JP7350678B2 - 筋力特性評価方法、及び、筋力特性評価装置 - Google Patents

筋力特性評価方法、及び、筋力特性評価装置 Download PDF

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Description

本発明は、人や動物等の肢体の筋力特性を評価するための筋力特性評価方法、及び、その筋力特性評価方法を行うための筋力特性評価装置に関する。
上肢又は下肢等の2関節を含む肢体の2次元面内での運動に寄与する筋を評価するためのモデルであって、肢体に設けられた筋を第1拮抗一関節筋対、第2拮抗一関節筋対、拮抗二関節筋対に分類した3対6筋群モデルが知られている(例えば、非特許文献1)。3対6筋群モデルにおいて、肢体の先端で発揮することのできる最大出力は各筋の最大出力を足し合わせた6角形の最大出力分布として表される。
3対6筋群モデルに基づいて、被験者の筋力特性を評価する筋力特性評価方法が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、上記2次元面内の所定の4方向の出力に基づいて、最大出力分布が求められる(4点測定法)。更に、特許文献1では、最大出力分布に基づいて各筋の最大出力を算出され、算出された各筋の最大出力は、リハビリテーションやスポーツの筋力評価、トレーニング指導評価等に利用される。
特開2000-210272号公報
大島徹,藤川智彦,熊本水頼、「一関節筋および二関節筋を含む筋座標系による機能別実効筋力評価-出力分布の簡便な測定法」、精密工学会誌,Vol.67,No.6,p.943―948(2001)
筋肉には、遅筋と速筋との2種類の筋肉があることが知られている。遅筋は筋肉が収縮する速度が速筋よりも遅く、速筋よりも瞬間的に発揮できる力が弱いが、速筋よりも持久力に優れる。速筋は、筋肉が収縮する速度が遅筋よりも早く、遅筋よりも瞬間的に発揮できる力が強いが、遅筋よりも持久力に欠ける。遅筋及び速筋はそれぞれ特性と働きが異なるとともに,運動の種類によりそれらの適合割合が異なる。よって、アスリートにとって、自らの遅筋及び速筋の割合を評価することが重要となっている。
しかしながら、特許文献1に記載の筋力特性評価方法では、筋力の最大出力分布のみが得られるため、速筋及び遅筋の割合を評価することが難しい。
本発明は、以上の背景を鑑み、速度に応じた筋力評価を行うことのできる筋力特性評価方法、及び、その筋力特性評価方法を行うための筋力特性評価装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明のある態様は、第1関節(J)により支持された基端を有する第1杆(L)と前記第1杆の遊端に第2関節(J)を介して支持された第2杆(L)とを有する肢体(3)の筋力特性を評価する筋力特性評価方法であって、前記第2杆の遊端を所定の方向に2つ以上の異なる速度(v、v、v)で移動させ、前記第2杆の前記遊端における出力を所定の位置(O)においてそれぞれ測定するステップ(ST1)と、前記出力、及び、前記速度に基づいて、前記方向における前記出力と前記速度との関係を示す関数を算出するステップ(ST2)と、前記関数に基づいて筋力特性を評価するステップ(ST3、ST4)とを含むことを特徴とする。
この構成によれば、2つ以上の異なる速度における出力が取得され、取得された速度と出力との関係に基づいて、出力と速度との関係を示す関数が算出される。算出された関数は出力の速度依存性を表すため、その関数を用いることによって速度に応じた筋力評価を行うことができる。
前記出力を測定するステップにおいて、前記方向を前記第1杆及び前記第2杆により画定される面内の少なくとも4つの異なる方向に設定し、前記出力と前記速度との関係を示す前記関数を算出するステップにおいて、前記方向のそれぞれに対して前記関数を算出し、前記筋力特性を評価するステップは、前記関数を用いて所定の速度における前記方向それぞれの前記出力を算出し、前記第1関節を跨ぐ第1拮抗一関節筋対(e,f)、前記第2関節を跨ぐ第2拮抗一関節筋対(e,f)、及び前記両関節を跨ぐ拮抗二関節筋対(e,f)からなる筋群モデルの各筋の寄与に対応する6角形の最大出力分布(Q、Q、Q)を作成するステップを含むことを特徴とする。
この構成によれば、4つの所定の方向における出力と速度との関係を示す関数が取得される。これにより、各方向、及び、各速度における4方向の出力を取得することができる。よって、4点測定法に基づいて、各速度における最大出力分布を求めることができ、各速度における最大出力分布に基づいて、速度に応じた筋力評価を行うことができる。
上記の態様において、前記筋力特性を評価するステップは、前記最大出力分布から前記筋群モデルの各筋の寄与量を算出するステップを更に含む(ST4)とよい。
この構成によれば、各速度における筋群モデルの各筋の寄与量が算出されるため、実際の被験者の筋力特性に近い筋群モデルが構築できる。これにより、増強すべき筋を特定することができるため、リハビリテーションやスポーツの筋力評価に活用することができる。
上記の態様において、前記出力と前記速度との関係を示す前記関数として、一次関数を用いるとよい。
この構成によれば、各速度における出力を容易に取得することができる。
上記の態様において、前記第2杆の前記遊端に対して複数の抵抗力を加えることによって、前記第2杆の遊端を2つ以上の前記速度で移動させるとよい。
この構成によれば、被験者は自らの意思で第2杆の遊端を動かすことができるため、筋力評価時に被験者に与えうる不安感を低減することができる。
