JP4262979B2 - Fgfアフィニティークロマトグラフィー - Google Patents

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Description

【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2000年11月21日提出の米国仮出願第60/252,225号、2001年3月21日提出の米国仮出願第60/277,735号、2001年9月28日の米国仮出願第60/325,613号および2001年9月28日提出の米国仮出願第60/325,502号の優先権を主張し、これらの全内容を本明細書中に参照として組み込む。
【0002】
(従来の技術)
ヘパリンは、肥満細胞の細胞内顆粒内に存在する高度に硫酸化された遊離型グリコサミノグリカンである。ヘパラン硫酸は、プロテオグリカン分子のより低度に硫酸化された部分で、細胞表面上に分布し、すべての哺乳動物細胞の細胞外基質における重要な構造的および機能的構成成分である。ヘパリンおよびヘパラン硫酸は、直鎖状で多分散であり、(1→4)グリコシド結合によってウロン酸とヘキササミンが交互に結合した糖から構成される、高度に負の電荷を持つ多糖鎖である。これらは、約4000〜約30000Daの範囲の分子量を有する。
【0003】
ヘパリンは、抗凝血剤および抗血栓剤として広く用いられている。ヘパリンの抗凝血作用は、特異的な五糖配列を介して抗トロンビンIIIと相互作用することに起因し、血液凝固カスケードのセリンプロテアーゼ、トロンビン、Xa因子に対する抗トロンビンの結合活性および阻害活性を促進する(Olson他、1991、Olson他、1992、Olson他、1994)。
【0004】
ヘパリンには、その血液凝固作用に関連しない、他の有益な用途がある。その例には、肺梗塞、心筋梗塞、脳卒中、外傷性ショック、血栓溶解治療、固形臓器の移植および手術における炎症性の病変および虚血/再灌流(I/R)傷害症候群の治療;気道のアレルゲン性気管支収縮や気管支喘息の治療;出血性ショック、低血液量性ショック、細菌性ショックおよび関連する症候群の治療;アテローム性動脈硬化症および癌の転移の治療;ウイルス感染および創傷の治癒が含まれる。ヘパリンの抗凝血性でない効果は、微小血管構造の破壊に対する保護、心筋収縮の維持、心臓、肺、肝臓、消化管、腎臓の機能の維持、脳傷害の減少、免疫機能の改善である。
【0005】
ヘパリンは、薬用の用途として、ブタまたはウシの粘膜、またはウシの肺組織から単離される。ヘパリン/ヘパラン硫酸は、その生合成経路の複雑さおよび性質のため、非常に不均一である。さらに、ヘパリン/ヘパラン硫酸の組成は、源となる細胞ならびに成長および発達の段階に応じて著しく異なる。具体的には、単離したヘパリンのうち、約30%未満だけが、抗トロンビンと相互作用するのに必要な特異的五糖配列を有する。残りのヘパリンは実質的に抗凝血活性を有さない。長さが異なるヘパリン分子のうちの1個の活性部分は、活性のより低いまたは活性の異なる広い領域に囲まれる。
【0006】
このような不均一なヘパリンの抗凝血剤または抗血栓剤としての用途は、出血性合併症、血小板減少症、脱毛症、骨粗鬆症、有害な脂肪分解など副作用に関連している。6ヶ月以上の期間ヘパリンを投与される患者の半数もが、臨床的に顕著な骨粗鬆症を発生する。ヘパリンを用いて治療した実質的にすべての患者が過渡的な血小板減少を示し、そのうち約5%の患者で、治療期間中その状態が続く。ヘパリンのこのような副作用は、この重要な抗凝血剤の臨床使用を、特に長期間の使用において著しく制限する。
【0007】
この問題を克服することを目的とした多くのヘパリン誘導体が研究されている。非分画の粗ヘパリンを解重合および分画することによって得る低分子量ヘパリン(Low Molecule Weight Heparin、LMWH)は、より低い分子量平均(4000〜6000Da)を有し、非分画のヘパリンに比べて、改善された特性を有すると主張されている。これには、抗血栓作用/抗止血作用比が高いこと、注入部位からの生体利用度がより高いこと、効果の持続がより長いこと、急性期血漿タンパク質、マクロファージ、血管内皮、および多くの他組織タンパク質と結合する性向がより低いこと、副作用の減少が含まれる(Lane D.、1989、London:Edward Arnold;Barrowcliffe他、1992)。しかし、分子量はかなり狭い範囲内ではあるがLMWHの組成は依然として非分画のヘパリンと同様に複雑であるので、主張されているこれらの改善された特性は、依然として論議を呼んでいる。
【0008】
同様に、ヘパリンの抗凝血性分画も、ヘパリンの抗凝血性でない適用において、出血など合併症を生じさせる可能性がある。このことにより、ヘパリンの抗凝血活性を、その多くの抗凝血性でない特性から選択的に切り離すことへの関心が高まった。その戦略には、化学修飾によるN−脱硫化/N−アセチル化、O−脱硫化、およびカルボキシルの還元が含まれていた(米国特許第6,127,347号、第4,916,219号、第5,090,910、5,795,875号)。たいていは、抗凝血活性が著しく減少したとしても多少は残る。このことにより、感受性の高い患者に副作用をもたらす可能性が依然としてある。さらに、場合によっては、分画が原因で所望する活性が抗凝血活性と共に失われる。
【0009】
(発明が解決しようとする課題)
したがって、ヘパリンの抗凝血性分画と抗凝血性でない分画を分離および単離する効率的な方法および装置が強く望まれている。選択肢の1つは、抗トロンビンを用いたアフィニティーによる精製である。しかし、安全問題およびスケールアップのコストの点から、天然血液由来の抗トロンビンの使用には手が届かない。現在、血液由来の抗トロンビンに代わる費用効率の高い代替物がない。安全で、安価で、入手が容易であり、使用が簡単であり、臨床的に有効なほど十分高いヘパリンまたはヘパラン硫酸収量を提供することができる、方法および装置が理想的である。
【0010】
心肺の手術、心臓カテーテル法、血液透析、ならびに血液凝固を引き起こす他の種類の手術および治療を受ける患者は、血液凝固を防ぐためにしばしばヘパリン抗凝血剤を投与される。次いで、通常は、医学的処置が終わるときに第2の薬剤を投与して血液中のヘパリンを中和または除去し、オーバーシュート、および潜在的に有害である、血液凝固が欠落し続けることを防ぐ。この戦略は、ヘパリンの作用が継続することを抑え、また付随する深刻な副作用を防ぐ。これは、通常、サケの精子由来のアルギニンに富んだ塩基性ポリペプチドであり、ヒト細胞内には存在せず、ヘパリンと強力な複合体を形成するプロタミンを投与することで得られる。実際、今のところプロタミンはヘパリンを中和する唯一の手段である。しかし、プロタミンの投与には、血圧の緩やかな上昇、激しいアレルギー反応、低血圧、補体の活性化、白血球減少症、血小板減少症、肺水腫、肺血管収縮、アナフィラキシーショックを含むいくつかの望ましくない副作用がある。プロタミンの使用に対する軽い反応の発生率は16%と高く、激しい反応の発生率は0.2%〜3%の間である(Holland他、1984、Cook他、1992)。したがって、プロタミンに代わる安全で有効な代替物が強く必要とされている。
【0011】
抗凝血効果を中和または無効にする捕捉剤として、ヘパリン結合性の血小板因子4(PF4)が提唱されている(米国特許第5,482,923号)。しかし、PF4は多機能性の血液系タンパク質であるので、数々の他の生物学的プロセスに影響を与える。これには、脈管形成および内皮細胞増殖の阻害、宿主免疫活性の変調、トロンボモジュリン抗凝血機能および炎症反応の亢進が含まれ、これらはヘパリンの結合および抗凝血作用の中和に付随する。このような複雑な機能は、その臨床への応用に対する大きな障害となる。PF4を患者に投与した結果、ヒトは深刻な顆粒求減少症を引き起こした(米国特許第5,801,063号)。
【0012】
2−O−硫酸化イズロン酸残基との1−4結合を含む、高度に硫酸化されたヘパリン鎖を分解する酵素ヘパリナーゼIも、ヘパリンを除去すると臨床的に評価されている。ヘパリナーゼIは、重要な生物学的機能を有する、細胞表面上および細胞外基質中の天然ヘパラン硫酸も分解する。ヘパリナーゼは、細菌由来の遅効性の酵素であり、活性が有効であるためには安定でなければならない。その安定性および活性を最大にするためには、特定の条件が必要とされる。長期的には、免疫応答を引き起こす。これらの特徴があいまって、その広い用途への関心がそがれている。
【0013】
ラクトフェリンまたはそのフラグメントは、ヘパリンを中和する潜在的な薬剤として提唱されている。ラクトフェリンは好中球二次顆粒由来の天然血液成分であり、乳、涙および唾液中にも検出されている。ラクトフェリンは鉄結合性のタンパク質であり、血清鉄輸送タンパク質トランスフェリンと55%の相同性を示す。そのヘパリン結合能力は、部分的にしか特徴付けられていない。ラクトフェリンは、抗トロンビンに比べてより低い塩濃度で固定化ヘパリンから溶出し、このことはラクトフェリンがより低いアフィニティーを有し、抗凝血性ヘパリンと結合する特異性に欠けていることを示す。さらに、宿主の防衛および炎症の制御における、その生理学的な役割もはっきりしないままである。このことにより、ヘパリンを中和させるその臨床的な有用性が制限されると予想される。
【0014】
体外循環中に血液全体からヘパリンを除去する固定化抗トロンビンを用いた装置も提唱されたが、不安定性、安全問題ならびに抗トロンビンの調製および生産のコストが、その使用を減退させた。要約すると、プロタミンに代わる数々の代替案が試みられたが、それにかなう費用便益比を示すものはなかった。ヘパリンの抗凝血効果を無効にするのに効能がある代替物は、生理活性があり多くの他の生理学的プロセスに影響を与え、一般的により高価であり、抗トロンビン結合性の抗凝血モチーフに対する特異性を欠く。安価で安全な、より有効な代替案があれば役に立つであろう。
【0015】
(課題を解決するための手段)
本発明の一態様は、アフィニティーマトリックスを抗凝血性ヘパリンまたはヘパラン硫酸を含む混合物と接触させること、および結合していない材料を結合している材料から分離することを含む、抗凝血活性および抗血栓活性を有するヘパリンを精製する方法である。
