JP4269895B2 - 内燃機関の制御装置及び内燃機関の制御方法 - Google Patents

内燃機関の制御装置及び内燃機関の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、筒内噴射弁を備える内燃機関を均質燃焼領域において運転する場合における内燃機関の制御装置及び内燃機関の制御方法に関する。
気筒内に直接燃料を噴射して点火する、いわゆる直噴の内燃機関は、圧縮行程中に気筒内へ直接燃料を噴射して、いわゆる成層燃焼を実現させて運転することにより、燃費を向上させるとともに、CO2の排出量を低減させることができる。また、直噴の内燃機関は、吸入行程中に気筒内へ直接燃料を噴射して気筒内へ燃料を拡散させて燃焼させる、いわゆる均質燃焼の下で運転することもできる。これにより、直噴の内燃機関を均質燃焼領域で運転する際に高出力を得ることもできる。このような利点から、近年、直噴の火花点火式内燃機関が注目されており、実用化されている。
特許文献1には、均質燃焼で運転される場合において、吸気行程中に筒内噴射弁から燃料を噴射するとともに、少なくとも機関回転数が低回転のときには必要な燃料を複数回に分割して噴射することにより、スモークの発生を抑制する筒内噴射式の火花点火機関が開示されている。
特開平7−119507号公報
しかし、特許文献1に開示されたように、吸気行程中において複数回に分割して気筒内へ燃料を噴射する場合、燃料噴射の時期によっては燃料の拡散が不均一となって、内燃機関のトルクを減少させる場合もある。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、均質燃焼時において、筒内に噴射された燃料の拡散不均一を抑制して、内燃機関のトルク低下を抑制できる内燃機関の制御装置及び内燃機関の制御方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の目的を達成するために鋭意研究した結果、特に頂部にキャビティを設けたピストンを備える内燃機関においては、吸気行程のある範囲で筒内噴射弁から噴射した燃料はキャビティの壁面に衝突し、キャビティの底面へ巻き込むように拡散することを見出した。そして、これにより、気筒内へ噴射した燃料は底面に偏在し、気筒内に導入された空気と十分に混合されず、内燃機関のトルク低下を招くことを見出した。本発明はかかる観点から完成されたものである。
上述の目的を達成するために、本発明に係る内燃機関の制御装置は、筒内噴射弁と、側壁を有するキャビティが形成されたピストンとを備える内燃機関を制御するものであり、前記内燃機関の燃焼が均質燃焼領域か否かを判定する燃焼判定部と、均質燃焼領域である場合、前記筒内噴射弁から噴射される燃料が前記キャビティの側壁に衝突する期間においては、前記筒内噴射弁からの燃料噴射を禁止する噴射時期決定部と、を含んで構成されることを特徴とする。
このような構成により、この内燃機関の制御装置では、筒内噴射した燃料がピストンの側壁へ衝突するおそれを効果的に低減できる。これにより、気筒内に噴射された燃料の拡散不均一を抑制して、均質燃焼時において、キャビティを有するピストンを備える内燃機
関のトルク低下を抑制することができる。
また、次の本発明に係る内燃機関の制御装置は、前記内燃機関の制御装置において、前記筒内噴射弁から噴射される燃料が前記キャビティの側壁に衝突する期間は、点火上死点前260度以上点火上死点前300度以下の範囲であることを特徴とする。
このような範囲で筒内噴射弁からの燃料噴射を禁止すれば、筒内噴射した燃料がピストンの側壁へ衝突するおそれを効果的に低減できる。これにより、気筒内に噴射された燃料の拡散不均一を抑制して、均質燃焼時において、キャビティを有するピストンを備える内燃機関のトルク低下を抑制することができる。
また、次の本発明に係る内燃機関の制御装置は、前記内燃機関の制御装置において、前記噴射時期決定部は、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも遅角側で燃料を噴射させる第1の噴射形態と、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも進角側で燃料を噴射させる第2の噴射形態とを選択できるとともに、前記内燃機関の機関回転数が所定の回転数よりも低い場合には前記第1の噴射形態を選択し、前記機関回転数が前記所定の回転数よりも高い場合には前記第2の噴射形態を選択して、前記筒内噴射弁から燃料を噴射させることを特徴とする。
このように、筒内噴射した燃料がピストンの側壁へ衝突する期間を避けて筒内噴射するので、筒内に噴射された燃料の拡散不均一を抑制できる。その結果、均質燃焼時において、キャビティを有するピストンを備える内燃機関のトルク低下を抑制することができる。さらに、本発明では、機関回転数に応じて筒内噴射弁による燃料噴射時期を変化させるので、空気冷却によるトルク向上効果と、燃料と空気との混合促進によるトルク向上効果とを有効に利用できる。その結果、内燃機関のトルクを向上させることができる。
また、次の本発明に係る内燃機関の制御装置は、前記内燃機関の制御装置において、噴射時期決定部は、前記内燃機関の機関回転数が前記所定の回転数以上になったときに、前記筒内噴射弁の噴射形態を前記第1の噴射形態から前記第2の噴射形態に切り替えるとともに、噴射形態を切り替えるときには、前記第1の噴射形態と前記第2の噴射形態との両方により前記筒内噴射弁から燃料を噴射させることを特徴とする。
