JP4265549B2 - 車両用発電機およびその組付方法 - Google Patents
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Description
従来より、車両に搭載される種々の電気機器に電力を供給するため、発電機が車両に搭載されている。この発電機を構成する電機子コイル、界磁コイル、整流器、レギュレータなどは、周知のごとく通電により発熱する。このため、ロータと同軸的に回転するファンを発電機内部に取り付け、発電機内部に外気を強制的に循環させることにより、発熱部材を冷却している。
特許文献1、2に記載の技術は、騒音自体を直接に低減することにより、乗員の不快感を低減する。しかし、特許文献1に記載の技術のように、冷却水を用いた冷却手段を別途設けることは、ケースの構造を複雑にするばかりでなく、高コスト化を招くと考えられる。また、特許文献2に記載の技術のように、発電機の内部構造を騒音低減の都合に合わせて改変することは、近年のように電力消費量が増加している状況を考慮すると、発電機本来の目的である必要電力の供給に不具合が生じると考えられる。
請求項1に記載の車両用発電機は、両端壁で略軸方向に開口する軸方向開口部、および周側壁で略径方向に開口する径方向開口部を有するケースを備え、一端壁に設けられた軸方向開口部は、ケースの外側から隙間を隔てて配置される遮蔽部により覆われている。そして、軸方向開口部から吸入された外気により電機子コイル、界磁コイル、整流器、レギュレータなどが冷却され、冷却後の外気は径方向開口部から吐出される。
外気が発電機の内部を循環することにより風切音による騒音が発生するが、遮蔽部を設けることによりこの騒音を反射することができる。このため、発電機の内部で発生した騒音は外部に伝播されにくくなるので、騒音による乗員の不快感を低減することができる。
また、プーリが取り付けられるケースの一端壁側では、ケースの一端壁に近接してファンが配置されるため、騒音が外部に伝播しやすい。このため、ケースの一端壁側に遮蔽部を配置すれば、騒音による乗員の不快感を低減する効果が極めて大きい。
請求項2に記載の車両用発電機は、遮蔽部がケースの外面から外側に延設されている。
これにより、遮蔽部とケースとを一体的に成形できるので、部品点数を増加させずに騒音による乗員の不快感を低減することができる。
請求項3に記載の車両用発電機は、遮蔽部が、軸方向開口部の面積の50%以上、かつ90%以下を覆う。
遮蔽部に覆われる面積が50%よりも小さいと、遮蔽部に反射される騒音の割合が少なくなり、騒音による乗員の不快感が増大する。また、遮蔽部に覆われる面積が90%よりも大きいと、外気の吸入量が少なくなり、外気循環による冷却が不十分になる。
以上により、遮蔽部に覆われる面積を50%以上、かつ90%以下とすることで、外気循環による冷却能力を損なうことなく、騒音による乗員の不快感を低減することができる。
請求項4に記載の車両用発電機は、プーリにクランクシャフトの回転トルクを伝達するベルトを備え、遮蔽部は、ベルトと接触しないように、一部分が除去されている。
ケースの一端壁の外側では、プーリに掛けられるベルトが回動するため、遮蔽部が配置されるとベルトと接触してベルトが回動不能となる虞がある。
そこで、予め、遮蔽部においてベルトとの接触が予想される一部分を除去しておけば、ベルトが回動不能になることはなく、騒音による乗員の不快感を大きく低減できる。
請求項5に記載の車両用発電機は、電機子コイルに誘起される交流起電力を直流起電力に変換する整流器と、整流器により変換された直流起電力の値を適正値に制御するレギュレータとを備え、整流器およびレギュレータは、ケースの内側でロータの他端側に配置され、ケースの他端壁に設けられた軸方向開口部から吸入された外気により冷却される。
これにより、発熱部品であるとともに精密電子部品である整流器やレギュレータを、確実に冷却することができる。
請求項6に記載の車両用発電機の組付方法によれば、遮蔽部に覆われた軸方向開口部が上方に開口するように、車両に組み付けられる。
発電機が収容されるエンジンルームは上方がボンネットなどにより閉鎖されているため、上方に伝播される騒音は車両の外部に放出されにくく、車室内に伝播される虞が高い。一方、エンジンルームの下方は地面に向けて車両の外部に開放されているため、下方に伝播される騒音は車両の外部に放出されやすく、車室内に伝播される虞が低い。
そこで、少なくとも、上方に開口する軸方向開口部が、遮蔽部で覆われるようにすれば、車室内に伝播される騒音が減少して騒音による乗員の不快感が低減される。
実施例1の車両用発電機1を図面に基づいて説明する。
発電機1は、エンジンにより駆動されて起電力を発生させ、この起電力により、車両に搭載された各種の電気機器に電力を供給するとともに、車載電源を充電する。
遮蔽部28cは、図1および図2に示すように、遮蔽部28bと同様のひさし部31cと、支持部32c、33cとを具備する。
なお、発電機1は、軸方向開口部18a〜18d、または軸方向開口部19が上方に開口するように、エンジンルーム内に組み付けられる。
実施例1では、軸方向開口部18a〜18dが、ドライブエンドフレーム11の外側から隙間を隔てて配置される遮蔽部28a〜28dにより覆われている。また、軸方向開口部19が、リアカバー13の外側から隙間を隔てて配置される遮蔽部34a〜34eにより覆われている。
ファン6の回転により外気が発電機1の内部を循環すると、風切音による騒音が発生するが、遮蔽部28a〜28d、および遮蔽部34a〜34eを設けることによりこの騒音を反射することができる。このため、発電機1の内部で発生した騒音は外部に伝播されにくくなる。この結果、乗員が感じる騒音の不快感を低減することができる。
