JP4271443B2 - 改良された閉吸引カテーテル組立体のアダプタ及びこれを含むシステム - Google Patents

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、一般に、呼吸の用途で用いられる閉吸引カテーテル組立体に関する。
【0002】
(背景技術)
患者の気道に挿入される気管切開チューブのような人工気道を人が必要とする多くの様々な状況がある。ここで用いられる語句「人工気道」には、気管切開チューブ、気管内チューブなどのような装置が含まれる。人工気道は、十分な肺換気を維持することができるように患者の自然気道を開いたままにするものである。
特定の状況において、患者は、必ずしも人工呼吸又は補助呼吸を必要としなくても気管切開チューブのような人工気道への必要性を有することがある。例えば、手術中に気管切開チューブを用いて、麻酔の管理を容易にし、酸素投与レベルが許容範囲内にとどまっていることを保証するのを助けることができる。
【0003】
他の状況において、人工気道は、患者の体内に長期間入ったままにしなければならない。例えば、長期にわたる回復期及びリハビリテーション期間の間、頸部又は頭部にひどい外傷を受けている多くの人は、機械通気と併用して気管切開チューブを使用する。患者の病状によっては、長期間腹位のままでいる必要があることもある。これらの状況においては、粘液その他の分泌物が肺の中にたまる傾向があり、患者はこのような分泌物を肺から吐き出すことができない。さらに、気管切開チューブそれ自体の存在が分泌物の量を増加させることになり、この分泌物は、該気管切開チューブの周りに集まり、これに付着する傾向がある。
【0004】
従って、人工気道が用いられる際には、呼吸器分泌物を定期的に取り除くことが重要である。一般的に、このことは、気管切開チューブの中に入りこれを通って前進する呼吸用吸引カテーテルを使用することにより達成される。吸引カテーテルが引き抜かれるに伴い、負圧(すなわち真空)が加わり、患者の気道及び人工気道の内部から粘液その他の分泌物が汲み上げられる。相当量の粘液その他の分泌物が吸引カテーテルの管腔を通して回収されるが、この粘液その他の分泌物の一部は膜としてカテーテルの外側に残る。
【0005】
閉吸引カテーテル組立体において、米国特許第3,991,762号及び第4,569,344号に述べられるように、このカテーテルは、保護スリーブで包むことができ、真空源の近くに配置された弁機構を含むことができる。これらの特徴は、患者と医療提供者の両方への汚染物質のリスクを低減させるものである。遠位端において、例えば多足の気管切開用コネクタを含む種々のコネクタの一つによって、閉吸引カテーテルを人工気道に取り付けることができる。気管切開用コネクタの足の一つを、患者の喉に形成された孔内に位置する気管切開チューブに接続することができる。分泌物又は粘液を患者から取り除くことが望まれる際に、カテーテルはコネクタを通って気管切開チューブ内に前進する。このとき、負圧がカテーテルの他端に加わり、患者の呼吸器系内の分泌物が汲み上げられる。閉吸引カテーテル組立体を使用する場合は、吸引中に患者から通気回路を取り外す必要はなく、長い時間、典型的には24時間にわたって単一のカテーテルを使用することができる。
【0006】
患者の分泌物には、連鎖球菌属、シュードモナス属、ブドウ球菌属さらにはHIV等のような病原菌が含まれている場合がある。従って、カテーテルとの接触から臨床家を保護することが重要である。覆いのないカテーテルすなわち「開放された」カテーテルを用いることにより、臨床家への健康上のリスクがもたらされる。カテーテルが気管切開チューブから引き抜かれるとき、該カテーテルの外側は患者の分泌物で覆われている。全ての障害物が取り除かれた場合には、カテーテルを捨てることができる。しかしながら、処置を2回又は3回と繰り返す必要があることが多い。臨床家は、カテーテルの前進及び後退のたびに、患者を吸引することと、カテーテルの外側の、ついている恐れがある病原菌と接触しないようにすることの両方を懸念しなければならない。さらに、臨床家は、カテーテルが、周囲の領域、例えば患者のガウン、寝具、及び細菌を伝える可能性がある他の周囲の品目のからの細菌で誤って汚染されることを防ぐように留意しなければならない。
