JP4265565B2 - 回路接続材料並びに回路端子の接続構造及び接続方法 - Google Patents

回路接続材料並びに回路端子の接続構造及び接続方法 Download PDF

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Description

本発明は、相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続材料と、回路端子の接続構造及び接続方法とに関する。
エポキシ樹脂系接着剤は、高い接着強さが得られ、耐水性や耐熱性に優れること等から、電気・電子・建築・自動車・航空機等の各種用途に多用されている。中でも一液型エポキシ樹脂系接着剤は、主剤と硬化剤との混合が不必要であり使用が簡便なことから、フィルム状、ペースト状、粉体状の形態で使用されている。この場合、エポキシ樹脂と硬化剤及び変性剤との多様な組合せにより、特定の性能を得ることが一般的である(例えば、特許文献1)。
しかしながら、上記特許文献1に示されるようなエポキシ樹脂系のフィルム状接着剤は、作業性に優れるものの、20秒程度の接続時間で140〜180℃程度の加熱、10秒では180〜210℃程度の加熱が必要であった。
この理由は、短時間硬化性(速硬化性)と貯蔵安定性(保存性)の両立により良好な安定性を得ることを目的として、常温で不活性な触媒型硬化剤を用いているために、硬化に際して十分な反応が得られないためである。
近年、精密電子機器の分野では、回路の高密度化が進んでおり、電極幅、電極間隔が極めて狭くなっている。このため、従来のエポキシ樹脂系を用いた回路接続材料の接続条件では、配線の脱落、剥離や位置ずれが生じるなどの問題があった。また、生産効率向上のために10秒以下への接続時間の短縮化が求められてきており、低温速硬化性が必要不可欠となっている。
特開昭62−141083号公報
本発明は、低温速硬化性に優れ、かつ、長い可使時間を有する電気・電子用の回路接続材料を提供するものである。
本発明の回路接続材料は、相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続するフィルム状異方導電性回路接続材料であって、
(1)加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤
(2)ラジカル重合性物質
(3)分子量10000以上の水酸基含有樹脂、及び、
(4)エラストマー
を必須とし、前記分子量10000以上の水酸基含有樹脂と前記エラストマーとが相分離構造を形成しているフィルム状異方導電性回路接続材料である。

この回路接続材料は、膜厚75μmのフィルム状物としたとき、波長500nmでの光透過率が、空気の光透過率に対して10%以上であると好ましい。
また、本発明の回路接続材料はフェノキシ樹脂及びエラストマーを含有することが好ましい。
フェノキシ樹脂とエラストマーとは相分離構造を形成しており、エラストマー相の主分散のtanδピークとフェノキシ樹脂相の主分散のtanδピークが独立に存在することができる。
また、フェノキシ樹脂と前記エラストマーとが相分離構造を形成しており、エラストマー相とフェノキシ樹脂相とが約0.1〜0.3μmのサブミクロンオーダーの微細粒子状に分散したミクロ相分離構造を形成していてもよい。
フェノキシ樹脂及びエラストマーは、フェノキシ樹脂:エラストマーが、体積比で60:40〜90:10であることが好ましい。
本発明の回路接続材料は、導電性粒子を含有することができる。
本発明の回路端子の接続構造は、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とが、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置されており、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に上記の回路接続材料が介在されており、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子が電気的に接続されているものである。
本発明の回路端子の接続方法は、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に上記の回路接続材料を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させるものである。
また本発明の回路端子の接続構造は、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とが、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置されており、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間にラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料が介在されており、前記接続端子の少なくとも一方の表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属であり、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子が電気的に接続されており、ラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料が上記の回路接続材料であるものである。
また、本発明の回路端子の接続方法は、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間にラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させる回路端子の接続方法であって、前記接続端子の少なくとも一方の表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属であり、ラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料を表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属である一方の接続端子に形成した後、もう一方の回路電極を位置合わせし加熱、加圧して接続し、ラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料が上記の回路接続材料であるものである。
本発明によれば、従来のエポキシ樹脂系よりも低温速硬化性に優れかつ長い可使時間を有する電気・電子用の回路接続材料を提供が可能となる。
本発明に用いる加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤としては、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生するものであり、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定されるが、高反応性とポットライフの点から、半減期10時間の温度が40℃以上かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物が好ましい。
配合量は、分子量10000以上の水酸基含有樹脂とラジカル重合性物質の和100重量部に対し0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
硬化剤は、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドなどから選定できる。また、回路部材の接続端子の腐食を抑えるために、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸は5000ppm以下であることが好ましく、更に、加熱分解後に発生する有機酸が少ないものがより好ましい。
具体的には、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドから選定され、高反応性が得られるパーオキシエステルから選定されることがより好ましい。
上記硬化剤は、適宜混合して用いることができる。
パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が使用できる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が使用できる。
ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が使用できる
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が使用できる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が使用できる。
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1、1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が使用できる。
シリルパーオキサイドとしてはt−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が使用できる。
これらの遊離ラジカルを発生する硬化剤は単独又は混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。
また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
本発明で用いるラジカル重合性物質としては、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、アクリレート、メタクリレート、マレイミド化合物等が挙げられる。ラジカル重合性物質はモノマー、オリゴマーいずれの状態で用いることが可能であり、モノマーとオリゴマーを併用することも可能である。
アクリレート(メタクリレート)の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシメトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート等がある。これらは単独又は併用して用いることができ、必要によっては、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止剤を適宜用いてもよい。また、ジシクロペンテニル基及び/又はトリシクロデカニル基及び/又はトリアジン環を有する場合は、耐熱性が向上するので好ましい。
マレイミド化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するもので、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチル−ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4−8(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどを挙げることができる。これらは単独でもまた組み合わせても使用できる。
また、上記のラジカル重合性物質に下記化学式(a)で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質を併用すると金属等の無機物表面での接着強度が向上する。配合量は、分子量10000以上の水酸基含有樹脂とラジカル重合性物質の和100重量部に対し0.1〜10重量部用いるのが好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
Figure 0004265565

(ただしnは1〜3の整数である)
リン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質は、無水リン酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの反応物として得られる。具体的には、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アッシドポスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アッシドポスフェート等がある。これらは単独でもまた組み合わせても使用できる。
本発明で用いる分子量10000以上の水酸基含有樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアミド、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などのポリマーが使用でき、硬化時の応力緩和性に優れ、水酸基による接着性が向上する。各ポリマーをラジカル重合性の官能基で変性したものは耐熱性が向上するためより好ましい。このような場合は分子量10000以上の水酸基含有樹脂であり、かつラジカル重合性物質でもある。
これらポリマーの分子量は10000以上が好ましいが1000000以上になると混合性が悪くなる傾向にある。
分子量10000以上の水酸基含有樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が40℃以上で分子量10000以上の水酸基含有樹脂が使用され、フェノキシ樹脂を使用することができる。分子量10000以上の水酸基含有樹脂は、カルボキシル基含有エラストマー、エポキシ基含有エラストマー、ラジカル重合性の官能基によって変性されていてもよい。またラジカル重合性の官能基で変性したものは耐熱性が向上するため好ましい。
フェノキシ樹脂は、二官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子量まで反応させるか、又は二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を重付加反応させることにより得られる樹脂である。具体的には、二官能フェノール類1モルとエピハロヒドリン0.985〜1.015モルとをアルカリ金属水酸化物の存在下で、非反応性溶媒中で40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。
また、樹脂の機械的特性や熱的特性の点からは、特に二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類の配合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1とし、アルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下で、沸点が120℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン系、アルコール系等の有機溶剤中で、反応固形分濃度が50重量%以下で50〜200℃に加熱して重付加反応させて得たものが好ましい。
二官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂及びこれらのアルキレンオキサイド付加物、ハロゲン化物(テトラブロモビスフェノール型エポキシ樹脂等)、水素添加物、更に脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂及びこれらのハロゲン化物、水素添加物などがある。
これら化合物の分子量はどのようなものでもよく、特に二官能フェノール類と反応させる場合はできるだけ高純度のものが好ましい。これらの化合物は何種類かを併用することができる。エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、エピヨードヒドリンなどが挙げられる。
また、二官能フェノール類は、2個のフェノール性水酸基をもつ化合物であればどのようなものでもよく、例えば、ハイドロキノン、2−ブロモハイドロキノン、レゾルシノール、カテコールなどの単環二官能フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等のビスフェノール類、4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどのジヒドロキシビフェニル類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシフェニルエーテル類及びこれらのフェノール骨格の芳香環に直鎖アルキル基、分枝アルキル基、アリール基、メチロール基、アリル基、環状脂肪族基、ハロゲン(テトラブロモビスフェノールA等)、ニトロ基等を導入したもの、これらのビスフェノール骨格の中央にある炭素原子に直鎖アルキル基、分枝アルキル基、アリル基、置換基のついたアリル基、環状脂肪族基、アルコキシカルボニル基等を導入した多環二官能フェノール類である。
