JP4265989B2 - トレース方法および装置 - Google Patents
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Description
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
仮に、何らかの形でIDを付与できたとしても、原材料のロットをキーにして製造プロセスの入り口から出口までの流れを記録する方法では、複数の原材料が混じり合った状態のロットに対してそのロット含まれる全ての原材料のIDの記録を行わなければならない。したがって、その記録作業が煩雑になってしまう。
また、中間ロットにIDを付与できたとしても、例えば計画段階になかった新たな工程を追加するといった処理工程の変更が生じると、この変更した工程より下流の中間ロットのデータを全て作り直さなければならなくなる。この修正作業は、とても複雑なため現実的ではない。その上、この修正作業はマニュアルで行われるので、修正し忘れる可能性があり、ロット情報の信頼性が損なわれてしまう恐れがある。
このように、従来では、流体の処理の履歴を管理することが困難であったので、当然その履歴をトレースするのも困難であった。
そこで、本発明は上述したような課題を解決するためになされたものであり、流体の処理の履歴をトレースすることができるトレース方法および装置を提供することを目的とする。
また、本発明によれば、要素としてプロセス機器のみならずラインも採用し、プロセス機器間の流体の移送が少なくとも1つのラインを介して行われるようにすることにより、流体の処理の履歴をトレースすることが可能となる。
また、本発明によれば、遅延時間に基づいて任意の流体がラインに受け入れられた時刻およびラインから払い出された時刻のうち少なくとも一方を算出してトレースを行うことにより、ラインが流体を連続して移送する場合に、その流体が混じる部分が含まれるか否かの可能性を確実にトレース結果に反映させることが可能となる。
また、本発明によれば、プロセス機器が洗浄された時刻または空になった時刻を区切りとしてトレースを行うことにより、目的にかなったトレースが可能となる。
さらに本発明によれば、ラインの検索を行う際に、通常モードまたは高精度モードの何れかを選択することにより、目的に応じて精度の異なるトレースを実現することが可能となる。
図1は、本発明のトレース方法が使用される履歴管理システムの構成を示す図である。
履歴管理システム1は、履歴管理システム1全体の動作を管理する管理装置10と、履歴管理システム1の動作を記録するサーバ20と、履歴管理システム1が適用されたプラントにおいて製品製造のための各処理を行うタンクやパイプなどの構成要素の信号を取り込むコントローラ30とを有し、それぞれは公知の通信回線40によって接続されている。
なお、作成した移送イメージおよびトレース結果は、表示装置に表示するようにしてもよい。
なお、コントローラ30には、全ての要素の信号が取り込まれていなくてもよい。コントローラ30に信号が取り込まれていない要素では、移送情報をユーザの手入力でサーバ20に記録するようにしてもよい。この移送情報のサーバ20への記録は、管理装置10を介して行う、すなわちユーザが管理装置10の入力装置を操作することで行うようにしてもよい。
ここで、流体や固体等のものの移動を把握する際、プラント等の設備をモデル化すると、その移動がわかりやすくなる。設備を後述する図2に示すようにモデル化したものを設備モデルという。ここで、設備を構成する要素は、大きくプロセス機器とラインとに分類することができる。
プロセス機器とは、例えば乳製品製造プラントにおいては、タンク、調整乳タンク、中継点、一時容器、バッファタンク、ミックスタンク、端点等の流体の移動の出発点と終着点として認識できる要素を意味する。
ラインとは、プロセス機器とプロセス機器とを結ぶパイプ等の要素を意味する。
図2に示す設備モデルは、タンクT1とタンクT2とがラインL1で接続された設備をモデル化したものである。
