上記特許文献1乃至6の従来例の場合、所謂被計測体数(回転板の磁石数等)を増やすことで分解能を高められるが、所謂計測器(磁気検知器等)の検知精度が高くないため、微小ガス流量の測定精度を上げることが難しい。
特に、特許文献2の従来例の場合、のう膜の往復運動1回につき1回のパルスが検知されるため、微小ガス流量の測定精度が低い問題があった。特許文献3の従来例の場合、磁気検知器にノイズがのり、正常なカウントができない問題があった。一方、特許文献7の従来例の場合、流量センサーから得られた流量を積算するが、ガスが脈動的に流れる時に積算誤差が生じる問題があった。
本発明は、上述の問題点を改善し、ガス流量が小さい場合でも高精度で、かつ信頼性が高くガス流量を計測することができる膜式ガスメータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、のう膜の運動に連動して回転運動、又は往復運動する運動板と、前記運動板の運動方向に沿って記録し、該運動板の運動方向に沿って濃度分布が変化する1種類以上の濃度パターンと、前記運動板の運動とともに運動する前記濃度パターンに光を照射する光源と、前記濃度パターンから反射する前記濃度パターンの濃度を計測する光学式濃度検出装置と、前記光学式濃度検出装置が計測した前記濃度パターンの濃度からガス容量を求める容量計算装置とを備えてなることを特徴とする。
かかる発明は、のう膜が周期運動を繰り返すことで、のう膜で区切られた単位容積分のガスを検知する。ガスの容量は、のう膜の周期運動の繰り返しの回数と現在ののう膜の位置から特定できる。通常はのう膜の周期運動の回数、あるいは周期の数分の一程度の精度でしかのう膜の位置検知を行っていないので、ガス容量の分解能が低い。そこで、こののう膜の周期運動に連動して運動する運動板を設け、この運動板に濃度分布が変化する1種類以上の濃度パターンを記録しておく。運動板の動きに連動して濃度パターンも回転もしくは往復運動するので、この濃度パターンを所定位置から光学的に観察すると、のう膜の運動にあわせて濃度が変化することを検出することができる。のう膜のすべての位置で濃度が変化するため、ガス容積の検知精度が向上する。
濃度パターンの濃度を光学的に観察するには、濃度パターンを照射する光源、及び濃度パターンでの光反射を観察する光学式濃度検出装置を用いる。光源では一定の光量を照射するので、濃度パターンの移動(運動)により反射光量が変化し、これを光学式濃度検出装置で読み取れば、読み取った光量が濃度の変化、つまりのう膜の位置を検知できる。あらかじめ本発明の膜式ガスメータの校正時に、のう膜の1周期分の位置(及びガス容量)と濃度の関係がわかる。容量計算装置では、これを利用してのう膜の1周期の間の詳細なガス流量を検知する。即ち、のう膜の運動(およびガス容量)と光学的に観察された濃度が対応しているため高精度にガス流量を検知することが可能である。
従来のガス容積の微分を測定する流量計と異なり、本発明ではガス容積を直接測定しているので、間欠的に計測しても積算誤差が生じず、脈動的なガスの流れがあっても、得られたガス容積の信頼性が高い。ガスメータでは間欠駆動により消費電力の低減や装置寿命を延ばすことが多いので、計測誤差がサンプリング時間によらない特性は望ましい。
本発明では、のう膜の1周期以下の容積を測るため、総ガス容積はのう膜が何周期分運動したかを同時に検知することが可能であるが、のう膜が何周期運動したかは、従来の検知方式で行ってもよいし、本発明ののう膜に連動した周期的に変化する濃度変化の周期を計数してもよい。
運動板は,のう膜の運動に連動して回転運動又は往復運動する。運動板がのう膜の運動に連動して回転運動する回転板である場合、のう膜の周期運動をカムなどで回転運動に変換する機構は一般的なものであり、回転板の上に濃度パターンを設けることで、光学式濃度検出装置による濃度測定が容易になる。また回転板の直径を大きくすれば、のう膜の微小な移動を検知しやすくなるので、精度の面でも望ましい。
運動板がのう膜の周期運動に連動して往復運動する場合、のう膜の周期運動をそのまま利用して、のう膜自身に運動板を設けると、運動板の回転運動への変換が不要になるので、部品点数の面で有利である。ただし精度の面では回転運動に劣るので、どちらの構成を取るべきかは、必要とする測定精度に依存する。
往復運動の場合、回転運動と異なり往路と復路の分離が必要である。これは往路と復路の折り返し点を濃度から検出することで可能である。例えば、折り返し点で濃度が最大になるなど、濃度パターンの設計で容易に設定できる。