従って、環境中にある伝染性の病原体と、臨床家により運ばれ得る病原体から患者を保護することが同様に重要である。気管切開チューブを使用している患者は、免疫機構が損なわれていることが多く、呼吸感染を起こしやすいので、これは特に重要である。
【0007】
気管切開チューブに対して一定の力を加えることは、患者に刺激と不快感をもたらすので、カテーテル組立体を気管切開チューブへ繰り返し取り付けたり取り外したりすることにより問題が生じる。度重なるカテーテル組立体の取り付け及び取り外しから生じる別の問題は、通常2つの手が必要とされることである。一方の手でカテーテル組立体の遠位端を気管切開チューブに押し進め、又は該気管切開チューブから離れるように遠位端を引き抜く間、他方の手で該気管切開チューブを固定させる(ここで用いられる「遠位」は、患者の方向を言い、「近位」は、臨床家の方向を言う)。
従って、従来の閉吸引カテーテル組立体について言及された問題のうちの少なくとも幾つかに効果的に対処する、閉吸引カテーテル組立体を気管切開チューブ又は他の人工気道に取り付けるためのアダプタへの必要性がある。
【0008】
(発明の開示)
本発明の目的及び利点は、以下の説明において部分的に示され、又はその説明から明らかであり、或いは本発明の実施形態により知ることができる。
本発明は、気管切開チューブのような人工気道に取り付けるための閉吸引カテーテル組立体と併用して用いるためのアダプタに向けられる。このアダプタは、同時に患者が該アダプタを通して呼吸できるようにしながら、気管切開チューブのような人工気道と係合することを可能にするような形状にされる。一つの実施形態において、一連の突出部すなわちリブが、アダプタのハウジング内に半径方向内方に延び、これにより患者の呼吸能力を可能にする通路が形成される。
【0009】
本発明のアダプタは、呼吸容量、酸素飽和状態を維持する能力が損なわれている患者のためにハウジング内に酸素ポートをさらに含むことができる。従って、酸素ポートにより、酸素が富化された空気を患者に取り入れることが可能になる。
本発明のアダプタはまた、カテーテルの外面から粘液その他の分泌物を洗浄するための手段も含むことができる。好ましい実施形態において、アダプタのハウジングは、洗浄を助けるためのポートを有することができる。本発明のアダプタはまた、洗浄中に閉吸引カテーテル組立体のカテーテルを大気から隔離するためのカバーを有することもできる。
【0010】
さらに、本発明のアダプタは、閉吸引カテーテル組立体と共に用いられる際に、閉吸引カテーテル組立体の保護スリーブ内かアダプタ・ハウジング内のいずれかにカテーテルの外面を保持することによって、臨床家を汚染物質から保護するものである。カテーテルを隔離することは、該カテーテルの外面から細菌その他の周囲の汚染物質を遠ざけることにより、さらに患者を保護する。
本発明のアダプタはまた、気管切開チューブから、よって患者から、閉吸引カテーテル組立体を解放することをも容易にする。解放組立体は、解放部材に取り付けられた延長機構を含むことができる。解放組立体に力が加えられると、閉吸引カテーテル組立体の遠位端は、気管切開チューブのアダプタ・フランジから外れる。本発明のアダプタにより、気管切開チューブの必要以上の動きを伴わずに片手での取り外しが可能になる。
【0011】
本発明の別の態様によると、解放プレート及び該プレートを閉吸引カテーテル組立体に取り付ける一対のアームがアダプタに設けられる。力が加えられるとアームが延び、解放プレートに気管切開チューブのアダプタ・フランジを取り外させ、閉吸引カテーテル組立体を気管切開チューブの近位端から遠ざかる方向に強制的に動かすように、アームが形成される。本発明の別の態様によると、解放組立体は、プレートの一部がカテーテルの遠位端を覆い、相互感染を防ぐことができるように可動にされている。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、濾過された空気を必要とする患者のために、フィルタを含む。
本発明のさらに別の態様によると、解放機構及びフィルタが、閉吸引カテーテル組立体及び気管切開チューブから取り外し可能な一体のアダプタ・ユニットを形成する。
本発明のさらに別の態様によると、解放組立体を、通気されている患者に用いる形状にされた閉吸引カテーテル組立体のマニホルドに組み入れることができる。
【0013】
(発明を実施するための最良の形態)