本実施の形態にかかる履歴管理システム1では、プロセス機器からプロセス機器への流体の移送は、必ずラインを経由して行われるものとする。したがって、例えば図2の場合、タンクT1からタンクT2への流体の移送は、タンクT1とタンクT2との間に存在するラインL1を経由して行われ、タンクT1からラインL1(図2中の矢印a)、ラインL1からタンクT2(図2中の矢印b)へという形で流体が移送されると捉える。
図4に示す移送イメージは、流体を払い出す払出設備と、この払出設備から払い出された流体を受け入れる受入設備との間の流体の移送履歴を、縦軸が払出設備と移送先設備との対応関係、横軸が時間を示すグラフで2次元的に可視化したものである。このような移送イメージは、管理装置10のハードウェア資源とソフトウェアが協働することにより作成される。
なお、この管理装置10により作成された移送イメージは、サーバ20に記録するようにしてもよい。
図4において、タンクT1は、10時10分からラインL1への流体の払い出しを開始し、10時30分にラインL1への流体の払い出しを終了したことを意味する。
ラインL1は、10時10分からタンクT1から払い出された流体の受け入れを開始し、10時30分にタンクT1から払い出された流体の受け入れを終了したことを意味する。また、ラインL1は、10時10分からタンクT2への流体の払い出しを開始し、10時30分にタンクT2への流体の払い出しを終了したことを意味する。
タンクT2は、10時10分からラインL1から払い出された流体の受け入れを開始し、10時30分にラインL1から払い出された流体の受け入れを終了したことを意味する。
したがって、図4からは、10時10分から10時30分までタンクT1から払い出された流体は、ラインL1を経由して、タンクT2へ移送されたことがわかる。
また、本実施の形態によれば、移送イメージを移送履歴に基づいて作成して表示することにより、流体のようなIDを付与することが困難なものでも、IDを付与することなく、どのような処理を経ているのかが容易に識別可能となる。
図5に示す設備モデルは、タンクT1とタンクT2とに接続されたラインL1が、タンクT11とタンクT12に接続されたラインL10およびタンクT21とタンクT22に接続されたラインL20に接続された設備をモデル化したものである。
このようにモデル化される設備でタンクT2からタンクT12へ流体が移送される場合について考える。この場合、タンクT2からラインL1(図5中の矢印a)、ラインL1からラインL10(図5中の矢印b)、ラインL10からタンクT12(図5中の矢印c)という形で流体が移送されると捉える。
すなわち、払出設備T2、受入設備L1の移送開始時刻および移送終了時刻は、10時10分および10時30分と記録される。同様に、払出設備L1、受入設備L10および払出設備L10、受入設備T12の移送開始時刻および移送終了時刻も、それぞれ10時10分および10時30分と記録される。
ここで、図5中の矢印aで示すタンクT2からラインL1への流体の移送は、図7中の範囲aに対応する。また、図5中の矢印bで示すラインL1からラインL10への流体の移送は、図7中の範囲bに対応する。さらに、図5中の矢印cで示すラインL10からタンクT12への流体の移送は、図7中の範囲cに対応する。
ラインL1は、10時10分からタンクT2から払い出された流体の受け入れを開始し、10時30分にタンクT2から払い出された流体の受け入れを終了したことを意味する。また、ラインL1は、10時10分からラインL10への流体の払い出しを開始し、10時30分にラインL10への流体の払い出しを終了したことを意味する。
ラインL10は、10時10分からラインL1から払い出された流体の受け入れを開始し、10時30分にラインL1から払い出された流体の受け入れを終了したことを意味する。また、ラインL10は、10時10分からタンクT12への流体の払い出しを開始し、10時30分にタンクT12への流体の払い出しを終了したことを意味する。
タンクT12は、10時10分からラインL10から払い出された流体の受け入れを開始し、10時30分にラインL10から払い出された流体の受け入れを終了したことを意味する。
したがって、図7からは、10時10分から10時30分までタンクT2から払い出された流体は、ラインL1およびラインL10を経由して、タンクT12へ移送されたことがわかる。
