デジタルカメラやビデオカメラなどの撮影装置は、被写体からの光を電気信号に変換し、上記電気信号に基づいて被写体の画像データを形成する。上記撮影装置には、撮像レンズによって結像された被写体からの光を認識する撮像部(固体撮像装置)が備えられている。固体撮像装置によって認識された光は、固体撮像装置内部の固体撮像素子によって電気信号に変換され、上記電気信号として出力される。出力された電気信号に基づいて、上記撮影装置の処理部において被写体の画像が形成される。
上述のような固体撮像装置の従来の構成としては、固体撮像素子が平行平面板状の保護ガラスを備えたユニットケース内に収められている構成を挙げることができる。上記保護ガラスは、光の入射を妨げずに、ユニットケースへの異物(塵や埃など)の侵入や固体撮像装置の製造工程における固体撮像素子と他の部材との接触を防ぐ。つまり、上記保護ガラスは、固体撮像素子に対する悪影響(異物の付着や物理的な原因による素子の破損)から固体撮像素子を保護する部材である。
上記構成を有する固体撮像装置を撮影装置に適用した場合における、固体撮像素子に入射する光の角度について、図12を用いて説明する。図12における仮想線O−O’は、撮像レンズを透過した光の中心軸を表している。
図12に示すように、撮像レンズを透過した光は、保護ガラス121を介して固体撮像素子122に到達する。固体撮像装置102に入射する光の内、仮想線O−O’から離れた位置に入射する光ほど仮想線O−O’から外側へ広がるような角度を有する。光が保護ガラス121内に入射すると、光は内側に屈折する。一方、保護ガラス121から出射する際、光は、保護ガラス121へ入射する光と平行な光として出射される。つまり、固体撮像素子122の外側に入射する光ほど、仮想線O−O’から外側に離れるような角度を有する。入射光が仮想線O−O’から外側に離れるような角度を有していると、固体撮像素子122への入射効率が低下するため、光を効率的に電気信号に変換することが困難になる。
上述のような平行平面板状の保護ガラスを備えた固体撮像装置を撮影装置に適用し、上記固体撮像装置を小型化および薄型化した場合、必然的に、撮像レンズを透過する光が広角化する。光の広角化によって、固体撮像素子の中心部と周辺部との間における入射効率の差がさらに拡大するため、形成された画像を閲覧すると周辺部が極端に暗くなってしまうという問題が生じる。
さらに、固体撮像素子の保護部材として透明な平行平面板状の部材を用いた場合、上記問題の他に、以下のような問題が生じる。
固体撮像素子として多く用いられるCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やC−MOSデバイスは、比較的広い波長の光を電気信号に変換することができる。例えば、CCDやC−MOSデバイスは、可視光領域だけでなく、近赤外領域(750〜2500nm)の波長を有する光を電気信号に変換することができる。
しかし、通常のカメラにおいて、固体撮像素子が近赤外線を電気信号に変換することは、無意味な上、画質の劣化(解像度の低下や画像のムラなど)を引き起こす。このため、通常、ビデオカメラ等の光学系に色ガラスなどの赤外線カットフィルタを挿入することによって、入射光の内、近赤外線をカットする。近年、保護ガラスの表面に誘電体多層膜を形成することによって近赤外線をカット(反射)する方法が多く採用されている。誘電体多層膜は、安価な上、色ガラスのように場所を取らないので、装置の低コスト化および小型化が容易である。
しかし、誘電体多層膜の反射能は、反射する光の角度について角度依存性を有している。つまり、誘電体多層膜は、入射する光の角度によって反射する光の波長の範囲が変化する。光の入射角が大きくなるほど、誘電体多層膜が反射する光の波長の範囲は、より短波長へシフトする。つまり、光の入射角が大きくなるほど、近赤外域よりも短波長側にある光の成分(赤色光)が反射されるため、誘電体多層膜の赤外線カットフィルタとしての機能が低下する。保護ガラスに誘電体多層膜を形成した場合、固体撮像素子によって変換された電気信号に基づいて形成された画像は、その中心部から周辺部へ向かうに従って青みが強くなる。よって、単に保護ガラスに誘電体多層膜を形成した場合、画質の劣化(解像度の低下や画像のムラなど)を十分に防止することができない。
上述のような画像の周辺部における画質の劣化という問題を解決するために、保護ガラスの上部にレンズを形成した撮像素子ユニット(固体撮像装置)が特許文献1に開示されている。また、特許文献2には、樹脂製集束レンズを有する誘電体多層膜フィルタの製造方法および固体撮像デバイス(固体撮像装置)が開示されている。特許文献1の固体撮像装置について図13を、特許文献2の固体撮像装置および誘電体多層膜フィルタの製造方法について、図14および図15を用いて説明する。
図13に示すように、特許文献1の固体撮像装置130は、ユニットケース131、ユニットケース131内に配置された固体撮像素子133、固体撮像素子133上に形成されたレンズ部137、および固体撮像素子133を保護する保護ガラス135を備えている。上記固体撮像装置の光の入射面側には、水晶の複屈折によって光線を2つに分光するための水晶フィルタ138、および被写体からの光を結像するための結像レンズ139が備えられている。仮想線Oは、結像レンズ139入射する光の中心軸を表している。
ここで、レンズ部137は、固体撮像素子133を構成する複数の受光画素のそれぞれに対して形成された、複数のマイクロレンズ137aから構成されている。保護ガラス135は、平板状のガラス板135aおよびレンズ部135bから構成されており、ガラス板135aおよびレンズ部135bは、一体形成されている。レンズ部135bは、ガラス板135aにおける光の入射面側に形成されている。保護ガラス135を構成するレンズ部135bは、結像作用を有していないアフォーカル系のレンズ機能を有している。
以上のように、特許文献1の固体撮像装置は、レンズ部135bを備えているので、固体撮像素子133の周辺部に入射する光を、仮想線Oとほぼ平行になるように屈折させる。従って、固体撮像素子133の周辺部における光の入射効率の低下を抑制して、得られる画像全体の均一性を達成し得る。
また、図14に示すように、特許文献2の固体撮像装置140は、ユニットケース143、ユニットケース143内に配置された固体撮像素子141、および固体撮像素子141の上部に形成された誘電体多層膜フィルタ145を備えている。誘電体多層膜フィルタ145は、固体撮像素子141を保護する光透過性基板145a、光透過性基板145aの平坦面に形成された誘電体多層膜145b、および樹脂製集束レンズ145cから構成されている。固体撮像装置130の光の入射面側には、被写体からの光を結像するための光学系147が備えられている。
ここで、矢印L0は、固体撮像素子141の中心部に入射する光の経路(進路)を示しており、矢印L2は、固体撮像素子141の外周付近に入射する光の経路(進路)を示している。矢印L2上を進む光は、樹脂製集束レンズ145cの光の入射面において、紙面の下方向へ屈折する。よって、樹脂製集束レンズ145cから出射し、誘電体多層膜145bに入射する光は、樹脂製集束レンズ145cへの入射前と比較して矢印L0を進む光と平行に近くなる。つまり、固体撮像装置140の外周付近に入射する光であっても、誘電体多層膜145bに対して比較的垂直に入射させることができる。
このため、固体撮像装置140は、その外周付近に入射する光の角度を適切に補正することによって、不要な赤外線を選択的にカットすることができる。よって、画像全体の解像度の低下や色ムラを防止することができる。
さらに、図15に示すように、特許文献2の誘電体多層膜フィルタの製造方法は、以下に示すS151〜S155のような製造プロセスからなる。
大面積の光透過性基板145aおよび凸面成形型151を準備する(S151)。大面積の光透過性基板145aの一面には、予め誘電体多層膜145bが形成されている。凸面成形型151には、樹脂製集束レンズ145cの凸面を転写するための凹型キャビティ151a、および平坦な形成面151bを有している。
大面積の光透過性基板145a’と凸面成形型151とを重ね合わせる。光硬化性樹脂145a’は、光透過性基板145a’と凸面成形型151とを重ね合わせる前および後いずれかの状態において充填される。そして、光透過性基板145a側から紫外線を照射することによって、光硬化性樹脂145a’を硬化させる(S152)。
紫外線照射後の光透過性基板145aから凸面成形型151を分離する(S153)。これによって、複数の樹脂製集束レンズ145cが形成された光透過性基板145’(形成体)を作製することができる。
切断線153に沿って、複数の樹脂製集束レンズ145cが形成された誘電体多層膜フィルタ145’を切断する(S154)。この結果、複数の誘電体多層膜フィルタ145を製造することができる(S155)。
以上のように、特許文献2の誘電体多層膜フィルタの製造方法を採用すれば、光の入射位置に関わらず効率的に近赤外線をカットし得る複数の誘電体多層膜フィルタ145を、1度の製造工程において簡便かつ大量に製造することができる。さらに、レンズが光硬化性樹脂から構成されているため、ガラスを用いてレンズを形成した場合とは異なり、レンズ表面を所望の形状に成形することが容易である。
ここで、カメラ付き携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などに搭載するためのカメラモジュールは、製品自体の小型化および薄型化を達成するために、小型化および薄型化の要求が高まっている。
しかし、図13および図14に示した固体撮像装置において、固体撮像素子を保護するための部材(保護ガラス135および誘電体多層膜フィルタ145)を、固体撮像素子の平面寸法(サイズ)より大きく形成せざるを得ない。この理由について以下に説明する。
撮影装置を用いて被写体の像を撮影するためには、固体撮像素子によって被写体からの光が変換された電気信号を、固体撮像装置の外部にある処理部へ出力する必要がある。当然、電気信号の出力には配線が必要である。通常、ボンディングワイヤを配線として用いることによって固体撮像素子と処理部とを接続する。上記ボンディングワイヤは、通常、固体撮像素子の外側に張り出すように接続するので、ユニットケースを固体撮像素子よりも十分大きく形成する必要がある。結果として、保護ガラス135および誘電体多層膜フィルタ145を大きくせざるを得ない。よって、図13および図14に示した固体撮像装置は小型化に不向きな構造を有している。
さらに、ボンディングワイヤを保護ガラス135および誘電体多層膜フィルタ145などと接触させないためには、ユニットケースを十分高く形成する必要がある、よって、図13および図14に示した固体撮像装置は薄型化することも困難である。
小型化および薄型化が容易な撮影装置が特許文献3に開示されている。特許文献3の撮影装置の構造について、図16を用いて以下に説明する。
図16に示すように、特許文献3の撮影装置は、両面に複数の導体配線167が形成された配線基板166、配線基板166上に形成された画像処理用のDSP161、スペーサ163を介してDSP161と接着された固体撮像装置160、配線基板166の一部や固体撮像装置160の側面を封止する封止樹脂164、封止樹脂164上に固定されたレンズ保持具171、および固体撮像装置160と対向して配置され、かつ固体撮像装置160への光路を画定する光路画定器として機能するレンズ170を備えている。固体撮像素子161およびDSP161と配線基板166とは、導体配線167およびボンディングワイヤ168とを介して電気的に接続されている。
固体撮像装置160は、固体撮像素子161、固体撮像素子161の有効画素領域と対向するように配置された透光性蓋部162、および固体撮像素子161と光透過性基板145とを接着するスペーサ163から構成されている。配線基板166と固体撮像素子161とを電気的に接続するためのボンディングワイヤ168が、スペーサ163の外側に接続されている。さらに、固体撮像素子161上にある有効画素領域に沿ってスペーサ163が配置されている。またさらに、固体撮像素子161の平面寸法より小さい平面寸法を有する透光性蓋部162と固体撮像素子161とが、スペーサ163を介して接着されている。
上記構成によって、平面寸法の小さい透光性蓋部162を用いて、センサチップ161上にある有効画素領域を封止することができるため、透光性蓋部162が配線したボンディングワイヤ168に干渉しない。よって、センサチップ161の近傍に透光性蓋部162を配置し得る。つまり、ボンディングワイヤ168と他の部材との接触を回避するための空間が不要になる。上記空間を設ける必要がなくなった分だけ、固体撮像装置160の小型化および薄型化が可能である。結果として、撮影装置全体の小型化および薄型化が容易である。
特開平11−97659(平成11年4月9日公開)
特開2005−234038(平成17年9月2日公開)
特開2004−296453(平成16年10月21日公開)
しかし、特許文献1および2の固体撮像装置を撮影装置に適用した場合、以下のような問題が生じる。
特許文献1および2の記載の固体撮像装置において、レンズが形成された保護部材(115または131)は、ユニットケースを覆っている。上記保護部材を固体撮像素子と平行に取りつけなければ、固体撮像素子に入射する光束の中心軸と上記レンズの中心軸とが大きく傾く。2つの中心軸の間における傾きは、固体撮像素子に入射する光の収差を拡大させるため、形成された画像の歪みやぼやけの原因になる。上記保護部材を正確に取りつけるには、ユニットケースが高精度を有する形状に成形されていることが重要である。ユニットケースの形状を高精度化するには、製造工程におけるコストアップを避けることができない。
また、特許文献2の誘電体多層膜フィルタ145の製造方法において、光透過性基板145aの一面または両面に誘電体多層膜145bを形成した後、樹脂製集束レンズ145cを形成することが記載されている。
通常、誘電体多層膜は40層〜50層の多層膜から構成されているため、光透過性基板の一面のみに誘電体多層膜を形成した場合、誘電体多層膜の膜応力によって光透過性基板に反りが生じる。反りが生じたままの光透過性基板上に樹脂製集束レンズを形成すると、光透過性基板の反りが樹脂製集束レンズに伝わり、特に樹脂製集束レンズの周辺部が変形する。樹脂製集束レンズが変形すると、光の入射角が適切に補正されないため、樹脂製集束レンズの変形は製品の良品率を大きく低下させる。ここで、例えば、樹脂製集束レンズの形成前に、誘電体多層膜を形成した光透過性基板をダイシングによって小片化すれば、上記膜応力が開放(無視できる程度にまで軽減)される。しかし、先にダイシングを行うと、製造工程の簡略化および低コスト化が達成されない。
