JP4266094B2 - ガス絶縁計器用変圧器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高電圧回路の電圧測定に用いられるガス絶縁計器用変圧器に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電所や変電所などの電力設備においては近年ますます高電圧化が進められている。このような電力設備においては、電気機器の絶縁故障を防ぎ、電力の安定供給の観点から、電気機器の絶縁性能の向上が大きな課題となっている。このため最近では、従来の大気圧空気による気中絶縁方式に代わって絶縁性能の優れた絶縁ガスにより絶縁を施したガス絶縁電気機器が多く用いられるようになってきている。このようなガス絶縁電気機器を備えた電力系統回路のような高電圧回路を流れる電気量の内、高電圧測定に用いられる計器用変圧器もガス絶縁を採用したガス絶縁計器用変圧器が用いられるようになってきている。
【0003】
このようなガス絶縁計器用変圧器は、一般に一次側の高圧コイルを常時高電圧回路に接続し、電圧変成を行って二次側の低圧コイルで高電圧測定を行う。しかしながら、高電圧回路の電力設備、例えばガス絶縁開閉装置などの直流及び交流絶縁試験のような課電試験を行う場合には、過電圧の進入による故障を防ぐためにガス絶縁計器用変圧器は高電圧回路から電気的に切り離す必要がある。つまり、ガス絶縁計器用変圧器は、高電圧回路に対して電気的な切り離し動作と接続動作とを必要に応じて行える機能を有するように構成されている。
【0004】
従来のガス絶縁計器用変圧器について図5および図6を参照して説明する。図において、1は接地金属でできたタンクで、上端に開口部2を形成している。3は中心に導体4を有したコーン型の絶縁スペーサで、タンク1の開口部2を気密に閉塞するようにタンク1に取り付けられている。絶縁スペーサ3の導体4のタンク1外に突出した部分は図示しない高電圧回路に接続され、タンク1内に突出した部分の先端には二刃形の高圧端子5が形成されている。
【0005】
6はタンク1内に収納された電圧変成要素で、タンク1の底板7上に固定された額縁状の鉄心8と、この鉄心8の継鉄部分9に巻回された低圧コイル10と、その外側に低圧コイル10と同軸状に巻回された高圧コイル11とから構成されている。12は高圧コイル11の外側に取り付けられた電界緩和用の高圧シールド、13は低圧コイル10の端部のタンク寄りに設けられた低圧シールドである。
【0006】
前記高圧コイル11の一端には絶縁スペーサ3の中心導体4に形成された高圧端子5に対向して、同じく二刃形の高圧端子14が形成され、他端は接地されている。高圧コイル11に形成された高圧端子14は高圧シールド12に固定されている。絶縁スペーサ3側の高圧端子5と高圧コイル11側の高圧端子14との間のタンク内空間には、両高圧端子5、14を電気的に接続、または切り離しする直線棒状の回転導体15Aが設けられ、この回転導体15Aはその長手方向のほぼ中央部を絶縁ロッド16、主軸17、回転シール部18を介してタンク1外に設けられたハンドル19に接続され、その中央部を回転中心として回転自在に支承されている。そしてタンク1内にはSF6などの絶縁ガス20が加圧された状態で封入されている。
【0007】
このような構成の従来のガス絶縁計器用変圧器であると、タンク1の外側よりハンドル19を回すことにより主軸17、絶縁ロッド16を介してタンク1内の回転導体15Aが回転される。したがって通常の運転時は図6に示すように高圧端子5、14を回転導体15Aで電気的に接続することにより電圧変成要素6が高電圧回路に接続され、高電圧測定を行うことが出来る。ガス絶縁開閉装置の直流及び交流絶縁試験のような課電試験を行う場合にはハンドル19を操作し、回転導体15Aを図7(a)、(b)に点線で示す状態から矢印方向に回転させ、高圧端子5、14間を電気的に切り離すことにより過電圧の侵入を防ぎ、ガス絶縁計器用変圧器の故障を防ぐことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のガス絶縁計器用変圧器であると、ガス絶縁開閉装置の課電試験を行うため、回転導体15Aの回転により高圧端子5、14間の切り離しを行った場合でも、絶縁スペーサ3側の高圧端子5には高電圧が印加された状態であるので、高圧端子5と回転導体15Aとの間は図7に示すように十分な絶縁距離L1を保つ必要がある。このため、回転導体15Aの寸法L2が長大化してしまい、これらを収納するタンク1の大形化、重量化を招くという欠点があった。