図8に示す設備モデルは、タンクT1とタンクT2およびタンクT3とがラインL1で接続された設備をモデル化したものである。
すなわち、払出設備T1、受入設備L1の移送開始時刻および移送終了時刻は、10時10分および10時35分と記録される。払出設備L1、受入設備T2の移送開始時刻および移送終了時刻は、10時10分および10時20分と記録される。払出設備L1、受入設備T3の移送開始時刻および移送終了時刻は、10時20分および10時35分と記録される。
ラインL1は、10時10分からタンクT1から払い出された流体の受入を開始し、10時35分にタンクT1から払い出された流体の受入を終了したことを意味する。また、ラインL1は、10時10分からタンクT2への流体の払出を開始し、10時20分にタンクT2への流体の払出を終了するとともにタンクT3への流体の払出を開始し、10時35分にタンクT3への流体の払出を終了したことを意味する。
タンクT2は、10時10分からラインL1から払い出された流体の受け入れを開始し、10時20分にラインL1から払い出された流体の受け入れを終了したことを意味する。
タンクT3は、10時20分からラインL1から払い出された流体の受け入れを開始し、10時35分にラインL1から払い出された流体の受け入れを終了したことを意味する。
図11に示す設備モデルは、図5の場合と同様、タンクT1とタンクT2とに接続されたラインL1が、タンクT11とタンクT12に接続されたラインL10およびタンクT21とタンクT22に接続されたラインL20に接続された設備をモデル化したものである。
このようにモデル化される設備でタンクT2からタンクT12へ流体が移送されているときに、途中からタンクT12からタンクT22へと流体の移送先が切り替わった場合について考える。この場合、まず、タンクT2からラインL1(図11中の矢印a)、ラインL1からラインL10(図11中の矢印b)、ラインL10からタンクT12(図11中の矢印c)という形で流体が移送されると捉える。次いで、流体の移送が切り替わる、すなわちタンクT2からラインL1(図11中の矢印a)、ラインL1からラインL20(図11中の矢印d)、ラインL20からタンクT22(図11中の矢印e)という形で流体が移送されると捉える。
すなわち、払出設備T2、受入設備L1の移送開始時刻および移送終了時刻は、10時10分および10時45分と記録される。払出設備L1、受入設備L10の移送開始時刻および移送終了時刻は、10時10分および10時30分と記録される。払出設備L1、受入設備L20の移送開始時刻および移送終了時刻は、10時30分および10時45分と記録される。払出設備L10、受入設備T12の移送開始時刻および移送終了時刻は、10時10分および10時30分と記録される。払出設備L20、受入設備T22の移送開始時刻および移送終了時刻は、10時30分および10時45分と記録される。
ラインL1は、10時10分からタンクT2から払い出された流体の受入を開始し、10時45分にタンクT2から払い出された流体の受入を終了したことを意味する。また、ラインL1は、10時10分からラインL10への流体の払出を開始し、10時30分にラインL10への流体の払出を終了するとともにラインL20への流体の払出を開始し、10時45分にラインL20への流体の払出を終了したことを意味する。
ラインL10は、10時10分からラインL1から払い出された流体の受入を開始し、10時30分にラインL1から払い出された流体の受入を終了したことを意味する。また、ラインL10は、10時10分からタンクT12への流体の払い出しを開始し、10時30分にタンクT12への流体の払い出しを終了したことを意味する。
タンクT12は、10時10分からラインL10から払い出された流体の受け入れを開始し、10時30分にラインL10から払い出された流体の受け入れを終了したことを意味する。
ラインL20は、10時30分からラインL1から払い出された流体の受入を開始し、10時45分にラインL1から払い出された流体の受入を終了したことを意味する。また、ラインL20は、10時30分からタンクT22への流体の払い出しを開始し、10時45分にタンクT22への流体の払い出しを終了したことを意味する。