また、光透過性基板の両面に誘電体多層膜を形成した場合、両面に形成された誘電体多層膜の膜応力が互いに打ち消しあってくれるので、樹脂製集束レンズの形成後にダイシングを行ってもよい。しかし、光透過性基板の固体撮像素子と対向する面に誘電体多層膜を形成すると、以下のような問題が生じる。
誘電体多層膜は、赤外線を反射する機能には影響しない程度のひび割れを無数に有している。誘電体多層膜は温度変化に影響を受け易いため、製造工程や実装後における装置の駆動によって生じる温度変化に伴い、上記ひび割れが拡大する可能性がある。ひび割れの拡大(複数のひび割れが繋がることなど)によって、赤外線を反射する機能は大きな影響を受けないが、誘電体多層膜の微小剥離が生じる。誘電体多層膜から剥離した小片が有効画素領域上に付着すると、画像にしみを形成してしまう。すなわち、光透過性基板の両面に誘電体多層膜を形成した場合、固体撮像装置の長期的な信頼性が損なわれる。
ここで、特許文献3の固体撮像装置160(図16を参照のこと)の透光性蓋部上に形成が容易な樹脂製レンズを適用すると、特許文献1や特許文献2において問題であった固体撮像装置自身の小型化および薄型化や、ユニットケース作製の煩雑さやコストアップ、および誘電体多層膜の微小剥離を解決する。
特許文献1や特許文献2の問題は、以下の(1)〜(3)に示すように解決される。(1)ユニットケースを使用しないので、透光性蓋部と固体撮像素子との間にある空間内に、ボンディングワイヤを配置する必要がない。よって、ボンディングワイヤと他の部材との接触を回避するための空間が不要になる。(2)透光性蓋部と固体撮像素子とが非常に薄いスペーサによって接着されている。さらに、透光性蓋部に直接レンズを成形する。このため、入射光の中心軸とレンズの中心軸とはほとんど傾きを生じない。(3)小片化された透光性蓋部を用いるので、誘電体多層膜の膜応力によるレンズの変形が起こらない。
図16の固体撮像装置160に樹脂製集束レンズを適用した固体撮像装置160’について、図18を用いて以下に説明する。図18は、固体撮像装置160’の構成の一部を示し、レンズの端部に入射する光の進路を示す断面図である。
図18に示すように、固体撮像装置160’は、透光性蓋部162の上に、透光性基板181および接着部183を介して、透光性蓋部162と同じ表面寸法を有する樹脂製集束レンズ145cが設けられている。
上述のように、樹脂製集束レンズ145cは、透光性蓋部162と同じ平面寸法を有しており、かつセンサチップ161の有効画素領域(図16参照のこと)とほとんど同じ表面形状を有している。樹脂製集束レンズ145c、透光性基板181、接着部183および透光性蓋部162の壁面は、平らな面を形成している。樹脂製集束レンズ145c、透光性基板181、接着部183および透光性蓋部162の壁面が平らな面を形成しているのは、樹脂製集束レンズ145c、透光性基板181、接着部183および透光性蓋部162が、ダイシングによって個片化されているためである。上記方法を用いて製造されているため、固体撮像装置160’は、製造コストの削減、小型化および薄型化、ならびに透光性蓋部162の反りの抑制を達成し得る。
しかし、樹脂製集束レンズ145cの端部が平坦な壁面を有しているため、該壁面において光が反射される。樹脂製集束レンズ145cの端部付近に入射する光180が、上記壁面において反射され、上記有効画素領域上に迷光として入射する。これは、樹脂製集束レンズ145cの端部付近が、上記有効画素領域の真上からわずかに外側へはみ出しているためである。
樹脂製集束レンズ145cの端部付近に入射する光154は、樹脂製集束レンズ145cの凸面において屈折された屈折光180’として、樹脂製集束レンズ145cに入射する。屈折光180’は、樹脂製集束レンズ145cの端部の上記壁面、および封止樹脂164に覆われていない透光性蓋部162の壁面において反射され、反射光180’’になる。反射光180’’は、上記有効画素領域上に画像の形成に不要な光として入射する。結果として、固体撮像装置160’を用いて形成された画像の画質が低下する。
上述のように、固体撮像装置160’において、透光性蓋部162の壁面の一部は、封止樹脂164に覆われずに、露出している。これは、封止樹脂164が透光性蓋部162の上面に浸入させないためである。センサチップ161および透光性蓋部162などを樹脂封止する際、過剰量の流動性を有する封止樹脂164を充填すると、透光性蓋部162の上面に封止樹脂164が侵入し易くなる。よって、上記樹脂封止において、流動性を有する封止樹脂164は、センサチップ161および透光性蓋部162などの封止に必要な量よりも少なめに充填される。
従って、透光性蓋部162の壁面の一部が、封止樹脂164に覆われることなく、露出する。通常、透光性蓋部162の壁面の内、透光性蓋部162の上面から高さ50〜100μm程度の部分が露出している。透光性蓋部162の壁面は50〜100μm程度しか露出してないが、400〜700nmの波長を有する可視光にとっては十分に大きな段差である。
以上のように、特許文献3の固体撮像装置に樹脂製集束レンズ145cを形成すると、透光性蓋部162の壁面および樹脂製集束レンズ145c端部の壁面における光の反射に伴い、有効画素領域へ入射する迷光が増加する。特に、封止樹脂164を備えてない固体撮像装置において、透光性蓋部162の壁面の全面が光の反射面として機能するため、有効画素領域へ入射する迷光がさらに増加する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、簡便かつ安価な方法を用いて、小型化および薄型化を達成し、かつ高い信頼性(耐環境性)および性能を付与した固体撮像装置およびその製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、簡便かつ安価な方法を用いて、小型化および薄型化を達成し、かつ高い信頼性(耐環境性)および性能を有する固体撮像装置を備えた撮影装置を提供することである。
上記の問題を解決するために、本発明に係る固体撮像装置は、
有効画素領域が形成された固体撮像素子と、
上記有効画素領域と同等の平面寸法を有し、かつ上記有効画素領域と対向する透明板と、
上記透明板上に形成された光学素子と、
上記光学素子と上記透明板とを固定する固定部と、を少なくとも備え、
上記固定部が、上記透明板の壁面の内、上記光学素子側の端部を含む領域と密着している。
固体撮像素子において、通常、光学素子の端部付近に入射する光は、画像の形成に不要な光である。上記光は、主に、透明板の壁面の内、光学素子側の端部を含む領域に入射する。図18を用いて説明したように、透明板の壁面の上記領域に入射した光は、透明板の壁面に反射されて固体撮像素子の有効画素領域に到達し、形成された画像の品質の低下を招く。
上記構成において、固定部が透明板の壁面の内、光学素子側の端部を含む領域と密着している。言い換えれば、透明板の壁面の内、光学素子側の端部を含む領域が固定部によって覆われており、かつ上記領域が空気と接していない。このため、透明板の壁面の上記領域は、透明板に入射した光の反射面として作用しない。つまり、透明板の壁面の上記領域に入射した光のほとんどが反射しない。例えば、固定部が透明な樹脂から構成されていれば、上記領域への入射光は、固定部を透過して行く。また、例えば、固定部が不透明な樹脂から構成されていれば、上記領域への入射光は、固定部によって吸収される。つまり、光学素子の端部付近に入射した光の反射が抑制されるので、有効画素領域へ入射する迷光の量を減少させることができる。
なお、「透明板の壁面の内、光学素子側の端部を含む領域」とは、透明板の壁面の最上部(透明板の上面)から、透明板の固体撮像素子との対向面側に所定の距離だけ離れた位置までの、連続する範囲を意味している。
さらに、固定部が光学素子と透明板とを固定しているため、光学素子と透明板とのみが接している場合と比較して、光学素子と透明板とが強固に接着される。例えば、樹脂製の光学素子を備えた固体撮像素子を高温条件下に曝露した場合、樹脂製の光学素子と透明板とが異なる熱膨張係数を有しているため、樹脂製の光学素子は熱応力を受ける。樹脂製の光学素子が受ける上記熱応力は、せん断力だけでなく引張力も含まれる。樹脂は、引張力に対して変形しないよう反発する力(収縮する力)が強い。このため、樹脂製の光学素子および固定部が、透明板を挟みこむよう接着しているため、高温条件下に曝露した場合、透明板は樹脂製の光学素子および固定部によって締め付けられるような力を受ける。また、例えば、無機物からなる光学素子は、ガラスなどの透明板との接着力が小さい。ここで、光学素子と透明板とが、樹脂の固定部によって固定されている。通常、樹脂と無機物とは、接着力が高い。さらに、上述のように、固定部は高温条件下において収縮する力が強いため、光学素子と透明板とがより密着する。
以上のように、透明板と光学素子との密着性が向上する。透明板と光学素子との密着性が向上するので、高温条件下に光学素子を備えた固体撮像装置を曝露したときに発生する、光学素子の透明板からの剥離を抑制し得る。上記高温条件としては、例えば、固体撮像装置の実装工程の内、無鉛半田リフロー処理などを挙げることができる。固体撮像装置の実装方法として無鉛半田リフロー処理を用いた場合、固体撮像装置の実装コストが削減される。
例えば、光学素子を構成する材料として、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などのエネルギー硬化性樹脂を採用することができる。つまり、図15に示したような成形型を用いて光学素子を形成する方法を利用することができる。例えば、所望の形状を有する光学素子の凸面(パワーを有する非球面レンズ、フレネル形状を有するレンズおよび微細なレリーフ形状が施された回折レンズなど)を容易に形成することができる。つまり、所望の位置に所望の形状の光学素子を形成することができるので、固体撮像装置において、収差が少なく、解像度の高い画像が形成される。さらに、本発明の固体撮像装置の製造において、光学素子を除いて作製が完了し、封止樹脂や基板によって連結された状態の複数の固体撮像装置に対して、光学素子を形成することができる。光学素子の形成後、個々の固体撮像装置に分割すればよい。このため、所望の形状を有する光学素子を容易に形成するとともに、一度の製造工程において光学素子を備えた複数の固体撮像装置を製造することができる。
また、例えば、光学素子を構成する材料として、ガラスなどの屈折率の高い無機物を採用することができる。光学素子を屈折率の高い無機物から構成すれば、樹脂からなる光学素子と比較して、所望の屈折率をより薄い光学素子によって実現することができる。よって、固体撮像装置の薄型化が可能である。
また、上記構成を有する固体撮像装置において、光が入射する開口部は、透明板の平面寸法と同じである。つまり、上記開口部の面積は、有効画素領域の平面寸法とほとんど同じ大きさと言える。よって、光学素子の有効領域外(端部付近)に入射する不要な光が少ない。さらに、透明板が有効画素領域と同等の平面寸法を有しているので、固体撮像装置の小型化が容易である。また、固体撮像素子において変換された電気信号を外部へ出力するための配線を、透明板と固体撮像素子の有効画素領域との間に配置する必要がない。つまり、透明板と固体撮像素子の有効画素領域とをより近くに配置することができるので、固体撮像装置を低背化(薄型化)することができる。
上述のように、固体撮像素子とレンズが形成された透明板とを、より近い位置に配置することができる。よって、固体撮像素子と透明板とを平行に配置するためには、固体撮像素子と透明板とを均一な厚さを有する薄い部材を介して固定すればよい。このため、固体撮像素子に入射する光束の中心軸と光学素子との中心軸を容易に一致させることができる。
さらに、透明板上に光学素子を備えているので、誘電体多層膜を赤外線カットフィルタとして用いた場合、誘電体多層膜が有する反射能の角度依存性に起因する問題点を抑制する。
以上のことから、簡便かつ安価な方法を用いて、小型化および薄型化を達成し、かつ高い性能を付与した固体撮像装置を提供することができるという効果を奏する。
上記課題を解決するために、本発明の固体撮像装置は、
有効画素領域が形成された固体撮像素子と、
上記有効画素領域と同等の平面寸法を有し、かつ上記有効画素領域と対向する透明板と、
上記透明板上に形成された光学素子と、
上記固体撮像素子の一部、および上記透明板の壁面を封止する封止樹脂と、
上記光学素子と上記透明板と上記封止樹脂とを固定する、樹脂からなる固定部と、を少なくとも備え、
上記固定部が、上記透明板の壁面の内、上記光学素子側の端部を含む領域と密着している。
上述のように、通常、封止樹脂の上面と透明板の上面との間には、わずかながら段差がある。このため、単に、光学素子を透明板と接触するように形成した場合、上記段差の分だけ透明板の壁面が露出する。すなわち、透明板の壁面の内、光学素子側の端部を含む領域付近が空気と接している。
ここで、上記構成において、固定部が透明板の壁面の上記領域と密着している。言い換えれば、透明板の壁面の上記領域は空気と接していない。よって、透明板の壁面の上記領域は、透明板に入射した光の反射面として作用しない。つまり、透明板の壁面の上記領域に入射した光のほとんどが反射しない。例えば、固定部が透明な樹脂から構成されていれば、上記領域への入射光は、固定部を透過して不透明な封止樹脂に到達する。よって、上記領域への入射光は、封止樹脂によって吸収される。また、例えば、固定部が不透明な樹脂から構成されていれば、上記領域への入射光は、固定部によって吸収される。つまり、光学素子の端部付近に入射した光の反射が抑制されるので、有効画素領域へ入射する迷光の量を減少させることができる。
さらに、固定部が光学素子と透明板とを固定しているため、光学素子と透明板とのみが接している場合と比較して、光学素子と透明板とが強固に接着される。よって、上述のように、固体撮像装置の実装方法として、無鉛半田リフロー処理を用いた場合、固体撮像装置の実装コストを削減することができる。
例えば、光学素子を構成する材料として、エネルギー硬化性樹脂を用いることができる。よって、上述のように、所望の位置に所望の形状の光学素子を形成することができるので、固体撮像装置において、収差が少なく、解像度の高い画像が形成される。さらに、一度の製造工程において光学素子を備えた複数の固体撮像装置を製造することができる。また、例えば、光学素子を構成する材料として、屈折率の高い無機物を用いることができる。上述のように、このとき、固体撮像装置の薄型化が可能になる。
また、さらに、固体撮像装置において、光が入射する開口部は透明板の平面寸法と同じである。このため、上述のように、固体撮像装置を小型化および低背化(薄型化)することができる。
透明板上に光学素子を備えているので、誘電体多層膜を赤外線カットフィルタとして用いた場合、誘電体多層膜が有する反射能の角度依存性に起因する問題点を抑制することができる。
