JP4266394B2 - 荷電粒子ビーム露光方法及び装置 - Google Patents

荷電粒子ビーム露光方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4266394B2
JP4266394B2 JP09336897A JP9336897A JP4266394B2 JP 4266394 B2 JP4266394 B2 JP 4266394B2 JP 09336897 A JP09336897 A JP 09336897A JP 9336897 A JP9336897 A JP 9336897A JP 4266394 B2 JP4266394 B2 JP 4266394B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
data file
pattern
exposure
data
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09336897A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10284362A (ja
Inventor
研一 川上
透 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Advantest Corp
Fujitsu Semiconductor Ltd
Original Assignee
Advantest Corp
Fujitsu Semiconductor Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Advantest Corp, Fujitsu Semiconductor Ltd filed Critical Advantest Corp
Priority to JP09336897A priority Critical patent/JP4266394B2/ja
Publication of JPH10284362A publication Critical patent/JPH10284362A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4266394B2 publication Critical patent/JP4266394B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electron Beam Exposure (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビームやイオンビーム等の荷電粒子ビームを利用した露光装置及びその露光方法に関する。より具体的には、試料を載せたステージを連続的に移動させながら露光する露光装置及びその露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ビーム等を利用した荷電粒子ビーム露光(以下単に電子ビーム露光と称する)は、LSIチップ等の微細なパターンを形成する時に利用される。電子ビーム露光法では、膨大な数の微細パターンをウェーハ等の試料上に照射しなければならず、そのスループットが従来のステッパに比較して劣る。特に、試料上の所望の位置に微細パターンを露光する場合、電子ビームを偏向して所望のパターンを生成し、さらにその電子ビームを所望の位置に偏向する。但し、電子ビームを偏向する範囲に限りがあるので、その範囲を越える試料上の位置に露光する時は試料を搭載したステージを移動させる必要がある。
【0003】
しかしながら、ステージを移動させて静止させ、その状態で偏向範囲の露光を行う方法では、ステージの移動後に静止までの整定時間を伴う。ステージの移動は機械的な移動を伴うのでその整定時間は長くなる。従って、例えば試料が半導体ウェーハの場合、偏向可能領域が1チップ内で例えば100個あるとすると、1チップの露光時間に上記のステージの整定時間の100倍の時間が必要になる。その結果、1ウェーハ分の露光時間は莫大となる。
【0004】
そこで、上記のステージの移動と静止を繰り返す方法ではなく、ステージを連続的に移動させながら、試料上に電子ビームを照射する方法が提案されている。この方法は、ステージスキャン方法と称される。このステージスキャン方法では、一定のスキャン速度でステージを移動させながら露光を行う。従って、ステージの移動速度を速く設定してしまうと、露光処理が終了しないうちに試料の露光位置が露光可能領域から外れてしまい、露光不良となる。逆に、ステージ移動速度を、露光パターン中のショット密度が高いなどの理由で露光時間が最も長く必要な部分でも上記の露光不良が生じない程度の低速度に設定すると、全体の露光処理時間が長くなる。
【0005】
この問題は、ステージの移動速度を変化させながら試料上をスキャンする可変速スキャンによる露光方法により解決できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この可変速スキャン露光方法は、解決すべき問題点が多く見受けられる。その理由は、ステージの移動速度を露光不良が生じない範囲でできるだけ高くして全体の露光時間を短くする場合、高速でステージを移動中に突然露光時間を長く要する領域を露光することになると、減速が間に合わずに露光可能範囲から外れてしまうことになるからである。このステージの移動速度の制御は必ずしも単純には解決できない。
【0007】
この問題の解決手段の一例として、本出願人は、例えば特開平7-272995号に示される通りのフィードバックによる速度制御を提案した。この方法は、スキャンの領域内での最適速度を初期値として与え、実際に露光しながら露光が進んでいるか遅れているかを常時監視し、フィードバックにより移動速度を変更する。しかし、この方法では、上記した通り急に減速することができず露光不良を起こすことが予想される。
【0008】
また、別の解決手段としては、露光のパターンデータから露光に必要な時間を計算してステージの速度分布を求めることが提案されている。しかし、パターンデータそのものは、LSIの高集積化と共に情報量が膨大になり、パターンデータから直接露光時間を計算すると逆にその計算時間のほうが露光時間よりも長くなる。また、露光装置毎にビーム電流値や偏向領域等の特性が異なり、或いは同じ露光装置でも経時変化によりその特性が変化し、一旦計算で求めた速度分布を再度利用することができない場合が多い。
【0009】
また、半導体装置の製造工程では、生産ラインにおける装置運用計画を立てるなどの目的から、装置の処理時間を見積もる手段が必要とされている。しかし、電子ビーム露光装置では、露光処理に必要とされる時間がパターン密度やビーム電流値などに大きく依存するため、処理時間を予測することは容易ではない。
本発明の目的は、可変速スキャン露光を用い、露光不良がなく最短の露光時間で試料を露光することが可能な荷電粒子ビーム露光装置及びその露光方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、上記の荷電粒子ビーム露光装置における処理時間を予測する処理時間予測方法及び装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、試料上における露光パターンの配列情報を含む配置データと、前記露光パターンを含むパターンデータと、前記パターンデータにおけるショット密度の分布情報を含む2次データとに基づいて描画するための前記試料のスキャン速度を決定し、前記露光パターンを前記試料に描画する荷電粒子ビーム露光方法において、前記試料をスキャンする方向に関する前記ショット密度の前記分布情報を含む前記2次データを、前記パターンデータから生成して予め記憶する工程と、前記試料をスキャンする方向に延在する各フレームについて、前記スキャン方向と直交する方向に最小描画単位が配列されてなるバンドの描画時間を、前記2次データ及び荷電粒子ビームの電流密度から計算する工程と、前記フレームを、前記スキャン方向に並び、複数の前記バンドを含む複数の小ブロック領域に分割する工程と、前記小ブロック領域に含まれる前記バンドの位置座標と描画処理時間とを考慮し、前記小ブロックのそれぞれについて描画可能なスキャン速度を計算する工程と、前記小ブロック領域毎に求めた前記スキャン速度に基づいて速度データを生成する工程と、生成された前記速度データに従って前記試料を可変速度で移動させながら、前記パターンデータに従って前記試料上に荷電粒子ビームを照射する工程とを有し、前記フレーム内に前記バンドが重なる領域を有するときは、前記バンドが重なる領域に前記小ブロック領域の境界が位置しないように前記フレームを分割することを特徴とする荷電粒子ビーム露光方法によって達成される。このようにしてスキャン速度を決定すれば、試料時に配置したチップ間にオーバーラップが生ずる場合であっても、小ブロック領域毎に正確にスキャン速度を決定することができる。また、このようにして小ブロック領域を分割すれば、スキャン速度の計算を容易にすることができる。
【0014】
また、上記の荷電粒子ビーム露光方法において、前記小ブロック領域の前記スキャン方向の長さは、前記荷電粒子ビームを偏向しうる可描画範囲の前記スキャン方向の長さよりも短いことが望ましい。このように小ブロック領域の長さを設定すれば、小ブロック領域中のパターン疎密差が大きい場合にも最適なスキャン速度を設定することができる。また、スループットの向上にも効果的である。
【0015】
また、上記目的は、試料上における露光パターンの配列情報を含む配置データファイルと、前記露光パターンの少なくとも照射パターンと照射位置を含むパターンデータを格納するパターンデータファイルと、前記パターンデータから生成され、前記試料をスキャンする方向に関するショット密度の分布情報を含む2次データを格納する2次データファイルと、荷電粒子ビームの電流密度情報を格納する装置データファイルと、前記パターンデータに従って、前記試料の所定位置に荷電粒子ビームを偏向し照射して前記試料を露光パターンに露光する露光手段と、前記2次データ及び前記電流密度情報に従って、前記試料を連続的に可変速で移動させる試料移動制御手段と、前記パターンデータを所定のメモリ領域に格納する操作と連動して、前記2次ファイルを生成して所定のメモリ領域に格納する2次データ発生手段とを有し、前記配置データファイルは、前記パターンデータファイルを参照するための情報を有し、前記パターンデータファイル及び前記2次データファイルは、前記パターンデータファイルを参照するための前記情報を用いて前記2次データファイルを参照できるように互いに関連づけられていることを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置によっても達成される。このようにして荷電粒子ビーム露光装置を構成すれば、配置データファイルのデータ形式を変更することなく、配置データファイルから直接2次データを参照することができる。これにより、オペレータが2次ファイルを直接扱うことがないので、露光装置の取り扱いを簡便にすることができる。また、このようにして荷電粒子ビーム露光装置を構成すれば、オペレータはパターンデータを取り込むだけで2次データを扱うことがないので、データの管理を簡便にすることができる。
【0017】