タンクT22は、10時30分からラインL20から払い出された流体の受け入れを開始し、10時45分にラインL20から払い出された流体の受け入れを終了したことを意味する。
履歴管理システム1は、例えば上述した図13に示すような移送イメージから、トレースの方向、検索モード、ラインの設定等の各設定に応じてトレースを行う。以下に、各設定について説明する。
トレースには、製品から原料を検索する「正順」トレースと、原料から製品を検索する「逆順」トレースとがある。図14は、トレースの方向を説明するための移送イメージの模式図である。
例えば、図14に示す移送イメージの場合、図中の矢印aで示すように、タンクT4等の製品側からタンクT1側(原料側)の方向にトレースするのが「正順」トレースである。一方、図14中の矢印bで示すように、タンクT1側(原料側)からタンクT4側(製品側)の方向にトレースするのが「逆順」トレースである。
プロセス機器にタンクが含まれる場合、トレースの目的に応じて検索対象が異なる2つのモードが存在する。
まず、タンクが空の状態を区切りとして検索を行う空モードである。これは、正順でトレースしているときに任意のタンクから払い出されたものに何が入っているかを調べる場合、払い出しが終了した時刻から遡って、タンクの空が検出されたとき、または、タンクが洗浄されたときまでに受け入れたものをトレースするモードである。
もう一つは、タンク洗浄を区切りとする洗浄モードである。これは、正順でトレースしているときに任意のタンクから払い出しているものに何が入っているかを調べる場合、払い出しが終了した時刻から遡って、タンクの洗浄が検出されたときまでに受け入れたものをトレースするモードある。
空モードで検索する場合、タンクT11において、タンクT11から範囲aの流体が払い出された時点から時間軸を遡ると、符号bで示す範囲bの流体がタンクT11から払い出されたことが分かる。この範囲bの流体の払い出しによりタンクT11が空になったので、空モードの場合は、符号cで示す範囲c、すなわちタンクT1およびタンクT2からラインL1を経由してタンクT11に受け入れられた流体がトレースの対象となる。
一方、洗浄モードで検索する場合、タンクT11において、タンクT11から範囲aの流体が払い出された時点から時間軸を遡ると、符号dで示す範囲dの時点でタンクT11が洗浄されたことが分かる。したがって、洗浄モードの場合は、符号eで示す範囲eの流体、すなわちタンクT1〜T3からラインL1を経由してタンクT11に受け入れられた流体がトレースの対象となる。
まず、ラインの特性について図16を参照して説明する。図16は、ラインの特性を説明するための模式図であり、(a)は移送開始時の模式図、(b)は移送中の模式図である。図16において、ラインL1はタンクT1とタンクT2とを接続している。ここで、タンクT1から流体aをラインL1を介してタンクT2に移送するとする。なお、この流体aの移送の前に、タンクT1から流体bをラインL1を介してタンクT2に移送したものとする。
例えば、図16(a)に示すように、ラインL1は、離間した要素間を接続して、流体を任意の要素(タンクT1)から他の任意の要素(タンクT2)へ移送するものである。ラインL1は長さを有するため、タンクT1から受け入れた流体aをタンクT2に払い出すには、ラインの長さや直径等に応じた時間がかかる。したがって、ラインをトレースする際には、受け入れた流体を払い出すまでに時間がかかることに対応させなければ、正確にトレースすることができない。
例えば、図16(a)に示すように、ラインL1は、流体aを移送する前に流体bを移送したとする。すると、ラインL1内には流体bが滞留しているので、今回タンクT1からラインL1に払い出される流体aは、流体bをタンクT2へ押し出しながらラインL1中を移動する。したがって、ラインL1に流体aを払い出し始めても、タンクT2に払い出される流体は、最初のうちは流体bであり、即座に流体aが払い出されるわけではない。このようにラインには前に移送した流体が残っている滞留という現象に対応したトレースを行わなければ、ラインを正確にトレースすることはできない。
