以下、本発明にかかる粒子状吸水性樹脂の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明にかかる粒子状吸水性樹脂の製造方法は、吸水性樹脂の粉末に水分を供給して前記粉末を互いに結着させる工程(一体化工程)と、前記粉末の結着物から吸水性樹脂の造粒粒子を得る工程(粒子化工程)と、を含む粒子状吸水性樹脂粒子の製造方法において、前記水分は水蒸気の状態で供給することを特徴とする。
本発明の製造方法においては、上記一体化工程と粒子化工程とは、その実施方法および実施条件等が互いに異なり明確に区別できる関係であってもよいし、実質的にその実施方法および実施条件等が同じであり両工程を合わせて一工程と認めることのできる関係であってもよく、特に限定はされない。詳しくは後に説明するが、例えば、撹拌下で吸水性樹脂の粉末に水分(水蒸気)を供給する実施形態においては、該粉末どうしの結着と造粒粒子の生成とが実質的に同時に(実質的に一工程で)行われることがあり、この場合、上述した一工程と認めることのできる関係に当たると言える。
(一体化工程)
本発明でいう一体化工程では、吸水性樹脂の粉末に水分を供給しこの粉末を互いに結着させる(一体化させる)にあたり、上記水分を水蒸気の状態で供給するようにする。水蒸気により水分供給を行うことにより、液体の状態で水分を供給する場合に比べ、吸水性樹脂の粉末に均一かつ効率的に水分添加を行うことができ、結果として、少ない水分量で従来と同様の結着状態を実現することができる。
本発明の製造方法において対象とする吸水性樹脂は、水膨潤性かつ実質水不溶性の架橋重合体で、アニオン性、ノニオン性またはカチオン性の実質水不溶性ヒドロゲルを形成する従来公知の水膨潤性架橋重合体である。なお、水膨潤性とは、イオン交換水中において必須に自重の5倍以上、好ましくは50倍から1000倍という多量の水を吸収することを指す。実質水不溶性とは吸水性樹脂中の水可溶性成分(水溶性高分子)が0〜50質量%、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下のことを指す。
上記吸水性樹脂としては、用途に応じて従来公知の樹脂から適宜採用可能であり、特に限定はされないが、ポリアクリル酸部分中和物重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カルボキシル基含有架橋ポリビニルアルコール変性物、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等の1種または2種以上を好ましく挙げることができる。なかでも、カルボキシル基を含有する親水性架橋重合体がより好ましい。この親水性架橋重合体としては、例えば、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする親水性不飽和単量体を(共)重合(以下、単に「重合」と称する。)させることにより得られるポリアクリル酸部分中和物重合体が好ましい。
上記親水性架橋重合体は、該架橋重合体中の酸基のうち、例えば、30〜100モル%がアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム塩等)や、アンモニウム塩、アミン塩等によって中和されていることが好ましく、より好ましくは50〜90モル%、さらに好ましくは60〜80モル%である。この酸基の中和に関しては、該架橋重合体を得る前の親水性不飽和単量体を調製する段階で予め中和しておいてから重合反応を開始してもよいし、重合中あるいは重合反応終了後に得られた該架橋重合体の酸基を中和してもよいし、これらの態様を併用してもよく、特に限定はされない。
本発明でいう吸水性樹脂の粉末とは、基本的には、(a)吸水性樹脂一次粒子と称される、実質未造粒の吸水性樹脂の粉末であり且つ少々の力をかけても壊れない単一粒子であって、例えば分級操作や輸送(搬送)操作によって壊れないもの、を言う。また、本発明の製造方法は、吸水性樹脂の粉末が、上記(a)のような吸水性樹脂一次粒子ではなく、(b)上記吸水性樹脂一次粒子が、最終的に得ようとする粒子状吸水性樹脂の所望粒径よりも小さい粒径範囲で結着され適宜造粒された小粒子、である場合にも同様に好ましく適用できる。
上記吸水性樹脂の粉末は、本発明の目的が達成できる程度の粒子状であればよく、その大きさは特に限定はされない。得られる粒子状吸水性樹脂の吸水諸特性を考慮すると、上記粉末平均粒子径は、例えば、10〜850μmであることが好ましく、より好ましくは105〜850μm、さらに好ましくは150〜800μm、特に好ましくは200〜600μmであり、加えて1000μmを超える大きな粒子を実質的に含まないことが最も好ましい。上記粉末の平均粒子径が105μm未満であると、得られる粒子状吸水性樹脂を吸水剤として用いた場合に通液性等が悪くなるおそれがあり、850μmを超えると、吸水速度が小さくなるおそれがある。また、上記粉末末の平均粒子径が大きすぎると、得られる粒子状吸水性樹脂を吸水剤として衛生材料に用いた場合に、該衛生材料の使用者に物理的な異物感を与えることがある。
上記吸水性樹脂の粉末の形状は、特に限定はされず、逆層懸濁重合等で得られた球形や水溶液重合等で得られた不定形のものが好適に用いられる。
上記吸水性樹脂の粉末の由来は、特に限定はされず、例えば、吸水性樹脂の製造工程で除去された粉末、具体的には、重合、乾燥および粉砕等の工程後に分級工程を施した場合に該分級により除かれた粉末が例示される。また、高吸収速度等を目的物性とする場合のように、意図的に重合ないし粉砕等の工程での各種条件を調整して上記粉末のみとなるようにして得たものであってもよい。
上記吸水性樹脂の粉末は、すでに表面架橋処理されたものであってもよい。表面架橋処理が施された粉末を用いることにより、後述する粒子化工程後、あらためて表面架橋処理を行わなくとも、粒子化工程後の造粒粒子に表面架橋処理したものと同様の物性を発揮させることができる。
一体化工程において、吸水性樹脂の粉末を互いに結着させる方法としては、特に限定はされないが、大別すると、上記粉末を互いに結着させるがこれと共に造粒粒子を直接得ることにもなる方法(A)、および、上記粉末を互いに結着させることにより一旦吸水性樹脂の塊状物を得る方法(B)が挙げられる。前者の方法(A)では、後述する粒子化工程をも同時に行っていることとなり、後者の方法(B)では、造粒粒子は後述する粒子化工程により得ることとなる。いずれの方法においても、吸水性樹脂の粉末を互いに結着させる際は、前述したように水蒸気により水分供給を行う。
一体化工程において供給する水蒸気は、飽和水蒸気であることが好ましく、具体的には0.11MPa以上(102℃以上)の飽和水蒸気であることがより好ましく、さらに好ましくは0.12MPa以上(105℃以上)の飽和水蒸気である。飽和水蒸気で水分供給を行うことにより、短時間で且つ効率的に吸水性樹脂の粉末全体に水分を供給することができたり、強度の高い造粒粒子を得ることができる等といった優れた効果が得られる。
以下に、上記方法(A)および方法(B)において一体化工程を行う場合について、それぞれ具体的に説明する。
方法(A)においては、水蒸気による水分の供給を吸水性樹脂の粉末の撹拌下で行うようにするが、具体的には、撹拌型造粒法、転動型造粒法、圧縮型造粒法および流動層造粒法等が例示され、いずれの方法によっても好ましく実施できる。なかでも、撹拌型造粒法が簡便性等の面でより好ましい。これらの方法を実施する場合、水分供給を水蒸気により行い得るようにする以外は、装置や操作条件等は従来公知の同様の技術を適用できる。なお、本発明では、装置内に水蒸気を供給することにより水分供給を行うため、用いる装置は、水蒸気を注入できるノズル等を備えており、さらに、水蒸気の供給がスムーズに行えるよう密閉性が高く内部圧力の調整が可能な装置であることが望ましい。
例えば撹拌型造粒法により実施する場合、用い得る撹拌装置としては連続式とバッチ式があり、それぞれに縦型と横型とがある。縦型の連続式撹拌装置としては、スパイラルピンミキサ(太平洋機工社製)、フロージェットミキサおよびシュギ式造粒システム(粉研パウテックス社製)等が例示され、横型の連続式撹拌装置としては、アンニュラーレイヤーミキサ(ドライスベルケ社製)および2軸ミキサ(List社製)等が例示される。縦型のバッチ式撹拌装置としては、ヘンシェルミキサ(三井鉱山社製)およびターボスヘヤーミキサ(モリッツ社製)等が例示され、横型のバッチ式撹拌装置としては、レディゲミキサ(レディゲ社製)、マルチフラックスミキサ(ゲリッケ社製)およびプロシュアミキサ(太平洋機工社製)等が例示される。