次に、本発明の実施形態の1つ又はそれ以上の例について詳細に説明する。各例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。例えば、1つの実施形態に関して説明され記載された特徴を、別の実施形態に使用して、さらに別の実施形態を生み出すことができる。そのような変更及び変形は、本発明の精神及び範囲内に入るものである。
【0014】
図1は、本発明のアダプタを備えた遠位端を有する閉吸引カテーテルシステム50を含む、閉吸引カテーテル組立体100の斜視図である。この閉吸引カテーテルシステム50は、人工気道、特に気管切開チューブ104に取り付けるように配置される。カテーテル組立体100は、一般に、該カテーテル組立体100の遠位端100aを通って前進することができる細長いカテーテル108を含む。
細長いカテーテル108は、実質的に該カテーテル108の長さに沿って延びる柔軟なエンベロープ112で囲まれ又は保護される。エンベロープ112は、これを通してカテーテル108を前進させ、引き抜くことができる開口部を含む遠位端112aにおいて継手116により固定される。継手は、外リングと内リングとの間のスナップ式接続を含むことができる。
【0015】
閉吸引カテーテル組立体100を気管切開チューブ104の近位端104bにあるアダプタ・バレル124に固定するような形状にされた、本発明によるアダプタ120が継手116の遠位側に配置される。示される実施形態において、アダプタ120は、気管切開チューブ104のアダプタ・バレル124の外側と係合するような形状にされた遠位端を有する釣鐘形のハウジング128を含む。同時に、患者がアダプタ120を通して呼吸できるようにしながら係合を可能にするために、一連の突出部すなわちリブ132がハウジング128から半径方向内方に延び、アダプタ・バレル124と係合する。複数の通路136がリブ132の間に形成されて、ハウジング128を通じた吸気及び呼気が可能になる。
ハウジング128はまた、酸素富化空気を患者に供給することができる酸素ポート140を形成することもできる。これは、呼吸容量に欠陥があり、留置気管切開チューブを有することを必要とする患者には特に重要である。ハウジングはまた、流体を気管切開チューブ内に注入するために用いることができる洗浄ポート144を有することもできる。この洗浄ポート144は、カテーテル108を洗浄するために用いることができる。
【0016】
閉吸引カテーテルシステム50はまた、ハウジング128に係合して、カテーテル・チューブ108を外部環境から実質的に隔離するカバー150を含むこともできる。このカバーは、閉吸引カテーテル組立体100の遠位端か、又はハウジング128の近位端に取り付けることができる。以下に非常に詳細に説明されるように、カバー150は種々の目的を果たす。使用直後にカテーテル108の外側を洗浄することは重要である。洗浄されないまま放置された場合には、粘液その他の分泌物がカテーテル108の上で乾き、その後の使用における効果が低減することになる。粘液はまた細菌の培地としても働く。カバー150は、制限された空気流をカテーテル・チューブの遠位端に与えることによって、カテーテル108を洗浄するのを助ける。このことは、小さい穴158を有し、絞り弁を形成する壁154を含むキャップ152によって達成される。穴158により、カテーテル108を通して吸引が施されるときに少量の空気が流入し、カテーテルの中に入る空気流を制限することが可能になる。このような制限された空気流をもたらすことは、カテーテル108の遠位端の洗浄の改善の助けとなる。
【0017】
壁154及び穴158によって形成された弁を選択的に閉じるために、第2のキャップ162を設けることができる。この第2のキャップ162は、ハウジング128を通り抜ける大気及び汚染につながる物質から、カテーテル108の遠位端を実質的に隔離するものである。使用中に閉吸引カテーテルシステム50を何度でも気管切開チューブに取り付けたり、該気管切開チューブから取り外したりすることができるので、これは重要である。カバー150は、閉吸引カテーテルシステムが大気内の汚染物質との接触によって汚染されないようにするのを助ける。閉吸引カテーテルシステム50を再び使用するために、カバー150が取りはずされ、アダプタ・ハウジング128が気管切開チューブ104のアダプタ・バレル124に再び取り付けられる。気管切開チューブ104が動き過ぎないように、臨床家は、一般に、アダプタ・ハウジング128のリブ132がアダプタ・バレル124と摩擦係合される際に該気管切開チューブ104のアダプタ・フランジ170を保持する。
