JP4272478B2 - 低温中性子イメージ検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、低温に冷却したヘリウム3を用いた中性子検出器及び高位置分解能を持つ
中性子イメージ検出器に関するものである。
本発明は、低温でも使用可能な中性子検出器に関するものであると共に、高い中性子検出位置分解能及び中性子検出感度の一様性が優れた中性子イメージ検出器に関するものである。このため、本検出器は、高い位置分解能が必要とされる中性子散乱実験、あるいは中性子ラジオグラフィーに使用される。また、試料を低温に冷却し、散乱された中性子を近距離で測定する必要がある中性子散乱実験にも使用できる。
これまで、中性子の入射位置を一次元、あるいは二次元で捕らえる中性子位置検出器としては10気圧程度のヘリウム3ガス中に複数のワイアーを張り巡らせた図1に示すようなワイアーチェンバーが開発され、一般に使用されている(例えば、非特許文献1参照)。このワイアーチェンバーは高い検出効率、低いバックグランド、高い中性子/ガンマ線弁別能、高い検出感度一様性などにより多くの中性子散乱実験に使用されている。このワイアーチェンバーの位置分解能は良くしても、通常2-3mm程度である。
一方、上述のワイアーチェンバーの位置分解能を改善した中性子ガス検出器として図2に示すようなマイクロストリップ型中性子検出器が開発されている(例えば、非特許文献2参照)。この検出器は絶縁基板上に、数十ミクロンのアノード、カソード電極を数百ミクロンのピッチでリソグラフィー技術を用いて張り巡らされたもので、位置分解能0.4mmが実現されている。
また、液体ヘリウム3を用いてワイヤー電極により二次粒子を検出する試みがなされているが、ガス増幅率が上がらず、まだ実現していない(例えば、非特許文献3参照)。
V.Radeka et al., BNLreport #65032, E. Gattiet al, Nucl. Instrum. & Meth. 163, 83 (1979) A.Oed et al, Nucl. Instrum. & Meth. A263, 351(1988) 放射線、No.26,3(2000)
従来技術の中性子ガスイメージ検出器の位置分解能は依然十分なものではない。高い位置分解能の実現のためには、中性子捕獲反応の結果生じる二次粒子(プロトン、トリトン)の飛程をできるだけ短くすることが、必要不可欠である。飛程を短くする方法としては、封入圧力の増大、分子量の重いガスの添加などがあるが、ガス増幅を用いてこれら粒子を検出する場合、ガス増幅率の低下という大きな問題があり、実現することは困難であった。
また、二次粒子の飛程を数10ミクロンにまで低減するには、常温において1000気圧程度のヘリウム3ガスが必要であり、ガスチャンバーの耐圧力性による制約が大きく実現は困難であった。
本発明は、ヘリウム3を低温に冷却し用いることにより、ガス圧力を上げずヘリウム3原子核密度を高くし、放出される二次粒子を低温で使用可能な粒子検出素子により検出し、高い位置分解能を付与した低温中性子イメージ検出器を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために以下の解決手段を用いる。
低温に冷却可能な耐圧力性チャンバー内部にヘリウム3ガスを封入し、ヘリウム3が中性子を捕獲した際放出されるプロトン(p)あるいはトリトン(T)を耐圧力性チャンバー内部に配置した低温粒子線検出素子で検出して中性子を検出するヘリウム3ガス検出器を構成し、その動作温度Tが3.19K以上100K以下、かつ、封入ヘリウム3ガス圧力をP>T/ 2.77の条件を満足するガス圧で動作させる。
低温粒子検出素子と、耐圧力性のチャンバーとからなり、それらの内部に液体ヘリウム3ガスを封入することで中性子感度を有する中性子ガス検出器を構成し、その動作温度Tが3.19K以下で動作させる。
低温粒子検出素子としてInSb半導体検出素子及びSi半導体検出素子を使用し、かつその空乏層幅をプロトン及びトリトンの飛程以下としガンマ線等のバックグラウンドを除去する。