装置内への水蒸気の注入条件については、採り得る方法および装置の種類等を考慮しつつ所望の粒子状吸水性樹脂が得られるよう適宜設定することができ、特に限定はされないが、例えば、ゲージ圧が0.01〜1.50MPaの水蒸気を注入することが好ましく、より好ましくは0.01〜1.00MPa、さらに好ましくは0.01〜0.50MPaである。上記ゲージ圧が0.01MPa未満であると、吸水性樹脂の粉末の結着および造粒に長時間を要したり、強度の低い造粒粒子となるおそれがあり、1.50MPaを超えると、吸水性樹脂が劣化するおそれがある。
装置内へ注入する水蒸気の量(すなわち水分供給量)についても、上記同様に、特に限定はされないが、例えば、吸水性樹脂の粉末100質量部に対し、10〜100質量部加わるよう注入することが好ましく、より好ましくは10〜70質量部、さらに好ましくは10〜60質量部である。このように水蒸気の状態で水分供給を行うと、粉末全体により一層均一かつ効率的に供給できるため、従来の液体(水や水性液)を加えていた場合に比べ、格段にその添加量を少なく抑えることができ、後の乾燥工程において必要とされるエネルギーコストを大きく低減できる。上記水蒸気の量が、10質量部未満であると、吸水性樹脂の粉末を十分に結着させ造粒することができないおそれがあり、100質量部を超えると、吸水性樹脂の粉末全体に水分を均一に供給することが困難となるおそれがある上、後に乾燥工程を施した場合に長時間を要し、エネルギーコストが高くなり経済性に劣るおそれがある。
装置内の温度についても、上記同様に、特に限定はされないが、例えば、10〜200℃であることが好ましく、より好ましくは20〜180℃、さらに好ましくは50〜150℃である。上記温度が10℃未満であると、装置内へ注入した水蒸気が結露し、吸水性樹脂の粉末全体に均一に水分を供給することが困難となるおそれがあり、200℃を超えると、吸水性樹脂が劣化するおそれがある。なお、装置内の温度の調整方法も、特に限定はされず、例えば、ジャケット温度を調整することにより装置内の温度を調整する方法等が挙げられる。
装置内の圧力についても、上記同様に、特に限定はされないが、例えば、常圧(0.101MPa)に対し加圧状態であることが好ましい。加圧状態にすることで、吸水性樹脂の粉末どうしの結着やその後の粒子化(造粒)を効率的に行うことができる。加圧の程度は、特に限定はされず、上記効果が得られるよう適宜設定できる。
その他の各種機械的処理条件および処理時間等(例えば、撹拌型造粒法においては撹拌羽根の形状、撹拌動力、撹拌速度および撹拌時間など。また、連続式においては平均滞留時間など。)についても、採り得る方法および装置の種類等を考慮しつつ所望の粒子状吸水性樹脂が得られるよう適宜設定すればよく、特に限定はされないが、例えば撹拌型造粒法を実施する場合においては、撹拌時間は、吸水性樹脂の粉末と水蒸気とを混合し始めてから(例えば、装置内に水蒸気を注入した時点から)5秒〜20分とすることが好ましく、より好ましくは10秒〜15分、さらに好ましくは15秒〜10分である。上記撹拌時間が、5秒未満であると、水蒸気により吸水性樹脂の粉末どうしを十分に結着させ造粒することができないおそれがあり、20分を超えると、吸水性樹脂の粉末と水蒸気との均一な混合が困難となり、該粉末の粗大な凝集物(凝集塊)が生じ、所望の粒子状吸水性樹脂が得られないおそれがある上、樹脂の水可溶分の増加や加圧下吸収倍率等の物性低下など、吸水性樹脂の劣化を招くおそれがある。
方法(B)としては、具体的には、吸水性樹脂の粉末を層状に堆積させ、これに水分を供給して加圧することにより粉末どうしを結着させてシート状の吸水性樹脂を得る方法(B1)や、吸水性樹脂の粉末に水分を供給して混練し、含水ゲル状の吸水性樹脂を得る方法(B2)等が例示され、いずれの方法によっても好ましく実施できる。これらの方法を実施する場合、水分供給を水蒸気により行い得るようにする以外は、装置や操作条件等は従来公知の同様の技術を適用できる。なお、本発明では、水蒸気を供給することにより水分供給を行うため、上記方法(B2)において混練等を行う場合用いる装置は、上記方法(A)に用いる装置と同様に、水蒸気を注入できるノズル等を備えており、さらに、水蒸気の供給がスムーズに行えるよう密閉性が高く内部圧力の調整が可能な装置であることが望ましい。
上記方法(B1)としては、具体的には、吸水性樹脂の粉末を層状に堆積させる工程(堆積工程)と、この粉末層に水分を供給する工程(水分供給工程)と、水分が供給された粉末層を加圧する工程(加圧工程)と、加圧された粉末層を乾燥させる工程(乾燥工程)とを含む方法が、好ましく例示される。
堆積工程では、吸水性樹脂の粉末を、支持可能な平台などの支持面上に散布ノズルなどを用いて供給することで、粉末を層状に堆積させる。粉末は、乾燥状態にしておくことが好ましい。
支持面は、金属や合成樹脂あるいはセラミックなどからなる平滑な台や板、シート、フィルムなどが用いられる。粉末が脱落しなければ、メッシュ状の材料や多孔質状の材料からなるものであってもよい。
堆積させる粉末層の厚みは、粉末層に水分(水蒸気)を供給したときに、粉末層を構成する各粉末粒子に迅速かつ均一に水分が到達して吸収されるとともに、吸水した粉末どうしが互いに結着して一体化し易いように適宜設定することが好ましい。具体的には、粉末の粒径や、最終的に得られる粒子状吸水性樹脂の使用目的などによって異なるが、坪量10〜2000g/m2となる厚みに設定することが好ましく、より好ましくは坪量100〜1000g/m2である。
水分供給工程では、粉末層を構成する粉末粒子どうしを互いに結着させ一体化させるのに必要な量の水分(水蒸気)を供給する。
この工程で供給する水蒸気の量(水分供給量)については、特に限定はされないが、例えば、吸水性樹脂の粉末100質量部に対し、5〜100質量部加わるように供給することが好ましく、より好ましくは5〜70質量部、さらに好ましくは5〜60質量部である。水蒸気の状態で水分供給を行うことにより、前述した方法(A)での効果と同様の効果が得られる。また、上記水蒸気の量が、5質量部未満であると、吸水性樹脂の粉末を十分に結着させ一体化させることができないおそれがあり、100質量部を超えると、吸水性樹脂の粉末全体に水分を均一に供給することが困難となるおそれがある上、後の乾燥工程に長時間を要し、エネルギーコストが高くなり経済性に劣るおそれがある。
この工程での水蒸気を供給する方法としては、特に限定はされないが、具体的には、粉末層が配置された雰囲気全体を該水蒸気で充満させた状態にすることで、粉末層に水分を供給する方法が好ましく例示される。この場合、粉末層が配置された周囲の空間を外部と仕切ることにより、実質的に密閉空間とすることが好ましい。具体的には、断熱材や保湿材等で囲まれた耐圧容器を用いるようにするほか、断熱材や保湿材等で囲まれ、ジャケットおよび水蒸気供給口等を備えた連続ベルトを用いるようにすること等により実質的に密閉な空間とすることが好ましい。
この工程で水蒸気を供給する際は、上記雰囲気の温度を10〜200℃とすることが好ましく、より好ましくは20〜180℃、さらに好ましくは50〜150℃である。上記雰囲気温度が10℃未満であると、供給した水蒸気が結露し、吸水性樹脂の粉末全体に均一に水分を供給することが困難となるおそれがあり、200℃を超えると、吸水性樹脂が劣化するおそれがある。上記雰囲気温度を上記範囲内に調整する方法としては、特に限定はされないが、例えば、所望の温度の温風(熱風)を吹き込んだり、ジャケットで加熱する方法等が挙げられる。
水分(水蒸気)が供給された粉末層すなわち吸水粉末層は、粉末どうしが結着して一体化したシート状態となる。
水分(水蒸気)の供給後、吸水粉末層において、水分が全体に均等に配分されるように、あるいは、水分による粉末どうしの結着が十分に行われるように、次の加圧工程に移行する前の吸水粉末層を一定時間そのまま保持するようにしてもよい。
加圧工程では、水分が供給された粉末層すなわち吸水粉末層を、面方向に加圧する。加圧することにより、粉末どうしの結着を強固にし確実に一体化させることができ好ましい。具体的には、対向するロールの間に吸水粉末層を通過させて挟み込み、加圧する形態が好ましく例示される。平坦な台に載せた吸水粉末層の上にロールを転がして加圧するようにすることもできる。また、公知の各種プレス機を用いることもできる。
吸水粉末層に加える圧力は、吸水性樹脂の粉末の種類や、最終的に得られる粒子状吸水性樹脂の使用目的に応じて適宜設定できるが、例えば、0.01〜4MPa程度の圧力をかけることが好ましい。過小な圧力では本発明の目的が達成できず、過大な圧力を加えると、吸水性樹脂の粉末の損傷や破壊が生じたり、粉末どうしの間の毛管状隙間が閉塞して吸水速度の劣ったものとなるおそれや、最終的に得られる粒子状吸水性樹脂の性能に悪影響を与えるおそれがある。