このような構成により、筒内に噴射された燃料の拡散不均一を抑制して、均質燃焼時において、キャビティを有するピストンを備える内燃機関のトルク低下を抑制できる。さらに、本発明では、筒内噴射弁の燃料噴射時期を切り替えるにあたっては、吸気上死点付近と吸気下死点付近との2回に分割して、所定の期間、筒内噴射弁から気筒内へ燃料を噴射する。これにより、筒内噴射弁の燃料噴射時期切替に起因するノッキングの発生を抑制できるとともに、燃料噴射時期切替時における円滑なトルク変化特性を実現できる。
また、次の本発明に係る内燃機関の制御装置は、前記内燃機関の制御装置において、噴射形態を切り替えるときには、前記第1の噴射形態と前記第2の噴射形態との両方をそれぞれ所定回数用いることを特徴とする。
このように、前記第1の噴射形態と前記第2の噴射形態との両方をそれぞれ所定回数用いれば、滑らかに筒内噴射弁の燃料噴射時期を切り替えることができる。
また、次の本発明に係る内燃機関の制御装置は、前記内燃機関の制御装置において、前記内燃機関に対して噴射する全燃料噴射量が所定量以上となった場合に、前記第1の噴射形態と前記第2の噴射形態との両方を用いることを特徴とする。
内燃機関に対する全燃料噴射量は、燃料噴射時期切替に起因するノッキングやトルク変動と相関が強い。したがって、前記全燃料噴射量を用いれば、燃料噴射時期の切替時において、第1の噴射形態と第2の噴射形態との両方をそれぞれ所定回数用いるか否かを判定する精度が向上する。
また、次の本発明に係る内燃機関の制御方法は、筒内噴射弁と、側壁を有するキャビティが形成されたピストンとを備える内燃機関を制御するにあたり、前記内燃機関の燃焼が均質燃焼領域か否かを判定する手順と、均質燃焼領域である場合、前記筒内噴射弁から噴射される燃料が前記キャビティの側壁に衝突する期間においては、前記筒内噴射弁からの燃料噴射を禁止する手順と、を含むことを特徴とする。
このような構成により、筒内噴射した燃料がピストンの側壁へ衝突するおそれを効果的に低減できる。これにより、気筒内に噴射された燃料の拡散不均一を抑制して、均質燃焼時において、キャビティを有するピストンを備える内燃機関のトルク低下を抑制することができる。
また、次の本発明に係る内燃機関の制御装置は、前記内燃機関の制御装置において、前記内燃機関の機関回転数が所定の回転数よりも低い場合には、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも遅角側で前記筒内噴射弁が燃料を噴射し、前記機関回転数が前記所定の回転数よりも高い場合には、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも進角側で前記筒内噴射弁が燃料を噴射することを特徴とする。
このように、筒内噴射した燃料がピストンの側壁へ衝突する期間を避けて筒内噴射するので、筒内に噴射された燃料の拡散不均一を抑制できる。その結果、均質燃焼時において、キャビティを有するピストンを備える内燃機関のトルク低下を抑制することができる。さらに、本発明では、機関回転数に応じて筒内噴射弁による燃料噴射時期を変化させるので、空気冷却によるトルク向上効果と、燃料と空気との混合促進によるトルク向上効果とを有効に利用できる。その結果、内燃機関のトルクを向上させることができる。
また、次の本発明に係る内燃機関の制御装置は、前記内燃機関の制御装置において、前記所定の回転数よりも低い機関回転数から前記所定の回転数よりも高い機関回転数へ移行する際の所定期間は、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも進角側と遅角側との両方で前記筒内噴射弁が燃料を噴射することを特徴とする。
このような構成により、筒内に噴射された燃料の拡散不均一を抑制して、均質燃焼時において、キャビティを有するピストンを備える内燃機関のトルク低下を抑制できる。さらに、本発明では、筒内噴射弁の燃料噴射時期を切り替えるにあたっては、吸気上死点付近と吸気下死点付近との2回に分割して、筒内噴射弁から気筒内へ燃料を噴射する。これにより、筒内噴射弁の燃料噴射時期切替に起因するノッキングの発生を抑制できるとともに、燃料噴射時期切替時における円滑なトルク変化特性を実現できる。
また、次の本発明に係る内燃機関の制御装置は、前記内燃機関の制御装置において、前記内燃機関に対して噴射する全燃料噴射量が所定量以上となった場合に、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも進角側と遅角側との両方で筒内噴射弁が燃料を噴射することを特徴とする。
内燃機関に対する全燃料噴射量は、燃料噴射時期切替に起因するノッキングやトルク変動と相関が強い。したがって、前記全燃料噴射量を用いれば、燃料噴射時期の切替時において、第1の噴射形態と第2の噴射形態との両方をそれぞれ所定回数用いるか否かを判定する精度が向上する。
以上説明したように、この発明に係る内燃機関の制御装置及び内燃機関の制御方法によれば、均質燃焼時において、筒内に噴射された燃料の拡散不均一を回避して、内燃機関のトルク低下を抑制できる。
以下、本発明の実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例の構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、本発明はレシプロ式の内燃機関に対して好適に適用でき、特に乗用車やバス、あるいはトラック等の車両に搭載される内燃機関に対して好ましい。
