JP4266532B2 - 光ディスクのチルトを検出する装置及び方法とそれに使用する収差補正ミラー - Google Patents
光ディスクのチルトを検出する装置及び方法とそれに使用する収差補正ミラー Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクのチルトを検出する装置及び方法とそれに使用する収差補正ミラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に光ディスクを用いた情報記憶媒体として、コンパクト・ディスク(CD)やデジタル・ビデオ・ディスク(DVD)などがある。DVDはCDに比べて記録密度が高いため、情報を読み書きする際に要求される条件が厳しい。例えば、光ピックアップの光軸とディスク面は垂直であることが理想であるが、実際には、ディスクは樹脂で作られているため、厳密に見ると相当な曲面となっている。したがって、ディスクを回転すると、光ピックアップの光軸とディスク面は、常に垂直ではなくなる(以下、光ピックアップの光軸に対してディスク面が傾斜している状態を適宜「チルト」という。)。また、図13に示すように、記録層(108a、108b)は樹脂層(102a、102b)の上面に形成されている。そのため、ディスク面が対物レンズ(101a、101b)の光軸に対して垂直でなくなると、対物レンズ(101a、101b)を透過した光の光路が曲がり(屈折し)、光のスポット位置が正しい位置からずれてコマ収差(103a、103b)を生じる。そして、この収差が許容値を超えると、正しく読み書きができなくなる。
【0003】
チルトの影響を少なくする手段として、対物レンズ(101a、101b)と記録層(108a、108b)との間の樹脂層(102a、102b)を薄くすることが考えられる。実際、DVD(図13(B))の樹脂層(102b)の厚みがCD(図13(A))の樹脂層(102b)の厚みの約半分であるのは、この効果を狙ったものである。しかし、この方法の場合、更に高密度記録を達成するために樹脂層を薄くしてチルトの影響を少なくしようとすれば、ディスク上のゴミや傷が読み書きの精度を著しく低下させる原因となるという不具合が生じる。以上の事情から、アクチュエータによって光軸を若干傾けて対応しているのが現状である。
【0004】
チルトを光学的に補正する手段として、液晶、透明圧電素子、可変ミラーを用いたものが、特開平10−79135号公報、特開平5−333274号公報、特開平5−333274号公報でそれぞれ提案されている。これらうち、特開平10−79135号公報に記載されている、液晶板を用いて位相制御することによりコマ収差補正をする方法は、レーザーが液晶板を通過するため光量が減衰し、書き込みに必要なエネルギーを得ることが困難であり、また液晶の特性から特にタンジェンシャルチルト制御に要求される高周波動作に使用するのは困難であると考えられる。
【0005】
特開平5−144056号公報に提案されている方法は、実際に透明圧電素子単体で必要変位を得るのに高電圧が必要となるので、光ピックアップなどに適用できないものである。特開平5−333274号公報に提案されている方法は、ミラー自体を積層型圧電素子で変形させ位相制御する方法であるが、光ピックアップなどの小さい部品に用いるには配線が複雑になるという問題があり、組み付けコストも高くなる。また、配線の問題が解決できたとしても、積層型圧電素子をかなり小さくする必要があるため、技術的にもコスト的にも容易でない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このように、情報を読み書きするときに不具合を生じさせるチルトの影響を、圧電素子を使用した収差補正ミラーを使用することにより、チルトによる収差を補正して解決するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の収差補正ミラーは、シリコン基板と、前記シリコン基板の一方の面に支持されたミラー材と、前記シリコン基板の他方の面に順次支持された、絶縁層、第1の電極、圧電材料、および第2の電極とを備えており、前記第1の電極と前記第2の電極の少なくともいずれか一方は複数に分割されていることを特徴とする。この収差補正ミラーでは、収差補正手段としてのミラーが、シリコン基板と圧電基板または圧電薄膜で構成されており、シリコン基板と圧電基板または圧電薄膜間には絶縁層が設けられており、圧電基板または圧電薄膜の両面に接している第1の電極又は第2の電極の少なくとも一方が分割されており、分割されている電極のパターンに応じてミラー面が可変するので、収差を補正して書き込み時、読み出し時の不具合を解決することができる。