これにより、遮蔽部28a〜28dとドライブエンドフレーム11、および遮蔽部34a〜34eとリアカバー13とを一体的に成形できるので、部品点数を増加させずに騒音による乗員の不快感を低減することができる。
例えば、遮蔽部28aに覆われる軸方向開口部18aの面積が50%よりも小さいと、軸方向開口部18aへ伝わる騒音に対し、遮蔽部28aに反射される騒音の割合が少なくなり、騒音による乗員の不快感が増大する。また、遮蔽部28aに覆われる面積が90%よりも大きいと、軸方向開口部18aからの外気の吸入量が少なくなり、外気循環による冷却が不十分になる。
以上により、遮蔽部28a〜28dに覆われる軸方向開口部18a〜18dの面積、および遮蔽部34a〜34eに覆われる軸方向開口部19の面積を50%以上、かつ90%以下とすることで、外気循環による冷却能力を損なうことなく、騒音による乗員の不快感を低減することができる。
これにより、ベルト8が遮蔽部28aと接触して回動不能にならずに、騒音による乗員の不快感が大きく低減される。なお、プーリ7が取り付けられるドライブエンドフレーム11の一端壁の外側、すなわち回転軸22の一端側では、この一端壁に近接してファン6が配置されるため、騒音が外部に伝播しやすい。このため、ベルト8との接触を避けて軸方向開口部18a〜18dを可能な限り覆うことにより、騒音による乗員の不快感を大きく低減することができる。
軸方向開口部19と整流器9およびレギュレータ10との間には、他の発熱部品が介在しないので、精密電子部品である整流器9やレギュレータ10を、確実に冷却することができる。
実施例では、軸方向開口部18a〜18dが、遮蔽部28a〜28dにより覆われ、軸方向開口部19が、遮蔽部34a〜34eにより覆われていたが、軸方向開口部18a〜18dまたは軸方向開口部19のいずれか一方のみが、遮蔽部28a〜28dまたは遮蔽部34a〜34eにより覆われていてもよい。そして、例えば軸方向開口部18a〜18dが遮蔽部28a〜28dに覆われていた場合、発電機1は、軸方向開口部18a〜18dが上方に開口するように、車両に組み付けられる。
これにより、上方の軸方向開口部18a〜18dでは騒音が遮蔽部28a〜28dで反射されるとともに、下方の軸方向開口部19では騒音が車両の外部に放出される。このため、騒音は、軸方向開口部18a〜18dおよび軸方向開口部19のいずれからも車室内に伝播されにくくなるので、騒音による乗員の不快感が低減される。
2 ケース
3 電機子コイル
4 ステータ
5 ロータ
6 ファン
7 プーリ
8 ベルト
9 整流器
10 レギュレータ
18a〜18d、19 軸方向開口部
20、21 径方向開口部
22 回転軸
28a〜28d、34a〜34e 遮蔽部
29 軸受け
Claims (6)
- 両端壁で略軸方向に開口する軸方向開口部、および周側壁で略径方向に開口する径方向開口部を有するケースと、
電機子コイルが巻装されるとともに、前記ケースの内側に同軸的に固定されるステータと、
このステータの内周側で回転自在に支持されるとともに、前記電機子コイルに交流起電力を誘起するロータと、
このロータの両端側に取り付けられ前記ロータとともに回転することにより、前記軸方向開口部から外気を吸入し、吸入した外気を前記径方向開口部から吐出するファンと、
前記ケースの一端壁の外側で前記ロータと同軸的に回転するプーリとを備えた車両用発電機において、
前記一端壁には、前記ロータの回転軸を支持する軸受けが配され、
前記一端壁に設けられた前記軸方向開口部は、前記軸受けの外周側で開口し、前記ケースの外側から隙間を隔てて配置される遮蔽部により覆われ、
この遮蔽部は、前記軸方向開口部の外周側から内周側に伸びるひさし部を有し、このひさし部により前記軸方向開口部を覆うことを特徴とする車両用発電機。 - 請求項1に記載の車両用発電機において、
前記遮蔽部は、前記ケースの外面から外側に延設されていることを特徴とする車両用発電機。 - 請求項1または請求項2に記載の車両用発電機において、
前記遮蔽部は、前記軸方向開口部の面積の50%以上、かつ90%以下を覆うことを特徴とする車両用発電機。 - 請求項1ないし請求項3に記載の車両用発電機において、
前記プーリにクランクシャフトの回転トルクを伝達するベルトを備え、
前記遮蔽部は、前記ベルトと接触しないように、一部分が除去されていることを特徴とする車両用発電機。 - 請求項4に記載の車両用発電機において、
前記電機子コイルに誘起される交流起電力を直流起電力に変換する整流器と、
この整流器により変換された直流起電力の値を適正値に制御するレギュレータと
を備え、
前記整流器および前記レギュレータは、前記ケースの内側で前記ロータの他端側に配置され、前記ケースの他端壁に設けられた軸方向開口部から吸入された外気により冷却されることを特徴とする車両用発電機。 - 請求項1ないし請求項5に記載の車両用発電機は、
前記遮蔽部に覆われた前記軸方向開口部が上方に開口するように、車両に組み付けられることを特徴とする車両用発電機の組付方法。
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JP2005049594A JP4265549B2 (ja) | 2004-02-24 | 2005-02-24 | 車両用発電機およびその組付方法 |
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