズパラメータであり、e(t)は時刻tにおけるエラー信号であり、u(t)は時刻tにおける入力信号系列である。
また、上記したエラー信号e(t)は一般には式6で示される。
【0067】
【数6】
【0068】
ここで、d(t)は通常ユニークワードやトレーニング信号と呼ばれるものであり、送信側と受信側とで予め定められた既知の信号が用いられる。上記式5や上記式6を用いた演算アルゴリズムでは、フィルタタップ係数系列を逐次更新することで、エラー信号e(t)を0に収束させることができる。
【0069】
次に、上記のLMSアルゴリズムを本例に当てはめた場合を説明する。
上記した式5を本例の場合に当てはめると、h(t)はフィルタタップ係数演算制御部4から適応フィルタ2へ出力されるフィルタタップ係数系列であり、u(t)は帯域選択部1からフィルタタップ係数演算制御部4へ出力される信号系列(上記式1に示したもの)である。
また、本例では、上記したエラー信号e(t)として減算器3から出力される信号(上記式4に示したもの)を用いており、これが本例の干渉除去回路における特徴点の一つとなっている。
【0070】
まず、仮に、分配された一方の入力信号r(t)が帯域選択部1により遅延させられずに時間差が生じさせられないとした場合を考えると、上記した演算アルゴリズムはエラー信号e(t)を0に近づけるため、減算器3から出力される信号e(t)は0に収束し、受信信号中の干渉信号ばかりでなくCDMA方式による拡散信号までをも除去するフィルタタップ係数系列h(t)が生成されてしまう。
【0071】
一方、本例では上記した帯域選択部1により前記入力信号r(t)に遅延が与えられて時間差が生じさせられているため、帯域選択部1からフィルタタップ係数演算制御部4に入力される信号r(t−τ)と減算器3を介してフィルタタップ係数演算制御部4に入力される信号e(t)との間には遅延時間τの時間差がある。
【0072】
ここで、例えばCDMA方式による拡散信号r(t)と当該信号に比べて1チップ時間以上遅延した拡散信号r(t−τ)とは無相関の信号となるため、上記した演算アルゴリズムではエラー信号e(t)を0に収束させようとする場合に、u(t)の拡散信号成分はr(t)と無相関になっていることから誤差e(t)となって残る。一方、チップデータに比べて時間的に緩やかに変動する干渉信号成分は例えば数チップ時間程度の遅延があっても相関を有するため、当該干渉信号成分のみを受信信号から除去することができるフィルタタップ係数系列h(t)が生成される。
【0073】
すなわち、本例に適用した上記の演算アルゴリズムでは、u(t)とe(t)とで相関のある成分(すなわち、干渉信号成分)を適応フィルタ2からの出力信号中に残す一方、相関のない成分(すなわち、拡散信号成分)については適応フィルタ2からの出力信号中に残さないようなフィルタタップ係数系列h(t)を生成することができる。
このような演算アルゴリズムにより、本例の適応フィルタ2では受信信号中の干渉信号成分のみを抽出して減算器3へ出力することができ、減算器3では受信信号から干渉信号成分のみを除去した信号(すなわち、CDMA方式による拡散信号)を出力することができる。
【0074】
本例では、上記したフィルタタップ係数演算制御部4からのタップ係数制御信号により適応フィルタ2が受信信号中の比較的相関のある干渉信号成分を抽出する機能により、本発明に言う時間差を与えた2つの信号間で相関のある信号成分を干渉信号成分として抽出する抽出手段が構成されている。
【0075】
また、本例では、上記した減算器3の機能により、本発明に言う抽出した干渉信号成分を受信信号から除去する除去手段、及び、対象時刻の受信信号値から当該対象時刻に比べて拡散符号の1チップ分以上の所定時間ずれた連続する複数の時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルを用いて算出手段により算出される内積値を減算する減算手段が構成されている。なお、本例では、上記したr(t)が対象時刻の受信信号値に相当し、上記したu(t)が対象時刻に比べて拡散符号の1チップ分以上の所定時間ずれた連続する複数の時刻の再構成信号値r(t−τ)〜r(t−τ−n+1)から成る再構成信号ベクトルに相当し、減算手段では対象時刻の受信信号値r(t)から上記した内積値FM(t)を減算している。
【0076】