また、上記課題を解決するためには、前記濃度パターンに、前記運動板の運動量に対して濃度が1対1に対応する濃度分布を有する1種類の濃度パターンを用い、前記容量計算装置が、光学式濃度検出装置で計測した前記濃度パターンの濃度とガス容量を1対1に対応させた表に基づいてガス容量を計算してもよい。
かかる発明では、濃度パターンは1種類であり、濃度分布は運動板の運動量に対して濃度が1対1に対応する。容量計算装置が、光学式濃度検出装置で読み取った濃度とガス容量を1対1に対応させる表(テーブル)を元にガス容量を計算する。
濃度パターンの濃度分布が、運動板の運動量に対して1対1に対応すれば、ガス容量とも1対1に対応する。校正時には、ガス容量と濃度パターンの濃度の関係を測り、表の形で保存しておく。測定時には、あらかじめ作成しておいた表を逆に引くことで、濃度からガス容量を決定する。
また、請求項1に記載の発明は、前記濃度パターンに、前記運動板の運動量に対して互いに濃度の比が1対1に対応する濃度分布を有する第1と第2の濃度パターンを用い、前記容量計算装置が、光学式濃度検出装置で計測した前記第1と第2の濃度パターンの濃度の比とガス容量を1対1に対応させた表に基づいてガス容量を計算することを特徴する。
かかる発明では、濃度パターンが2種類であり、運動板の運動量に対して第1と第2の濃度パターンの濃度の比が1対1に対応する濃度分布である。容量計算装置が、光学式濃度検出装置で読み取った第1と第2の濃度パターンの濃度の比とガス容量を1対1に対応させる表(テーブル)を元にガス容量を計算する。
本発明では、単一濃度パターンの濃度ではなく、2種類の濃度パターンの濃度の比(以下では濃度比と呼ぶ)を用いる。濃度パターンの濃度の比が運動板の運動量に対して1対1であれば、ガス容量とも1対1に対応する。校正時には、ガス容量と濃度パターンの濃度比の関係を測り、表の形で保存しておく。測定時には、あらかじめ作成しておいた表を逆に利用することで、濃度比からガス容量を決定する。
濃度比を用いる利点は、照明光源の光量が変化した場合に対応できることである。同じ光源からの反射光を光学式濃度検出装置で検知するので、光源が何らかの理由で光量に変動が生じても、比を取ることで光量変動がキャンセルされる。例えば、長期の使用で光源の光量が劣化した場合にも、この濃度比を用いることにより検知精度の劣化が生じない。
また、請求項2に記載の発明は、前記濃度パターンと前記光学式濃度検出装置との一組の系を複数系統設け、各々の系統から計算されたガス容量値に重みをつけて最終的なガス容量を計算することを特徴とする。
かかる発明では、濃度パターンの濃度分布の設計により、運動板の運動方向に対して得られるデータの信頼度が変わる場合がある。例えば、光学式濃度検出装置の空間分解能が高くない場合、光量が平均化されて観察されるので、急峻な光量変化を検知できずに、結果として得られた光量の信頼性が下がってしまう場合が考えられる。本発明では、運動量に対して信頼度の異なる複数系統の濃度パターンと光学式濃度検出装置の組を用意し、各々の信頼度に応じた重み付けをして得られたガス容量を用いるため、全体として信頼度があがる。尚、重みづけは信頼性だけに限らず、各系統の測定精度などで重みづけしてもよい。
また、請求項3に記載の発明は、前記複数系統の濃度パターンが、系統ごとに前記運動板の運動方向に対して濃度分布をずらしてある濃度パターンであることを特徴とする。
かかる発明では、運動板の運動量に対して得られるデータの信頼度が変わる場合、系統ごとに濃度パターンを用意し、信頼性の高い部分と低い部分を相補的に配置すれば、どれかの系統では信頼度の高いガス容量の測定結果が得られるので、全体として信頼度があがる。
また、請求項4に記載の発明は、前記複数系統の濃度パターンが系統によらず同じ濃度パターンであり、前記光学式濃度検出装置で濃度を検知する位置を系統ごとに前記運動板の運動方向に対してずらしてあることを特徴とする。
かかる発明では、運動板の運動量に対して得られるデータの信頼度が変わる場合、同じ濃度パターンを用いても、検知位置ごとに信頼性の高い部分と低い部分が混在する。系統ごとに光学式濃度検出装置を用意して異なる位置で濃度を検知し、各場所の信頼性に応じて重みをつけ、信頼度の高いガス容量の測定結果を得る。
また、請求項5に記載の発明は、前記濃度パターンが、前記運動板の運動量に対して濃度が1対1に対応し、かつ離散的に濃度変化するものであることを特徴する。
かかる発明は、濃度変化を離散化することで検知可能な運動板の運動量も離散化され、ガス容量も離散的に観測される。これはガス容量の検知分解能の点で損になるが、濃度の離散化により濃度検知の信頼度はあげられる。例えば、長期劣化のため濃度パターンの濃度や光源の光量、光学式濃度検出装置の感度が若干変動しても、変動の影響が検知濃度の離散化レベル以内であれば、容積の測定結果には影響しない。