また、上記の荷電粒子ビーム露光装置において、メモリ領域から前記パターンデータファイルを削除する操作と連動して、前記パターンデータファイルに対応する前記2次データファイルを削除するデータファイル削除手段を更に有することが望ましい。このようにして荷電粒子ビーム露光装置を構成すれば、パターンデータファイルと2次データファイルの対応関係の崩壊を防止することができる。
【0018】
また、上記の荷電粒子ビーム露光装置において、前記パターンデータファイルを構成するパターンデータと、前記2次データファイルを構成する2次データは、一のファイルの異なるレコードに格納されていることが望ましい。このようにして荷電粒子ビーム露光装置を構成すれば、パターンデータファイルと2次データファイルの対応関係を更に強固にすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態による荷電粒子ビーム露光装置及びその露光方法、処理時間予測方法及び装置について図面に従って説明する。しかしながら、かかる実施形態が本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は荷電粒子ビームを利用した露光装置に適用できるが、ここではその一例として電子ビーム露光装置で説明する。
【0024】
[荷電粒子ビーム装置の全体構成]
図1は、電子ビーム露光装置の鏡筒部分の構成図である。電子ビーム発生源である電子銃14で発生された電子ビームは、図示しない軸合わせ用のアラインメントコイルとレンズL1aを介して、矩形アパーチャ15に照射される。その結果生成された矩形の電子ビームは、レンズL1bを介してスリット偏向器(デフレクタ)17に入射する。スリット偏向器17は、図示しない修正偏向信号によって制御され微小な位置の修正に利用される。
【0025】
電子ビームを所望のパターンに整形するために、矩形開口や所定のパターンのブロックマスク等の複数の透過孔を有する透過マスク20が用いられる。この透過マスク20は、水平方向に移動可能なマスクステージ19に搭載される。そして、電子ビームを所望のブロックマスク位置に偏向するために、電磁レンズL2a,L2bと各偏向器21〜24が透過マスク20の上下に設けられている。尚、非点収差補正器11、像面湾曲補正器12が透過マスク20の上側に設けられる。 上記の様に透過マスク20内の透過パターンで整形された電子ビームは、ブランキング電極25によってウェーハ36上への照射、非照射(オン、オフ)が制御される。ブランキング電極25でオンされた電子ビームは、更にレンズL3を通過して、ラウンドアパーチャ27を通過する。ラウンドアパーチャ27は一種の絞りであり、その開口の程度が制御できるようになっている。これにより電子ビームの収束半角が制限される。そして、リフォーカルコイル28、電磁レンズL4によってビーム形状が最終的に調節される。そして、レンズL4近傍に設けられた図示しないフォーカスコイルにより、電子ビームが露光対象面であるウェーハ36の表面にフォーカスされ、また図示しないスティングコイルにより、非点収差等の補正が行われる。
【0026】
そして最終段階で、電子ビームは、投影レンズL5により露光サイズに縮小され、図示しない露光位置決定信号により制御される主偏向器(メインデフレクタ)33と副偏向器(サブデフレクタ)34によって、ウェーハ36の表面の正しい位置に照射される。尚、メインデフレクタ33は電磁偏向器であり、サブデフレクタ34は静電偏向器である。そして、試料のウェーハ36は、連続的に移動可能なステージ35に搭載される。このステージの移動の制御については、後で詳述する。
【0027】
上記した電子ビーム露光装置の鏡筒内の偏向器、電磁レンズ、ステージ等のアクチュエータは、制御部からの制御信号により駆動される。図2は、その電子ビーム露光装置の制御部の概略的な構成図である。この図では、上記のアクチュエータの一部に対する制御手段が示されている。CPU51には、バスを介して配置データファイル52、パターンデータファイル53、2次データファイル54、装置データファイル55、速度データファイル56等が接続される。また、パターンデータメモリ57には、例えばパターンデータファイル53からCPU51により露光対象のパターンデータが読み出される。そして、パターン発生手段58により、例えば透過マスク20内のどのパターンを使用(照射)するのか、そしてウェーハ36上のどの位置に電子ビームを照射するのかについてのデータが生成される。それらのデータの内、例えば照射パターンデータがアクチュエータ制御部61内のマスク偏向制御部62に与えられる。そして、その制御部62で生成した偏向駆動デジタル信号が、対応するデジタル・アナログ変換手段および増幅器63にて駆動アナログ信号に変換され、マスク偏向器21〜24に供給される。
【0028】
シーケンス制御部59は、露光工程における電子ビームの描画処理シーケンスを制御する。従って、パターン発生手段により生成される照射パターンデータ、照射位置データ等を受け取り、全体の描画処理を制御する。具体的には、アクチュエータ制御部61とステージ制御部60との同期制御を行う。また、照射位置データに従ってそれぞれの偏向位置データを主偏向制御部64、副偏向制御部66等に与える。主偏向制御部64、副偏向制御部66では、その照射位置に対応する偏向デジタル信号が生成され、デジタル・アナログ変換器及び増幅器65,67により偏向アナログ信号に変換され、それぞれの偏向器33,34に与えられる。
【0029】
シーケンス制御部59は、ステージ制御部60に対してもステージ移動に必要なデータを与える。例えば、現在露光中のパターンの位置等のデータである。ステージ制御部60は、ステージ駆動手段68に駆動信号を与え、レーザ干渉測定器等で構成されるステージ位置検出手段69から現在のステージ位置のデータを受け取る。
【0030】
本実施形態では、ステージの移動速度を可変制御する。その移動速度は、例えば、2次データファイル内のデータを基にしてCPU51が形成した速度データに従って設定される。この例では、CPU51は2次データファイルに基づいて生成した速度データを一旦速度データファイル56に格納し、そのファイルから速度データがステージ制御部60に与えられる。ステージ制御部60では、その速度データにもとづくサーボ制御により実際のステージ移動速度を求めて、最適の移動制御信号を生成し、ステージ駆動手段68に与える。
【0031】
図2に示されていないが、アクチュエータ制御部61内には、上記以外に、マスクステージ移動制御部、ブランキング偏向器の制御部等が含まれる。また、図中のパターン発生手段58により生成される露光パターンデータに従って生成される各種の補正値が、非点収差補正器11や像面湾曲補正器12、リフォーカルレンズ等の図示しない駆動制御部に与えられる。
【0032】
図3は、パターンデータ、配置データ、および試料であるウェーハ36上のスキャン領域を示すフレームとの関係を示す図である。図2に示したパターンデータファイル53内には、例えば、図3(a)に示されるような例えばチップ37領域内の露光用のパターンデータが格納される。このパターンデータの構成は種々の方法があり、一般に当業者が採用しているデータ構成が適用可能である。
【0033】
図3(b)は、図2中の配置データファイル52内の配置データを説明する。即ち、図3(a)のチップ毎のパターンデータが、図3(b)の如くウェーハ36内に配置される位置38に露光される。その結果、図3(c)の通りウェーハ36上の複数のチップ領域に、それぞれのパターンデータに従う露光パターンの電子ビームが照射される。即ち、ウェーハ36表面に形成されたレジスト層の露光パターンに対応した領域が電子ビームにより露光される。
【0034】
図3(c)には、更にウェーハ36を連続的に移動させながら露光する時の、ウェーハ36とチップ領域37およびそのスキャン領域であるフレーム39との関係例が示される。即ち、フレーム領域39は、ウェーハ36の表面をストライプ状に区切った帯状の領域である。即ち、電子ビームの偏向可能範囲は、例えば数ミリメートルの範囲であるので、ウェーハ36を露光する時には幅が数ミリメートルで並列するフレーム領域39に分割される。そして、例えば複数のフレーム領域39により、1つのチップ領域37がカバーされる。図3(c)の例では、3本のフレーム領域39により、1つのチップ領域37がカバーされる。
【0035】
図4は、ウェーハを搭載したステージの移動により電子ビームの露光領域がスキャンされるのを示す図である。上記したフレーム領域39に沿って露光領域が移動する様にステージが移動制御される。そして、図4中の矢印で示した様に、1つのフレーム領域39の露光が終了すると、その隣のフレーム領域に沿って露光領域が逆方向に移動する。
【0036】
図5は、フレーム領域内における偏向領域の例について示す図である。図1に示した主偏向器は通常電磁偏向器で構成され、例えば数ミリメートルと比較的大きな範囲に偏向することができる。但し、電磁偏向器の場合はそのインダクタンスのために応答が遅い。また、副偏向器は通常静電偏向器で構成され、例えば数百ミクロンの範囲しか偏向することができない。但し、静電偏向器の場合は応答が高速である。通常、主偏向器33により偏向可能なメインフィールド内が、副偏向器34により偏向可能なサブフィールドで分割される。そして、ブロックマスクにより整形されたパターンの電子ビームが主偏向器33と副偏向器34の組み合わせにより所望の位置に偏向制御される。
【0037】
図4に示したフレーム39の一部分40が、主偏向器により偏向可能な領域(以下、偏向可能領域40と呼ぶ)を示す。図5に示される通り、偏向可能領域40内に副偏向器34により偏向可能なサブフィールドSFが複数含まれる。フレーム39に沿ったウェーハの移動方向と垂直な方向に、複数のサブフィールドSFが並んで配置される。そのサブフィールドSFが一列に配置された領域をバンドBと称する。図5中には、斜線で示したバンドBiが、例えば偏向可能領域40内に位置する間に、そのバンドBi内の露光処理が終了するようにステージの移動速度が制御される。図中、bp0〜bpnはバンドBの境界線を示す。
【0038】
図6は、更にチップ領域内のフレームと主偏向器の偏向可能範囲との関係例を示す図である。図3、4、5から明らかな通り、この例では、チップ領域37が3本のフレームによりカバーされて、それぞれのフレーム内が複数の小ブロック領域41に分割される。この小ブロック領域41は、複数のバンドBで構成され、一例としては主偏向器によるメインフィールドに該当する。
【0039】
[データファイルの構成]
図7は、パターンデータファイル53内のパターンデータのデータ構造の例を示す図である。パターンデータは、少なくとも照射するビームの形状であるパターンPとそれを照射する位置(x、y)のデータを有する。ビームの形状は、具体的には、ブロックマスク方式を利用するときは、透過マスク20内のどのアパーチャーを使用するかに関するデータである。また、ブランキングアパーチャ方式を利用するときは、別途準備されてファイルに記録されているパターンテーブル等のパターン番号のデータである。
【0040】
このパターンデータは、例えば1つのチップ領域内のデータを有する。従って、図6にて示した通り、1つのチップ領域は複数のメインフィールド領域を有し、また各メインフィールド領域は複数のサブフィールド領域を有する。それに伴い、パターンデータも図7に示される通り、複数のメインフィールドMF1〜MFnに分けられている。そして、それぞれのメインフィールドが複数のサブフィールドSF1〜SFmに分けられている。そして、それぞれのサブフィールドSFに対して、露光されるパターンデータ(P1,x1,y1)〜(Pk、xi、yj)〜が与えられる。