また、本例では、上記したフィルタタップ係数演算制御部4の機能により、設定された規則に従って減算手段の減算結果に応じてタップ係数ベクトルを順次更新することにより、対象時刻の進みに応じて算出手段により算出される内積値を干渉信号値に近づける更新手段が構成されている。なお、本例では、設定された規則としてLMSアルゴリズムを用いており、上記したe(t)が減算手段の減算結果に相当する。また、本例のようにLMSアルゴリズム等を用いた場合には、タップ係数ベクトルh(t)が対象時刻tの進みに応じて順次更新されることにより、上記した内積値FM(t)が次第に干渉信号値に近づいていく。
【0077】
以上のように、本例の受信機では、拡散信号の特性を利用することで、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去することができ、これにより、受信品質の劣化を防ぎ、受信品質を向上させることができる。
【0078】
なお、本例では好ましい態様として上記図1に示したように減算器3から出力される信号を遅延させない構成を示したが、例えば後述する第2実施例の説明で用いられる図4に示すように減算器13に入力される受信信号を遅延素子21により遅延させて、適応フィルタ23やフィルタタップ係数演算制御部25に入力される再構成信号と比べて更に遅延させるような構成によっても上記と同様な効果を得ることができる。ここで、図4に示した構成は、遅延素子21が減算器24の前段に備えられているといった点を除いては、上記図1に示した構成とほぼ同様である。
【0079】
また、上記したLMSアルゴリズム以外のアルゴリズムを用いて上記と同様な干渉除去の効果を得ることもでき、一例として、上記図1に示した構成においてRLSアルゴリズムを用いた場合の更新式の具体例を示しておく。なお、以下では、説明の便宜上から、上記したu(t)やh(t)やe(t)やd(t)やr(t)に相当するものについては同じ符号を用いて示す。
【0080】
例えば、上記式1で示したu(t)と同様な成分から成るn行1列のベクトルを入力系列u(t)とし、上記式2で示したh(t)と同様にn個のフィルタタップ係数から成るn行1列のベクトルをフィルタタップ係数系列h(t)とする。
また、上記式6に示したエラー信号e(t)に相当するものとして、RLSにおけるエラー信号e(t)は式7で示される。なお、uT(t)はu(t)を転置したものを示す。
【0081】
【数7】
【0082】
ここで、本例では、d(t)としては例えば減算器3に入力される受信信号r(t)が用いられ、また、上記式7中のuT(t)*h(t)が適応フィルタ2から出力される干渉波抽出信号に相当する。すなわち、上記したLMSアルゴリズムを用いた場合と同様に、上記式7に示したエラー信号e(t)としては減算器3から出力される信号が用いられ、これが本例の特徴点の一つとなっている。なお、上記したLMSアルゴリズムを用いた場合と同様に、帯域選択部1により遅延による時間差が生じさせられない場合にはエラー信号e(t)は0に収束する。
【0083】
また、例えばn行n列の行列である係数誤差相関行列P(t)及びn行1列のベクトルであるゲインベクトルk(t)を用いて、RLSの更新式は式8〜式10で示される。
【0084】
【数8】
【0085】
【数9】
【0086】
【数10】
【0087】
また、上記したフィルタタップ係数系列h(t)の初期値h(0)としては例えば式11に示すようにゼロベクトルが用いられ、上記した係数誤差相関行列P(t)の初期値P(0)としては例えば式12に示すように行数と列数とが一致する対角要素が全て正の実数cであってそれ以外の要素が0である行列が用いられる。なお、hT(0)はh(0)を転置したものを示す。また、式12中のIは行数と列数とが一致する対角要素が全て1であってそれ以外の要素が0であるn行n列の行列を示す。
【0088】
【数11】
【0089】
【数12】
【0090】
以上に示したRLSの更新式に従ってフィルタタップ係数演算制御部4がフィルタタップ係数系列h(t)を順次更新することで、例えば上記したLMSアルゴリズムを用いた場合と同様に、適応フィルタ2から出力される信号を次第に実際の干渉信号成分に近づけることができ、これにより、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去することができる。
【0091】
次に、本発明の第2実施例に係る受信機を図4を参照して説明する。