また、請求項6に記載の発明は、前記光源が発光ダイオードであり、前記光学式濃度検出装置がフォトダイオードと結像レンズからなることを特徴とする。
かかる発明では、ガスメータには一般に長期的信頼性が重要であり、光源と光学式濃度検出装置が信頼性の高い素子であることが望ましく、この観点から発光ダイオード、フォトダイオードは一般に長寿命なのでこの条件を満たしている。またフォトダイオードに結像レンズを設けることで、濃度パターンが複数あっても正しく個別の濃度を検知できるので、測定データの信頼性が確保される。
また、請求項7に記載の発明は、前記光源が発光ダイオードであり、前記光学式濃度検出装置がアレー受光器と結像レンズアレーからなることを特徴とする。
かかる発明では、長寿命な発光ダイオードを用いるのはガスメータの長期信頼性を得るためであるのは上述と同じである。検知すべき濃度パターンが複数ある場合、濃度パターン数だけレンズが並んだ結像レンズアレーでアレー受光器の個別の受光器に個別の濃度パターン像を結像させれば、レンズと受光器を各々モノリシックで製造できるので、各素子の信頼性があがる。
また、請求項8に記載の発明は、前記光源と前記光学式濃度検出装置を間欠駆動させることを特徴とする。
かかる発明では、光源を間欠駆動させることで光源寿命が延び、光学式濃度検出装置を間欠駆動させることで消費電力を低減させるので、ガスメータの長期信頼性と寿命が延びる。
請求項1に記載の発明によれば、のう膜に連動する運動板の動きを濃度パターンを使用する測定精度の高い光学的手法を用いて行っているので、少ないガス流量でも高精度で検知することができ、かつ信頼性も向上する。
また、2つの濃度パターンの濃度の比率からガス容量を検知するので、光源の光量に多少の変動があってものう膜の周期運動量、つまりガス容量値の計測が高精度でありより信頼性を高めることができる。
請求項2に記載の発明によれば、複数系統のガス容量値を用いて最終的なガス容量を決定するので、少ないガス流量でも得られたガス容量値が高精度でありより信頼性を高めることができる。
請求項3に記載の発明によれば、複数系統のガス容量値を用いのに、系統ごとに別の濃度パターンと光量検知系(光学式濃度検出装置)を設けているので、濃度パターンの位置や光量検知系を小さくまとめることができる。
請求項4に記載の発明によれば、複数系統のガス容量値を用いて最終的なガス容量を決定するので、得られたガス容量値の信頼性を更に高めることができる。
請求項5に記載の発明によれば、濃度パターンの濃度を離散化しているので、検知されたガス容量の信頼性が高まる。
請求項6に記載の発明によれば、光源に安定な光源である発光ダイオードを用い、光量検知をフォトダイオードで行っているため、低コストではあっても測定されたガス容量の信頼性を高められる。長寿命化の観点からも有利である。
請求項7に記載の発明によれば、光量検知を信頼性の高いアレー受光器と結像レンズアレーの組で行うため、測定されたガス容量の計測に際して信頼性を高められる。
請求項8に記載の発明によれば、光源と光学式濃度検出装置を間欠駆動させるため、ガスメータの消費電力を抑え、長寿命化に伴う信頼性を向上させることができる。
以下、図1乃至図3を参照して、第1の実施の形態に係る膜式ガスメータについて説明する。図1は本実施の形態に係る膜式ガスメータの構成を説明する説明図である。
本実施の形態の膜式ガスメータ11は、図1に示すように、のう膜(図示せず)の周期運動に連動する回転軸13と、回転軸13に固定された回転板15と、回転板15上の同心円上の所定位置にリング状に付設(記録)されて回転方向に対して単調に濃度が増加する濃度パターン17と、濃度パターン17を一定光量で照明する発光ダイオード(LED)を用いた照明光源19と、結像レンズ(図示せず)を備えるフォトダイオード(PD)から構成された光学式濃度検知装置(以下、光量検知器という)21と、容量計算装置23とを備えて構成されている。
濃度パターン17は、回転板15上に対する所定の印刷技術や、塗装技術、あるいはリング状の濃度パターンシールの貼付技術等により付設(記録)されている。濃度パターン17の濃度分布は、回転板15に適用するため直線状である必要はなく、図2に示すように、濃度分布と回転板15の回転角度が1対1に対応する条件を満たす。光量検知器21が結像レンズでの濃度検知が確実になるよう濃度変化の空間周波数を小さくする場合、濃度分布は単調に増加する濃度分布を採用することが望ましい。
回転板15を用いる場合、のう膜の周期運動を回転運動に変換する機構はカムやギヤ等を用いた一般的なものでよく、回転板15の上に濃度パターン17を設けることで、光量検知器21による濃度測定が容易になる。また回転板15の直径を大きくすれば、のう膜の微小な周期運動を検知しやすくなるので、精度の面でも望ましい。