【0041】
この様に、パターンデータファイル内のパターンデータがメインフィールドとサブフィールドに区分されていることが、試料の可変速度制御において好ましい。即ち、サブフィールド内の露光パターンの密度等の露光に要する時間に関連する状況は、各サブフィールドで異なる。従って、当然に複数のサブフィールドで構成される1つのバンドを露光するのに要する時間も異なる。図5に示した通り、フレーム39に沿って連続移動させながら露光する場合には、各バンドを露光するのに要する時間に従って、そこの移動速度を制御する必要がある。或いは、複数のバンド単位で露光に要する時間に従って、その部分での移動速度を制御する必要がある。従って、バンドの構成要素であるサブフィールド毎にパターンデータが分けられていることが大切である。
【0042】
図8は、2次データファイル54内の2次データのデータ構成の例を示す図である。本実施形態では、2次データはステージの移動速度分布を算出するために必要な情報を含む。そして、かかる2次データは露光前に予め作成される。従って、その2次データと配置データから各フレームの速度分布を計算することができる。
【0043】
この2次データの第一の例は、パターンPからなる電子ビームの照射密度(ショット密度)のデータを有する。1つのパターンの電子ビームを照射して露光するためには、試料上のレジスト膜を化学的に変化させる必要がある。また、図1にて示した通り、透過マスク20内の所望の位置に電子ビームを偏向し、試料の所望の位置に主、副偏向器33,34により再度偏向する必要がある。それぞれの偏向位置の変化の程度により多少の違いはあるが、例えば1つのパターンの電子ビームを照射して露光するに要する時間が、主に露光時間等から平均的に把握可能である。従って、チップ内のフレームのスキャン方向のショット密度の分布を2次データとして予めファイルとして記憶することで、ウェーハ36内のチップの配置データが決定した時に、ウェーハ全体のフレーム内のスキャン方向の速度分布を容易に求めることができる。
【0044】
図8に示した2次データの例では、かかるショット密度のデータDEが、各サブフィールドSF毎に分けられている。即ち、メインフィールドMF1内のサブフィールドSF1には、そのサブフィールド内のショット回数のデータがDE11として格納される。この例では、既にサブフィールドに区分されているので、その領域内のショット回数であれば、実質的にショット密度と等価である。したがって、この2次データを利用することで、バンド毎のショット密度を簡単に求めることができる。更に、複数のバンドから構成される小ブロック領域41内のそれぞれのショット密度も簡単に求めることができる。
【0045】
図9は、ショット密度のデータを有する2次データの他のデータ構成例を示す図である。この例では、複数のサブフィールドSFから構成されるバンドB毎にショット密度データDEが求められて格納される。この構成にすることで、バンド毎の露光に要する時間が、概略的にショット密度と1ショットの平均露光時間の積から求められる。1ショットに要する露光時間は、装置やレジスト等の装置依存性、プロセス依存性を有するので、かかるデータは例えば装置データファイル55内に格納されている。これらのデータを読み出すことで取得することができる。
【0046】
2次データの第二の例は、上記の所定領域当たりのショット回数に加えて、偏向位置を変化させた回数(ジャンプ回数)、更にその偏向位置変化の量の速度分布を含む。この偏向器は、主に透過マスク20内の偏向位置を変化させる静電偏向器21〜24、主偏向器である電磁偏向器33、及び副偏向器である静電偏向器34である。偏向器により電子ビームの偏向位置を変化させる場合、それぞれの偏向器に異なる偏向信号を与える。従って、偏向位置を変化させるとその偏向位置で整定のための待ち時間が必要になる。特に、電磁偏向器による整定時間は静電偏向器よりもかなり長い。また、静電偏向器は比較的短いがその回数は大であり、同様に整定時間が必要になる。
【0047】
そこで、これらの偏向位置を変化させる回数を上記のショット密度に加えることで、より実際の露光時間の分布を求めることができる。
更に、偏向位置を変化させる場合に、その変化量が大きい程整定時間が長くなる傾向がある。従って、変化量(ジャンプ距離)毎の変化回数(ジャンプ回数)からなる偏向位置変化の量の度数分布を2次データに含ませることで、より正確な整定時間を算出することができる。
【0048】
図10は、上記の偏向位置変化の量の度数分布の例を示す図である。この例では、偏向位置の変化量が、0〜DL1、DL1〜DL2…DL4〜DL5の範囲にある偏向位置変化(ジャンプ)回数が、それぞれN1、N2…N5である。これが度数分布である。従って、その上に示したそれぞれの整定時間t1,t2…t5を装置ファイルデータより取得することで、トータルの整定時間Tsを
Ts=N1×t1+…+N5×t5
として求めることができる。
【0049】
従って、かかる度数分布を、各サブフィールド毎に、或いはバンド毎に、或いは速度分布を設定するフレームの単位長さ、例えば小ブロック領域41やメインフィールド毎に2次データの一部として有することにより、より正確な露光に要する時間を求めることができる。そして、この度数分布は、例えば電子偏向器33、静電偏向器21〜24と34に対してそれぞれ与えられる。
【0050】
図11は、偏向位置の変化の量の度数分布の他の例を示す図である。図10の例が1次元の度数分布であったのに対して、図11の例では2次元の度数分布である。図1にて説明した通り、主な静電偏向器は、透過マスク20内で電子ビームを偏向する偏向器21〜24と、ウェーハ36内で偏向させる副偏向器34である。電磁偏向器33の整定時間は非常に長いので、静電偏向器による偏向位置の変化が電磁偏向器の偏向位置の変化と同時に生じたとしても、その時の整定時間は電磁偏向器の整定時間で拘束される。ところが、メインフィールド内でマスク偏向器21〜24による偏向位置の変化と副偏向器34による偏向位置の変化とが同時に発生した場合は、両者の整定時間が同等であるので、両者の整定時間を重複してカウントすることは、現実の整定時間より長い整定時間を求めることになる。その場合は、いずれか長い方の整定時間のみをカウントすることが望ましい。
【0051】
そこで、図11の例では、副偏向器であるサブデフレクタ34による偏向位置の変化量である水平軸と、マスク偏向器による偏向位置変化量の垂直軸とを有する2次元の度数分布を採用する。従って、度数分布は2次元のマトリクス内にそれぞれの回数N11〜N55を有するものとなる。この例では、例えば、回数N15は、主にサブデフレクタ34による整定時間に従って全整定時間の計算が行われる。また、回数N51では、主にマスク偏向器21〜24の整定時間に従ってトータルの整定時間の計算が行われる。それらの整定時間は、上記した通り、装置データファイル55内に格納される。
【0052】
更に、この考え方を拡張すると、図1に示した非点収差補正器11や像面湾曲補正器などの電磁コイルにおいて発生する整定時間も考慮して、それらの電磁コイルの駆動電流の変化量の分布を追加して、N次元の度数分布を予め求めておくことで、より正確なトータルの整定時間を求めることができる。
従って、最も詳細な2次データの例は、ショット回数と、電磁偏向器の図10に示した如き度数分布と、2つの静電偏向器に対する図11に示した如き2次元の度数分布とを有する。更に、コンピュータの演算処理能力が高い場合は、N次元の度数分布を利用することもできる。
図12は、2次データと配置データから求められた各小ブロック領域41毎の速度分布の例を示す図である。横軸が、フレーム39のスキャン方向に配置される小ブロック領域41を、縦軸がそれぞれの速度を示す。この例では、小ブロック領域41がメインフィールドと同じ場合の例である。この様に、複数のバンドからなる小ブロック領域(MF1…MFn+4…)における速度(V1…Vn+4…)が求められると、その速度データは、図2に示した速度データファイル56に格納される。この速度データの計算は、配置データファイル52と2次データファイル54内のデータに基づいてCPU51により行われる。即ち、両データから小ブロック領域毎の露光に要する時間が求められ、偏向可能領域40との関係から、そこの小ブロック領域でのステージ速度が求められる。
【0053】
ここで示された小ブロック領域毎の速度データは、そこでの最大速度を意味する。従って、この最大速度を上回る速度でステージを移動させることは、露光不良を招くおそれがある。従って、ステージ制御部60では、この速度データの範囲内の速度になる様にステージの移動制御を行う。
かかるステージに移動制御は、ある種のサーボ制御により実現できる。図2に示した通りステージ制御部60は、ステージ駆動手段68に駆動信号を与えると同時にステージ位置検出手段69によりそのステージの速度を監視する。従って、ステージ制御部60によりステージ速度を監視しながら、ステージ速度ができるだけ図12の速度分布に一致する様に制御することができる。かかるフィードバック制御を伴うサーボ制御が、サーボ制御の当業者に自明のサーボ制御手段により行われる。
【0054】
上記した2次データは、例えばサブフィールド毎のショット密度であるので、パターンデータに比較して極めて少ないデータ量である。また、2次データをバンド毎或いは小ブロック領域毎に設けることにより更にそのデータ量を減らすことができる。
更に、2次データと配置データから速度データを演算により求める工程は、露光工程に入る前に行って速度データをファイル56に格納しておくことが好ましい。しかし、演算自体はそれほど複雑でないので、パターン発生手段によりパターンデータから駆動データが生成されるのと同時に速度データを生成することでも良い。
【0055】
そして、2次データは、パターンデータにのみ依存するデータであるので、異なる露光装置、露光条件に対しても使用することができる。
なお、このように発生した速度データファイル56を用いてステージを移動する具体的な制御には、例えば同一出願人による特願平9−92248号明細書に記載の速度制御方法を適用することができる。
【0056】
[データファイルの格納形態]
通常、配置データファイル52には露光すべきパターンデータファイル名は記されているが2次データファイル名は記されていないため、露光時にオペレータが2次データファイル54を指定するか、又は配置データファイル52内に2次データファイル54を指定するレコードを別途設ける必要がある。
【0057】
また、2次データ作成プログラムや速度データ作成プログラムは、オペレータが直接実行しなければないが、パターンデータや配置データの他にこれらのデータを管理しなくてはならないことは、ステップアンドリピート露光法に比してオペレータにとっての負担を著しく大きくする。
このような課題を解決するためには、パターンデータファイル53と2次データファイル54とを互いに関連づけて格納し、配置データファイル52に含まれるパターンデータを参照するための情報によって2次データファイル54を参照できるようにすることが望ましい。このように2次データファイル54を関連づけることにより、配置データファイル52のデータ形式を一切変更することなく、自動的に2次データファイル54を指定することができる。これにより、オペレータは2次データファイル54を直接扱うことなく配置データファイル52のみを指定することによって露光処理を行うことができるようになる。
【0058】