実施例1の本発明に係る内燃機関の制御装置は、筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁を備えるとともに、ピストン頂部にキャビティが形成されている内燃機関の制御に用いられるものである。そして、実施例1の本発明に係る内燃機関の制御装置及び制御方法は、均質燃焼領域で前記内燃機関が運転される場合、前記筒内噴射弁から噴射される燃料が前記キャビティの側壁に衝突する期間においては、前記筒内噴射弁からの燃料噴射を禁止する点に特徴がある。
図1は、本発明の実施例1に係る内燃機関の制御装置により内燃機関を制御する場合の一例を示す概念図である。内燃機関の制御装置10の制御対象である内燃機関1はガソリンを燃料としたレシプロ式の内燃機関であり、気筒1s内に燃料Fを噴射する筒内噴射弁2を備える。そして、筒内噴射弁2により、内燃機関1へ燃料Fを供給する。このように、内燃機関1は、筒内噴射弁2により直接気筒1s内へ燃料Fを筒内噴射する、いわゆる直噴の内燃機関である。なお、本発明は、吸気通路4内に燃料を噴射するポート噴射弁3(図1では点線で示す)をさらに備える内燃機関に対しても適用することができる。
吸気通路4から気筒1s内に導入される空気は、筒内噴射弁2から噴射される燃料Fと混合気を形成し、この混合気が点火プラグ7で着火されて燃焼する。混合気の燃焼圧力はピストン5に伝えられ、ピストン5を往復運動させる。ピストン5の往復運動はクランク軸6で回転運動に変換されて、内燃機関1の出力として取り出される。クランク軸6にはクランク角センサ41が取り付けられており、クランク角センサ41の出力をECU(Engine Control Unit)30が取得して、筒内噴射弁2に燃料を噴射させる時期の制御に使用する。
ECU30は、アクセル開度センサ42、エアフローセンサ43、その他の各種センサ類からの出力等の出力を取得して、内燃機関1の運転を制御する。また、この実施例において、本発明に係る内燃機関の制御装置10はECU30に接続されており、本発明に係る内燃機関の制御方法を実現するにあたっては、ECU30が備える内燃機関1の制御機能機能を利用できるように構成されている。
この内燃機関1が備えるピストン5は、ピストン頂部5tにキャビティ5cが形成されている。このキャビティ5cは、側壁5cwと底面5cuとを有する。成層燃焼時においては、圧縮行程でピストン5が点火上死点近傍に位置したときに、筒内噴射弁2からキャビティ5cへ向かって燃料を噴射する。これにより、点火プラグ7近傍に燃料の濃い混合気を形成して、成層燃焼時においても、安定して燃料を燃焼させることができる。
図2−1は、吸気下死点付近で筒内に燃料を噴射した場合における燃料の拡散状態を示
す説明図である。図2−2は、吸気上死点付近で筒内に燃料を噴射した場合における燃料の拡散状態を示す説明図である。図2−3は、BTDC260度〜300度で筒内に燃料を噴射した場合における燃料の拡散状態を示す説明図である。また、図3は、機関回転数と燃料噴射時期との関係を示す説明図である。気筒1s内への燃料噴射時期は、点火上死点を0度としたときのクランク角CAで表す。また、気筒1s内への燃料噴射時期は、BTDC(Before Top Death Center:上死点前)で表し、このときの上死点は点火上死点である。図2−1〜図2−3は、いずれも均質燃焼領域における気筒内の状態を表しており、以下の説明は均質燃焼領域が前提である。そして、均質燃焼領域では吸気行程で気筒1s内へ燃料を噴射する。
図2−1に示すように、吸気下死点付近(図3に示すBゾーン)で筒内噴射弁2により気筒1s内へ燃料を噴射した場合、燃料の噴霧50は、ピストン5に形成されるキャビティ5cの外であって排気弁47側のピストン頂部5tへ向かって噴射される。そして、気筒1sの内壁1swに沿ってシリンダヘッド1shに向かって拡散する。この場合には、気筒1s内において燃料の噴霧50が拡散する空間を大きくとることができるので、機関回転数NEが比較的低い領域においては燃料と空気とが十分に混合される。その結果、燃料の気化潜熱による空気冷却効果を有効に利用して、空気の充填効率を向上させることにより、内燃機関1のトルクを向上させることができる。一方、燃料の噴射から点火までの時間は短くなるので、機関回転数NEが大きくなると、燃料と空気との混合が不十分になりやすい。したがって、吸気下死点付近、すなわち図3に示すBゾーンでの燃料噴射は、機関回転数NEが低回転から中回転、より具体的には機関回転数NEが4000rpm(Revolution Per Minute)前後までとすることが好ましい。
次に、図2−2に示すように、吸気上死点付近(図3に示すAゾーン)で筒内噴射弁2により気筒1s内へ燃料を噴射した場合、燃料の噴霧50は、ピストン5のキャビティ5c内へ噴射される。そして、底面5cuを通って側壁5cwに沿って拡散していく。ここで、側壁5cwは、排気弁47側の壁面であり、燃料の噴霧50の進行方向側に位置する壁面である。この場合には、気筒1s内において燃料の噴霧50が拡散する空間を大きくとることができず、また、燃料の噴霧50の拡散時間も十分に確保できない。しかし、燃料噴射から点火までの時間を確保することができるので、燃料噴射後における燃料と空気との混合を促進することができる。ここで、機関回転数NEが大きい場合、内燃機関1のトルクを向上させるためには燃料と空気との混合を促進させることが効果的である。したがって、機関回転数NEが高回転域(NEが4000rpm前後以上)においては、吸気上死点付近、すなわち図3に示すAゾーンで燃料を噴射することが好ましい。これにより、高回転域において、内燃機関1のトルクを向上させることができる。