例えば、図16(a)に示すように、ラインL1は、流体bの後に連続して流体aを移送した場合、図16(b)に示すように、流体aと流体bとの接点で流体aと流体bが混ざった流体cが発生する。この流体cのような2つの流体が混ざった部分が存在するという現象に対応したトレースを行わなければ、ラインを正確にトレースすることはできない。
そこで、本実施の形態では、ものが流れる速度はほぼ一定であることに着目して、必ず計測ができる時間というパラメータを使用してトレースを行う。この時間を用いたラインのトレース方法について、以下に具体的に説明する。
図17に示す滞留ありライン、すなわちライン内部に以前に移送した流体が残っていると設定したラインは、任意の払出設備から範囲aの流体を受け入れ、この受け入れた流体(受入流体)に対応する範囲bの流体(払出流体)を任意の受入設備に払い出したことを示している。ここで、払出流体b中の範囲cに対応する払出流体をトレースする場合、上述したラインには受け入れた流体を払い出すまでに時間がかかるという特性に対応させた遅延時間を設定する。正順トレースの場合には、正順トレース開始遅延時間と正順トレース終了遅延時間を設定する。
なお、正順トレース開始遅延時間および正順トレース終了遅延時間に設定する遅延時間は、それぞれ異なるようにしてもよい。
図18に示す滞留ありラインは、任意の払出設備から範囲aの流体を受け入れ、この受け入れた流体(受入流体)に対応する範囲bの流体(払出流体)を任意の受入設備に払い出したことを示している。ここで、受入流体a中の範囲cに対応する受入流体をトレースする場合、正順の場合と同様に遅延時間を設定し、逆順トレース開始遅延時間と逆順トレース終了遅延時間を用いて検索を行う。逆順トレース開始遅延時間とは、受入流体の受入開始時刻から遅延時間分だけ経過させる時間、逆順トレース終了遅延時間とは、受入流体の受入終了時刻から遅延時間分だけ経過させる時間のことを意味する。
なお、逆順トレース開始遅延時間および逆順トレース終了遅延時間に設定する遅延時間は、それぞれ異なるようにしてもよい。
図19に示す滞留ありラインは、任意の払出設備から受入流体aを受け入れ、この受入流体aに対応する払出流体bを任意の受入設備に払い出したことを示している。ここで、払出流体b中の範囲cに対応する受入流体を正順でトレースする場合について説明する。図19において、払出流体cに対応する実際の受入流体を受入流体a中の範囲dとし、この払出流体dの実際の移動時間を、移送開始時においては受入開始時刻t2から払出開始時刻t3まで、移送終了時においては受入終了時刻t4から払出終了時刻t6までとする。
図20に示す滞留ありラインは、任意の払出設備から受入流体aを受け入れ、この受入流体aに対応する払出流体bを任意の受入設備に払い出した後、連続して任意の払出設備から受入流体cを受け入れ、この受入流体cに対応する払出流体dを任意の受入設備に払い出したことを示している。ここで、払出流体d中の範囲eに対応する払出流体を正順でトレースする場合について説明する。
このように、通常モードよりも検索範囲が大きい高精度モードを設けることにより、ラインが流体を連続して移送する場合に、その流体が混じる部分が含まれるか否かの可能性をより確実にトレース結果に反映させることが可能となる。
正順終了設定差は、高精度モードの場合、通常モードの場合よりも短くなるように設定する。これにより、高精度モードの正順トレース終了遅延時間は、通常モードの場合よりも短くなるので、正順トレース検索範囲は、通常モードの場合よりも大きくなる。
逆順開始設定差は、高精度モードの場合、通常モードの場合よりも短くなるように設定する。これにより、高精度モードの逆順トレース開始遅延時間は、通常モードの場合よりも短くなるので、逆順トレース検索範囲は、通常モードの場合よりも大きくなる。
逆順終了設定差は、高精度モードの場合、通常モードの場合よりも長くなるように設定する。これにより、高精度モードの逆順トレース終了遅延時間は、通常モードの場合よりも長くなるので、逆順トレース検索範囲は、通常モードの場合よりも大きくなる。