以上のことから、上記固体撮像装置と同様の効果を奏する。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子が、上記透明板の平面寸法よりも大きくてもよい。
上記構成において、光学素子の端部は、透明板の端部に合わせて切断されていない。つまり、光学素子の端部が、光学素子に入射する光の反射面として機能しない。よって、有効画素領域に入射する迷光の量が、さらに低減する。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子が、上記透明板と同じ平面寸法を有しており、
上記固定部が、上記光学素子の壁面とさらに密着していることが好ましい。
上記構成において、光学素子の端部は、例えば、透明板の壁面に合わせて切断されている。つまり、光学素子の端部(壁面)と透明板の壁面とが平面をなしている。そして、光学素子の壁面と透明板の壁面とからなる平面が、固定部と密着している。このため、上記平面は、空気と接していない。すなわち、上記平面は、光学素子または透明板に入射する光の反射面として作用しない。
上述のように、透明板の壁面に合わせて切断されている光学素子を用いることができる。このため、透明板と光学素子とを組み合わせた部材を、図15に示したような工程を利用して、一度の作製工程において大量に作製することができる。つまり、固体撮像装置の製造工程がさらに簡略化される。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記透明板と上記光学素子とが密着していることが好ましい。
上記構成において、透明板と光学素子とが密着している、とは、透明板と光学素子との間には固定部が存在していない状態を意味している。言い換えると、透明板の壁面、ならびに光学素子の壁面または固体撮像素子との対向部分に対して、固定部が密着している。
上記構成によれば、固体撮像装置の製造後において、固定部を除去すれば、簡単に光学素子を透明板から取り外すことができる。例えば、固定部を形成した後に、固体撮像素子または光学素子が不良であることが判明した場合、固体撮像素子または光学素子の交換や修復が可能である。一方、光学素子と透明板との間に固体部が形成されている場合、透明板上に形成された赤外線カット用の膜などが光学素子と一緒に剥離してしまう。よって、この場合、光学素子を取り外した固体撮像素子は、修復不可能である。
以上のように、不良品の一部を修復することが可能であるため、固体撮像装置の生産歩留まりを向上させる。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記固定部が、上記透明板と上記光学素子との間にさらに形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、固定部と接着している透明板および光学素子の面積が増大する。よって、固定部と透明板および光学素子との間の接着力が向上する。結果として、高温条件下における固体撮像装置の破損(光学素子の透明板からの剥離)をさらに抑制する。すなわち、固体撮像装置の信頼性をさらに向上させる。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子が、光透過性樹脂から構成されていてもよい。
上記構成おいて、光学素子を安価な射出成形法によって形成してもよい。このとき、固体撮像装置の製造コストを削減することができる。また、上記構成において、エネルギー硬化性樹脂を型に充填し、かつエネルギーを付与することによって光学素子を透明板上に対して、直接に形成してもよい。このとき、上述のように、所望の形状を有する光学素子を所望の位置に対して、容易に形成することができる。さらに、光学素子が樹脂から構成されているため、透明板と光学素子とが強固に接着する。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子が、光透過性を有する無機物から構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、上述のように、ガラスなどの光透過性を有する無機物は、樹脂性の光学素子よりも屈折率が高いので、より薄い光学素子を用いることができる。また、樹脂と無機物とは接着力が高いため、固定部と光学素子との接着力が向上する。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子が、光透過性を有するシート状の樹脂または無機物、ならびにシート状の上記樹脂または上記無機物の上に成形された光透過性樹脂からなっていることが好ましい。
例えば、図15に示した方法を利用すれば、多数の光学素子を一度の製造工程において作製することができる。つまり、大面積のシート状の樹脂または無機物の上に、複数の光透過性樹脂からなるレンズを、型を用いて形成し、個々の光学素子に分割すればよい。
また、シート状の無機物の上に光透過性樹脂からなるレンズを形成した場合、光学素子と固定部との接着力が向上する。よって、光学素子の透明板からの剥離をさらに抑制する。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記固定部が、光透過性樹脂から構成されていてもよい。
固定部が光透過性樹脂から構成されている場合、固定部を光学素子と透明板との間にさらに形成しても、固体撮像素子への光の入射の妨げにならない。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記固定部が、不透明な樹脂から構成されていてもよい。
上記構成によれば、光学素子の有効領域外を透過する光は、固定部において吸収される。よって、上記光の多重反射が抑制される。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記固定部と接している上記封止樹脂の表面が、粗化されていることが好ましい。
有機物から構成されている光学素子は、無機物から構成されている透明板に対して十分な接着力を有しているが、有機物から構成され、かつ物理的および化学的に不活性な状態の封止樹脂に対してはあまり強い接着力を有していない。さらに、通常、光学素子と封止樹脂とが熱膨張係数が異なる材料から構成されている。よって、固体撮像装置がおかれる温度条件が変化すると、光学素子は、封止樹脂との接触部において剥離する可能性がある。固体撮像装置がおかれる温度条件の変化としては、例えば、製造工程における加熱冷却処理や製品への実装後における使用環境の変化などである。このため、固体撮像装置の良品率および長期的な信頼性を向上させるために、光学素子と封止樹脂との物理的な接着力または化学的な結合力を向上させることが好ましい。
上記構成おいて、封止樹脂の表面が粗化されている、とは、封止樹脂の表面に微小な凹凸が形成されていることを意味している。封止樹脂の表面に微小な凹凸が形成されている場合、光学素子と封止樹脂表面との接触面積が大きくなる。さらに、封止樹脂表面の微小な上記凹凸が光学素子に食い込むことによって引っ掛け部として作用する。このため、光学素子と封止樹脂との物理的な接着力を向上させる。封止樹脂の表面に微小な凹凸を形成する方法としては、Arプラズマ処理を挙げることができる。封止樹脂の表面にArプラズマ処理を施すことによって、樹脂封止の表面を粗化することができる。ここで、樹脂封止において封止の完了した固体撮像装置を金型から引き離すために、封止樹脂の表面には離型剤が付着している。封止樹脂の表面に付着した離型剤は、封止樹脂と光学素子との接着力を低下させる。Arプラズマ処理によって、封止樹脂の表面に付着した離型剤を除去することができるので、封止樹脂と光学素子との接着力の向上に寄与する。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記固定部と接している、上記封止樹脂の表面には、官能基が付与されていることが好ましい。
封止樹脂の表面に対して、水酸基、カルボニル基およびカルボキシル基などの官能基を付与した場合、封止樹脂の表面を化学的に活性化した状態に改質することができる。このため、官能基を介して、封止樹脂と光学素子との化学的な結合力を向上させることができる。封止樹脂の表面に水酸基、カルボニル基およびカルボキシル基などの官能基を付与する方法としては、大気中におけるコロナ放電、O2プラズマ処理やCH4プラズマ処理を挙げることができる。封止樹脂の表面に大気中におけるコロナ放電、O2プラズマ処理やCH4プラズマ処理を施すことによって、封止樹脂の表面に水酸基、カルボニル基およびカルボキシル基などの官能基を付与する。封止樹脂の表面に水酸基、カルボニル基およびカルボキシル基などの官能基を付与すれば、封止樹脂の表面に化学的な活性を付与することができる。よって、封止樹脂と光学素子との化学的な接着力が向上する。
なお、封止樹脂の表面に微小な凹凸を形成、および官能基を付与することによって、封止樹脂と光学素子との物理的な接着力および化学的な結合力を、同時に向上させる。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記固定部と接している、光透過性樹脂からなる上記光学素子の表面は、粗化されており、かつ官能基が付与されていることが好ましい。
光学素子が光透過性樹脂から構成されている場合、光学素子と固定部との接着力が小さい。上述のように、光学素子の表面に対して、微小な凹凸を形成、および官能基を付与することによって、光学素子と固定部との接着力を向上させる。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記固定部と接している、上記透明板の表面、光透過性を有する上記無機物の表面、または光透過性を有するシート状の上記無機物の表面には、シランカップリング剤が付与されていることが好ましい。
上記構成によって、無機物からなる部材と樹脂からなる部材との接着力が向上する。固定部と接触している、透明板、光透過性を有する無機物(無機物からなる光学素子)、または光透過性を有するシート状の無機物(光学素子を構成するシート状の無機物)の表面に対して、固定部の材料に応じて、適宜選択した従来公知のシランカップリング剤を付与すればよい。固定部の材料とシランカップリング剤との好ましい組み合わせとしては、例えば、以下の2通り:
(1)変性アクリレート樹脂またはメタクリレート複合樹脂からなる固定部と、アミノ系またはメタクリロキシ系のシランカップリング剤との組み合わせ;ならびに、
(2)ポリシロキサン系樹脂、シリカ配合複合型エポキシ樹脂、シリコンレジン、シリコンゴムまたは透明ポリイミドからなる固定部と、アミノ系またはエポキシ系のシランカップリング剤との組み合わせ、を挙げることができる。
無機物からなる3つの上記部材と樹脂からなる固定部とは、特別な処置を施さなくても接着力が高い。ここで、固定部と樹脂から構成されている部材とは、接着力が低いため、例えば、固体撮像装置が高温条件下に曝されたときに剥離する可能性がある。無機物からなる透明板や光学素子に対してシランカップリング剤を付与すれば、樹脂からなる部材同士の一部が剥離しても、例えば、固定部と光学素子と、および固定部と透明板とは接着された状態が維持される。よって、固体撮像装置の生産歩留まりおよび信頼性をさらに向上させる。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記透明板の表面、光透過性を有する上記無機物の表面、光透過性を有するシート状の上記無機物の表面、官能基が付与されているシート状の上記樹脂の表面、または官能基が付与されている上記封止樹脂の表面には、シランカップリング剤が付与されていることが好ましい。
上記構成によれば、上述のように、固定部と透明板と、および固定部と光学素子との接着力を向上させる。さらに、固定部と封止樹脂との接着力を向上させる。つまり、より一層、光学素子の透明板からの剥離を抑制する。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子が、−60℃〜270℃の温度条件において80%以上の可視光の透過率を有することが好ましい。
上記温度条件において光学素子を構成する樹脂が変性した場合、固体撮像素子に入射する光が適切に補正されない。しかし、上記構成を有することによって、光学素子が上記温度条件に曝された場合であっても、固体撮像装置に入射する光を、固体撮像素子にほぼ垂直に入射するように補正するという光学素子の作用を維持することができる。
ここで、光学素子を形成しない場合、通常、固体撮像装置は、リフロー処理によって基板に実装される。より詳細には、外部接続端子と基板上の配線とを、リフロー処理によって融解および凝固させたはんだを介して固定する。リフロー処理の後、固体撮像装置上に光学レンズを形成することによって撮影装置(カメラモジュール)を作製する。
固体撮像装置のリフロー処理による実装における温度プロファイルの一例を図18に示す。図18は、無鉛はんだリフロー実装工程における温度プロファイルを示すグラフである。固体撮像装置をフレキシブルプリント基板(FPC:flexible printed circuits)などにマウントする場合を例として、固体撮像装置の実装工程について説明する。
加熱処理を開始する前に、基板の配線上にあるはんだと固体撮像装置の外部接続端子とを位置合わせしながら、基板に固体撮像装置を載置する。図18に示すように、基板上のはんだを溶解させるための本加熱の前に、予備加熱を行って180℃程度まで温度を上昇させる。その後、本加熱によって250℃まで温度を上昇させる。そして、リフロー実装工程のピーク温度である250℃を維持する。はんだが十分に融解した時点において、加熱を終了する。融解させたはんだに固体撮像装置の外部接続端子が沈み込む。この状態のまま冷却すれば、基板と固体撮像装置との電気的接続が完了する。
固体撮像装置の透明板上に光学素子を形成する場合、リフロー処理を用いた実装方法として以下の2通りの方法が考えられる。
1つ目は、実装後の固体撮像装置における透明板上にレンズを形成する方法である。この方法を用いる場合、携帯電話やPDAなど機器の形状や大きさが有する種類の分だけFPCの形状や大きさを変える必要がある。よって、製造する機器の種類だけ光学素子を形成するための装置を用意する必要がある。つまり、同一の形状の光学素子を形成する場合であっても、同一の装置を用いた同一の工程によって光学素子を形成することができない。結果として、製造工程の煩雑化および製造コストの増大を招く。
2つ目は、透明板上に光学素子を形成した後、リフロー処理を行うことによってFPC等に固体撮像装置をマウントする方法である。通常、レンズを構成し得るような樹脂を150℃以上の温度に曝露すると、樹脂製レンズが変形する。このため、樹脂製レンズを透明板上に形成した状態の固体撮像装置を、リフロー処理によって、基板へ実装することができない。さらに、リフロー処理における加熱および冷却によって、樹脂製レンズと封止樹脂とが膨張および収縮する。樹脂製レンズと封止樹脂とを構成する材料がそれぞれ異なるため、熱膨張係数も異なる。つまり、リフロー実装工程の加熱および冷却によって、樹脂製レンズと封止樹脂との膨張率および収縮率が異なる。よって、樹脂製レンズが封止樹脂から剥離しやすい。