2次データファイル54を関連づける第1の方法としては、パターンデータファイル53のファイル名と2次データファイル54のファイル名とを同じものとし、2次データファイルにのみ所定の拡張子(例えば、”.dns”)を付することが有効である。例えば、パターンデータファイル53のファイル名が”aaa”であれば、2次データファイルのファイル名を例えば”aaa.dns”とする。そして、配置データファイル52内に、パターンデータファイル53及び2次データファイル54を参照する情報として”aaa”なる情報を格納しておけばよい。また、ファイル管理などを考慮すると、配置データファイル52、パターンデータファイル53、2次データファイル54は、それぞれ別個のディレクトリに保存することが望ましい。
【0059】
このようにパターンデータファイル53と2次データファイル54のファイル名を設定しておけば、オペレータが露光しようとする配置データファイル52を指定して露光コマンドを実行すると、配置データファイル52内の所定のレコードに格納されたパターンデータファイル名が指定され、対応するパターンデータファイル(例えばパターンデータファイル”aaa”)を参照することができる。
【0060】
同時に、配置データファイル52内の所定のレコードに格納されたパターンデータファイル53の情報から対応する2次データファイル54が指定され、対応する2次データファイル(例えば2次データファイル”aaa.dns”)を参照することができる。パターンデータファイル53とファイル名が同じで拡張子のみを付加した2次データファイル54は、配置データファイルのレコードを操作することなくソフトウェア上で容易に指定することが可能である。
【0061】
したがって、オペレータが配置データファイル52を指定すれば、自動的に2次データファイルが指定されるので、オペレータが直接2次データファイル54を扱うことなく露光処理を行うことができる。
なお、上記の方法では、データファイルを関連づける最も容易な方法として拡張子を付加しているが、配置データファイル52の所定のレコードからパターンデータファイル53と2次データファイル54とを関連づけて参照できれば如何なる方法であってもよい。
【0062】
また、パターンデータ情報を露光装置制御用計算機に格納する操作と連動してこのパターンデータ情報を解析して2次データファイル54を作成し、所定のメモリ領域に所定のファイル名で格納するようにしておけば、オペレータがパターンデータ情報を取り込んでパターンデータファイル53を作成する際に2次データファイル54をも同時に作成することができる。こうすれば、2次データファイル54の発生過程においてもオペレータが直接に2次データファイル54を扱うことをなくすことができる。
【0063】
露光装置制御用計算機のメモリには、パターンデータファイル53及び2次データファイル54が格納されるが、これらファイルの作成と削除が連動するようにプログラムすることが望ましい。一方のファイルのみがメモり内に格納された状態が存在するとパターンデータファイル53と2次データファイル54との対応関係が崩壊する虞があるからである。
【0064】
図13は、2次データファイル54を関連づける第1の方法におけるデータファイルの一格納形態を図示したものである。
配置データには、例えば、露光せんとするパターンデータ名と、これをウェーハ上に配列するための配列情報と、露光量とを記し、露光装置制御用計算機のディレクトリ、例えば”/LYO/”に格納する。
【0065】
パターンデータには、例えば、露光せんとするパターンのデータを記し、露光装置制御用計算機のディレクトリ、例えば”/PTN/”に格納する。
2次データには、例えば、小ブロック領域41のチップ内位置座標と、小ブロック領域41内のショット数と、偏向器ジャンプ回数とを記す。2次データは、装置が使用可能にするコマンドと連動して動作するプログラムによって、ディレクトリ”/PTN/”に格納されたパターンデータを解析することにより作成され、露光装置制御用計算機のディレクトリ、例えば”/DNS/”に格納する。
【0066】
オペレータが、ディレクトリ”/LYO/”から例えば配置データAを指定して露光コマンドを実行すると、ディレクトリ”/PTN/”からパターンデータファイル”aaa”が参照される。同時に、ディレクトリ”/DNS/”から2次データファイル”aaa.dns”が参照される。この後、これらデータファイルを用いて上述の方法により速度データファイル56を作成し、露光処理を行うことができる。
【0067】
パターンデータファイルをシステムから削除する際には、パターンデータファイル53をシステムから削除するコマンドと連動して動作するプログラムによって対応する2次データファイル54を削除する。これらの手段の他には、オペレータがパターンデータをシステムに導入し又はシステムから削除する手段は特に設ける必要はない。
【0068】
2次データファイル54を関連づける第2の方法としては、パターンデータファイル53と2次データファイル54とを分けず、パターンデータと2次データとを含むパターンファイルを形成することも有効である。例えば、パターンデータファイル53の内容に相当するレコードと、2次データファイルの内容に相当するレコードとを有するパターンファイルを作成し、配置データファイル52内に、パターンファイル名を参照する所定の情報を格納する。例えば、パターンファイル名を”aaa”とすれば、配置データファイル52内に、パターンファイルを参照する情報として”aaa”なる情報を格納しておけばよい。また、ファイル管理などを考慮すると、配置データファイル52、パターンファイルは、別個のディレクトリに保存することが望ましい。
【0069】
このようにパターンデータファイル53の内容と2次データファイル54の内容とを含むパターンファイルを用意しておけば、オペレータが露光しようとする配置データファイル52を指定して露光コマンドを実行すると、配置データファイル52内の所定のレコードに格納されたパターンファイル名が指定され、対応するパターンファイル(例えばパターンファイル”aaa”)を参照することができる。
【0070】
したがって、オペレータが配置データファイル52を指定すれば、パターンデータファイル53及び2次データファイル54に相当する内容を自動的に参照できるので、オペレータが直接2次データファイル54を扱うことなく露光処理を行うことができる。
また、パターンデータ情報をCADデータから変換する操作と連動してこのパターンデータ情報を解析し、パターンデータと2次データとを有するパターンファイルを作成し、所定のメモリ領域に所定のファイル名で格納するようにしておけば、オペレータが2次データを扱うことをなくすことができる。パターンファイルの作成は、露光装置制御用計算機により行ってもよいし、露光装置以外の計算機によって行ってもよい。
【0071】
パターンファイルには、パターンデータファイル53及び2次データファイル54の内容が含まれるので、データファイルの作成/削除はこのファイルについてのみ行えばよい。したがって、パターンデータと2次データとの対応関係が崩壊することなくデータファイルを扱うことができる。2次データファイル54を関連づける上記第2の方法は、ファイルの対応関係を維持するうえでも極めて有効な方法である。
【0072】
図14は、2次データファイル54を関連づける第2の方法におけるデータファイルの一格納形態を図示したものである。
配置データには、例えば、露光せんとするパターンデータ名と、これをウェーハ上に配列するための配列情報と、露光量とを記し、露光装置制御用計算機のディレクトリ、例えば”/LYO/”に格納する。
【0073】
パターンファイルには、例えば、露光せんとするパターンのデータと(パターンデータファイル53に相当)、小ブロック領域41のチップ内位置座標と、小ブロック領域41内のショット数と、偏向器ジャンプ回数と(2次データファイルに相当)、を記し、露光装置制御用計算機のディレクトリ、例えば”/PTN/”に格納する。
【0074】
オペレータが、ディレクトリ”/LYO/”から例えば配置データAを指定して露光コマンドを実行すると、ディレクトリ”/PTN/”からパターンファイル”aaa”が参照される。パターンファイル”aaa”には、パターンデータファイル53に相当する情報と2次データファイル54に相当する情報とが格納されているので、パターンファイル”aaa”を用いて上述の方法により速度データファイル56を作成し、露光処理を行うことができる。
【0075】
[データファイルの発生形態]
本実施形態による荷電粒子ビーム露光方法では、パターンデータを解析してチップ内のパターン密度データである2次データを作成し、この2次データ及び装置データを基にしてウェーハ内のスキャン速度分布を配列して速度データを作成し、密度の低いところでは高速でスキャンし、密度の高いところでは低速でスキャンしながら露光する。この方法によれば、一度作成した速度データは、基本的には同一パターンを再び露光する際に再度利用することが可能である。
【0076】
しかし、速度データ作成時と露光処理時でビーム電流密度などの装置状態に変化があった場合には、スキャン速度が速すぎて露光不良を生じたり、無意味に遅い速度でスキャンしてスループットを下げたりすることが懸念される。
このような課題を解決するためには、露光直前の装置状況を装置データファイル55に取り込み、配置データファイル52と、2次データファイル54と、装置データファイル55とを参照し、露光直前の装置状況に応じた速度データファイル56を作成することが望ましい。このように装置の露光直前の状態を用いて発生した速度データファイルを用いてスキャン速度を決定することにより、最適なスキャン速度で露光することができる。また、露光不良を起こす可能性をも低減することができる。
【0077】
[チップ領域のオーバーラップ補正]
本実施形態によるスキャン速度計算法では、図15に示すように、まずチップ37内の領域をフレーム39幅の小ブロック領域41に分割し、小ブロック領域41毎に最大スキャン速度V00…VNxNyを求め(図15(a))、配置データファイル52の情報に基づいてウェーハ36上のスキャン速度分布を求めている。そして、小ブロック領域41の最大スキャン速度は、小ブロック領域41を更にバンドBに分割し、各バンドB毎に露光処理に必要な時間t0…tNbを計算し(図15(b))、これらの値からスキャン速度Vを計算することにより求める。
【0078】
しかしながら、露光時における必要性やレイアウト上の都合等により、ウェーハ36上に露光するチップ37領域が互いにオーバーラップすることがある(図15(c))。このような場合、上記の手法により求めた速度Vからはオーバーラップ領域における適切なスキャン速度を求めることができない。
図16を用い、最適スキャン速度を求めることができない理由を説明する。図16はチップ間オーバーラップの影響を説明する部分断面図である。
【0079】
図16(a)に示すようにチップ37間にオーバーラップが存在しない場合には、第1のチップに含まれる小ブロック領域41aを露光した後に第2のチップに含まれる小ブロック領域41bを露光する。図16(b)に示すようにオーバーラップ領域70が存在する場合にも、制御が効率的なため、原則的にこのシーケンスで露光を行う。しかし、小ブロック領域41aの上端まで露光した後に小ブロック領域41bの下端までビーム偏向位置を戻す必要があるため、小ブロック領域41aについて設定したスキャン速度でスキャンを行ったのでは、小ブロック領域41bの露光中にオーバーラップ領域が可描画範囲から外れて露光不良が発生する虞がある。オーバーラップ部において非常に遅いスキャン速度を強制的に指定することも可能であるが、これは最適速度でない場合が多く、しかもパターンによっては露光不良を起こす可能性もある。