上記課題を解決するために本発明のある態様は、第1関節(J)により支持された基端を有する第1杆(L)と前記第1杆の遊端に第2関節(J)を介して支持された第2杆(L)とを有する肢体(3)の筋力特性を評価する筋力特性評価装置(10)であって、前記第2杆の遊端を所定の方向に2つ以上の異なる速度(v、v、v)における前記第2杆の前記遊端の出力を所定の位置においてそれぞれ取得する取得手段(10A)と、前記出力、及び、前記速度に基づいて、前記方向における前記出力と前記速度との関係を示す関数を算出する算出手段(10B)とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、2つ以上の異なる速度における出力が取得され、取得された速度と出力との関係に基づいて、出力と速度との関係を示す関数が算出される。算出された関数は出力の速度依存性を表すため、その関数を用いることによって速度に応じた筋力評価を行うことができる。
上記態様において、前記算出手段は、前記出力と前記速度との関係を示す前記関数として、一次関数を用いるとよい。
この構成によれば、各速度における出力を容易に取得することができる。
上記態様において、前記取得手段は、被験者を固定する固定部(12)と、前記固定部に固定されたスライドユニット(15)と、前記スライドユニットに前記方向にスライド移動可能に設けられたドライブユニット(16)と、前記ドライブユニットに設けられ、前記出力を検出するセンサ(20)と、前記スライドユニットと、前記ドライブユニットとの間に設けられたダンパ(18)とを有し、前記ダンパの抵抗力は、前記第2杆の前記遊端に対して複数の抵抗力を加えることによって、前記第2杆の遊端を2つ以上の前記速度で移動可能とすべく可変であることを特徴とする。
この構成によれば、ダンパの抵抗力を変更することによって、異なる速度での出力を測定することができる。
以上の構成によれば、速度に応じた筋力評価を行うことのできる筋力特性評価方法、及び、その筋力特性評価方法を行うための筋力特性評価装置を提供することができる。
上肢に対する3対6筋群モデルの説明図 上肢先端における最大出力分布の説明図 筋力特性評価装置の斜視図 筋力特性評価装置の上面図 筋力評価処理のフローチャート 前方測定工程のフローチャート (A)前方向に出力したときの速度成分、及び、力の前方向成分、(B)後方向に出力したときの速度成分、及び、力の後方向成分、(C)左方向に出力したときの速度成分、及び、力の左方向成分、及び、(D)右方向に出力したときの速度成分、及び、力の右方向成分の関係をそれぞれ示すグラフ 測定によって得られた出力点と、近似直線とを示すグラフ 近似直線を用いて算出された速度0.1m/s、0.2m/s、及び、0.3m/sでの最大出力分布を示すグラフ 4点測定法における(A)頂点Aと、(B)頂点B及び頂点Fと、(C)頂点C、頂点D、及び頂点Fとの決定方法をそれぞれ説明するための説明図 速度0.1m/s、0.2m/s、及び、0.3m/sのそれぞれにおける最大実効筋力の計算結果を示すグラフ
以下では、本発明に係る筋力特性評価方法を、人の右側上肢の筋力特性を評価するために用いた実施形態について、図面を参照して説明する。
筋力特性評価方法は、公知の3対6筋モデルに基づく。3対6筋モデルとは、上肢や下肢等の2関節(肩関節と肘関節、股関節と膝関節)を含む肢体の2次元的な運動において、肢体の先端(手根関節部、足根関節部)での出力に寄与する筋をモデル化したものである。以下ではまず、3対6筋モデルを、本発明に必要な範囲で説明する。
3対6筋モデルにおいて、図1に示すように、被験者1の上肢2や下肢等の肢体3は、基体Lに第1関節Jにより枢支(支持)された基端を有する第1杆Lと、第1杆Lの遊端に第2関節Jを介して枢支(支持)された第2杆Lとを有する2関節リンク機構6としてモデル化される。より具体的には、上肢2がモデル化される場合には、基体Lは肩甲骨、第1関節Jは肩関節に、第1杆Lは上腕骨に、第2関節Jは肘関節に、第2杆Lは橈骨及び尺骨の少なくとも一方にそれぞれ対応する。また、第2杆Lの遊端Jは手根関節部に対応する。以下では、第2杆Lの遊端Jを肢先端Jと記載する。
肢体3の第1関節J、第2関節J、及び肢先端Jを含む2次元面内での運動に寄与する筋をモデル化した3対6筋群モデルは、第1関節Jに跨る第1拮抗一関節筋対f,e、第2関節Jに跨る第2拮抗一関節筋対f,e、及び両関節J,Jに跨る拮抗二関節筋対f,eからなる。
第1拮抗一関節筋対f,eは第1関節Jを屈曲させる筋fと、第1関節Jを伸展させる筋eとからなる。第1拮抗一関節筋対の筋f,eは一端において基体Lに、他端において第1杆Lにそれぞれ付着され、第1関節Jを跨ぐように設けられている。第1拮抗一関節筋fは例えば三角筋前部に対応し、第1拮抗一関節筋eは例えば三角筋後部に対応している。
第2拮抗一関節筋対f,eは第2関節Jを屈曲させる筋fと、第2関節Jを伸展させる筋eとからなる。第2拮抗一関節筋対の筋f,eは一端において第1杆Lに、他端において第2杆Lにそれぞれ付着され、第2関節Jを跨ぐように設けられている。第2拮抗一関節筋対fは例えば上腕筋に対応し、第2拮抗一関節筋eは例えば上腕三頭筋外側頭に対応している。
拮抗二関節筋対f,eは第1関節J及び第2関節Jを同時に屈曲させる筋fと、第1関節J及び第2関節Jを同時に伸展させる筋eとからなる。拮抗二関節筋対f,eは一端において基体Lに、他端において第2杆Lにそれぞれ付着され、それぞれ第1関節J及び第2関節Jを跨ぐように設けられている。拮抗二関節筋fは例えば上腕二頭筋に対応し、拮抗二関節筋eは例えば上腕三頭筋長頭に対応している。