ここで、例えば、アルキル基およびフェニル基の少なくともいずれか一方を有するシリコン樹脂、炭素骨格とシリコン骨格とがハイブリッドされたシリカ配合複合型エポキシ樹脂、変性アクリレート樹脂、メタクリレート複合樹脂、ポリシロキサン系樹脂、シリコンレジン、シリコンゴム、ならびに透明ポリイミドなどのエネルギー硬化性樹脂を用いて、光学素子を構成すれば、上記温度条件における光学素子の変形および変性を抑制することができる。
すなわち、例示したような材料から光学素子を構成することによって、透明板上に光学素子を形成した状態であっても、リフロー処理によって固体撮像装置を基板に実装することができる。よって、より安価かつ簡便な方法を用いて、信頼性の高い固体撮像装置を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子の可視光に対する屈折率が1.3〜1.45であることが好ましい。
通常、固体撮像素子への光の入射効率を向上させるために、光学素子の光の入射面には反射防止コーティングが施される。反射防止コーティング用の材料が有する熱膨張係数は、光学素子を構成する樹脂の熱膨張係数と比較して、約0.1〜0.01倍程度である。このため、固体撮像装置の製造工程に含まれる加熱冷却処理(特に、リフロー処理)において、反射防止コーティングの割れや剥がれが生じる。反射防止コーティングに割れや剥がれが生じた箇所において入射効率が低下するため、形成された画像にムラが生じる。
反射防止コーティングを行う方法としては、真空蒸着法やスパッタリング法を挙げることができる。例えば、リフロー処理の後に反射防止コーティングを行う場合、基板に実装した固体撮像装置にコーティングを施さなければならない。よって、コーティング用装置が大型化すること、コーティング処理の煩雑化および処理時間の延長など製造コストの増大に繋がる。特に、コーティング方法が真空条件を必要とするものであれば、コーティング用装置内の真空度を維持するのが困難である。
ここで、本発明に係る固体撮像装置が上記構成を有することによって、光学素子の光の入射面における光の反射を、形成された画像の画質に影響を与えない程度にまで抑制することができる。すなわち、入射効率を向上させるために反射防止コーティングを施す必要がない。よって、製造工程の簡略化および製造コストの低減を達成するという効果を奏する。
また、本発明の固体撮像装置において、
光学素子を構成する上記光透過性樹脂の端部には、上記有効画素領域の外側に向かって突出する突出部がさらに形成されていることが好ましい。
エネルギー硬化性樹脂を充填した形成型を透明板に接触させたときに気泡が生じる。光学素子の凸面を構成する部分に気泡があると、気泡に入射した光が乱反射を起こす。よって、光学素子に含まれる気泡は、固体撮像装置が形成する画像の品質を低下させる。
上記構成によれば、光学素子の凸面において、上記気泡の残留を抑制することができる。突出部は、例えば、図15に示したような成形型を用いて光学素子を形成する方法を応用して形成すればよい。つまり、光透過性樹脂からなる光学素子を形成する方法の一部を改変すればよい。突出部を形成する方法として、以下の方法を挙げることができる。
成形型に対して、光学素子の凸面を形成するための略球状のくぼみとそのくぼみを囲むリング状のくぼみとを形成する。さらに、上記成形型の2つのくぼみに過剰量のエネルギー硬化性樹脂を充填する。エネルギー硬化性樹脂を充填した成形型を透明板に押し付ける。すると、エネルギー硬化性樹脂の一部は、上記略球状のくぼみからそのくぼみを囲むリング状のくぼみに向かって押し出される。
ここで、上述のように、エネルギー硬化性樹脂を充填した形成型を透明板に接触させたときに気泡が生じる。上記気泡は、リング状のくぼみに向かって押し出されるエネルギー硬化性樹脂とともに、リング状のくぼみに押し出される。なお、上記気泡は、光学素子の凸面から押しだされていればよく、リング状のくぼみまたはそのくぼみの外側に押し出されていればよい。
このように、光学素子が外側に向かって突出部を有していれば、エネルギー硬化性樹脂から光学素子を形成する場合、凸面を構成する部分への気泡の残留が抑制される。つまり、より一層、信頼性(耐環境性)を高めた固体撮像装置の生産歩留まりを向上させる。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子における、上記透明板と反対側の少なくとも一部は、凸形状であってもよい。
上記構成によれば、光学素子に入射する光のうち、光軸から周辺側に向かって光軸に対する傾きが大きくなる光は、その傾きが緩和される。これによって、固体撮像素子に入射する光の入射効率の低下を抑えることができる。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子における、上記透明板側の少なくとも一部は、凸形状であってもよい。
上記構成によれば、光学素子に入射する光のうち、光軸から周辺側に向かって光軸に対する傾きが大きくなる光は、その傾きが緩和される。これによって、固体撮像素子に入射する光の入射効率の低下を抑えることができる。
さらに、光学素子に入射する光のうち、凸面形状に対して光学素子の内側から入射し、空気側に抜ける光は、該凸面形状に対してゆるい角度で入射する。これによって、光の収差が発生しにくくなる。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子における上記凸形状は、1つの面から形成されてもよい。
上記構成によれば、極端な変曲部分が無いため、迷光が生じにくい。
さらに、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子における上記凸形状を形成する面は、球面、非球面、フレネル面、または回折面であることが好ましい。
上記構成によれば、光学素子に入射する光を、固体撮像素子における所望の位置に入射させることができるため、入射効率は向上する。
また、本発明の固体撮像装置において、
上記光学素子における上記凸形状は、2つ以上の面から形成されていてもよい。
さらに、本発明の固体撮像装置において、上記光学素子における上記凸形状は、平面、斜面、球面、非球面、フレネル面、および回折面のうち、いずれか一種類の面、または複数の種類の面から形成されていることが好ましい。
上記構成においては、光学素子が極端な変曲部分を有するため、迷光が発生する可能性がある。しかしながら、光学素子における凸形状を形成する面が、フレネル面や回折面形状である場合には、光学素子自体の厚みを薄くすることができる。また、光学素子が、平面と斜面とから形成された円錐台形状のプリズムである場合、光学素子自体の厚みを薄くすることができるのに加え、曲面を有さないことによって、該光学素子の製造が簡単になる。これによって、光学素子のコストを抑えることができる。
また光学素子における凸形状を形成する面のうち、少なくとも1つの面が平面であれば、凸形状を透明板側(像面側)に向けた状態で、光学素子を固体撮像装置に配置することが容易となる。この構成によれば、光軸に対するチルトが発生しにくくなるため、光学素子を高精度に取り付けることができる。
また、本発明の撮影装置は、上記固体撮像装置を備えていることが好ましい。
上記構成を有することによって、簡便かつ安価な方法を用いて小型化および薄型化を達成し、かつ高い信頼性(耐環境性)および性能を付与した撮影装置を提供することができる。
上記課題を解決するために、本発明の固体撮像装置の製造方法は、
固体撮像素子の有効画素領域と対向するように、上記有効画素領域と同等の平面寸法を有する透明板を配置する工程と、
上記光学素子を形成する工程と、
上記光学素子と上記透明板とを固定する固定部を形成する工程と、を包含する固体撮像装置の製造方法であって、
固定部を形成する上記工程において、固定部を上記透明板の壁面の内、上記光学素子側の端部を含む領域と密着させる。
上記構成において、固定部が透明板の壁面の内、光学素子側の端部を含む領域と密着している。言い換えれば、透明板の壁面の内、光学素子側の端部を含む領域が固定部によって覆われており、かつ上記領域が空気と接していない。よって、上述のように、光学素子の端部付近に入射した光の反射が抑制されるので、有効画素領域へ入射する迷光の量が減少する。
固定部が光学素子と透明板とを固定している。よって、上述のように、透明板と光学素子との密着性が向上する。さらに、固体撮像装置の実装コストの削減を実現する。
光学素子を、エネルギー硬化性樹脂または屈折率の高い無機物から構成することができる。よって、上述のように、所望の形状を有する光学素子を容易に形成し、かつ一度の製造工程において光学素子を備えた複数の固体撮像装置を製造することができる。また、固体撮像装置の薄型化を実現する。
上記構成において、固体撮像装置の開口部は、透明板の平面寸法とほとんど同じ大きさを有している。よって、上述のように、固体撮像装置の小型化および低背化(薄型化)が容易である。
透明板上に光学素子を備えているので、誘電体多層膜を赤外線カットフィルタとして用いた場合、誘電体多層膜が有する反射能の角度依存性に起因する問題点を抑制する。
以上のように、上述の固体撮像装置と同様の効果を奏する。
上記課題を解決するために、本発明の固体撮像装置の製造方法は、
固体撮像素子の有効画素領域と対向するように、上記有効画素領域と同等の平面寸法を有する透明板を配置する工程と、
上記固体撮像素子の一部、上記透明板の壁面を封止樹脂によって封止する工程と、
上記光学素子を形成する工程と、
上記光学素子と上記透明板と上記封止樹脂とを固定する固定部を形成する工程と、を包含する固体撮像装置の製造方法であって、
固定部を形成する上記工程において、固定部を上記透明板の壁面の内、上記光学素子側の端部を含む領域と密着させる。
上記構成において、固定部が透明板の壁面の上記領域と密着している。よって、上述のように、光学素子の端部付近に入射した光の反射が抑制されるので、有効画素領域へ入射する迷光の量が減少する。
固定部が光学素子と透明板とを固定している。よって、上述のように、透明板と光学素子との密着性が向上する。さらに、固体撮像装置の実装コストを削減することができる。
光学素子を、エネルギー硬化性樹脂または屈折率の高い無機物から構成することができる。よって、上述のように、所望の形状を有する光学素子を容易に形成し、かつ一度の製造工程において光学素子を備えた複数の固体撮像装置を製造することができる。また、固体撮像装置の薄型化を実現する。
上記構成において、固体撮像装置の開口部は、透明板の平面寸法とほとんど同じ大きさを有している。よって、上述のように、固体撮像装置の小型化および低背化(薄型化)が容易である。
透明板上に光学素子を備えているので、誘電体多層膜を赤外線カットフィルタとして用いた場合、誘電体多層膜が有する反射能の角度依存性に起因する問題点を抑制する。
以上のように、上述の固体撮像装置と同様の効果を奏する。
また、本発明の固体撮像装置において、
固定部を形成する上記工程が、
流動性を有するエネルギー硬化性樹脂を上記光学素子および上記透明板に塗布する処理、ならびに、
光エネルギーまたは熱エネルギーの付与によって上記エネルギー硬化性樹脂を硬化する処理を含み、
エネルギー硬化性樹脂を硬化する上記処理が、上記光学素子を通して上記光学素子を配置すべき位置を確認しながら行われることが好ましい。
上記構成において、光学素子とエネルギー硬化性樹脂とが透明である。このため、エネルギー硬化性樹脂を塗布した光学素子を介して、固体撮像素子が有する有効画素領域の中心を視認することができる。つまり、カメラなどを用いて位置の確認を行いながら、透明板上の所望の位置に光学素子を形成することができる。例えば、有効画素領域の中心と光学素子の中心とが重なるように配置する。この状態において、エネルギー硬化性樹脂に光エネルギーまたは熱エネルギーを付与する。この結果、有効画素領域に入射する光を適切に補正できるような位置に光学素子が固定される。よって、固体撮像装置の生産歩留まりが向上する。
本発明によれば、透明板の壁面の内、画像の形成に不要な光を反射し易い領域に固定部が密着しているので、上記領域が光の反射面として作用しない。フレアやゴーストの原因である迷光の有効画素領域への入射を効率的に抑制する。よって、簡便かつ安価な方法を用いて小型化および薄型化を達成し、かつ高い信頼性(耐環境性)および性能を付与した固体撮像装置を提供することができる。
本発明に係る実施形態について、図1〜図18を用いて以下に説明する。以下の説明において同一の部材および構成要素のそれぞれには、同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同様である。従ってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態である固体撮像装置10について、図1〜図3を用いて以下に説明する。図1は、固体撮像装置10の構成を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10は、下部に外部接続端子17が形成されたセンサ基板13、センサ基板13上に形成されたセンサチップ1(固体撮像素子)、センサチップ1の有効画素領域(図示せず)と対向するガラスの透明板3、センサチップ1と透明板3とを接着するスペーサ9、透明板3の壁面と上面と密着している樹脂製の固定部7、ならびに固定部7上に形成された光学素子5を備えている。
光学素子5は、樹脂性のレンズ5aおよびガラスの透明板5bから構成されており、かつ透明板3よりも大きい表面寸法を有している。レンズ5aは、紫外線の照射によって硬化する光硬化性樹脂を型に充填し、紫外線照射によって透明板5b上に硬化させたものである。センサチップ1、透明板3およびスペーサ9に囲まれた空間は、密閉された空気層11を形成している。透明板3は、空気層11への湿気、塵および埃などの侵入、ならびに製造工程における有効画素領域の破損などから有効画素領域を保護している。製造工程における有効画素領域の破損は、例えば、有効画素領域に他の部材や製造装置の部品などが接触することによって生じる。スペーサ9は、センサチップ1と透明板3とに挟まれた熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を硬化させて形成する。このため、空気層11は完全に密閉されている。