一方、図2−3に示すように、クランク角CAがBTDC260度以上BTDC300度以下で気筒1s内に燃料を噴射した場合、燃料の噴霧50はピストン5のキャビティ5cの側壁5cwに衝突し、底面5cuへ巻き込むように拡散する。これにより、気筒1s内へ噴射した燃料の噴霧50はピストン5の底面5cuに偏在し、気筒1s内に導入された空気と十分に混合されない。その結果、内燃機関1のトルク低下を招いてしまう。このため、ピストン5にキャビティ5cが形成されている場合、クランク角CAがBTDC260度以上300度以下の領域、すなわち図3の燃料噴射禁止ゾーン(Cゾーン)においては、気筒1s内への燃料噴射を禁止する。
実施例1の本発明では、燃料が側壁5cwへ衝突して、燃料と空気との混合が悪化する領域での燃料噴射を禁止する。これにより、実施例1の本発明では、キャビティ5cへの燃料衝突に起因する燃料の拡散不均一を抑制できるので、キャビティ5cを有するピストン5を備える内燃機関1のトルク低下を抑制することができる。
さらに、実施例1の本発明においては、機関回転数NEに応じて筒内噴射弁2による気筒1s内への燃料噴射時期を切り替える。より具体的には、機関回転数NEが所定の回転数NEcよりも低い場合には、吸気下死点付近(図3のBゾーン)で筒内噴射弁2から燃料を噴射し、機関回転数NEが所定の回転数NEcよりも大きい場合には、吸気上死点付近(図3のAゾーン)で筒内噴射弁2から燃料を噴射するように切り替える。
すなわち、所定の回転数NEcと機関回転数NEとに基づき、筒内噴射弁2による燃料の噴射が禁止される期間(図3のCゾーン)を避けて、吸気上死点側(Cゾーンを基準に進角側)と吸気下死点側(Cゾーンを基準に遅角側)とで筒内噴射弁2から燃料を噴射する。これにより、機関回転数NEに応じて異なる、空気冷却によるトルク向上効果と、燃料と空気との混合促進によるトルク向上効果とを効果的に利用して、内燃機関1のトルクを向上させることができる。
ここで、吸気上死点付近とは、クランク角CAがBTDC300度以上BTDC360度以下の範囲であり、吸気下死点付近とは、クランク角CAがBTDC180度以上BTDC260度以下の範囲である。また、本発明でいう第1の噴射形態とは、筒内噴射弁2からの燃料噴射が禁止される期間(図3のCゾーン)よりも遅角側で燃料を噴射させる噴射形態であり、吸気下死点付近(図3のBゾーン)で筒内噴射弁2から燃料を噴射することを意味する。また、本発明でいう第2の噴射形態とは、筒内噴射弁2からの燃料噴射が禁止される期間(図3のCゾーン)よりも進角側で燃料を噴射させる噴射形態であり、吸気上死点付近(図3のAゾーン)で筒内噴射弁2から燃料を噴射することを意味する。
また、筒内噴射弁2による気筒1s内への燃料噴射時期を、吸気下死点付近から吸気上死点付近へ切り替えるとき、所定の回転数NEcを超えると同時に燃料噴射時期を切り替えると、次のような問題が発生する。まず、空気冷却の効果が発揮されにくくなることにより充填効率が急激に変化するとともに、燃料と空気との混合が促進されるので、内燃機関1には急激なトルク変動が発生する。また、吸気上死点付近においては、ピストン5の表面温度が高いため、燃料噴射によるピストン5の表面温度が急激に低下することによる熱衝撃が発生したり、ノッキングが発生したりする。その結果、ドライバビリティを低下させたり、内燃機関1の耐久性を低下させたりするおそれがある。
かかる問題に対して、本発明では、噴射切替時期から所定の期間Δθ(図3)では、吸気上死点付近(Aゾーン)と吸気下死点付近(Bゾーン)との2回に分割して、気筒1s内へ燃料を噴射する。これにより、筒内噴射弁2の燃料噴射時期切替時におけるノッキングの発生を抑制できるとともに、燃料噴射時期切替時における円滑なトルク変化特性を実現できる。また、ピストン5表面の急激な温度変化を抑制して、熱衝撃によるピストン5の耐久性低下を抑制できる。
図4は、実施例1の本発明に係る内燃機関の制御装置の構成を示す説明図である。図4を用いて、本発明の実施例に係る内燃機関の制御装置10の構成を説明する。内燃機関の制御装置10は、処理部10pと、記憶部10mとを含んで構成される。処理部10pは、さらに燃焼判定部21と、噴射時期決定部22と、噴射割合決定部23とを含んで構成される。ここで、燃焼判定部21と、噴射時期決定部22と、噴射割合決定部23とが、本発明に係る内燃機関の制御方法を実行する部分となる。
記憶部10mと、燃焼判定部21と、噴射時期決定部22と、噴射割合決定部23とは、内燃機関の制御装置10の入出力ポート(I/O)29を介して接続される。これにより、記憶部10mと、燃焼判定部21と、噴射時期決定部22と、噴射割合決定部23とは、それぞれ双方向でデータをやり取りできるように構成される。なお、装置構成上の必要に応じて片方向でデータを送受信するようにしてもよい。
内燃機関の制御装置10とECU30とは、内燃機関の制御装置10の入出力ポート(I/O)29を介して接続されており、両者間で相互にデータをやり取りすることができる。これにより、内燃機関の制御装置10はECU30が有する内燃機関制御データを取得したり、ECUを介して内燃機関1の各種センサからの情報を取得したり、あるいは内燃機関の制御装置10の制御をECU30のエンジン制御ルーチンに割り込ませたりすることができる。また、本発明に係る内燃機関の制御装置10は、ECU30に組み込んでもよく、ECU30の機能の一部により、本発明に係る内燃機関の制御装置10の機能を実現してもよい。