【0008】
本発明の他の形態は、前記第1の電極と前記第2の電極の少なくともいずれか一方は2つに分割されており、分割された2つの電極には異なる極性の電圧が印加される。この場合、2分割された電極には互いに逆極性の同電位が供給されるので、圧電材料は圧電極性が一方向の一枚ですむ。
【0009】
本発明の他の形態は、前記シリコン基板が、第1の方向に伸びる一対の第1の辺と第2の方向に伸びる一対の第2の辺を有する矩形であり、前記2つの電極は前記第1の方向に対向して配置されており、前記一対の第2の辺の近傍の固定領域が固定部材に固定されることを特徴とする。この収差補正ミラーによれば、シリコン基板を固定する部分は4辺のうち対向した2辺であるので、圧電材料とシリコン基板で構成されるミラー部が効率よく変形することができる。
【0010】
本発明の他の形態は、前記固定部材に固定される上記シリコン基板の固定領域が、前記固定領域の前記第1の方向に関する幅が前記第2の辺の中央部分から端に向かうにしたがって小さくなっていること特徴とする。この収差補正ミラーによれば、シリコン基板の固定する辺の固定領域が、辺の中央部分から端に行くにしたがって、その幅がシリコン基板の中心から遠ざかる方向に小さくなって行くので、圧電材料とシリコン基板で構成されるミラー部がより効率よく変形することができる。
【0011】
本発明の他の形態は、前記分割された2つの電極は前記第2の方向に伸びる辺を備えており、前記第2の方向に伸びる辺は中央部が内側に向かって窪んでいることを特徴とする。この収差補正ミラーによれば、分割された2つの電極のパターンはその中央部がくぼむようになっているので、圧電材料とシリコン基板で構成されるミラー部の変形が理想的な形となる。
【0012】
本発明の他の形態は、前記シリコン基板は、前記固定部材の両固定領域の厚さが、前記両固定領域の間にある中間領域の厚さよりも小さいことを特徴とする。この収差補正ミラーによれば、シリコン基板は固定する部分の厚さが厚く、可変するミラー部分の厚さが相対的に薄いので、ミラー部分をしっかり固定でき、組み付けによるバラツキを少なくすることができる。
【0013】
本発明の他の形態では、前記シリコン基板の中間領域がエッチングによって形成されていることを特徴とする。この収差補正ミラーによれば、シリコン基板の薄い中間領域はエッチングによって形成されるので、ミラー部分への加工による残留応力を極力低減することが可能となり、ミラー面の初期の平面度を維持しやすくなる。また、変形するミラー部の厚みをより薄く作ることが容易になる。
【0014】
本発明の他の形態では、前記シリコン基板は、前記両固定領域と前記中間領域の間に、前記第2の方向に伸びる溝が形成されていることを特徴とする。この収差補正ミラーによれば、シリコン基板の固定する部分と可変するミラー部分の間に、可変するミラー部分の厚さよりも薄い溝を設けたので、圧電材料とシリコン基板で構成されるミラー部がより効率よく変形することができる。
【0015】
本発明の他の形態では、前記溝は、前記第2の方向に関して、中央から前記第1の辺に向かうに従って幅が広くなっていることを特徴とする。この収差補正ミラーによれば、シリコン基板の固定する部分と可変するミラー部分の間の薄い溝の幅が、中央から辺に向かって行くほど広がっていくので、圧電材料とシリコン基板で構成されるミラー部がよりさらに効率よく変形することができる。
【0016】
本発明の他の形態では、前記分割された電極は、前記シリコン基板の固定領域に伸びており、前記固定領域に伸びた電極部分から制御信号が供給されるようにしてあることを特徴とする。この収差補正ミラーによれば、分割された電極のパターンがシリコン基板の固定領域までパターニングされており、その固定領域にパターニングされている部分の電極から外部制御信号を供給するので、ミラー面で電極を接合する必要が無くなるので、ミラー変形時における接合の影響はなくなる。