センサチップ1とセンサ基板13とは、ボンディングワイヤ15によって電気的に接続されている。すなわち、センサチップ1は、ボンディングワイヤ15、センサ基板13および外部接続端子1を介して、外部へ電気信号を出力する。ここで、ボンディングワイヤ15は、センサチップ1のスペーサ9が形成された領域よりも外側に接続されている。このため、透明板3は、有効画素領域を覆うことができるだけの平面寸法(サイズ)を有していれば、有効画素領域を保護することができる。さらに、空気層11内部にボンディングワイヤ15を配置する必要がないので、空気層11(スペーサ9)の高さは透明板3が有効画素領域に接触しない程度であればよい。すなわち、小型化および薄型化に不向きなユニットケースを用いる必要がなく、ボンディングワイヤ15を空気層11内部に配置する必要がないので、固体撮像装置10が小型および薄型(低背化)になる。
透明板5b上に形成されたレンズ5aは、凸レンズ状に形成されている。このため、レンズ5aに入射した光を屈折させることによって、上記光の角度が有効画素領域に対して直角(以下、特に断りがなければ単に「直角」と記載する)に近づくように補正する。光の入射する位置が有効画素領域の中心から離れるほど、その光の角度は、直角な角度から離れていく。有効画素領域が入射光を認識し、かつ電気信号に変換する効率は、入射光の角度が直角から離れるほど低くなるため、上記補正が必要である。このため、レンズ5aは、有効画素領域の外周部における光の入射効率を高めるためには、有効画素領域の全面を覆っている必要がある。
上述のように、透明板3は、スペーサ9によってセンサチップ1と接着させるためのスペースを確保し、かつ有効画素領域を覆うことができるサイズを有していればよい。本実施形態において、固体撮像装置10を小型化するため、透明板3のサイズは、有効画素領域のサイズとほとんど同じである。このため、有効画素領域の全体をレンズ5aによって覆うと、必然的に、レンズ5aおよび透明板5bの端部が透明板3からはみ出す。つまり、透明板5bの端部を除いた箇所と透明板3の上面と、および透明板5bの端部(光学素子5の端部5c)と透明板3の壁面とが、固定部7によって固定(接着)されている。
固体撮像装置10における、上述の構成を有する固定部7の作用について、図2を用いて以下に説明する。図2(a)は、撮像装置に適用した固体撮像装置10(レンズ5a)に対して光が入射する様子を示す断面図であり、図2(b)は、図2(a)の固体撮像装置10の透明板3の端部付近を拡大した断面図である。
図2(a)に示すように、固体撮像装置10の物体側(紙面の上側)には、撮像用の光学レンズ21が配置されている。光学レンズ21から出射された光の内、画像の形成に不要な光23が、光学素子5の端部5c付近に入射する。
ここで、図2(b)に示すように、画像の形成に不要な光23(迷光)は、レンズ5aの凸面において屈折され、屈折光23’になる。ここで、透明板3の壁面の内、光学素子5側の端部を含む領域が固定部7と密着している。つまり、透明板3の壁面の上記領域は、空気と接していない。このため、屈折光23’は、透明板3の壁面の上記領域において反射されずに、固定部7内を透過して行く。結果として、屈折光23’は、固定部7の空気との界面から、放出光23’’として固体撮像装置10の外部へ放出される。以上のことから、画像の形成に不要な光23は、透明板3の壁面が反射面として作用しないため、有効画素領域に入射しない。よって、固体撮像装置10によって形成された画像において、光23の有効画素領域への入射に起因するフレアやゴーストの出現が抑制されている。
本実施形態において、迷光の有効画素領域への入射を抑制するためには、固定部7は、透明板3の壁面の内、少なくとも光学素子5側の端部(最上部)を含む領域と密着していればよい。これは、透明板3の壁面の最上部に近い領域ほど、上記領域において反射された光が、有効画素領域に入射しやすいためである。透明板3の壁面の内、固定部7と密着している領域が大きいほど、有効画素領域への入射する迷光の量が抑制される。このため、透明板3の壁面における、最上部からセンサチップ1側の端部(最下部)までの領域の内、最上部を含む40%の連続した領域が固定部7と密着していることが好ましく、最上部を含む50%の連続した領域が固定部7と密着していることがさらに好ましい。もちろん、透明板3の壁面の最上部から最下部までの領域と固定部7とが密着していてもよい。
また、例えば、固体撮像装置10を紙面の上方から見たとき、透明板3が略方形を有しているとする。このとき、透明板3が有する4つの辺の内、少なくとも1ヶ所に固定部7が密着していれば、有効画素領域への迷光の入射が抑制される。また、透明板3の迷光を反射しやすい場所を適宜選択して、固定部7を密着させてもよい。透明板3が有する4つの辺を全て囲むように固定部7が密着しているとき、有効画素領域への迷光の入射が、最も効率的に抑制される。
固定部7は、上述のように、透明板3の壁面だけでなく、透明板3の上面(光学素子5と対向する面)にも形成されている。当然、透明板3の壁面とのみ固定部7が密着している場合と比較して、接着面積が大きい。このため、透明板3と固定部7との接着力が高い。さらに、透明板3が有する面の内、互いに直交する上面および壁面を「コ」の字型に挟みこむように形成されている。よって、光学素子5の端部5cが紙面の上方に反り返るような力が発生した場合、光学素子5の剥離を抑制する。これは、透明板3と固定部7との接着面には、光学素子5の端部が剥がれようとする(反り返る)力をせん断方向に受ける面が含まれているためである。上述のように固定部7は、樹脂から構成されているため、せん断方向に加わる力に反発する性質が強く、透明板3の壁面と強固に接している。つまり、固定部7と透明板3の上面および壁面とが接着しているため、光学素子5の剥離を抑制する。
光学素子5の端部が剥がれようとする(反り返る)力は、例えば、製造工程の内、加熱冷却処理を含む工程や製品化後の使用温度環境の変化において発生する。加熱冷却処理を含む工程としては、例えば、固体撮像装置10の実装基板へのリフロー実装工程などである。リフロー実装工程は、安価な実装工程である。よって、本実施形態に係る固体撮像装置10は、製造工程内の加熱冷却工程における光学素子5の剥離、および実装された製品の使用環境の変化による光学素子5の剥離を抑制する。すなわち、小型化および薄型化を達成し、かつ高い信頼性(耐環境性)および性能を有する固体撮像装置10を提供することができる。さらに、実装工程にリフロー工程を採用すれば、固体撮像装置10の製造コストが削減される。
さらに、透明板3および透明板5bの表面にシランカップリング剤を塗布(付与)すれば、固定部7と透明板3と、および固定部7と透明板5bとの間の接着力が向上する。透明板5bや透明板3に付与するシランカップリング剤は、固定部7を構成する材料との化学的な接着力を向上し得るのものであればよい。つまり、上記シランカップリング剤は、固定部7を構成する樹脂の性質に合わせて、従来公知のシランカップリング剤から適宜選択すればよい。上記シランカップリング剤としては、例えば、固定部が変性アクリレート樹脂やメタクリレート複合樹脂である場合、アミノ系またはメタクリロキシ系のシランカップリング剤が挙げられる。また、固定部がポリシロキサン系樹脂、シリカ配合複合型エポキシ樹脂、シリコンレジン、シリコンゴム、または透明なポリイミドである場合、アミノ系またはエポキシ系シランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤の透明板5bおよび透明板3への付与は、以下のように行えばよい。シランカップリング剤をイソプロピルアルコールなどの有機溶媒によって1%程度に希釈する。透明板5bの透明板3との対向面および透明板3の上面と壁面の一部を、シランカップリング剤を付与したい面を希釈したシランカップリング剤に浸漬(ディップ)する。シランカップリング剤にディップした透明板5bおよび透明板3の面を乾燥させる。その後、透明板5bおよび透明板3を約100℃にベークすることによって、シランカップリング剤を付与することができる。なお、ここで説明した方法以外にも、従来公知の方法を用いてシランカップリング剤を付与することができる。
本実施形態において、レンズ5aが紫外線の照射によって硬化する光硬化性樹脂を用いているが、レンズ5aを構成する樹脂としては、紫外線を除く光の照射によって硬化する光硬化性樹脂または、熱エネルギーの付与によって硬化する熱硬化性樹脂であってもよい。本発明に係るレンズ5aを構成する樹脂としては、エネルギーを付与することによって硬化する樹脂であり、硬化した後に光透過性を有する樹脂であれば従来公知の樹脂から適宜選択し得る。なお、本明細書において、光硬化性樹脂および熱硬化性樹脂を総称して「エネルギー硬化性樹脂」と記載する場合がある。
本実施形態において、光学素子5は、エネルギー硬化性樹脂からなるレンズ5a、およびガラスの透明板5bという2つの異なる材料から構成されているが、単一の材料から構成されていてもよい。
光学素子5は、例えば、エネルギー硬化性樹脂からなるレンズ5aのみから構成してもよい。また、光学素子5は、例えば、ポリカーボネートやZEONEX(日本ゼオン社)などの熱可塑性樹脂のみから構成してもよい。このとき、レンズ5aの固定部7との接触箇所に表面処理を施すことによって、レンズ5aと固定部7との接着力を向上してもよい。エネルギー硬化性樹脂を硬化させたレンズ5aは、型にエネルギー硬化性樹脂を充填し、かつエネルギーを付与して形成した後、表面処理を施せばよい。また、熱可塑性樹脂からレンズ5aは、射出成形によって形成した後、表面処理を施せばよい。
上記表面処理としては、レンズ5aの上記接触箇所に対する水酸基などの活性基の付与、および表面粗化などが挙げられる。樹脂製のレンズ5aに付与する活性基としては、水酸基、カルボニル基およびカルボキシル基などの官能基が挙げられる。例示した官能基をレンズ5aに付与する方法としては、大気中におけるコロナ放電、O2プラズマ処理、CH4プラズマ処理、酸素アッシングなどが挙げられる。レンズ5aの表面に活性基を付与することによって、樹脂製のレンズ5aと固定部7との化学的な結合力が向上する。レンズ5a表面を粗化する方法としては、Arプラズマによって樹脂製のレンズ5aの表面を処理する方法が挙げられる。レンズ5a表面の粗化によって、レンズ5aの表面には、微小な凹凸が形成される。レンズ5aの表面が微小な凹凸を有しているので、固定部7との接触面積が増大する。さらに、上記微小な凹凸が固定部7を構成する樹脂に対するアンカーの役割を果たす。また、固定部7をエネルギー硬化性樹脂によって形成する場合、エネルギー硬化性樹脂とレンズ5a表面とのぬれ性が向上する。つまり、レンズ5a表面の粗化によって、固定部7とレンズ5aとの物理的な接着力が向上する。
また、光学素子5は、例えば、ガラスなどの光透過性を有する無機材料からなる凸レンズ状の部品から構成してもよい。このとき、光学素子5の材料として、高い屈折率を有する材料を使用できる。このため、入射光の角度の補正能を低下させることなく、樹脂性のレンズよりも薄い光学素子5を採用することができる。結果として、固体撮像装置10のさらなる薄型化が実現される。さらに、樹脂からなる固定部7と無機物とは接着力が高いため、光学素子5の透明板3からの剥離が生じにくい。つまり、光学素子5を無機材料から構成すれば、さらに固体撮像装置10の信頼性が向上する。
本実施形態において光学素子5は、透明板3から外側にはみ出している。すなわち、透明板3の平面寸法よりも光学素子5の平面寸法の方が大きい。しかし、透明板3と光学素子5とが同じ平面寸法を有していても、上述した有効画素領域への迷光の入射を抑制する。例えば、固定部7を、光学素子5の壁面とさらに密着するように形成すればよい。このとき、固定部7の断面は、アルファベットの「H」のような形状を有している。言い換えると、固定部7は、透明板3と光学素子5とを同時に「コ」の字型に挟みこむように密着している。よって、固定部7は、より一層、光学素子5の透明板3からの剥離を抑制する。
本発明に係るレンズ5aを構成する樹脂としては、−60℃〜270℃の温度条件に暴露した後、可視光の透過率が80%以上であり、かつ温度条件の付加前の形状を維持している樹脂が好ましい。上記構成を有することによって、固体撮像装置10の製造工程における加熱冷却、および固体撮像装置10を実装した製品の温度環境の変化を受けても、レンズ5aが有する可視光の透過率、および形状を好適な状態がされる。特に、固体撮像装置10の実装方法として、250℃程度まで加熱する必要があるリフロー処理を採用することができる。リフロー処理、例えば、無鉛はんだリフロー処理は、安価かつ簡便な実装処理工程であるため、固体撮像装置10の実装コストの削減を実現する。
上記条件を満たす樹脂としては、例えば、アルキル基およびフェニル基の少なくともいずれか一方を有するシリコン樹脂、炭素骨格とシリコン骨格とがハイブリッドされたシリカ配合複合型エポキシ樹脂、変性アクリレート樹脂、メタクリレート複合樹脂、ポリシロキサン系樹脂、シリコンレジン、シリコンゴム、透明なポリイミドなどを挙げることができる。なお、ここで列挙した樹脂は、いずれもエネルギー硬化性樹脂である。
本発明に係るレンズ5aが有する可視光に対する屈折率は、1.3〜1.45であることが好ましい。
例えば、可視光に対する屈折率が1.5であるレンズを用いた場合、レンズに対して直角に入射する光の反射率は約4%である。レンズは、有効画素領域の外周部に対してより直角に近い光を、効率的に入射させるための構成である。このため、レンズの可視光に対する屈折率が1.5以上(光の反射率が約4%以上)である場合、反射防止コーティングを施す必要がある。上記反射防止コーティングは、通常、蒸着法やスパッタ法を用いて、酸化物系の無機物をレンズの光入射面に堆積させることによって形成される。酸化物系の無機物は、線膨張係数が小さいため、リフロー処理などの高温処理によって割れや剥離が生じやすい。また、例えば、可視光に対する屈折率が1.3未満であるレンズを用いた場合、レンズの端部付近における光の屈折率が低い。この場合、低い屈折率を補償するために、レンズを特殊な形状に成形する必要がある。
一方、レンズ5aが有する、可視光に対する屈折率が1.3〜1.45であれば、レンズ5aに対して直角に入射する光の反射率を2%程度に抑えることができる。レンズ5aは、有効画素領域に到達する光が最後に通過するレンズである。このため、レンズ5aが有する上記反射率を2%程度に抑えることができれば、光の透過率を十分確保することができる。つまり、有効画素領域へ入射する光量は、画像のムラなどが生じない程度に、維持される。さらに、光の反射率が低下すれば、光の乱反射が抑制されるので、有効画素領域への迷光の入射が抑制される。すなわち、固体撮像装置10によって形成された画像に表れるゴーストやフレアを確実に抑制する。
さらに、レンズ5aが有する可視光に対する屈折率が1.3〜1.45であれば、屈折率の低下を補償するために、レンズ5aの形状を極端に変化させる必要がない。
以上をまとめると、上記構成を有することによって、レンズ5aの光の入射面に反射防止コーティングを施す必要がない上、レンズ5aを特殊な形状に成形する必要がない。つまり、高画質の画像を提供し得る固体撮像装置10より簡便な方法を用いて提供することができる。