同図には、本発明に係る受信機に備えられる干渉除去回路の一例を示してあり、この回路には、例えば上記第1実施例の図1に示したものとほぼ同様な機能を有する帯域選択部22や適応フィルタ23や減算器24やフィルタタップ係数演算制御部25が備えられているとともに、減算器24の前段に遅延素子21が備えられている。
【0092】
本例では、受信機により受信されて干渉除去回路に入力される信号r(t)が2つの信号に分配されて、一方の入力信号r(t)が遅延素子21に入力される一方、他方の入力信号r(t)が帯域選択部22に入力される。
遅延素子21は入力した信号r(t)を例えば帯域選択部22から出力される再構成信号と比べて拡散符号の1チップ分の時間幅以上遅延させて出力する機能を有しており、本例では、この機能により、本発明に言う時間差手段が構成されている。
【0093】
ここで、上記図4に示した本例の構成は、遅延素子21が減算器24の前段に備えられているといった点を除いては、上記図1に示した構成とほぼ同様であるため、以下では主として、上記第1実施例の場合とは異なる構成や動作について説明する。
また、本例では、例えばLMSアルゴリズムを用いた場合を例として示すが、上記第1実施例で示したように他のアルゴリズムを用いることもできる。
【0094】
本例では、遅延素子21により遅延させられた受信信号(本例では、説明の便宜上から、r(t−τ)と示す)が減算器24に入力される一方、帯域選択部22から出力される信号(本例では、説明の便宜上から、r(t)と示す)が適応フィルタ23やフィルタタップ係数演算制御部25に入力される。ここで、τはこれら2つの信号間に生じさせられる時間差であり、本例では、この時間差τとして、適応フィルタ23のフィルタタップ数nの半分程度の時間、すなわち、(n/2)サンプル時間程度の時間が設定されている。また、本例では、この時間差τとして、拡散符号の1チップ分の時間に比べて大きな時間が設定されている。
【0095】
具体的に、例えば適応フィルタ23のシフトレジスタに入力される信号r(t)の当該シフトレジスタ内における系列u(t)は式13で示される。なお、u(t)はベクトルである。上記したように、r1〜rnの中には例えばr(n/2)付近にr(t−τ)が含まれており、r(t−τ)とr(t)との時間差τ及びr(t−τ)とr(t−n+1)との時間差(n−1−τ)が共に拡散符号の1チップ分の時間差に比べて大きくなっている。
【0096】
【数13】
【0097】
また、本例のフィルタタップ係数演算制御部25は、例えば式14に示すように、r(t−τ)に対応するフィルタタップ係数h(τ+1)を0とするとともに当該フィルタタップ係数h(τ+1)の前後のそれぞれα個のフィルタタップ係数を0とする規則に従ってフィルタタップ係数系列h(t)を順次更新して適応フィルタ23へ出力する。ここで、αとしては例えば拡散符号の1チップ分以上の所定時間に相当する個数が設定され、すなわち、本例では、上記したフィルタタップ係数h(τ+1)を中心としてr(t−τ)と相関のある全ての再構成信号値rxに対応するフィルタタップ係数h(τ+1-α) 〜h(τ+1+α)が常に0に固定されている。なお、h(t)はベクトルである。
【0098】
【数14】
【0099】
また、適応フィルタ23から出力される干渉波抽出信号FM(t)は、例えば上記第1実施例の式3で示したのと同様に、式15で示される。なお、式15中のΣは和を表している。
【0100】
【数15】
【0101】
また、減算器24は、遅延素子21からの入力信号r(t−τ)から適応フィルタ23からの入力信号FM(t)を減算して、式16で示される減算結果e(t)を出力する。
【0102】
【数16】
【0103】
また、本例のフィルタタップ係数演算制御部25では、帯域選択部22から入力される信号r(t)及び上記した減算器24からの出力信号e(t)を用いてフィルタタップ係数系列h(t)を順次更新することが行われる。この更新式は、例えば上記第1実施例の式5で示したのと同様に、式17で示される。
【0104】
【数17】
【0105】
ここで、上記式14に示すようなフィルタタップ係数系列h(t)を用いることで受信信号から干渉信号を高精度で除去することができる原理を説明する。
まず、仮に本例のような遅延時間τを設定したときに上記式14に示すようなフィルタタップ係数系列h(t)を用いない場合を考える。
【0106】