光量検知器21は、照明光源19が濃度パターン17の所定位置に光を照射して濃度パターン17から反射する反射光、即ち濃度パターン上の光照射位置に対応する濃度を反映する反射光を受光し、その濃度を反映する反射光をその濃度に対応するアナログ電気信号(反射光量信号)に変換し容量計算装置23に出力する。
容量計算装置23は、光量検知器21から出力された濃度に対応する光量信号をA/D変換するADコンバータ25と、ADコンバータ25が変換した濃度を反映するデジタル電気信号(濃度信号)を入力して濃度対ガス容量の対応表(テーブル)27を検索し、濃濃度信号に対応するガス容量値を求め、ガス容量値の情報を詳しくは図示しないが所定のメモリもしくはデジタル表示器等に出力するCPU29とを備えて構成されている。
CPU29は、のう膜の起動時もしくは回転板15の回転起動時に電源31を制御して照明光源19及び光量検知器21等の起動を制御する。CPU29は、照明光源19を例えば間欠駆動させ、これに同期して光量検知器21の動作を制御する。CPU29は、間欠駆動により濃度を反映した濃度信号を取り込むので、照明光源19と光量検知器21の消費電力を下げる上で有利である。CPU29は、ガス容積の微分値である流速検知でなくガス容量の積分値を直接計測(検索)するため、このような間欠駆動でも積算誤差が生じることはない。
CPU29は、例えば回転板15の回転運動とともに濃度パターン17の濃度の飛びがある場所、即ち図3に示すように、濃度パターン17の1周期のうち最初の位置(例えば最小濃度)と最後の位置(例えば最大濃度)との境目で検知光量が急変するので、これをカウントすることで回転板15が何回転したかを検知する。
CPU29は、濃度パターン17の濃度分布が回転板15の回転運動量(回転角度)に対して1対1に対応するパターンであり、この関係から光量検知器21で読み取った濃度とガス容量値を1対1に対応させる表、即ち濃度対ガス容量の対応表(テーブル)27を元にガス容量値を計算する。濃度パターン17の濃度分布が、回転板15の回転運動量に対して1対1に対応すれば、ガス容量とも1対1に対応する。校正時には、ガス容量値と濃度パターン17の濃度の関係を測り、表(テーブル)の形で濃度対ガス容量の対応表27に保存しておく。CPU29は、測定時には、あらかじめ作成しておいた濃度対ガス容量の対応表27を逆に引用することで、濃度からガス容量値を決定する。
濃度と回転角度(およびガス容量値)が1対1である場合、回転板15の回転角度(およびガス容量値)の変化が1周期内の変化であれば、ガス容量の測定精度は計測頻度によらない。
のう膜の周期運動とともに回転板15が回転すると、照明光源19の濃度パターン17への光照射とともに光量検知器21の検知位置の濃度が変化してゆく。続いてCPU29は、照明光源19の電源31を制御し、照明光源19と光量検知器21を間欠駆動させ、光量検知器21によりこの濃度に対応する入射光量として濃度パターン17の現時点の検知位置の濃度を検知する。図2に示すように、濃度パターン17の濃度分布は、回転板15の1周期分の回転角度に対して濃度が単調増加し、任意の回転角度に対しては鋸歯状の濃度変化を生じる。
容量計算装置23は、光量検知器21で得られた反射光量(反射光量信号)をADコンバータ25を介して入力するとともに、CPU29により例えばメモリーなどに蓄えられた濃度対ガス容量の対応表27をもとにガス容量値を求める。即ち、容量計算装置23では、光量検知器21から得られた濃度パターン17の濃度を反映するアナログ電気信号(反射光量信号)をADコンバータ25で濃度に対応するデジタル電気信号(濃度信号)に変換する。照明光源19の光量レベルはいつも一定なので、この反射光量がそのまま濃度パターンの濃度と読み替えられる。
校正する際は、ガス容量を測定しながらのう膜にガスを送り込むと、回転板15の回転軸13が回転し光量検知器21で得られる光量が変動する。CPU21が濃度対ガス容量の対応表27を検索することで回転板15の1回転分に対応する受光量対ガス容量のデータを得たら、それを表の形でメモリーに書き込んでおく。測定時にはこの表を逆に引用して光量検知器21で得られた光量からガス容量値を求める。即ちCPU29は、回転板15上の濃度パターン17の濃度の飛びがある場所で検知光量が急変するので、これをカウントすることで回転板15が何回転したかを検知し、これと受光量対ガス容量のデータに基づいて実使用のガス容量値を求める。
濃度パターン17の濃度分布と回転板15の回転角度との関係が1対1に対応しており、結像レンズでの濃度検知を確実にするため濃度変化の空間周波数を小さくする場合、濃度パターン17の濃度分布は単調に増加する濃度分布でよく、即ち濃度と回転角度(およびガス容量値)が1対1なので、回転角度(およびガス容量値)の変化が1周期内の変化であれば、容量の精度は計測頻度によらず高精度である。
本実施の形態においては、照明光源19は間欠駆動であり、これに同期して光量検知器21からの濃度を反映する反射光量信号を取り込んでいるので、照明光源19と光量検知器21の消費電力を下げることができる。また、ガス容積の微分値である流速検知でなくガス容量の積分値を直接計測するため、このような間欠駆動でも積算誤差が生じることはなく、ガス流量が小さくともガス容量の計測に際して高い信頼性を得ることができる。
尚、濃度分布としては、図3に示すように、離散化した濃度分布を用いてもよい。この分布を用いると回転板15の回転角度(およびガス容量値)の分解能が下がるが、光量のレベルが確実になるので、照明光源19の光量が多少変動してもどの回転角度範囲(およびガス容量範囲)にあるかをより確実に検知することが可能になる。
次に、図4乃至図6を参照して、第2の実施の形態に係る膜式ガスメータについて説明する。図4は本実施の形態に係る膜式ガスメータの要部構成を説明する説明図である。尚、図1に示す部分と同一部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
本実施の形態の膜式ガスメータ41は、図4に示すように、回転板15上の濃度パターン17の同心円上の例えば内側に濃度パターン47が付設(記録)されている。図5に示すように、濃度パターン17は回転板15の1周期の回転角度に対して濃度が単調増加する濃度分布であり、濃度パターン47は回転板15の1周期の回転角度に対して濃度が単調減少する濃度分布となっている。
また、図4に示すように、濃度パターン47にも一対に対応して光量検知器21と同様の構成の光量検知器43が設けられている。光量検知器43は、濃度パターン47の反射光、即ち照明光源19の発光による濃度パターン47上の光照射位置に対応する濃度を反映する反射光を受光し、その濃度を反映する反射光をその濃度に対応するアナログ電気信号(反射光量信号)に変換して容量計算装置23のADコンバータ(図示せず:ADコンバータ25とは別体)を介しCPU29に出力する。
回転板15の回転角度に対して外側の濃度パターン17の濃度(反射光量)を内側の濃度パターン47の濃度(反射光量)で割った濃度の比をプロットすると、図6に示すように回転板15の1周期内で回転角度(およびガス容量値)と濃度比が1対1に対応する単調な関係が得られる。
CPU29は、濃度パターン17,47の濃度比が回転板15の回転運動量(回転角度)に対して1対1に対応するパターンであり、この関係から光量検知器21,43で読み取った濃度パターン17,47の濃度比とガス容量値を1対1に対応させる表、即ち濃度対ガス容量の対応表(テーブル)27を元にガス容量値を計算する。濃度パターン17,47の濃度比が、回転板15の回転運動量に対して1対1に対応すれば、ガス容量とも1対1に対応する。校正時には、ガス容量値と濃度パターン17,47の濃度比の関係を測り、表(テーブル)の形で濃度対ガス容量の対応表27に保存しておく。CPU29は、測定時には、あらかじめ作成しておいた濃度対ガス容量の対応表27を逆に引用することで、濃度比からガス容量値を決定する。
濃度比と回転角度(およびガス容量値)が1対1である場合、回転板15の回転角度(およびガス容量値)の変化が1周期内の変化であれば、ガス容量の測定精度は計測頻度によらない。
のう膜の周期運動とともに回転板15が回転すると、照明光源19の濃度パターン17,47への光照射とともに光量検知器21,43の検知位置の濃度が変化してゆく。CPU29は、照明光源19の電源31を制御し、照明光源19と光量検知器21を間欠駆動させ、光量検知器21,43によりこの濃度に対応する入射光量として濃度パターン17,47の現時点の検知位置の濃度を検知する。
容量計算装置23は、光量検知器21で得られた濃度パターン17からの反射光量(反射光量信号)をADコンバータ25を介して入力するとともに、光量検知器43で得られた濃度パターン47からの反射光量(反射光量信号)を例えば他のADコンバータを介して入力する。続いてCPU29により双方の反射光量の比、即ち濃度比を求め、かつ例えばメモリーなどに蓄えられた濃度対ガス容量の対応表27をもとにガス容量値を求める。
即ち、容量計算装置23では、CPU29が、光量検知器21,43から得られた濃度パターン17,47の濃度を反映するアナログ電気信号(反射光量信号)をADコンバータ25等を介し変換された各濃度に対応する濃度信号を受信するとともに、双方の濃度比を求める。照明光源19の光量レベルはいつも一定なので、この反射光量の比、即ち濃度比がそのまま濃度パターン17,47の濃度比と読み替えられる。
校正する際は、ガス容量を測定しながらのう膜にガスを送り込む。のう膜の周期運動とともに回転板15が回転し光量検知器21,43で得られる光量が変動する。CPU21が回転板15の1回転分に対応する受光量対ガス容量のデータを得たら、それを表の形、即ち濃度対ガス容量の対応表27の形でメモリーに書き込んでおく。測定時にはこの表を逆に引用して光量検知器21,43で得られた反射光量の比、即ち濃度比からガス容量値を求める。
濃度パターン17,47の濃度比と回転板15の回転角度との関係が1対1に対応しており、結像レンズでの濃度検知を確実にするため濃度変化の空間周波数を小さくする場合、濃度パターン17,47の濃度分布は一方が単調増加、他方が短調減少する濃度分布でよく、即ち双方の濃度比と回転角度(およびガス容量値)が1対1なので、回転角度(およびガス容量値)の変化が1周期内の変化であれば、容量の精度は計測頻度によらず高精度である。
本実施の形態においては、第1の実施の形態で得られる効果に加えて、長期の使用に際して照明光源19の光量が多少劣化した場合でも、濃度比を用いることで光量変動の影響をキャンセルすることができるので、回転角度の検知精度の劣化が生じることはなく、この観点からも信頼性が向上する利点がある。
次に、図7乃至図10を参照して、第3の実施の形態に係る膜式ガスメータについて説明する。図7は本実施の形態に係る膜式ガスメータの構成を説明する説明図である。尚、図5に示す部分と同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
本実施の形態の膜式ガスメータ51は、図7に示すように、第2の実施の形態で示す如くリング状の二つの濃度パターン17,57を用いるとともに、濃度パターン57にも一対に対応する光量検知器43を設け、所謂2系統(系統1、系統2)の検知系を構成するものである。そして、双方の濃度パターン17,57は、図8に示すように、例えば回転板15の1周期の回転角度に対して濃度が単調増加する濃度分布であるが、濃度分布が急峻に変化する位置、即ち1周期のうち最初の位置(例えば最小濃度)と最後の位置(例えば最大濃度)との境目の位置が互いに半周期ずれるように回転板15上に付設(記録)している点に特徴がある。
光量検知器21,43により濃度パターン17,47の濃度を検知する場合、濃度分布が急峻に変化する位置(例えば最小濃度と最後の最大濃度との境目)では、光量検知器21,43の光学的ぼけの影響で濃度検知の信頼性が劣化する場合が考えられる。
本実施の形態においては、2系統(系統1、系統2)の検知系から得られた濃度(濃度信号、即ちガス流量)に対し、図9に示すように、検知濃度に応じた信頼度の重み、即ち‘1’か‘0’の何れかの値を例えば乗算して和を取り最終的なガス流量とする。総ガス容量に対する濃度の重みは、具体的には、図10に示すように、計測するガス容量の増加とともに各系統(系統1、系統2)で交互の検知濃度の値が有効になる。この場合、得られる回転角度の信頼性が低い検知濃度で不連続に変化する付近で重みがゼロ‘0’になり、代わりに別系統の重みが‘1’になるので、常に最終的に得られたガス容量の信頼性が向上する。
のう膜の周期運動とともに回転板15が回転すると、照明光源19の濃度パターン17,47への光照射とともに光量検知器21,43の検知位置の濃度が変化してゆく。CPU29は、照明光源19の電源31を制御し、照明光源19と光量検知器21を間欠駆動させ、光量検知器21,43によりこの濃度に対応する入射光量として濃度パターン17,47の現時点の検知位置の濃度を検知する。
容量計算装置23は、光量検知器21で得られた濃度パターン17からの反射光量(反射光量信号)をADコンバータ25を介して入力するとともに、光量検知器43で得られた濃度パターン47からの反射光量(反射光量信号)を例えば他のADコンバータを介して入力する。続いてCPU29により双方の反射光量の急峻な変化を監視し、急峻な変化でない場合は重み‘1’を乗算し双方の和を取り、急峻な変化がある場合は重み‘0’を乗算し和を取る。この結果、CPU29は、一方の系統(系統1もしくは系統2)の検知濃度が信頼性が低いものとして否定されたとしても、他方の系統(系統2もしくは系統1)の検知濃度を有効なものとして認識する。即ち得られる回転角度の信頼性が低い検知濃度で不連続に変化する付近で重みがゼロ‘0’になり、代わりに別系統の重みが‘1’になり、有効な検知濃度の認識とともに例えばメモリーなどに蓄えられた濃度対ガス容量の対応表27に基づいて実使用のガス容量値を求める。
以上の処理の他、校正する際、及び校正後に計測する際の具体的な処理は上記実施の形態の場合と同様の考え方でよく、詳しい説明は省略する。
濃度パターン17,47の濃度と回転板15の回転角度との関係が1対1に対応しており、結像レンズでの濃度検知を確実にするため濃度変化の空間周波数を小さくする場合、濃度パターン17,47の濃度分布は半周期ずれて双方ともに例えば単調増加する濃度分布でよく、即ち双方の濃度と回転角度(およびガス容量値)が1対1なので、回転角度(およびガス容量値)の変化が1周期内の変化であれば、容量の精度は計測頻度によらず高精度である。
本実施の形態においては、第1の実施の形態で得られる効果に加えて、照明光源19の光量が多少劣化したり光学的なぼけが生じたりした場合でも、得られる回転角度の信頼性が低い検知濃度で不連続に変化する付近で重みがゼロ‘0’になり、代わりに別系統の重みが‘1’になるので、回転角度の検知精度の劣化が生じることはなく、この観点からも信頼性が向上する利点がある。
次に、図11乃至図15を参照して、第4の実施の形態に係る膜式ガスメータについて説明する。図11は本実施の形態に係る膜式ガスメータの構成を説明する説明図である。尚、図5に示す部分と同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
本実施の形態の膜式ガスメータ61は、図11に示すように、回転板15上の濃度パターン17の同心円上の例えば内側に濃度パターン67,69が付設(記録)されている。図12に示すように、濃度パターン17は回転板15の1周期の回転角度に対して濃度が単調増加する濃度分布であり、濃度パターン67は回転板15の1周期の回転角度に対して濃度が一定(濃度パターン17の最大濃度の例えば1/2濃度)であり、濃度パターン69は回転板15の1周期の回転角度に対して濃度が濃度パターン17と半周期ずれて単調増加する濃度分布となっている。
また、図11に示すように、濃度パターン67,69にも一対に対応して光量検知器21と同様の構成の光量検知器43,45が設けられている。光量検知器43は、濃度パターン67の反射光、即ち照明光源19の発光による濃度パターン67上の光照射位置に対応する濃度を反映する反射光を受光し、光量検知器45は、濃度パターン69の反射光、即ち照明光源19の発光による濃度パターン69上の光照射位置に対応する濃度を反映する反射光を受光する。そして、双方の光量検知器43,45ともに、その濃度を反映する反射光をその濃度に対応するアナログ電気信号(反射光量信号)に変換して容量計算装置23のADコンバータ25等を介しCPU29に出力する。
即ち、本実施の形態では、図11に示すように、濃度パターン17,67,69が同心円状に3本設けてある。これに照明光源19から光を照射し、その反射光を3個のレンズ付きフォトダイオード(PD)からなる光量検知器21,43,45で独立に検知する。回転板15の回転角度に対する三つの濃度パターン17,67,69の濃度分布を図12に示す。濃度パターン17,67から求めた濃度比を系統1、濃度パターン67,69から求めた濃度比を系統2とすると、図13に示すように、濃度比の飛びが半周期ずれた2系統の濃度比分布が得られる。CPU29は、これら二つの系統(系統1、系統2)に対し、ガス容量を求める時に図14に示すような濃度比に対する重み付け(即ち‘1’か‘0’の何れか)をして、信頼性の低い濃度比を無効とし最終的なガス容量を得る。
ガス容量に対する2系統の濃度の重みの変化は図9に示す場合と同じであり、2系統のガス容量の測定結果に対し、信頼性の低い部分を互いに補いながらガス容量を計測する。本実施の形態の場合、光量検知器が三つに増えるが、濃度の代わりに2系統の濃度比を用いることで照明光源19の光量変化の影響をより有効にキャンセルすることができる利点がある。
一方、各系統(系統1、系統2)の検知系は、図15に示すように、3個の光量検知器21,43,45をPDアレイ71とレンズアレイ73の組み合わせで構成しても良い。モノリシック化したPDアレイ71とレンズアレイ73を用いることで、複数の個別素子を組み合わせるよりも信頼性があがるばかりでなく、光量検知器のサイズの小型化や低コスト化をも可能にする。
本実施の形態においては、第3の実施の形態の効果に加えて、各系統(系統1、系統2)から得られる濃度比に重み付けを行って各系統(系統1、系統2)の濃度パターン17,67の濃度比検知、及び濃度パターン67,69の濃度比検知に演算処理を施し、最終的にガス容量計測を行うので、より信頼性を高めることができる利点がある。
次に、図16乃至図19を参照して、第5の実施の形態に係る膜式ガスメータについて説明する。図16は本実施の形態に係る膜式ガスメータの構成を説明する説明図である。尚、図1に示す部分と同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
本実施の形態の膜式ガスメータ81は、図16に示すように、照明光源19からの照明光を一つの濃度パターン17に照射し、その濃度を反映する反射光を計測位置をずらしたレンズ付きフォトダイオード(PD)からなる二つの光学式濃度検出装置、即ち光量検知器21,75で検知する。各光量検知器21,75によって検知された濃度は、図17に示すように、所謂移相が数%ずれた形態を以って容量計算装置23のADコンバータ25等を介しCPU29に取り込まれる。
CPU29は、図18に示すように、一方の例えば照明光源19から遠い側の光量検知器21で得られた濃度に対して重み(W:例えば‘1’)を付与し、他方の例えば照明光源19に近い側の光量検知器75で得られた濃度に対して重み(1−W:例えば‘0’)を付与し、これらの関係からガス容量を求める。この結果、図19に示すように、例えば光量検知器21が検知した濃度に対し重み(W)を付与せず、回転板15の1周期の間で信頼性が低く否定された濃度領域には、代って光量検知器75が検知した信頼性のある濃度に対し重み(1−W)を付与することとなり、全体としてガス容量の計測に信頼性が増すことになる。即ち同じ濃度パターン17の2ヶ所で計測された2系統の濃度分布から、信頼性の低い部分を互いに補いながら精度良くガス容量を計測することになり、結果として信頼性が増す。
本実施の形態においては、一つの濃度パターン17を用いても2系統の光量検知器21,75からの信頼性のある濃度検知に対し重み付けをして信頼性の低い部分を互いに補いながら精度良くガス容量を計測することができるので、比較的簡易な構成でガス容量の測定精度の信頼性を高めることができる。
次に、図20乃至図22を参照して、第6の実施の形態に係る膜式ガスメータについて説明する。図20は本実施の形態に係る膜式ガスメータの要部構成を説明する説明図である。尚、詳しく図示しないが第1の実施の形態で説明した構成要素と同一部分の重複する説明は省略する。
本実施の形態の膜式ガスメータ91は、図20に示すように、のう膜(図示せず)の周期運動に連動して例えば前後に往復運動する並進板93と、並進板93の一側面、即ち往復の移動方向の前面側に付設(記録)した離散的な濃度分布を持つ濃度パターン95と、並進板93の往復の移動方向の前方側に濃度パターン95を照明する発光ダイオード(LED)からなる一定光量の照明光源97と、結像レンズつきのフォトダイオード(PD)から構成された光量検知器99と、図示しないが第1の実施の形態で説明した容量計算装置23とを備えて構成されている。
照明光源97はビーム状に光を放射するので、のう膜の周期運動に合わせて並進板93が前後の方向に往復移動すると、図21に示すように、並進板93が照明光源97から離れてゆく往路ではビーム光の反射する位置が右方向へ移動する。この結果、光量検知器99には濃度パターン95の図示左から右へ向う濃度を反映する反射光量が検知される。また、並進板93が照明光源97へ近づく復路ではビーム光の反射する位置が左方向へ移動するため、光量検知器99には濃度パターン95の図示右から左へ向う濃度を反映する反射光量が検知される。
並進板93が、図21に示すように、位置1から位置3へ移動すると、照明光源97から発したビーム光の反射位置が変わるのと、光量検知器99に入射する反射光の伝播距離が変化するため、並進板93が位置1にあるときは受光光量が大きく、位置3にあるときは受光光量が小さい。並進板93の位置はのう膜の位置に対応するため、反射光量(つまり濃度)からガス容量が1対1に対応する。この関係に基づいて容量計算装置23は光量検知器99で測定された検知光量からガス容量を求めることができる。
濃度パターン95の濃度検知に際して回転運動ではなく並進運動を用いているので、図22に示すように、のう膜の1周期に対して、ガス容量と濃度の関係は階段状になる。また、のう膜の1周期内であっても、1つの濃度に対して二つのガス容量が対応することになるが、ガス流量が増加する一方なのが普通なので、CPU29は、濃度が最大になった点を検知した後は、図23に示すように、濃度が増加する側なのか減少する側なのかを判断することが容易であり、濃度対ガス容量の対応表27に基づいてガス容量の総量を求めることができる。
本実施の形態においては、上述した実施の形態と同様の作用、効果を得ることが可能である他、並進板93はのう膜に貼り付けるだけでも良いため、のう膜の前後運動を回転運動に変換する機構は不用であり、製作上においても有利である利点がある。