JP4275235B2 - 筋力評価システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、筋力評価システムに関し、特にたとえば人間の上肢や下肢のように拮抗1関節筋群だけでなく拮抗2関節筋群を含む2関節リンク機構の系先端における機能別実効筋力を評価するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、平成6年(1994)発行の日本臨床バイオメカニクス学会誌,Vol.15の「二関節筋機能の機械モデルによる研究」と題する論文等において、発明者等は、人間を含む動物特有の拮抗二関節筋ペアの存在が2関節リンクの剛性制御に貢献し、動物特有の滑らかで迅速かつファジーながら正確な動作、さらにいかなる外部擾乱にも卓越した姿勢制御を可能とすることを、制御理論的数学的に、かつ機械モデルによって実験的に証明した。
【0003】
さらには、平成9年3月発行の日本機械学会論文集別刷63巻607号C編第135−142ページの論文「拮抗筋群による協調制御機能」において、発明者等は、人間の上肢の水平面内の運動においても、矢状面内運動と同様に、肩関節拮抗一関節筋群,肘関節拮抗一関節筋群および両関節に跨る拮抗二関節筋群が、拮抗筋相互だけでなく、拮抗筋群間においても協調した活動様式を示すことを明らかにした。
【0004】
このような成果に基づいて人間の運動や動作の評価技術に関して検討してみると、二関節筋出力の関与を無視できないことが判った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、現行のリハビリテーションやスポーツの指導評価、人間特性評価技術に関する指導的理論、さらには先端的な仮想人間シミュレーションモデルに至るまで、二関節筋出力を考慮して構成されたものはなく、従来の筋力評価技術や人間特性評価技術には、二関節筋出力の影響を評価しようとする姿勢すらない。
【0006】
これに対して、発明者等は、上記論文等で拮抗二関節筋群を有する2関節リンク機構が種々の分野に応用可能なことを提案している。そして、斯かる応用をなすためには、2関節リンク機構における系先端での出力に関与する各拮抗関節筋群の筋力値を特定する必要がある。しかしながら、このような筋力評価の手法は未だ提案されていない。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、2関節リンク機構における機能別実行筋力を評価する、新規なシステムを提供することである。
この発明の他の目的は、簡単に2関節リンク機構における機能別実行筋力を評価することができる、筋力評価システムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に従った筋力評価システムは、第1関節と第2関節との間に第1杆があり、第2関節から第2杆が延び、第2杆の先端が系先端となり、第1関節,第2関節および系先端を含む2次元平面内の運動に対して実効を及ぼす第1関節周りの1対の第1拮抗一関節筋ペア,第2関節周りの1対の第2拮抗一関節筋ペア,および第1関節および第2関節に跨る1対の拮抗二関節筋ペアを有する2関節リンク機構において、互いに機能の異なる3対6筋のそれぞれについて機能別実効筋力を評価するためのシステムである。
【0009】
具体的には、この発明では、(a) 系先端に所定の複数の点の方向に等尺的に最大努力で出力させて6角形の出力分布図を作成し、(b) 6角形の形成に関わる6筋のうち1筋の出力を推定し、そして(c) 6角形の形成に関わる残りの5筋の出力を計算する。
【0010】
【作用】
系先端に等尺的最大努力で出力させると、第1杆および第2杆ならびに第1関節および第2関節と一定の関係を有する6角形の出力分布図が得られる。3対6筋の1つの出力を推定し、この一定の関係を利用することによって、残りの5筋の出力を計算する。
【0011】
出力分布図を作成するために、それに先だって、測定線図を作成する。測定線図を作成するためには、第1杆および第2杆の長さならびに第1関節および第2関節の角度を計測し、適宜縮尺する。
そして、この測定線図を用いて出力分布図を作成するのであるが、具体的には、系先端における最大出力およびその方向を測定し、そしてこの測定結果および第1杆および第2杆ならびに第1関節および第2関節の角度に基づいて出力分布図を作成する。
【0012】