レンズ5aは、光硬化性樹脂を型に充填し、型を透明板5bに接触させた状態で硬化させることによって形成されている。このため、レンズ5aは、所望の形状に形成することが容易である。レンズ5aの凸面の形状としては、レンズ5aに入射する光を、有効画素領域に垂直に出射し得るように補正する形状であればよく、球面または非球面であってもよい。例えば、レンズ5aは、パワーを有する非球面レンズ、フレネル形状を有するレンズおよび微細なレリーフ形状が施された回折レンズとして形成されていてもよい。レンズ5aの形成方法の詳細は、実施の形態3において説明する。
なお、センサチップ1の有効画素領域上には、マイクロレンズが形成されていることが好ましい。上記構成を有することによって、レンズ5aから出射された(出射角度が補正された)光は、さらに、上記マイクロレンズを通過して有効画素領域に入射する角度が補正される。よって、固体撮像装置10の有効画素領域に入射する光をより好適な状態に補正することができる。なお、固体撮像装置10を撮影装置に適用する場合、上記マイクロレンズの形成位置なども考慮に入れて、撮影装置全体の光学系(レンズ5a、マイクロレンズおよび撮影用レンズなど)の設計(形状および配置など)を行うことが好ましい。
さらに、透明板3と固定部7の間には、赤外線カットフィルタが形成されていることが好ましい。カメラやビデオレコーダなどの撮影装置に固体撮像装置10を内蔵する場合、画像の形成に不要な赤外線がセンサチップ1へ入射することを回避する必要がある。赤外線のセンサチップ1への入射を回避するためには、赤外線を反射または吸収(カット)する必要がある。ここでは、赤外線を反射するための誘電体多層膜を透明板3と固定部7との間に形成した場合について、以下に説明を行う。
誘電体多層膜は、光の入射角に応じて、反射する光の波長の範囲が変化する。このため、曲面(例えば、レンズ5aなど)上に誘電体多層膜を形成すると、中心付近と端部付近とにおいて反射する光の波長が異なるため、逆に画質の悪化に繋がる。このため、平坦な透明板3上に形成することが好ましい。さらに、誘電体多層膜は、透明板3の内、固定部7を形成するための面(上面)に製膜される。透明板3の有効画素領域との対向面に誘電体多層膜を形成すると、誘電体多層膜が剥離を起こした場合、有効画素領域に付着することによって、画質を低下させるためである。透明板3の一面だけに誘電体多層膜を形成すると、誘電体多層膜の膜応力によって、透明板3に反り生じる。しかし、大面積の透明板3に誘電体多層膜を製膜した後、透明板3はダイシングによって小片に分割されるので、上記膜応力が開放(低下)される。このため、誘電体多層膜の形成による透明板3の反りが、固体撮像装置10が形成する画像の質を低下させることはない。
赤外線反射の誘電体多層膜は、スパッタ法や蒸着法などによって、高い屈折率の層と低い屈折率の層とが交互に形成された多層膜である。上記高い屈折率の層を構成する材料としては、TiO2(n=2.4)、Ta2O5(n=2.1)、Nb2O5(n=2.2)、およびZrO2(n=2.05)などが挙げられる。上記低い屈折率の層を構成する材料としては、SiO2(n=1.46)、Al2O3(n=1.63)、およびMgF2(n=1.38)などが挙げられる。なお、括弧内のnは、単一の材料によって形成した層が有する、500nmの波長を有する光に対する屈折率を示しており、上記屈折率は、入射する光が有する波長によって変化する。誘電体多層膜において、通常、上記高い屈折率の層と上記低い屈折率の層とが、同じ光学的膜厚に形成される。カットしたい光が有する波長の範囲の中心付近を設計波長λとすると、光学的膜厚ndは、1/4λと表すことができる。そして、光学的膜厚ndを有する上記高い屈折率の層を1H、光学的膜厚ndを有する上記低い屈折率の層を1Lと表す。
ここで、“(0.5H、1L、0.5H)S”とは、1/8λの膜厚を有する上記高い屈折率の層が2層あり、この2層の間に1/4λの膜厚を有する上記低い屈折率の層が形成されたものが、1組以上ある状態を意味している。さらに、“S”は、スタック数と呼ばれ、括弧内の組がいくつ積層されているのかを表している。実際に積層された誘電体多層膜は、2S+1層から構成されており、Sの値を大きくするほど、反射から透過へ変化する立ち上がり特性(急峻さ)を大きくすることができる。Sの値としては3〜20の範囲から選択される。誘電体多層膜を構成する各層の屈折率と上記立ち上がり特性とから、カットできる波長を有する光を決定することができる。通常、赤外線をカット(反射)するための誘電体多層膜は、40層〜60層の積層構造から形成される。
透明板3および5bは、平行平面板状の透明な部材であればよい。透明板3および5bの材料としては、例えば、石英やBK7などの光学ガラスの材料が挙げられる。
センサ基板13は、絶縁性を有する平板状の構成であればよく、センサ基板13全体が絶縁性の材料から構成されていても、センサ基板13表面が絶縁性を有していてもよい。センサ基板13を構成するための材料は、セラミックや樹脂など、従来公知の種々の材料から選択することができる。また、センサ基板13表面に絶縁性を付与する方法は、従来公知の種々の方法を採用し得る。
スペーサ9は、センサ基板13と透明板3とを強固に接着し得る材料であれば、従来公知の種々の材料から選択できる。なお、透明板3以外の部材から光が入射することがないように、スペーサ9は不透明な材料から構成されていることが好ましい。
〔実施の形態2〕
本発明の一実施形態について、図3を用いて以下に説明する。図3は、図1の変形例である固体撮像装置30の構成を示す断面図である。固体撮像装置30と実施の形態1の固体撮像装置10とは、多くの点において共通している。このため、本実施形態においては、固体撮像装置30と固体撮像装置10との相違点についてのみ説明する。
図3に示すように、固体撮像装置30は、下部に外部接続端子17が形成されたセンサ基板13、センサ基板13上に形成されたセンサチップ1(固体撮像素子)、センサチップ1の有効画素領域(図示せず)と対向するガラスの透明板3、センサチップ1と透明板3とを接着するスペーサ9、透明板3の壁面と密着している樹脂製の固定部7、ならびに固定部7上に形成された光学素子5を備えている。つまり、本実施形態における固定部37は、透明板3の壁面とみ密着している点において、実施の形態1の固定部7と異なる。
上記構成において、固定部37が透明板3の上面とが密着していない。このため、固定部37と透明板3との接着力は、実施の形態1における固定部7と透明板3とが有する接着力よりも小さい。よって、必要に応じて、固定部37と透明板3とを剥離させることができる。例えば、固体撮像装置30の不具合(光学素子5への気泡の混入および光学素子5の形成位置のずれなど)が生じた場合、光学素子5を取り外すことによって不具合をリペア(修復)できることがある。光学素子5と透明板3との間に固定部7が挟まれていないため、固体撮像装置30の固定部37を潰す(取り除く)ことによって、光学素子5を構成する材料に関わらず、光学素子5を透明板3から容易に取り外すことができる。
ここで、透明板3の上面(光学素子5と対向する面)に赤外線をカットするための誘電体多層膜(IRカット膜)が形成されているとする。このとき、透明板3から光学素子5を取り外すと同時に誘電体多層膜も剥がれる可能性がある。これは、誘電体多層膜が実施の形態1において説明したように、蒸着法などによって形成されているためである。光学素子5(の下部に接着している固定部7)と透明板3の上面に形成された誘電体多層膜との接着力が大きい場合、光学素子5と誘電体多層膜とは、一緒に剥がれ易い。このように、光学素子5と透明板3との間に(固定部7のような)接着層が存在すると、光学素子5だけを取り外すことが困難である。
固体撮像装置30において、固定部37が透明板3の上面とが密着していないので、光学素子5に不具合が生じた場合、光学素子5のみを交換することができる。光学素子5のみを交換することができれば、固体撮像装置30の不良品率が低下する。さらに、光学素子5のコストが、固体撮像装置30の単価に対して、数分の1程度であるため、安価な部材の不具合によって、製品を破棄する必要がなくなる。
固体撮像装置30の不具合としては、上述のように、気泡の混入や形成位置のずれを挙げることができる。例えば、光学素子5に直径10μm程度の気泡が混入すると、固体撮像素子1の一部において光線が結像しない場合が生じる。このとき、固体撮像素子1上に異物が付着した時と同様に、画像の一部に欠損が生じる。また、例えば、光学素子5の中心と有効画素領域の中心との間にずれが生じると、光学素子5の周辺部に入射した光が有効画素領域に入射しなくなる。このため、有効画素領域における光軸(中心)付近と周辺部とに対する光量の差(周辺光量比)が大きくなる。結果として、形成された画像の周辺部が極端に暗くなる。
なお、透明板3の壁面と固定部37とが密着しているため、有効画素領域に入射する迷光の量を抑制するという作用に関しては、固定部37と固定部7との間に差異はない。従って、光学素子5と透明板3との間に形成されているという点を除いて、固定部37が有する形状、状態および作用については、実施の形態1を適宜参照すればよい。
また、固定部37が透明板3の上面と接触していないため、固定部37を構成する材料として、不透明な樹脂を用いてもよい。不透明な樹脂としては、熱硬化製樹脂である黒色のエポキシ樹脂などを挙げることができる。
〔実施の形態3〕
本発明の一実施形態である固体撮像装置30の製造方法について、図4を用いて以下に説明する。図4(a)は、固体撮像装置30の製造方法における光学素子5を形成する工程を示す断面図であり、図4(b)は、固体撮像装置30の製造方法における光学素子5を透明板3へ固定する工程を示す断面図である。
図4(a)に示すように、光学素子5を形成する工程は、以下の工程S41〜S45の順に行われる。
レンズ5aの凸面を転写するための形状を有する、複数のくぼみが掘り込まれたアレイ金型41に、流動性を有する光硬化性樹脂5a’を充填する(S41)。なお、本実施形態においては、レンズ9を構成する樹脂として、紫外線の照射によって硬化する光硬化性樹脂5a’を例に説明しているが、エネルギー硬化性樹脂であれば、本発明の固体撮像装置の製造方法に適用することができる。
ガラスの透明板5b’と光硬化性樹脂5a’を充填したアレイ金型41とを接触させ、ガラスの透明板5b’とアレイ金型41とを保持する(S42)。ここで、予め透明板5b’にシランカップリング剤を付与することによって、光硬化性樹脂5a’と透明板5b’との接着性を向上させてもよい。また、本実施形態においてガラスの透明板5b’を用いているが、光透過性を有する樹脂製のシートを用いてもよい。この場合、酸素プラズマ処理によって樹脂製のシートの表面に水酸基等の官能基を付与し、シランカップリング剤を付与すればよい。
UVランプ43を点灯して、S42において保持させた透明板5b’および光硬化性樹脂5a’に、透明板5b’側から紫外線を照射する(S43)。S43における、光硬化性樹脂5a’の硬化によって、複数のレンズ5aが透明板5b’上に形成される。
複数のレンズ5aが形成された透明板5’から、アレイ金型41を離型させる(S44)。
複数のレンズ5aが形成された透明板5’を、ダイシングブレード45を用いて、分割する(S45)。S45において、複数の光学素子5が形成される。
次に、図4(b)に示すように、未完成の固体撮像装置30’(以下、単に固体撮像装置と称する)に光学素子5を固定する工程は、以下の工程S46〜S49の順に行われる。
固体撮像装置10’を、透明板3が下方を向くように、マウンター装置(図示せず)のロッド41を用いて真空固定(バキュームチャッキング)する(S46)。ここで、本実施形態においては、固定部7を構成する樹脂として、紫外線の照射によって硬化する光硬化性樹脂37’を例に説明しているが、エネルギー硬化性樹脂であれば、本発明の固体撮像装置30の製造方法に適用することができる。
光学素子5、透明板3を介して、カメラ49を用いて有効画素領域の形状(平面形状および中心の位置など)を撮像する。撮像した有効画素領域の形状を画像処理装置によって画像処理を行う。上記画像処理装置に予め認識させておいた光学素子5の中心と画像処理した有効画素領域の中心とを、X軸方向およびY軸方向の少なくともいずれか1方向に位置合わせする。光学素子5の中心と画像処理した有効画素領域の中心とを位置合わせした状態において、光学素子5を透明板3へ接触させる(S47)。ここで、固定部7を密着させる部材(透明板3および光学素子5の透明板5bなど)に、シランカップリング剤が付与されていてもよい(シランカップリング剤の付与の方法については実施の形態1を参照のこと)。
その後、透明板3の壁面と光学素子5と接するように流動性を有する光硬化性樹脂37’塗布する(S48)。
UVランプを点灯し、紫外線照射を行う(S49)。S49において、固定部37によって、光学素子5と透明板3とが固定される。
なお、実施の形態1の固体撮像装置10を形成する場合、S46において光学素子5の透明板3と対向する面の全体に対して、光透過性樹脂37’を塗布すればよい。光学素子5の透明板3と対向する面の全体に、光透過性樹脂37’を塗布すれば、光学素子5と透明板3との間にも固定部7が形成される。このため、S48は不要になる。ここで、光学素子5に光透過性樹脂37’を塗布する前に、光学素子5上記面、透明板3の上面、および透明板3の壁面の内、少なくともいずれか1面に対してシランカップリング剤を付与してもよい。これによって、光学素子5と固定部7と、および透明板3と固定部5との接着力を向上させることができる。
以上の工程S41〜S49を経ることによって、固体撮像装置30を製造することができる。本実施形態に係る製造方法を用いれば、パワーを有する非球面レンズ、フレネル形状を有するレンズおよび微細なレリーフ形状が施された回折レンズなど、複雑な形状を有する光学素子5を容易に形成することができる。さらに、光学素子5を構成するレンズ5aの中心が有効画素領域の中心と正確に対向するように位置合わせをしながら、光学素子5を取りつけることができる。よって、収差が小さく、かつ解像度の高い画像を形成することができる固体撮像装置30を提供することができる。
さらに、工程S41〜S45を経ることによって、複数の光学素子5を一度に作製することができる。このため、固体撮像装置30の製造工程が簡略化される。
〔実施の形態4〕
本発明に係る一実施形態について図5を用いて以下に説明する。図5は、固体撮像装置10を内蔵した撮影装置50の構成を説明する断面図である。
図5に示すように、撮影装置50は、固体撮像装置10、平板状の面と2つの凸面とからなる撮像用レンズ51、撮像用レンズ51の平板状の面を挟んで形成された遮光部53、ならびに撮像用レンズ51とセンサチップ1との光軸方向の距離を調節および固定するスペーサ55を備えている。撮像用レンズ51は、固体撮像装置に入射する光の光路を画定する光路画定器である。遮光部53は、撮像用レンズ51の絞りであり、かつ撮像用レンズ51に入射する光の内、迷光の入射を抑制する。スペーサ55は、センサ基板13の外周部付近に形成されている。