この場合には、フィルタタップ係数系列h(t)が順次更新されるに際して、r(t−τ)と相関のある1又は複数の再構成信号値rxに対応するフィルタタップ係数が0以外の値をとり得るため、適応フィルタ23から出力される信号FM(t)中に拡散信号成分までをも残してしまうフィルタタップ係数系列h(t)、すなわち、受信信号から干渉信号ばかりでなく拡散信号成分までをも除去してしまうフィルタタップ係数系列h(t)が生成されてしまう。
【0107】
具体例として、例えばr(t−τ)に対応するフィルタタップ係数h(τ+1)が0以外の値をとり得る場合を考えると、この場合には、演算アルゴリズムにより当該フィルタタップ係数h(τ+1)のみが1であって他の全てのフィルタタップ係数が0であるようなフィルタタップ係数系列h(t)が生成されてしまい、これにより、受信信号から干渉信号ばかりでなく拡散信号までもが除去されてしまう。
【0108】
次に、本例のように上記式14に示すようなフィルタタップ係数系列h(t)を用いる場合について説明する。
この場合には、0に固定されたフィルタタップ係数h(τ+1-α) 〜h(τ+1+α)に対応する再構成信号値r(t−τ+α)〜r(t−τ−α)は算出される干渉波抽出信号FM(t)には寄与せず、0以外の値をとり得るフィルタタップ係数に対応する再構成信号値、すなわち、再構成信号値r(t−τ)と比べて拡散符号の1チップ分以上の時間進んだ再構成信号値r(t)〜r(t−τ+α+1)及び再構成信号値r(t−τ)と比べて拡散符号の1チップ分以上の時間遅れた再構成信号値r(t−τ−α−1)〜r(t−n+1)のみが算出される干渉波抽出信号FM(t)に寄与する。
【0109】
ここで、CDMA方式による拡散信号と当該信号に比べて1チップ分以上の時間進んだ信号や1チップ分以上の時間遅れた信号とは無相関の信号となるため、上記した演算アルゴリズムではエラー信号e(t)を0に収束させようとする場合に、u(t)中の上記したr(t)〜r(t−τ+α+1)及びr(t−τ−α−1)〜r(t−n+1)の拡散信号成分はr(t−τ)と無相関となっていることから誤差e(t)となって残る。一方、チップデータに比べて時間的に緩やかに変動する干渉信号成分は例えば数チップ時間程度の進みや遅れがあっても相関を有するため、当該干渉信号成分のみを受信信号から除去することができるフィルタタップ係数系列h(t)を生成することができる。
【0110】
また、本例では上記のように、減算器24に入力される受信信号r(t−τ)に比べて1チップ分以上の時間進んだ再構成信号と1チップ分以上の時間遅れた再構成信号との両方を用いて干渉波抽出信号FM(t)を算出しているため、例えば上記第1実施例で示したように減算器に入力される受信信号に比べて1チップ分以上の時間進んだ再構成信号のみ或いは遅れた再構成信号のみを用いて干渉波抽出信号を算出する場合と比べて、干渉除去の精度を高めることができる。すなわち、上記第1実施例の場合には干渉波のインパルスレスポンスの片側の形状をしたフィルタタップ係数を用いていたが、本例の場合には干渉波のインパルスレスポンスの両側の形状をしたフィルタタップ係数を用いているため、干渉波抽出の精度を高めることができる。
【0111】
本例では、上記した適応フィルタ23の機能により、(帯域選択部22により)再構成された信号の値を再構成信号値として、連続する複数の時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルと所定のタップ係数ベクトルとの内積値を算出する算出手段が構成されている。なお、本例では、上記したu(t)が連続する複数の時刻の再構成信号値r1〜rnから成る再構成信号ベクトルに相当し、上記したh(t)がタップ係数ベクトルに相当し、上記したFM(t)が内積値に相当する。
【0112】
また、本例では、上記した減算器13の機能により、対象時刻の受信信号値から当該対象時刻及び当該対象時刻の前後の連続する複数の時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルを用いて前記算出手段により算出される内積値を減算する減算手段が構成されている。なお、本例では、上記したr(t−τ)が対象時刻の受信信号値に相当し、上記したu(t)が対象時刻及び当該対象時刻の前後の連続する複数の時刻の再構成信号値r(t)〜r(t−n+1)から成る再構成信号ベクトルに相当し、前記減算手段では対象時刻の受信信号値r(t−τ)から内積値FM(t)を減算している。
【0113】
また、本例では、上記したフィルタタップ係数演算制御部25の機能により、タップ係数ベクトルの成分の中で対象時刻の再構成信号値に対応する成分をゼロとするとともに当該対象時刻からのずれが拡散符号の1チップ分以上の所定の時間以内である時刻の再構成信号値に対応する成分をゼロとした規則に従って前記減算手段の減算結果に応じてタップ係数ベクトルを順次更新することにより、対象時刻の進みに応じて前記算出手段により算出される内積値を干渉信号値に近づける更新手段が構成されている。
【0114】
なお、本例では、上記式14に示したように特定のフィルタタップ係数をゼロに固定した規則がタップ係数ベクトルの成分の中で対象時刻の再構成信号値に対応する成分をゼロとするとともに当該対象時刻からのずれが拡散符号の1チップ分以上の所定の時間以内である時刻の再構成信号値に対応する成分をゼロとした規則に相当する。また、本例では、上記したe(t)が前記減算手段の減算結果に相当する。また、本例のようにLMSアルゴリズム等を用いた場合には、タップ係数ベクトルh(t)が対象時刻(t−τ)の進みに応じて順次更新されることにより、上記した内積値FM(t)が次第に干渉信号値に近づいていく。
【0115】
また、上記した再構成信号ベクトルとタップ係数ベクトルとの次元(ベクトルを構成する成分の数)は同じであり、この次元としては、例えば上記式14に示したようにフィルタタップ係数系列中の特定のフィルタタップ係数をゼロとした場合においても、当該ゼロの並びの左右にゼロでないフィルタタップ係数を残すことができる次元が設定される。このような設定をすることにより、本例のように1チップ分以上の時間進んだ信号と遅れた信号との両方を用いて干渉波抽出信号を算出することができるようになる。
【0116】
以上のように、本例の受信機では、拡散信号の特性を利用することで、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を高精度で除去することができ、これにより、受信品質の劣化を防ぎ、受信品質を向上させることができる。また、本例の受信機では、上記第1実施例と同様に、必ずしも受信信号の全帯域に関して干渉除去処理が行われるのではなく、受信電力レベルが所定値より大きい帯域のみに関して干渉除去処理が行われるため、干渉信号の受信電力レベルが当該所定値以下である帯域において干渉除去処理により却って生じてしまう受信品質の劣化を防止することができ、これにより、受信品質を向上させることができる。
【0117】
ここで、本発明に係る受信機の構成としては、必ずしも以上の第1実施例や第2実施例で示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。
一例として、本発明に係る受信機により行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサが制御プログラムを実行することにより制御される構成であってもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
【0118】
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピーディスクやCD−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
また、本発明に係る受信機は、例えば基地局装置や移動局装置といった種々なものに適用することができるものである。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る受信機によると、CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去するに際して、受信信号の帯域を分割して得られる複数の帯域の中で信号レベルが所定値より大きい帯域を選択し、選択された各帯域に関して、受信信号を構成する当該帯域の信号を分配して得られる2つの信号間に拡散符号の1チップ分以上の時間差を与え、時間差を与えた2つの信号間で相関のある信号成分を干渉信号成分として抽出し、抽出した干渉信号成分を受信信号から除去するようにしたため、干渉信号のレベルが比較的小さい帯域において干渉除去処理により却って生じてしまう受信品質の劣化を防止することができ、これにより、受信品質を向上させることができる。
【0120】
なお、本発明に係る受信機では、好ましい態様として、受信信号を分配して得られる2つの信号の一方を複数の帯域の信号に分割し、これら帯域分割された複数の分割信号の中でレベルが所定値より大きい信号を残存させた受信信号と同じ帯域幅の信号を再構成し、受信信号を分配して得られる他方の信号と再構成される信号との間に拡散符号の1チップ分以上の時間差を与え、時間差を与えた2つの信号間で相関のある信号成分を干渉信号成分として抽出し、抽出した干渉信号成分を受信信号から除去する構成とした。
【0121】
また、本発明に係る受信機では、好ましい態様として、拡散信号の特性を利用して受信信号から比較的相関性の高い干渉信号を除去することができるような仕方でLMSアルゴリズムやRLSアルゴリズム等を用いた構成により、上記した受信信号からの干渉除去処理を実現した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る受信機の構成例を説明するための図である。
【図2】帯域選択部により行われる信号処理の一例を説明するための図である。
【図3】適応フィルタの構成例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る受信機の構成例を説明するための図である。
【図5】拡散符号系列の一例を説明するための図である。
【図6】CDMA方式による拡散信号と干渉信号とを含む受信信号のスペクトルの一例を示す図である。
【図7】受信機に備えられる干渉除去回路の構成例を説明するための図である。
【図8】誤り率特性の一例を示す図である。
【符号の説明】
1、22・・帯域選択部、 2、23・・適応フィルタ、
3、24・・減算器、 4、25・・フィルタタップ係数演算制御部、
11・・帯域分割フィルタバンク、 X1〜XN・・帯域N分割フィルタ、
12・・帯域選択回路、 13・・帯域再構成フィルタバンク、
Y1〜YN・・帯域再構成フィルタ、 14・・加算器、 21・・遅延素子、
S1〜Sn-1・・記憶素子、 J1〜Jn・・乗算器、 K1〜Kn-1・・加算器、
Claims (3)
- CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去する受信機において、
受信信号の帯域を分割して得られる複数の帯域の中で信号レベルが所定値より大きい帯域を選択する選択手段と、
選択された各帯域に関して受信信号を構成する当該帯域の信号を分配して得られる2つの信号間に拡散符号の1チップ分以上の時間差を与える時間差手段と、
時間差を与えた2つの信号間で相関のある信号成分を干渉信号成分として抽出する抽出手段と、
抽出した干渉信号成分を受信信号から除去する除去手段と、
を備えたことを特徴とする受信機。 - CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去する受信機において、
受信信号を分配して得られる2つの信号の一方を複数の帯域の信号に分割する分割手段と、
これら帯域分割された複数の分割信号の中でレベルが所定値より大きい信号を残存させた受信信号と同じ帯域幅の信号を再構成する再構成手段と、
受信信号を分配して得られる他方の信号と再構成される信号との間に拡散符号の1チップ分以上の時間差を与える時間差手段と、
時間差を与えた2つの信号間で相関のある信号成分を干渉信号成分として抽出する抽出手段と、
抽出した干渉信号成分を受信信号から除去する除去手段と、
を備えたことを特徴とする受信機。 - CDMA方式により拡散変調された拡散信号と干渉信号とを含む受信信号から当該干渉信号を除去する受信機において、
受信信号を複数の帯域の信号に分割する分割手段と、
これら帯域分割された複数の分割信号の中でレベルが所定値より大きい信号を残存させた受信信号と同じ帯域幅の信号を再構成する再構成手段と、
再構成された信号の値を再構成信号値として、連続する複数の時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルと所定のタップ係数ベクトルとの内積値を算出する算出手段と、
対象時刻の受信信号値から当該対象時刻に比べて拡散符号の1チップ分以上の所定時間ずれた連続する複数の時刻の再構成信号値から成る再構成信号ベクトルを用いて算出手段により算出される内積値を減算する減算手段と、
設定された規則に従って減算手段の減算結果に応じてタップ係数ベクトルを順次更新することにより、対象時刻の進みに応じて算出手段により算出される内積値を干渉信号値に近づける更新手段と、
を備えたことを特徴とする受信機。
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