【0016】
本発明のさらなる態様は、支持体に固定化させた線維芽細胞成長因子を含む、抗凝血性ヘパリンまたはヘパラン硫酸を精製するためのアフィニティーマトリックスである。
【0017】
本発明の別の態様は、線維芽細胞成長因子を準備すること、およびそれを支持体に固定化することを含む、抗凝血性ヘパリンまたはヘパラン硫酸を単離するためのアフィニティーマトリックスを作成する方法である。
【0018】
本発明は、GST−FGF7融合タンパク質をコードする組換えベクターを用いて細菌を形質転換すること、および塩を含む培地中で前記細菌を培養することを含む、細菌内でFGF7タンパク質を調製する方法を含む。
【0019】
本発明はさらに、ヘパリン、模擬ヘパリン、またはヘパリン誘導体を線維芽細胞成長因子と接触させることを含む、ヘパリン、模擬ヘパリン、またはヘパリン誘導体によって触媒される抗凝血作用を中和する方法を提供する。
【0020】
(発明の実施の形態)
(配列リスト)
配列番号1は、ラット由来の線維芽細胞成長因子7(FGF7)をコードするヌクレオチド配列(rattus norvegicus、Genbank登録番号022182)である。
【0021】
配列番号2は、配列番号1に対応するアミノ酸配列である。
【0022】
配列番号3は、融合タンパク質グルタチオン−S−トランスフェラーゼ−線維芽細胞成長因子7(GST−FGF7)をコードするヌクレオチド配列である。
【0023】
配列番号4は、配列番号3に対応するアミノ酸配列である。
【0024】
下記の図は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに明示するために組み込む。これらの図の1つまたは複数への参照を、本明細書中に提示する特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせることによって、本発明をより良く理解することができるであろう。
【0025】
(図面の簡単な説明)
図1は、GST−FGF7融合生成物のヘパリン結合性が損なわれていないことを示すグラフである。200μgの純粋なGST−FGF7および10ngの125I−FGF7(3×10cpm)を混合し、ファルマシアFPLCシステムでヘパリンアフィニティークロマトグラフィーに通した。GST−FGF7は、280nmの吸収によって主要なピーク(中実線)として検出された。λ線放射線測定器で各分画の放射活性を測定すると、125I−FGF7でも単一の溶出ピーク(中実三角形)が示され、これは、アフィニティーマトリックスの形成に使用したGST−FGF7の主要な吸収ピークと一致した。
【0026】
図2は、LMWHヘパリンの抗血栓活性および抗凝血活性をアフィニティーにより向上させた場合の、GST−FGF7と抗トロンビンの比較を示すグラフである。固定化させたGST−FGF7または抗トロンビンにシグマLMWH(6000ダルトン)を適用して、表示したNaClの濃度で溶出し、溶出液の抗Xa因子活性または抗IIa因子活性を定量した。a、c.100ng/mlのヘパリンを含む分画の活性である。b、d.GST−FGF7または抗トロンビンアフィニティーによって精製した分画の抗Xa因子活性(b)または抗IIa因子活性(d)の比較である。中実正方形、非分画のLMWH;中空三角形、GST−FGF7によって保持されなかった分画;中実三角形、抗トロンビンによって保持されなかった分画;中空菱形、GST−FGF7によって保持された分画;中実菱形、抗トロンビンによって保持された分画である。活性は、抗トロンビンは存在するがヘパリンは存在しない場合の、Xa因子活性またはIIa因子活性のパーセンテージとして表した。データは、3回の個別の実験の平均値を示す。
【0027】
図3は、GST−FGF7による、エノキサパリンおよび粗ブタ腸管粘膜ヘパリンの抗凝血活性の濃縮を示すグラフである。a、c.様々な塩濃度で溶出させた100ng/mlのヘパリンの抗Xa因子および抗IIa因子活性である。PIM UFHは、ブタ腸管粘膜組織由来の非分画のヘパリン(unfractionated heparin from porcine intestinal mucosal tissue)である。b、d.GST−FGF7アフィニティーによって精製したヘパリンの投与量依存活性である。中空正方形、非分画のPIM;中実正方形、PIMに保持された分画;中空三角形、保持されなかったエノキサプリン;中実三角形、エノキサパリンからの保持された分画。データは、3回の個別の実験の平均値を示す。
【0028】
図4は、GST−FGF7カラム(中実正方形)または抗トロンビンカラム(中実三角形)から溶出させた0.9M NaClの6000Daヘパリン(シグマ)分画の、FGF7による抗凝血活性の中和を示すグラフである。a.0.3、1、3、10、30μg/mlのFGF7を使用して0.9M溶出液の抗Xa因子活性を中和した。b.0.3、1、3、10、30μg/mlのFGF7を使用して抗IIa因子活性を中和した。活性は、抗トロンビンおよびFGF7が存在するが、どのような量のヘパリンも存在しない場合のXa因子活性またはIIa因子活性から、FGF7を加えない場合の残留活性を減算した値のパーセンテージとして表した。GST−FGF7は、FGF7と同じ中和効果を有する。データは、少なくとも3回の個別の実験の平均を表す。
【0029】
図5は、FGF1およびFGF7の組換え体の単独収量、ならびにpET−3CおよびpGEX−2T系でそれぞれ発現させたGST−FGF1およびGST−FGF7の組換え体の収量を示すグラフである。pET−3C内で発現させる場合は、FGF1およびFGF7をヘパリン−セファロースアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。pGEX−2T内で発現させる場合は、GST融合タンパク質をGSH−セファロースまたはヘパリン−セファロースのどちらかによって精製した。データは、3回の複製の平均を表す。
【0030】
図6は、組換えGST−FGF7の収量に対する塩化マグネシウムの影響を示すグラフである。FGF7−pGEX−2T構築体を宿すBL21(DE3)pLysSの長時間培養中に、様々な濃度のMgClを培地に加え、1mMのIPTGで3時間、GST−FGF7の生成を誘導させ、次いで細菌を集菌して記載のようにGST−FGF7を精製した。データは、3回の複製の平均を表す。
【0031】
図7は、組換えGST−FGF7の収量に対する、様々な金属の2価陽イオンの塩の影響を示すグラフである。FGF7−pGEX−2T構築体を宿すBL21(DE3)pLysSの長時間培養中に、10mMのMgCl、CaCl、ZnClまたはCuClを培地に加え、1mMのIPTGで3時間、GST−FGF7の生成を誘導させ、次いで細菌を集菌して記載のようにGST−FGF7を精製した。データは、代表的な1回の実験から得たものである。
【0032】
図8は、細菌中の組換えFGFの収量に対する、菌株およびMgClの影響を示す表である。通常培地での培養から同手順で回収した精製GST−FGF9の収量は、BL21(DE3)およびBL21(DE3)pLysS菌株の両方で、1.0のOD6001リットルあたり1.5〜2.0mgであった。10mMのMgClを加えた結果、低かったGST−FGF9の収量が少し増加した。このことは、亢進は、FGF1およびFGF9に比べてFGF7で特異的であることを示唆する。MgClを補充することによる収量の増加は菌株に特異的であり、BL21(DE3)pLysSでのみ明白であった。
【0033】
図9は、様々なFGF7アフィニティーで精製したヘパリン分画の抗Xa因子活性の比較を示すグラフである。Xa因子活性の100%は、ヘパリンの非存在下での活性である。グラフ1、6、11、16:本文中に記載のゲル濾過によって分離した粗8重合体、10重合体、12重合体、14重合体;グラフ2、7、12、17:0〜0.14M NaClでイオン交換カラムに保持されなかった、GST−FGF7アフィニティーで精製した8重合体、10重合体、12重合体、14重合体調製物の分画;グラフ3、8、13、18:0.14〜0.3M NaClで結合および溶出される、GST−FGF7アフィニティーで精製した8重合体、10重合体、12重合体、14重合体調製物の分画;グラフ4、9、14、19:0.3〜0.6M NaClで結合および溶出される、GST−FGF7アフィニティーで精製した8重合体、10重合体、12重合体、14重合体調製物の分画;グラフ5、10、15、20:0.6〜1.0M NaClで結合および溶出される、GST−FGF7アフィニティーで精製した8重合体、10重合体、12重合体、14重合体調製物の分画;グラフ21:合成AT III五糖;グラフ22:AT IIIカラムに保持されなかった10重合体;グラフ23:AT IIIに結合した10重合体;グラフ24:AT IIIに結合した14重合体;グラフ25:AT IIIに結合した14重合体(グラフ22〜25は、Linhardt研究室から戴いた);グラフ26:粗ブタ腸管粘膜(PIM)ヘパリン;グラフ27:0.6から1.0M NaClで溶出される、GST−FGF7アフィニティーで精製したPIMヘパリン分画;グラフ28:0.6から1.0M NaClで溶出される、AT IIIアフィニティーで精製したPIMヘパリン分画;グラフ29:粗エノキサパリン;グラフ30:0.6〜1.0M NaClで溶出される、GST−FGF7アフィニティーで精製したエノキサパリン;グラフ31:粗6000Da シグマヘパリン;グラフ32:0.6〜1.0M NaClで、GST−FGF7アフィニティーで精製した6000Da シグマヘパリン分画である。エノキサパリンは、低分子量ヘパリン調製物の、臨床に応用される商業的なプロトタイプである。
【0034】
(例示的実施形態の説明)
用語「発現」とは、遺伝子を転写して対応するmRNAを生成し、このmRNAを翻訳して対応する遺伝子産物、たとえばペプチド、ポリペプチド、タンパク質を生成することをいう。
【0035】