耐圧力性チャンバーに常温に設置したヘリウム3ガスリザーバーを接続し、耐圧力性チャンバー内部のガス圧を設定した値に自動的に調整可能とし、操作性を向上すると共に低温が維持できなくなった際に予想される耐圧力問題に対する安全性を確保する。
まず、本発明の中性子検出器の動作原理を説明する。図3には本発明による中性子検出器の側面図を、図4には、平面図を示す。冷却可能な耐圧力性ガスチャンバー内に低温粒子線検出素子を設置し、その空間内にヘリウム3を封入する。中性子は、ヘリウム3との核反応3He(n,p)T反応により捕獲され、二次粒子であるプロトン、トリトンがお互い反対方向に射出される。放出されたプロトン、トリトンのうち、低温粒子線検出素子に入射するどちらか一方の粒子を検出することで中性子が検出される。低温粒子線検出素子をアレイとして配置した場合には、どの位置の検出素子に入射したかを判定することにより中性子入射位置が特定される。
本検出器の位置分解能は、二次粒子のうち飛程の長いプロトンの飛程により決まるため、この飛程を低減することが高位置分解能を実現する鍵となる。常温、1気圧、ヘリウム3中におけるプロトン(574keV)の飛程は54mmであるので、飛程500ミクロン、すなわち位置分解能500ミクロン程度を実現するためには、室温では108気圧もの高いガス圧が必要となる。このように高いガス圧を保持するガスチャンバーの製作は非常に困難である。
ここで、ガスの圧力をP,体積をV、温度をTとすると、理想気体はボイル・シャルルの法則(PV/T=一定)に従うことが知られている。この式に従うと、同一圧力のガスを温度が1/10の状態にて封入した場合、10倍の量のガスが封入されることになり、結果として10倍の原子核密度が実現される。具体的には、常温(300K)において100気圧のガス圧で実現されるガス密度状態は、3.3Kにおいてはほんの1.1気圧で実現される。この程度のガス圧に耐えうるガスチャンバーは容易に製作可能である。なお、ヘリウム3は沸点が3.19K、臨界温度が3.3K、臨界圧が1.1気圧の希ガスであるため臨界温度、臨界圧力以上においてもガス状態で存在している。
ヘリウム3のみのを充満した場合の各温度、T(K)におけるプロトン飛程、R(mm)はガス圧をP(atm)として以下の式で与えられる。
R=54 / [P・300/T] (mm)
各動作温度において、位置分解能500ミクロン以下を実現するには、以下の条件を満足するガス圧、Pとする。
P>0.36T
図5には各温度において計算した飛程の圧力依存性を示す。
(実施例1)
実施例1として、図6(側面図)、図7(平面図)を参照して述べる。本発明の中性子検出器は、低温で粒子検出が可能な粒子線検出素子と、耐圧力性チャンバーと、ヘリウム3ガスとから検出器を構成され、その動作温度を3.19K以上100K以下、かつ、封入ヘリウム3ガス圧力を動作温度(単位:K)を0.36倍した値以上の圧力とした条件で動作させることを特徴としている。
粒子線検出素子として使用したInSb素子の大きさは、5x7x0.4tmm3で素子は厚さ1.0mmのCu板上にInはんだ固定されている。本素子を耐圧15atmのSUS304製チャンバー内にスタイキャストで固定した。使用したInSb素子は住友電工製のnon-doped InSbウェハーを用いて製作された。InSb素子上に形成した直径3mm、厚さ4nmのAu/Pd層メサにより整流性電極を形成し金線により素子と信号線とを接続した。本素子は漏洩電流による雑音の関係から無バイアスで動作させた。チャンバーとInSb素子表面とで形成される中性子吸収層の厚さは〜3.6mmである。チャンバー全体を液体ヘリウムに浸しInSb素子及び、ヘリウム3ガスを4.2Kに冷却した。この場合、位置分解能0.5mmを実現するガス圧は、1.5atm以上と計算された。
原研改造3号炉T1-4ポート(最大中性子フラックス105n/cm2/s)において、本検出器に熱中性子を照射し、その中性子検出特性を調べた。中性子は厚さInSb素子背面から入射した。素子からの信号は長さ約1000mmのガスパイプ内を通した信号線により外部に取り出し、常温に設置された前段増幅器(Canberra 2003BT)に接続した。