【0017】
本発明の他の形態では、前記固定部材は一対の電極を備えており、前記固定部材の一対の電極が前記固定領域で前記分割された電極の電極部分と電気的に接続されており、前記固定部材の一対の電極を介して前記分割された一対の電極に前記制御信号が供給されるようにしてあることを特徴とする。この収差補正ミラーによれば、シリコン基板を固定する固定部材側にも電極がパターニングされており、シリコン基板側のパターニングされた電極とシリコン基板を固定する固定部材側のパターニングされた電極が電気的に接触結合して、シリコン基板を固定する固定部材側のパターニングされた電極から外部制御信号を供給するので、ミラー面で電極を接合する必要が無くなり、ミラー変形時における接合の影響はなくなり、さらにより電極の接合がしやすくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の波面収差補正ミラー(ミラーアクチュエータ)を示す。この波面収差ミラーは、シリコン基板(6)を有する。シリコン基板(6)は、一方の面がミラー材(1)を支持し、反対側の面が絶縁層(7)を支持している。絶縁層(7)は電極(4)を支持している。また、電極(4)は、圧電極性が一方向の圧電材料(2)を支持し、さらに圧電材料(2)が2つの個別電極(5)を支持している。
【0019】
このように構成されたミラーは、電極(4)を接地し、個別電極(5)の一方にプラス極性、片方にマイナス極性の電圧を印加すると、図1に示すA−A’で切断した断面は、例えば図2(B)で示す断面形状になる。逆の極性の電圧をそれぞれの個別電極に印加した場合、逆の形状となる。つまり、シリコン基板(6)は電圧が印加されても伸び縮みしないが、圧電材料(2)は電圧が印加されると伸び縮みする。そのため、個別電極にプラス極性の電圧を印加した場合に該電圧印加部分の圧電材料(2)が縮むとした場合、マイナス極性の電圧を印加した場合には該電圧印加部分の圧電材料(2)は伸びる。その結果、個別電極にプラス極性の電圧を印加した場合、シリコン基板のミラー材(1)の面は凸面となる。逆に、個別電極にマイナス極性の電圧を印加した場合、シリコン基板のミラー材(1)の面は凹面となる。
【0020】
このミラーアクチュエータを光ピックアップの光軸上に設置した例が図3に示してある。図3において、(10)はミラーアクチュエータ、(11)は光ディスク、(12)は対物レンズ及び対物光学系、(13)立ち上げミラー、(14)は偏向ビームスプリッタ、(15)はレーザ素子及びレーザ光学系、(16)は光検出素子及び光検出光学系である。
【0021】
このような構成を備えた光ピックアップでは、レーザー素子から発せられたレーザー光は、レーザ光学系により平行光に変換される。この平行光は、偏向ビームスプリッタ(14)を通り、ミラーアクチュエータ(10)で反射され、立ち上げミラー(13)でさらに反射され、対物レンズ及び対物光学系(12)で集光され、光ディスク(11)に焦点を結ぶ。
【0022】
光ディスク(11)から反射したレーザ光は、対物レンズ及び対物光学系(12)を通り、立ち上げミラー(13)で反射され、ミラーアクチュエータ(10)で反射され、偏向ビームスプリッタ(14)を通り、光検出光学系で集光され、光検出素子で検出する。この検出素子にはチルト検出用の検出素子も含まれている。
【0023】
この光学系では、光ディスク(11)がレーザ光の光軸に垂直な位置から傾くと、光ディスクから反射して戻ってきたレーザ光の波面は乱れ、例えば図2(A)に示す波面収差(コマ収差)が発生する。この図において、横軸は図1で示したミラーアクチュエータのA−A’断面と同一断面であり、縦軸は波面収差である。つまり、図3の光学系で、ディスクがチルトしたときに発生する波面収差は、ミラーアクチュエータの反射光にそのまま含まれる。ただし、光ディスク(11)がレーザ光の光軸に対して垂直であれば、波面は図2(A)で示すような収差を含まず、横軸と同じでまっすぐになる。
【0024】
図2(B)は、図1で示したミラーアクチュエータを駆動して反射光に波面収差を発生させた例を示す。ここで、横軸は図1で示したミラーアクチュエータのミラー表面のA−A’断面と同一断面であり、縦軸は波面収差である。
【0025】