用語「核酸」とは、染色体DNA、プラスミドDNA、cDNA、合成DNA、または、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、RNA分子をコードする他のDNA、および、発現の調節に関与するコード配列のフランキング領域をいう。
【0036】
用語「組換え核酸構築体」または「組換え核酸ベクター」とは、プラスミド、コスミド、ウイルス、自己複製配列、ファージ、直鎖または環状の1本鎖または2本鎖DNAまたはRNAヌクレオチド配列など、あらゆるソース由来のあらゆる作用物質であって、ゲノムの組込または自己複製ができ、1つまたは複数のDNA配列が機能的にかつ作動可能に結合されているDNA分子を含む作用物質をいう。このような組換え核酸構築体またはベクターは、DNA配列が機能的なmRNAに転写され、そして翻訳され発現されるように、選択した遺伝子産物の5’制御配列またはプロモーター領域とDNA配列を、細胞に導入することができる。
【0037】
用語「プロモーター」または「プロモーター領域」とは、通常はコード配列の上流(5’)で検出されるDNA配列であって、RNAポリメラーゼおよび/または正しい位置で転写が開始されるために必要な他の因子を提供することによって、伝令RNA(mRNA)の生成を調節し、それによりコード配列の発現を調節する、DNA配列をいう。本明細書によれば、プロモーターまたはプロモーター領域は、様々な制御配列との結合、ランダムまたは制御された突然変異誘発、およびエンハンサー配列の付加または複製によって誘導される、様々なプロモーターを含む。本明細書中で開示するプロモーター配列および生物学上機能的なその等価物は、適切な組換えベクターの一部として宿主に導入されたときに、その制御下でコード配列の転写を促進させる任を負い、それは、mRNAを生成するその能力によって証明される。
【0038】
「制御配列」とは、選択された遺伝子産物をコードするDNA配列の上流(5’)、内部、および/または下流(3’)に位置するヌクレオチド配列をいう。そのDNA配列の転写および発現は、制御配列ならびに細胞のタンパク質合成機構によって制御される。
【0039】
「形質転換」とは、1つまたは複数のレシピエント宿主にDNAを導入することをいう。
【0040】
「宿主」または「複数の宿主」とは、異種DNAを発現するのに使用される原核細胞または真核細胞をいう。適切な宿主の例には、昆虫細胞、酵母細胞、大腸菌(Escherichia coli)や枯草菌(B.subtilis)細胞など細菌細胞を含む、真核細胞が含まれる。特に適した細胞には、BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysSおよびDH5α菌株が含まれる。
【0041】
「相同性」とは、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置的な同一性をパーセントで表した、それぞれ核酸またはアミノ酸配列の間の類似性レベルのことをいい、すなわち配列の類似性または同一性である(Reeck他、1987)。相同性とはまた、様々な核酸またはタンパク質の間の類似の機能特性のこともいう。
【0042】
本明細書中では、ヘパリンに関する方法および装置は、ヘパラン硫酸にも関する。
【0043】
本発明は、FGF7またはGST−FGF7タンパク質をコードするDNAセグメントに関する。一実施形態では、本発明は、FGF7様の生成物をコードする、配列番号1または配列番号3を保有するクローン、ならびにこれらクローンの組換え体および突然変異体などのDNAセグメントに関する。また、本発明は、上記DNAセグメントのどれかとハイブリッド形成させることによって検出することができる、関連するDNAセグメントに関する。関連するセグメントはFGF7様タンパク質またはその一部をコードする(Sambrook他、1989)。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、本発明のDNAセグメントは適切な宿主細胞内で発現されることができ、したがってFGF7またはFGF7様タンパク質が生成される。本発明はまた、本発明のDNAセグメントの有意な鎖の転写の結果として生成されるmRNAに関する。
【0045】
本発明の別の態様は、本発明のベクターおよびDNAを含む、組換えDNA分子に関する。これらの組換え分子は、FGF7cDNAと以下のベクターDNAのいずれかを含む分子によって例示される。すなわち、バクテリオファージλクローニングベクター(典型的には、λpCEV9)、DNAシーケンシングプラスミドベクター(たとえば、pUC変異体)、細菌遺伝子発現ベクター(たとえば、pKK233−2)、または哺乳動物遺伝子発現ベクター(pMT2やpFastBacなど)。このような組換え分子の構築は当業者には良く知られており、これらの構築を実現するのに必要な技法は、本明細書中に参照として組み込む、Sambrook他、Cold Spring Harbor Pressに出ている。
【0046】
さらに別の実施形態では、本発明は、本発明のDNAを用いて形質転換した細胞、好ましくは細菌細胞を含む。さらに、本発明は、本発明のDNAで形質転換した、昆虫細胞、酵母細胞を真核細胞、ならびに大腸菌や枯草菌細胞などの細菌細胞を含む。本発明の別の実施形態によれば、形質転換用のDNAは前記細胞内で発現させることができ、それにより、このDNAによってコードされるFGF7またはFGF7様タンパク質の、細胞内の量が増加する。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、新規のFGF7またはFGF7様タンパク質は、本発明の「改変していない」DNAおよびmRNAのタンパク質産物、あるいは改変したまたは遺伝子操作したタンパク質産物となる。DNA配列を操作して突然変異させた結果、改変したFGF7またはFGF7様タンパク質は、対応する自然に存在する「野生型」タンパク質と、アミノ酸配列が1箇所または複数箇所異なる。本発明の一実施形態によれば、改変したFGF7またはFGF7様タンパク質は、FGF7およびFGFペプチドファミリーの少なくとも1つの他のメンバーのアミノ酸配列セグメント、またはFGF7および少なくとも1つの他の異種性タンパク質のアミノ酸配列セグメントを含む、「キメラ」分子を含む(Luo他、1998)。
【0048】
同様に、改変したFGF7またはFGF7様タンパク質は、FGF7またはFGFファミリーの相同ペプチドのアミノ酸配列セグメント、およびそのFGFファミリーの少なくとも1つの他のメンバーのアミノ酸配列セグメント、あるいは、FGF7またはFGFファミリーの相同ペプチドのアミノ酸配列セグメント、および少なくとも1つの他の異種性タンパク質のアミノ配列酸セグメントを含む、「キメラ」分子を含む。
【0049】
FGF7の構造をFGF1およびFGF2の構造と比較することにより、3つのFGFポリペプチドに共通して高度に保存されているCα主鎖、および一次受容体結合ドメインを形成する表面疎水性部分が明らかになる。その一方で、陽性の表面電荷密度の減少および多分散により、FGF7の相同性ヘパリン結合ドメインが特徴付けられた。単純なヘパリン六糖(6重合体)は、FGF1およびFGFと共結晶し、FGF1およびFGF2をプロテアーゼから保護したが、FGF7では同じ特性を示さなかった。FGF1およびFGF2とは対照的に、ヘパリン6重合体、10重合体、14重合体および粗ヘパリンとFGF7の相互作用は、それらの抗Xa因子のアミド分解(amidolytic)活性に比例していた。
【0050】
したがって、本発明の一態様は、線維芽細胞成長因子を、その特異的結合ドメインに適したオリゴ糖と結合させることによって、プロテアーゼによる分解から保護する方法である。一実施形態によれば、in vivo条件下で線維芽細胞成長因子はプロテアーゼから保護されている。
【0051】
固定化FGF7とのアフィニティーによって濃縮したヘパリンは、抗トロンビンアフィニティーマトリックス上で精製したヘパリンと同様の抗Xa因子活性を示した。意外なことに、FGF1アフィニティーマトリックスにより、低い抗Xa因子活性を有する粗ヘパリン分画が濃縮された。これらの結果は、FGF類と特異的ヘパラン硫酸モチーフとの相互作用における差異の、構造の根拠を提供する。またこれらは、変性していない配列の部位特異的突然変異の誘発、および構造関連の他の改変のために特異的な残基をターゲットにするのに必要である、有用な構造上の情報も提供する。
【0052】
したがって、本発明の一態様は、シグナル伝達ドメインが改変されたFGFタンパク質である。本発明の一実施形態は、「シグナル非活性」にさせたFGF7タンパク質である。本明細書中では、「シグナル非活性」とは、タンパク質はその特異的シグナル生成の細胞性受容体に結合しても結合しなくてもよいが、どちらにせよ、タンパク質はその受容体を活性化させて、改変していないまたは改変した「シグナル活性」のタンパク質によって引き出すことができるはずの、生物学的応答を引き出すことができないことを意味する。
【0053】
用語「融合タンパク質」とは、2個以上の個別のタンパク質のコード配列が、これらの配列のそれぞれの翻訳領域が改変されないように、また1種のタンパク質の生成をもたらす1つの翻訳領域を作成するように、結合されたタンパク質をいう。融合タンパク質は、対象の配列のN末端またはC末端に付加することができる。その例には、ニッケルカラムに可逆的に結合するポリヒスチジンテール;固定化基質に結合するアルカリホスファターゼ酵素;固定化抗体に結合する免疫グロブリンのCループ、または基質であるグルタチオンに結合するグルタチオン−S−トランスフェラーゼ酵素などの結合性ペプチドと、当該タンパク質との融合が含まれる。本発明による融合タンパク質の一例は、Luo他(1998)に記載のGST−FGF7融合タンパク質である。本発明による融合タンパク質は、親FGFのヘパリン結合特性を保持していることが好ましい。一実施形態によれば、融合タンパク質はFGFをシグナル非活性にさせる。
【0054】
一実施形態によれば、融合タンパク質をコードするDNAは、その転写を開始させるプロモーター領域を5’末端に、またその転写を適切に終止させ、mRNAにポリアデニル化テールを付加し、そのmRNAを転写機構に移動するターミネーター領域を3’末端に有するベクター内に含まれている。
【0055】