【0080】
このように露光するチップ37領域がオーバーラップする場合には、以下に示すスキャン速度決定方法が有効である。
図17はチップ37領域がオーバーラップする場合のスキャン速度決定方法を説明する図である。
まず、チップ37内を所定のバンドBに分割する。
【0081】
次いで、バンドBに分割したチップ37をウェーハ36上に配置し、各バンドBの位置を考慮しつつフレーム39上に展開する(図17(a))。
続いて、チップ37をウェーハ36上に配置した際にワンスキャンで露光されるフレーム39内に含まれる全てのバンドBについて、必要な露光時間をそれぞれ計算する。チップ37のオーバーラップ領域70では、互いに重なりあうバンドBについてそれぞれ必要な露光時間を計算する。
【0082】
続いて、フレーム39を、スキャン方向に並んだ複数の小ブロック領域41に分割する(図17(b))。後工程のスキャン速度決定領域における計算を容易にするため、チップ37のオーバーラップ領域には小ブロック領域41の境界が位置しないようにフレーム39を分割することが望ましい。
この後、それぞれの小ブロック領域41についてスキャン速度を決定する。スキャン速度は、小ブロック領域41に含まれるバンドBの必要露光時間から求めることができる。ここで、オーバーラップ領域を含む小ブロック領域41は、以下のようにしてスキャン速度を決定する。
【0083】
すなわち、オーバーラップ領域70を含む小ブロック領域41cでは、小ブロック領域41cに含まれるバンドB0〜BNの必要露光時間の他に、バンドB0〜BNのフレーム内位置座標を考慮してスキャン速度を決定する。例えば、図17(c)に示すようにバンドBiとバンドBi+1とがオーバーラップする場合には、小ブロック領域41cに含まれるバンドB0〜BNの必要露光時間から最速スキャン速度を求めたうえで、バンドBiの露光後にバンドBi+1を露光してもバンドBi+1が可描画範囲から外れないように、必要に応じて最速スキャン速度を下げればよい。スキャン速度を下げる割合は、バンドBi及びバンドBi+1の必要露光時間、バンドの位置座標から求めたオーバーラップ長L、偏向器の整定時間等を考慮することにより、数値計算によって容易に算出することができる。
【0084】
複数のバンドBが互いにオーバーラップする場合にも、上記と同様の手法により最速スキャン速度を決定することができる。
このようにしてフレーム39全体にわたる全ての小ブロック領域41のスキャン速度を決定すれば、チップとチップとがオーバーラップする領域を含む場合においても、露光するパターンに応じた最適な速度を決定することができる。
【0085】
[小ブロック領域の分割形態]
図18は小ブロック領域41のスキャン方向の長さに関する問題を説明する図である。
図18(a)に示すような小ブロック領域41中の非常に狭い範囲Aに微細パターンが集中しており、その他にはほとんどパターンがないとき、上記のスキャン速度分布データ計算法では、領域Aが可描画範囲にとどまる時間内で領域Aに含まれるパターンを描画できるように速度が決定される。このため、領域Aの描画を終えた時点から小ブロック領域41のスキャンを終了するまでの間も、ほとんど露光するパターンがないにも関わらず同じ速度でスキャンしなければならない(図18(b)〜(c))。したがって、小ブロック領域41の全体でみると、必要以上に露光時間を費やすこととなり、設定されたスキャン速度は必ずしも最適なものではないことになる。
【0086】
このような場合、小ブロック領域41のスキャン方向の長さは、描画すべき試料上の位置がステージスキャンによって移動したときに電子ビームを追従しうる範囲(可描画範囲)よりも小さいことが望ましい。
小ブロック領域41におけるスキャン速度は、小ブロック領域41内の細密領域の描画が常にコラム中心位置の近傍で行える程度に設定される。したがって、細密領域の露光が終了した直後には、コラム中心位置より手前の可描画範囲に未露光の領域が存在しており、ステージスキャン速度が遅い場合であっても、未露光領域がコラム中心位置に達するのを待たずに露光することができる。
【0087】
したがって、小ブロック領域41の長さが可描画範囲のほぼ半分程度の長さであれば、小ブロック領域41中に露光密度が小さい領域が存在してもステージスキャン速度の影響を受けずに小ブロック領域41中の露光を短時間で終えることができる。
一方、細密領域の描画を終えた段階で電子ビームの偏向位置が可描画範囲の上端近傍にある場合を考えると、未露光領域は可描画範囲のほぼ全域に露出しているので、ステージスキャン速度が遅い場合であってもこの範囲の未露光領域を露光することができる。したがって、小ブロック領域41を可描画範囲の長さ程度にすれば、ステージスキャン速度の影響をほとんど受けずに露光時間を短縮することができる。
【0088】
したがって、小ブロック領域41の全体でみると、小ブロック領域41の長さを可描画範囲の長さよりも小さく、望ましくは可描画範囲の約半分程度の長さに設定することにより、最適なスキャン速度で露光をすることが可能となる。
このようにして小ブロック領域41の長さを設定することにより、狭い領域にパターンが密集していた場合であっても、この密集領域の描画が完了する頃には次の小ブロック領域が可描画範囲に突入するため、無駄に低速度でステージスキャンをすることがなく、スループットを改善することができる。
【0089】
現在の代表的な電子ビーム露光装置では、可描画範囲が約1.6mm□程度であるので、小ブロック領域41の長さは、例えば0.8mm程度に設定することができる。
なお、小ブロック領域41を小さくするほどにデータ処理に費やされる時間が増加するので、パターンデータに応じて適宜調整することが望ましい。
【0090】
[露光処理時間の予測方法]
半導体装置の製造工程では、生産ラインにおける装置運用計画を立てるなどの目的から、装置の処理時間を見積もる手段が必要とされている。ステップアンドリピート方を用いた通常の露光装置では、1チップあたりの露光時間、チップ数、ウェーハ枚数などから比較的容易に処理時間を見積もることができるが、電子ビーム露光装置では、処理時間がパターン密度やビーム電流値などに大きく依存するため、処理時間を予測することは容易ではない。
【0091】
特に、電子ビーム露光装置ではビーム電流密度などの装置状態が変動することがあるため、ある製品について処理時間を計算・測定したとしても、装置状態の変化によって処理速度までもが変化してしまい、その時々に応じた適切な処理時間を求めることは困難である。
また、露光装置や製造プロセスの開発段階において、処理時間に影響を与えるあるユニットの性能改善がどの程度処理時間の短縮に効果的であるかを正確に知るためには、煩雑な計算を行うか、実際に露光処理を行ってみる必要があった。前者は膨大な工数と時間を必要とし、後者は装置の占有時間を必要とすることとなり好ましくない。
【0092】
このため、電子ビーム露光装置においても、短時間で装置状態に応じた処理時間を算出する方法が望まれている。
ところで、上述の電子ビーム露光装置では、ウェーハ面内におけるスキャン速度分布を求めるために、小ブロック領域41のチップ内位置座標と、小ブロック領域41内のショット数と、偏向器ジャンプ回数とを少なくとも有する2次データファイル54を発生している。
【0093】
この2次データファイル54は、一般にパターンデータよりも情報量が著しく少ないが、処理時間を計算するに十分な情報は記されている。したがって、2次データファイル54を解析することにより、任意の製品における電子ビーム露光装置の処理時間を短時間で算出することが可能となる。また、露光装置制御用計算機にアクセスして露光装置の装置情報を得る手段を備えることにより、装置状態に応じた処理時間を算出することが可能となる。
【0094】
以下、上記の電子ビーム露光装置における処理時間予測方法及び装置を具体的に説明する。図19は処理時間予測装置の概略を説明する図、図20は処理時間予測方法を説明するフローチャートである。図21は処理時間予測方法における処理時間の表示例を示すグラフである。
まず、処理時間予測装置について説明する。
【0095】
露光装置制御用計算機のCPU51には、バスを介して配置データファイル52、パターンデータファイル53、2次データファイル54、装置データファイル55、速度データファイル56等が接続される。CPU51は、電子ビーム露光装置の一連の処理を担うものである(図2参照)。
露光装置制御用計算機とは別に処理時間計算用計算機が設けられており、処理時間計算用計算機機のCPU71には、バスを介して配置データファイル52、2次データファイル54、装置データファイル55等が接続される。これらデータファイルは、露光装置制御用計算機と共有できるように構成することが望ましい。CPU71には更に、処理時間の計算結果を表示するための表示手段72が接続される。
【0096】
CPU71は、配置データファイル52、2次データファイル54、装置データファイル55から読み出された各データに基づいて計算した処理時間を表示手段72によって表示する働きをする。
配置データファイル52には、パターンデータをウェーハ上に配列するための配列情報、露光量、アライメント点数等の情報が格納されている。
【0097】
2次データファイル54には、小ブロック領域41のチップ内位置座標、小ブロック領域41内のショット数、偏向器ジャンプ回数等の情報が格納されている。
装置データファイル55には、電子ビームの電流密度、電子ビーム調整頻度等の情報が格納されている。装置データファイル55に格納された情報は、電子ビーム露光装置の特性変動によって大きく影響を受けるので、新しい情報を頻繁に格納するようにすることが望ましい。最も最近格納されたデータを用いて処理時間を計算することにより、現状の処理時間に極めて近い予測値を発生することが可能となる。
【0098】
表示手段としては、例えばCRTディスプレイが該当する。
図19では電子ビーム露光装置を制御するための計算機と処理時間を計算するための計算機とを分けているが、これは電子ビーム露光装置が露光処理中であっても処理時間の計算を可能にするためである。したがって、必ずしも別個の計算機を用いる必要はなく、一台の計算機に双方の機能を持たせてもよい。または、露光装置制御用計算機に複数のプロセッサを設けてもよい。
【0099】
次に、処理時間予測方法について図20を用いて説明する。
ウェーハ1枚あたりの処理時間は、以下の各項目についてそれぞれの処理時間を求め、これらの総和を計算することによって得ることができる。
(i) スキャン時間
スキャン時間とは、ウェーハ1枚の露光に必要とされる処理時間のうち、実際に試料をショットする時間、主偏向器33の整定時間などが含まれる。
【0100】
スキャン時間は、配置データファイル52中の配列情報及び露光量、2次データファイル54中の小ブロック領域41のチップ内位置座標、ショット数、偏向器ジャンプ回数、装置データファイル55中の電流密度、偏光器の整定時間等の情報を基にして算出する。
スキャン時間の算出にあたっては、上述した速度分布計算アルゴリズムと同様にしてスキャン速度分布を計算し、この分布からスキャン時間を計算する。
【0101】