記憶部10mには、本発明に係る内燃機関の制御方法の処理手順を含むコンピュータプログラムや、後述する燃料噴射割合マップ55、その他のデータマップ等が格納されている。ここで、記憶部10mは、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。また、処理部10pは、メモリ及びCPUにより構成することができる。
上記コンピュータプログラムは、処理部10pやECU30にすでに記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本発明に係る内燃機関の制御方法の処理手順を実現できるものであってもよい。この処理部10pは、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、燃焼判定部21、噴射時期決定部22及び噴射割合決定部23の機能を実現するものであってもよい。次に、この内燃機関の制御装置10を用いて、本発明の実施例に係る内燃機関の制御方法を実現する手順を説明する。なお、この説明にあたっては、適宜図1、3、4を参照されたい。
図5は、実施例1の本発明に係る内燃機関の制御方法の制御手順を示すフローチャートである。本発明の実施例に係る内燃機関の制御方法を実現するにあたり、まず、ECU30が、内燃機関1の負荷や機関回転数NE等から、内燃機関1が必要とする全燃料噴射量TAUを算出する(ステップS101)。次に、内燃機関の制御装置10の燃焼判定部21が、均質燃焼領域であるか否かを判定する(ステップS102)。均質燃焼領域であるか否かは、内燃機関1のアクセル開度や吸気通路4の圧力等から判定する。均質燃焼領域は一般に高負荷運転領域であり、いわゆるWOT(Wide Open Throttle)の領域である。したがって、高負荷領域(WOT領域)であれば均質燃焼領域と判断することができる。例えば、アクセル開度がおよそ8割以上の場合に、均質燃焼領域(高負荷運転領域)と判定される。また、実施例1の本発明では、BTDC260度以上300度以下の領域においては、噴射時期決定部22が筒内噴射弁2からの燃料噴射を禁止する。これにより、ピストン5に形成されたキャビティ5cへ燃料の噴霧50が偏在することを回避できるので、内燃機関1のトルク低下を抑制できる。
燃焼判定部21が均質燃焼領域ではないと判定した場合は(ステップS102;No)、成層燃焼領域で内燃機関1を運転する(ステップS113)。均質燃焼領域であると燃焼判定部21が判定した場合(ステップS102;Yes)、噴射時期決定部22が、筒内噴射弁2による燃料噴射時期を吸気上死点付近(Aゾーン)とするか否かを判定する。この判定は、均質燃焼領域におけるトルク向上に対し、空気冷却が支配的か、燃料と空気との混合が支配的かを基準とする。より具体的には、例えば機関回転数NEが、予め定めた所定の回転数NEc以上であるか否かで判定する。(ステップS103)。すなわち、機関回転数NEが所定の回転数NEc(図3参照)以上である場合には、燃料と空気との混合が支配的な領域なので、噴射時期決定部22は筒内噴射弁2による燃料噴射時期を吸気上死点付近とする。所定の回転数NEcは、内燃機関1の仕様にもよるが、例えば4000rpm前後である。
燃料噴射時期を吸気上死点付近とする場合は(ステップS103;Yes)、筒内噴射弁2の燃料噴射時期を吸気下死点付近から吸気上死点付近に切り替える。このとき、本発明においては、筒内噴射弁2の燃料噴射時期を切り替えるときから所定の期間Δθ(図3)は、吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で筒内噴射弁2により燃料を噴射させてから、燃料噴射時期を吸気上死点付近に切り替える。この実施例では、所定の回転数NEcになったときに筒内噴射弁2の燃料噴射時期を切り替えるが、この場合、例えば前記所定の期間Δθは、前記所定の回転数NEcから予め定めた回転数だけ内燃機関1が回転する期間とすることができる。
吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で筒内噴射弁2により燃料を噴射させる場合、噴射時期決定部22は、フラグFが0か否かを判定する(ステップS104)。このフラグFは、筒内噴射弁2の燃料噴射時期を吸気下死点付近から吸気上死点付近に切り替える際に、最初に機関回転数NEが所定の回転数NEc以上となった場合にのみ、吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で、筒内噴射弁2により所定の期間(回数)だけ燃料を噴射させるために用いられる。なお、このフラグFは、筒内噴射弁2の燃料噴射時期を吸気下死点付近から吸気上死点付近に切り替える際に、吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で筒内噴射弁2により燃料を噴射させた場合にF=1となる。