なお、固体撮像装置10の底面に設けられた外部接続端子17は、FPCなどの配線基板上に形成された導体配線と電気的に接続されている(図示せず)。さらに、上記導体配線は、上記配線基板上に接着された画像処理装置を電気的に接続されている(図示せず)。つまり、固体撮像装置30は、上記導体配線を介して、上記画像処理装置と電気的に接続されている。このため、撮像用レンズ51から入射した光は、光学素子5、透明板3、空気層11を介して、センサチップ1上の有効画素領域に入射する。有効画素領域に入射した光は電気信号に変換され、上記画像処理装置に送信される。送信された電気信号に基づいて上記画像処理装置が画像を形成する。
以上の構成を有しているので、撮影装置50は、固体撮像装置10と同様の機能および作用を有する。なお、撮影装置50は、固体撮像装置10の代わりに、固体撮像装置30を備えていてもよい。
〔実施の形態5〕
本発明の一実施形態である固体撮像装置60について、図6を用いて以下に説明する。図6は、固体撮像装置60の構成を示す断面図である。固体撮像装置60と実施の形態1の固体撮像装置10とは、多くの点において共通している。このため、本実施形態においては、固体撮像装置60と固体撮像装置10との相違点についてのみ説明する。
図6に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置60は、下部に外部接続端子17が形成されたセンサ基板13、センサ基板13上に形成されたセンサチップ1(固体撮像装置)、センサチップ1の有効画素領域(図示せず)と対向するように配置された透明板3、センサチップ1と透明板3とを接着するスペーサ9、センサ基板13の一部、センサチップ1の一部、透明板3の壁面およびスペーサ9の壁面を封止する封止樹脂61、透明板3および封止樹脂61を覆う固定部67、ならびに固定部67の上に形成された光学素子5を備えている。つまり、本実施形態は、固体撮像装置60が封止樹脂61を備えている点において、固体撮像装置10と異なる。さらに、透明板3の壁面が、最上部付近の領域を除いて封止樹脂61に封止されている。
封止樹脂61の上面は、透明板3の上面よりもわずかに低くなるように形成されている。これは、透明板3の上面を不透明な封止樹脂61によって覆ってしまわないための措置である。透明板3の上面に封止樹脂61が侵入すると、固体撮像装置60の開口部の面積を小さくしてしまう。よって、封止樹脂61は、通常、透明板3の上面よりも低い位置にまでしか充填されない。
なお、封止樹脂61の固定部と接している表面にはArプラズマ処理が施されている。Arプラズマ処理によって、封止樹脂61表面には微小な凹凸(接着力向上部)が形成されており、かつ封止樹脂61表面からは、樹脂封止後に金型から固体撮像装置60を剥離するための離型剤が除去されている。
センサチップ1とセンサ基板13とは、ボンディングワイヤ15によって電気的に接続されている。すなわち、センサチップ1は、ボンディングワイヤ15、センサ基板13および外部接続端子1を介して、外部へ電気信号を出力することができる。ボンディングワイヤ15も封止樹脂61によって封止されており、封止樹脂61は、ボンディングワイヤ15同士の接触や、ボンディングワイヤ15の断線などを防止している。
固体撮像装置60における、固定部67の作用について、図7を用いて以下に説明する。図7(a)は、撮像装置に適用した固体撮像装置60(レンズ5a)に対して光が入射する様子を示す断面図であり、図7(b)は、図7(a)の固体撮像装置60の透明板3の端部付近を拡大した断面図である。
図7(a)に示すように、固体撮像装置60の物体側(紙面の上側)には、撮像用の光学レンズ21が配置されている。光学レンズ21から出射された光の内、画像の形成に不要な光23が、光学素子5の端部5c付近に入射する。
ここで、図7(b)に示すように、画像の形成に不要な光23(迷光)は、レンズ5aの凸面において屈折され、屈折光23’になる。ここで、透明板3の壁面の内、光学素子5側の端部を含む領域が固定部67と密着している。つまり、透明板3の壁面の上記領域は、空気と接していない。このため、屈折光23’は、透明板3の壁面の上記領域において反射されずに、固定部67内を透過して行く。そして、屈折光23’は、封止樹脂61の表面に到達し、封止樹脂61によって吸収される。さらに、図に示した位置よりもレンズ5aの中心側に不要な光が入射した場合であっても、封止樹脂61の透明板3と接している面において、不要な光が吸収される。以上のことから、画像の形成に不要な光23は、透明板3の壁面の内、封止樹脂61よりも上方に位置する領域が反射面として作用しないため、有効画素領域に入射しない。よって、固体撮像装置10によって形成された画像において、光23の有効画素領域への入射に起因するフレアやゴーストの出現が抑制されている。
本実施形態において、例えば、固体撮像装置10を紙面の上方から見たとき、透明板3が略方形を有しているとする。このとき、透明板3が有する4つの辺の内、少なくとも1ヶ所に固定部67が密着していれば、有効画素領域への迷光の入射が抑制される。また、透明板3の迷光を反射しやすい場所を適宜選択して、固定部67を密着させてもよい。透明板3が有する4つの辺を全て囲むように固定部67が密着しているとき、有効画素領域への迷光の入射が、最も効率的に抑制される。
本実施形態において光学素子5は、透明板3から外側にはみ出している。すなわち、透明板3の平面寸法よりも光学素子5の平面寸法の方が大きい。しかし、透明板3と光学素子5とが同じ平面寸法を有していても、上述した有効画素領域への迷光の入射を抑制する。例えば、固定部7を、光学素子5の壁面とさらに密着するように形成すればよい。このとき、固定部7の断面は、アルファベットの「H」のような形状を有している。言い換えると、固定部7は、透明板3と光学素子5とを同時に「コ」の字型に挟みこむように密着している。よって、固定部7は、光学素子5の透明板3からの剥離を抑制する。
ここで、通常、樹脂製の固定部67と封止樹脂61との接着力は小さい。これは以下の2つの理由による。(1)封止樹脂61が金型を用いて圧縮形成されるため、固定部67の形成時に封止樹脂61が化学的に活性を有していない。(2)樹脂封止の終了後に封止樹脂61とそれを形成するための金型とが剥がれ易くなるように、封止樹脂61表面には離型剤が付着している。さらに、固定部67と封止樹脂61とは、異なる樹脂から構成されているので、熱膨張係数が異なる。
よって、単に固定部67を封止樹脂61上に形成しただけでは、固体撮像装置60の実装工程における加熱冷却処理、および固体撮像装置60を内蔵した製品を使用する環境温度の変化などによって、固定部67が封止樹脂61から剥離する。
ここで、上述のように、本実施形態に係る固体撮像装置60の封止樹脂61表面は、プラズマ処理によって、粗化(微小な凹凸が形成)され、かつ封止樹脂61表面の離型剤が除去されている。このため、封止樹脂61表面に対する、固定部67を構成する、流動性のエネルギー硬化性樹脂のぬれ性が向上する。さらに、固定部67と封止樹脂61との接触面積が大きくなる。また、さらに、上記微小な凹凸が固定部67を構成する樹脂に対するアンカーの役割を果たす。
以上のように、本実施形態に係る固体撮像装置60は、封止樹脂61表面に微小な凹凸が形成され、かつ離型剤が付着していないため、固定部67と封止樹脂61との物理的な接着力が向上している。よって、本実施形態に係る固体撮像装置60は、製造工程内の加熱冷却工程における固定部67の剥離、および実装された製品の使用環境の変化による固定部67の剥離を抑制する。すなわち、小型化および薄型化を達成し、かつかつ高い信頼性(耐環境性)および性能を有する固体撮像装置60を提供することができる。
本実施形態において、封止樹脂61と固定部67との接着力を向上させるために、封止樹脂61および固定部67の少なくともいずれか1つの表面には、表面処理が施されている。上記表面処理としては、水酸基などの活性基の付与、および表面粗化などが挙げられる。なお、活性基の具体例、活性基を付与する方法、表面粗化の詳細、および表面粗化の方法については、実施の形態1を参照のこと。
封止樹脂61を構成する材料としては、従来公知の種々の樹脂から選択すればよい。なお、透明板3以外の部材から光が入射することがないように、封止樹脂61は不透明な材料から構成されていることが好ましい。また、封止樹脂61を形成するための方法としては、従来公知の種々の方法を採用すればよい。
〔実施の形態6〕
本発明の一実施形態について、図8を用いて以下に説明する。図8は、図6の変形例である固体撮像装置45の構成を示す断面図である。固体撮像装置80と実施の形態5の固体撮像装置50とは、多くの点において共通している。このため、本実施形態においては、固体撮像装置80と固体撮像装置60との相違点についてのみ説明する。
図8に示すように、固体撮像装置80は、下部に外部接続端子17が形成されたセンサ基板13、センサ基板13上に形成されたセンサチップ1、センサチップ1の有効画素領域と対向するように配置された透明板3、センサチップ1と透明板3とを接着するスペーサ9、センサ基板13の一部、センサチップ1の一部、透明板3の壁面およびスペーサ9の壁面を封止する封止樹脂61、透明板3の壁面と封止樹脂61の上面と密着している固定部87、ならびに光学素子5を備えている。つまり、本実施形態における固定部87は、透明板3の上面と密着していない点において、実施の形態6の固定部67と異なる。
ここで、固体撮像装置80と固体撮像装置60との差異は、固体撮像装置30と固体撮像装置10との差異と同じである。よって、固体撮像装置80において、固定部87が透明板3の上面とが密着していないので、光学素子5に不具合が生じた場合、光学素子5のみを交換することができる。光学素子5のみを交換することができれば、固体撮像装置80の不良品率が低下する。さらに、光学素子5のコストが、固体撮像装置80の単価に対して、数分の1程度であるため、安価な部材の不具合によって、製品を破棄する必要がなくなる。さらに、固定部37を構成する材料として、不透明な樹脂を用いてもよい。
本実施形態において説明を省略した構成の詳細および作用については、適宜、実施の形態1および6を参照すればよい。
〔実施の形態7〕
本発明の一実施形態である固体撮像装置60の製造方法について、図9を用いて以下に説明する。図9(a)は、固体撮像装置60の製造方法における、光学素子5を形成する工程を示す断面図であり、図9(b)は、固体撮像装置60の製造方法における、光学素子5を透明板3および封止樹脂61へ固定する工程を示す断面図である。実施の形態3の製造方法と本実施の形態の製造方法とにおいて、光学素子5を形成する工程が共通している。このため、光学素子5を透明板3および封止樹脂61へ固定する工程について以下に説明する。
図9(a)に示すように、工程S41〜S45を経ることによって、複数の光学素子5が形成される。
次に、図9(b)に示すように、未完成の固体撮像装置60’(以下、単に固体撮像装置60’と称する)に光学素子5を固定する工程は、以下の工程S91〜S93の順に行われる。
固体撮像装置60’を、透明板3が下方を向くように、マウンター装置(図示せず)のロッド41を用いて真空固定(バキュームチャッキング)する。同時に、光学素子5の透明板3および封止樹脂61と対向する面の全体に、流動性を有する光硬化性樹脂67’を塗布する(S92)。ここで、本実施形態においては、固定部67を構成する樹脂として、紫外線の照射によって硬化する光硬化性樹脂67’を例に説明しているが、エネルギー硬化性樹脂であれば、本発明の固体撮像装置60の製造方法に適用することができる。
光学素子5、光硬化性樹脂37’および透明板3を介して、カメラ42を用いて有効画素領域の形状(平面形状および中心の位置など)を撮像する。撮像した有効画素領域の形状を画像処理装置によって画像処理を行う。上記画像処理装置に予め認識させておいた光学素子5の中心と画像処理した有効画素領域の中心とを、X軸方向およびY軸方向のすくなくともいずれか1方向に位置合わせする。光学素子5の中心と有効画素領域の中心とを位置合わせした状態において、光硬化性樹脂67’を塗布した光学素子5を透明板3および封止樹脂61へ接触した状態で固定する(S92)。なお、光学素子5と固体撮像装置60’とを固定する前に、固定部87と接する部材(透明板3および官能基が付与された封止樹脂61など)に、シランカップリング剤が付与されていてもよい(シランカップリング剤および官能基の付与については実施の形態1を参照のこと)。
光学素子5を固体撮像装置60’に固定した後、UVランプを点灯し、紫外線照射を行う(S93)。S93における紫外線の照射によって、光学素子5と透明板3および封止樹脂61との間に挟まれた光硬化性樹脂37’が硬化し、固定部87が形成される。
以上の工程S41〜S45およびS91〜S93を経ることによって、固体撮像装置60を製造することができる。本実施形態に係る製造方法を用いれば、パワーを有する非球面レンズ、フレネル形状を有するレンズおよび微細なレリーフ形状が施された回折レンズなど、複雑な形状を有する光学素子5を容易に形成することができる。さらに、光学素子5を構成するレンズ5aの中心が有効画素領域の中心と正確に対向するように位置合わせをしながら、光学素子5を取りつけることができる。よって、収差が小さく、かつ解像度の高い画像を形成する固体撮像装置60を提供することができる。
なお、実施の形態6の固体撮像装置80を形成する場合、S91において光学素子5の封止樹脂61と対向する面に、光透過性樹脂67’を塗布すればよい。光学素子5の封止樹脂61と対向する面に光透過性樹脂67’を塗布すれば、光学素子5と透明板3との間には固定部67が形成されない。
〔実施の形態8〕
本発明の一実施形態について、図10を用いて以下に説明する。図10(a)は、図6の変形例である固体撮像装置100の構成を示す断面図であり、図10(b)は固定部107上に固定される光学素子105の作製方法を説明する断面図である。固体撮像装置100と実施の形態5の固体撮像装置60とは、多くの点において共通している。このため、本実施形態においては、固体撮像装置100と固体撮像装置60との相違点についてのみ説明する。
図10(a)に示すように、固体撮像装置100は、下部に外部接続端子17が形成されたセンサ基板13、センサ基板13上に形成されたセンサチップ1(固体撮像装置)、センサチップ1の有効画素領域(図示せず)と対向するように配置された透明板3、センサチップ1と透明板3とを接着するスペーサ9、センサ基板13の一部、センサチップ1の一部、透明板3の壁面およびスペーサ9の壁面を封止する封止樹脂61、透明板3および封止樹脂61を覆う固定部67、ならびに固定部67の上に形成された光学素子105を備えている。光学素子105は、樹脂製のレンズ105aおよびガラスの透明板105bから構成されている。樹脂製のレンズ105aは、凸面を形成している部分の外側に突出部105cを有している。つまり、本実施形態は、樹脂製のレンズ105aが突出部105cを有している点において、固体撮像装置60と異なる。