【0009】
また、高圧端子5、14間の切り離しを行った状態では回転導体15Aを電気的に接地する必要があり、このための接地用の接点が必要となり回転導体15Aの周囲の構造が複雑なものとなっていた。
【0010】
さらに、高圧端子5、14間の接続、または切り離し操作を行う時、電圧変成要素6の高圧シールド12に取付けられた高圧端子14に機械的な応力が作用するので、高圧シールド12が高圧コイル11の周りを回転して位置がずれてしまったり、著しくは破損したりする恐れがある。これを防止する為には高圧シールド12の固定を強固にしなければならず、そのようにすると取り付け構造が複雑になり、機器の大形化、コストの増大につながるといった欠点があった。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、構造が簡単で、高圧シールドの破損の恐れも無く、より小型、軽量化を図ったガス絶縁計器用変圧器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、絶縁ガスを封入したタンクと、鉄心、この鉄心に巻回された低圧コイル、一端が接地され鉄心に低圧コイルと同軸的に巻回された高圧コイルとからなり、タンク内に収納された電圧変成要素と、一端がタンク外部の高電圧回路に接続され、他端がタンク内に突出した導体を有し、タンクに気密に取り付けられた絶縁スペーサと、前記高圧コイルに取り付けられた高圧シールドと、タンク内で一方の端部を回転自在に支承され、回転動作により前記絶縁スペーサの導体と電気的に接続、切り離される回転導体と、この回転導体を回転動作させる回転操作機構と、回転導体と高圧コイルとを電気的に接続する導体とよりなるガス絶縁計器用変圧器であって、前記回転導体と前記高圧コイルとを電気的に接続する導体が可撓性導体であるとともに、前記回転導体が絶縁スペーサの導体から切り離されたとき高圧シールド内に収納されることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、回転導体を回転させることにより、電圧変成要素を高電圧回路と接続、切り離しを行い、切り離した状態では回転導体を高圧コイルを介して接地するようにしたので、接地用の接点を特別に設ける必要がなく、構造が簡単になる
また、回転導体の回転動作に伴う機械的応力を可撓性導体により吸収するようにしたので、高圧シールド位置ずれを起こしたり、破損したりすることを防ぐと共に、強固な取り付けを必要としないためタンクの小型化が図れ、コストを低減することができる
またさらに、回転導体が切り離した状態で絶縁スペーサの導体と直接対向することを防ぐようにしたので、電界集中を抑えて、耐電圧性能を向上させることができると共に、絶縁スペーサの導体と可動接触子との接触圧力の調整も自動的に行うことができる
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、回転操作機構がタンク内に設けられたことを特徴とする。
タンク内のデッドスペースを利用して回転操作機構の配置取り付けが行え、小型化が図れる。
【0017】
請求項に記載の発明は、回転導体の絶縁スペーサの導体と電気的に接続、切り離される端部に弾性体を介して電気的に接続された可動接触子を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、絶縁スペーサの導体と可動接触子とが接触した時自動的に接触圧力を調整する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態について図を参照して説明する。図1乃至図3において、図5および図6に示す従来のガス絶縁計器用変圧器と同一部分は同一符号を付す。図において、1は接地金属でできたタンクで、上端に開口部2を形成している。3は中心に導体4を有したコーン型の絶縁スペーサで、タンク1の開口部2を気密に閉塞するようにタンク1に取り付けられている。絶縁スペーサ3の導体4のタンク1外に突出した部分は図示しない高電圧回路に接続され、タンク1内に突出した部分の先端には高圧接触部21が形成されている。6はタンク1内に収納された電圧変成要素で、タンク1の底板7上に固定された額縁状の鉄心8と、この鉄心8の継鉄部分9に巻回された低圧コイル10と、その外側に低圧コイル10と同軸状に巻回された高圧コイル11とから構成されている。12は高圧コイル11の外側に取り付けられた筒状の電界緩和用の高圧シールド、13は低圧コイル10の端部のタンク寄りに設けられた低圧シールドである。