フラグFが0のときには(ステップS104;Yes)、筒内噴射弁2の燃料噴射時期を吸気下死点付近から吸気上死点付近に切り替える際には、まだ吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で筒内噴射弁2により燃料を噴射していないと判断できる。このため、筒内噴射弁2の燃料噴射時期を切り替える際に、吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で筒内噴射弁2により所定の期間(回数)、燃料を噴射させる。
ここで、燃料噴射時期切替に起因するノッキングやトルク変動は、燃料噴射量に依存し、燃料噴射量が大きくなるほど顕著になる。このため、噴射時期決定部22は、全燃料噴射量TAUと所定の基準燃料噴射量Qcとを比較する(ステップS105)。TAU<Qcのときは(ステップS105;No)、噴射割合決定部23が吸気上死点付近(Aゾーン)における燃料噴射量QA=TAUとし、吸気下死点付近(Bゾーン)における燃料噴射量QB=0にする(ステップS114)。そして、噴射時期決定部22は、筒内噴射弁2の燃料噴射時期を吸気上死点付近に設定し、切り替える(ステップS111)。筒内噴射弁2は吸気上死点付近、すなわち、クランク角CAがBTDC300度以上BTDC360度以下の範囲で燃料を噴射する(ステップS112)。このとき、吸気上死点側と吸気下死点側との両方で燃料を噴射する期間Δθは設けない。
次に、TAU≧Qcの場合(ステップS105;Yes)、噴射時期決定部22は、吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で筒内噴射弁2により燃料を噴射させるように燃料噴射時期を決定する。このとき、吸気上死点付近における燃料噴射量をQA、吸気下死点付近における燃料噴射量をQBとすると、噴射割合決定部23は、QA=QB=TAU/2となるように燃料噴射量を設定する(ステップS106)。そして、筒内噴射弁2は、噴射時期決定部22の決定した燃料噴射時期に基づいて、吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で燃料を噴射する(ステップS107)。なお、実施例1においてはQA:QB=1:1としたが、両者の比率はこれに限定されるものではない。また、上記例では、吸気下死点付近の噴射から吸気上死点付近の噴射へ切り替える際、全燃料噴射量TAUが所定の基準燃料噴射量Qc以上の場合にのみ、吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で筒内噴射弁2が燃料を噴射する。しかし、これに限られず、筒内噴射弁2の燃料噴射時期を切り替える際には、全燃料噴射量TAUの大きさにかかわらず、常に吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で、筒内噴射弁2に所定の回数だけ燃料を噴射させてもよい。
このように、実施例1の本発明では、内燃機関1の全燃料噴射量に基づいて、吸気上死点付近と吸気下死点付近との2回に分割して筒内噴射するか否かを判定する。燃料噴射時期切替に起因するノッキングやトルク変動は、内燃機関1の全燃料噴射量TAUと相関が強い。したがって、全燃料噴射量TAUを用いれば、吸気上死点付近と吸気下死点付近との2回に分割して筒内噴射するか否かの判定精度が向上する。これによって、より確実に燃料噴射時期切替に起因するノッキングやトルク変動を抑制することができる。
実施例1において、吸気上死点側及び吸気下死点側の両方で燃料を噴射させる前記所定の期間Δθは、燃料噴射回数nによって判定する。燃料噴射回数nが所定の燃料噴射回数n2(この例では20回)に達するまで、すなわち、機関回転数NEが2×n2回転するまで、吸気行程における吸気上死点側及び吸気下死点側の両方に分割して燃料を噴射させる(ステップS108;Yes)。このときには、吸気上死点側及び吸気下死点側それぞれにおいてn2回づつ、筒内噴射弁2から燃料を噴射する。
燃料噴射回数nが所定の燃料噴射回数n2に達したら(ステップS108;No)、噴射時期決定部22は、フラグFを1とする(ステップS109)。これにより、最初に機関回転数NEが所定の回転数NEc以上となったときにのみ、吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で筒内噴射弁2により、所定の機関(回数)だけ燃料を噴射させることができる。フラグF=1としたら、噴射割合決定部23は、吸気上死点付近(Aゾーン)における燃料噴射量QA=TAUに設定し、吸気下死点付近(Bゾーン)における燃料噴射量QB=0に設定する(ステップS110)。そして、噴射時期決定部22は、筒内噴射弁2による燃料噴射時期を吸気上死点付近における燃料噴射に設定し、切り替える(ステップS111)。筒内噴射弁2は吸気上死点付近、すなわち、クランク角CAがBTDC300度以上BTDC360度以下の範囲で燃料を噴射する(ステップS112)。
ここで、ピストン前記所定の期間Δθは、ピストン5の温度(例えば内燃機関1の冷却水温度から推定)や内燃機関1のボア・ストロークの違い等に応じて、最適な値を決定する。さらに、機関回転数NEが上昇するときのみならず、機関回転数NEが下降するときにおける燃料噴射時期の切替においても、吸気上死点側及び吸気下死点側の両方で燃料を噴射してもよい。