なお、ステージ移動の際の速度制御は、例えば特願平9−92248号明細書に種々の方法が開示されている。この制御方法を適用する場合には、それぞれの制御方法に応じて適宜スキャン時間の計算方法を変えることが望ましい。
(ii) アライメント時間
アライメント時間とは、露光途中のある過程において下地パターンとの位置合わせを行うために必要な時間の1ウェーハあたりの総和である。
【0102】
アライメント時間は、(標準アライメント時間)×(アライメント点数)によって求められる。
アライメント点数とは、1ウェーハ内で行うアライメント回数を意味し、配置データファイル52に格納されたアライメント点数を読み出すことによって得ることができる。
【0103】
標準アライメント時間は、1回のアライメントに必要とされる標準的な時間を意味し、経験値を用いて一次式などで近似計算することによって容易に得ることができる。
(iii) ビーム調整時間
ビーム調整時間とは、露光途中のある過程において電子ビームを調整するために必要な時間の1ウェーハあたりの総和である。電子ビームの調整とは、露光中に偏光器の偏向効率が変動した場合の電子ビームの状態を補正すべく、マーク検出機能を用いて再度電子ビームを所定の状態に合わせ込むものである。
【0104】
ビーム調整時間は、(標準ビーム調整時間)×(ビーム調整回数)によって求められる。ビーム調整回数は、装置データファイル55から装置に設定されている露光処理中のビーム調整頻度を読み出し、スキャン時間からビームの調整回数を算出することによって得ることができる。
標準ビーム調整時間は、1回のビーム調整に必要とされる標準的な時間を意味し、経験値を用いて一次式などで近似計算することによって容易に得ることができる。
【0105】
(iv) その他の処理時間
ロット単位でウェーハの処理をする場合の一ロットあたりの処理時間を予測するためには、上記の処理時間の他に以下の時間を考慮することが望ましい。これらの処理時間をも考慮することにより更に正確なスループットを見積もることができる。
【0106】
a) ウェーハの交換時間
電子ビーム露光装置では、真空中で露光処理を行うため、露光を行うメインチャンバとウェーハ交換を行うサブチャンバとの間でウェーハを交換する時間が存在する。このため、複数のウェーハを連続して処理する場合には、ウェーハ交換時間をも考慮することが望ましい。
【0107】
ウェーハの交換時間は、個々の電子ビーム露光装置において経験的に得られる時間を用いればよい。
b) 真空引き、真空リーク時間
一のロットを処理する場合、最初の一枚目のウェーハをサブチャンバに装填してから所定の真空度に達するまでには一定の時間が必要である。また、最後のウェーハを処理した後は、サブチャンバからこのウェーハを取り出すための真空リーク過程においても一定の時間が必要である。したがって、これらの時間を考慮することによって、更に正確なスループットを見積もることができる。
【0108】
真空引き、真空リーク時間は、個々の電子ビーム露光装置において経験的に得られる時間を用いればよい。
このようにして得られた予測処理時間は、表示手段72によって例えば図21に示すように表示することができる。
図21は、4層のリソグラフィー工程において、処理時間をそれぞれ5つの成分に分割して表示した場合を示している。図中、項目aは、ステージスキャン速度が大きく変化する領域におけるステージ駆動手段の加速度上限に伴うステージ到達待ち時間である。項目bは、ステージ駆動手段の速度上限に伴うステージ到達待ち時間である。項目cは、主偏向器33の整定待ち時間である。項目dは、マスク、ウェーハを装置するための待ち時間である。項目eは、ショット時間である。これら各項目は、上述の種々の処理時間を計算する過程で求めることができる。
【0109】
このようにして処理に要する時間を個々の成分に分けて表示することにより、何れの成分が処理時間を律速しているかが一見して判るので、何れのユニットの性能改善を図ればトータルの処理時間を効果的に短縮できるかを予測することができる。したがって、膨大な時間や装置の占有時間を必要とすることなく開発段階の指針を得ることができる。
【0110】
また、ウェーハ1枚あたりの処理時間が求まれば単位時間当たりに処理できるウェーハ枚数を予測することもできる。したがって、このようなデータを表示してもよい。
【0111】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、試料上における露光パターンの配列情報を含む配置データと、露光パターンを含むパターンデータと、パターンデータにおけるショット密度の分布情報を含む2次データとに基づいて描画するための試料のスキャン速度を決定し、露光パターンを試料に描画する荷電粒子ビーム露光方法において、試料をスキャンする方向に関するショット密度の分布情報を含む2次データを、パターンデータから生成して予め記憶する工程と、試料をスキャンする方向に延在する各フレームについて、スキャン方向と直交する方向に最小描画単位が配列されてなるバンドの描画時間を、2次データ及び荷電粒子ビームの電流密度から計算する工程と、フレームを、スキャン方向に並び、複数のバンドを含む複数の小ブロック領域に分割する工程と、小ブロック領域に含まれるバンドの位置座標と描画処理時間とを考慮し、小ブロックのそれぞれについて描画可能なスキャン速度を計算する工程と、小ブロック領域毎に求めたスキャン速度に基づいて速度データを生成する工程と、生成された速度データに従って試料を可変速度で移動させながら、パターンデータに従って試料上に荷電粒子ビームを照射する工程とを行い、フレーム内にバンドが重なる領域を有するときは、バンドが重なる領域に小ブロック領域の境界が位置しないようにフレームを分割するので、試料時に配置したチップ間にオーバーラップが生ずる場合であっても、小ブロック領域毎に正確にスキャン速度を決定することができる。
【0113】
また、フレーム内にバンドが重なる領域を有するときは、バンドが重なる領域に小ブロック領域の境界が位置しないようにフレームを分割するので、スキャン速度の計算を容易にすることができる。
また、小ブロック領域のスキャン方向の長さを荷電粒子ビームを偏向しうる可描画範囲のスキャン方向の長さよりも短くするので、小ブロック領域中のパターン疎密差が大きい場合にも最適なスキャン速度を設定することができる。また、スループットの向上にも効果的である。
【0114】
また、試料上における露光パターンの配列情報を含む配置データファイルと、露光パターンの少なくとも照射パターンと照射位置を含むパターンデータを格納するパターンデータファイルと、パターンデータから生成され、試料をスキャンする方向に関するショット密度の分布情報を含む2次データを格納する2次データファイルと、荷電粒子ビームの電流密度情報を格納する装置データファイルと、パターンデータに従って、試料の所定位置に荷電粒子ビームを偏向し照射して試料を露光パターンに露光する露光手段と、2次データ及び電流密度情報に従って、試料を連続的に可変速で移動させる試料移動制御手段と、パターンデータを所定のメモリ領域に格納する操作と連動して、2次ファイルを生成して所定のメモリ領域に格納する2次データ発生手段とを有し、配置データファイルは、パターンデータファイルを参照するための情報を有し、パターンデータファイル及び2次データファイルは、パターンデータファイルを参照するための情報を用いて2次データファイルを参照できるように互いに関連づけられていることを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置を構成するので、配置データファイルのデータ形式を変更することなく、配置データファイルから直接2次データを参照することができる。これにより、オペレータが2次ファイルを直接扱うことがないので、露光装置の取り扱いを簡便にすることができる。
【0115】
また、パターンデータを所定のメモリ領域に格納する操作と連動して、2次ファイルを生成して所定のメモリ領域に格納する2次データ発生手段を設けることにより、オペレータはパターンデータを取り込むだけで2次データを扱うことがないので、データの管理を簡便にすることができる。
また、メモリ領域からパターンデータファイルを削除する操作と連動して、パターンデータファイルに対応する2次データファイルを削除するデータファイル削除手段を設けることにより、パターンデータファイルと2次データファイルの対応関係の崩壊を防止することができる。
【0116】
また、パターンデータファイルを構成するパターンデータと、2次データファイルを構成する2次データを、一のファイルの異なるレコードに格納すれば、パターンデータファイルと2次データファイルの対応関係を更に強固にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子ビーム露光装置の鏡筒部分の構成図である。
【図2】電子ビーム露光装置の制御部の概略的な構成図である。
【図3】パターンデータ、配置データ及びフレームとパターンデータの関係を示す図である。
【図4】ウェーハを搭載したステージの移動により電子ビームをスキャンする方法を説明する図である。
【図5】フレーム領域内における偏向領域の例について示す図である。
【図6】チップ領域内のフレームと主偏向器の偏向可能範囲との関係を示す図である。
【図7】パターンデータのデータ構成の例を示す図である。
【図8】2次データのデータ構成の例を示す図である。
【図9】2次データの他のデータ構成の例を示す図である。
【図10】偏向位置変化の量の度数分布の例を示す図である。
【図11】偏向位置変化の量の度数分布の他の例を示す図である。
【図12】小ブロック領域毎の速度分布の例を示す図である。
【図13】データファイルの格納形態の例を示す図である。
【図14】データファイルの格納形態の他の例を示す図である。
【図15】チップ間オーバーラップがある場合の課題を説明する図(その1)である。
【図16】チップ間オーバーラップがある場合の課題を説明する図(その2)である。
【図17】チップ間オーバーラップがある場合の速度分布決定方法を説明する図である。
【図18】小ブロック領域の大きさがスキャン速度に与える影響を説明する図である。
【図19】処理時間予測装置の概略を説明する図である。
【図20】処理時間予測方法を説明するフローチャートである。
【図21】処理時間予測方法における処理時間の表示例を示すグラフである。
【符号の説明】
L1a、L1b、L2a、L2b、L3、L4、L5…レンズ
11…非点収差補正器
12…像面湾曲補正器
14…電子銃
15…矩形アパーチャ
17…スリット偏向器
19…マスクステージ
20…透過マスク
21…偏向器
22…偏向器
23…偏向器
24…偏向器
25…ブランキング電極
27…ラウンドアパーチャ
28…リフォーカルコイル
33…主偏向器
34…副偏向器
35…ステージ
36…ウェーハ
37…チップ
38…位置
39…フレーム
40…偏向可能領域
41…小ブロック領域
51…CPU
52…配置データファイル
53…パターンデータファイル
54…2次データファイル
55…装置データファイル
56…速度データファイル
57…パターンデータメモリ
58…パターン発生手段
59…シーケンス制御部
60…ステージ制御部
61…アクチュエータ制御部
62…マスク偏向制御部
63…デジタル・アナログ変換器及び増幅器
64…主偏向制御部
65…デジタル・アナログ変換器及び増幅器
66…副偏向制御部
67…デジタル・アナログ変換器及び増幅器
68…ステージ駆動手段
69…ステージ位置検出手段
70…オーバーラップ領域