第1拮抗一関節筋対f,e、第2拮抗一関節筋対f,e、及び拮抗二関節筋対f,eの出力の組み合わせによって、肢先端Jにおける出力の大きさ及び向きが定まる。第1拮抗一関節筋fが肢先端Jに出力する最大出力をFf1、第1拮抗一関節筋eが肢先端Jに出力する最大出力をFe1、第2拮抗一関節筋fが肢先端Jに出力する最大出力をFf2、第2拮抗一関節筋eが肢先端Jに出力する最大出力をFe2、拮抗二関節筋fが肢先端Jに出力する最大出力をFf3、拮抗二関節筋eが肢先端Jに出力する最大出力をFe3とすると、これら3対6筋によって肢先端Jに得られる最大の出力の分布図(以下、最大出力分布)は図2に示すように、各筋の寄与に対応する6角形ABCDEFによって簡易的に表される。ただし、各筋の最大出力(以下、機能的実効筋力)とは各筋が発揮(出力)できる最も大きな力であり、第1杆L及び第2杆Lで画定される面内のベクトルによって表される。6角形ABCDEFの算出方法の詳細については公知であるためここでは割愛するが、例えば、上記した非特許文献1を参照するとよい。
6角形ABCDEFにおいて、辺AB、辺DE、及び第2杆Lは互いに平行であり、辺CD、辺FA、及び第1杆Lは互いに平行である。また、辺BCと、辺EFと、肢先端J及び第1関節Jを結ぶ直線とは互いに平行である。図3の点Aでの出力F、点Bでの出力F、点Cでの出力F、点Dでの出力F、点Eでの出力F、及び点Fでの出力Fはそれぞれ、以下の式(1)によって表される。各筋の機能的実効筋力Ff1、Ff2、Ff3、Fe1、Fe2、及びFe3は、6角形ABCDEFから式(1)を用いて算出することが可能である。
Figure 0007350678000001
次に、図3、及び図4を参照して、本発明に係る筋力特性評価方法を上肢2が発揮する力の測定に適用するための筋力特性評価装置10について説明する。図3に示すように、筋力特性評価装置10は、手根関節部(第2杆Lの遊端)の2つ以上の異なる速度における出力を取得するための取得装置10A(取得手段)と、取得装置10Aによって取得されたデータに基づいて出力と速度との関係を示す関数を算出して筋力を評価するための処理装置10Bとを有している。
取得装置10Aは、着座部11と、着座部11の後部に結合された背凭れ12(図4も参照)と、背凭れ12に端部において結合され、前方に延びる基準アーム13と、基準アーム13の上面に支持された直交アーム14と、直交アーム14に支持されたスライドユニット15と、スライドユニット15に支持されたドライブユニット16とを備えている。
背凭れ12は上下に延び、着座部11に固定された基部12Aと、基部12Aの背面に固定された延長部12Bとを含む。延長部12Bは左右方向に延在する板状をなしている。延長部12Bは左右方向略中央部において基部12Aの背面に結合され、延長部12Bの左右端部は基部12Aの左右外方に位置している。
背凭れ12には左右にそれぞれ、筋力計測時に被験者1の腰及び肩をそれぞれ固定するためのベルト12Cが設けられている。
基準アーム13は前後に延びる角柱状をなしている。基準アーム13の後端は、基部12Aの右方において、延長部12Bの前面に結合されている。本実施形態では、基準アーム13は背凭れ12の左右方向の略中心を通る前後に延びる軸線Pを中心として、背凭れ12に対して回転可能に支持されている。
直交アーム14は略角柱状の部材であり、基準アーム13の上面に結合されている。直交アーム14は、その下面において基準アーム13の延在方向に沿ってスライド移動可能に支持されている。
スライドユニット15は所定の方向に延びるレール15Aを備えている。スライドユニット15は直交アーム14の上面に対して上下方向を軸線Qとする回転可能、且つ、直交アーム14の延在方向に沿ってスライド移動可能に支持されている。
ドライブユニット16は、スライドユニット15のレール15Aにスライド移動可能に結合するスライダ16Aを含む。これにより、ドライブユニット16はスライドユニット15にレール15Aの延在方向に沿ってスライド移動可能に支持されている。スライドユニット15とドライブユニット16との間には、ドライブユニット16のスライド移動に対して抵抗力(減衰力)を加えるダンパ18が設けられている。ダンパ18の抵抗力は所定の方法によって変更が可能である。ダンパ18は公知の油圧式のもの(例えば、ACE Controls、HB-28-500)であってよい。
レール15Aとスライダ16Aとの間には、スライダ16Aのレール15Aに対する位置及び速度を計測するためのエンコーダ19が設けられている。エンコーダ19は公知の光学式のもの(例えば、Renishaw, QUANTiC series)であってよい。エンコーダ19は、設定された位置を原点Oとして、レール15Aに対するスライダ16Aの延在方向における位置、及び、スライダ16Aの移動速度を計測する。
ドライブユニット16は、スライダ16Aに結合された略長方形板状の基部16Bと、基部16Bの上面に上下方向に延びる回転軸Rを中心として回転可能に支持された固定プレート16Cとを備える。固定プレート16Cは略長方形状をなす板部材であり、被験者1の上腕から手先部分を固定するためのバンド16Dが2つ設けられている。本実施形態では、回転軸Rと軸線Qとは同じ位置になるように設定されている。
ドライブユニット16には、6軸力センサ20(センサ)が設けられている。6軸力センサ20は固定プレート16Cの回転軸Rに沿って配置されて、基部16Bの上面に固定されている。6軸力センサ20は上方に向けて開口する略円筒状のボディ20Aと、ボディ20Aに収容された回転軸Rを中心とする円柱状の検出部20Bとを備える。6軸力センサ20のボディ20Aは、基部16Bの上面に固定されている。検出部20Bはボディ20Aの上縁よりも上方に突出し、検出部20Bの上面は固定プレート16Cと面一をなす。図4に示すように、被験者1の上腕が固定プレート16Cに固定されたときには、被験者1の手根関節部(肢先端J)が検出部20Bの上面に接するように設定されている。
6軸力センサ20は、検出部20Bの上面に加わる3つの軸方向の力、及び、各軸回りのモーメントを計測する。但し、この3つの軸は、直交アーム14の延在方向に沿う方向であって、被験者1から離れる方向(右方向)をX軸、基準アーム13の延在方向であって、被験者1から離れる方向(前方向)をY軸、上方向をZ軸となるように設定されている(図3及び図4参照)。すなわち、6軸力センサ20は、検出部20Bの上面に加わるX、Y及びZ軸方向の力と、X軸、Y軸、及びZ軸周りのモーメントとを計測する。6軸力センサ20は、公知のひずみゲージ式のセンサであってよい。
処理装置10Bは、図3に示すように、中央演算処理装置(CPU)などの演算処理を行う演算処理部17Aと、メモリ及びハードディスクなどの情報を記憶し保持する記憶部17Bと、出入力部17Cを備えたコンピュータ17によって構成されている。本実施形態では、出入力部17Cは、タッチパネル17Dを含む。タッチパネル17Dは、被験者1や、被験者1を補助する補助者から、適宜、ボタンや入力欄を表示して入力を受け付ける。また、タッチパネル17Dは、文字等による表示を行って被験者1や補助者に指示を行い、適宜、筋力の評価結果を表示する。
処理装置10Bはエンコーダ19、及び、6軸力センサ20に所定のケーブルを介して接続されている。処理装置10Bはケーブルを介して、エンコーダ19、及び6軸力センサ20からの出力を取得し、エンコーダ19によって計測されたスライダ16Aの位置、及び移動速度と、6軸力センサ20によって計測されたX軸、Y軸、及びZ軸方向の力及び各軸回りのモーメントとを取得する。
処理装置10Bはタッチパネル17Dに所定の入力があったときに、被験者1の上肢2の筋力を評価するための筋力評価処理を実行する。以下では、図5に示すフローチャートを参照して、筋力評価処理の詳細について説明する。
処理装置10Bは、筋力評価処理において、まず、手根関節部を上腕骨及び橈骨とで画定される測定面S内の少なくとも4つの方向に沿って異なる速度で移動させたときに手根関節部において発揮される出力を測定するステップST1(測定ステップ)を行う。本実施形態では、手根関節部の移動方向は被験者1の前方、後方、左方、及び右方に設定されている。以下では、手根関節部を前方に移動させたときに、手根関節部において発揮される出力を測定する工程(以下、前方測定工程)について、図6を参照して説明を行う。
前方測定工程において、処理装置10Bはまず、被験者1及び補助者に、スライドユニット15を基準アーム13に沿って前後方向に延在するように配置(図4参照)し、ダンパ18の抵抗力を所定の値に設定するように指示を行う(t)。その後、処理装置10Bは、タッチパネル17Dにおいて、被験者1又は補助者から直交アーム14の配置及びダンパ18の抵抗力の設定が完了したことを示す入力を受け付ける。
被験者1又は補助者から設定完了を示す入力を受け付けると、処理装置10Bは、被験者1に対し、背中が背凭れ12に沿うように着座部11に着座し、胴体をベルト12Dによって背凭れ12(固定部)に固定するよう指示を行う(ST12)。その後、処理装置10Bは、タッチパネル17Dにボタンを適宜表示し、被験者1又は補助者から固定が完了したことを示す入力を受け付ける。
固定が完了したことを示す入力を受け付けると、処理装置10Bは、基準アーム13を上下方向に移動することによって、上腕(第1杆L)が固定プレート16Cに固定されたときに、上腕骨及び橈骨(又は、尺骨)(第2杆L)の位置が水平な同一の測定面S内となるように、被験者1や補助者に基準アーム13の位置を調整するように指示する。更に、処理装置10Bは、上腕(第1杆L)及び橈骨(又は、尺骨)(第2杆L)のなす角度が90度であり、且つ、肩関節(第1関節J)と手根関節部(肢先端J)とが前後に揃う位置となるように、直交アーム14を基準アーム13に対して前後方向に移動し、スライドユニット15を直交アーム14に対して左右に移動させるとともに、適宜回転して肩関節(第1関節J)の前方においてレール15Aが前後方向に延びるように配置して固定するよう指示する。これにより、図4に示すように、スライドユニット15が肩関節(第1関節J)の前方において前後に延在するように配置されて、且つ、背凭れ12に対して固定された状態となる(ST13)。
その後、処理装置10Bは、前腕を固定プレート16C上に配置して、バンド16Dを用いて固定する指示を表示する。これにより、被験者1が手根関節部を前後に動かすと、手根関節部の移動に伴ってドライブユニット16はレール15Aに沿って前後にスライド移動する。処理装置10Bは、タッチパネル17Dに適宜、ボタンを表示し、基準アーム13、直交アーム14、及びスライドユニット15の位置の設定が完了したことを示す入力を受け付ける。
位置の設定が完了したことを示す入力を受け付けると、処理装置10Bは、エンコーダ19からスライダ16Aの位置を取得して原点Oとした後、被験者1に助走距離を十分に取り、最大限の力を加えて手根関節部を3回、前方に動かすように指示する。被験者1が手根関節部に荷重を加えると、ドライブユニット16はレール15Aに沿って前方に移動する。このとき、助走距離を十分に取られているため、ドライブユニット16が原点Oを通過するときには概ね一定の速度で移動し、6軸力センサ20によって検出されるX軸方向の力F1x及びY軸方向の力F1yは、肢先端Jがドライブユニット16の移動速度で移動したときに被験者1が発揮する出力に対応する。このとき、処理装置10Bは、タッチパネル17Dに6軸力センサ20によって取得した力F1x及びY軸方向の力F1yに基づいて、被験者1が発揮する出力の向きを表示するとよい。これにより、被験者1は正しい向きに力を発揮しているかを確認することができる。
処理装置10Bは、エンコーダ19からスライダ16Aの位置を取得し、スライダ16Aが原点Oを通過するときの、スライダ16Aの速度v、及び、X軸方向の力F1x及びY軸方向の力F1yをそれぞれ3回ずつ取得する(ST14)。これにより、図7に示すように、速度v、X軸方向の力F1x及びY軸方向の力F1yの3つの値からなるデータが3セット取得される。以下、取得された速度v、X軸方向の力F1x及びY軸方向の力F1yのセットを、図8に示すように、速度v、X軸方向の力F1x、Y軸方向の力F1yによって規定される3次元空間上の点とみなして、出力点P1i(i=1,2,3。iは前方向に対する測定が行われた順番を示す)と記載する。
3回の測定が完了すると、処理装置10Bは、ダンパ18の抵抗力を上昇させて同様の測定を行わせることで、ステップST15とは異なるスライダ16Aの速度vにおけるX軸方向の力F1x及びY軸方向の力F1yを取得する(ST15)。より具体的には、処理装置10Bは、ダンパ18の抵抗力を上昇させるように、被験者1及び協力者に指示する。その後、処理装置10Bは、ダンパ18の抵抗力の変更が完了したことを示す入力を受け付ける。ダンパ18の抵抗力の変更が完了したことを示す入力を受け付けると、処理装置10Bは、再度、被験者1に最大限の力を加えて手根関節部を3回、前方に動かすように指示を行う。処理装置10Bは、スライダ16Aが原点Oを通過する度に、スライダ16Aの速度v、及び、X軸方向の力F1x及びY軸方向の力F1y、すなわち、出力点P1i(i=4,5,6)を取得する。
その後、処理装置10Bは、更に、ダンパ18の抵抗力を上昇させて同様の測定を行わせることで、ステップST15及びステップST16とは異なるスライダ16Aの速度vにおけるX軸方向の力F1x及びY軸方向の力F1yを取得する(ST16)。より具体的には、処理装置10Bは、ステップST15と同様に、ダンパ18の抵抗力を上昇させるように被験者1及び補助者に指示する。その後、処理装置10Bは、ステップST15と同様に手根関節部を前方に動かすよう指示を行い、スライダ16Aの速度v、及び、X軸方向の力F1x及びY軸方向の力F1yをそれぞれ3回ずつ、すなわち、P1i(i=7,8,9)を取得する。処理装置10Bは、出力点P1i(i=1~9)の取得が完了すると、前方測定工程を終える。
このように、ダンパ18の抵抗力を変更して、出力点P1i(i=1~9)を取得することによって、実効的に速度の異なる場合の力F1x、及び、F1yをそれぞれ取得することができる。
処理装置10Bは、前方測定工程が完了した後、前方測定工程と同様の処理を行って、被験者1に手根関節部を後方に動かすように指示を行い(ST14~16)、ダンパ18の抵抗力が互いに異なる3つの条件下において、被験者1に手根関節部を後方に3回ずつ動かしたときの、速度v、力F2x、F2y、すなわち、出力点P2i(i=1~9)を取得する。
その後、処理装置10Bは、ST12において直交アーム14を基準アーム13に沿って左右方向に延在するように配置するよう指示を行う点と、ST14~16において被験者1に手根関節部を左方に動かすように指示を行う点を除き、前方測定工程と同様の処理を行う。これにより、処理装置10Bは、ダンパ18の抵抗力が3つの異なる条件下において、被験者1に手根関節部を左方に3回ずつ動かしたときの、速度v、力F3x、F3y、すなわち、出力点P3i(i=1~9)を取得する。
その後、処理装置10Bは、ST12において直交アーム14を基準アーム13に沿って左右方向に延在するように配置するよう指示を行う点と、ST14~16において被験者1に手根関節部を右方に動かすように指示を行う点を除き、前方測定工程と同様の処理を行う。これにより、処理装置10Bは、ダンパ18の抵抗力が互いに異なる3つの条件下において、被験者1に手根関節部を右方に3回ずつ動かしたときの、速度v、力F4x、F4y、すなわち、出力点P4i(i=1~9)を取得し、測定ステップを終える。これにより、処理装置10Bは、上腕の遊端の前方向、後方向、左方向、及び右方向について、2つの異なる速度における面内の出力を取得する。これにより、処理装置10Bは、ステップST1(測定ステップ)を終える。
図5に示すように、ステップST1が完了すると、処理装置10Bは、前方向、後方向、左方向、及び右方向の各方向において、測定ステップにおいて取得した面内の出力、及び、速度に基づいて、各方向における出力と速度との関係を示す関数を算出するステップST2(算出ステップ)を行う。前方向、後方向、左方向、及び、右方向における処理は同様であるため、以下では、前方向における出力と速度との関係を示す関数を算出するための処理について、説明を行い、他の方向については説明を省略する。
処理装置10Bは、測定された出力点P1i(i=1~9)を用いて、対応する方向(前方向)における速度と力との関係を示す関数P(t)を算出する。すなわち、処理装置10Bは、出力点P1i(i=1~9)に基づいて、前方向における力F1x、及び、F1yと速度vとの関係を示す関数を算出する算出手段(算出装置)として機能する。本実施形態では、処理装置10Bは、図7(A)に示すように、前方向の速度と力との関係が以下の一次直線で近似できると仮定し、最小二乗法に基づいて、係数a、b、及びcを算出する。
Figure 0007350678000002
例えば、処理装置10Bは、測定された出力点P1i(i=1~9)を用いて、L、及びNをそれぞれ算出するとよい。
Figure 0007350678000003
但し、Cov(F1x,v)はF1x及び速度vの共分散、Cov(F1y,v)はF1y及び速度vの共分散、及び、sv1 は速度vの分散をそれぞれ表す。その後、処理装置10Bは、以下の式(4)を用いて、F1x0、F1y0、v1y0、a、b、及びcを算出することによって、式(2)で示される速度と力との関係を示す関数を取得するとよい。
Figure 0007350678000004
但し、μF1x、μF1y、及び、μv1はそれぞれ、力F1xの平均値、力F1yの平均値、及び、速度vの平均値を示す。
前方向の速度と力との関係を示す関数P(t)の取得が完了すると、処理装置10Bは、同様の処理を後方向、左方向、及び、右方向のそれぞれについて行い、図7及び図8に示すように、4つの方向についての速度と力との関係を示す一次関数P(t)、P(t)、及びP(t)を取得する。4つの方向における関数の取得が完了すると、処理装置10Bは、ステップST2を終える。
ステップST2が完了すると、図5に示すように、処理装置10Bは、異なる速度における6角形状の最大出力分布Q、Q、Qをそれぞれ導出するステップST3(以下、作成ステップ)を行う。より具体的には、処理装置10Bは、まず、取得した関数P(t)(i=1~4)を用いて、所定の3つの速度v、v、vそれぞれにおける前方向の出力(F1x,F1y)、後方向の出力(F2x,F2y)、左方向の出力(F3x,F3y)、及び右方向の出力(F4x,F4y)をそれぞれ取得する。
次に、処理装置10Bは、3つの速度v、v、vそれぞれに対応する前方向、後方向、左方向、及び右方向の4つの方向の出力を用いて、公知の4点測定法に基づき、図9に示すように、6角形状の最大出力分布Q、Q、Qをそれぞれ求める。
以下に、図10を参照して、4点測定法に基づく、最大出力分布の導出について簡単に説明する。以下の説明では、最大出力分布の導出を行う速度における前方向の出力(F1x,F1y)(以下、F)、後方向の出力(F2x,F2y)(以下、F)、左方向の出力(F3x,F3y)(以下、F)、及び右方向の出力(F4x,F4y)(以下、F)とする。処理装置10Bは、まず、Fを6角形の頂点Aとする(図10(A))。次に、処理装置10Bは、頂点Aを通り関節J(肘関節)及びJ(手根関節部)を結ぶ直線に変更な直線Lと、Fを通りJ(肩関節)及びJ(手根関節部)を結ぶ直線に平行な直線Lの交点を頂点Bとする。同様に、処理装置10Bは、頂点Aを通り、J及びJを結ぶ直線に平行な直線Lと,F通りJ及びJを結ぶ直線と平行な直線Lとの交点を頂点Fとする(図10(B))。
次に、Fを通りJ及びJを結ぶ直線に平行な直線Lと、直線Lとの交点を、頂点Cとする。その後、直線L上の頂点Cから線分AFの長さ(l)だけ離れた点を頂点Dとし、頂点Dを通りJ及びJを結ぶ直線Lと、直線Lとの交点を頂点Eとする(図10(C))。このとき、頂点Aを始点、頂点Fを終点とするベクトルAFと、頂点Cを始点、頂点Dを終点とするベクトルCDとは互いに等しく、且つ、頂点Aを始点、頂点Bを終点とするベクトルABと、頂点Eを始点、頂点Dを終点とするベクトルDEとは互いに等しくなっている。このように、頂点A~Fが求まることによって、それらを結ぶ6角形状の最大出力分布が得られる。
但し、本実施形態では、JがJの前方に位置しているためL及びLはともにY軸に平行であり、肘関節の角度が90度に設定されているため、L及びLはそれぞれXY面内で斜め45度に延びる直線となっている。
ステップST3の後、処理装置10Bは、3つの速度v、v、vそれぞれにおける機能的実効筋力Ff1、Ff2、Ff3、Fe1、Fe2、及びFe3を算出するステップST4(寄与量算出ステップ)を行う。より具体的には、処理装置10Bは、速度v、v、vそれぞれに対応する最大出力分布Q、Q、Qそれぞれから、式(1)に基づいて、各筋の機能的実効筋力Ff1、Ff2、Ff3、Fe1、Fe2、及びFe3を算出する。このとき、処理装置10Bは、各筋の機能的実効筋力Ff1、Ff2、Ff3、Fe1、Fe2、及びFe3を、6角形ABCDEF、及び式(1)に加えて、拮抗する2つの筋力の大きさの比率、例えば、|Ff1|/(|Ff1|+|Fe1|)等に適宜の数値を設定することによって算出してもよい。
ステップST4の後、処理装置10Bは算出された各筋の機能的実効筋力に基づいて、3つの速度v、v、vにおける筋対の実効筋力を算出して表示するステップST5(算出ステップ)を行う。より具体的には、処理装置10Bは、3つの速度v、v、vにおけるそれぞれの第1拮抗一関節筋対e、fの実効筋力|Fe1|+|Ff1|と、第2拮抗一関節筋対e、fの実効筋力|Fe2|+|Ff2|と、拮抗二関節筋対e、fの実効筋力|Fe3|+|Ff3|とを算出する。その後、処理装置10Bは、図11に示すように、タッチパネル17Dにグラフ化して表示する。表示が完了すると、処理装置10Bは、筋力評価処理を終了する。
次に、このように構成した筋力評価方法の効果について説明する。図7には、筋力評価方法に従って測定した場合の(A)前方向の出力P11~P19の速度v、及び、力の前方向成分の大きさの関係、(B)後方向の出力P21~P29の速度v、及び、力の後方向成分の大きさの関係、(C)左方向の出力P31~P39の速度v、及び、力の左方向成分の大きさの関係、及び、(D)右方向の出力P41~P49の速度v、及び、力の右方向成分の大きさの関係がそれぞれ示されている。図7(A)~(D)には、各方向において得られた速度と力との関係を示す関数P(t)~P(t)が破線によって示されている。図7(A)~(D)に示すように、測定によって得られた点が概ね、破線上に位置している。よって、実験で測定した速度付近の区間のみで考えると、前後左右の4つの方向における出力が速度の一次関数での近似できることが確認できる。また、一次関数を用いることによって、出力と速度との関係を示す近似式を容易に算出することができる。また、出力が速度の一次関数で表されることから、各速度における出力を容易に算出することができる。
図7(A)~(D)の破線によって示すように、処理装置10Bは、最小二乗法による近似を行うことによって、測定データから、前後左右の4つの方向それぞれにおける出力と速度との関係を示す関数P(t)、P(t)、P(t)及びP(t)を取得する。これにより、処理装置10Bは、これらの関数を用いて、任意の速度における4方向の出力を取得することができる。
処理装置10Bは、出力と速度との関係を示す関数を用いて、4点測定法に基づいて、任意の速度における最大出力分布を求めることができる。図9には、本実施形態の処理装置10Bによって取得された速度v=0.1m/s、v=0.2m/s、及び、v=0.3m/sのそれぞれにおける最大出力分布Q、Q、及び、Qが示されている。
このように、本発明に係る筋力評価方法では、出力と速度との関係を示す関数を用いて、4点測定法を行うことによって、任意の速度に対する最大出力分布を求めることができる。これにより、任意の速度における各実効筋力を求めることによって、速度に応じた各実効筋力の評価を行うことができる。
図11には、最大出力分布Q、Q、Qに基づいて算出された、速度v、v、及びvのそれぞれにおける第1拮抗一関節筋対e、fの実効筋力|Fe1|+|Ff1|と、第2拮抗一関節筋対e、fの実効筋力|Fe2|+|Ff2|と、拮抗二関節筋対e、fの実効筋力|Ff3|+|Fe3|とが示されている。図11から、第2拮抗一関節筋対e、f(すなわち、肘関節に作用する実効筋群)の実行筋力|Fe2|+|Ff2|の速度の上昇による減少率が、他に比べて大きいことが確認できる。この結果は、肘関節に作用する筋群においては、他の筋群に比べて、遅筋の割合が小さいことが理解できる。すなわち、本発明による筋力評価方法は、速筋・遅筋の割合を知る指標として利用することができる。これにより、競技に合わせた増強すべき筋を特定することができる。よって、本発明に係る筋力評価方法をリハビリテーションやスポーツの筋力評価に活用することによって、より効果的なトレーニングが可能となる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。処理装置10BはステップST1において、4方向の最大出力の取得を行っていたが、この態様には限定されない。処理装置10BはステップST1において、ステップST3において6角形状の最大出力分布を得るために要する最大出力が取得できればいかなる態様であってもよい。より具体的には、例えば、処理装置10BはステップST1において、5以上の方向の最大出力の取得を行って6角形状の最大出力分布を取得してもよく、また、周方向に所定角度ごとに最大出力を取得し、6角形状の最大出力分布を取得してもよい。
上記実施形態では、4方向の出力点を取得し、各速度における6角形状の最大出力分布を得ていたが、この態様には限定されない。処理装置10Bは、例えば、所定の一つの方向、又は複数の方向において、手根関節部を2つ以上の異なる速度で移動させたときの、手根関節部の原点Oにおける出力をそれぞれ取得し、その方向における力と速度との関係を示す関数を算出するように構成してもよい。処理装置10Bが出力する関数は一次関数であるとよく、例えば、式(2)と同様のものであってよい。このとき、処理装置10Bは、タッチパネル17Dに速度に対する出力の変化を示す図7(A)と同様のグラフを表示するとよい。これにより、被験者1及び協力者はその傾きによって、筋力の速度依存性を評価することができる。
上記実施形態では、ダンパ18に設定する抵抗力によって、速度を変えて出力を取得するように構成されていたがこの態様には限定されない。例えば、ドライブユニット16をスライドユニット15に対して所定の速度で移動させるモータを設けてもよい。これにより、ドライブユニット16の移動速度を設定することができるため、手根関節部の移動速度をより細かく設定することができる。これにより、最大出力の速度依存性をより詳細に測定することができる。
但し、本実施形態では、手根関節部に加える抵抗力をダンパ18によって加え、その抵抗力を変えることで、手根関節部の速度を変更している。よって、手根関節部の速度の変更が容易である。また、モータによって手根関節部を移動させる場合に比べて、被験者1は上腕を自らの意思で動かすことができるため、筋力評価時に被験者1に与えうる不安感を低減することができる。
上記実施形態において、筋力特性評価方法は被験者1の右側の上肢2の筋力の特性を評価するために用いられていたが、被験者1の右側の上肢2に限定されず、被験者1の左側の上肢2、又は、被験者1の左右いずれかの下肢であってもよい。また、上記実施形態において測定面Sは略水平をなすように設定されていたが、この態様には限定されず、例えば、測定面Sは略鉛直をなすように設定されていてもよい。また、筋力評価測定方法は動物、例えば、馬、牛、犬等の動物の筋力を評価するために用いられてもよい。
3 :肢体
10 :筋力特性評価装置
10A :取得装置(取得手段)
10B :処理装置(算出装置、算出手段)
、F、F、F :最大出力
f1、Ff2、Ff3、Fe1、Fe2、Fe3:機能的実効筋力
:第1関節(肩関節)
:第2関節(肘関節)
:肢先端(手根関節部)
:第1杆
:第2杆
S :測定面
、e :第1拮抗一関節筋
、e :第2拮抗一関節筋
、e :拮抗二関節筋

Claims (8)

  1. 第1関節により支持された基端を有する第1杆と前記第1杆の遊端に第2関節を介して支持された第2杆とを有する被験者の肢体の筋群モデルに基づいて筋力特性を評価する筋力特性評価方法であって、
    前記被験者が、前記第2杆の遊端を、前記両杆により画定される面内の少なくとも2つの方向それぞれに2つ以上の異なる移動速度で所定の基準点を通過するように複数回移動させたときに、前記被験者が前記第2杆の遊端を移動させるたびごとに、取得装置が前記基準点における前記移動速度と前記第2杆の遊端における出力との組を取得するステップと、
    処理装置が、前記移動速度と前記出力との複数の組を用いて、前記方向それぞれにおける前記出力と前記移動速度との関係を示す関数を算出するステップと、
    前記処理装置が、前記関数に基づいて、所定速度における前記出力を取得し、前記筋群モデルを用いて前記所定速度における前記筋力特性の評価を行うステップと、を含むことを特徴とする筋力特性評価方法。
  2. 前記移動速度と前記出力との組を取得するステップは、前記被験者が前記第2杆の遊端を、前記両杆により画定される面内の少なくとも4つの異なる方向それぞれに2つ以上の異なる前記移動速度で前記基準点を通過するように複数回移動させるステップを含み、
    前記筋力特性の評価を行うステップは、前記処理装置が、前記第1関節を跨ぐ第1拮抗一関節筋対、前記第2関節を跨ぐ第2拮抗一関節筋対、及び前記両関節を跨ぐ拮抗二関節筋対からなる前記筋群モデルの各筋の寄与に対応する6角形の最大出力分布を作成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の筋力特性評価方法。
  3. 前記筋力特性の評価を行うステップは、前記処理装置が、前記最大出力分布から前記筋群モデルの各筋の寄与量を算出するステップを更に含むことを特徴とする請求項2に記載の筋力特性評価方法。
  4. 前記出力と前記移動速度との関係を示す前記関数が一次関数であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載の筋力特性評価方法。
  5. 前記第2杆の遊端が2つ以上の異なる前記移動速度で移動可能となるように、前記取得装置が前記第2杆の遊端に対して異なる値の抵抗力を付与可能に構成されていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1つの項に記載の筋力特性評価方法。
  6. 第1関節により支持された基端を有する第1杆と前記第1杆の遊端に第2関節を介して支持された第2杆とを有する被験者の肢体の筋群モデルに基づいて筋力特性を評価する筋力特性評価装置であって、
    前記被験者が、前記第2杆の遊端を前記両杆により画定される面内の少なくとも2つの方向それぞれに、2つ以上の異なる移動速度で所定の基準点を通過するように複数回移動させたときに、前記被験者が前記第2杆の遊端を移動させるたびごとに、前記基準点における前記移動速度と前記第2杆の遊端における出力との組を取得する取得装置と、
    前記移動速度と前記出力との複数の組を用いて、前記方向それぞれにおける前記出力と前記移動速度との関係を示す関数を算出し、前記関数に基づいて、所定速度における前記出力を取得し、前記筋群モデルを用いて前記所定速度における前記筋力特性の評価を行う処理装置とを備えることを特徴とする筋力特性評価装置。
  7. 前記処理装置は、前記出力と前記移動速度との関係を示す前記関数として、一次関数を用いることを特徴とする請求項6に記載の筋力特性評価装置。
  8. 前記取得装置は、
    前記被験者を固定する固定部と、
    前記固定部に固定されたスライドユニットと、
    前記スライドユニットに前記方向にスライド移動可能に設けられたドライブユニットと、
    前記ドライブユニットに設けられ、前記出力を検出するセンサと、
    前記スライドユニットと、前記ドライブユニットとの間に設けられたダンパとを有し、
    前記第2杆遊端に対して複数の抵抗力を加えることによって、前記被験者が前記第2杆の遊端を2つ以上の前記移動速度で移動可能とすべく、前記ダンパの抵抗力は可変であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の筋力特性評価装置。
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