具体的には、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−メチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−メチルフェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−(1−メチルエチル)フェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−(1,1−メチルプロピル)フェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、4,4’−メチレンビス[2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2,6−ジ(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−(2−プロペニル)フェノール]、4,4’−メチレンビス[2−(2−プロペニル)フェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−(1−フェニルエチル)フェノール]、3,3’−ジメチル[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、3,3’−ビス(2−プロペニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−メチル−6−ヒドロキシメチルフェノール]、テトラメチロールビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラキス(ヒドロキシメチル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−フェニルフェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−シクロヘキシルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール)、4,4’−(1−メチルプロピリデン)ビスフェノール、4,4’−(1−メチルヘプチリデン)ビスフェノール、4,4’−(1−メチルオクチリデン)ビスフェノール、4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ビスフェノール、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノール、4,4’−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール、4,4’−プロピリデンビスフェノール、4,4’−(1−エチルプロピリデン)ビスフェノール、4,4’−(3−メチルブチリデン)ビスフェノール、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、4,4’−(フェニルメチレン)ビスフェノール、4,4’−(ジフェニルメチレン)ビスフェノール、4,4’−[1−(4−ニトロフェニル)エチリデン]ビスフェノール、4,4’−[1−(4−アミノフェニル)エチリデン]ビスフェノール、4,4’−[(4−ブロモフェニル)メチレンビスフェノール、4,4’−[(4−クロロフェニル)メチレンビスフェノール、4,4’−[(4−フルオロフェニル)メチレンビスフェノール、4,4’−(2−メチルプロピリデン)ビス[3−メチル−6−(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、4,4’−(1−エチルプロピリデン)ビス[2−メチルフェノール]、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビス[2−メチルフェノール]、4,4’−(フェニルメチレン)ビス−2,3,5−トリメチルフェノール、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビス[2−(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、4,4’−(1−メチルプロピリデン)ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビス[2−フェニルフェノール]、4,4’−ブチリデンビス[3−メチル−6−(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、4−ヒドロキシ−α−(4−ヒドロキシフェニル−α−メチルベンゼンアセチックアシドメチルエステル、4−ヒドロキシ−α−(4−ヒドロキシフェニル−α−メチルベンゼンアセチックアシドエチルエステル、4−ヒドロキシ−α−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンアセチックアシドブチルエステル、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールAD、4,4’−(1−メチルエチレン)ビス[2,6−ジクロロフェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−クロロフェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−クロロ−6−メチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−フルオロフェノール]、4,4’−メチレンビス[2,6−ジフルオロフェノール]、4,4’−イソプロピリデンビス[2−フルオロフェノール]、3,3’−ジフルオロ−[1,1’−ジフェニル]−4,4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、4,4’−(フェニルメチレン)ビス[2−フルオロフェノール]、4,4’−[(4−フルオロフェニル)メチレンビス[2−フルオロフェノール]、4,4’−(フェニルメチレン)ビス[2,6−ジフルオロフェノール]、4,4’−(4−フルオロフェニル)メチレンビス[2,6−ジフルオロフェノール]、4,4’−(ジフェニルメチレン)ビス[2−フルオロフェノール]、4,4’−(ジフェニルメチレン)ビス[2,6−ジフルオロフェノール]、4,4’−(1−メチルエチレン)ビス[2−ニトロフェノール]などがある。
また、これら以外の多環二官能フェノール類としては、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−メチルフェノール]、4,4’−シクロペンチリデンビスフェノール、4,4’−シクロペンチリデンビス[2−メチルフェノール]、4,4’−シクロヘキシリデン[2,6−ジメチルフェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシルフェノール]、4,4’−(1,2−エタンジイル)ビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−フェニルフェノール]、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[2−メチルフェノール]、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[2−メチル−6−ヒドロキシメチルフェノール]、4−[1−[4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−メチルシクロヘキシル]−1−メチルエチル]−2−メチルフェノール、4−[1−[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−メチルシクロヘキシル]−1−メチルエチル]−2,6−ジメチルフェノール、4,4’−(1,2−エタンジイル)ビス[2,6−ジ−(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、4,4’−(ジメチルシリレン)ビスフェノール、1,3−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、両末端にp−ヒドロキシフェニル基を有するシリコーンオリゴマー及び2,2’−メチリデンビスフェノール、2,2’−メチルエチリデンビスフェノール、2,2’−エチリデンビスフェノール等のフェノール骨格の芳香環に直鎖アルキル基、分枝アルキル基、アリール基、メチロール基、アリル基等を導入したものである。