Claims (5)

  1. 試料上における露光パターンの配列情報を含む配置データと、前記露光パターンを含むパターンデータと、前記パターンデータにおけるショット密度の分布情報を含む2次データとに基づいて描画するための前記試料のスキャン速度を決定し、前記露光パターンを前記試料に描画する荷電粒子ビーム露光方法において、
    前記試料をスキャンする方向に関する前記ショット密度の前記分布情報を含む前記2次データを、前記パターンデータから生成して予め記憶する工程と、
    前記試料をスキャンする方向に延在する各フレームについて、前記スキャン方向と直交する方向に最小描画単位が配列されてなるバンドの描画時間を、前記2次データ及び荷電粒子ビームの電流密度から計算する工程と、
    前記フレームを、前記スキャン方向に並び、複数の前記バンドを含む複数の小ブロック領域に分割する工程と、
    前記小ブロック領域に含まれる前記バンドの位置座標と描画処理時間とを考慮し、前記小ブロックのそれぞれについて描画可能なスキャン速度を計算する工程と、
    前記小ブロック領域毎に求めた前記スキャン速度に基づいて速度データを生成する工程と、
    生成された前記速度データに従って前記試料を可変速度で移動させながら、前記パターンデータに従って前記試料上に荷電粒子ビームを照射する工程とを有し、
    前記フレーム内に前記バンドが重なる領域を有するときは、前記バンドが重なる領域に前記小ブロック領域の境界が位置しないように前記フレームを分割する
    ことを特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。
  2. 請求項記載の荷電粒子ビーム露光方法において、
    前記小ブロック領域の前記スキャン方向の長さは、前記荷電粒子ビームを偏向しうる可描画範囲の前記スキャン方向の長さよりも短い
    ことを特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。
  3. 試料上における露光パターンの配列情報を含む配置データファイルと、
    前記露光パターンの少なくとも照射パターンと照射位置を含むパターンデータを格納するパターンデータファイルと、
    前記パターンデータから生成され、前記試料をスキャンする方向に関するショット密度の分布情報を含む2次データを格納する2次データファイルと、
    荷電粒子ビームの電流密度情報を格納する装置データファイルと、
    前記パターンデータに従って、前記試料の所定位置に荷電粒子ビームを偏向し照射して前記試料を露光パターンに露光する露光手段と、
    前記2次データ及び前記電流密度情報に従って、前記試料を連続的に可変速で移動させる試料移動制御手段と
    前記パターンデータを所定のメモリ領域に格納する操作と連動して、前記2次ファイルを生成して所定のメモリ領域に格納する2次データ発生手段とを有し、
    前記配置データファイルは、前記パターンデータファイルを参照するための情報を有し、
    前記パターンデータファイル及び前記2次データファイルは、前記パターンデータファイルを参照するための前記情報を用いて前記2次データファイルを参照できるように互いに関連づけられている
    ことを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置。
  4. 請求項記載の荷電粒子ビーム露光装置において、
    メモリ領域から前記パターンデータファイルを削除する操作と連動して、前記パターンデータファイルに対応する前記2次データファイルを削除するデータファイル削除手段を更に有する
    ことを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置。
  5. 請求項3又は4項に記載の荷電粒子ビーム露光装置において、
    前記パターンデータファイルを構成するパターンデータと、前記2次データファイルを構成する2次データは、一のファイルの異なるレコードに格納されている
    ことを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置。
JP09336897A 1997-04-11 1997-04-11 荷電粒子ビーム露光方法及び装置 Expired - Fee Related JP4266394B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09336897A JP4266394B2 (ja) 1997-04-11 1997-04-11 荷電粒子ビーム露光方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09336897A JP4266394B2 (ja) 1997-04-11 1997-04-11 荷電粒子ビーム露光方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10284362A JPH10284362A (ja) 1998-10-23
JP4266394B2 true JP4266394B2 (ja) 2009-05-20