加圧された吸水粉末層は、粉末どうしの隙間が適度に少なくなり、粉末どうしの結着が強くなり、一体性が高まる。また、この加圧によって、吸水粉末層に含有されていた余分な水分を除去することも可能である。
乾燥工程では、加圧後の吸水粉末層に含まれる水分を調整するために乾燥処理を行う。乾燥工程は、後に粉砕を行う場合に必要となる。
乾燥処理には、公知の吸水性樹脂の製造技術(装置および処理条件等)が同様に適用でき、具体的には、ヒータや熱風による加熱、真空乾燥などの方法が例示される。
乾燥工程によって、粉末層の含有水分量を0.1〜20質量%に低減させることができる。乾燥が行われた吸水粉末層すなわち乾燥粉末層は、本発明でいう一体化工程で得られる塊状物となり、後述する粒子化工程において、粉砕、または、細断および粉砕され、造粒粒子としての粒子状吸水性樹脂となる。なお、細断は乾燥する前に予め行っておくこともできる。
上記方法(B2)においては、水蒸気による水分の供給を吸水性樹脂の粉末の撹拌下で行うようにするが、具体的には、吸水性樹脂の粉末に水分を供給して混練し、含水ゲル状の吸水性樹脂を得る工程(混練工程)と、必要に応じて行う含水ゲル状物を所望の形状に押出し成形等する工程(成形工程)と、含水ゲル状物を乾燥する工程(乾燥工程)とを含む方法が、好ましく例示される。
混練工程では、前述した撹拌方造粒法において使用される撹拌装置等が好ましく用いられるが、特に限定されるわけではなく、公知の混練可能な各種装置を使用できる。
この工程での装置内への水蒸気の注入条件については、装置の種類等を考慮し適宜設定することができ、特に限定はされないが、例えば、ゲージ圧が0.01〜1.50MPaの水蒸気を注入することが好ましく、より好ましくは0.01〜1.00MPa、さらに好ましくは0.01〜0.50MPaである。上記ゲージ圧が0.01MPa未満であると、おそれがあり、1.50MPaを超えると、吸水性樹脂の粉末どうしの結着に長時間を要したり、一体化させたときに十分な強度が得られず、最終的に強度の低い造粒粒子となるおそれがある。
装置内へ注入する水蒸気の量(水分供給量)についても、上記同様に、特に限定はされないが、方法(B2)では含水ゲル状物を得るようにするため、例えば、吸水性樹脂の粉末100質量部に対し、5〜100質量部加わるよう注入することが好ましく、より好ましくは5〜70質量部、さらに好ましくは5〜60質量部である。水蒸気の状態で水分供給を行うことにより、前述した方法(A)での効果と同様の効果が得られる。また、方法(B2)では上記水蒸気の供給量が、5質量部未満であると、吸水性樹脂の粉末を十分に結着させ一体化させることができないおそれがあり、100質量部を超えると、吸水性樹脂の粉末全体に水分を均一に供給することが困難となるおそれがある上、後に乾燥工程を施した場合に長時間を要し、エネルギーコストが高くなり経済性に劣るおそれがある。
装置内の温度についても、上記同様に、特に限定はされないが、例えば、10〜200℃であることが好ましく、より好ましくは20〜180℃、さらに好ましくは50〜150℃である。上記温度が10℃未満であると、供給した水蒸気が結露し、吸水性樹脂の粉末全体に均一に水分を供給することが困難となるおそれがあり、200℃を超えると、吸水性樹脂が劣化するおそれがある。なお、装置内の温度の調整方法も、特に限定はされず、例えば、ジャケット温度を調整することにより装置内の温度を調整する方法等が挙げられる。
装置内の圧力についても、上記同様に、特に限定はされないが、例えば、特に限定はされないが、常圧(0.101MPa)に対し加圧状態であることが好ましい。加圧状態にすることで、吸水性樹脂の粉末どうしの結着を効率的に行うことができる。加圧の程度は、特に限定はされず、上記効果が得られるよう適宜設定できる。
その他の各種機械的処理条件および処理時間等(例えば、撹拌羽根の形状、撹拌動力、撹拌速度および撹拌時間など)についても、装置の種類等を考慮し適宜設定すればよく、特に限定はされないが、例えば撹拌時間については、含水ゲル状物を得ることも考慮し、吸水性樹脂の粉末と水蒸気とを混合し始めてから(例えば、装置内に水蒸気を注入した時点から)5秒〜20分とすることが好ましく、より好ましくは10秒〜15分、さらに好ましくは15秒〜10分である。上記撹拌時間が、5秒未満であると、水蒸気により吸水性樹脂の粉末どうしを十分に結着させることができないおそれがある上、含水ゲル状物を得ることができないおそれがあり、20分を超えると、吸水性樹脂の粉末と水蒸気との均一な混合が困難となるおそれがある上、撹拌によるせん断圧縮・引張によりメカノケミストリー的に高分子鎖の切断が起こり、樹脂の水可溶分の増加や加圧下吸収倍率等の物性低下など、吸水性樹脂の劣化を招くおそれがある。
成形工程では、押出しや圧縮等により含水ゲル状物を所望の形状に成形するが、該工程は必要に応じ行うことができる。押出しや圧縮およびその際の処理条件については、公知の装置、技術および条件が適用でき、上記混練工程で用いる撹拌機等と一体化している装置であってもよい。なお、押出し機による成形以外にも、所定の型の容器に流し込んで成形するなど、公知の各種樹脂成形方法が適用できる。例えば、コンパクティングマシン、ブリケッティングロールおよび打錠機などを用いる方法が挙げられる。
成形工程においては、シート状、板状、塊状、ストランド状など、各種形状に成形することができる。
乾燥工程では、混練工程後や成形工程後の含水ゲル状物に含まれる水分を調整するために乾燥処理を行う。乾燥工程は、後に粉砕を行う場合に特に必要となる。
乾燥工程の詳細については、上記方法(B1)での説明が同様に適用できる。
(粒子化工程)
本発明でいう粒子化工程では、上記一体化工程により得られた吸水性樹脂の粉末の結着物から吸水性樹脂の造粒粒子を得るようにする。
粒子化工程で得られる造粒粒子は、そのまま所望の粒子状吸水性樹脂として使用することができるが、必要に応じ、分級工程等を施してから使用するようにしてもよい。
粒子化工程で得られる造粒粒子の粒径は、粒子状吸水性樹脂の使用目的等を考慮し適宜設定することができるが、例えば、100μm〜5mmとすることが好ましく、より好ましくは100μm〜2mm、さらに好ましくは150〜850μmである。上記粒径が100μm未満であると、造粒粒子の造粒状態が崩れ、再び吸水性樹脂一次粒子に戻ってしまうおそれがあり、5mmを超えると、所望の吸水性能が得られないおそれがある。なかでも、紙おむつやナプキン等のサニタリー製品としての用途においては、100〜850μmとすることが好ましく、より好ましくは150〜850μmであり、農業用や園芸用の保水剤等の用途においては、500μm〜5mmとすることが好ましい。
吸水性樹脂粉末の結着物を前記方法(A)により得た場合は、既に述べたように、一体化工程を行う際に合わせて粒子化工程も行われるため、同様の説明が適用できる。したがって、その際説明した各種装置および処理条件等に関しては、上記粒子状吸水性樹脂の所望の粒径をも考慮し、適宜選択・設定することがより好ましい。
吸水性樹脂粉末の結着物を前記方法(B)により得た場合は、さらに、上記結着物を適当な大きさに細断する工程(細断工程)と、上記結着物を所望の粒径に粉砕する工程(粉砕工程)とを含む方法が、好ましく例示される。
細断工程では、上記吸水性樹脂粉末の結着物を、粉砕工程が実施可能な寸法や、あるいは、粉砕工程が行い易い寸法に細断するが、この細断工程は、必要に応じて行えばよい。
細断手段としては、特に限定はされず、ハサミ、カッター、カッターミル、ギロチンカッター、ミートチョッパー、スリッターおよびロータリーカッターなどの通常の切断手段・裁断手段が適用される。
細断手段によっても異なるが、前述したように、細断工程は、乾燥工程前の吸水粉末層や含水ゲル状物の状態で行った方が、より一層容易となる場合がある。
細断された結着物の大きさ、すなわち、細断後の結着物の寸法形状は、粉砕装置の種類のほか、使用目的や要求性能、細断手段の種類などの条件によって異なってくる。例えば、微小な短冊状、多角形状、円板状、円柱状、角柱状、不定形状などをなすものを得ることができる。
様々な形状を有する細断後の結着物に対して、個々の細断後の結着物の差し渡し径の最大寸法を、その細断後の結着物の最大長として定義したときに、細断工程では最大長0.5〜100mm、好ましくは最大長1〜50mmとなる程度に細断することが好ましい。