フラグFが1のときには(ステップS104;No)、すでに吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で筒内噴射弁2により所定の機関(回数)だけ燃料を噴射して、筒内噴射弁2の燃料噴射時期を吸気上死点付近に切り替えた場合であると判断できる。このため、噴射割合決定部23は、吸気上死点付近(Aゾーン)における燃料噴射量QA=TAUに設定し、吸気下死点付近(Bゾーン)における燃料噴射量QB=0に設定する(ステップS115)。そして、噴射時期決定部22は、筒内噴射弁2による燃料噴射時期を吸気上死点における燃料噴射として(ステップS111)。筒内噴射弁2は吸気上死点付近、すなわち、クランク角CAがBTDC300度以上BTDC360度以下の範囲で燃料を噴射する(ステップS112)。なお、一旦フラグF=1とした後は、機関回転数NEが所定の回転数NEcよりも小さくなった場合にフラグFを0にして、その後NE≧NEcとなった場合の燃料噴射時期の切替に備えるようにしてもよい。
機関回転数NEが所定の回転数NEcよりも小さい場合、噴射時期決定部22は空気冷却が支配的な領域と判定する(ステップS103;No)。このとき、噴射割合決定部23は、吸気下死点付近(Bゾーン)における燃料噴射量QB=TAUに、吸気上死点付近(Aゾーン)における燃料噴射量QA=0となるように燃料噴射量を設定する(ステップS116)。噴射時期決定部22は、燃料噴射時期を吸気下死点付近(Bゾーン)に設定し、切り替える(ステップS117)。筒内噴射弁2は、吸気下死点付近、すなわちクランク角CAがBTDC180度以上BTDC260度以下の範囲で、燃料噴射量QB=T
AUで燃料を噴射する(ステップS118)。
以上、実施例1の本発明では、筒内噴射した燃料がピストンの側壁へ衝突して、燃料と空気との混合が悪化する領域での燃料噴射を禁止する。これにより、気筒内に噴射された燃料の拡散不均一を抑制して、キャビティを有するピストンを備える内燃機関のトルク低下を抑制することができる。
また、実施例1の本発明においては、筒内噴射した燃料がピストンの側壁へ衝突する期間を避けるとともに、機関回転数に応じて筒内噴射弁による気筒内への燃料噴射時期を切り替える。これにより、上記作用・効果に加え、さらに空気冷却によるトルク向上効果と、燃料と空気との混合促進によるトルク向上効果とを効果的に利用できるので、内燃機関1のトルクを向上させることができる。
また、実施例1の本発明では、噴射切替時期から所定の期間は、吸気上死点付近と吸気下死点付近との2回に分割して、筒内噴射弁から気筒内へ燃料を筒内噴射する。これにより、筒内噴射弁の燃料噴射時期切替に起因するノッキングの発生を抑制できるとともに、燃料噴射時期切替時においては円滑なトルク変化特性を実現できる。また、ピストン表面の急激な温度変化を抑制して、熱衝撃によるピストンの耐久性低下を抑制できる。なお、実施例1で開示した構成は、以下の実施例においても適宜適用することができる。
実施例2の本発明は、上記実施例1とほぼ同様の構成であるが、吸気上死点付近及び吸気下死点付近の両方で燃料を噴射する際に、吸気上死点付近での燃料噴射量と吸気下死点付近での燃料噴射量とを機関回転数に応じて変化させる点に特徴がある。次の説明において、上記実施例1と同様の構成についてはその説明を省略する。
実施例2の本発明では、吸気上死点付近での噴射に切り替える際に、吸気上死点付近と吸気下死点付近との両方で筒内噴射するにあたり、機関回転数NEに応じて吸気上死点付近と吸気下死点付近との燃料噴射量を変化させる。実施例2においては、機関回転数NEの上昇とともに、吸気上死点付近(Aゾーン)での燃料噴射割合を増加させる。図6は、実施例2の本発明に係る内燃機関の制御装置及び制御方法に用いる燃料噴射割合マップを示す説明図である。ここで、図6は、吸気上死点付近における燃料噴射割合(以下Aゾーン噴射割合)daと機関回転数との関係を示し、機関回転数NEの増加とともに、Aゾーン噴射割合daを増加させる。
内燃機関1の全燃料噴射量をTAUとすると、吸気上死点付近(Aゾーン)での筒内噴射弁2による燃料噴射量QA、及び吸気下死点付近(Bゾーン)での筒内噴射弁2による燃料噴射量QBは、次のように決定される。
QA=da×TAU
QB=(1−da)×TAU
これにより、吸気上死点付近における燃料噴射量QAを機関回転数NEの増加とともに増加させ、吸気下死点付近における燃料噴射量QBを機関回転数の増加とともに減少させることができる。
このように制御するためのデータを記述した燃料噴射割合マップ55は、内燃機関の制御装置10の記憶部10mに格納されている。そして、噴射割合決定部23が機関回転数NEをこの燃料噴射割合マップ55に与え、機関回転数NEに応じた吸気上死点付近及び吸気下死点付近での燃料噴射量QA及びQBを決定する。筒内噴射弁2は、噴射割合決定部23で決定された燃料噴射量QA、QB、及び噴射時期決定部22によって決定された燃料噴射時期に基づいて、燃料を気筒1s内へ噴射する。なお、燃料噴射割合マップ55
に記述されるAゾーン噴射割合daは、図6の実線に示すような線形のみならず、図6に示す点線あるいは一点鎖線に示すような非線形としてもよい。
以上、実施例2の本発明によれば、筒内噴射弁2の燃料噴射時期を切り替える際に発生する内燃機関1のトルク変動をさらに抑制できる。また、この切替に際して発生するノッキングや、ピストン5に対する熱衝撃もより緩和することができる。その結果、吸気上死点付近及び吸気下死点付近における筒内噴射弁2の燃料噴射量を一定にした場合と比較して、より滑らかに筒内噴射弁2の燃料噴射時期を切り替えることができる。
以上のように、本発明に係る内燃機関の制御装置及び制御方法は、筒内噴射弁と、キャビティが形成されたピストンとを備える内燃機関に適し、特に均質燃焼領域でトルクを向上させることに適している。