突出部105cは、型101に充填したエネルギー硬化性樹脂105a’を硬化させることによって形成される。すなわち、突出部105cは、レンズ105aと同時に形成される(型101およびエネルギー硬化性樹脂105a’については図10(b)参照のこと)。
レンズ105aを形成するために、エネルギー硬化性樹脂105a’を充填した型51を透明板105bに接触させたとき、透明板105bとエネルギー硬化性樹脂105a’との界面に気泡が生じることがある。レンズ105aの凸面に気泡が混入している場合、気泡に光が照射されると、予期しないような光の拡散が生じる。拡散した光が迷光として有効画素領域に入射する上、気泡の下方にある有効画素領域への光の入射効率が低下する。つまり、レンズ105aが、有効画素領域に入射する光の角度を適切に補正することができなくなる上、気泡は局所的に入射効率の低下を招く。したがって、形成された画像の画質を極端に低下させる。
突出部105cは、上記気泡をレンズ105aの凸面から取り除くために形成されたものである。突出部105cが形成される理由について、図10(b)を用いて以下に説明する。図10(b)に示すように、型101は、中央部にレンズ105aの凸面を形成するためのくぼみを有し、かつ上記くぼみを囲むようにリング状の溝が形成されている。
型101の中央部のくぼみにエネルギー硬化性樹脂105a’を充填する。エネルギー硬化性樹脂105a’を上記くぼみに対して過剰に充填して、エネルギー硬化性樹脂105a’の盛り上がりを作る。その後、透明板105bをエネルギー硬化性樹脂105a’の上記盛り上がりに対して密着させる。このとき、透明板105bとエネルギー硬化性樹脂105a’との界面に気泡が生じる。そして、型101を透明板105bに密着させると、上記気泡が、中央部のくぼみから溢れだすエネルギー硬化性樹脂105a’とともに、上記リング状の溝に押し出される。型101を透明板105bに密着させた状態でエネルギー硬化性樹脂105a’を硬化させる。これによって、型101のリング状の溝へ押し出されたエネルギー硬化性樹脂105a’は、気泡が含んだまま硬化される。以上のようにして、突出部105cが形成される。
本実施形態に係る固体撮像装置100は、突出部105cを備えているので、樹脂製のレンズ105aに気泡が混入しない。したがって、固体撮像装置31の生産歩留まりを向上し得る。なお、固体撮像装置100は、実施の形態7において説明した製造方法の内、図10(a)のアレイ型41の代わりに型101が複数連結されたアレイ型を用いれば、同様の製造方法によって製造することができる。
以上に説明したように、実施の形態1、2、5、6および8において説明した固体撮像装置10、30、60、80および100が、製造コストの削減、信頼性の向上、小型化および薄型化を達成、ならびに入射光の広角化によって生じる課題の解決を同時に行い得る。入射光の広角化によって生じる課題とは、(1)有効画素領域の外周部における光の入射光率の低下、および(2)赤外線カットフィルタを用いた場合の有効画素領域外周部における色調変化である。このため、品質の高い画像を形成し得る固体撮像装置10、30、60、80および100を提供することができる。
また、上記問題を固体撮像装置に搭載する光学系によって解決する場合、センサチップの近傍に配置される光学素子の外周部(端部)における光学形状(凸面の形状)の設計が非常に困難になる。本発明に係る固体撮像装置10、30、60、80および100は、上記課題を光学系によって解決する必要がないため、光学系の設計(形状や配置)の自由度が高い。さらに、レンズ5aおよび105aはレプリカ法によって形成できるため、レンズ5aおよび105aの光学面を、高い精度かつ所望の機能を有するように形成することが容易である。
〔実施の形態9〕
本発明に係る一実施形態について図11を用いて以下に説明する。図11は、固体撮像装置60を内蔵した撮影装置110の構成を説明する断面図である。
図11に示すように、撮影装置61は、固体撮像装置60、平板状の面と2つの凸面とからなる撮像用レンズ51、撮像用レンズ51の平板状の面を挟んで形成された遮光部53、ならびに撮像用レンズ51とセンサチップ1との光軸方向の距離を調節および固定するためのスペーサ55を備えている。撮像用レンズ51は、固体撮像装置60に入射する光の光路を画定する光路画定器である。遮光部53は、撮像用レンズ51の絞りであり、かつ撮像用レンズ51に入射する光の内、迷光の入射を抑制する。スペーサ55は、封止樹脂61の外周部付近に形成されている。
なお、固体撮像装置60の底面に設けられた外部接続端子17は、配線基板上に形成された導体配線と電気的に接続されている(図示せず)。さらに、上記導体配線は、上記配線基板上に接着された画像処理装置を電気的に接続されている(図示せず)。つまり、固体撮像装置60は、上記導体配線を介して、上記画像処理装置と電気的に接続されている。このため、撮像用レンズ51から入射した光は、光学素子5、透明板3、空気層11を介して、センサチップ1上の有効画素領域に入射する。有効画素領域に入射した光は電気信号に変換され、上記画像処理装置に送信される。送信された電気信号に基づいて上記画像処理装置が画像を形成する。
以上の構成を有しているので、撮影装置110は、固体撮像装置60と同様の機能および作用を有する。なお、撮影装置61は、固体撮像装置60の代わりに、固体撮像装置80または110を備えていてもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲内において種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施の形態10〕
本発明に係る一実施形態である固体撮像装置310について、図19を用いて以下に説明する。図19は、固体撮像装置310の構成を示す断面図である。固体撮像310と実施の形態1の固体撮像装置10とは、光学素子305以外の点において共通している。このため、本実施形態では、固体撮像装置310と固体撮像装置10との相違点である光学素子305についてのみ説明する。
図19に示すように、固体撮像装置310では、光学素子305は、物体側(紙面上方)に向かって凸形状に形成されており、凸形状側には、平面305d、球面または非球面を有する曲面305c、および変曲部分305eを有している。
光学素子305の光軸中心には、平面305dが配置されている。このため、光学素子305に入射する光は、光学素子305の光軸中心において、光軸に対する角度が広がり過ぎずに入射し、これによって該角度を補正する必要はなくなる。
また、光学素子305は平面305dを有することによって、光学素子305自体の厚みを薄くすることができ、固体撮像装置310全体の薄型化を実現することができる。
さらに、光学素子305における曲面は、曲面305cのみであるため、金型による製造が容易となり、製造コストを抑えることができる。
あるいは、平面305dを曲面化し、積極的にパワーを持たせることによって、例えば固体撮像装置310を備える撮影装置の光学系を薄くすることも可能である。曲面305cおよび平面305dを含む、光学素子305の凸形状側全面を、フレネル面や回折面とすることによって、上記光学系に加えて、光学素子305自体の厚みを薄くすることもできる。
固体撮像装置310は、例えば図20に示す固体撮像装置410のように、光学素子305が曲面を有さない形状であってもよい。固体撮像装置410について、図20を用いて以下に説明する。図20は、固体撮像装置310の変形例である固体撮像装置410の構成を示す断面図である。
図20に示すように、固体撮像装置410における光学素子405は、円錐台形状のプリズムであり、2つの平面405d、405cと、変曲部分405eとを有する。光学素子405は、光学素子305と同様に平面405dを有するため、光学素子405自体の厚みを薄くすることができ、固体撮像装置410全体の薄型化を実現することができる。さらに、光学素子405は、曲面を全く有さないため、固体撮像装置310よりも製造コストを抑えることができる。
固体撮像装置310は、光学素子305において平面305dを有しているため、例えば図21に示す固体撮像装置510ように、光学素子305の凸形状が像面側(紙面下側)に向かうように配置することが容易である。固体撮像装置510について、図21を用いて以下に説明する。図21(a)は、固体撮像装置310の変形例である固体撮像装置510の構成を示す断面図であり、図21(b)は、図21(a)の固体撮像装置510の透明板3の端部付近を拡大した断面図である。
図21(a)に示すように、固体撮像装置510では、光学素子505の平面505dが透明版505b上に配置されており、光学素子505は、像面側(紙面下側)が凸形状になるよう配置されている。
固体撮像装置510においても、前述した他の実施形態と同様に、光学素子505に入射する光のうち、光軸から周辺側に向かって光軸に対する傾きが大きくなる光は、その傾きが緩和され、固体撮像素子510に入射する光の入射効率の低下を抑えることができる。これに加え、固体撮像装置510は、図21(b)に示すように、入射光523のような迷光を抑制する効果を奏する。また、曲面505cに対して光学素子側から入射されて空気側に抜ける光のうち、入射光524は、曲面505cに対してゆるい角度で入射しているため、収差の発生を抑制する効果をも奏する。
なお、固体撮像装置310の光学素子305における凸形状は、さらに多くの面から形成されていてもよい。また、凸形状を形成する面は、例えば、球面、非球面、フレネル面、または回折面であってもよい。
(その他の構成)
なお、本発明は、以下の構成によっても実現可能である。
(第1の構成)
少なくとも固体撮像素子と、
該固体撮像素子の有効画素領域に対向配置され、かつ該有効画素領域と同等の平面寸法を有する透明板と、
該透明板上に配置され該透明板の平面寸法より大きい光学素子と、
該光学素子と該透明板とを固定する固定部と、を備えた固体撮像装置。
(第2の構成)
少なくとも固体撮像素子と、
該固体撮像素子の有効画素領域に対向配置され、かつ該有効画素領域と同等の平面寸法を有する透明板と、
該固体撮像素子の一部、該透明板の壁面、および該接着部の壁面を封止する封止樹脂と、
該透明板上に配置され、該透明板の平面寸法よりも大きい光学素子と、
該光学素子と該透明板および該封止樹脂とを固定する固定部と、を備えた固体撮像装置。
(第3の構成)
上記固定部が透光性樹脂である第1または第2の構成に係る固体撮像装置。
(第4の構成)
上記固定部が上記光学素子と上記透明板の側面のみとを固定する第1または第2の構成に係る固体撮像装置。
(第5の構成)
上記固定部が透光性または不透光性の樹脂である第1〜第3の構成いずれか1つに係る固体撮像装置。
(第6の構成)
上記光学素子が、無機透光性基板と透光性樹脂とで構成されてある第1〜第4の構成のいずれか1つに係る固体撮像装置。
(第7の構成)
上記光学素子が、透光性樹脂のみまたは透光性無機材料のみで構成されてある第1〜第4の構成のいずれか1つに係る固体撮像装置。
(第8の構成)
上記固定部に接する樹脂製構成部材の表面が粗化されてある第2の構成のいずれか1つに係る固体撮像装置。
(第9の構成)
上記固定部に接する樹脂製構成部材の表面に官能基が付与されてある第1〜第8の構成のいずれか1つに係る固体撮像素子。
(第10の構成)
上記固定部に接する無機材料製構成部材、および官能基が付与された樹脂製構成部材の少なくともいずれか一方の表面にシランカップリング剤が付与されている第1〜第9の構成のいずれか1つに係る固体撮像装置。
(第11の構成)
上記光学素子の有効光学機能領域を超えて外側に張り出しが形成されている第1〜第10の構成のいずれか1つに係る固体撮像装置。
(第12の構成)
上記光学素子が−60℃〜270℃の温度条件において80%以上の可視光の透過率を有する第1〜第11の構成のいずれか1つに係る固体撮像装置。
(第13の構成)
上記光学素子の可視光に対する屈折率が1.3〜1.45である第1〜第12の構成のいずれか1つに係る固体撮像装置。
(第14の構成)
上記光学素子の入射側の少なくとも1部が物体側に向かって凸形状に形成されていることを特徴とする第1〜第13の構成のいずれか1つに係る固体撮像装置。
(第15の構成)
上記光学素子の出射側の少なくとも1部が像面側に向かって凸形状に形成されていることを特徴とする第1〜第13の構成のいずれか1つに係る固体撮像装置。
(第16の構成)
上記光学素子の凸形状が1面で形成されていることを特徴とする第14または第15の構成に係る固体撮像装置。
(第17の構成)
上記光学素子の1面で形成されている凸形状が、球面・非球面・フレネル面・回折面のいずれかの形状で形成されていることを特徴とする第16の構成に係る固体撮像装置。
(第18の構成)
上記光学素子の凸形状が2面以上の多面で形成されていることを特徴とする第14または第15の構成に係る固体撮像装置。
(第19の構成)
上記光学素子の多面で形成されている凸形状の少なくとも1面が、平面、斜面、球面、非球面、フレネル面、回折面のいずれかの形状、または組み合わされて形成されていることを特徴とする第18の構成に係る固体撮像装置。
(第20の構成)
第1〜第19の構成のいずれか1つに係る固体撮像装置を備えている撮影装置。
(第21の構成)
有効画素領域が形成された固体撮像素子に対して、
該有効画素領域と対向するように該有効画素領域と同等の平面寸法を有する透明板を、該固体撮像素子と固定する工程と、
該透明板上に該光学素子を固定する工程とを包含する、固体撮像装置の製造方法。
(第22の構成)
有効画素領域が形成された固体撮像素子に対して、該有効画素領域と対向するように該有効画素領域と同等の平面寸法を有する透明板を、該固体撮像素子と固定する工程と、
該固体撮像素子の一部、該透明板の側面および該接着剤の側面を樹脂封止する工程と、
該透明板上および該封止樹脂の一部の上に該光学素子を固定する工程と、
を少なくとも包含する、固体撮像装置の製造方法。
(第23の構成)
光学素子を固定する上記工程が、
流動性を有するエネルギー硬化性樹脂を、光学素子および透明板に塗布する処理、
および光または熱エネルギーの付与によってエネルギー硬化性樹脂を硬化する処理を含む第21または第22の構成に係る固体撮像装置の製造方法。
(第24の構成)
エネルギー硬化性樹脂を硬化する上記処理が、光学素子を通して上記光学素子を配置すべき位置を確認しながら行われる第23の構成に係る固体撮像装置の製造方法。