具体的には、2,2’−メチリデンビス[4−メチルフェノール]、2,2’−エチリデンビス[4−メチルフェノール]、2,2’−メチリデンビス[4,6−ジメチルフェノール]、2,2’−(1−メチルエチリデン)ビス[4,6−ジメチルフェノール]、2,2’−(1−メチルエチリデン)ビス[4−sec−ブチルフェノール]、2,2’−メチリデンビス[6−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール]、2,2’−エチリデンビス[4,6−ジ(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、2,2’−メチリデンビス[4−ノニルフェノール]、2,2’−メチリデンビス[3−メチル−4,6−ジ−(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、2,2’−(2−メチルプロピリデン)ビス[2,4−ジメチルフェノール]、2,2’−エチリデンビス[4−(1,1−ジメチルエチル)フェノール]、2,2’−メチリデンビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−メチリデンビス(4−フェニルフェノール)、2,2’−メチリデンビス[4−メチル−6−ヒドロキシメチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(2−プロペニル)フェノール]などがある。これらの化合物は何種類かを併用することができる。
反応終了後の溶液は、メタノールなどの貧溶媒を用いて再沈精製を行い固形フェノキシ樹脂として得ることもできる。このようにして製造したフェノキシ樹脂は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の目的を達成するには、下記一般式(I)で表される第1の構成単位、及び/又は、下記一般式(II)で表される第2の構成単位からなり、第1の構成単位を分子中に少なくとも一つ含む樹脂であることが好ましい。なお、第1の構成単位と第2の構成単位とを両方備える共重合体を上記フェノキシ樹脂として用いる場合、そのフェノキシ樹脂中に第1の構成単位が10モル%以上含まれていることが好ましく、共重合比を、第1の構成単位数:第2の構成単位数=2:8〜8:2とすることが更に好ましい。また、2種以上のフェノキシ樹脂を用いる場合には、そのうち少なくとも1種がこの第1の構成単位及び/又は第2の構成単位からなり、第1の構成単位を分子中に少なくとも一つ含む樹脂であることが好ましい。
Figure 0004265565
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ここで、R、R、R、Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等)、及び、電子吸引基の中から独立して選ばれ、少なくとも一つは電子吸引基である。電子吸引基とは、Hammettの置換基定数σが+の値を有する基であり(「化学辞典」833〜834頁、1986年、森北出版(株)発行)、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン、トリフロロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ニトロ基、ニトリル基、メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基、カルボキシル基、メチルカルボニル基やエチルカルボニル基などのアルキルカルボニル基、メトキシカルボニル基やエトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、及び、アルキルスルホニル基等が挙げられ、ハロゲンとすることが好ましい。
また、R、R、R、Rは、水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等)の中から独立して選ばれるものである。
及びXは、2価の有機基又は結合を示すものである。このX及びXの表す2価の有機基は、特に限定されるものではないが、例えばつぎのようなものが挙げられる。
Figure 0004265565
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このようなフェノキシ樹脂は合成原料の少なくとも一つが、これら水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、電子吸引基を有する二官能エポキシ樹脂及び/又は二官能フェノール類を用いることにより得ることができる。
このフェノキシ樹脂の具体例としては、例えば、下記構造式(III)により表される繰り返し単位と、下記構造式(IV)により表される繰り返し単位とからなるランダム共重合体や、
Figure 0004265565
下記構造式(V)で示される繰り返し単位からなる重合体、
Figure 0004265565
下記構造式(VI)で示される繰り返し単位からなる重合体、
Figure 0004265565
下記構造式(VII)で示される繰り返し単位からなる重合体
Figure 0004265565
などが挙げられる。
硬化物が可撓性、強靱性、膜形成性などの優れた特性を示すために、平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量)が好ましくは10000以上、より好ましくは20000以上、更に好ましくは30000以上のフェノキシ樹脂が用いられる。市販品としては、例えばPKHH、PAHJ(Union Carbide社製)、YPB−43C、YPB−43D、YPB−43G、YPB−43m、YP−50、又はYPB−40ASB25、YPB−40AM40(東都化成社製)等を再沈精製したものなどを挙げることができる。
また、カルボキシル基含有エラストマー、エポキシ基含有エラストマーとしては、分子末端又は分子鎖中にカルボキシル基又はエポキシ基を有するエラストマーであるならばどのようなものでもよく、例えば、ブタジエン系重合体、アクリル重合体、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、ポリアミドウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあり、ブタジエン系重合体が好ましい。なお、ブタジエン系重合体としては、ブタジエン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらのうち、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体が特に好ましい。 カルボキシル基含有エラストマーの重量平均分子量は、500〜1000000の範囲ものが好ましく、より好ましくは1000〜800000、更に好ましくは1000〜10000である。
エラストマーの骨格中に含まれるフェノキシ樹脂と相溶性を有する成分の量は、多すぎると相溶してしまうので、フェノキシ相とエラストマー相が相分離するように決定するのが好ましい。この成分量は、フェノキシ樹脂の構造(SP値)及び変性後の樹脂の耐熱性や機械的強度に応じて任意に加減することができる。例えばブタジエン−アクリロニトリル共重合体の場合には、アクリロニトリル含量が40重量%以下に設定されることが好ましく、より好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。市販品としては、例えば、HYCAR CTBN1300x31、HYCAR CTBN1300x8、HYCAR CTBN1300x13、HYCAR CTBNX1300x9、HYCAR CTBNX1009−SP、HYCAR CTB200x162(宇部興産社製)、NIPOL DN 601(日本ゼオン社製)、Nisso PB、C−1000、C−2000(日本曹達社製)、ELC−4(日本合成ゴム社製)などを挙げることができる。