【0018】
図2は、図1には示されていない、エンベロープ112の近位側の継手174及び吸引制御弁178を示す。吸引制御弁178は、吸引のために取り付けられたチューブに接続する近位端178bを有する。図2を参照すると、アダプタはまた、アダプタ・ハウジング128に取り付けられた解放組立体180も含む。解放組立体180は、第1のアーム184及び第2のアーム188を含む。第1のアーム184の近位端184b及び第2のアーム188の近位端188bが、ハウジング128に接続される。第1のアーム184の反対側の遠位端184a及び第2のアーム188の反対側の遠位端188aが、一端に孔200を有する細長い解放部材192に取り付けられる。孔200は、全体的にハウジング128内の通路136と位置合わせされ、患者が呼吸しやすいようにした複数の溝204を含む。
【0019】
ハウジング128が気管切開チューブ104に取り付けられるとき、解放部材192が、アダプタ・フランジ170に隣接して配置される。第1のアーム184及び第2のアーム188に圧力を加えることで、該アームは遠位側に延び、解放部材192をハウジング128から遠ざかり気管切開チューブ104のアダプタ・フランジ170と係合するように押し付ける。解放部材192をアダプタ・フランジ170に押し当てて強制的に係合させることにより、該解放部材の遠位側の動きが止まり、ハウジング128の近位側の動きがもたらされる。ハウジング128の近位側の動きは、該ハウジングを気管切開チューブ104のアダプタ・バレル124との係合から引っ張るのに十分なものである。従って、アーム184及び188を強く握ることによって、臨床家は、ねじったり、又は気管切開チューブを動かす傾向があり患者に不快感をもたらす他の力を用いることなく、気管切開チューブ104からハウジング128を取り外すことができる。
【0020】
次に図3に移ると、アダプタ120の遠位端の側面図が示される。この図は、第1のアーム184と第2のアーム188と解放部材192とを含むアダプタ120の解放組立体180をより明らかに示す。解放部材192がハウジング128に隣接して配置されるように、第1のアーム184及び第2のアーム188を曲げられ、弛められた状態にすることができる。テレスコープ型リング212が、ハウジング128の遠位端に配置され、解放部材192に取り付けられて、アーム184及び188が圧縮され、該解放組立体192が該ハウジングから離れるように動くときに該ハウジングの延長部分を形成することが好ましい。
【0021】
図4は、解放組立体180をより詳細に示す。解放組立体180は、アーム184及び188と、解放プレート196の形態の解放部材192とを含む。プレート196は、以下により詳細に説明されるように、カバーとして用いることもできる。図4に示されるように、解放部材192は、気管切開チューブの近位端を、孔200を通してハウジング128内のリブ132と摩擦係合する位置に挿入できるように配向される。孔200の両側は、ハウジング内の通路136と対応する溝204を設けるように形成されるが、使用中に孔の最内側が気管切開チューブのアダプタ・バレル124と係合しないことが好ましい。しかしながら、アーム184及び188が圧縮され、解放部材がハウジング128から遠位側に向かって押されたときには、孔の最内側がアダプタ・バレル124の底部にある小さなフランジ124a(図3)と係合することができる。
【0022】
図4はまた、解除プレート196の両側に配置された一対のレール216(一つだけが見られる)を示す。このレール216は、第1のアーム184の遠位端184a及び第2のアーム188の遠位端188aと摺動可能に係合している。図5に示されるように、カテーテル組立体100が使用されていないときには、解放部材192をレール216に沿って長手方向に摺動させることができ、そこでプレート196は、閉吸引カテーテルシステムの遠位端に対するカバーを形成する。解放部材192は、孔200を覆っている中実のプレート192として示されるが、カテーテル108の遠位端の洗浄を容易にするために内部に小さな穴220を設けることもできる。
図2から図5までは、溝付きの孔200が形成された摺動プレート196の使用を示すが、以下に説明されるように、解放組立体180を形成し、気管切開チューブ104からのハウジング128の解放を達成するために、他の構成を用い得ることが、当業者であれば本開示に照らして分かるであろう。