いま、光ディスクが傾き、ディスクからの反射光が図2(A)で表される波面収差を含むものとする。この場合、ミラーアクチュエータを制御を制御して図2(B)に示す波面収差を反射光に発生すると、各波面収差が他方の波面収差によって相殺され、結果的に図2(C)に示すように波面収差が減少する。
【0026】
図4(A),(B)及び図5は、図1で示した波面収差補正ミラーが固定された構造の断面図である。この図において、容器状のミラー固定用部材(8)は、2つの電極(5)の対向方向(図4(B)の左右方向)に関して端部に位置する一対の壁部(8a)が、平面図に示したミラー固定部(3)の対向する2辺を支持して波面収差補正ミラーを固定している。一方、波面収差補正ミラーの固定された2辺以外の対向する2辺は固定されておらず、4辺固定したときよりも全体的に変形しやすい状態になっている。
【0027】
図6は波面収差補正ミラーの他の固定方法を示す。この固定方法において、壁部(8a)に支持されて固定される固定領域(3a)は、その幅(図の左右方向の幅)が辺の中央部分から端に向かうしたがって小さくなっている。したがって、このミラーは、図5に示す方法で支持されたミラーよりも、全体的に容易に変形できる。
【0028】
図7はミラー面の変形形状をより理想的な形状にするための実施形態である。電極は図1のA−A' 断面方向に垂直な方向に伸びる辺が曲面凸状か凹上に変形している。つまり、図1を参照して説明したように、シリコン基板(6)に電圧が印加された場合、この基板はA−A' 断面方向に垂直な方向伸び縮みしない。しかし、圧電材料(2)はこれに電圧が印加されると同方向に伸び縮みする。そのため、個別電極にプラス極性の電圧を印加した場合にはその部分の圧電材料(2)が縮み、逆にマイナス極性の電圧を印加した場合にはその部分の圧電材料(2)は伸びる。そして、個別電極にプラス極性の電圧を印加した場合、シリコン基板のミラー材(1)の面は凸面になり、個別電極にマイナス極性の電圧を印加した場合、シリコン基板のミラー材(1)の面は凹面になる。これは波面を面として見た場合、図14に示すような等高線で表すようになり、このような波面を打ち消すような変形を得る場合、図7に示すようにシリコン基板(6)の固定辺と平行な電極(5)の辺のパターンが、辺の中央部がくぼむパターンになっていることがより望ましい。
【0029】
当然、図6を図7に示す形状を組み合わせた形のミラーを得ることで、より理想的な変形形状が得られる。
【0030】
図8は他の実施形態の波面収差補正ミラーを示す。このミラーにおいて、シリコン基板(6)は、A−A’断面上の外側端部に、その基板本体(6a)から上方に突出した壁部(6b)を有する。基板本体(6a)はその下面にミラー材(1)を支持している。基板本体(6b)の上面は、絶縁層(7)を支持している。絶縁層(7)は電極(4)を支持し、電極(4)は圧電極性が一方向の圧電材料(2)を支持している。さらに、圧電材料(2)は2つの個別電極(5)を支持している。シリコン基板(6)の壁部(6b)は、ミラー固定用部材(8)を支持して固定している。
【0031】
このミラーでは、電極(4)を接地し、個別電極(5)の一方にプラス極性の電圧を印加すると共に他方にマイナス極性の電圧を印加すると、基板本体のA−A' 断面は、例えば図2(B)で示す断面形状となる。個別電極に逆の電圧を印加した場合、逆の形状になる。
【0032】
この構成によれば、図1の実施形態よりもミラーをしっかりと固定でき、組付けのばらつきも押さえることができる。シリコン基板(6)をエッチングにより作製する場合、特に大きなメリットがある。つまり、ミラー部分への加工による残留応力を極力低減することができ、ミラー面の初期の平面度を維持しやすい。また、変形するミラー部の厚みをより薄く作ることが容易になる。
【0033】
図9は他の実施形態の波面収差補正ミラーを示す。この実施形態において、シリコン基板本体(6a)には、壁部(6b)の近傍に溝(9)が形成されており、その部分が特に変形し易くしてある。したがって、本実施形態によれば、基板をより効率的に変形させることができる。
【0034】
図10は他の実施形態の波面収差補正ミラーを示す。この実施形態では、溝(9a)の幅が、壁部(6b)の端部に向かって次第に広く形成されている。そして溝(9a)が形成されている基板本体部分の厚みは、可変するミラー部分の厚さよりもさらに薄いため特に変形し易く、更に効率よく変形させることが可能である。