上述してきたように、正順トレースの場合、払出流体の払出開始時刻から正順トレース開始遅延時間だけ遡った時刻から、払出流体の払出終了時刻から正順トレース終了遅延時間だけ遡った時刻までが、正順トレース検索範囲となる。
上述してきたように、逆順トレースの場合、受入流体の受入開始時刻から逆順トレース開始遅延時間だけ経過した時刻から、受入流体の受入終了時刻から逆順トレース終了遅延時間だけ経過した時刻までが、逆順トレース検索範囲となる。
ここで、図25に示すモデル化された設備は、乳製品製造プラントを想定している。
第2の処理は、配乳タンクT1に貯留されている生乳を、ラインL1およびラインL2を経由して水抜きN2へ移送する処理である。この処理では、ラインL1およびラインL2内に滞留しているラインL1やラインL2の洗浄などに用いられた水等を、水抜きN2から排出する。
第3の処理は、配乳タンクT1に貯留されている生乳を、ラインL1およびラインL2を経由して調整乳タンクI1に移送する処理である。この処理では、ラインL1およびラインL2内に滞留している生乳混じりの水を、調整乳タンクI1に排出する。
第4の処理は、配乳タンクT1に貯留されている生乳を、ラインL1およびラインL2を経由してサージタンクT3に移送する処理である。この処理では、配乳タンクT1に貯留されている生乳を殺菌機により殺菌してサージタンクT3に貯留する。
第5の処理は、配乳タンクT2に貯留されている生乳を、サージタンクT3へ移送する処理である。この処理では、サージタンクT3へ移送する配乳タンクがT1からT2に切り替わり、この配乳タンクT2に貯留されている生乳を殺菌機により殺菌してサージタンクT3に貯留する。
第7の処理は、水W1の水を、ラインL1およびラインL2を経由してサージタンクT4に移送する処理である。この処理では、ラインL1に滞留している生乳を、水W1からの水で水押ししてサージタンクT4に送出する。
第8の処理は、水W2の水を、ラインL2を経由してサージタンクT4に移送する処理である。この処理では、ラインL2に滞留している生乳を水W2からの水で水押ししてサージタンクT4に送出する。
第9の処理は、水W2の水を、ラインL2を経由して調整乳タンクI1へ移送する処理である。この処理では、ラインL2に滞留している生乳混じりの水を、水W2からの水で水押しして調整乳タンクI1に送出する。
第10の処理は、水W2の水を、ラインL2を経由して水抜きN2へ移送する。この処理では、水W2からの水でラインL2を洗浄する。
履歴管理システム1において、トレースは管理装置10により行われる。図3や図28に示すような移送履歴や図14に示すような移送イメージを表示装置に表示し、この表示に基づいて任意のプロセス機器等のトレースを行う対象の指定と各モードの設定をユーザが入力装置を介して行うと、管理装置10は、表示装置に表示した移送イメージやこの移送イメージを作成するのに用いた移送履歴に基づいて、トレースを行う。
ここで、各モードとは、ロットを区切りとして空モードか洗浄モードかを指定するロット検索モード、ラインの遅延時間設定を基にした検索における検索対象範囲を通常とするか高精度とするかを指定するライン検索モード、ライン内の流体の滞留を考慮するか否かを指定するライン属性モードなどを言う。
続いて、管理装置10は、当該ラインが滞留ありと設定されている場合(ステップS22:YES)、次の払出設備の移送履歴を検索し(ステップS23)、この履歴と当該ラインの移送履歴および遅延時間とに基づいてトレースを行う(ステップS15)。
当該ラインが滞留なしと設定されている場合(ステップS22:NO)、管理装置10は、当該ラインの移送履歴および遅延時間に基づいてトレースを行う(ステップS15)。
ステップS15においてトレースを行った払出設備が終端の設備の場合(ステップS16:YES)、管理装置10は、ユーザにより指定された対象のトレース結果を表示装置に表示する(ステップS17)。例えば、図29に示すような検索結果を表示するようにしてもよい。
また、符号bで示す部分は、検索経過を示す。この検索経過はツリー構造として表示されている。