粉砕工程では、一体化工程で得られた結着物や上記細断工程で得られた結着物を、前記所望の大きさの粒子状吸水性樹脂となるよう粉砕する。粉砕装置の種類や特性によって、いずれの結着物を粉砕処理することもできる。
粉砕に際しては、公知の各種樹脂の製造技術において採用されている粉砕装置および粉砕方法が同様に適用できる。
粉砕工程は、水分を多量に含む結着物のままでは行い難く、乾燥工程を施した結着物に対して行うことが好ましい。
上記粒子化工程で得られた造粒粒子が造粒物であることは、光学顕微鏡によって個々の粒子が形状を保ったまま複数集まり凝集している事実や、吸液時に複数の不連続粒子として膨潤する事実で確認することができる。
本発明の製造方法においては、上記造粒粒子は、表面架橋されたものであってもよく、例えば加圧下吸収倍率等の粒子状吸水性樹脂の各種物性を向上させることができ、好ましい。表面架橋された造粒粒子とする場合は、上記粒子化工程で得られた造粒粒子に対して、表面架橋処理を施す形態が好ましいが、前述したように、吸水性樹脂の粉末として既に表面架橋されたものを用いた場合も必然的に造粒粒子は表面架橋されたものとなり、好ましい形態である。なお、上記表面架橋処理の詳細については、後述する表面改質処理工程の説明中の表面架橋処理に関する記載が同様に適用できる。
本発明の製造方法としては、前述した一体化工程、粒子化工程のほかに、吸水性樹脂の一般的製造工程、すなわち吸水性樹脂となる重合物を合成する工程(重合工程)と、上記重合物を乾燥する工程(重合物乾燥工程)と、分級を必須とし前記乾燥後の乾燥物を所望の粒径にする工程(重合物分級工程)とを含むものであって、かつ、前述した一体化工程に用いる吸水性樹脂の粉末が上記重合物分級工程により除かれた吸水性樹脂の微小粒子である方法が、好ましく例示される。
さらに、表面改質工程、輸送工程および貯蔵工程を含む方法が、より好ましく例示される。
以下、上記各種工程について説明する。
(重合工程)
本発明でいう吸水性樹脂は、酸基および/またはその塩(中和物)を有するものである。よって、酸基含有不飽和単量体を主成分とする親水性不飽和単量体を重合して得られることが好ましい。なお、上記酸基含有不飽和単量体としては、重合後に加水分解を行うことによって酸基となる単量体(例えば、アクリロニトリルなど)も含まれるが、好ましくは、重合時に酸基を含有する酸基含有不飽和単量体である。酸基含有不飽和単量体を主成分とする親水性不飽和単量体としては、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする親水性不飽和単量体がより好ましい。
上記親水性不飽和単量体としては、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする場合、必要に応じてアクリル酸またはその塩(中和物)以外の不飽和単量体(以下、他の単量体と記す)を用いることもできる。他の単量体としては、具体的には、例えば、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等の、アニオン性不飽和単量体およびその塩;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等の、ノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、および、これらの四級塩等の、カチオン性不飽和単量体;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら他の単量体を併用する場合の使用量は、親水性不飽和単量体全体の30モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
親水性不飽和単量体を重合させて得られる吸水性樹脂は、カルボキシル基を有していることが好ましい。吸水性樹脂の有するカルボキシル基の量については特に制限はないが、吸水性樹脂100gにつきカルボキシル基が0.01当量以上存在することが好ましい。
親水性不飽和単量体を重合させ吸水性樹脂を得る方法、詳しくは、親水性不飽和単量体を重合させ吸水性樹脂の含水ゲル状重合体を得る方法としては、特に限定されるわけではなく、例えば、水溶液重合、逆相懸濁重合、バルク重合、沈殿重合等の従来公知の方法を採用することができるが、なかでも、重合反応の制御の容易さや、得られる吸水性樹脂の物性(例えば、膨潤ゲルの吸収特性等)の良さから、親水性不飽和単量体を水溶液にして重合させる方法、すなわち、水溶液重合および逆相懸濁重合が好ましく、特に水溶液重合が好ましい。
逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させて重合する方法であり、例えば、米国特許4093776号、同4367323号、同4446261号、同4683274号、同5244735号などの米国特許に記載されている。これら重合法に例示の親水性単量体や重合開始剤などを本発明に適用することもできる。
水溶液重合とは分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であり、例えば、米国特許4625001号、同4873299号、同4286082号、同4973632号、同4985518号、同5124416号、同5250640号、同5264495号、同5145906号、同5380808号などの米国特許や、欧州特許0811636号、同0955086号,同0922717号などの欧州特許に記載されている。これら重合法に例示の親水性単量体や重合開始剤などを本発明に適用することもできる。また、水溶液重合の方法としては、特に限定されないが、例えば、一軸型または双腕型などのニーダー中で、得られる含水ゲル状架橋重合体を砕きながら、単量体水溶液を重合する方法(ニーダー重合)や、所定の容器中や駆動するベルト上に単量体水溶液を供給し、重合して得られたゲルをミートチョッパー等で粉砕する方法(ベルト重合)等が好ましく挙げられる。
上記重合方法において、親水性不飽和単量体を水溶液とする場合の該水溶液(以下、単量体水溶液と称する。)中の親水性不飽和単量体の濃度は、水溶液の温度や単量体の種類によって決まり、特に限定はされないが、10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10〜65質量%、さらに好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは15〜40質量%である。上記重合方法において、単量体水溶液を調製する際には、水以外の溶媒を必要に応じて併用してもよく、併用して用いられる溶媒の種類は、特に限定されるものではない。
親水性不飽和単量体を重合させる際には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のラジカル系光重合開始剤;紫外線や電子線等の活性エネルギー線;等を用いることができる。また、酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合には、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用して、レドックス重合を行ってもよい。これら重合開始剤の使用量は、0.001〜2モル%の範囲内が好ましく、0.01〜0.5モル%の範囲内がより好ましい。また、反応系に放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより重合反応の開始を行ってもよく、さらに上記重合開始剤を併用してもよい。
上記重合方法における反応温度は、特に限定はされないが、15〜130℃の範囲が好ましく、より好ましくは20〜120℃の範囲内である。また、反応時間や重合圧力等の各種反応条件も特に限定されるものではなく、単量体や重合開始剤の種類や組成、反応温度等に応じて適宜設定すればよい。
本発明における吸水性樹脂を得る際は、得られる吸水性樹脂の内部に架橋構造を導入することが好ましい。この内部架橋構造は、自己架橋型の親水性不飽和単量体を用いることにより内部架橋剤を特に使用しないで形成させたものであってもよいし、重合性不飽和基および/またはカルボキシル基と反応し得る反応性基(置換基)を一分子中に2個以上有する化合物を内部架橋剤として用いて形成させたものであってもよく、共に好ましいが、後者の内部架橋剤を用いる形態がより好ましい。