本発明の一実施形態は、FGF7またはFGF7様タンパク質をコードする組換えDNAベクターを用いて細菌を形質転換し、塩の存在下、細菌内でベクターを発現させることによって、FGF7およびFGF7様cDNAを発現させる方法である。一実施形態によれば、前記塩は約5〜約150mM、より好ましくは約10〜約100mMの濃度のMgClまたはCaClである。一実施形態によれば、発現されるタンパク質は配列番号4である。一実施形態によれば、細菌はBL21(DE3)pLysSである。
【0056】
本発明は、抗凝血活性および抗トロンビン活性を向上させたヘパリンであって、低い抗凝血活性または抗血栓活性を有する粗製の材料に由来する過度の副作用が軽減されていない、または軽減されたヘパリンの精製に関する。本明細書中では、抗凝血性ヘパリンおよび抗凝血性ヘパラン硫酸とは、血液の凝固を軽減させる、あるいは他の任意の抗凝血特性または抗血栓特性を示す、ヘパリンまたはヘパラン硫酸をいう。本発明はまた、抗凝血活性を欠く、非変性ヘパリンを同時に単離することにも関する。
【0057】
本発明の一実施形態は、アフィニティーマトリックスを凝血性ヘパリンまたは抗凝血性ヘパラン硫酸を含む混合物と接触させることによって、抗凝血性ヘパリンまたはヘパラン硫酸をアフィニティーマトリックスに結合させ、結合していない材料を結合した材料から分離することによって、抗凝血性ヘパリンまたはヘパラン硫酸を単離する方法である。本発明では、結合とは、吸着、ファンデルワールス相互作用、共有的および非共有的結合、物理吸着、化学吸着、特異的吸着を含むが、それだけには限らない、あらゆる誘引性の相互作用をいう。
【0058】
一実施形態によれば、アフィニティーマトリックスは線維芽細胞成長因子を含む。好ましくは、線維芽細胞成長因子は、抗凝血性でないヘパリンまたは抗凝血性でないヘパラン硫酸により優先的に、抗凝血性ヘパリンまたは抗凝血性ヘパラン硫酸と結合する。一実施形態によれば、線維芽細胞成長因子はFGF7またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼFGF7(GST−FGF7)融合タンパク質である。
【0059】
一実施形態によれば、線維芽細胞成長因子は支持体に固定化される。適切な支持体の一例は、架橋結合したアガロースである。他の例には、デキストラン、アガロースおよびポリアクリルアミドベースのソフトゲル、シリカベースのゲル、ならびにポリスチレンジビニルベンゼン、エチレングリコール、メタクリル酸ポリマーなど剛体物質上のポリマーベースのゲルが含まれる。
【0060】
線維芽細胞成長因子は、共有結合的にまたは非共有結合的に支持体に固定化させることができる。一実施形態によれば、NHS活性化させ架橋結合させたアガロースに、共有結合的に固定化させた線維芽細胞成長因子である。本発明の一態様は、固定化していない線維芽細胞成長因子によって提示されるヘパリン結合特異性を、線維芽細胞成長因子が保持するように、支持体に固定化させた線維芽細胞成長因子である。本明細書中では、ヘパリン結合特異性とは、抗凝血性ヘパリンが抗凝血性でないヘパリンより優先的に結合することをいう。
【0061】
混合物をアフィニティーマトリックスに適用した後は、結合していない材料を結合した材料から、たとえば、適切な溶媒で溶出することによって分離することができる。一実施形態によれば、結合していない材料を、NaCl、KCl、およびMgClからなる群から選択される塩の水溶液を用いて溶出する。一実施形態によれば、結合していない材料は、塩濃度が約0.01M〜0.4Mである水溶液を用いて溶出される。
【0062】
一実施形態によれば、この方法は抗凝血性ヘパリンを回収するステップをさらに含む。抗凝血性ヘパリンは、適切な溶媒を用いて溶出することによって脱着することができる。他の方法には、マトリックスの温度を変え、抗凝血性ヘパリンを変性または置き換えることが含まれるが、それだけには限らない。適切な溶媒の一例は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、または塩化マグネシウムからなる群から選択される塩の水溶液である。一般的に、吸着した材料を溶出するには、吸着していない材料の溶出に使用する濃度に比べて、より高い濃度の塩溶液が使用される。一実施形態によれば、約0.45M〜1.0Mを有する水溶液を用いて溶出することによる抗凝血性ヘパリンである。
【0063】
本発明による方法は、自然発生のヘパリンおよび合成ヘパリンの両方に適用できる。この方法は、ブタまたはウシ粘膜、ウシ肺組織、ウシ腸管組織を含む任意のソース由来の粗ヘパリンなどの混合物からの、抗凝血性ヘパリンの単離に使用することができる。この方法は、様々な化学的および酵素的処理によって精製した粗ヘパリンの混合物からの、抗凝血性ヘパリンの単離に使用することもできる。さらに、本発明の方法は、合成オリゴ糖の混合物由来の抗凝血性でない活性分画から抗凝血活性分画を抽出することに有用であり、他の方法ではきちんと分画することができない。
【0064】
本発明の方法の特に有用な態様は、抗凝血性ヘパリンを非変性の抗凝血性でないヘパリンから分画することである。したがって、抗凝血性ヘパリン分画を、抗凝血性でない類似体に付随する副作用によって妨げられない抗凝血剤として使用するために、単離することができる。同様に、抗凝血性でない分画を、抗凝血性である副作用からの妨害なしに、抗凝血性でない用途に使用することができる。このことにより、個別のヘパリン出発物質バッチを必要とし、貴重な抗凝血性分画を破壊する、ヘパリンの抗凝血活性を抑制または排除するための化学的改変の必要性がなくなる。純粋で有効な抗凝血性ヘパリン、および最初の改変していない抗凝血性でないヘパリンを、ヘパリンまたは関連する材料の1つのバッチから単一処理で同時に単離することは、より簡単でより効率の良い、費用効率がより高い方法である。ヘパリン材料は、粗製の未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、ヘパリンオリゴマー、ヘパラン硫酸および他のタイプのグリカンを含む天然の模擬ヘパリン、または合成した模擬体とすることができる。
【0065】
本発明の方法はまた、エノキサパリン(Enoxaparin)、イノヘップ(Innohep)、ロジパリン(Logiparin)、フラキシパリン(Fraxiparin)、サンドパリン(Sandoparin)、フラグミン(Fragmin)、低分子量ヘパリンなど抗凝血性薬剤から、抗凝血性の部分を単離するのに有用である。
【0066】
本発明のさらなる態様は、上に記載の実施形態のうちいずれかに従って支持体に固定化させた線維芽細胞成長因子を含む、抗凝血性ヘパリンまたはヘパラン硫酸の単離用のアフィニティーマトリックスである。本発明のさらなる態様は、さらに、本明細書中に記載したアフィニティーマトリックスを含む分離装置である。分離装置は当分野でよく知られており、クロマトグラフィーカラム、クロマトグラフィー紙、ビーズ、磁気ビーズ、ディップスティック、膜およびフィルターを含むが、それだけには限らない。本発明のさらなる態様は、上に記載の実施形態のいずれかに従ってアフィニティーマトリックスを作成する方法である。
【0067】
本発明のさらなる態様は、ヘパリン、模擬ヘパリン、またはヘパリン誘導体を線維芽細胞成長因子と接触させることを含む、ヘパリン、模擬ヘパリン、またはヘパリン誘導体によって触媒される抗凝血作用を中和する方法である。本発明の一実施形態によれば、線維芽細胞成長因子は抗凝血性でないヘパリンに比べて優先的に抗凝血性ヘパリンと結合する。一実施形態によれば、抗凝血作用は動物内で起こる。一実施形態によれば、有効な量の線維芽細胞成長因子をその動物に与えることによって、抗凝血作用が中和される。あるいは、ヘパリン、模擬ヘパリン、またはヘパリン誘導体を含む血液を動物から灌流し、線維芽細胞成長因子と接触させ、動物に戻すことができる。本実施形態によれば動物はヒトである。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、線維芽細胞成長因子はシグナル非活性である。前記線維芽細胞成長因子を別のアミノ酸配列と融合し、シグナル非活性にさせることができる。一例は、GST−FGF7融合タンパク質である。あるいは、アミノ酸配列のシグナル部分を変化させることによって、線維芽細胞成長因子をシグナル非活性にさせることができる。
【0069】
代替実施形態によれば、アフィニティーマトリックスは、抗凝血性でないヘパリンまたはヘパラン硫酸と選択的に結合する線維芽細胞成長因子を含む。この実施形態によれば、この方法は、マトリックスを抗凝血性でないヘパリンまたはヘパラン硫酸を含む混合物と接触させることによって、抗凝血性でないヘパリンまたはヘパラン硫酸をマトリックスに吸着させるステップと、吸着していない材料をマトリックスから分離するステップと、吸着した抗凝血性でないヘパリンまたはヘパラン硫酸をマトリックスから回収するステップとを含む。
【0070】
本発明のさらなる態様は、抗凝血性ヘパリンまたは抗凝血性でないヘパリンを、上に記載したようにシグナル非活性にした線維芽細胞成長因子と接触させることを含む、抗凝血性ヘパリンまたは抗凝血性でないヘパリンのどちらかによって引き起こされた病態を軽減する方法である。
【0071】
本発明のさらなる態様は、線維芽細胞成長因子を含む、ヘパリン、模擬ヘパリン、またはヘパリン誘導体によって触媒された抗凝血作用を中和するのに有用な組成物である。より具体的には、線維芽細胞成長因子を含む、ヘパリン、模擬ヘパリン、またはヘパリン誘導体によって触媒された抗凝血作用を中和するのに有用な組成物であり、線維芽細胞成長因子はシグナル非活性である。シグナル非活性のFGF7は、FGFR膜貫通型チロシンキナーゼの外部ドメインとの結合で生物学的に活性のあるFGFRシグナル伝達複合体を形成しないので、それを投与しても、細胞の増殖の障害や活性化FGF7によって誘発される分化は引き起こされない。さらに、活性または非活性のFGF7のいずれも、内皮細胞に作用したり、正常状態では血液中を循環したりしない。したがって、FGF7の投与は、血管系または血液系の恒常性を妨害しない。FGF7アフィニティーで精製した抗凝血性ヘパリンあるいは誘導体または模擬体を患者に投与した後、過剰の抗凝血活性を中和するのに必要なFGF7またはその変異体の量は、最初に適用した抗凝血剤の量に応じて容易に決定することができる。FGF7アフィニティーによって精製した純粋で有効な抗凝血性ヘパリンの使用、および続いて起こる自己中和は、2重の利点となるであろう。