図8にガス圧0.012atm封入した場合に観測された前段増幅器の出力信号パルス波形を示す。立ち上がり時間〜80nsecでInSb素子が良好に二次粒子を捕らえていることを確認した。
電荷増幅器からの出力信号をシェーピングアンプ(Canberra 2001)にて時定数1.5マイクロsecで波形整形しMCAで波高分布を測定した。ガス圧を0.012〜12.4atmまで変化した場合の波高スペクトルの変化を測定した結果を図9に示す。いずれのガス圧においてもプロトンを明確に捕らえることができた。
以上の結果、4.2Kの温度において、P>0.36xTの条件を満足するガス圧において、中性子(プロトン)を検出可能であることが確認された。
(実施例2)
実施例2は、低温で粒子検出が可能な粒子線検出素子と、耐圧力性のチャンバーと、液体ヘリウムとから検出器を構成され、その動作温度Tが3.19K以下で動作させることを特徴とする中性子検出器に関するものである。
図6、7に示した構造と同様の中性子検出器を使用し、検出器全体を1.6Kに冷却した。その後、液体状態であるヘリウム3をチャンバー内に導入し、中性子の検出を試みた。
図10に液体ヘリウム3に外圧0.92atmを印加した場合の波高スペクトルを示す。これよりヘリウム3液体を中性子コンバータとした場合にも良好に中性子(プロトン)を検出可能であることが確認できた。
(実施例3)
実施例3は、低温粒子線検出素子として2個以上の素子から構成されたアレイ検出素子を用い、中性子の入射位置を検出することを特長とした低温中性子イメージ検出器に関するものである。
図11に二つ以上の低温半導体検出素子をアレイ化した検出素子群の図(側面図)を図12に平面図を示す。 検出素子一辺の長さLは、中性子捕獲反応の結果生じるプロトンの飛程Rよりも小さくすることが不可欠である。したがって、素子一辺の長さは L<Rを満足するものとし、ここでは、
L<500ミクロン
の条件からLは決定される。
また、素子と素子との間の距離dは、上記条件に基づいて決定されたLと、検出器全体に占める有効面積により決定される。
今、有効面積率x(x<1)を
x=L2/(L+2d)2
と定義すると、xを用いてdは以下の式で与えられる。
d=L/2・(1−a)/a
ここでa=x0.5である。
図13には素子一辺の大きさLに対して、有効面積率を設定した場合に必要な素子間距離dの計算結果を示す。これらの式、図より、配置するアレイ検出素子の大きさ、配置間隔を決定することができる。
実施例として、中性子検出器の動作温度を4.2Kとし、封入ガス圧を2気圧とした場合には、プロトンの飛程は、372ミクロンである。したがって、アレイ検出素子の一辺のサイズを300ミクロンとし、43.6ミクロンの間隔で検出素子をアレイ配置した場合、有効面積率0.6である低温中性子イメージ検出器を製作することができる。
(実施例4)
実施例4は、低温で使用可能な粒子線検出素子としてInSb半導体検出素子を使用し、かつその空乏層幅を5.8ミクロン以下とすることを特徴とする低温中性子検出器に関するものである。
中性子検出器においては、中性子以外の放射線(例えば、X線、ガンマ線など)はバックグランドで雑音となることからできるだけこれらに不感であることが望ましい。また、一方では、中性子吸収により生じたプロトンが半導体素子中において全エネルギーを付与し、信号対雑音比を大きくとることが重要である。このような観点から、使用する半導体検出素子の空乏層厚さには最適値が存在することが分かる。
放射線の吸収効率は空乏層厚さに比例するためバックグランド低減の観点からは半導体検出素子の空乏層厚さはできるだけ薄いことが好ましい。したがって、半導体素子群の空乏層厚さとしては中性子捕獲反応により生じたプロトンが半導体素子中で全エネルギー付与する厚さ以下であることが必要である。
図14は、InSb素子中におけるプロトン飛程のプロトンエネルギー依存性を示している。これより、中性子捕獲反応により生じたプロトン(574keV)が全エネルギー付与する飛程から、InSb素子の空乏層を5.8ミクロン以下にすることによりガンマ線バックグラウンドを低減することができるがことがわかる。
(実施例5)