【0023】
図6は、図2から図4までの解放組立体180とほぼ同じ解放組立体の斜視図である。休止状態で示される2つのアーム184及び188は、これらの間に保持カラー230が配設された単一部品の材料を形成するように成形されることが好ましい。保持カラー230は、ハウジング128上又は該ハウジングより僅かに上にある、閉吸引カテーテル組立体100の遠位端100a(図2)上に取り付けるような形状にされる。保持カラー230は、アームが圧縮されたとき解放部材192が最大限に遠位側になるように、固定されたままであることが好ましい。
図6に示されるように、解放部材192は、孔200’に溝が付けられていないことを除いて、図2から図4までのものと同じである。閉吸引カテーテルシステムが人工呼吸を必要とする患者により使用される場合には、アダプタ・バレル124がハウジング内に固定された状態を保ちながら、空気が孔200’内に容易に流入できるように、孔200’の直径寸法を十分大きく作ることができる。この組立体を使用する患者がフィルタを通して呼吸する必要がある場合には、孔200’の直径を気管切開チューブ104(図3)のアダプタ・バレル124(図3)より僅かに大きくすることだけが必要である。
【0024】
図7は、本発明の別の実施形態を用いる、閉吸引カテーテルシステム250の遠位端250aの拡大図である。閉吸引カテーテルシステム250は、エンベロープ258内に囲まれているカテーテル254を含む。前の実施形態と同様に、エンベロープ258は、継手262により該エンベロープの遠位端において固定され、これによりカテーテル254がそこを通って前進することが可能になる。使用後に液体を注入し、及び/又はカテーテル254を洗浄するために洗浄ポート266を設けることもできる。
図7に示される実施形態と図2から図5までに示される実施形態との間の相違点は、全体を270で示すアダプタ内に存在する。部分的にはフィルタ・ハウジング278によって、アダプタ・ハウジング274が形成される。フィルタ材282がハウジング278内に配置され、患者が該フィルタ材を通して呼吸できるようになる。フィルタ材を、主として患者と周囲環境との間の交差汚染を防ぐように選択することができ、或いは熱及び湿度交換器(HME)として働くように選択することもできる。図7には示されないが、空気を富化するために、図1、図2、図4及び図5のポート140のような酸素ポートを設けることもできる。
【0025】
典型的には、ハウジング274の遠位端274aは、気管切開チューブ104の近位端104a(図1及び図4)と係合する形状にされた円形の受容体286を含む。患者はフィルタ材282を通して呼吸することができるので、図2から図5までの実施形態に関して説明されたようなリブ及び通路が設けられる必要はない。
アダプタ組立体270はまた、全体を290で示す解放組立体も含む。解放組立体290は、第1のアーム294及び第2のアーム298を含む。第1のアーム294の遠位端294a及び第2のアーム298の遠位端298aは、孔310を囲む環状のディスク306の形態の解放部材302に取り付けられる。一端にハンドル318が形成された摺動カバー314によって、孔310を選択的に閉じることができる。対向するアーム294の近位端294b及びアーム298の近位端298bは、閉吸引カテーテルシステム250に取り付けられた保持リング322に取り付けられる。代わりに、保持リング322、アーム294及び298、及び解放部材302を単一部品として形成することもできる。
【0026】
従って、図7に示されるように、汚染物質がカテーテルに移動すること、又はカテーテルが誤って閉吸引カテーテル250の遠位端250aを超えて前進することのいずれかによって、カテーテル254が環境と直接接触することから保護される。閉吸引カテーテルシステム250を使用のための状態に配置するためには、ハンドル318を解放部材302から後退させて孔を開く。
解放部材290は、図2から図5までの解放部材180とほぼ同じ方法で機能する。アーム294及び298の横方向の圧縮により、該アーム294及び298は、解放部材302と共に遠位側に延長される。解放部材302は、気管切開チューブ104のフランジ170に係合し、ハウジング274を該気管切開チューブから強制的に取り外させる。