【0072】
好ましい実施形態は、線維芽細胞成長因子がGST−FGF7である実施形態である。線維芽細胞成長因子を含み、さらに製薬的に許容される担体または希釈剤を含む、ヘパリン、模擬ヘパリン、またはヘパリン誘導体によって触媒される抗凝血作用を中和するのに有用な組成物もまた、視野に入れている。加えて、本発明は、線維芽細胞成長因子を含み、1つまたは複数の賦形剤またはアジュバントをさらに含む、ヘパリン、模擬ヘパリン、またはヘパリン誘導体によって触媒される抗凝血作用を中和するのに有用な組成物を含む。代替実施形態によれば、このFGF7は活性である。
【0073】
下記の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために組み込む。下記の実施例で開示する技法は、本発明の実施において十分に機能するような、本発明者によって発見された技法を表し、したがって、その実施のための好ましい形態を構成するとみなすことができることを、当業者は理解されよう。しかし、本発明の開示を考慮して、開示した特定の実施形態に多くの変更を加えても、それでも本発明の精神および範囲を逸脱することなしに同様のまたは類似の結果を得ることができることを、当業者は理解されよう。
【0074】
実施例1
キメラFGF7/1およびFGF7の発現、精製および結晶化。組換えFGF7/1(ラットFGF7/ヒトFGF1、変異FGF7ml)およびラットFGF7を細菌内で発現および精製する方法が記載されている(Luo他、1998)。セレノ−メチオニル(Se−Met)FGF7/1キメラをメチオニン栄養要求株の大腸菌B834(DE3)内で発現させた(Hook他、1976)。
【0075】
精製したSe−MetFGF7/1キメラを10mg/mlに濃縮し、セントリコン10(Centricon10)(アミコン(Amicon))を使用して、10mMのHepes(pH7.0)、20mMの(NHSO、10mMのDTTおよび0.2mMのEDTAに移した。タンパク質溶液および保存液(1.75Mのリン酸ナトリウム/リン酸カリウム、pH7.0、20mMのDTT)を同体積含むシッティングドロップ(sitting drop)で、20℃の蒸気拡散法によって結晶を成長させた。生じた結晶は、凍結させたとき六方晶空間群P622に属し、単位胞がa=89.8Å、c=65.6Åであった。非対称単位中に1分子存在し、溶媒含有率は57%である。
【0076】
10mMのHepes(pH7.0)中10mg/mlのFGF7によるシッティングドロップ蒸気拡散法を使用して、室温でFGF7の2種類の異なる結晶形が得られた。18.5%のPEG3350、50mMのNaCl、0.1Mのクエン酸塩(pH4.7)を含む保存液で単斜晶を成長させた。これらは、凍結させたとき空間群P2に属し、a=61.1Å、b=35.5Å、c=115.3Å、β=101.0°であり、非対称単位中に4分子含まれ、約40%の溶媒を含んでいた。2.56Mのリン酸ナトリウム/リン酸カリウム(pH5.0)、0.1Mクエン酸ナトリウムを含む保存液で正方晶結晶を成長させた。これらは、凍結させたとき空間群1422に属し、a=169.1Å、b=62.6Åであり、非対称単位中に2分子含まれ、約67%の溶媒を含んでいた。第1の条件下で、Se−Met FGF7の正方晶結晶も成長させた。単斜晶は成長中に崩壊する傾向があり、2〜3週間以内で分析に使用した。両方のFGF7結晶形の、回折する結晶を成長させるには、シーディングが必要不可欠であった。リガク(Rigaku)RU200回転陽極X線発生装置から発生させた通常の単色CuKα放射を使用すると、単斜晶形は4.5Å、正方晶形は3.8Åで回折した。
【0077】
データ収集、構造決定および精製。CHESSのADSC量子−4CCD検出器、およびSSRLのMARイメージプレートを用いてデータを収集した。Se−Met FGF7/1キメラの結晶はCHESSのF−2ビームラインで2.3Åで回折した。逆ビームモードを使用してSe吸収エッジ付近の3つの波長で、多波長異常分散(Multi wavelength anomalous diffraction、MAD)データセットを収集した。Se−Met FGF7の正方晶は、CHESSのF−2ビームラインで弱くでしか回折せず、MAR位相調節の試みは断念した。非変性のFGF7結晶はCHESSのF−1ビームラインで3.1Åで回折した。その後、正方晶FGF7調製物のデータを収集した。単斜晶FGF7は、SSRLのビームライン7−2で3.3Åで回折し、ネイティブデータセットも収集した。すべてのデータはDENZOおよびSCALEPACK(OtwinowskiおよびMinor、1997)を使用して処理した。
【0078】
FGF7/1キメラのMADデータは、波長の1つ(λ3)を「ネイティブ」すなわち基準波長として扱い、他の波長を「誘導」波長として扱い、ベイズアプローチ(Bayesian approach)を使用することによって同期させた。3つの波長を、単一の同形および異常分散寄与値に換算した(Terwilliger、1997)。SOLVEプログラム(http://www.solve.lanl.gov/参照)を使用して、自動的に、積分した測定強度を構造因子の換算し、基準波長に関する局所測定を行い、重原子について解き(solve)、重原子の位相を精緻化した。SOLVEによって生成された位相を用いて、CCP4パッケージを使用して電子密度マップを計算し、溶媒含有率を57%として、プログラムDMを使用して溶媒効果を消した(solvent flattening)。溶媒効果を消した最終的なマップは高品質であった。FGF7/1の140個のタンパク質残基のうち131個の初期モデルを、プログラムO(Jones他、1991)を使用して溶媒効果を消したマップに組み込むことができる。このアミノ酸配列セグメントの同定および当てはめは、セレノメチオニンの位置によって容易になった。タンパク質の精製には、リモート波長の2.3Åデータを使用した。このモデルを、X−PLOR(Brunger他、1992)を用いて分子動力学および制限して精製し、手動で再構築するサイクルに数回かけた。N末端の最初の8残基およびC末端残基が無秩序(disorder)されていた。この座標を、RCSBタンパク質データバンクに登録した(RSCB009151)。
【0079】
正方結晶形の前記FGF7は、AmoRe(Navaza、1994)を使用した分子置換法によって定量した。72%一致したFGF7/1の構造を使用し、アラニンで切断された保存されていない側鎖をサーチモデルとして用いた、交差回転(cross−rotation)機能のソリューション(20.0〜4.0Å)は、最初、明白なピークはなく、ノイズが多かった。しかし、変形(translation)機能により、交差回転機能の第2のピークから、第1の分子のソリューション(相関係数、33.5%、R因子48.3%)が与えられた。第2の分子は、第1の分子を固定化(相関係数:45.0%;R因子44.5%)した交差回転機能の第6のピークから、部分変形機能で見つかった。さらなる精製を行い、X−PLORを使用してマップを計算した(Brunger他、1992)。マップは、プログラムO(Jones他、1991)を使用して見た。側鎖密度が乏しいことが原因で、分子AのAsp−9、Lys−32、Glu−60および分子BのLys−32、Gln−36、Glu−36、Glu−62、Lys−77、Glu−78、Leu−88、Lys−116、Arg−121、Lys−126はアラニンとしてモデル化された。2つの分子のN末端の最初の8残基、分子Aの残基103〜105、分子Bの残基79〜81、残基106〜108、C末端残基はすべてタンパク質表面のループ内に位置しており、確かな密度を有しておらず、構造から喪失している。
【0080】
FGF7の最初の完全なX線データセットは、SSRLで3.3Åの解像度で収集した。FGF1およびFGF2をサーチモデルとしてFGF7の構造を決定する試みは失敗した。FGF7は、FGF1およびFGF2の両方と、30%の配列一致を示す。失敗の理由は明確ではないが、不十分な解像度、不十分な相同性、および予測されている非対称単位中の4個の分子の組合せによる複雑さが原因と考えられる。最初、2.8Åの解像度のネイティブデータセットが、FGF1と60%の配列一致を共有するFGF7/1キメラのP622結晶形から、通常の検出装置を用いて局所的に得られた。FGF1モデルを用いた分子置換法による構造のソリューションは、非対称単位中に1分子含む、異なる空間群、より高い解像度、およびより高い配列相同性にもかかわらず、失敗した。ポリペプチドのGFファミリーの構造の高度な内部対称性もまた、分子置換法における困難の根源となる。FGF7と72%の配列一致を共有するFGF7/1キメラの構造は、分子置換法によってFGF7の構造を解く仲介を提供した。
【0081】
