JP4273184B2 - リン酸測定方法とその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試料水中に含まれるリン酸の濃度を測定するためのリン酸測定方法とその装置に関するものである。更に詳しくは、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬と還元剤試薬とを個別又は同時に試料水に混合して発色反応を促進したリン酸測定方法とその装置に関するものである。
工業用水、生活排水、環境水、海水中等には、窒素やリン酸が含まれており、富栄養化により水が汚れるのを防止するため環境基準等が定められ、又、排水規制等が行われている。この基準、即ち日本工業規格(JIS)に水中のリン酸の濃度を測定する方法が規定され、一般的にはこの基準に基づき可否の判定を行っている。このJISの規定は、測定物質と発色試薬の発色反応を利用するもので、モリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法等が知られている。
リン酸化合物から区分されたリン酸イオン(PO 3-)については、前述のモリブデン青吸光光度法が適用される。このモリブデン青吸光光度法は、試料に硫酸酸性のモリブデン酸アンモニウムの溶液を加え、生じたモリブドリン酸(リンモリブデン酸)を塩化すずで還元してモリブデン青を発色させる方法である。モリブデン酸アンモニウム溶液の調整は、希硫酸をかき混ぜながら、これにモリブデン酸アンモニウムの溶液を加える。塩化すずの小粒を加えておけばこの溶液は20日間以上使用できる。
モリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法による測定は、分光光度計または光電光度計が使用される。操作は、試料の適量をメスシリンダーにとり、水を25mlの標線まで加える。次にモリブデン酸アンモニウムとアスコルビン酸とを混合した溶液2mlを加えて振り混ぜた後、20〜40℃で、約15分間放置する。溶液の一部を吸収セルに移し、波長880nm付近の吸光度を測定する。空試験として水25mlをとり、前述同様の操作を行って吸光度を測定し、試料について得た吸光度を補正する。
検量線からリン酸イオンの量を求め、試料中のリン酸イオンの濃度を算出する。このリン酸測定については、JISの規定技術を発展させた測定技術も種々開示されている。例えば、試料水に紫外線を照射し、リン酸化合物をリン酸イオンに酸化分解して測定するもの(特許文献1)、試料水に硫酸を添加し、紫外線の照射と通気を行って測定するもの(特許文献2)等が知られている。
特開平11−37990号公報 特開2003−14724号公報 特開2003−202330号公報
水中のリン酸イオンを測定する上において、従来のJISを中心とする測定技術では、リン酸イオンとモリブデン酸との反応によるモリブドリン酸生成(発色反応)の速度が遅く、混合溶液を所定温度で15分間放置しなければならない等、測定条件を整えるまでに長時間を要している。又、測定用試薬であるモリブデン酸塩とアスコルビン酸との溶液は安定性や保存性に問題が指摘されている。一方、光酸化分解法や熱分解法においては、リン化合物の種類によって分解率や分解時間にばらつきがあるといわれている。
このような環境保全に関わる測定は、現場で即座に行われ結果を正確に表示することが理想である。本発明は、このような従来の技術背景に基づき鋭意研究を重ねた結果、従来使用されているリン酸イオン測定用発色試薬である硫酸酸性でモリブデン酸塩が溶解した溶液に、ビスマス塩を溶解させることにより、リン酸イオンとモリブデン酸との反応によるモリブドリン酸生成を促進し、発色反応を速めることにより従来の問題点を解決したものである。又、生じたモリブドリン酸を還元してモリブデン青を発色させるアスコルビン酸を溶解した溶液である還元剤試薬を、リン酸イオン測定用発色試薬と分離することにより、試薬の調製が容易で長期間安定になる。本発明の目的は、以下に集約される。
本発明の目的は、測定すべき試料水のリン酸濃度を常温下で、反応速度が速くかつ容易に測定可能とするリン酸測定方法とその測定装置の提供にある。
本発明の他の目的は、測定すべき試料水のリン酸濃度を測定するための試薬の調整が容易で、かつ長期間安定できるリン酸測定方法とその測定装置の提供にある。
[リン酸測定方法]
本発明は、上記目的を達成するために次の手段を採る。即ち、以下の本発明1ないし3のリン酸測定方法は、試料水中のリン酸イオン(PO 3-)を定量する測定方法である。