また、本発明の封止用成形材料を半導体等の電子部品装置用途に用いる場合、材料中のイオン性不純物をできるだけ低減することが好ましい。したがって、これらカルボキシル基含有エラストマーにおいても、ポリマー中のNa、Kなどのアルカリ金属イオンは、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下、Clは、好ましくは400ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは40ppm以下である。
本発明の相分離構造物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。
まず、上記フェノキシ樹脂を溶剤に溶解し、これに上記のカルボキシル基含有エラストマーを溶解する(フェノキシ樹脂とエラストマーの体積比は、対象用途で要求される硬化物の可撓性、強靱性及び接着強度の目標値に応じて任意に設定することができるが、フェノキシ樹脂:エラストマーが60:40〜90:10の範囲が好ましく、更に好ましくは66:33〜87:13の範囲である)。
製造時の溶剤としては、フェノキシ樹脂及びカルボキシル基含有エラストマーを溶解する溶剤であればどのようなものでもよいが、加熱混合後の溶液に後述するブロックイソシアネートを添加する場合には、イソシアネート基に対して不活性な溶剤であることが必要である。
次に、溶液中を十分に窒素置換した後、常温で半透明又は透明、好ましくは粘度が一定値になるまで、窒素下で100℃〜220℃、好ましくは130℃〜180℃程度で加熱しながら攪拌混合する。なお、加熱混合は溶剤を還流しながら行うことが好ましい。
加熱混合終了後のエラストマー変性フェノキシ樹脂の溶液は、メタノールなどの貧溶剤を用いて再沈精製を行い固形の相分離構造物として得ることもできる。変性の機構は明らかではないが、変性前後でのH1−NMRスペクトルでは、フェノキシ樹脂骨格中の水酸基に結合したメチンのプロトンに相当する積分値が、変性後減少していることを確認した。また、FT−IR(フーリエ変換−赤外吸収)スペクトルでは、エラストマーを単純にブレンドしたものでは認められない3460cm−1〜3560cm−1及び1610cm−1〜1640cm−1の領域のスペクトルに顕著な変化が生じていることを確認した。このことから、カルボキシル基含有エラストマーのカルボキシル基の少なくとも1部と、フェノキシ樹脂中の水酸基の少なくとも1部とが、エステル結合を形成していると考えられる。
このようにして得られるエラストマー変性フェノキシ樹脂は、フェノキシ樹脂とカルボキシル基含有エラストマーとが相分離を形成しており、この相分離構造物のみで光学的に透明又は半透明のフィルム状物を成形可能で、その膜厚75μmのフィルム状物の波長500nmでの光透過率が、空気の光透過率に対して10%以上である。光透過率は、20〜90%であることがより好ましく、30〜85%であることが更に好ましい。
相分離の形成は、走査型や透過型の電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等による観察や動的粘弾性測定、光散乱法、X線小角散乱法等により確認可能である(「ポリマーブレンド」第80〜124頁、(株)シーエムシー発行)。例えば、動的粘弾性測定では、エラストマー相の主分散のtanδ(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)ピークとフェノキシ樹脂相の主分散のtanδピークが独立に存在していることを確認すればよい。
なお、本発明の相分離構造物は、そのフィルム状物の走査型電子顕微鏡像において、エラストマー相とフェノキシ樹脂相とが約0.1〜0.3μmのサブミクロンオーダーの微細粒子状に分散したミクロ相分離構造を形成していることが好ましく、このような相分離構造のフィルム状物は光学的に透明あるいは半透明なものとなる。すなわち、本発明の相分離構造物の、その膜厚75μmのフィルム状物の波長500nmでの光透過率は、空気の光透過率に対して10%以上である。
本発明で得られるエラストマー変性フェノキシ樹脂の相分離構造としては、例えばエラストマー相とフェノキシ樹脂相のミクロ相分離構造やミクロドメインが連結したミクロ相分離構造等、カルボキシル基含有エラストマーとフェノキシ樹脂の混合では従来知られていない構造が挙げられる。このようなミクロ相分離構造が、被着体に対する接着強度を向上させる一つの要因として考えられる。
分子量10000以上の水酸基含有樹脂とラジカル重合性物質との配合量は、重量で、分子量10000以上の水酸基含有樹脂/ラジカル重合性物質が10/90〜90/10であることが好ましく、30/70〜70/30であることがより好ましい。
また、本発明の回路接続材料にアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はアクリロニトリルのうち少なくとも一つをモノマー成分とした重合体又は共重合体であり、グリシジルエーテル基を含有するグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムを併用した場合、応力緩和に優れるので好ましい。これらアクリルゴムの分子量(重量平均)は接着剤の凝集力を高める点から20万以上が好ましい。
更に、充填材、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤及びフェノール樹脂やメラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
充填材を含有した場合、接続信頼性等の向上が得られるので好ましい。充填材の最大径が導電粒子の粒径未満であれば使用でき、5〜60体積部(接着剤樹脂成分100体積部に対して)の範囲が好ましい。60体積部を超えると信頼性向上の効果が飽和することがあり、5体積部未満では添加の効果が少ない。
カップリング剤としては、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基、及びイソシアネート基含有物が、接着性の向上の点から好ましい。
本発明の回路接続材料は、相対向する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する接続材料であって、示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/minの測定において、発熱反応の立ち上がり温度(Ta)が70℃〜110℃の範囲内で、ピーク温度(Tp)がTa+5〜30℃であり、かつ終了温度(Te)が160℃以下であることを特徴とする。
従来のエポキシ樹脂系フィルム状接着剤は、作業性に優れるものの、20秒程度の接続時間で140〜190℃程度の加熱、10秒では190〜210℃程度の加熱が必要であった。この理由は、短時間硬化性(速硬化性)と貯蔵安定性(保存性)の両立により良好な安定性を得ることを目的として、常温で不活性な触媒型硬化剤を用いているために、硬化に際して十分な反応が得られないためである。近年、精密電子機器の分野では、回路の高密度化が進んでおり、電極幅、電極間隔が極めて狭くなっている。このため、従来のエポキシ樹脂系を用いた回路接続材料の接続条件では、配線の脱落、剥離や位置ずれが生じるなどの問題があった。また、生産効率向上のために10秒以下への接続時間の短縮化が求められてきており、低温速硬化性が必要不可欠となっている。
本発明の回路接続材料は、140〜180℃で10秒程度加熱により硬化し回路電極の接続ができ、かつ、室温での比較的長い可使時間を有する電気・電子用の回路接続材料を提供することができる。
本発明の回路接続材料は導電性粒子がなくても、接続時に相対向する回路電極の直接接触により接続が得られるが、導電性粒子を含有した場合、より安定した接続が得られる。
導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等があり、十分なポットライフを得るためには、表層はNi、Cuなどの遷移金属類ではなくAu、Ag、白金族の貴金属類が好ましくAuがより好ましい。また、Niなどの遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよい。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等に前記した導通層を被覆等により形成し、最外層を貴金属類プラスチックを核とした場合や、熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し信頼性が向上するので好ましい。貴金族類の被覆層の厚みは良好な抵抗を得るためには、100Å以上が好ましい。しかし、Ni等の遷移金属の上に貴金属類の層を設ける場合では、貴金属類層の欠損や導電性粒子の混合分散時に生じる貴金属類層の欠損等により生じる酸化還元作用で遊離ラジカルが発生し保存性低下を引き起こすため、300Å以上が好ましい。導電性粒子は、接着剤樹脂成分100部(体積)に対して0.1〜30部(体積)の範囲で用途により使い分ける。過剰な導電性粒子による隣接回路の短絡等を防止するためには0.1〜10部(体積)とするのがより好ましい。