【0035】
図11は他の実施形態の波面収差補正ミラーを示す。この実施形態では、電極(4a)がシリコン基板壁部(6b)の上端面まで伸びている。また、個別電極(5a)もシリコン基板の壁部(6b)の上面まで伸びている。そして、シリコン基板(6)の壁部(6b)は、ミラー固定用部材(8)に固定されている。したがって、本実施形態では、シリコン基板の壁部(6b)まで伸ばした電極部分を外部制御信号用電極として利用できる。この場合、ミラー面で直接電極の接合する必要がなくなり、接合部がミラーの変形によって脆弱化することもない。
【0036】
図12(A)〜(C)は図11の実施形態の変形例である。この実施形態では、シリコン基板側の電極は、図11の実施形態と同様に配置されている。また、壁部(6b)に固定される、ミラー固定用部材(8)の固定部分には、固定用部材側電極(20)が配置されている。本実施形態では、図9で示す個別電極(5a)は固定用部材側電極(20a)に接続され、電極(4a)は固定用部材側電極(20b)に接続される。この実施形態によれば、ミラー面で直接電極を接合する必要がなく、接合部はミラー固定用部材(8)側から接合できる。したがって、接合部がミラーの変形に悪影響を及ぼすことはないし、接合も容易に行える。
【0037】
以上、複数の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものでない。例えば、以上の説明では圧電素子の極性を一方向に限定して説明していたが、構造や必要に応じて、極性の違うものを2枚使用しても構わないし、圧電の極性自体を同一材料の中で変えても良いことはいうまでもない。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0038】
また、チルト動作用の波面収差補正ミラーを対象として本発明を説明したが、本発明のミラーは電極の配置や極性をうまく利用してミラー面の変形状態をコントロールし、球面収差や非点収差補正用の収差補正ミラーとして利用することもできる。
【0039】
さらに、チルト用補正ミラーは一方向の収差を解消するものとして説明したが、電極パターンの分割数を増やすことで、二方向の収差を解消するように動作させることも可能である。
【0040】
その他、ミラー材(1)は例えば、Auの蒸着膜や誘電体多層膜などであり、絶縁層(7)は熱酸化膜やCVDなどで堆積させた絶縁材料である。電極(4)は導電性の高い材料や金属膜であり、波面収差補正ミラーを作製するプロセスで高温処理をするプロセスを用いる場合には、Ptなど高温に強い膜が望ましい。圧電材(2)は例えばPZTであり、PZTの薄板を貼り付けるものでも良いし、PZT膜をシリコン基板側に成膜したものでもよい。また、シリコン基板(6)の抵抗率が高くして絶縁体に近ければ、絶縁層は省略できる。またさらに、電極(4)が実施形態のように1極だけで個別電極(5)や電極(4)を直接的に電気的接合をするのであれば、ミラー固定部(3)にのみ絶縁層(7)があるか、あるいは場合によっては絶縁層を省略しても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明を使用することにより、チルトの影響を押さえ、情報を読み書きするときに不具合を生じさせるチルトの影響を、効率良く解決できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る波面収差補正ミラーの斜視図及び側面図。
【図2】 ミラーの変形を拡大した図。
【図3】 光ピックアップの概略構成図。
【図4】 他の実施形態に係る波面収差ミラーの斜視図及び側面図。
【図5】 他の実施形態に係る波面収差ミラーの平面図。
【図6】 他の実施形態に係る波面収差ミラーの平面図。
【図7】 他の実施形態に係る波面収差ミラーの平面図。
【図8】 他の実施形態に係る波面収差ミラーの平面図及び側面図。
【図9】 他の実施形態に係る波面収差ミラーの平面図及び側面図。
【図10】 他の実施形態に係る波面収差ミラーの平面図。
【図11】 他の実施形態に係る波面収差ミラーの平面図及び側面図。
【図12】 他の実施形態に係る波面収差ミラーの平面図及び側面図。
【図13】 光ディスクに照射された光の経路を示す図。