実施例5は、低温で使用可能な粒子線検出素子としてSi半導体検出素子を使用し、かつその空乏層幅を7.3ミクロン以下とすることを特徴とする低温中性子検出器に関するものである。
また、中性子検出器においては、中性子以外の放射線(例えば、X線、ガンマ線)はバックグランドで雑音となることからできるだけこれらに不感であることが望ましい。また、一方では、中性子吸収により生じたプロトンが半導体素子中において全エネルギーを付与し、信号対雑音比を大きくとることが重要である。このような観点から、使用する半導体検出素子の空乏層厚さには最適値が存在することが分かる。
放射線の吸収効率は空乏層厚さに比例するためバックグランド低減の観点からは半導体検出素子の空乏層厚さはできるだけ薄いことが好ましい。したがって、半導体素子群の空乏層厚さとしては中性子捕獲反応により生じたプロトンが半導体素子中で全エネルギー付与する厚さ以下であることが必要である。
なお、低温で使用できるSi半導体検出器としては米国ORTEC社の低温対応型ULTRA・Si検出器シリーズが使用できる。
図15は、Si素子中におけるプロトン飛程のプロトンエネルギー依存性を示している。これより、中性子捕獲反応により生じたプロトン(574keV)が全エネルギー付与する飛程から、Si素子は空乏層として7.3ミクロン以下にすることによりガンマ線バックグラウンドを低減することができることがわかる。
(実施例6)
実施例6は、低温粒子検出素子として超伝導トンネル接合素子を使用することを特徴とした低温中性子検出器に関するものである。
超伝導トンネル接合素子は低温で動作する放射線検出器でその構造は図16に示すとおり、二つの超伝導体を厚さ1ナノメートル程度の薄い絶縁膜を挟み込んだサンドイッチ構造をしている。超伝導体において吸収された放射線は、そこで多数の信号電子が生成され、それらの電子が超伝導膜間においてトンネルすることにより、二つの超伝導体の間に信号を誘起するのがこの検出器の放射線検出原理である。通常、超伝導膜としては超伝導臨界温度が10Kと高いニオブが使用される。したがって、原理的にはニオブの臨界温度である10K以下の温度において動作するが熱雑音の観点からその1/2〜1/3以下の温度で動作させるのが通常である。
実施例として、二つのニオブ膜の厚さが200nmとし、臨界電流密度100A/cm2で設計された大きさ178ミクロン角の超伝導トンネル接合素子を用いることとする。素子は、図17に示すようにクライオスタット内に設置され、0.4Kに冷却し、X線信号とは無関係に流れているジョセフソン電流を抑制するため、外部より接合と平行に100ガウス程度の磁場を印加して使用する。
ヘリウム3における中性子吸収の結果生じるプロトン、トリトンによりどの程度のエネルギーが超伝導膜に付与されるのかを計算した結果を図18に示す。同図は横軸にニオブ超伝導膜の膜厚を、縦軸にプロトン、あるいはトリトンにより付与されたエネルギーを示している。この図より、ニオブ膜の厚さが100nm以上であれば、プロトン、トリトンによるエネルギー付与量が6keV以上となり、検出限界の一桁以上の値となることから、プロトン、トリトンを十分に検出できることがわかる。したがって、中性子検出に供することができる。
上記では、SIS型(超伝導体/絶縁膜/超伝導体)構造の超伝導トンネル接合素子の実施例を述べたが、NIS型(常伝導対/絶縁膜/超伝導体)構造の超伝導トンネル接合素子でも同様に行うことができる。
(実施例7)
実施例7は、低温粒子線検出素子として2個以上の素子から構成された超伝導トンネル接合素子によるアレイ検出素子を用い、中性子の入射位置を検出することを特長とした低温中性子イメージ検出器に関するものである。
図19に二つ以上の低温粒子線検出素子をアレイ化した検出素子群の側面図を、図20に平面図を示す。 検出素子一辺の長さLは、中性子捕獲反応の結果生じるプロトンの飛程Rよりも小さくすることが不可欠である。したがって、素子一辺の長さはL<Rを満足するものとし、ここでは、
L<500ミクロン
の条件からLは決定される。
また、素子と素子との間の距離dは、上記条件に基づいて決定されたLと、検出器全体に占める有効面積により決定される。
今、有効面積率x(x<1)を