上記内部架橋剤としては、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特に限定はされない。これらの内部架橋剤は、1種のみ用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、上記列挙した内部架橋剤のうち、重合性不飽和基を一分子中に複数有する内部架橋剤を用いることにより、得られる吸水性樹脂の吸収特性等をより一層向上させることができる。
内部架橋剤を用いて架橋構造を重合体内部に導入する場合、内部架橋剤は、反応系に一括添加してもよいし分割添加してもよく、また、内部架橋剤は、親水性不飽和単量体の重合前あるいは重合途中、あるいは重合後、または中和後に反応系に添加するようにすればよい。
内部架橋剤の使用量は、親水性不飽和単量体に対して、0.005〜3モル%の範囲内が好ましく、0.01〜1.5モル%の範囲内がより好ましい。上記内部架橋剤の使用量が0.005モル%よりも少ない場合、並びに、3モル%よりも多い場合には、所望の吸水特性を備えた吸水性樹脂が得られないおそれがある。
親水性不飽和単量体を重合させて吸水性樹脂を得る際には、この重合反応系に、デンプン、デンプンの誘導体、セルロース、セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子;次亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤;水溶性もしくは水分散性の界面活性剤等を添加してもよい。
(重合物乾燥工程)
上記重合方法により得られる重合物、すなわち吸水性樹脂の含水ゲル状重合体は、乾燥によりその固形分を調整し、目的とする含水率を有する吸水性樹脂とする。
上記乾燥は、着色低減や残存モノマー低減の面から、重合終了後(重合機から排出後)好ましくは2時間以内、より好ましくは1時間以内、さらに好ましくは0.5時間以内、特に好ましくは0.2時間以内に開始(乾燥機に投入)する。
上記乾燥には、通常の熱風乾燥機や加熱炉を用いることができ、例えば、溝型撹拌乾燥機、回転乾燥機、円盤乾燥機、流動層乾燥機、気流乾燥機および赤外線乾燥機等が挙げられる。乾燥温度は、好ましくは40〜250℃、より好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは120〜180℃である。乾燥時間は重合体の表面積、含水率、乾燥機の種類などに依存し、目的とする含水率になるよう選択されるが、0.1〜5時間で熱風乾燥を行うことが好ましい。
乾燥後に得られる吸水性樹脂の含水率は、特に限定されないが、得られる吸水性樹脂製品の物性面から、室温でも流動性を示す粉末状態を保つ程度であることが好ましく、具体的には、0.2〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜15質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
(重合物分級工程)
重合物乾燥工程後で得られた吸水性樹脂の乾燥物は、分級を必須とする所望の粒径にする工程を行うことにより、目的に応じた粒径に調整される。
上記乾燥物は、そのまま粒子状の吸水性樹脂として分級に供し得る場合もあるが、必要に応じ、さらに粉砕機等により粉砕や解砕をする工程(重合物粉砕工程)を行って粒子状の吸水性樹脂にした後、分級に供するようにする。
重合物粉砕工程で用いる粉砕機としては、例えば、ローラーミル、ナイフミル、ハンマーミル、ピンミルおよびジェットミル等であり、粉砕機自体の内壁面を加熱する手段を備えていてもよい。
粉砕や解砕により得られた粒子状吸水性樹脂の形状は、特に限定されるわけではなく、球状、鱗片状、不定形破砕状、繊維状、顆粒状、棒状、略球状、偏平状等のいずれの形状であってもよい。
上記分級は、好ましくは、重合物粉砕工程を行った場合はその後であって、かつ、後述する表面改質工程の前に設けられるが、さらに好ましくは、表面改質工程後にも第2の分級が設けられる。
分級後の吸水性樹脂(最終製品)の粒径(粒子サイズ)は、2mm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm〜1mmである。質量平均粒子径は、用いる用途によっても異なるが、通常100μm〜1mmであることが好ましく、より好ましくは150〜800μm、さらに好ましくは200〜700μm、特に好ましくは300〜600μmの範囲である。
分級後の吸水性樹脂はまた、粒径850〜150μm(850μm標準篩の通過物であり且つ150μm標準篩の非通過物。標準篩はJISまたはその相当品を使用。)のものを95〜100質量%含むものが好ましい。この場合、分級後の吸水性樹脂は、例えば、好ましくは粒径100μm未満、より好ましくは粒径150μm未満の粉末の割合が少ない方が好ましく、具体的には、15質量%未満であることが好ましく、より好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満、特に好ましくは3質量%未満、最も好ましくは1質量%未満である。さらに、分級後の吸水性樹脂は、粗大粒子(例えば、実質的に、好ましくは粒径1000μm以上、より好ましくは粒径850μm以上)の割合が少ない方が好ましく、具体的には、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以下である。
本発明では、前述のように、この重合物分級工程により除かれた吸水性樹脂の微小粒子を、前記一体化工程での吸水性樹脂粉末として用いることが好ましい。吸水性樹脂の一般的製造工程において除去された(一旦除去され不要とされた)吸水性樹脂の微小粒子を、あらためて所望の粒径等を有する粒子状吸水性樹脂として容易に製造することができ、結果的に製造工程全体での生産性等が向上する。また、このようにする場合、上記除去された吸水性樹脂の微小粒子が粒径150μm未満の吸水性樹脂の微小粒子を含んでいると、より一層実施する意義が増し、従来不可能であったレベルの生産性等の向上の効果がさらに顕著となるため好ましく、より好ましくは粒径100μm未満の吸水性樹脂の微小粒子を含んでいることであり、さらに、このような所定の粒径以下の微小粒子を、上記除去された吸水性樹脂の微小粒子中に50質量%含んでいることが好ましく、より好ましくは80質量%である。
(表面改質工程)
吸水性樹脂の表面改質としては、(i)表面架橋剤による表面架橋、(ii)水不溶性微粒子での表面被覆、(iii)界面活性剤での表面被覆、(iv)親水性ないし疎水性高分子での表面被覆、(v)抗菌剤ないし消臭剤での表面被覆、(vi)親水性ないし疎水性の有機化合物での表面被覆、などが挙げられ、これらの中の1種または2種以上が適用されるが、好ましくは、(i)の表面架橋剤による表面架橋、および/または、(ii)の水不溶性微粒子での表面被覆であり、より好ましくは(i)と(ii)を併せて適用することである。
また、この表面改質工程は、上記重合物分級工程における分級の前に行ってもよいし、分級の後に行ってもよく、特に限定はされない。表面改質工程を上記分級の前に行った場合は、該分級で除去される吸水性樹脂の粉末はすでに表面改質(例えば表面架橋)されたものとなる。表面改質工程を上記分級の後に行った場合、該表面改質工程の後にさらに分級工程を行うことで粉末を除去することもできる。
表面改質剤(表面架橋剤や水不溶性微粒子など)の使用量は、得られる吸水性樹脂の物性面から考慮すると、吸水性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部の範囲、より好ましくは0.01〜8質量部の範囲、さらに好ましくは0.05〜5質量部、最も好ましくは0.1〜2質量部の範囲である。
表面架橋は、吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度を粒子内部より高めて諸物性の改良を図る改質処理であり、種々の表面架橋剤(内部架橋剤に対しては第2架橋剤となる)を吸水性樹脂に加えて表面のみ架橋する。
表面架橋剤としては、特に限定されないが、カルボキシル基と反応する架橋剤、なかでも、脱水反応性架橋剤が、各種物性に優れた吸水性樹脂が得られるため、好ましく用いられる。なお、脱水反応性とは、吸水性樹脂の官能基(特に表面近傍の官能基)と架橋剤とが脱水反応すること、好ましくは脱水エステル化および/または脱水アミド化すること、さらに好ましくは脱水エステル化することである。