ヘパリンおよびオリゴ糖とFGFの相互作用。抗トロンビン結合十糖(10重合体)を調製し、一様になるまで精製し(28)、これはΔUAp2S(1→4)−α−D−GlcNpS6S(1→4)−α−L−IdoAp(1→4)−α−D−GlcNpAc6S(1→4)−β−D−GlcAp(1→4)−α−D−GlcNpS3S6S(1→4)−α−L−IdoAp2S(1→4)−α−D−GlcNpS6S(1→4)−α−L−IdoAp2S(1→4)−α−D−GlcNpS6Sの構造を有する。十四糖(14重合体)は、>90%の純度で調製し、多次元NMRスペクトルによって特徴付けた(Toida他、1996)。糖の組成および抗トロンビン結合部位の五糖配列の存在を確認することができたが、この十四糖内でのこの配列の正確な位置は解明できなかった。この配列は、ΔUAp2S(1→4)−α−D−GlcNpS6S(1→4)−α−L−IdoAp2S(1→]4)−α−D−GlcNps6S(1→4)−α−LIdoAp(1→4)−α−D−GlcNpAc6S(1→4)−β−D−GlcAp(1→4)−α−D−GlcNpS3S6S(1→4)−α−L−IdoAp2S(1→[4)−α−D−GlcNpS6S(1→4)−α−L−IdoAp2S(l→]4)−α−D−GlcNS6Sであり、n+m=3である。六糖(6重合体)、十糖(10重合体)、および十四糖(14重合体)の抗Xa因子アミド分解活性は、低分子量ヘパリンを基準として定量するとそれぞれ0、3200、および5800単位/mgであった(Toida他、1996)。ヘパリンは、抗トロンビンアフィニティークロマトグラフィーによって分画した(Kan他、1999)。プロテアーゼ保護検定(Luo他、1996)は、FGF1、FGF2およびFGF7に、表示(1〜4×10cpm/ng)の125I−FGFを2ng、ならびにそれぞれ15ng、75ng、および150ngのプロナーゼを用いて行った。検定には、10mMの塩化マグネシウムおよび1%のトリトンX−100を含む100μlのPBS中、表示した量のヘパリンまたはヘパリンから誘導したオリゴ糖を含んでいた。37℃、終夜インキュベートした後、残留するFGFを定量するためにSDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーを使用した。
【0082】
FGF7アフィニティーで精製したヘパリンによる抗Xa活性の阻害。グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)と融合させたラットFGF7およびヒトFGF1(Luo他、1998)を、まずヘパリン−セファロース(アマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech))上で精製した。次いで、これらの因子をGSHセファロース(アマシャムファルマシアバイオテク)上に固定化させ、1M NaClの溶出緩衝液(10mMトリス−HCl、pH7.4および1mM DTT)を用いて洗浄し、粗ヘパリン分画用のアフィニティーマトリックスとして利用した。
【0083】
ブタ腸管粘膜ヘパリン(10mg、179USP、シグマ)を2mlのGST−FGF(20mg)/GSH−セファロースカラムに載せ、10mMトリス−HCl、1mM DTT、pH 7.4中の0.3、0.6、0.9、および1.3MのNaClで段階的に溶出させ、FPLC(Flow Performance Liquid Chromatograph)(アマシャムファルマシアバイオテク)を使用して226nMの吸収で検出した。0.3M のNaCl分画は非結合ヘパリンとみなし、完全なアフィニティー分離を保証するために繰り返してさらに2回分離した。GST−FGF7からのヘパリンは0.6および0.9M NaClの結合分画に分離され、GST−FGF1からのヘパリンは1.3M NaClの結合分画に溶出された。各ヘパリン分画は、HOに対して透析し、凍結乾燥し、カルバゾール検定によって量を定量した。
【0084】
抗トロンビンIII(AT III)も、ヘパリン−セファロースのアフィニティークロマトグラフィーによって、ヒト血漿(血液センター、ヒューストン)から精製した。不純物は、1mM CaCl、1mM MgClおよびlmM MnClを含む10mMトリス−HCl緩衝液中の0.7M NaCl、pH7.4によって脱着させ、同緩衝液中の2.0M NaClによって溶出させ、血漿1Lにつき15〜20mgの生成物を得た。精製したAT III10mgを2mlのコンカナバリンA(Con A)−セファロース(アマシャムファルマシアバイオテク)に載せ、0.15M NaClを含む上記の緩衝液を用いて平衡にした。次いでこのカラムを、0.5M NaCl、1.0M NaCl、その後0.15M NaClを含む同緩衝液を用いて洗浄し、AT IIIに結合していないヘパリンまたは結合したヘパリンを分離するのに使用した。0.3M NaCl分画は結合していない、2.0m溶出分画は結合しているとみなした。量は、カルバゾール検定によって定量した。
【0085】
Xa因子活性の検定のために、1μg/mlのヘパリン分画10μlを、ヒト血漿から精製した1.7μMのAT III10μlと混合し、37℃で2分間インキュベートし、その後10nMのXa因子70μl(New England Biolabs)を混合物に加えた。37℃で5分間インキュベートした後、4mMのChromozym X(ベーリンガーマンハイム、Boerhringer Mannheim)10μlを加えた。37℃で5分間インキュベートした後、10μlの氷酢酸を加えることによって反応を停止させた。残留Xa因子活性を、405nMで5秒間、96ウェルプレートリーダー(モレキュラーデバイス社、Molecular Devices Corp.)で記録した。
【0086】
FGF7/1キメラおよびFGF7の構造。FGF7/1キメラの結晶構造は、多波長異常分散(MAD)によって決定し、2.3Åの解像度で、23.7%および32.8%のR因子およびRfreeで精緻化した。その後、FGF7/1キメラの構造からのモデルを使用して、3.1Åの解像度でそれぞれ23.3%および32.4%のR因子およびRfreeで精緻化した正方晶結晶形のFGF7の3次元構造を、分子置換法によって解像するのに使用した。非対称単位中の2個の独立した分子は類似しており、α炭素間の約1.01Åの二乗平均平方根偏差(rmsd)を用いてオーバーラップさせることができ、それらの電子密度は定義されている。これは、FGF1のrmsd0.26〜0.87Å(DiGabriele他、1998、Zhu他、1991)およびFGF2のrmsd0.57Å(Zhu他、1991)を超え、FGF7の構造で、より柔軟性があることを示した。非対称単位中に、FGF7/1キメラには1個、FGF7には2個の分子が存在する。分子Aの3残基、および分子Bの10残基の側鎖が無秩序化されていたので、FGF7のモデリングおよび表面電位計算には分子Aを選択した。FGF7/1キメラおよびFGF7の両方の、N末端の最初の8残基は無秩序化されていた。FGFに特徴的な12個のβ鎖は、約3回の内部対称を有するパターンで、10個の定義された、および2個の定義されていない逆平行鎖に配列していた。FGF7およびFGF7/1キメラの最初のβ鎖は、FGF1およびFGF2のβ鎖よりアミノ酸3個分長かった。FGF7のβ鎖6および7、ならびにFGF7/1キメラの最後のβ鎖は3残基しか長さがなく、これは4つの構造のうち一番短かった。Cys−17は完全に埋まっており、Cys−83は表面近くであった。これらは両方ともFGFファミリー内に保存されている。むき出しで水分子に結合しているCys−83とCys−79間のCβ−Cβ距離4.6Åは、ジスルフィド結合の形成に十分である。しかし、分子内および分子間のジスルフィド結合は見られなかった。
【0087】
保存された疎水性部分および相同性ヘパリン結合ドメイン。FGF7およびFGF7/1キメラの構造をFGF1およびFGF2の構造と比較することで、極性アミノ酸に隣接する特有の疎水性部分の4つの因子に共通の保存が明らかになった。疎水性部分の溶媒が接近可能な領域は、CCP4のSURFACEプログラムおよびプローブ半径1.4Åを用いて計算した。FGF7では、Phe−16、Tyr−22、Tyr−94、Leu−135、Met−137、Gln−35およびAsn−92は452Åの領域を形成し、そのうち241Åは、すべてのFGF相同体に共通して保存されている5個の疎水性残基によって形成される。FGF7/1キメラの比較されうる領域は、それぞれ443Åおよび222Åであった。疎水部分残基(Tyr−25、Phe−32、Tyr−104、Leu−141、Met−143)、およびFGF−2のArg−45およびAsn−102は、突然変異による受容体結合に関係し(Springer他、1994)、FGFRIおよびFGF−2のヘパリンに依存しない複合体の結晶構造中の免疫グロブリン(Ig)モジュールII間の相互作用を支配する(Plotnikov他、1999)。疎水部分の保存は、FGF1、FGF2およびFGF7が、ヘパリンとFGFRIおよびFGFR2のIgモジュールIIとの複合体と、隣接する構造ドメインなしで相互作用するという知見と一致している(Wang他、1995、Wang他、1999、Uematsu他、2000)。
【0088】
ヘパリン六糖とFGF1(DiGabriele他、1998)およびFGF2(Faham他、1996)との複合体の構造と比べることによって、FGF7は、残基Arg−18、Asn−92、Asn−114、Gln−115、Val−120、Lys−124、Gln−179、Lys−130およびThr−131を含む相同性ヘパリン結合ドメインを示す。FGF7/1キメラ内の相対残基は、Arg−18、Asn−92、Lys−112、Lys−113、Lys−118、Arg−119、Arg−122、Gln−127およびLys−128であった。
【0089】
HBドメインの独特な表面電荷分布および3−O硫酸化抗トロンビン結合ヘパリンの必要性。FGF7の全体と矛盾することなく、FGF7/1キメラおよびFGF7の相同性HBドメインCα主鎖は、FGF1およびFGF2に類似していた(rmsd<1Å)。しかし、FGF7の相同性ドメインを囲む側鎖および表面電荷の分布は劇的に異なっていた。FGF1、FGF2およびFGF7/1キメラでは正の表面電荷が集中しているのに対し、FGF7構造では分散している。FGF1およびFGF2上の正の表面電荷に相同するFGF7上の領域は、分裂しており、残基Val−120、Thr−125およびThr−131によって2つの部分に分かれている。Thr−125は、3つのFGFに共通して保存されている。Val−120はヘパリンに接触するリシンであり、Thr−131はFGF1およびFGF2内のアラニンである。FGF7のVal−120を置換することによって帯電リシン側鎖を失うと、残基Thr−125およびThr−131がむき出しになり、電荷が集中する2つの領域を分離する空洞が生じる。ヘパリンに接触する残基リシンをバリンと置換すると電荷を失うが、この再構成により、3つの高電荷密度の領域に及ぶヘパリン鎖と空間的な衝突は生じない。負に帯電した、FGF7に独特でHBドメイン付近にあるGlu−128は、ヘパリンの相互作用に負の大きな影響を与える可能性がある。これらの観察は、ヘパリンに対するFGF7の静電気的なアフィニティーが、FGF1およびFGF2に比べて著しく減少されることに一致している(Lu他、1999)。