【図14】 波面の等高線図。
【符号の説明】
1:ミラー材
2:圧電材料
3:ミラー固定部
4:電極
5:個別電極
6:シリコン基板
7:絶縁層
8:ミラー固定用部材
9:溝
10:波面収差補正ミラー
11:光ディスク
12:対物レンズ及び対物光学系
13:立ち上げミラー
14:偏向ビームスプリッタ
15:レーザ素子及びレーザ光学系
16:光検出素子及び光検出光学系
20:固定用部材側電極
101a, 101b:対物レンズ(101a:CD用、101b:DVD用)
102a,102b:ディスク(102a:CD用、102b:DVD用)
103a,103b:スポット(コマ収差)(103a:CD、103b:DVD)
108:記録層
Claims (13)
- シリコン基板と、
前記シリコン基板の一方の面に支持されたミラー材と、
前記シリコン基板の他方の面に順次支持された、絶縁層、第1の電極、圧電材料、および第2の電極とを備えており、
前記第1の電極と前記第2の電極の少なくともいずれか一方は複数に分割されていることを特徴とする収差補正ミラー。 - 前記第1の電極と前記第2の電極の少なくともいずれか一方は2つに分割されており、分割された2つの電極には異なる極性の電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の収差補正ミラー。
- 前記シリコン基板は、第1の方向に伸びる一対の第1の辺と第2の方向に伸びる一対の第2の辺を有する矩形であり、
前記2つの電極は前記第1の方向に対向して配置されており、
前記一対の第2の辺の近傍の固定領域が固定部材に固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の収差補正ミラー。 - 前記固定部材に固定される上記シリコン基板の固定領域は、前記固定領域の前記第1の方向に関する幅が前記第2の辺の中央部分から端に向かうにしたがって小さくなっていること特徴とする請求項3の収差補正ミラー。
- 前記分割された2つの電極は前記第2の方向に伸びる辺を備えており、前記第2の方向に伸びる辺は中央部が内側に向かって窪んでいることを特徴とする請求項3又は4の収差補正ミラー。
- 前記シリコン基板は、前記固定部材の両固定領域の厚さが、前記両固定領域の間にある中間領域の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項3〜5のいずれかの収差補正ミラー。
- 前記シリコン基板の中間領域はエッチングによって形成されていることを特徴とする請求項6の収差補正ミラー。
- 前記シリコン基板は、前記両固定領域と前記中間領域の間に、前記第2の方向に伸びる溝が形成されていることを特徴とする請求項6又は7の収差補正ミラー。
- 前記溝は、前記第2の方向に関して、中央から前記第1の辺に向かうに従って幅が広くなっていることを特徴とする請求項8の収差補正ミラー。
- 前記分割された電極は、前記シリコン基板の固定領域に伸びており、前記固定領域に伸びた電極部分から制御信号が供給されるようにしてあることを特徴とする請求項3〜9のいずれかの収差補正ミラー。
- 前記固定部材は一対の電極を備えており、前記固定部材の一対の電極が前記固定領域で前記分割された電極の電極部分と電気的に接続されており、前記固定部材の一対の電極を介して前記分割された一対の電極に前記制御信号が供給されるようにしてあることを特徴とする請求項4〜10のいずれかの収差補正ミラー。
- レーザー素子と、レンズと、ミラーと、チルト検出素子とを有し、前記レーザー素子から出射されたレーザー光を光ディスクに向けて集光し、前記光ディスクで反射したレーザー光をミラーで反射して前記チルト検出素子に入射して、前記光ディスクのチルトを検出する装置において、
前記ミラーが請求項1〜11のいずれかの収差補正ミラーであることを特徴とする装置。 - レーザー素子から出射されたレーザー光を光ディスクに向けて集光し、前記光ディスクで反射したレーザー光をミラーで反射してチルト検出素子に入射し、光ディスクのチルトを検出する方法において、
前記ミラーが請求項1〜11のいずれかの収差補正ミラーであることを特徴とする方法。
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