脱水反応性架橋剤としては、例えば、吸水性樹脂がカルボキシル基を含有する場合は、多価アルコールなどのヒドロキシル基含有の架橋剤;多価アミンなどのアミノ基含有の架橋剤;アルキレンカーボネートやモノ、ジまたはポリのオキサゾリジノン化合物、3−メチル−3−オキセタンメタノール等のオキセタン化合物などの環状架橋剤であって、その環状架橋剤の開環反応に伴ってヒドロキシル基やアミノ基を生成し該ヒドロキシル基やアミノ基が架橋反応を行う環状架橋剤;などが例示され、具体的には、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどの多価アルコール化合物;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン2−オンのアルキレンカーボネート化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール等のオキセタン化合物ならびに多価オキセタン化合物などを挙げることができ、なかでも、多価アルコール、アルキレンカーボネート、オキサゾリジノン化合物、(多価)オキセタン化合物から選ばれる脱水反応性架橋剤の1種以上が好ましく、多価アルコールを必須とすることがより好ましい。
表面架橋剤としては、上記脱水反応性架橋剤の他に、エチレングリコールジグリシジルエーテル、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]などの多価アジリジン化合物;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、クロム、マンガン、チタン、ジルコニウムなどの多価金属の非脱水反応性架橋剤;などが例示される。
吸水性樹脂に表面架橋剤を混合する際には、水および/または親水性有機溶媒を用いてもよい。
上記水の使用量は吸水性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは1〜5質量部の範囲である。
上記親水性有機溶媒としては、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;アセトン等のケトン類;ジオキサン、アルコキシ(ポリ)エチレングリコール、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ε−カプロラクタムのアミド類;ジメチルスルホキサイド等のスルホキサイド類;などが挙げられ、その使用量は、吸水性樹脂100質量部に対して、好ましくは0〜10質量部、より好ましくは0〜5質量部、さらに好ましくは0〜3質量部の範囲である。
表面架橋剤の混合方法は、特に限定されるものではなく、水や親水性有機溶媒、無機粉末などを、吸水性樹脂に対して別々に混合してもよいし、一括で混合してもよいし、数回に分けて混合してもよいが、好ましくは、これらの全てを予め混合した後に、この混合物を吸水性樹脂に添加し、その際、水溶液化しておくことがより好ましい。
上記混合に際し、例えば0〜10質量部(対吸水性樹脂)の範囲で、水不溶性微粒子粉末や界面活性剤を共存させてもよい。
上記種々の混合方法の中では、表面架橋剤と必要により水および/または親水性有機溶媒とを、吸水性樹脂に滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。噴霧される液滴の大きさ(液滴粒径)は300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。この際の水溶液の温度は、混合性や安定性の面から、0℃〜沸点が好ましく、より好ましくは5〜50℃、さらに好ましくは10〜30℃である。混合前の吸水性樹脂粉末の温度は、混合性の面からみて、好ましくは0〜80℃、より好ましくは40〜70℃である。
上記混合に用いる混合装置としては、均一な混合を確実にするため大きな混合力を生み出せる装置が好ましく、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、高速撹拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーディスク型混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機等が挙げられ、具体的な使用形態としては、高速撹拌型混合機中で3分以内の混合が好ましい。
表面架橋において加熱処理を行う場合、処理時間は1〜180分が好ましく、より好ましくは3〜120分、さらに好ましくは5〜100分である。加熱処理温度(熱媒温度ないし材料温度で規定)は、100〜250℃の範囲が好ましく、より好ましくは140〜220℃、さらに好ましくは150〜230℃、特に好ましくは160〜220℃である。加熱処理は、通常の乾燥機または加熱炉を用いて行うことができ、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、および赤外線乾燥機が例示される。
表面架橋に加えて、あるいは、表面架橋は起こさないで、実質的には吸水性樹脂に反応しないという意味での不活性な界面活性剤、不活性な消臭剤および不活性な無機微粒子粉末等を用いてもよい。
なお、これらの表面架橋方法は、欧州特許0349240号、同0605150号、同0450923号、同0812873号、同0450924号、同0668080号などの各種欧州特許や、米国特許5409771号、同5597873号、同5385983号、同5610220号、同5633316号、同5674633号、同5462972号などの各種米国特許、WO99/42494号、WO99/43720号、WO99/42496号などの国際公開にも記載されており、これらの表面架橋方法も本発明に適用できる。
上記表面改質に用いられる添加剤としてのカチオン性高分子化合物は、衛生材料への固定性などを向上でき、好ましくは質量平均分子量が2000以上で、より好ましくは5000以上、さらに好ましくは10000以上である。その使用量は、吸水性樹脂100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部である。カチオン性高分子化合物の混合は、単独あるいは溶液(水溶液)で添加され、好ましくは、表面架橋後に添加される。カチオン性高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリアミドアミンとエピクロルヒドリンの縮合物、ポリアミジン、ポリ(N−ビニルホルムアルデヒド)の部分加水分解物またはこれらの塩などが例示される。
上記表面改質に用いられる添加剤として水不溶性微粒子を用いると、吸水性樹脂の通液性や吸湿時の耐ブロッキング性などを改善することができる。水不溶性微粒子としては、好ましくは10μm以下、さらには1μm以下、特に0.1μm以下の粒径の無機または有機の水不溶性微粒子が用いられ、具体的には、酸化ケイ素(例えば、商品名:Areosil、日本アエロジル社製)、酸化チタン、酸化アルミなどが用いられる。水不溶性微粒子の混合は、粉末混合(Dry−Blend)やスラリー混合で行われるが、その際の使用量は、吸水性樹脂100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.001〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜2質量部である。
表面改質処理工程においては、表面架橋とは別に、必要に応じてさらに添加剤を加えてもよい。すなわち、消臭剤、抗菌剤、香料、発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類、キレート剤、殺菌剤、ポリエチレングリコールやポリエチレンイミンなどの親水性高分子、パラフィンなどの疎水性高分子、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂やユリア樹脂などの熱硬化性樹脂等を添加する等、吸水性樹脂に種々の機能を付与するための添加工程、好ましくは表面への添加工程を含んでいてもよい。これらの添加剤の使用量は吸水性樹脂100質量部に対して、好ましくは0〜30質量部、より好ましくは0〜10質量の範囲、さらに好ましくは0〜1質量部の範囲である。なお、吸水性樹脂への表面架橋後および/または添加剤添加後も、吸水性樹脂を主成分とし且つ実質一体化されている範囲で、本発明では吸水性樹脂と総称する。
上記表面架橋や前述した内部架橋を施すことにより得られた吸水性樹脂は、該樹脂中に存在する未架橋ポリマー、すなわち可溶性成分が、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
(輸送工程)
前述した吸水性樹脂の各製造工程は連結されていることが好ましく、その場合、各工程の連結のすべてに輸送工程が必要とは限らないが、少なくとも乾燥した粒子状吸水性樹脂を輸送機で輸送する工程を含むことが好ましい。