【0090】
ヘパリンオリゴ糖とFGF1(DiGabriele他、1998)およびFGF2(Faham他、1996)の複合体の結晶構造の相互作用は、本実験によって示される硫酸基の必要性と矛盾していない。ヘパリンの2−O−硫酸基はFGF2結合に十分と考えられるが、FGF1は2−O−硫酸基および6−O−硫酸基の両方を必要とする(Guimond他、1993、Ishihara他、1997)。FGF7を、2−O硫酸基および6−O硫酸基を含むが3−O硫酸基を含まず、FGF2と共結晶した(Faham他、1996)ヘパリン六糖と共結晶化させる試みでは、FGF7のみで結晶化させた、前記の結晶と同一の結晶が得られ、共結晶化の形跡はなかった。次いで、六糖が十分にFGF7と相互作用し、FGF7をプロテアーゼに対して保護するかどうかを判定する実験を行った(Luo他、1996)。FGFを安定化させプロテアーゼに対して保護するのは、細胞周囲基質ヘパラン硫酸の機能のうちの1つと考えられており、ヘパリンオリゴ糖とFGFの機能的相互作用をモニターするのに使用されてきた(Luo他、1996)。FGF1/FGF2結合六糖はプロテアーゼに対してFGF7を保護することができなかったが、十糖および十四糖はこの有効さの順序で保護することができた。加えて、抗トロンビン結合ヘパリン(bound heparin、BH)は、非結合分画(unbound fraction、UH)に比べて、FGF7をプロテアーゼに対して保護するのに4分の1の濃度で3倍有効であった。結合および非結合ヘパリンは、FGF−1およびFGF−2の保護では、ほとんど同等に有効であった。プロテアーゼ処理の後に残ったTCA−沈殿性125I−FGF7の独立した分析によって、オートラジオグラフィーの結果が確証された。これらは、より長いオリゴ糖配列に加えて、またはそれとは独立に、FGF7の独特なHBドメインと相互作用するヘパリン内の抗凝血性モチーフ、抗トロンビンの必要性を示唆する。抗トロンビンの結合および抗凝血活性に必要であるヘパリン内の構造的モチーフは、特異的五糖または六糖配列であり、分画されていないヘパリンの30%までになることもあるが、細胞性ヘパラン硫酸の10%未満である(Rosenberg他、1997)。グルコサミン−N−アセチルまたはN−硫酸−6−O−硫酸およびグルコサミン−3−O−硫酸(±6−O−硫酸)は、抗トロンビンと結合する際に、1残基を間にはさんで、イズロン酸−2−O−硫酸およびグルコサミン−N−硫酸−6−O−硫酸からなる隣接する二糖と協力する。
【0091】
GST−FGF7融合体は、FGFと同じヘパリン結合活性を有する。GSH−セファロース上に固定化させたこの融合タンパク質は、高濃度の塩化ナトリウムに耐性があり、FGF結合ヘパリンを単離するのに使用した。0.9M NaClで溶出させたFGF7結合ヘパリンは、Xa因子の抗トロンビン結合活性の向上を示し、それは100ng/mlの濃度の抗トロンビン結合ヘパリンの90%であった。0.6M NaClで溶出させたヘパリンは、より少ない阻害活性を示した。分画していない粗ヘパリンに比べて、抗トロンビンに結合していないヘパリンは実質的に阻害活性はなく、FGF7に結合していないヘパリンは48%の阻害活性を失った。逆に、FGF1結合ヘパリンは抗トロンビン結合モチーフを拒絶するが、FGF1非結合ヘパリンは阻害活性を向上させ、それは抗トロンビンの82%であった。これらの結果は、FGF7がヘパリンと相互作用するために抗トロンビン、抗凝血性モチーフ、または少なくとも3−O硫酸基が必要であり、また異なるFGFは異なるヘパリン組成の必要性を有するため、FGF−ヘパラン硫酸FGFRシグナル伝達複合体を制御するために別の特異性レベルが潜在的に生じる。
【0092】
3−O硫酸基および/またはヘパリンオリゴ糖長付加の必要性の構造的基礎。FGF7のモデル複合体を、FGF1およびFGF2の共結晶で明らかになったヘパリン六糖構造を用いて構成した。このモデルは、(1)FGF7のヘパリン結合部位はFGF1およびFGF2のヘパリン結合部位と相同であるという仮定、(2)ヘパリンポリマーに許される計算された範囲内のヘパリン六糖のねじれ角を、NMRデータに由来する値に近い角に維持すること(Mikhailov他、1997)、および、(3)六糖と4つのFGFすべてに共通の主鎖の間の、3つの接触(FGF1およびFGF2構造の両方で観察される)を維持すること、に基づく。共通の接触は、ヘパリン六糖の残基5の2−N−硫酸基とGln−115の主鎖Nとの接触、残基4の2−O−硫酸基とLys−130の主鎖Nとの接触、および残基4の2−O−硫酸基とThr−131の主鎖Nとの接触である。このモデルは、FGF1のヘパリン接触残基の対応物であるFGF7残基Lys−116およびVal−120が、ヘパリンの結合に関与できないことを示した。Lys−116は、FGF1のヘパリン結合性Asn−114と置換する。Val−120は、FGF1のヘパリン結合性Lys−118と、およびFGF2のヘパリン結合性Lys−126と置換する。FGF7内のβ鎖1およびβ鎖2の間のループは、FGF1およびFGF2より1残基短い。結果として、FGF1(Asn−18)およびFGF2(Asn−28)のヘパリン結合性アスパラギンのFGF7対応物(counterpart)であるThr−19もまた、GlcN残基3の2−N−硫酸基およびIdoA残基2の3−OHと水素結合を形成するには、ヘパリンから離れすぎている。これらの接触は、FGF1およびFGF2の共結晶内で観察された。
【0093】
ヘパリン六糖の3つのグルコサミン−N−硫酸基のそれぞれに3−O硫酸基を手動で付加することによって、このモデルの3つの変形を作成した。3−O基の付加が、オリゴ糖またはFGF7のどちらにも著しいコンフォメーション変化を引き起こさないと仮定して、以下の3つのモデルのそれぞれで新規の理論的な荷電相互作用が注目された。モデル2は、抗トロンビン結合モチーフに適合するためにGlcNS−(6−O−硫酸)−GlcAを非還元末端に必要とする、グルコサミン−N−硫酸−3−O−硫酸基を1位(S−1)に有し、2−N−硫酸基および3−O−硫酸基の両方がArg−18との塩橋に関与し、また2−N−硫酸基とAsn−92が相互作用する、最も精巧なネットワークを示した。モデル3では、グルコサミン−N−硫酸−3−O−硫酸基の3−O−硫酸基が3位(S−3)にあれば、Lys−130は3−O硫酸基と新しい塩橋を形成することができる。しかし、このために、IdoA(1−2)の6−COO’との相互作用を失うという犠牲を払っており、従来の抗トロンビン結合モチーフを維持するためにはGlcAと置換しなければならない。このモデルの第4の変異体では、5位の3−O硫酸基は新しい接触を行わなかった。IdoA(1−4)をGlcAと置換することによって抗トロンビン結合モチーフを維持するために、Q129との水素結合も失われる。記載したモデルは、FGFに結合した構造が知られている六糖主鎖に限られていた。IdoA−6残基からヘパリン二糖の反復で六糖を伸張することが、FGF7とのさらなる荷電相互作用をLys−124を開始点として引き起こすことは、個別のモデル化の実習から明らかであった。
【0094】
このモデルは、FGF1およびFGF2のHBドメイン内に存在していた、相同性FGF7HBドメイン内のFGF1/FGF2結合六糖との好ましい相互作用の損失を示す。このモデルでヘパリンの結合に関与しない、FGF7の残基Thr−19およびVal−120は、Thr−125およびThr−131と一緒になって、FGF−1ではヘパリン接触の残基Asn−18およびAla−129が占めている、FGF7内の領域を占める。これらの残基は、相同性FGF7HBドメインにわたる陽電荷電位の破壊および低下に大きな影響を与える。これらの違いは、低下し二分された表面電荷を補償することができる、3−O−硫酸化およびオリゴ糖長の増加の必要性を潜在的に生じさせる。
【0095】
FGF7の結晶構造により、19個以上の遺伝子的に明確に異なる哺乳動物相同体のファミリーの、第3のメンバーの姿が現れる。FGF7は、発現および受容体への特異性の制限を示し、このことは、多くの柔組織の間質区画から上皮区画の方向性パラクリンシグナル伝達系に寄与する(Finch他、1989、Yan他、1993、Feng他、1997、Matsubara他、1998)。この系の破壊により、区画間の指令シグナルの損失が生じる(McKeehan他、1998、Yan他、1993、Feng他、1997、Matsubara他、1998)。上皮細胞のヘパラン硫酸FGFR2lllbの複合体に対するFGF7の特異性にもかかわらず、FGF7のCα主鎖および構造ドメインの並びは、FGF1、FGF2およびFGF7/FGF1キメラの配置と非常に似ている。複合体とヘパラン硫酸、受容体キナーゼ、または両方との三元複合体に劇的なコンフォメーション変化が起こらない限り、特異性は側鎖残基の組成および配向性になければならない。現在のところ、ヘパリンとの複合体(DiGabriele他、1998、Zhu他、1991、Ericksaon他、1991、Faham他、1996)、またはFGF2とFGFR1のヘパリンに依存しない複合体(Plotnikov他、1999)で、Cα主鎖あるいはFGF1またはFGF2の大規模なコンフォメーション変化は起こらない。FGF7の独特な側鎖によって引き起こされた著しい違いは、相同性FGF7HBドメインとは劇的に異なる表面構造であり、それは、相互作用するヘパリン/ヘパラン硫酸の構造に対するさらなる要求に関連する。これらの違いは、上皮細胞内でFGF7のFGFR2lllbに対する特異性の主な決定因子として同定されたGボックス内の残基を含む(Luo他、1998)。
【0096】