また、回路接続材料を2層以上に分割し、遊離ラジカルを発生する硬化剤を含有する層と導電性粒子を含有する層に分離した場合、ポットライフの向上が得られる。
本発明の回路用接続材料は、ICチップとチップ搭載基板との接着や電気回路相互の接着用のフィルム状接着剤として使用することもできる。
本発明の回路接続材料は、例えばフェイスダウン方式により半導体チップを基板と接着フィルムで接着固定すると共に両者の電極どうしを電気的に接続する場合にも使用できる。
すなわち、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に本発明の接続材料(フィルム状接着剤)を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させることができる。
このような回路部材としては半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品、プリント基板等の基板等が用いられる。
これらの回路部材には接続端子が通常は多数(場合によっては単数でもよい)設けられており、前記回路部材の少なくとも1組をそれらの回路部材に設けられた接続端子の少なくとも1部を対向配置し、対向配置した接続端子間に接着剤を介在させ、加熱加圧して対向配置した接続端子どうしを電気的に接続して回路板とする。
回路部材の少なくとも1組を加熱加圧することにより、対向配置した接続端子どうしは、直接接触により又は異方導電性接着剤の導電性粒子を介して電気的に接続することができる。
本発明の回路用接続材料は、接続時に接着剤が溶融流動し相対向する回路電極の接続を得た後、硬化して接続を保持するものであり、接着剤の流動性は重要な因子である。厚み0.7mm、15mm×15mmのガラスを用いて、厚み35μm、5mm×5mmの回路用接続材料をこのガラスにはさみ、150℃2MPa10sで加熱加圧を行った場合、初期の面積(A)と加熱加圧後の面積(B)を用いて表される流動性(B)/(A)の値は1.3〜3.0であることが好ましく、1.5〜2.5であることがより好ましい。1.3未満では流動性が悪く、良好な接続が得らない場合があり、3.0を超える場合は、気泡が発生しやくす信頼性に劣る場合がある。
本発明の回路用接続材料の、硬化後の40℃での弾性率は、100〜2000MPaが好ましく、1000〜1800MPaがより好ましい。
本発明の回路電極の接続方法は、ラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料を表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属である一方の電極回路に形成した後、もう一方の回路電極を位置合わせし加熱、加圧して接続することを特徴とする。
本発明の回路電極の接続構造は、相対向する回路電極が回路接続材料を介して電気的に接続された回路電極の接続構造であって、前記回路電極の少なくとも一方の表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属であり、前記回路接続材料がラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料であることを特徴とする。
ラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料としては、導電性粒子を含有する異方導電性接着剤が使用され、異方導電性接着剤の導電性粒子としては表面が金、銀及び白金族から選ばれる貴金属である導電性粒子が使用される。
ラジカル重合による硬化性を有する接着剤を用いて、相対向する回路電極を電気的に接続する接続方法を鋭意検討した結果、回路電極の少なくとも一方の表面を金、銀、白金族、又は錫とし、この面にラジカル硬化性の接着剤を載置形成(仮接続)後、本接続することにより、良好な電気的接続が得られる。
図1は本発明の一実施例を説明する回路基板の仮接続行程を示す断面図である。図2は、本発明の一実施例を説明する回路基板の本接続行程を示す断面図である。これらの図において、1及び2は基板を、1−a及び2−aは回路電極を、3は接着剤を、4は導電性粒子を、5は熱板を、それぞれ示している。
本発明に用いる基板1は、半導体チップ類のシリコーンやガリウム・ヒ素等や、ガラス、セラミックス、ガラス・エポキシ複合体、プラスチック等の絶縁基板であり、これに対向する基板2も同様な材質からなる。
回路電極1−aは基板1の表面に銅箔で設けたもので、金の表面層が形成されている。表面層は金、銀、白金族、又は錫のいずれかから選択され、これらを組み合わせて用いてもよい。また、銅/ニッケル/金のように複数の金属を組み合わせて多層構成としてもよい。回路電極2−aは基板2の表面に銅箔で設けたもので、錫の表面層が形成されている。
回路電極を設けた基板は接続時の加熱による揮発成分による接続への影響をなくすために、回路接続材料による接続工程の前に予め加熱処理されることが好ましい。加熱処理条件は50℃以上の温度で1時間以上が好ましく、100℃以上の温度で5時間以上がより好ましい。
接着剤3は加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤及びラジカル硬化性の物質を必須とする接着剤であり、導電性粒子を所定量分散したラジカル硬化性の異方導電性接着剤としてもよい。この際、導電性粒子の表面は金、銀、又は白金族から選択される貴金属であることが好ましい。接着剤3は基板1上に載置形成(仮接続)されている。
図2に示すように、仮接続の後に、基板1の回路電極1−aと基板2の回路電極2−aを位置合わせし、基板2上方より熱板5にて所定時間の加熱加圧を行い本接続を完了する。
反応性に優れるラジカル硬化性の接着剤を使用し、表面がニッケルや銅などの遷移金属の回路電極を用いて接続を行う場合、ラジカル硬化性の接着剤を回路電極に載置形成(仮接続)後一定期間放置すると、酸化還元作用によりラジカル重合が進行してしまい接着剤が流動しにくくなり、本接続時に十分な電気的接続ができないが、本発明においては、従来のエポキシ樹脂系よりも低温速硬化性に優れかつ可使時間が長い電気・電子用の回路接続が可能となる。
回路電極を設けた基板の少なくとも一方を50℃以上の温度で1時間以上加熱処理することができる。
<実施例1>
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、平均分子量45,000)50gを、重量比でトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)/酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40%の溶液とした。
ラジカル重合性物質としてトリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート(共栄社油脂株式会社製、商品名80MFA)を用いた。
遊離ラジカル発生剤としてt−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノネートの50重量%DOP溶液(日本油脂株式会社製、商品名パーキュアHO)を用いた。
ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.04μmの金層を設け、平均粒径10μmの導電性粒子を作製した。
固形重量比でフェノキシ樹脂50g、トリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート樹脂50g、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノネート5gとなるように配合し、更に導電性粒子を3体積部(樹脂成分100体積部に対し)配合分散させ、厚み80μmの片面を表面処理したPETフィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥により、接着剤層の厚みが35μmの回路接続材料を得た。