輸送は連続式またはバッチ式で行われるが、好ましくは連続式である。上記輸送工程で用いられる輸送機としては、例えば、ベルトコンベヤー、スクリューコンベヤー、チェーンコンベヤー、振動コンベヤーおよびニューマチックコンベヤー等であり、その内壁面を外側から加熱する手段および/または保温する手段を備えたものを挙げることができる。これらの輸送機のうちでも、チェーンコンベヤーまたはニューマチックコンベヤーを含むことが好ましい。
輸送工程においては、少なくとも一部を空気輸送で行うことが好ましい。輸送による粒子状吸水性樹脂の損傷を低減するためにも、また、金属性異物の混入を抑えるためにも、輸送工程の少なくとも一部が空気輸送でなされることが好ましい。
この輸送工程では、輸送機の内壁面を外側から加熱した状態および/または保温した状態にすることが好ましく、輸送機での凝集を有効に防止することが期待できる。
(貯蔵工程)
乾燥した粒子状吸水性樹脂を貯槽に貯蔵する貯蔵工程を含むことが好ましい。
貯蔵工程で用いられる貯槽としては、例えば、サイロやホッパー等が好ましく挙げられ、その内壁面を加熱する手段を備えたものがより好ましい。粒子状吸水性樹脂の摩耗性と帯電性の点から、金属性の内面、例えば鉄製やステンレス製の内面を有する貯槽が好ましい。また、最終製品の貯蔵とは別に、各工程の中間に貯蔵工程(中間ホッパー)を別途設けてもよく、連続製造のために緩衝ホッパーおよび定量供給ホッパーで各工程を連結してもよい。
(その他の工程)
得られる粒子状吸水性樹脂、特に最終製品としての粒子状吸水性樹脂に磁力線を照射することも好ましい。磁力線の照射でゲル劣化が防止され、耐久性に優れ且つ金属異物を実質的に含まない吸水性樹脂が得られる。用いる磁力線の磁束密度は、好ましくは0.05Wb/m2(500gauss)以上、さらに好ましくは0.5Wb/m2以上、特に好ましくは1.0Wb/m2以上であり、永久磁石および/または電磁石が用いることが好ましく、より好ましくは磁石を格子状に配置して格子間に粒子状吸水性樹脂を通過させればよい。
本発明の製造方法としては、吸水性樹脂の一般的製造工程における前記重合物分級工程中の分級により除去された吸水性樹脂の粉末に対し、前記一体化工程および粒子化工程を施すことにより得られた造粒粒子を、前記重合物分級工程(具体的には該工程中の分級時)もしくはそれ以前の工程に加えて再使用する方法が、好ましく例示される。ここで、上記造粒粒子が乾燥処理を施されていない場合は、重合物分級工程より前の工程の、重合物乾燥工程もしくはそれ以前の工程に加えて再使用することが好ましく、以下においても同様である。なお、上記造粒粒子が乾燥処理を施されていない場合としては、前述した一体化工程および粒子化工程を前記方法(A)で行った場合などが挙げられる。
前述した吸水性樹脂の一般的製造工程における重合物分級工程以前の工程であれば、造粒粒子を何れの工程に加えて再使用してもよいが、なかでも、重合工程におけるモノマー調製液に加える形態や、重合工程後に得られる重合物(含水ゲル状重合体)に加える形態や、重合物分級工程に加えて分級を行う形態(あるいは重合物乾燥工程に加えて乾燥および分級等を行う形態)などがより好ましい。
このように、吸水性樹脂の一般的製造工程において除去された吸水性樹脂の粉末を、再度、元の製造工程に戻すことにより、吸水性樹脂製品製造の歩留まりを大きく向上できる。
従来の造粒方法、すなわち、吸水性樹脂の粉末に水や水性液を加えて造粒する方法により得られた造粒粒子では、前述のごとく粉末のまま造粒されずに残るものが依然として多いため、これを上述のように再使用に供したとしても、従来の粉末のまま再使用する場合と同様の問題は避けられないと考えられる。
モノマー調製液や含水ゲル状重合体に加える再使用の形態については、従来は、分級後等の吸水性樹脂の粉末をそのまま加える形態が採られており、このような場合、モノマー調製液において継粉が生じ、均一に分散・溶解させることができないという問題や、含水ゲル状重合体から発生する湿気や水蒸気を吸水性樹脂の粉末が吸湿・吸水し、その結果、投入口付近の壁面に付着して閉塞させてしまうという問題などがあった。これに対し、上述のように、分級後等の吸水性樹脂の粉末を一旦造粒粒子にしてからモノマー調製液や含水ゲル状重合体に加えるようにすれば、上記従来の問題を一挙にかつ効果的に解消できるのである。この場合、一旦造粒粒子にする際は上記効果が得られる程度の粒径に造粒すればよく、特に限定はされないが、例えば、乾燥前の造粒粒子であれば平均粒子径0.5〜10mm程度が好ましく、乾燥後の造粒粒子であれば平均粒子径0.2〜5mm程度が好ましい。
重合物分級工程に加えて分級を行う再使用の形態については、最終的に得られる粒子状吸水性樹脂の使用目的等を考慮し、前述した所望の粒径に造粒したものを再使用することが好ましい。これにより、一旦製造工程から除去された吸水性樹脂の粉末を、あらたに所望の粒子状吸水性樹脂として効率的に再使用することができる。
以下に、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「質量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「質量%」を「wt%」と記すことがある。
実施例および比較例における測定方法を以下に示す。
<含水率>
アルミカップに入れた吸水性樹脂の造粒物等の試料約1gを、180℃の恒温乾燥機中で3時間乾燥し、乾燥前の質量と乾燥後の質量とを下記式に代入することにより含水率(%)を求めた。
含水率(%)=〔(乾燥前の質量(g)−乾燥後の質量(g))/乾燥前の質量(g)〕×100
〔参考例1〕
2本のシグマ型ブレードを備えたニーダーに、アクリル酸ナトリウム水溶液、アクリル酸および水からなるモノマー水溶液(モノマー濃度:39wt%、中和率:75モル%)を調製し、さらにこのモノマー水溶液に、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均エチレンオキシドユニット数:9)を0.045モル%(対モノマー)となるように溶解させた。
モノマー水溶液に窒素ガスを吹き込み、モノマー水溶液中の溶存酸素を低減させるとともにニーダー内全体を窒素置換した。次いで、ニーダーのブレードを回転させながら、ジャケットに10℃の冷水を循環させ、モノマー水溶液の温度を20℃にした。
引き続き、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.05モル%(対モノマー)およびL−アスコルビン酸0.003モル%(対モノマー)を添加して重合を開始し、さらに30分間撹拌して熟成を行い、重合物として平均粒子径が約2.0mmの含水ゲル状重合体を得た。
得られた含水ゲル状重合体を180℃の熱風乾燥機中で50分間乾燥した。得られた乾燥物を粗解砕した後、目開き850μmの篩にかけた。次いで、篩の上に残った乾燥物をロールミルで粉砕した。得られた粉砕物を目開き850μmと180μmの篩を用いて分級した。目開き850μmの篩の未通過物は、再度ロールミルで粉砕し、上記同様に分級した。目開き180μmの篩により分級された通過物は、乾燥物全体の約15wt%であった。
上記分級により得られた吸水性樹脂粒子(A)は、吸水倍率が38g/g、平均粒子径が420μm、粒子径150μm以下の粉末の含有率は3wt%であった。
〔実施例1〕
鋤型撹拌翼、解砕羽根、ノズルおよびジャケットを備えた内容積20Lのレディゲミキサを用い、ノズルから0.03〜0.04MPa(ゲージ圧)の水蒸気をミキサ内部に注入しながら、参考例1で分級された180μmの篩を通過した吸水性樹脂の粉末(a)3.6kgと水蒸気とを撹拌下で500秒間混合した。このとき、鋤型撹拌翼の回転速度は200rpm、解砕羽根の回転速度は3500rpm、ジャケットの温度は105℃であった。なお、吸水性樹脂の粉末(a)は、吸収倍率が37g/g、平均粒子径が88μm、目開き150μmの篩の通過物は約80wt%であった。
上記混合後、ミキサから吸水性樹脂の粉末の含水物(造粒粒子)を取り出し、180℃の熱風乾燥機中で50分間乾燥し、得られた乾燥物を参考例1と同様に粉砕して、分級した。なお、混合後に取り出した含水物の含水率は25%であった。
上記分級により得られた吸水性樹脂粒子(1)は、吸水倍率が37g/g、平均粒子径が400μm、粒子径150μm以下の粉末の含有率は18wt%であった。
〔実施例2〕