【0019】
絶縁スペーサ3の導体4と高圧コイル11との間の空間には、直線棒状の回転導体15Bが設けられ、この回転導体15Bはその長手方向の反絶縁スペーサ側の一端を筒状の高圧シールド12内で高圧シールド12の一部を貫通する絶縁ロッド16に接続し、主軸17、回転シール部18を介してタンク1外に設けられた回転操作機構22に接続され、絶縁ロッド16との接続部を回転中心として回転自在に支承されている。また同時に回転導体15Bの反絶縁スペーサ側の一端は可撓性導体23を介して高圧コイル11の一端に電気的に接続されている。回転導体15Bの前記絶縁スペーサ3の高圧接触部21に対向する一端には回転導体15Bに対してスプリングなどの弾性体を介して電気的に接続され、寸法調整可能な可動接触子24が取り付けられている。そしてタンク1内にはSF6などの絶縁ガス20が加圧された状態で封入されている。25は低圧コイル10からの引出端子台である。
【0020】
このような本発明によるガス絶縁計器用変圧器であると、タンク1の外側に設けた回転操作機構22により主軸17、絶縁ロッド16を回転させることにより回転導体15Bが図1、図2に示す状態からその一端を回転中心として回転され、図2に点線で、および図3示すように高圧シールド12に形成した切り欠き12aから高圧シールド12内に収納される。したがってガス絶縁計器用変圧器の通常の運転時は図1および図2に示すように回転導体15Bの可動接触子24を導体4の高圧接触部21に接触させることにより、絶縁スペーサ3の導体4−回転導体15B−可撓性導体24−高圧コイル11の導電経路が形成され、電圧変成要素6で高電圧測定を行うことができる。ガス絶縁開閉装置の直流および交流絶縁試験のように課電試験を行う場合には、回転操作機構22の操作で回転導体15Bを図2の点線で示す位置に回転させ、高圧接触部21との接触を解くことにより電圧変成要素6が高電圧回路から切り離され、過電圧の侵入によるガス絶縁計器用変圧器の故障を防ぐことができる。この場合、回転導体15Bはその一端を回転中心として回転し、高圧接触部21との絶縁距離L1を保つので回転導体15Bの寸法L2を縮小することができ、これらを収納するタンク1の小型化、軽量化を図ることができる。
【0021】
また、回転導体15Bは可撓性導体23を介して高圧コイル11に接続されているので回転導体15Bの回転によって高圧シールド12に過大な機械的応力が作用することがなく、高圧シールド12が位置ずれを起こしたり、破損したりすることを防ぐと共に、強固な取り付けを必要としないためタンク1の小型化が図れ、コストを低減することができる。
【0022】
さらに、回転導体15Bを高圧接触部21から切り離した時、回転導体15Bは可撓性導体23を介して高圧コイル11に接続されているので、高圧コイル11を介して自動的に接地され、接地用の接点を特別に設ける必要がなく、構造が簡単となる。
【0023】
さらにまた、回転導体15Bを高圧接触部21から切り離した状態では回転導体15Bが高圧シールド内に収納され、絶縁スペーサ3の導体4と直接対向することがないので、電界集中を抑え、耐電圧性能を向上すると共に、絶縁スペーサ3の導体4と可動接触子24との接触圧力の調整も自動的に行われる。
【0024】
次に本発明の第2の実施の形態を図4を用いて説明する。本実施の形態においては回転操作機構22をタンク1内の回転導体15B脇のデッドスペースに収納し、図示しないが、タンク1外部より操作機構を制御出来るようにしたものである。また、必要に応じて回転操作機構22への信号を引き出し端子台25を介して送るようにしてもよい。
【0025】