Family

ID=14080362

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09336897A Expired - Fee Related JP4266394B2 (ja) 1997-04-11 1997-04-11 荷電粒子ビーム露光方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4266394B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004142082A (ja) * 2002-10-28 2004-05-20 Sumitomo Heavy Ind Ltd 加工計画方法及び装置
JP5009117B2 (ja) * 2007-09-28 2012-08-22 株式会社ニューフレアテクノロジー 描画装置及び描画時間の取得方法
JP5203995B2 (ja) * 2009-02-12 2013-06-05 株式会社ニューフレアテクノロジー 荷電粒子ビーム描画装置及び荷電粒子ビーム描画方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10284362A (ja) 1998-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100914116B1 (ko) 하전 입자 빔 묘화 장치 및 하전 입자 빔 묘화 방법
KR100843918B1 (ko) 리소그래피 장치, 빔 조사량 보정 방법, 및 빔 조사량 보정용 프로그램을 기록한 판독 가능한 기록 매체
KR100281846B1 (ko) 하전입자빔노광방법및그노광장치
JPH09293670A (ja) 電子ビーム描画装置および電子ビーム描画方法
US20090032738A1 (en) Charged particle beam writing apparatus and method thereof
JP2014120495A (ja) 荷電粒子ビーム描画方法、荷電粒子ビーム描画プログラムおよび荷電粒子ビーム描画装置
US9006691B2 (en) Charged particle beam writing apparatus and charged particle beam writing method using a generated frame that surrounds a first data processing block
JP3552344B2 (ja) 荷電粒子線によるパターン転写方法および転写装置
JP4174528B2 (ja) 電子ビーム描画装置及び電子ビーム描画方法
JP3295855B2 (ja) 荷電粒子ビーム露光方法
JP4266394B2 (ja) 荷電粒子ビーム露光方法及び装置
JPH0691005B2 (ja) 荷電ビ−ム描画方法
EP0434990B1 (en) Charged-particle beam exposure method and apparatus
JPH10284392A (ja) 荷電ビーム描画方法
JP3197024B2 (ja) 荷電ビーム描画装置
JP3004034B2 (ja) 荷電ビーム描画方法
JP2007200956A (ja) 荷電粒子ビーム描画装置、荷電粒子ビーム描画方法及びプログラム
US9564293B2 (en) Charged particle beam writing apparatus, and buffer memory data storage method
US9117632B2 (en) Charged particle beam writing apparatus and charged particle beam writing method
JP3080006B2 (ja) 電子ビーム露光補正方法
JP2010073732A (ja) 荷電粒子ビーム描画装置の評価方法および荷電粒子ビーム描画装置
JP2011243805A (ja) 描画データの作成方法、荷電粒子ビーム描画方法及び荷電粒子ビーム描画装置
JP2786671B2 (ja) 荷電ビーム描画方法
JP2664732B2 (ja) 荷電ビーム描画方法
KR20170069168A (ko) 데이터 처리 방법, 하전 입자빔 묘화 방법 및 하전 입자빔 묘화 장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040405

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060606

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060803

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070925

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071126

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20080728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081021

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090217

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130227

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140227

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees