JP4264065B2 - 家畜のマーキングおよび識別用電子ボタンタグ - Google Patents

Description

本発明は、動物の一方の耳に固定する家畜およびその他の動物のマーキングおよび識別用の電子ボタンタグであって、電子トレーサビリティー手段を備えるボタンタグに関する。

従来、動物について、特にその誕生から屠殺および／または最終消費者にわたるまで、食用などの有収益用動物の電子的トレーサビリティーを確保するための装置として、動物の耳に取り付けるためのメスヘッドを有しタグ内にオスポンチを固定したタグを備えるループで構成された装置が知られている。
そして前記ループには、任意の形状でオスポンチを通す軸方向の穴を備えた円形の電子ボタンタグが連結されており、上記タグには、規定の消えないマーキングを備えている。

一方、本発明による電子ボタンタグは、オスポンチを通すことができるメスヘッドを形成している。
この電子ボタンタグは、コイルおよびマイクロプロセッサーを有するトランスポンダーを有している。上記マイクロプロセッサーはプログラムされていても、またはプログラムされていないくてもよい。
そして、上記トランスポンダーは、接着または超音波溶接などにより固定される２つのハーフシェルの間にオーバーモールドされるか閉じ込められる。

電子ボタンタグを製造する際に直面する問題の１つは、組み立ての際、トランスポンダーを改悪させてはならず、必要な時に、マイクロプロセッサーのデータを損傷させたり変更させたりせずに、電子ボタンタグからトランスポンダーを抜き出すことができるようにすることである。

たとえば動作不良を検出するためにこれらデータの検査を行わなければならない場合、後者のケースは特に重要である。
しかし、従来のボタンタグはこの要件を満たしていない。
即ち、トランスポンダーが、溶解した合成材料内で加圧コーティングによりオーバーモールドされる際、特に冷却時に機械的応力が発生し、コイルの形状やその使用周波数が変化したり、トランスポンダーの性能が全体的に低下したりすることがある。
これは、トランスポンダーを内蔵するシェルが接着により組み付けられる場合に、これらのシェルは剛性を有する単数または複数の合成材料で作製される。接着剤は紫外線に曝されたり、経時的に老化して接着状態を劣化させるため、水分の浸入およびトランスポンダーの腐食が発生する虞れがある。

動物のトレーサビリティーを確保するためには、電子ボタンタグによって得られるマーキングを動物の寿命期間中確保しなければならないため、電子ボタンタグは長期間の使用によって変質してはならないことが重要である。
また、一対のハーフシェルの組付け部の機械的強度が変化することがあり、物理的作用、たとえば植物との摩擦によりハーフシェル相互の分離をきたす虞れもある。
超音波溶接では、溶接するハーフシェルに相当の厚みが必要であるため満足が得られず、そのため、例えば羊や豚に適した小型のシェルに適用することができない。

本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、小型化が可能であり、また植物や柵に接触しにくく、且つ組立て時や使用時にトランスポンダーへの影響がない電子ボタンタグを提供することにある。

この発明は上記課題を解決するために、動物の耳への固定手段を通すための、貫通したまたは貫通しない軸方向通路（４）を有するシェル内にランスポンダーを内蔵した動物用のマーキングおよび識別用の電子ボタンタグであって、
シェルが、軸方向通路（４）の穴に対し横方向の正中面により下側ハーフシェル（１）と上側ハーフシェル（２）とが組み付けられる２つのハーフシェルからなっていることを主な特徴とする。

トランスポンダーは接着剤により２つのハーフシェルの間に非圧縮固定される。
この発明で接着材という語は、トランスポンダーの材料に対し作用せずおよび／または中性であることが必要なジェルまたはその他の固定用物質など、トランスポンダーの固定を確保することが可能なあらゆる物質を指す。
２つのハーフシェルはレーザー溶接により組み付けられる。
本発明による電子ボタンタグは、２つのハーフシェルが、それらの組み付け、シェルの補剛ならびに内部トランスポンダーの固定に寄与する相補的外壁および内壁を備えることを特徴とする。

電子ボタンタグは、上側ハーフシェルが、筒形壁が平面壁上で外側に向かって突出し下側ハーフシェルの対応する筒形壁に接続するために前記平面壁の下の内側筒形壁により延長される、中心穴を有するスリーブ状の筒形壁を中心軸の周囲に備えることを特徴とする。

別の構成によれば、電子ボタンタグは、下側ハーフシェルが、上側ハーフシェルのキャノンの内側筒形壁に対応し動物の耳に電子ボタンタグを固定する手段の通路を画定する内側筒形壁を中心軸の周囲に備えること、および上側ハーフシェルの垂直壁と協動する突出した周囲フランジを備えることを特徴とする。

電子ボタンタグは、内側筒形壁と周囲フランジの間に単数または複数の内側ボスが配設されることを特徴とする。
好ましくは、内側筒形壁と周囲フランジの間の平面壁の内面上に内側ボスが設けられる。
さらに別の構成によれば、電子ボタンタグは、内側ボスの高さが、マイクロプロセッサーの固定のための電子ボタンタグ内部の自由高よりも低いことを特徴とする。
本発明のその他の長所および特徴は、添付の図面により非限定的例として示す実施形態についての以下の説明を読むことにより明らかになろう。

この発明の電子ボタンタグは、下側ハーフシェルと上側ハーフシェルとが組み付けられる２つのハーフシェルからなっており、トランスポンダーが前記２つのハーフシェルの間に非圧縮固定されているから、小型化が可能であり、また植物や柵に接触しにくく、且つ組立て時や使用時にトランスポンダーへの影響がない。

以下に、この発明の電子ボタンタグの好適実施例について図面を参照しながら説明する。
本発明による電子ボタンタグは、コイル３’およびプログラム可能なマイクロプロセッサー３”とからなる公知のトランスポンダーを、合成樹脂材からなるシェル内に内蔵した構成からなっている。

該シェルは、本実施例の場合、平面から見て略円形状の下側ハーフシェル１と、上側ハーフシェル２からなって、一体に組み付けられている。
このように組み付けられたシェルは、その中心の軸線に沿って通路４を備えており、該軸方向通路４は、動物の耳へオスポンチのロッドを通すためのものである。

この発明の電子ボタンタグは、オスタグのテーパーニードルを収納する開いたメスヘッドを形成している場合には、前記軸方向通路４は出口となる開口を有する貫通形状となり、電子ボタンタグが閉じたヘッドを形成している場合には、前記軸方向通路４は出口を設けず、その端部の一方において塞がれた盲孔状となっていてもよい。

この電子ボタンタグは、動物への取付方向を有しており、下側ハーフシェル１の底面となる平面が、動物の耳に押し当てられる面となる。
下側ハーフシェル１と上側ハーフシェル２とは、軸方向通路４に対し横方向の正中面により組み付けられる。
コイル３’、プロセッサー３”からなるトランスポンダー３は、上記したように、レーザーにより溶接が行われる下側ハーフシェル１と上側ハーフシェル２との間に固定される。

下側ハーフシェル１および上側ハーフシェル２は、外壁および内壁と、シェルの補強、トランスポンダーの固定、および溶接によるハーフシェルの固着のいずれにも寄与する相互に関連し、または関連しない単数または複数の内側ボスとを備える。

上側ハーフシェル２は、図３に示すように、円形の平面壁６上に、軸方向通路の中心軸に沿う周囲に外方へ向かって突出する円筒形のスリーブからなる円筒形壁５を有している。
下側円筒形壁７は、円形の平面壁６を介して円筒形壁５の下方で延長線上に延びている。

該下側円筒形壁７は、下側ハーフシェル１との接合時にストッパーの機能を果たす段部からなるショルダー８を軸方向通路４側に有し、それによりトランスポンダーの保護に必要な内部空間の容積が確保される。

前記平面壁６の端面は直角に曲成された垂直壁９と一体に連設されており、該垂直壁９は円筒形状からなって下側ハーフシェル１と接続される。
前記下側円筒形壁７と垂直壁９とは、それぞれの端部が同じ面上に設定されている。

また、下側円筒形壁７と垂直壁９の端部は、その端面部に、溶解コアー１０、すなわち溶接時に溶ける合成材料のビードを有し、溶接作業の品質に影響を及ぼさない範囲内で溶接時の溶解余剰分が最小となるようその寸法が決められる。

垂直壁９の端部は、下側ハーフシェル１の相補形ショルダーに対応するように段部状の外側ショルダー１１を有する。
下側ハーフシェル１は、上側ハーフシェル２の下側円筒形壁７の中途位置に設けられたショルダー８に対応して整合する段部状のショルダーを先端に備えた内側円筒形壁１２を、下側ハーフシェル１の中心軸の周囲に設けている。

前記ショルダー８は、電子ボタンタグの内部においてトランスポンダー３’、３”との間に、０．１ミリメートル程度の遊びを確保するようにその配置が計算される。

下側ハーフシェル１は、平面壁１４の端部において突出した周囲フランジ１３を備える。
周囲フランジ１３は、組み立て時に、上側ハーフシェル２を画定する垂直壁９の外側ショルダー１１内に隙間無く嵌着される。

周囲フランジ１３の端部は、好ましくはその内側に面取り部分を有している。
バリが外側で形成されると動物の耳を刺激する問題があったため、周囲フランジ１３は、溶接時の材料のビード１０のバリが外側ではなく内側に形成されるようにオーバーフロー防止機能を有する。

特に、図１に示すように、下側円筒形壁７と垂直壁９および周囲フランジ１３の高さは、組み立て時にトランスポンダーを損傷させることなく適切な場所に保持するためプラスマイナス０．１ミリメートル程度の遊びを有する空間を形成するように決定される。

周囲フランジ１３と円筒形壁１２の間の内面上に、電子ボタンタグの内部の自由高より低い高さ、すなわちハーフシェル２の下側円筒形壁７と垂直壁９の高さよりも低い高さの環状ボス１５が下側ハーフシェル１に成形される。

内側ボス１５により、マイクロプロセッサー３”を固定する接着剤１６にこのマイクロプロセッサー３”を浸すことが可能であり、接着剤１６はボス内側１５の両側にゆきわたる。

接着剤１６は、コイル３’およびマイクロプロセッサー３”を含めたその全体を固定するのに用いられ、衝撃などの機械的作用ならびに熱的作用からトランスポンダーを保護する。
使用する接着剤１６としては、化学的には不活性のものである。
この接着剤１６は、銅の膨張係数およびトランスポンダーの溶接部に適合する膨張係数を有する。

下側ハーフシェル１の内側円筒形壁１２は、内側に向かう上部よりも外側に向かう下部の方が幅広い略円錐台形状からなっている。
内側円筒形壁１２で構成される中空穴は、その基部が軸方向通路４の直径とほぼ等しい直径を有し、その頂部は、前記基部、ならびにほぼ平面の上側ショルダー１７を画定する軸方向通路４の直径よりも直径が小さい円筒形端部１８を有する。

この構成により、オスポンチのテーパー形先端部の位置の固定が可能になり、オスポンチは、ショルダー１７を通り越しても後方に後戻りすることはない。
電子ボタンタグは、冒頭で示した図示省略のオスタグとメスヘッドを使用する場合に、メスヘッドの機能を果たす。

このメスヘッドは、電子ボタンタグで構成され、図示するように軸方向通路４が開いているが、筒状の軸方向通路４は出口があっても閉じていてもよい。
そして、筒状の軸方向通路４はその端部において、オスタグのポンチのテーパー形先端部への接近を禁止するために、上側ハーフシェルの通路４の上が塞がれる。

溶接作業は、たとえば９０４から９４０ナノメートルの適切な波長のダイオード溶接システムを用いて実施される。
レーザー溶接の利点は、その作用を溶解コアー１０に完璧に向けることができ、その結果、ハーフシェル１、２およびトランスポンダー３’、３”の破損を防止することができる。

図４はトランスポンダー３のレベルにおける別の実施形態を示す図である。 トランスポンダー３は、コイル３’上に折りたたまれて接続されたプロセッサー３”を備え、接着剤、ジェル、あるいはその他の適切な材料からなる接着剤（要素）１６により全体が固定される。

この実施例により作製されるトランスポンダー３の厚さは、全体が接着剤１６によって固定される上下一対のハーフシェル１、２からなる内部の容積を満たすような厚さである。
この実施例では、図２および図３に示す内側ボス１５は設けなくてもよい。
その他の構成は前記実施例に準じるものである。

２つのハーフシェルの組み付けおよびトランスポンダーを示す本発明の実施例の電子ボタンタグの断面図である。 図１の下側ハーフシェルの断面図である。 図１に示す上側ハーフシェルの断面図である。 本発明の電子ボタンタグの別の実施例の断面図である。 図４の円形で囲まれた拡大部分を示す図である。 図４の実施例の下側ハーフシェルを示す図である。 図４の実施例の上側ハーフシェルを示す図である。

符号の説明

１ 下側ハーフシェル
２ 上側ハーフシェル
３ トランスポンダー
３’ コイル
３” プロセッサー
５ 円筒形壁
６ 平面壁
７ 下側円筒形壁
８ ショルダー
９ 垂直壁
１０ 溶解コアー
１１ 外側ショルダー
１２ 内側円筒形壁
１３ 周囲フランジ
１４ 平面壁
１５ 環状ボス
１６ 接着剤
１７ 上側ショルダー
１８ 円筒形端部

Claims (12)

1. 動物の耳への固定手段を通すための、貫通したまたは貫通しない軸方向通路（４）を有するシェル内にランスポンダーを内蔵した動物用のマーキングおよび識別用の電子ボタンタグであって、
   シェルが、軸方向通路（４）の穴に対し横方向の正中面により下側ハーフシェル（１）と上側ハーフシェル（２）とが組み付けられる２つのハーフシェルからなっており、
   トランスポンダー（３）が、接着剤（１６）により前記２つのハーフシェルの間に非圧縮固定されており、
   前記２つのハーフシェルがレーザー溶接により組み付けられること
   を特徴とする電子ボタンタグ。
2. ２つのハーフシェル（１、２）が、それらを組み付けると共に、相互に補強しならびに内部にトランスポンダーを保持するための相互に関連づけられた外壁および内壁を備えてなることを特徴とする請求項１に記載の電子ボタンタグ。
3. 上側ハーフシェル（２）が、平面壁（６）の中央で外方へ向かって突出する筒形壁（５）を有し、該筒形壁（５）は下側ハーフシェル（１）の対応する内側筒形壁（１２）に接続するため前記平面壁（６）から下方に延びる下側筒形壁（７）により延長される中心穴からなる軸方向通路を有しており、
   上側ハーフシェル（２）がその外周に沿って形成された垂直壁（９）によって下側ハーフシェル（１）に接続されることを特徴とする請求項１に記載の電子ボタンタグ。
4. 下側ハーフシェル（１）が、上側ハーフシェル（２）の筒形壁（５）に対応し、動物の耳にボタンタグを固定する手段の軸方向通路（４）を形成する内側筒形壁（１２）を中心軸の周囲に設けており、
   該内側筒形壁（１２）の外側に内側ボス（１５）を備え、
   上側ハーフシェル（２）の垂直壁（９）と連結される周囲フランジ（１３）を備えていることを特徴とする請求項３に記載の電子ボタンタグ。
5. 内側筒形壁（１２）と周囲フランジ（１３）の間に内側ボス（１５）が配設されてなることを特徴とする請求項４に記載の電子ボタンタグ。
6. 内側ボス（１５）の高さが電子ボタンタグの内部の自由高よりも低いことを特徴とする請求項４または請求項５に記載の電子ボタンタグ。
7. 下側ハーフシェル（１）の内側筒形壁（１２）が、オスタグのニードルの先端を拘束する上側ショルダー（１７）を有するテーパー形状からなることを特徴とする請求項３から６のいずれかに記載の電子ボタンタグ。
8. 軸方向通路を形成する筒形壁が上側ハーフシェル上で塞がれることを特徴とする請求項１から７のいずれかに記載の電子ボタンタグ。
9. 上側ハーフシェル（２）の下側筒形壁（７）と垂直筒形壁（９）の端部が溶解コアー（１０）を有することを特徴とする請求項３から８のいずれかに記載の電子ボタンタグ。
10. トランスポンダー（３）が、コイル（３’）上に折り曲げられたプロセッサー（３”）を有し、全体が接着剤（１６）で固定されることを特徴とする請求項１に記載の電子ボタンタグ。
11. 溶解コアー（１０）が溶接を行うためのレーザーの作用を受けることを特徴とする請求項９に記載の電子ボタンタグ。
12. 下側ハーフシェル（１）が、組み立て時に、上側ハーフシェル（２）の垂直壁（９）の外側ショルダー（１１）内に収納される周囲フランジ（１３）を備えることを特徴とする請求項３から１１のいずれかに記載の電子ボタンタグ。

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