【0027】
手短かに図8に移ると、図7に示される解放組立体290の一つの実施形態の拡大図が示される。解放組立体は、第1のアーム294と、第2のアーム298と、環状のディスク306により形成された解放部材302と、孔310とを含む。カバー314は、閉鎖位置で示されている。解放部材302の反対側にある保持リング322は、雄型部品に対応する322a及び雌型部品に対応する322bの2つの部品から形成され、該保持リング322が閉吸引カテーテルシステム250の遠位端250a(図7)にスナップ嵌めされることを可能にする。
次に図9に移ると、全体を350で示すカテーテル組立体の遠位端350aの部品図が示される。カテーテル組立体350は、カテーテル354と、継手362により遠位端358aにおいて保持されるエンベロープ358とを有する。洗浄ポート364もまた、継手より遠位側であるがアダプタ368よりは近位側に設けられる。
【0028】
アダプタ368に取り付け可能であるが、これから外すことができる、全体を370で示すアダプタ組立体も図9に開示される。アダプタ組立体370は、アダプタ・ハウジング374を含む。アダプタ・ハウジング374の一部が、内部にフィルタ材が配置され、該フィルタ材を通して患者が呼吸できるようにするフィルタ・ハウジング378を任意に形成する。主として細菌の吸入及び放散を防ぐために、又は熱及び湿気交換器(HME)として機能させるために、フィルタ材を選択することができる。図9には示されないが、空気を富化するために、図1、図2、図4及び図5のポート140のような酸素ポートを設けることもできる。
ハウジング374の遠位端374aは、典型的には、気管切開チューブ104の近位端(図1及び図2)と係合するために中実の環状リング386を含む。ハウジング374の環状リング386は、全体を390で示す解放組立体を用いて2つを分離するまで、気管切開チューブと摩擦係合している。
【0029】
解放組立体390は、第1のアーム394及び第2のアーム398を含む。第1のアーム394の遠位端394a及び第2のアーム398の遠位端398aは、孔410が内部に形成された摺動可能なプレート406の形態の解放部材402に取り付けられる。第1のアーム394の遠位端394a及び第2のアーム398の遠位端398aに対してプレート406を摺動させるだけで、図9に示される開放位置と閉鎖位置との間に孔410を動かすことができる。
対向するアーム394の近位端394b及びアーム398の近位端398bは、アダプタ組立体370に取り付けられた保持リング422に取り付けられる。環状の突出部428が、保持リング422の上を延びて、アダプタ368と係合し、これにより、カテーテル組立体350の遠位端350aにおいてアダプタ組立体370がアダプタに保持される。
図2から図9までの実施形態は、内部に形成された孔を有するプレート、ディスクなどの使用を示すが、当業者であれば、解放部材が気管切開チューブ104のアダプタ・バレル124(図1及び図4)を完全に囲む必要がないことを認識するであろう。従って、U形状又は間隔を置いて配置された複数の部分を有する開放部材を用いることもできる。さらに、解放組立体は2つのアームを有する必要はない。
【0030】
次に図10に移ると、本発明による別のアダプタ組立体が示される。前の実施形態は、患者が自分自身で呼吸することができる状況において使用するものと教示された。しかしながら、図10は、患者が機械通気される場合に使用するための閉吸引カテーテル組立体の遠位端に配置された、全体を450で示すアダプタの拡大斜視図を示す。アダプタ組立体450は、機械通気装置に取り付けられた患者のためのマニホルドを形成するハウジング454を含む。ハウジング454は、カテーテルがそこを通って前進するような形状にされた、該ハウジングの近位端に配置された第1のバレル458を有する。対向する第2のバレル462は、第1のバレルと軸方向に位置合わせされ、気管切開チューブ104のアダプタ・バレル124(図1及び図4)に取り付けるような形状にされる。
【0031】
第3のバレル466が、第1のバレル458及び第2のバレル462と直交して延びる。第3のバレル466は、一般に、Y字形アダプタ(図示せず)に取り付けられ、該Y字形アダプタは、機械通気装置の吸気用チューブ及び呼気用チューブに取り付けられる。使用中、空気は機械通気装置から来て第3のバレル466を通り、第1のバレル462を通って気管切開チューブに入る。排気は、第1のバレル42を通り、第3のバレル466を通って外に出る。