上述の回路接続材料を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)同士を160℃、3MPaで10秒間加熱加圧して幅2mmにわたり接続した。このとき、予め一方のFPC上に、回路接続材料の接着面を貼り付けた後、70℃、0.5MPaで5秒間加熱加圧して仮接続し、その後、PETフィルムを剥離してもう一方のFPCと接続することにより、回路を接続した。
<実施例2〜4>
ラジカル重合性物質としてトリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート、リン酸エステル型アクリレート(共栄社油脂株式会社製、商品名P2m)を用いて、フェノキシ樹脂/トリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート、リン酸エステル型アクリレートの固形重量比を50g/49g/1g(実施例2)、30g/69g/1g(実施例3)、70g/29g/1g(実施例4)としたほかは、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例5>
硬化剤の配合量を2gとしたほかは、実施例2と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例6>
硬化剤をt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネート(日本油脂株式会社製、商品名パーブチルO)としたほかは、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例7>
平均分子量45,000のフェノキシ樹脂(PKHC)100gに末端カルボキシル基含有ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(Hycar CTBNX1009−SP、宇部興産(株)製)25gを一般的方法で反応させて、カルボキシル基含有ブタジエン−アクリロニトリル共重合体で変性したフェノキシ樹脂を作製した。このフェノキシ樹脂を用い、フェノキシ樹脂/トリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート、リン酸エステル型アクリレートの固形重量比を60g/39g/1gとしたほかは実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例8>
平均分子量45,000のフェノキシ樹脂(PKHC)100gにエポキシ基含有アクリル共重合体25gで変性したフェノキシ樹脂を作製した。このフェノキシ樹脂を用い、フェノキシ樹脂/トリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート、リン酸エステル型アクリレートの固形重量比を60g/39g/1gとしたほかは実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例9>
エポキシ基含有アクリル共重合体(アクリルゴム)を用いフェノキシ樹脂/アクリルゴム/トリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート、リン酸エステル型アクリレートの固形重量比を40g/20g/39g/1gとしたほかは実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例10>
平均分子量45,000のフェノキシ樹脂(PKHC)100gに末端にアクリル基を持つモノイソシアネート5gを一般的方法で反応させて、アクリル基で変性したフェノキシ樹脂を作製した。このフェノキシ樹脂を用い、フェノキシ樹脂/トリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート、リン酸エステル型アクリレートの固形重量比を60g/39g/1gとしたほかは実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例11>
導電性粒子を平均粒径2μmのNi粒子の表面をAuで被覆(被覆厚み0.08μm)したものを用いて、0.5体積部としたほかは、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例12>
導電性粒子の粒径を5μmとしたほかは、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例13>
ラジカル重合性物質として2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン(新中村化学(株)製、商品名 A−BPE−4)を用い、フェノキシ樹脂/2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、リン酸エステル型アクリレートの固形重量比を60g/39g/1g他は実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例14>
ラジカル重合性物質としてジシクロペンテニルアクリレート(共栄社油脂株式会社製、商品名DCP−A)を用い、フェノキシ樹脂/ジシクロペンテニルアクリレート、リン酸エステル型アクリレートの固形重量比を60g/39g/1gとしたほかは、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例15>
ラジカル重合性物質としてトリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレートを用い、フェノキシ樹脂/トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、リン酸エステル型アクリレートの固形重量比を60g/39g/1gとしたほかは、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例16>
ラジカル重合性物質として4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン30gとジアリルビスフェノールA35gを120℃で20分間加熱混合したものとリン酸エステル型アクリレート(共栄社油脂株式会社製、商品名P−2m)を用いた。
フェノキシ樹脂(PKHC)とニトリルゴム(日本ゼオン株式会社製、商品名ニポール1072)を用い、フェノキシ樹脂/ニトリルゴムを20g/10gとしメチルエチルケトン30gで溶解し、固形分50%の溶液とした。
固形重量比で4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとジアリルビスフェノールAを120℃で20分間加熱混合したものを69g、フェノキシ樹脂20g、ニトリルゴム10g、リン酸エステル型アクリレート1g、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノネート5gとなるように配合し、更に導電性粒子を3体積%配合分散させ、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例17>
ラジカル重合性物質として4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン30gとジアリルビスフェノールA20gを120℃で20分間加熱混合したものを用いたほかは、実施例14と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<実施例18>
導電性粒子を平均粒径2μmのNi粒子の表面をPdで被覆(被覆厚み0.04μm)したものを用いて、0.5体積%としたほかは、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
この回路接続材料を用いて、実施例1と同様にして回路を接続した。
<比較例>
フェノキシ樹脂(PKHC)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL980、油化シェル株式会社製品名)、イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤(3941HP 株式会社旭化成製商品名)を用いて、フェノキシ樹脂/ビスフェノールA型エポキシ樹脂/イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤の固形重量比を40/20/40とした他は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