実施例1において、吸水性樹脂の粉末(a)と水蒸気との混合時間を300秒とした以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子(2)を得た。なお、混合後に取り出した含水物の含水率は20%であった。
得られた吸水性樹脂粒子(2)は、吸水倍率が35g/g、平均粒子径が360μm、粒子径150μm以下の粉末の含有率は25wt%であった。
〔実施例3〕
実施例1において、ジャケットの温度を60℃とし、吸水性樹脂の粉末(a)と水蒸気との混合時間を60秒とした以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子(3)を得た。なお、混合後に取り出した含水物の含水率は20%であった。
得られた吸水性樹脂粒子(3)は、吸水倍率が37g/g、平均粒子径が230μm、粒子径150μm以下の粉末の含有率は45wt%であった。
〔実施例4〕
実施例1において、吸水性樹脂の粉末(a)と水蒸気との混合時間を30秒とした以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子(4)を得た。なお、混合後に取り出した含水物の含水率は20%であった。
得られた吸水性樹脂粒子(4)は、吸水倍率が37g/g、平均粒子径が155μm、粒子径150μm以下の粉末の含有率は60wt%であった。
〔比較例1〕
80℃に加熱されたモルタルミキサを用いて、参考例1で分級された180μmの篩を通過した吸水性樹脂の粉末(a)100部と、約90℃の温水110部とを撹拌下で60秒間混合した。
上記混合後、ミキサから吸水性樹脂の粉末の含水物を取り出し、180℃の熱風乾燥機中で50分間乾燥し、得られた乾燥物を参考例1と同様に粉砕して、分級した。なお、混合後に取り出した含水物の含水率は52%であった。
上記分級により得られた吸水性樹脂粒子(c1)は、吸水倍率が35g/g、平均粒子径が390μm、粒子径150μm以下の粉末の含有率は20wt%であった。
〔実施例5〕
実施例1における吸水性樹脂の粉末の含水物25部と、参考例1における含水ゲル状重合体200部とを、180℃の熱風乾燥機中で一緒に50分間乾燥し、得られた乾燥物を参考例1と同様に粉砕して、分級し、吸水性樹脂粒子(5)を得た。
得られた吸水性樹脂粒子(5)は、吸水倍率が38g/g、平均粒子径が420μm、粒子径150μm以下の粉末の含有率は3wt%であった。
吸水性樹脂粒子(5)100部に、プロピレングリコール、ブタンジオールおよび水からなる組成液3.3部を噴霧しながら撹拌混合した。なお、上記組成液中の各成分の組成比(質量比)は、プロピレングリコール/ブタンジオール/水=0.3/0.5/2.5である。得られた混合物を、撹拌下、200℃で40分間加熱処理し、表面架橋された吸水性樹脂粒子(5-1)を得た。
表面架橋された吸水性樹脂粒子(5-1)は、吸水倍率が30g/g、加圧下吸収倍率が24g/gであった。
〔比較例2〕
参考例1で得られた吸水性樹脂粒子(A)100部に、実施例5と同様の組成液3.3部を噴霧しながら撹拌混合した。得られた混合物を、撹拌下、200℃で40分間加熱処理し、表面架橋された吸水性樹脂粒子(A-1)を得た。
表面架橋された吸水性樹脂粒子(A-1)は、吸水倍率が31g/g、加圧下吸収倍率が25g/gであった。
〔比較例3〕
実施例5において、実施例1における吸水性樹脂の粉末の含水物25部の代わりに、比較例1における吸水性樹脂の粉末の含水物42部を用いた以外は、実施例5と同様にして、吸水性樹脂粒子(c3)および表面架橋された吸水性樹脂粒子(c3-1)を得た。
得られた吸水性樹脂粒子(c1)は、吸水倍率が38g/g、平均粒子径が420μm、粒子径150μm以下の粉末の含有率は3wt%であった。
また、表面架橋された吸水性樹脂粒子(c3-1)は、吸水倍率が30g/g、加圧下吸収倍率が24g/gであった。
〔実施例6〕
実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)20部と、参考例1で得られた吸水性樹脂粒子(A)80部を均一に混合し、次いで、エチレングリコールジグリシジルエーテルおよび水からなる処理液3.05部を噴霧しながら撹拌混合した。なお、上記処理液中の各成分の組成比(質量比)は、エチレングリコールジグリシジルエーテル/水=0.05/3である。得られた混合物を、撹拌下、190℃で60分間加熱処理し、吸水性樹脂粒子(1-2)を得た。
得られた吸水性樹脂粒子(1-2)は、吸水倍率が30g/g、加圧下吸収倍率が25g/gであった。
〔実施例7〕
参考例1における熟成後に、ニーダーの投入口から、含水ゲル状重合体100部に対し実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)5部を撹拌下に添加し、さらに10分撹拌した。このとき、含水ゲル状重合体から発生する水蒸気により、ニーダーの投入口付近において吸水性樹脂粒子(1)が閉塞することはなかった。
引き続き、吸水性樹脂粒子(1)を添加した含水ゲル状重合体を、180℃の熱風乾燥機中で一緒に50分間乾燥し、得られた乾燥物を参考例1と同様に粉砕して、分級し、吸水性樹脂粒子(7)を得た。
得られた吸水性樹脂粒子(7)は、吸水倍率が38g/g、平均粒子径が420μm、粒子径150μm以下の粉末の含有率は3wt%であった。
吸水性樹脂粒子(7)100部に、実施例5と同様の組成液3.3部を噴霧しながら撹拌混合した。得られた混合物を、撹拌下、200℃で40分間加熱処理し、表面架橋された吸水性樹脂粒子(7-1)を得た。
表面架橋された吸水性樹脂粒子(7-1)は、吸水倍率が30g/g、加圧下吸収倍率が24g/gであった。
〔比較例4〕
実施例7において、実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)の代わりに、参考例1で分級された180μmの篩を通過した吸水性樹脂の粉末(a)を添加した以外は、実施例7と同様にしたところ、含水ゲル状重合体から発生する水蒸気により、ニーダーの投入口付近において上記粉末(a)の閉塞が見られた。
〔実施例8〕
実施例1と同様のレディゲミキサを用い、ノズルから0.03〜0.04MPa(ゲージ圧)の水蒸気をミキサ内部に注入しながら、表面架橋された市販の吸水性樹脂粒子アクアリックCA((株)日本触媒製)3.6kgと水蒸気とを撹拌下で120秒間混合した。このとき、鋤型撹拌翼の回転速度は200rpm、解砕羽根の回転速度は3500rpm、ジャケットの温度は105℃であった。上記混合後、水蒸気の注入を停止し、さらに60秒間撹拌して、吸水性樹脂粒子(8)を得た。このとき、ミキサ内に吸水性樹脂の凝集物の付着は観察されなかった。なお、上記市販の吸水性樹脂粒子は、平均粒子径が450μm、目開き850μmの篩の未通過物は約0.1wt%、目開き150μmの篩の通過物は約3wt%であり、吸水倍率は35g/g、加圧下吸水倍率は25g/gであった。
得られた吸水性樹脂粒子(8)は、含水率が8%、吸水倍率が33g/g、加圧下吸水倍率は24g/gであり、平均粒子径は500μm、目開き850μmの篩の未通過物は約8wt%、目開き150μmの篩の通過物は約0.4wt%であった。なお、目開き850μmの篩の未通過物は、スパテラで容易に崩壊し、目開き850μmの篩を通過するものであった。
〔比較例5〕
実施例8において、水蒸気を注入する代わりに水をスプレー噴霧して、得られる吸水性樹脂粒子の含水率が8%となるようにした以外は、実施例8と同様にして、吸水性樹脂粒子(c5)を得た。
得られた吸水性樹脂粒子(c5)は、目開き850μmの篩の未通過物が30wt%、目開き150μmの篩の通過物は0.3wt%であった。なお、目開き850μmの篩の未通過物は、表面が粘着性を有する凝集物であり、そのままでは容易に崩壊しないものであった。
〔実施例9〕
参考例1で分級された180μmの篩を通過した吸水性樹脂の粉末(a)を秤量し、テフロン(登録商標)でコートされたガラス繊維シート上に1000g/m2となるように散布した。この粉末(a)が散布されたガラスシートを、恒温槽に入れ、ゲージ圧0.03から0.04Mpaの水蒸気を注入し、5分間放置し、水分を供給した。上記水分供給後における、粉末(a)の含水率は25wt%であった。
粉末(a)が散布されたガラスシートを恒温槽から取り出し、散布した粉末(a)の上から1MPaの圧力で10秒間加圧した後、粉末(a)の含水物を取り出し、180℃で50分間乾燥し、得られた乾燥物を参考例1と同様に粉砕して分級し、吸水性樹脂粒子(9)を得た。
得られた吸水性樹脂(9)は、吸水倍率が36g/gであり、平均粒子径は400μm、目開き150μmの篩の通過物は16wt%であった。