第4のバレル472を設けることもできる。第4のバレル472は、通常、患者が機械通気されるときに該第4のバレル上のリップ478の上に嵌まるキャップ(図示せず)で覆われている。しかしながら、キャップを取り外して、強制通気しない間、アダプタを通して富化された空気を与えることができる。この方法は、一般的に「吹き抜け」と呼ばれ、患者を通気装置から引き離すために用いられることが多い。
【0032】
アダプタ組立体450に、全体を480で示す解放組立体も設けられる。解放組立体480は、第1のアーム484及び第2びアーム488を含む。第1のアーム484は、遠位端484aにおいて解放部材492に取り付けられ、対向する近位端484bにおいて保持リング496に取り付けられる。同様に、第2のアーム488は、遠位端488aにおいて解放部材492に取り付けられ、近位端において保持リング496に取り付けられる。
カバー500は、解放部材492内で動くことができ、孔504を閉じ、マニホルド内にに配置されたカテーテルを覆う。ハンドル508を孔504から遠ざかるように引くだけで、カバー500を図10に示される閉鎖位置から開放位置に動かすことができる。
【0033】
図11は、異なるカバーを有する、図10の解放組立体480の裏側を示す。この解放組立体480は、第1のアーム484及び第2のアーム488を含む。第1のアーム484は、遠位端484aにおいて解放部材492に取り付けられ、対向する近位端484bにおいて保持リング496に取り付けられる。同様に、第2のアーム488は、遠位端488aにおいて解放部材492に取り付けられ、近位端488bにおいて保持リング496に取り付けられる。
カバー500は、解放部材492内で動くことができ、孔504を閉じ、マニホルド内にに配置されたカテーテルを覆う。ハンドル508を孔504から遠ざかるように引くだけで、カバー500を閉鎖位置から開放位置に動かすことができる。凹部502をカバー500内に形成し、解放部材の内部と係合させ、臨床家により積極的に処置がなされるまで該カバーを閉鎖位置に保持することができる。このことにより、カバー500が摺動すること及び誤って開いてしまうことが防止される。
【0034】
図12は、図10に関して説明されたアダプタと実質的に同じであるアダプタ組立体を示し、これに従って符号が付けられている。アダプタ組立体450はまた、第1のアーム524及び第2のアーム528を含む解放組立体も含む。各アームの遠位端524a及び528aは、解放プレート536の形態の解放部材532に摺動可能に取り付けられている。解放プレート536は、第2のバレル462と位置合わせされた状態で動くことができる孔540を定める。第1のアーム524の近位端524b及び第2のアーム528の近位端528bが、保持リング544に取り付けられる。アーム524及び528を圧縮することにより、解放部材532が遠位側に延長され、気管切開チューブから第2のバレル462が取り外される。
当業者であれば、本発明の精神及び範囲内に含まれる変形及び修正をなし得ることが分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 気管切開チューブに取り付けるための、閉吸引カテーテルシステムの遠位端の斜視図である。
【図2】 本発明の原理に従った、閉吸引カテーテル組立体の遠位端に配置された解放アダプタを有する閉吸引カテーテルシステムの斜視図である。
【図3】 気管切開チューブに取り付けるために位置合わせされた、図2の閉吸引カテーテルシステムの遠位端の側面図である。
【図4】 気管切開チューブに取り付けるような形状にされた解放アダプタを有する、図2及び図3の閉吸引カテーテルシステムの拡大斜視図である。
【図5】 組立体が使用されていない間、カテーテル組立体を汚染物質から実質的に隔離するような形状にされた解放アダプタを有する、図4の図と同様の拡大斜視図である。
【図6】 一般的に取り付けられるアダプタから切り離した、解放組立体の拡大斜視図である。
【図7】 解放機構を有するアダプタ内にフィルタが組み込まれた、本発明の別の実施形態の拡大斜視図である。
【図8】 解放機構を組み立てる別の方法を示す、部分的に分解された図7の解放組立体の拡大斜視図である。