また、符号cで示す部分は、検索結果を示す。検索の対象物が何から構成されているかが表示されている。
Claims (8)
- 設備を構成する要素間を移送される流体の処理の履歴から任意の流体に関する処理の履歴を検索するトレース方法であって、
第1の要素から第2の要素へ前記流体の移送を開始した時刻および終了した時刻を前記第1および第2の要素と関連づけた移送履歴に基づいて前記任意の流体に関する処理の履歴を検索し、
前記要素は、プロセス機器とラインから構成され、
前記プロセス機器間の流体の移送は、少なくとも1つの前記ラインを介して行われ、
前記プロセス機器が洗浄された時刻を区切りとする洗浄モード、または、前記プロセス機器が空になった時刻を区切りとする空モードの何れか一方を選択して前記任意の流体に関する処理の履歴を検索する
ことを特徴とするトレース方法。 - 前記ラインに受け入れられた流体が前記ラインから払い出されるまでの時間に関する遅延時間を設定し、
前記遅延時間に基づいて前記任意の流体が前記ラインに受け入れられた時刻および前記ラインから払い出された時刻のうち少なくとも一方を算出する
ことを特徴とする請求項1記載のトレース方法。 - 前記ラインに受け入れられた受入流体と前記ラインから払い出された払出流体とが対応しない場合、
前記受入流体または前記払出流体の前後に前記ラインに受け入れられた流体または前記ラインから払い出された流体を検索する滞留ありモード、または、前記前記受入流体または前記払出流体に対応する流体を検索しない滞留なしモードの何れか一方を選択して前記任意の流体に関する処理の履歴を検索する
ことを特徴とする請求項1または2記載のトレース方法。 - 前記ラインに受け入れられた流体または前記ラインから払い出された流体の検索範囲が、所定の範囲に前記遅延時間が設定された通常モード、または、前記所定の範囲より広くなるよう前記遅延時間が設定された高精度モードの何れか一方を選択して前記任意の流体に関する処理の履歴を検索する
ことを特徴とする請求項1または2記載のトレース方法。 - 設備を構成する要素間を移送される流体の処理の履歴から任意の流体に関する処理の履歴を検索するトレース装置であって、
第1の要素から第2の要素へ前記流体の移送を開始した時刻および終了した時刻を前記第1および第2の要素と関連づけた移送履歴に基づいて前記任意の流体に関する処理の履歴を検索する検索手段を有し、
前記要素は、プロセス機器とラインから構成され、
前記プロセス機器間の流体の移送は、少なくとも1つの前記ラインを介して行われ、
前記検索手段は、前記プロセス機器が洗浄された時刻を区切りとする洗浄モードまたは前記プロセス機器が空になった時刻を区切りとする空モードの何れか一方を選択して前記任意の流体に関する処理の履歴を検索する
ことを特徴とするトレース装置。 - 前記ラインに受け入れられた流体が前記ラインから払い出されるまでの時間に関する遅延時間を設定する設定手段をさらに備え、
前記検索手段は、前記遅延時間に基づいて前記任意の流体が前記ラインに受け入れられた時刻および前記ラインから払い出された時刻のうち少なくとも一方を算出する
ことを特徴とする請求項5記載のトレース装置。 - 前記検索手段は、
前記ラインに受け入れられた受入流体と前記ラインから払い出された払出流体とが対応しない場合、
前記受入流体または前記払出流体の前後に前記ラインに受け入れられた流体または前記ラインから払い出された流体を検索する滞留ありモード、または、前記前記受入流体または前記払出流体に対応する流体を検索しない滞留なしモードの何れか一方を選択して前記任意の流体に関する処理の履歴を検索する
ことを特徴とする請求項5または6記載のトレース装置。 - 前記検索手段は、前記ラインに受け入れられた流体または前記ラインから払い出された流体の検索範囲が、所定の範囲に前記遅延時間が設定された通常モード、または、前記所定の範囲より広くなるよう前記遅延時間が設定された高精度モードの何れか一方を選択して前記任意の流体に関する処理の履歴を検索する
ことを特徴とする請求項5または6記載のトレース方法。
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