最大出力およびその方向を測定するために、筋電図バイオフィードバック法が利用できる。つまり、筋電図バイオフィードバック法によって系先端における伸展方向の第1点およびその方向を記録し、同じく筋電図バイオフィードバック法によって系先端における屈曲方向の第2点およびその方向を記録し、第1点および第2点を結ぶ第1の線に直交する第2の線上での最大努力を測定し、そして第2の線上の第3点および第4点を記録する。
【0013】
このようにして求めた4点に基づいて、第1点および第2点を通りかつ第1杆に平行な第1辺および第2辺を求め、第1点および第2点を通りかつ第2杆に平行な第3辺および第4辺を求め、第1辺と第3辺との間の第5辺を求め、そして第2辺と第4辺との間の第6辺を求める。
なお、先に求めた分布図は、必要に応じて、たとえば平行移動法等の適宜の手法に従って補正され、基準6角形が作成される。
【0014】
なお、6筋の内の1筋の出力を推定する場合、拮抗二関節筋ペアの1つの筋の出力を推定する。具体的には、その二関節筋の除脂肪断面積を特定することによって、推定することができる。
そして、その推定した出力に基づいて出願分布形成に関わる6筋の関係を利用して残りの筋の出力を計算する。
【0015】
【発明の効果】
この発明によれば、比較的簡単に、2関節リンク機構を構成するたとえば3対6筋のそれぞれの実効筋力が評価できる。したがって、それを人体モデルに応用して製品設計、さらには仮想人間のシミュレーションモデル、そしてリハビリテーションやスポーツの筋力評価等に非常に有効な情報が得られる。
【0016】
この発明のその他の目的,特徴および利点は、添付図面に関連して行われる以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0017】
【実施例】
ここで、この発明の理解を容易にするために、この発明に必要な範囲で、この発明の背景となる2関節リンク機構について説明する。
たとえば人間の上肢ならびに下肢の2関節リンク機構の系先端、すなわち上肢では手根関節部、下肢では足関節部において発揮される出力の制御および出力方向の制御のためには、第1関節、すなわち上肢では肩関節、下肢では股関節周りの拮抗一関節筋群、および第2関節、すなわち上肢では肘関節、下肢では膝関節周りの拮抗一関節筋群、さらに両関節に跨る拮抗二関節筋群の協調した活動が必要である。なお、「一関節筋」とは、たとえば人間の上肢でいえば、肩関節における三角筋前部や後部、あるいは肘関節における上腕筋や上腕三頭筋外側頭、下肢でいえば、股関節における腸骨筋や大殿筋、あるいは膝関節における大腿二頭筋短頭や膝窩筋等のように、1つの関節にのみ作用する筋のことを指す。また、「二関節筋」とは、上肢でいえば肩関節と肘関節とに跨って作用する上腕二頭筋や上腕三頭筋長頭、下肢でいえば股関節と膝関節とに跨って作用する大腿直筋やハムストリングスのように、2つの関節に跨って作用する筋のことである。ただし、ハムストリングスは、半健様筋,半膜様筋および大腿二頭筋長頭の総称である。
【0018】
このような2関節リンク機構において系先端が3次元自由空間で自由な位置決めを行うに際して、上肢ならびに下肢の第2関節は、ともにその自由度は「1」と限定されている。したがって、系先端の出力および出力方向の制御の仕組みを明らかにしようとする場合、まず、第1関節,第2関節および系先端を含む2次元平面内で、系先端が360度の全方位にわたって出力するために関与する筋群の活動様式を調べることが必要になる。
【0019】
上肢、下肢ともに、第1関節ならびに第2関節の運動に関わる筋群の構成およびその配列は複雑である。しかしながら、第1関節,第2関節および系先端を含む2次元平面内の運動に対して実効がある筋は、その平面に含まれる筋および筋束である。また、近傍の筋束のその平面内への分力、さらには近傍の複数筋がその平面内に及ぼす分力の合力も有効に働き得る。
【0020】
上述のように、一関節筋と二関節筋とは、機能的に、系先端において発揮される出力への関与の仕方が異なる。したがって、第1関節,第2関節および系先端を含む2次元平面内の運動に対して実効を及ぼし得る筋群を、第1関節周りの1対の拮抗一関節筋ペア,第2関節周りの1対の拮抗一関節筋ペア,および両関節に跨る1対の拮抗二関節筋ペアの、合計3対6筋として整理し代表させることが可能である(図1参照)。図1(A)は人間の上肢を、図1(B)は下肢をそれぞれ示す。
【0021】
この図1に示す3対6筋の拮抗筋群の出力を「機能別実効筋力」と定義する。これは上肢ならびに下肢に対して共通する定義である。そして、この発明は、数1に示すこのような2関節リンク機構の機能別実行筋力を評価する方法およびシステムに向けられるものである。
【0022】
【数1】
(fi,ei)i=1,2,3
機能別実効筋力値(fi,ei)i=1,2,3をいかに算出するかについて、以下説明する。
人間を対象とし、図4に示すような実験姿勢で、等尺的に最大努力で系先端に360度の全方位にわたって出力させてその分布図を作ると、上肢ならびに下肢ともに、図2に示すようにほぼ6角形を示した。なお、「等尺的」とは、系先端を変位することなく出力することをいい、「最大努力」とは可能な最大値を出力することをいう。
【0023】
次に、図1に示すような3対6筋の拮抗筋群を装備した筋・骨格系機械モデルを構築し、その系先端に発揮できる最大出力の分布図を理論的数学的に求めると、図2に示すようにほぼ6角形を示した。このことは、発明者等が3対6筋のアクチュエータを装備したアームロボットを作製し、そのアームロボットを用いてロボット工学的に確認できた。図3がアームロボットによる最大出力分布を示す。
【0024】
図3に示す最大出力分布図の6角形A−B−C−D−E−F−Aについては、形状とリンクモデルの姿勢条件との関係、形状形成に杆よした6筋の出力との関係において、次に示すような性質を持っていることが確かめられた。
(1)図3の辺A−BおよびD−Eは、上腕あるいは大腿(図3に線分S−Kで示す)に平行である。
【0025】
(2) 図3の辺A−FおよびD−Cは前腕あるいは下腿(図3に線分K−Wで示す)に平行である。
(3) 図3の辺B−CおよびE−Fは第1関節(肩関節あるいは股関節)と系先端Wとを結ぶ線(図3の線分S−Wである)に平行である。
(4) 図3の線分A−Bおよび線分D−Eはf3+e3に等しい。
【0026】
(5) 図3の線分B−Cおよび線分E−Fはf2+e2に等しい。
(6) 図3の線分A−Fおよび線分D−Cはf1+e1に等しい。
(7) f3は単独にて点Wより線分S−Kに平行に点S方向に出力できる。
(8) e3は単独にて点Wより線分S−Kに平行に点K方向に出力できる。
(9) f2は単独にて点Wより線分S−Wに平行に点S方向に出力できる。
【0027】
(10)e2は単独にて点Wより線分S−Wに平行に点W方向に出力できる。
(11)f1は単独にて点Wより線分K−Wに沿って点Kと反対方向に出力できる。
(12)e1は単独にて点Wより線分K−Wに沿って点K方向に出力できる。
(13)6角形は上記6筋の出力を協調活動形式で合成した値によって形成されたものである。
【0028】
したがって、3対6筋のうちの任意の1筋の最大出力値、あるいはその近似値が判れば、最大出力分布図の性質から、各実効筋力値の算出が可能となる。たとえば、上肢上腕部前面は上腕二頭筋で占められ、下肢大腿部後面はハムストリングスで占められている。したがって、それぞれの周囲径から除脂肪横断面積を求め、出力推定値を算出することが可能である。ともに、f3(推定値)である。
【0029】
このような機能別実効筋力を測定するためには、図4に示す測定装置10を用いる。この測定装置10では、上肢ならびに下肢について、ともに系先端の関節中心軸に、等尺的に最大努力で発揮する出力およびその出力方向を測定できるように工夫している。
図4に示す測定装置10は、被験者が下肢を伸ばした状態で座れる座部12を含む。座部12はその下の台14によって床上にしっかりと固定される。座部12の一端から所定角度で背もたれ16が斜め後方に伸び、被験者はその背中が背もたれ16に当った状態でベルト18によって固定される。つまり、被験者は、測定中その上体が動かないように、背もたれ16に固定される。ただし、背もたれ16には、角度調整機構が設けられ、それによって被験者の体格の違いに対処し、さらには測定姿勢の変更を可能にすることも考えられる。
【0030】
座部12の上方でかつ背もたれ16の前方には、センサ取り付け台20が配置される。このセンサ取り付け台20は、被験者の上肢を載せられるようになっていて、図5に示すような、センサ部22が設けられている。なお、座部12の前方部にも同様に、センサ部22が設けられる。このセンサ取り付け台20にもまた変位機構が設けられ、それによって被験者の体格の違いに対処し、さらには測定姿勢の変更を可能にするようにしてもよい。したがって、センサ取り付け台20は、上下に移動可能に構成される。また、センサ部22も同様の目的で、可動構造を採用する。センサ取り付け台20が上下に可動である場合、センサ部22は前後に可動とすればよい。さらには、座部12に設けられるセンサ部22についても同様である。この場合、座部12を上下可動に構成することも考えられる。
【0031】
図5に示すセンサ部22は、系先端、上肢であれば手根関節部、下肢であれば足関節部を受け入れる受容部24を有し、この受容部24の両側面には外方に延びるシャフト26が取り付けられている。シャフト26の周囲には圧力センサ28が配置され、その圧力センサ28は固定具30に固定され,固定具30を介してセンサ取り付け台20および座部12に固定されている。したがって、被験者が上肢または下肢先端に等尺的に最大努力を発揮できる。そして、被験者の系先端での出力が圧力センサ28によって検出される。
【0032】
図示しないが、圧力センサ28の出力は、電気信号(アナログ信号またはディジタル信号)として、コンピュータに入力される。コンピュータ(図示せず)は、圧力センサ28からのデータを取り込んで、後述のフロー図に従って、先に述べた、機能別実効筋力値を算出する。
なお、この測定装置10に付随して、筋電図計が用いられる場合には、筋電位等のデータもまたコンピュータに入力され、処理される。
【0033】
図4に示す測定装置10に被験者が載り、上述のように、測定中被験者の姿勢が変化せぬよう上体を固定する。そして、上肢ならびに下肢について、第1関節角度(図3:θ1)および第2関節角度(図3:θ2)を被験者の姿勢や体格あるいは測定目的に応じて適宜設定する。
機能別実効筋力値を算出する手順は、図6に示すように、ステップS1で2関節リンク機構の測定線図(図7(A))を作成し、ステップS2で系先端での最大出力とその方向を測定し、ステップS3で出力分布図(図7(E))を作成し、最後に、ステップS4で図12に示すように機能別実効筋力値を算出する。
【0034】
ここで、図8を参照して、上記ステップS1の線図作成について詳細に説明する。図8の最初のステップS11では、図3に示す線分S−Kを計測する。線分S−Kは、上肢では上腕長、下肢では大腿長に相当する。ついで、ステップS12では、線分K−Wを計測する。(線分K−Wは、上肢では前腕長、下肢では下腿長に相当する。そして、ステップS13およびS14において、上肢では肩関節角度、下肢では股関節角度(θ1)、および上肢では肘関節外角角度、下肢では膝関節外角角度(θ2)を計測する。最後に、このようなそれぞれの計測結果に基づき、適当に縮尺して、図7(A)のような上肢あるいは下肢の二関節リンク機構測定線図を作成する。
【0035】
なお、各線分や角度は、測定者が手動的に計測するようにしてもよいが、図4に示す測定装置10にこれらの要素を自動的に計測できる手段、たとえば光学的装置を別途設け、その光学的装置の出力をコンピュータによって処理することによって計測するようにしてもよい。
ついで、図9に示すフロー図に従って、測定装置10およびコンピュータ(図示せず)によって、系先端における最大出力とその方向を測定する。まず、ステップS21において、伸展方向の点A(図7(B))について、最大出力および方向を記録する。具体的には、このステップS21では、筋電図バイオフィードバック法により、上肢では上腕二頭筋筋腹中央部からの筋放電が消え、上腕三頭筋長頭からの放電が最大になる方向、下肢では内側ハムストリングスからの放電が消え、大腿直筋からの放電が最大になる方向の出力とその方向を記録する。
【0036】
ついで、ステップS22で、図7(D)に示す屈曲方向の点Dの最大出力および方向を記録する。具体的には、同じく筋電図バイオフィードバック法により、上肢では上腕二頭筋筋腹中央部からの放電が最大となり、上腕三頭筋長頭からの放電が消える方向、下肢では内側ハムストリングスからの放電が最大となり、大腿直筋からの放電が消える方向の出力とその方向を記録する。
【0037】
そして、ステップS23において、図7(C)に示すように、図7(B)の線分A−Dに直交する方向に最大努力出力を測定する。このとき、第2関節の屈曲内側方向の出力値をC′、外側方向の出力値をE′とする。最後に、ステップS24において、図7(D)に示す各点A,C′,D,E′を記入する。
そして、図10のフロー図に従って、コンピュータによって、図7(E)に示す出力分布図を描く。ただし、上肢、下肢ともに手順は同様であるので、上肢の場合について述べ、下肢の場合は括弧内に示す。
【0038】
ステップS31で、それぞれが先に求めた点AおよびDを通り、かつ上腕(大腿)すなわち線分S−Kに平行な2つの線を引く。これらの線分をそれぞれ仮にA−BおよびD−Eとする。ステップS32では、それぞれが先に求めた点AおよびDを通り、かつ前腕(下腿)すなわち線分K−Wに平行な2つの線を引く。これらの線分をそれぞれ仮にA−FおよびD−Cとする。
【0039】
ついで、ステップS33において、点C′を通り、かつ第1関節と系先端とを結ぶ線S−Wに平行な線を引き、その線と線分A−Bとの交点を点Bとし、その線が線分D−Cと交わる点を点Cとする。同様にして、ステップS34では、点E′を通り、かつ第1関節と系先端を結ぶ線S−Wに平行な線を引き、その線が線分A−Fと交わる点を点F、線分D−Eと交わる点を点Eとする。
【0040】
このようにして、図7(E)に示す六角形A−B−C−D−E−F−Aで表される上肢(下肢)出力分布図が描画できる。
よく知られているように、人間の筋出力は、最大努力で出力しても100パーセントは出せない。よくトレーニングされた人間でも生理学的限界の約80パーセント前後であるといわれている。また、毎回全く同一活動レベルで出力させることもまた極めて難しい。
【0041】
したがって、図7(E)に得られた出力分布図においても、出力に関与した筋群の活動レベルは大なり小なり異なっていたことが当然予想される。そこで、図11および図12に示す算出手順を適用する前段階として、出力分布図の先に挙げた(1) - (6) を満たすように、たとえば平均化処理等の適宜の方法で補正する必要がある。
【0042】
この実施例では、平行移動法を利用した。すなわち、図7(F)- 図7(H)に示すように、出力分布図の各実測点を通る6角形の互いに向かい合う辺の長さが等しくなるように平均値をとり、平均化基準6角形とする。
なお、このような補正のためには、他の適当な方法が利用されてもよい。
図11に示すフロー図の最初のステップS41では、まず、数1におけるf3を推定する。このf3は、上肢では上腕二頭筋によって、また下肢ではハムストリングスによって得られる出力である。したがって、このステップS41では、上腕二頭筋またはハムストリングスの除脂肪横断面積を周囲径から求め、一般的係数値を乗じて、各筋の出力推定値f3を算出する。この出力値f3は、図12上で、単独で、点Wから線分S- Kに平行に点S方向に出力できるので、まず、点Wからf3を記入する。
【0043】
次に、f3の先端から線分K- Wに平行線を引き、それが線分B- Cと交わる点でf2およびe2を算出する(ステップS42)。同時に、f3の先端から線分S- Wに平行線を引き、それが線分C- Dと交わる点でf1およびe1を算出する(ステップS42)。そして、各出力f1,e1,f2およびe2を点Wからの出力値として記入する。
【0044】
ステップS43では、各出力の頂点から線分S−K,S−WおよびK- Wに平行線を引き、それらの平行線が線分A- BまたはD- Eと交わる点からe3が算出できる。一例として、f1の頂点から線分S- Wに平行線を引き、それが線分A- Bと交わる点からe3が求められる。このe3 は、f3とともに線分A- Bに含まれるので、ここで、f3が計算できる。
【0045】
ステップS44では、計算したf3と先にステップS41で推定したf3とを比較することによって、各出力値が最適近似されているかどうか判断する。このステップS44で”NO”が判断されると、次のステップS45において、たとえば2つのf3の差に基づいてf3を修正する。そして、ステップS42に戻り、ステップS42からS44を繰り返し実行する。
【0046】
このようにして、6角形出力分布実測図を最適近似して再現できる(fi,ei)i=1,2,3の値を求め、この値を機能別実効筋力値として確定する。
なお、ステップS43以降の算出手順については、出力分布図形の性質を利用して幾通りか考えられる。図11および図12に示したものは妥当な一例である。いずれの方法を採っても、f3推定値を修正し、算出手順を繰り返しながら出力分布実測図を最適近似して再現できる(fi,ei)i=1,2,3を求める手続きは必要である。
【0047】
また、図11実施例では、推定出力値f3を仮の基準として算出手続きを進めているが、再現した出力分布図が実測図に充分近似しておれば、機能別実効筋力値として有効である。
このようにして拮抗二関節筋を含む2関節リンク機構の機能別実効筋力値を求めることができると、それを人体モデルに応用して製品設計等に成果が期待できる。さらには、仮想人間のシミュレーションモデルに二関節筋出力も含めた機能別実効筋力を導入することによって、初めて、より人間に近いモデルを構築することができる。また、リハビリテーションやスポーツの筋力評価、トレーニング指導評価等に、従来に比べて信頼性の高い情報や資料が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の背景となる2関節リンク機構の一例を示す図解図であり、図1(A)は人間の上肢を、図1(B)は人間の下肢をそれぞれ示す。
【図2】2関節リンク機構の系先端に発揮できる最大出力の理論的数学的分布図である。
【図3】アームロボットによって系先端に発揮される最大出力の分布図である。
【図4】この発明に用いられる測定装置の一例を示す図解図であり、図4(A)が正面図を、図4(B)が平面図を、図4(C)が右側面図をそれぞれ示す。
【図5】図4測定装置に用いられるセンサ部の一例を示す図解図である。
【図6】この発明の一実施例の動作を示すメインフロー図である。
【図7】図6フロー図に従って機能別実効筋力値を求める手順を示す図解図であり、図7(A)は2関節リンク機構の測定線図の作成を示し、図7(B)は伸展方向の点ならびに屈曲方向の点の記録を示し、図7(C)は線分A- Dに直交する2点の記録を示し、図7(D)は他の点の記録を示し、図7(E)は出力分布図を示し、図7(F)−図7(H)は平行移動法に従った補正方法を示す。
【図8】図7(A)の測定線図を作成する動作を示すフロー図である。
【図9】最大出力およびその方向を測定する動作を示すフロー図である。
【図10】図7(C)および図7(E)に示す出力分布図を作成する動作を示すフロー図である。
【図11】機能別実効筋力値を求める動作を示すフロー図である。
【図12】機能別実行筋力値を求める図11の動作を示す図解図である。
【符号の説明】
10 …測定装置
22 …センサ部
Claims (10)
- 第1関節と第2関節との間に第1杆があり、前記第2関節から第2杆が延び、前記第2杆の先端が系先端となり、前記第1関節,前記第2関節および前記系先端を含む2次元平面内の運動に対して実効を及ぼす前記第1関節周りの1対の第1拮抗一関節筋ペア,前記第2関節周りの1対の第2拮抗一関節筋ペア,および前記第1関節および前記第2関節に跨る1対の拮抗二関節筋ペアを有する2関節リンク機構において、互いに機能の異なる3対6筋のそれぞれについて機能別実効筋力を評価するためのシステムであって、
前記系先端に所定の複数の点の方向に等尺的に最大努力で出力させて6角形の出力分布図を作成する分布図作成手段、
前記6角形の形成に関わる前記6筋のうち1筋の出力を推定する推定手段、および
前記6角形の形成に関わる残りの5筋の出力を計算する計算手段を備える、筋力評価システム。 - 前記分布図作成手段は、前記系先端における最大出力およびその方向を測定する測定手段を含み、前記測定手段の測定結果および前記第1杆および前記第2杆ならびに前記第1関節および前記第2関節の角度に基づいて出力分布図を作成する、請求項1記載の筋力評価システム。
- 前記分布図作成手段は、前記出力分布図を補正して基準6角形を作成する、請求項2記載の筋力評価システム。
- 前記分布図作成手段は平均化法によって補正する、請求項3記載の筋力評価システム。
- 前記測定手段は、筋電図バイオフィードバック法によって前記系先端における伸展方向の第1点およびその方向を記録する第1記録手段、筋電図バイオフィードバック法によって前記系先端における屈曲方向の第2点およびその方向を記録する第2記録手段、前記第1点および前記第2点を結ぶ第1の線に直交する第2の線上での最大努力を測定する測定手段、および前記第2の線上の第3点および第4点を記録する第3記録手段を含む、請求項2ないし4のいずれかに記載の筋力評価システム。
- 前記分布図作成手段は、前記第1点および前記第2点を通りかつ前記第1杆に平行な第1辺および第2辺を求める第1手段、前記第1点および前記第2点を通りかつ前記第2杆に平行な第3辺および第4辺を求める第2手段、前記第1辺と前記第3辺との間の第5辺を求める第3手段、および前記第2辺と前記第4辺との間の第6辺を求める第4手段を含む、請求項5記載の筋力評価システム。
- 前記推定手段は、前記拮抗二関節筋ペアの1つの筋の出力を推定する、請求項1ないし6のいずれかに記載の筋力評価システム。
- 前記計算手段は、前記推定手段で推定した出力に基づいて前記拮抗二関節筋ペアの他の1つの筋の出力を計算する、請求項7記載の筋力評価システム。
- さらに、前記推定手段および前記計算手段によって求めた機能別実効筋力値が妥当かどうか検証する検証手段を備える、請求項7または8記載の筋力評価システム。
- さらに、前記検証手段で妥当でないとき、前記推定手段で推定した出力を修正する修正手段を備える、請求項9記載の筋力評価システム。
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