【図9】 フィルタ及び解放機構が、閉吸引カテーテルシステムの残りの部分から取り外し可能なアダプタ内に形成された、さらに別の実施形態の拡大斜視図である。
【図10】 機械通気を必要とする患者に用いられる閉吸引カテーテル組立体と共に用いるためのアダプタの斜視図である。
【図11】 組立体の近位端から取られた、図10の解放組立体の斜視図である。
【図12】 機関通気を受けている患者に使用するためのアダプタの、別の実施形態の斜視図である。

Claims (9)

  1. 閉吸引カテーテルシステムを気管切開チューブに接続するためのアダプタであって、
    複数の(a)複数の半径方向内向きのリブ及び(b)前記リブの間に配置された複数の通路により定められる内部チャンバと、
    前記気管切開チューブの近位端に係合する内面的形状にされた遠位端と、
    前記閉吸引カテーテル組立体の遠位端に係合する近位端と、
    を有するハウジングを備え、
    前記リブの間に形成された前記通路が、前記ハウジングと前記気管切開チューブとの間に、患者の吸入及び吐出のための空気流路を形成しており、
    前記アダプタを前記気管切開チューブから切り離すように構成された解放組立体が設けられ、
    該解放組立体は、
    前記アダプタハウジングの前記遠位端に隣接して配置され、該アダプタハウジングの前記内部チャンバと整合する位置に形成された孔を有する解放部材と、
    それぞれの遠位端が前記解放部材に取り付けられ、近位端が前記アダプタハウジングに取り付けられた圧縮性の第1及び第2アームと
    を備え、
    前記アームは、該遠位端と近位端との間で湾曲しており、圧縮力の作用で伸びたとき前記解放部材を遠位方向に付勢して前記アダプタハウジングを前記気管切開チューブとの係合から外すように構成され、
    前記解放部材は、該解放部材の前記孔が前記アダプタハウジングの前記内部チャンバと重なる位置から外れる閉鎖位置まで、前記第1及び第2アームの前記遠位端に対して摺動可能であり、該解放部材を前記閉吸引カテーテルシステムの前記遠位端のカバーとすることができる
    ことを特徴とするアダプタ。
  2. 前記ハウジングが酸素ポートを有することを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
  3. 前記第1のアーム及び前記第2のアームの前記近位端が、保持リングにより前記アダプタハウジングに取り付けられたことを特徴とする請求項に記載のアダプタ。
  4. 前記解放部材の前記孔が、前記内部チャンバの前記通路に整合する複数の溝を有することを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
  5. 前記アダプタハウジングが、第1のバレルと第2のバレルと第3のバレルとを有するマニホルドを含み、前記第1のバレル及び前記第2のバレルが実質的に整列状態にあり、前記第3のバレルが該第1のバレル及び該第2のバレルに対して垂直に延びることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
  6. 前記マニホルドが第4のバレルを更に含むことを特徴とする請求項10に記載のアダプタ。
  7. 前記ハウジングが、フィルタ・ハウジングと、前記フィルタ・ハウジング内のフィルタとを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
  8. 前記解放部材が、前記閉吸引カテーテルシステムの前記遠位端のカバーを構成する部分に小孔を有することを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
  9. 気管切開チューブが挿管された患者から分泌物を吸引するための装置であって、前記装置が、
    カテーテルと、前記カテーテル・チューブを囲むエンベロープとを有する閉吸引カテーテル組立体と、
    請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のアダプタと、
    を備え、
    前記アダプタが、前記閉吸引カテーテル組立体の遠位端において、前記カテーテル・チューブがこの中を通って前進することができるように配置され
    ことを特徴とする装置。
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