x=L2/(L+2d)2
と定義すると、xを用いてdは以下の式で与えられる。
d=L/2・(1−a)/a
ここでa=x0.5である。
図21に、素子一辺の大きさLに対して、有効面積率を設定した場合に必要な素子間距離dの計算結果を示す。これらの式、図より、配置するアレイ検出素子の大きさ、配置間隔を決定することができる。
実施例として、中性子検出器の動作温度を4.2Kとし、封入ガス圧を2気圧とした場合には、プロトンの飛程は、372ミクロンである。したがって、アレイ検出素子の一辺のサイズを300ミクロンとし、43.6ミクロンの間隔で検出素子をアレイ配置した場合、有効面積率0.6である低温中性子イメージ検出器を製作することができる。
(実施例8)
実施例8は、耐圧力性チャンバーに、常温に設置したヘリウム3ガスリザーバーを接続し、耐圧力性チャンバー内部のガス圧を設定した値に自動的に調整可能とすることを特徴とした低温中性子検出器あるいは低温中性子イメージ検出器に関するものである。
封入されたヘリウム3がガス状態であった場合を考える。容量V1(cm3)をもつ中性子イメージ検出器を動作した時の圧力をP1(atm)、温度をT1(K)としたときの、常温に設置されるべきリザーバータンクの体積Vresと圧力Presとは、ボイルシャルル則より以下の式で与えられる。
res=(300/T1)(P1/Pres)V1
ここでPresはリザーバータンクの耐圧により決定される。リザーバータンクの耐圧を10気圧とした場合の、検出器容量V1で規格化されたリザーバータンク容量Vresを、検出器動作させるヘリウム3の設定圧力P1に対して計算したものを図22に示す。このように上式を用いることにより必要な中性子イメージ検出器の動作条件を決定できれば、同図及び同式を用いてリザーバータンクの容量を決定することができる。
実施例として、容量1cm3をもつ中性子イメージ検出器が動作した時の圧力を2気圧、温度を4.2K、リザーバータンクの耐圧を10気圧とした場合、容量60cm3のリザーバタンクを接続し低温中性子イメージ検出器を4.2Kへ冷却することにより、必要とする動作ガス圧へ自動的に調整されることが確認できた。
また、液体ヘリウム3を封入した場合のリザーバータンク容量も同様に計算できる。この場合、液体ヘリウム3の密度を0.08(g/cm3)とすることで簡略化され、以下の式で計算される。
res > 664(V1/Pres
検出器容量V1で規格化されたリザーバータンク容量Vresをリザーバタンクの耐圧の関数として上式により計算した結果を図23に示す。
これらの結果より、本発明による中性子イメージ検出器の動作温度、動作圧力が決定できれば、必要とされるリザーバタンクの容量の最低値が、耐ガス圧を決定することにより計算できることが確認できた。
実施例として、容量66.4cm3液体ヘリウム3による中性子イメージ検出器では、リザーバータンクの耐圧が10気圧とした場合、容量が66.4cm3のリザーバタンクを接続し低温中性子イメージ検出器を3.19K以下へ冷却することにより、必要とする動作ガス圧へ自動的に調整されることが確認できた。
(発明の効果)
以上、詳細に説明したように、本発明によれば以下のような効果を奏することができる。
低温環境を利用してヘリウム3ガスの高密度状態を実現することにより、500ミクロン以下の高い中性子検出位置分解能が得られる。
また、同時にガス状態のヘリウム3を使用した場合、極めて中性子検出効率の一様性の高い中性子イメージ検出器となる。
液体ヘリウム3を使用した場合には、ガス状態の場合に必要であったガス圧の調整が不要となり、動作温度を決定するという操作のみで検出器の中性子感度が一意に決定され、極めて位置一様性の高い中性子イメージ検出器が実現される。
使用する半導体素子の空乏層厚さを中性子検出に供するのに十分、かつ必要な厚さとするため、高い信号対雑音比が得られ、中性子対バックグランド比を向上することができる。
常温に設置された所定の耐ガス、容量をもつリザーバタンク内に所定の量のガスをあらかじめ封入しておくことにより、検出器を動作温度にまで冷却するという行為のみにより所定の動作条件に検出器を簡単に設定できるので操作性が向上し、また、中性子検出感度の信頼性、再現性も向上し、また、安全性をも確保することができる。
従来のワイヤーチェンバー型中性子検出器を示す図である。 従来のマイクロストリップ型中性子検出器を示す図である。 ヘリウム3ガスと粒子検出可能な半導体検出素子からなる中性子イメージ検出器(側面図)を示す図である。 ヘリウム3ガスと粒子検出可能な半導体検出素子からなる中性子イメージ検出器(平面図)を示す図である。 3.3Kから300Kの温度範囲におけるヘリウム3ガス中のプロトン(574KeV)飛程のガス圧依存性の計算結果を示す図である。 ヘリウム3ガスと粒子検出可能なInSb半導体検出素子からなる中性子イメージ検出器(側面図)を示す図である。 ヘリウム3ガスと粒子検出可能なInSb半導体検出素子からなる中性子イメージ検出器(平面図)を示す図である。 ヘリウム3ガスと粒子検出可能なInSb半導体検出素子からなる中性子イメージ検出器のガス圧0.012atmにおける中性子信号測定結果を示す図である。 ヘリウム3ガスと粒子検出可能なInSb半導体検出素子からなる中性子イメージ検出器のガス圧を0.012〜12atmにおける中性子波高スペクトル測定結果を示す図である。 液体ヘリウム3と粒子検出可能なInSb半導体検出素子からなる中性子イメージ検出器の動作温度1.6Kにおける中性子波高スペクトル測定結果を示す図である。 ヘリウム3ガスと粒子検出可能な半導体検出素子群からなる中性子イメージ検出器(側面図)を示す図である。 ヘリウム3ガスと粒子検出可能な半導体検出素子群からなる中性子イメージ検出器(平面図)を示す図である。 粒子線検出半導体素子間の距離の検出素子一辺の長さ及び充填率による計算結果を示す図である。 InSb半導体検出素子中におけるプロトン飛程の計算結果を示す図である。 Si半導体検出素子中におけるプロトン飛程の計算結果を示す図である。 超伝導トンネル接合素子の構成図を示す図である。 液体ヘリウム3と超伝導トンネル接合素子を用いた中性子イメージング検出器を示す図である。 プロトン(574keV)、およびトリトン(191keV)の超伝導トンネル接合素子に付与するエネルギーの計算結果を示す図である。 ヘリウム3ガスと粒子検出可能な超伝導トンネル接合検出素子群からなる中性子イメージ検出器(側面図)を示す図である。 ヘリウム3ガスと粒子検出可能な超伝導トンネル接合検出素子群からなる中性子イメージ検出器(平面図)を示す図である。 超伝導トンネル接合検出素子間距離の計算結果を示す図である。 ヘリウム3ガスを使用した場合の中性子イメージ検出器に必要なタンク容量の計算結果を示す図である。 液体ヘリウム3を使用した場合の、中性子イメージ検出器のリザーバタンクに必要なタンク容量の計算結果を示す図である。

Claims (2)

  1. 低温に冷却可能な耐圧力性チャンバー内部にヘリウム3ガスを封入し、ヘリウム3が中性子を捕獲した際に放出されるプロトンあるいはトリトンを前記耐圧力性チャンバー内部に配置した低温粒子線検出素子で検出して中性子を検出するヘリウム3ガス検出器を構成し、その動作温度Tを3.19K以上100K以下、封入ヘリウム3ガス圧力PをP>T/2.77atmの条件を満足するガス圧で動作させ、前記低温粒子線検出素子としてInSb半導体検出素子を使用し、かつその空乏層幅を5.8ミクロン以下とすることを特徴とする、位置分解能500ミクロン以下の低温中性子イメージ検出器。
  2. 低温に冷却可能な耐圧力性チャンバー内部にヘリウム3ガスを封入し、ヘリウム3が中性子を捕獲した際に放出されるプロトンあるいはトリトンを前記耐圧力性チャンバー内部に配置した低温粒子線検出素子で検出して中性子を検出するヘリウム3ガス検出器を構成し、その動作温度Tを3.19K以上100K以下、封入ヘリウム3ガス圧力PをP>T/2.77atmの条件を満足するガス圧で動作させ、前記低温粒子線検出素子としてSi半導体検出素子を使用し、かつその空乏層幅を7.3ミクロン以下とすることを特徴とする、位置分解能500ミクロン以下の低温中性子イメージ検出器。
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