このような構成とすることにより、タンク1外の突起物を減少させることができ、小型化、コストの低減が図れる。また、回転操作機構22は絶縁ガス20中にあるので、腐食などの心配がなくなり、操作機構の信頼性向上につながる。 なお、上記実施の形態の説明においては電圧変成要素として1相のみしか図示していないが当然三相ガス絶縁計器用変圧器にも適用し得るものである。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明のガス絶縁計器用変圧器は、絶縁ガスを封入したタンクと、鉄心、この鉄心に巻回された低圧コイル、一端が接地され鉄心に低圧コイルと同軸的に巻回された高圧コイルとからなり、タンク内に収納された電圧変成要素と、一端がタンク外部の高電圧回路に接続され、他端がタンク内に突出した導体を有し、タンクに気密に取り付けられた絶縁スペーサと、前記高圧コイルに取り付けられた高圧シールドと、タンク内で一方の端部を回転自在に支承され、回転動作により前記絶縁スペーサの導体と電気的に接続、切り離される回転導体と、この回転導体を回転動作させる回転操作機構と、回転導体と高圧コイルとを電気的に接続する導体とにより構成し、しかも、前記回転導体と前記高圧コイルとを電気的に接続する導体を可撓性導体とし、さらに、前記回転導体が絶縁スペーサの導体から切り離されたとき高圧シールド内に収納されるようにしたことを特徴とするものである
本発明によれば、回転導体の回転動作に伴う機械的応力を可撓性導体により吸収するようにしたので、高圧シールド位置ずれを起こしたり、破損したりすることを防ぐことができると共に、強固な取り付けを必要としないためタンクの小型化が図れ、コストを低減することができる。さらに、回転導体が切り離した状態で絶縁スペーサの導体と直接対向することを防ぐようにしたので、電界集中を抑えて、耐電圧性能を向上させることができると共に、絶縁スペーサの導体と可動接触子との接触圧力の調整も自動的に行うことができ、構造が簡単で、高圧シールドの破損の恐れも無く、より小型、軽量化を図ったガス絶縁計器用変圧器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す縦断正面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す縦断側面図。
【図3】図1をIII−III線に沿って切断し、矢印方向に見た横断平面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す縦断正面図。
【図5】図6をV−V線に沿って切断し矢印方向に見た従来のガス絶縁計器用変圧器を示す横断平面図。
【図6】従来のガス絶縁計器用変圧器を示す縦断正面図。
【図7】図6の要部拡大図で(a)は正面図、(b)は側面図。
【符号の説明】
1…タンク、3…絶縁スペーサ、4…導体、6…電圧変成要素、8…鉄心、10…低圧コイル、11…高圧コイル、12…高圧シールド、13…低圧シールド、15A、15B…回転導体、16…絶縁ロッド、17…主軸、18…回転シール部、20…絶縁ガス、21…高圧接触部、22…回転操作機構、23…可撓性導体、24…可動接触子。

Claims (3)

  1. 絶縁ガスを封入したタンクと、
    鉄心、この鉄心に巻回された低圧コイル、一端が接地され鉄心に低圧コイルと同軸的に巻回された高圧コイルとからなり、タンク内に収納された電圧変成要素と、
    一端がタンク外部の高電圧回路に接続され、他端がタンク内に突出した導体を有し、タンクに気密に取り付けられた絶縁スペーサと、
    前記高圧コイルに取り付けられた高圧シールドと、
    タンク内で一方の端部を回転自在に支承され、回転動作により前記絶縁スペーサの導体と電気的に接続、切り離される回転導体と、
    この回転導体を回転動作させる回転操作機構と、
    回転導体と高圧コイルとを電気的に接続する導体とよりなるガス絶縁計器用変圧器であって、
    前記回転導体と前記高圧コイルとを電気的に接続する導体が可撓性導体であるとともに、
    前記回転導体が絶縁スペーサの導体から切り離されたとき高圧シールド内に収納されることを特徴とするガス絶縁計器用変圧器。
  2. 回転操作機構がタンク内に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁計器用変圧器。
  3. 回転導体の絶縁スペーサの導体と電気的に接続、切り離される端部に弾性体を介して電気的に接続された可動接触子を備えたことを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁計器用変圧器。
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