本発明1のリン酸測定方法は、試料水、ビスマス塩を含むモリブデン酸塩のリン酸イオン測定用発色試薬、及び還元剤試薬を混合して発色反応させて、この発色反応させた発色反応溶液の光透過率を測定して、前記試料水のリン酸イオンの濃度を測定することを特徴とする。
本発明2のリン酸測定方法は、キャリヤーに所定量の試料水を注入する注入工程と、前記キャリヤーに注入された試料水にビスマス塩を含むモリブデン酸塩のリン酸イオン測定用発色試薬と還元剤試薬を混合する混合工程と、この混合した混合溶液を発色反応させる発色反応工程と、この発色反応させた発色反応溶液の光透過率を測定する測定工程とからなる。
本発明3のリン酸測定方法は、キャリヤーに溶解させた還元剤試薬に所定量の試料水を注入する注入工程と、前記注入工程後の前記キャリヤー、前記還元剤、及び前記試料水にビスマス塩を含むモリブデン酸塩のリン酸イオン測定用発色試薬を混合する混合工程と、この混合した混合溶液を発色反応させる発色反応工程と、この発色反応した発色反応溶液の光透過率を測定する測定工程とからなる。
本発明1〜3のリン酸測定方法は、試料水に、例えば、従来使用されている硫酸酸性でモリブデン酸アンモニウムが溶解した溶液に、更にビスマス塩を含むモリブデン酸塩を溶解させたリン酸イオン測定用発色試薬を添加したことで、短時間に測定結果を得ることができるようになったものである。
本発明3のリン酸測定方法は、予めキャリヤーと還元試薬とを混合又は溶解しておく点に特徴がある。同様に、本発明1又は2のリン酸測定方法においても、アスコルビン酸粉末、又はアスコルビン酸溶液等の還元剤試薬と、ビスマス塩を含むモリブデン酸塩のモリブデン酸溶液と混合するタイミングは、測定する直前が好ましい。また、測定するときは、常温での測定が好ましい。ビスマス塩を含むモリブデン酸塩のモリブデン酸水溶液と、アスコルビン酸水溶液等の還元試薬を別々にすることにより、リン酸イオン測定用発色試薬が長時間安定となる。
即ち、リン酸イオン測定用発色試薬をアスコルビン酸等の還元剤と同時に混合すると、時間の経過に伴い脱色して発色反応がなくなるおそれがある。これを解消するため前述のように、予め試料水にアスコルビン酸等の還元剤を入れた水等のキャリヤーと、ビスマス塩を含むモリブデン酸塩のモリブデン酸水溶液を別々に安置しておくと、そのおそれがなくなり安定する。
本発明でいうキャリヤーは、試料水を移送、又は希釈するために用いるものであり、具体的には水、アルコール等のように試薬類と反応性がないものを意味する。安価で取り扱いが容易で、環境に負荷をかけないものが好ましい。
[リン酸イオン測定用発色試薬]
前記ビスマス塩を含むモリブデン酸塩のリン酸イオン測定用発色試薬は、ビスマス塩を含むモリブデン酸塩である。このモリブデン酸塩は、モリブデン酸アンモニウム((NHMoO)、モリブデン酸ナトリウム(NaMoO)等である。前記リン酸イオン測定用発色試薬は、硫酸酸性でモリブデン酸塩を溶解した溶液(以下、ビスマス塩を含むモリブデン酸溶液)と、アスコルビン酸等の水溶液である還元剤試薬とを別個に添加する方法であり、測定すべき試料水のリン酸濃度を常温のもと短時間で容易に測定可能とする。
[還元試薬]
本発明に用いる還元剤試薬は、還元剤として常用されている塩化スズ(SnCL)、ヒドラジン(N)、ヒドロキノン(C(OH))、アスコルビン酸(C)等の中から1種以上用いることができる。環境への負荷、安全性、入手の容易性、経済的な観点からはアスコルビン酸が好ましい。具体的には、アスコルビン酸(C)水溶液、アスコルビン酸粉末である。アスコルビン酸水溶液を単独、又はアスコルビン酸粉末を水、アルコール等のキャリヤーに溶かして使用するのが好ましい。
[光透過率の測定]
前記光透過率(吸光度)の測定は、光源が発光ダイオードでありフォトダイオードを受光器とする測定装置による測定であると良い。この測定のキャリブレーションは、前記測定工程の後に、測定結果を演算処理し基準値との比較処理を行う比較処理工程が行う良い。前記発光ダイオードのピーク波長は、700nmから900nmの範囲で測定可能である。好ましくは、前記発光ダイオードのピーク波長は、800nmから890nmの範囲が精度良く計測できる。
[リン酸測定装置]
本発明のリン酸測定装置は、所定量に検量されリン酸イオンを含む試料水の試料水注入部と、前記試料水に加える還元剤試薬を貯蔵するための還元剤試薬容器と、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬を貯蔵するための発色試薬容器と、前記試料水、前記還元剤試薬、及び前記リン酸イオン測定用発色試薬を混合する混合部と、前記混合された前記試料水の発色反応溶液の光透過率を測定する測定部とからなると良い。
前記試料水に加えるためのキャリヤーを貯蔵するためのキャリー貯蔵タンクを備えていると良い。前記試料水注入部は、切り換えバルブを介して複数の所定量のサンプルを貯蔵でき、かつ測定できる利点がある。前記測定装置により測定された結果を、コンピュータにより基準値との比較演算処理を行うとより正確なデータをえることができる。
前記コンピュータは、前記試料水による測定結果をリン酸濃度が0である場合とリン酸濃度が既知である場合との比較で比較演算処理を行う装置であると良い。リン酸濃度が0であるとの想定は、例えば蒸留水、イオン交換水等のようにリン酸イオンを含まない純水に前述した試薬を混合したものの測定値を用いると良い。
以上本発明の手段について説明したが、更に具体的な構成についての説明は、以下の「発明を実施するための最良の形態」で詳述する。
以上詳記したように、本発明のリン酸測定方法とその測定装置は、試薬の調製が容易でかつ長期間安定である。この結果、効率的に測定を行うことができ、測定効率を向上させることができる。又、フローインジェクション分析法(FIA法)を採用していることで、各種形態のリン酸イオンの測定が自動的に行い易くなり、高感度、高精度で測定結果に個人差がなく、一定の測定結果を得ることとなった。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬を用いて、試料水中のリン酸イオンを定量するためのリン酸測定システムの概要を示すフロー図である。このリン酸測定システムは、測定のためのキャリヤー3である水がタンクに貯蔵されている。また、リン酸イオン測定用発色試薬3aもタンク等に貯蔵されている。試料水は、キャリヤー3と4方バルブ2Aから所定量供給され、これと混合されて移送される。
キャリヤー3、試料水、及びリン酸イオン測定用発色試薬3aは、定量ポンプ(図示せず)等で所定量、及び所定のタイミングで供給することができる。アスコルビン酸等の還元剤は、予め試料水に添加して混合しておく。図2は、リン酸測定システムに6方バルブを適用した場合を示している。図1のリン酸測定システムと異なる点は、複数のサンプルを連続的に測定できる点で図1のシステムと異なるが、他の点は実質的には同一である。
本発明の基本的な測定システムは、図1及び図2に示すとおりであり、試料水1は4方バルブ2A、又は6方バルブ2Bを介して供給される。図1のリン酸測定システムは、4方バルブ2Aの場合には、試料水は一定量の試料水1として検量される。6方バルブ2Bの場合にも、試料水は一定量の試料水1として検量される。以下6方バルブ2Bの場合の測定システムを中心に説明する。試料水1は6方バルブ2Bのポート2aから供給され、供給口2f、2c、2bにより一定量検量される。供給された余分の試料水1は排水用のポート2bから6方バルブ2B外に排水Wが排水される。6方バルブ2Bは6つのポートを有していて2つのポートが各々交互に使用される。この6方バルブ2Bは回転するので、この回転でポートの切り替えを行う。
このポートの切り替えにより試料水1はタンクからキャリヤー3が、供給口2e,2f,2c,2dを流れることにより一定量がT位置にもたらされる。T位置は、試料水、還元剤、及びリン酸イオン測定用発色試薬が混合されて発色する空間、又は部分を意味する。一定量とは、弗素樹脂チュ−ブの長さに相当する量である。キャリヤー3はペリスタルポンプにより細い弗素樹脂チューブにより連続的に流れるようになっている。
このキャリヤー3は、蒸留水又は還元剤試薬である。6方バルブ2Bの回転に伴い、このT位置で試料水1はビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3aと還元剤試薬3bとが混ぜられ混合溶液4となる。このビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3aは、硫酸酸性でモリブデン酸塩とビスマス塩とを溶解した溶液である。還元剤試薬3bはアスコルビン酸水溶液である。このように6方バルブ2Bを適用することで、試料水1の検量を自動的に行うことができ能率的である。
試料水1に、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3aと還元剤試薬3bとが加わった混合溶液4が、反応コイル(RC)5を通過し、室温状態で検出器6にもたらされる。試料水1中のリン酸イオンと、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3a及び還元剤試薬3bとの混合溶液4を、発色反応させ測定するのである。リン酸イオンとビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3aがビスマス塩を含有することで、室温でも瞬間的にリン酸イオンとモリブデン酸との反応が起こり容易にモリブドリン酸を生成(発色反応)することができる。この反応にはビスマス塩の他にアンチモン塩でも効果的であった。しかし、アンチモン塩に比べてビスマス塩のほうがより効果的であった。
従って、リン酸イオン測定用発色試薬がビスマス塩を含むことにより、ほぼ室温でも短時間でリン酸測定が可能となる発色反応溶液となる。リン酸イオンとモリブデン酸との反応によるモリブドリン酸生成(発色反応)が促進され、従来に比し室温で瞬間的にこの反応を行うことができることが特徴である。又、図示していないが、試料水1、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3a等の供給は、ポンプまたはシリンダー等のアクチュエータによって行われる。
本発明のビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3aは、硫酸、モリブデン酸塩とビスマス塩とを含有する溶液である。その調製法を具体的に説明する。蒸留水に硫酸を冷却しながら混合し、これにモリブデン酸塩を加えて良く溶解させる。これに硝酸ビスマス(Bi(NO・5HO)溶液を加えて、最後に蒸留水を加えてビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3aとする。効果的な発色反応には、この試薬の硫酸濃度は0.10〜0.40モルL−1の範囲がよく、好ましくは0.20〜0.30モルL−1の範囲がよい。モリブデン酸塩の濃度は、0.4%近傍以上で効果的な発色反応を示したが、0.4%より増えても顕著な向上はみられなかった。
ビスマス塩としては、硝酸塩の他、塩酸塩等を使用することができる。リン酸濃度を高感度に測定するには、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3a中のビスマスの濃度は0.05〜0.5%の範囲であるのが好ましい。より好ましくは0.05〜0.2%の範囲がよい。本実施の形態の還元剤試薬3bは、アスコルビン酸水溶液である。その調製法を挙げて具体的に説明する。蒸留水にアスコルビン酸粉末を加えて良く溶解して還元剤試薬とする。効果的な還元反応には、アスコルビン酸水溶液の濃度は0.7%以上であればよい。
また、図に示すように、試料水測定直前に還元剤試薬3bであるアスコルビン酸粉末を溶解するか、又はアスコルビン酸水溶液を加えたビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3aを、試料水に添加してもよい。この場合でも、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3aがビスマス塩を含むことにより、ほぼ室温でも短時間でリン酸測定が可能となる発色反応溶液となる。リン酸イオンとモリブデン酸との反応によるモリブドリン酸生成(発色反応)が促進され、従来に比し室温で瞬間的にこの反応を行うことができることが特徴である。還元剤試薬3bの長時間の安定性を考慮すれば、還元剤試薬3bはアスコルビン酸粉末である方がより好ましい。
この試料水測定直前に調製される還元剤を含み、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬は、硫酸、モリブデン酸塩、アスコルビン酸、ビスマス塩を含有する溶液である。その調製法を挙げて具体的に説明する。ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3aに、アスコルビン酸粉末又はアスコルビン酸水溶液を加えて、最後に蒸留水を加えて還元剤試薬3bを含んだビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬とする。効果的な発色反応には、この試薬の硫酸濃度は0.10〜0.40モルL−1の範囲がよく、好ましくは0.20〜0.30モルL−1の範囲がよい。モリブデン酸塩の濃度は、0.4%近傍以上がよい。また、効果的な還元反応には、アスコルビン酸の濃度0.7%以上になるように調製するのがよい。
還元剤を含みビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬の場合でも、ビスマス塩としては、硝酸塩の他、塩酸塩、などを使用することができる。リン酸濃度を高感度に測定するには、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3a中のビスマスの濃度は、0.05〜0.5%の範囲であるのが好ましい。より好ましくは0.05〜0.2%の範囲がよい。この場合でも発色反応にはビスマス塩の他にアンチモン塩が効果的であった。しかし、アンチモン塩に比べてビスマス塩のほうがより効果的であった。
検出器6は図3に示すように、発光部を発光ダイオード6aとし、受光部をフォトダイオード6bとしたものである。発光ダイオード6aは、700〜900nmの波長のものであり、好ましくは800〜890nmである。光路長さは1〜50mmの範囲である。発色反応溶液(サンプル)は、図3に示すように発光ダイオード6a側からフォトダイオード6b側に流される。この途中の光路Cでリン酸イオンの濃度を測定する。この流れる過程で光を入射させる。
この濃度測定は、発色反応溶液の光透過率を測定するものである。この測定装置を通過した発色反応溶液は検出器6外に排水Wとして排水される。発色反応溶液は排水されるが、測定結果はデータとして信号増幅器を経てコンピュータ7に送られ比較演算処理される。コンピュータ7はデータの取り込みを行う入出力部7aと、データの演算処理を行うCPU7bと、データの保管を行うメモリー部7cと、測定結果を表示する表示部7dとから構成されている。
このコンピュータ装置は比較的小型に構成できるので、前述した装置を含めて現場で使用可能なコンパクトなシステム装置とすることができる。このコンピュータ7でのデータ処理においては、連続的にデータを取り込む。先ず、一定温度の発色反応溶液が純水で、リン酸イオンを含まず、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3aと還元剤試薬3bとの混合溶液4の光透過率を測定する。
次に、同様に発色反応溶液のリン酸濃度が既知である溶液と、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3a及び還元剤試薬3bとの混合溶液4の光透過率を測定する。次に、試料水1と、ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬3a及び還元剤試薬3bとの混合溶液4の光透過率を測定する。各々のデータをコンピュータ7に取り込む。このように予め取り込まれたデータに従い試料水1のデータを比較し演算処理を行う。このように、本実施の形態ではビスマス塩を添加したことで、試料水の取り込みから測定結果を得るまでの一貫した工程の中で常温でも、短時間(1〜2分間)で測定処理ができるようになった。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明の具体的構成はこの実施例に限定されないことはいうまでもない。
本発明の硝酸ビスマスを含むリン酸イオン測定用発色試薬を用い、図に示した本発明のビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬と、還元剤試薬が分離されたリン酸濃度測定方法及び測定システムによって各試料水のリン酸濃度の測定感度が測定された。その結果は図5に吸光度の測定結果で示した。ビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬の硫酸濃度は0.25モルL−1、モリブデン酸アンモニウムの濃度は0.4%、硝酸ビスマス濃度は0.1%であった。また還元剤試薬の硫酸濃度は、アスコルビン酸の濃度は0.7%であった。リン酸測定中の白色反応、還元反応は常温、常圧下で行われた。この結果、図5に示されるように感度の高い測定結果が得られた。
[比較例1]
ビスマスを含有しないリン酸イオン測定用発色試薬を用い、比較のため実施例1と同様のリン酸濃度測定方法及び測定システムによって、各試料水のリン酸濃度の測定感度を測定した。結果は実施例1の結果と同様の傾向で示されたが、実施例1におけるビスマスを含むリン酸イオン測定用発色試薬に比し感度が低い結果になっている。
[結果と考察]
硝酸ビスマスを添加したリン酸イオン測定用発色試薬の場合と、ビスマス塩を添加しないリン酸イオン測定用発色試薬の場合とを比較すると、図4に示すように、ビスマス塩を含む溶液の場合は、リン酸の濃度はピークの長さが顕著に大きくなり、リン酸イオン測定用発色試薬にビスマスを添加することによりリン酸濃度を高感度で測定できることが確認できた。また、図に示すシステムによって、還元剤を含みビスマス塩を含むリン酸イオン測定用発色試薬を用いたリン酸測定の場合でも、ビスマス塩が含まれていると、実施例1と同様な高感度でリン酸濃度を測定することができた。
図1は、4方バルブを用いた本発明のリン酸測定システムの実施の形態1を示すフロー図である。 図2は、6方バルブを用いた本発明のリン酸測定システムの実施の形態2を示すフロー図である。 図3は、検出器の構成図である。 図4は、ビスマス塩添加の効果を示す図である。 図5は、リン酸の測定結果を示すデータ図である。
符号の説明
1…試料水
2A…4方バルブ
2B…6方バルブ
3…還元剤(アスコルビン酸)溶液、(蒸留水)
3a…ビスマス塩を含むモリブデン酸塩試薬溶液、(還元剤(アスコルビン酸)溶液とビスマス塩を含むモリブデン酸塩試薬溶液)
3b…還元剤試薬
4…混合溶液
5…反応コイル
6…検出器
7…コンピュータ

Claims (13)

  1. 試料水、ビスマス塩を含むモリブデン酸塩のリン酸イオン測定用発色試薬、及び還元剤試薬を混合して発色反応させて、この発色反応させた発色反応溶液の光透過率を測定して、前記試料水のリン酸イオンの濃度を測定する
    ことを特徴とするリン酸測定方法。
  2. キャリヤーに所定量の試料水を注入する注入工程と、
    前記キャリヤーに注入された試料水にビスマス塩を含むモリブデン酸塩のリン酸イオン測定用発色試薬と還元剤試薬を混合する混合工程と、
    この混合した混合溶液を発色反応させる発色反応工程と、
    この発色反応させた発色反応溶液の光透過率を測定する測定工程と
    からなるリン酸測定方法。
  3. キャリヤーに溶解させた還元剤試薬に所定量の試料水を注入する注入工程と、
    前記注入工程後の前記キャリヤー、前記還元剤、及び前記試料水にビスマス塩を含むモリブデン酸塩のリン酸イオン測定用発色試薬を混合する混合工程と、
    この混合した混合溶液を発色反応させる発色反応工程と、
    この発色反応した発色反応溶液の光透過率を測定する測定工程と
    からなるリン酸測定方法。
  4. 請求項1ないし3から選択される1項に記載のリン酸測定方法において、
    前記還元剤試薬は、アスコルビン酸水溶液及び/又はアスコルビン酸粉末である
    ことを特徴とするリン酸測定方法。
  5. 請求項1ないし3から選択される1項に記載のリン酸測定方法において、
    前記光透過率の測定は、光源が発光ダイオードでありフォトダイオードを受光器とする測定装置による測定である
    ことを特徴とするリン酸測定方法。
  6. 請求項2、又は3に記載のリン酸測定方法において、
    前記測定工程の後に、測定結果を演算処理し基準値との比較処理を行う比較処理工程が行われる
    ことを特徴とするリン酸測定方法。
  7. 請求項に記載のリン酸測定方法において、
    前記発光ダイオードのピーク波長は、700nmから900nmである
    ことを特徴とするリン酸測定方法。
  8. 請求項に記載のリン酸測定方法において、
    前記発光ダイオードのピーク波長は、800nmから890nmであることを特徴とするリン酸測定方法。
  9. 所定量に検量されリン酸イオンを含む試料水の試料水注入部と、
    前記試料水に加える還元剤試薬を貯蔵するための還元剤試薬容器と、
    ビスマス塩を含むモリブデン酸塩のリン酸イオン測定用発色試薬を貯蔵するための発色試薬容器と、
    前記試料水、前記還元剤試薬、及び前記リン酸イオン測定用発色試薬を混合する混合部と、
    前記混合された前記試料水の発色反応溶液の光透過率を測定する測定部と
    からなるリン酸測定装置。
  10. 請求項に記載のリン酸測定装置において、
    前記試料水に加えるためのキャリヤーを貯蔵するためのキャリー貯蔵タンクを有する
    ことを特徴とするリン酸測定装置。
  11. 請求項に記載のリン酸測定装置において、
    前記試料水注入部は、切り換えバルブを介して複数の所定量のサンプルを貯蔵できる
    ことを特徴とするリン酸測定装置。
  12. 請求項に記載のリン酸測定装置において、
    前記測定装置により測定された結果をコンピュータにより基準値との比較演算処理を行う
    ことを特徴とするリン酸測定装置。
  13. 請求項12に記載のリン酸測定装置において、
    前記コンピュータは、前記試料水による測定結果をリン酸濃度が0である場合とリン酸濃度が既知である場合との比較で比較演算処理を行う装置である
    ことを特徴とするリン酸測定装置。
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