(接続抵抗の測定)
回路の接続後、上記接続部を含むFPCの隣接回路間の抵抗値を、初期と、85℃、85%RHの高温高湿槽中に500時間保持した後にマルチメータで測定した。抵抗値は隣接回路間の抵抗150点の平均(x+3σ)で示した。実施例1で得られた回路接続材料は良好な接続信頼性を示した。また、初期の接続抵抗も低く、高温高湿試験後の抵抗の上昇もわずかであり、高い耐久性を示した。また、実施例2〜18も実施例1と同様に良好な信頼性が得られた。これらに対して、比較例は、硬化反応が不十分であるため接着状態が悪く、初期の接続抵抗が高くなった。
(接着力の測定)
回路の接続後、90度剥離、剥離速度50mm/分で接着力測定を行った。比較例は硬化反応が不十分で、接着強度に200gf/cm程度と接着力が低かったが、実施例1〜18では1000gf/cm程度と良好な接着力が得られた。
(保存性の評価)
得られた回路接続材料を30℃の恒温槽で30日間処理し、上記と同様にして回路の接続を行い保存性を評価した。
いずれの場合も、30℃の恒温槽で30日間処理しない状態(初期)と同等の接続結果が得られた。
(絶縁性の評価)
得られた回路接続材料を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を交互に250本配置した櫛形回路を有するプリント基板とライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)を160℃、3MPaで10秒間加熱加圧して幅2mmにわたり接続した。この接続体の櫛形回路に100Vの電圧を印加し、85℃85%RH高温高湿試験500時間後の絶縁抵抗値を測定した。
いずれの場合も109Ω以上の良好な絶縁性が得られ絶縁性の低下は観察されなかった。
(流動性の評価)
厚み35μm、5mm×5mmの回路用接続材料を用い、これを厚み0.7mm、15mm×15mmのガラスにはさみ、150℃、2MPa、10秒の条件で加熱加圧を行った。初期の面積(A)と加熱加圧後の面積(B)を用いて流動性(B)/(A)の値を求めたところ、実施例1は1.9であり、実施例2〜10についても1.3〜3.0の範囲内であった。
(硬化後の弾性率)
実施例1の回路用接続材料の、硬化後の40℃での弾性率を測定したところ1500MPaであった。
(DSCの測定)
得られた回路接続材料を用いて、示差走査熱量計(DSC TAインスツルメント社製 商品名910型)を用いて10℃/分の測定において、発熱反応の立ち上がり温度(Ta)、ピーク温度(Tp)、終了温度(Te)を求めた。
実施例1の立ち上がり温度(Ta)は89℃、ピーク温度(Tp)は103℃、終了温度(Te)は145℃であった。実施例2の立ち上がり温度(Ta)は87℃、ピーク温度(Tp)は99℃、終了温度(Te)は140℃であった。実施例7の立ち上がり温度(Ta)は92℃、ピーク温度(Tp)は116℃、終了温度(Te)は150℃であった。比較例の立ち上がり温度(Ta)は86℃、ピーク温度(Tp)は121℃、終了温度(Te)は180℃であった。
上述のように、本発明によれば、従来のエポキシ樹脂系よりも低温速硬化性に優れかつ長い可使時間を有する電気・電子用の回路接続材料を提供が可能となる。
図1は、本発明の一実施例を説明する、回路基板の仮接続工程を示す断面図である。 図2は、本発明の一実施例を説明する、回路基板の仮接続工程を示す断面図である。

Claims (11)

  1. 相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続するフィルム状異方導電性回路接続材料であって、
    (1)加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤
    (2)ラジカル重合性物質
    (3)分子量10000以上の水酸基含有樹脂、及び、
    (4)エラストマー
    を必須とし、前記分子量10000以上の水酸基含有樹脂と前記エラストマーとが相分離構造を形成しているフィルム状異方導電性回路接続材料。
  2. 膜厚75μmのフィルム状物としたとき、波長500nmでの光透過率が、空気の光透過率に対して10%以上である請求項1記載の回路接続材料。
  3. 前記分子量10000以上の水酸基含有樹脂がフェノキシ樹脂である請求項1又は2に記載の回路接続材料。
  4. 前記フェノキシ樹脂と前記エラストマーとが相分離構造を形成しており、エラストマー相の主分散のtanδピークとフェノキシ樹脂相の主分散のtanδピークが独立に存在している請求項3記載の回路接続材料。
  5. 前記フェノキシ樹脂と前記エラストマーとが相分離構造を形成しており、エラストマー相とフェノキシ樹脂相とが約0.1〜0.3μmのサブミクロンオーダーの微細粒子状に分散したミクロ相分離構造を形成している請求項3又は4に記載の回路接続材料。
  6. 前記フェノキシ樹脂:前記エラストマーが、体積比で60:40〜90:10である請求項3〜5のいずれかに記載の回路接続材料。
  7. 導電性粒子を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の回路接続材料。
  8. 第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とが、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置されており、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に請求項1〜7のいずれかに記載の回路接続材料が介在されており、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子が電気的に接続されている回路端子の接続構造。
  9. 第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に請求項1〜7のいずれかに記載の回路接続材料を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させる回路端子の接続方法。
  10. 第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とが、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置されており、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間にラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料が介在されており、前記接続端子の少なくとも一方の表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属であり、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子が電気的に接続されており、
    ラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料が請求項1〜7のいずれかに記載の回路接続材料である回路端子の接続構造。
  11. 第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間にラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させる回路端子の接続方法であって、前記接続端子の少なくとも一方の表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属であり、ラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料を表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属である一方の接続端子に形成した後、もう一方の回路電極を位置合わせし加熱、加圧して接続し、
    ラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料が請求項1〜7のいずれに記載の回路接続材料である回路端子の接続方法。
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