本発明の実施例1に係る内燃機関の制御装置により内燃機関を制御する場合の一例を示す概念図である。 吸気下死点付近で筒内に燃料を噴射した場合における燃料の拡散状態を示す説明図である。 図2−2は、吸気上死点付近で筒内に燃料を噴射した場合における燃料の拡散状態を示す説明図である。 図2−3は、BTDC260度〜300度で筒内に燃料を噴射した場合における燃料の拡散状態を示す説明図である。 機関回転数と燃料噴射時期との関係を示す説明図である。 実施例1の本発明に係る内燃機関の制御装置の構成を示す説明図である。 実施例1の本発明に係る内燃機関の制御方法の制御手順を示すフローチャートである。 実施例2の本発明に係る内燃機関の制御装置及び制御方法に用いる燃料噴射割合マップを示す説明図である。
符号の説明
1 内燃機関
1s 気筒
1sh シリンダヘッド
1sw 内壁
2 筒内噴射弁
3 ポート噴射弁
4 吸気通路
5 ピストン
5c キャビティ
5cu 底面
5cw 側壁
t ストン頂部
10 内燃機関の制御装置
10m 記憶部
10p 処理部
21 燃焼判定部
22 噴射時期決定部
23 噴射割合決定部
47 排気弁
50 燃料の噴霧

Claims (8)

  1. 筒内噴射弁と、側壁を有するキャビティが形成されたピストンとを備える内燃機関を制
    御するものであり、
    前記内燃機関の燃焼が均質燃焼領域か否かを判定する燃焼判定部と、
    均質燃焼領域である場合、前記筒内噴射弁から噴射される燃料が前記キャビティの側壁に衝突する期間においては、前記筒内噴射弁からの燃料噴射を禁止する噴射時期決定部と、
    を含んで構成され
    前記噴射時期決定部は、
    前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも遅角側で燃料を噴射させる第1の噴射形態と、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも進角側で燃料を噴射させる第2の噴射形態とを選択できるとともに、
    前記内燃機関の機関回転数が所定の回転数よりも低い場合には前記第1の噴射形態を選択し、前記機関回転数が前記所定の回転数よりも高い場合には前記第2の噴射形態を選択して、前記筒内噴射弁から燃料を噴射させることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記筒内噴射弁から噴射される燃料が前記キャビティの側壁に衝突する期間は、点火上死点前260度以上点火上死点前300度以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記噴射時期決定部は、
    前記内燃機関の機関回転数が前記所定の回転数以上になったときに、前記筒内噴射弁の噴射形態を前記第1の噴射形態から前記第2の噴射形態に切り替えるとともに、
    噴射形態を切り替えるときには、前記第1の噴射形態と前記第2の噴射形態との両方により前記筒内噴射弁から燃料を噴射させることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 噴射形態を切り替えるときには、前記第1の噴射形態と前記第2の噴射形態との両方をそれぞれ所定回数用いることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記内燃機関に対して噴射する全燃料噴射量が所定量以上となった場合に、前記第1の噴射形態と前記第2の噴射形態との両方を用いることを特徴とする請求項又はに記載の内燃機関の制御装置。
  6. 筒内噴射弁と、側壁を有するキャビティが形成されたピストンとを備える内燃機関を制御するにあたり、
    前記内燃機関の燃焼が均質燃焼領域か否かを判定する手順と、
    均質燃焼領域である場合、前記筒内噴射弁から噴射される燃料が前記キャビティの側壁に衝突する期間においては、前記筒内噴射弁からの燃料噴射を禁止する手順と、
    を含み、前記内燃機関の機関回転数が所定の回転数よりも低い場合には、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも遅角側で前記筒内噴射弁が燃料を噴射し、
    前記機関回転数が前記所定の回転数よりも高い場合には、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも進角側で前記筒内噴射弁が燃料を噴射することを特徴とする内燃機関の制御方法。
  7. 前記所定の回転数よりも低い機関回転数から前記所定の回転数よりも高い機関回転数へ移行する際の所定期間は、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも進角側と遅角側との両方で前記筒内噴射弁が燃料を噴射することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の制御方法。
  8. 前記内燃機関に対して噴射する全燃料噴射量が所定量以上となった場合に、前記筒内噴射弁からの燃料噴射が禁止される期間よりも進角側と遅角側との両方で前記筒内噴射弁が燃料を噴射することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の制御方法。
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