これらの結果は、FGFRに依存しないFGFとの相互作用において、ヘパラン硫酸鎖の3−O硫酸化によって特徴付けられる抗凝血性モチーフが果たす役割を、初めて示唆する。ヘパラン硫酸とFGFの、FGFRに依存しない相互作用は、オリゴマー形成を促進し(Herr他、1997、Moy他、1997、DiGabriele他、1998)、細胞周囲基質内のFGFを隔離および保護(Luo他、1996、Vlodavsky他、1996、Friedl他、1997、Lu他、1999)するために提案された。FGF7と相互作用するヘパラン硫酸の構造の制限は、FGF1およびFGF2に比べて、その半減期、細胞周囲環境の限局化および細胞内輸送を制限する可能性がある。FGF7のために前立腺上皮細胞によって発現される細胞周囲基質結合部位は、相同体FGF10の結合部位の一部であり、FGF10は、間質中でも発現され、上皮細胞FGFR2lllbとしても働く(Lu他、1999)。この抗凝血性モチーフは、FGF1、FGF2(McKeehan他、1999)、FGF7、FGF10を結合させる能力がある外部ドメインであるFGFRと、ヘパリンまたは細胞性ヘパラン硫酸が2元複合体を形成するためにも必要とされる。FGF7およびFGFR2を同時に結合して(Kan他、1999、McKeehan他、1999)活性のあるオリゴマーシグナル伝達複合体にするのに十分な特性を併せ有する1個のヘパラン硫酸オリゴ糖は、まれであり、FGF7シグナル伝達の特異性における主な決定因子である。
【0097】
実施例2
タンパク質の調製。FGF7を、クロラミンT(Chloramine T)(シグマ、セントルイス)法によってヨウ素化した。抗トロンビンは、ヒト血漿(血液センタ、ヒューストン)からヘパリンクロマトグラフィーによって精製した。手短に述べると、凍結血漿を氷上で解凍し、遠心分離によって分離した。上清を、2mlのヘパリン−セファロース(ファルマシア(Pharmacia)、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を用いて4℃で30分インキュベートした。ビーズを回収し、20mMのトリス−HCl、pH7.4、1mM CaCl、0.7M NaClでよく洗い、2M NaClにより溶出させた。NaClの直線濃度勾配0〜2Mを用いて、ヘパリン−セファロースFPLC(ファルマシア、ニュージャージー州ピスカタウェイ)によってタンパク質を再度精製した。タンパク質をSDS−PAGEおよび抗Xa因子活性検定によって試験した。
【0098】
アフィニティーカラムの調製。10mgの純粋なGST−FGF7タンパク質を、20mMトリス−HCl、pH7.4、0.3M NaCl、0.1mM DTT、0.2%アジ化ナトリウムの緩衝液中で、0.3ml/分の流量で、GSHセファロースカラム(ファルマシア、ニュージャージー州ピスカタウェイ)に添加した。固定化後、カラムを0.3〜1.2Mの直線濃度勾配の、次いで1.2〜0.3Mの直線濃度勾配のNaClでよく洗った。抗トロンビンにも同様の手順を使用した。10mgの純粋な抗トロンビンを、20Mトリス−HCl、pH7.4、0.3M NaCl、1mM CaCl、0.2%アジ化ナトリウムの緩衝液中で、0.3ml/分の流量で、コンカナバリンA−セファロース(ファルマシア、ニュージャージー州ピスカタウェイ)に添加した。その後カラムを0.3〜1.5Mの直線濃度勾配の、次いで1.5〜0.3Mの直線濃度勾配のNaClでよく洗った。NaCl勾配を適用する間に失われたタンパク質の推定量は、10回の実行で約1〜5%であった。
【0099】
抗凝血性ヘパリンの精製。ヘパリン試料を、GST−FGF7および抗トロンビンについて上に記載した緩衝液に溶解した。このヘパリン溶液を、電荷を帯びていない0.22μmTuffryn膜(ポール社(Pall Corporation)、アナーバー)を用いて濾過した。分析の目的に、緩衝液10ml中のヘパリン5mgを、上記の緩衝液と一緒に0.4ml/分のアフィニティーカラムに注入した。その後カラムを、0.3、0.6、0.9、1.2および1.5 Mの段階的に増加するNaCl濃度で洗い、除去を保証するために一連の動作を5〜10回繰り返した。各勾配の分画を回収し、5分間沸騰させ、1度凍結し、解凍して遠心分離または濾過した。この上清を、粗腸管ヘパリンまたはLMWHにそれぞれ2000Daまたは500Daの分子量のカットオフを使用して、3日間、2mMのトリス−HCl、pH7.4に対して透析し、綿様の物質として凍結乾燥させた。1.5M NaClの分画は、ヘパリンをほとんど含んでいなかった。各分画の濃度は、HSO−フェノールカルバゾール検定(Riedel−deHaen GmbH、ミルウォーキー)および1,9−ジメチルメチレンブルー(DMB)(Biocolor Ltd.、アイルランド)検定によって決定した。
【0100】
抗Xa因子検定。未分画ヘパリン、LMWH(シグマ、セントルイス)、またはエノキサパリン(Lovonex、フランス)からのヘパリン試料を所定量含む10μlの溶液を、20mMのトリス−HCl、pH7.4、0.15M NaCl、10mM CaClに溶かした10μg/ml抗トロンビン10μlと混合した。2分間インキュベートした後、300ng/mlのXa因子(New England Biolabs、マサチューセッツ州ベバリー)70μlを加え、37℃で3分間インキュベートした。次いで混合液を、2.3mg/mlのChromozym X(Roche Molecular Biochemicals、インディアナ州インディアナポリス)10μlと共に、37℃で3分間インキュベートした。10μlの氷酢酸で反応を停止させた。残留Xa因子活性を405nmで測定した。抗トロンビンが存在するがヘパリンが存在しない場合のXa因子活性を100%とした。
【0101】
抗IIa因子活性。ヘパリン試料10μlおよび10μg/mlの抗トロンビン10μlを、800ng/mlのIIa因子60μlと一緒に、20mMトリス−HCl、pH7.4、0.15M NaCl、1mg/mlポリエチレングリコールの緩衝液中、37℃で1分間インキュベートした。次いで1.2mg/mlのChromozym TH(Roche Molecular Biochemicals、インディアナ州インディアナポリス)20μlを加え、37℃で2分間インキュベートした。10μlの氷酢酸を加えて反応を停止させた。残留IIa因子活性を405nmで記録した。抗トロンビンが存在するがヘパリンが存在しない場合のIIa因子活性を100%とした。
【0102】
中和検定。1μg/mlの0.9M高アフィニティーFGF7または抗トロンビン結合の6000Daヘパリン(最終濃度100ng/ml)(シグマ、セントルイス)10μlおよび様々な濃度のFGF710μlを、10μg/mlの抗トロンビン溶液10μlと一緒にインキュベートした。検定の残りの手順は、基本的に上に記載の抗Xa因子または抗IIa因子の検定に従った。活性は、抗トロンビンおよびFGF7が存在するが、どのような量のヘパリンも存在しない場合のXa因子またはIIa因子活性から、FGFを加えない場合の残留活性を減算した値のパーセンテージとして表した。
【0103】
FGF7のN末端に可溶性かつ生産能が高い融合パートナーであるグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)を融合させた場合、生物学的活性を保持した約3.2mg/mlのFGF7収量が細菌内で生成された。単独での現は、免疫反応によってほとんど検出できないレベルであった。純粋な融合タンパク質は、グルタチオン(GSH)およびヘパリンアフィニティーマトリックスで続いて行ったクロマトグラフィーによって得られた(Luo他、1998、Lu他、1999、Jang他、1997)。このことは、FGF7のN末端は柔軟であり、コンパクトなコア構造の外にあり、ヘパリン結合ドメインが柔軟なN末端から離れていることを示す、FGF7結晶構造と矛盾しない。FGF7自体は、単純に、in vivoの切断現象を模倣するトリプシン消化を行うことによって放出された(Luo他、1998、Lu他、1999、Jang他、1997)。図1は、GST−FGF7および融合体から単離されたFGF7が両方とも約0.9M塩化ナトリウムで溶出され、ほとんど同じヘパリン結合アフィニティーを有することを表す。このことは、GSTの導入がFGF7のヘパリン結合能力に作用しないことを示す(図1)。
【0104】
融合によってFGF7の組換え生成が改善されたが、創傷の治癒、表皮の回復、FGF7特異的ヘパリンおよび抗凝血性ヘパリンの精製など、潜在的な商業的および臨床的用途には、依然として相当低い収量である。その後、FGF7の生成量を約5倍と著しく向上させる方法が発見された。これは、大量のGST−FGF7またはFGF7の生成を可能にし、また大量の抗凝血性ヘパリンおよびFGF7特異的ヘパリンを生成するための有効なアフィニティーマトリックスとして、GST−FGF7を利用することを可能にする。
【0105】
低分子量ヘパリンから抗凝血性分画を抽出するための、抗トロンビンとの比較。精製したGST−FGF7を、セファロースビーズに結合させたGSHに非共有結合的に固定化、またはNHS活性化させたセファロースに共有結合的に架橋結合させた。前者の方法では、マトリックスからGST−FGF7が漏出する恐れがあり、後者の方法では、ヘパリン結合ドメインを介した架橋結合により吸着能力が減退する恐れがある。1.2M NaClを用いた溶出中にGSH/GST−FGF7カラムから漏出するGST−FGF7の評価により、アフィニティーマトリックスを用いて10回実行した後、約5%の固定化タンパク質が失われたことが示された。どちらのタイプの固定化手順でも、下に記載のようにNaCl濃度を増加させた際のヘパリンの捕捉、および続く特異的分画の回収において、固定化GST−FGF7単位あたりの有効性は同等に思われた。
【0106】
ブタ腸管粘膜ヘパリン(分子量平均が約3000〜30000ダルトンの範囲であり、長さが10〜100個の単糖である)をヘパリナーゼI処理によって減少させて作成された、市販の低分子量ヘパリン(LMWH)試料(シグマ化学(Sigma Chemicals)、ミズーリ州セントルイス)(平均分子量=6000ダルトン)を用いた。予備実験では、緩衝液(10mMトリス−HCl、pH7.4、0.2mM DTTおよび0.02%NaN)中の粗LMWH5mgを、GSH−セファロース1mlに固定化させたGST−FGF710mgを含むカラムに、5回通した。0.3M NaClでは、ヘパリンの30〜40%がカラムに保持されなかった。保持された分画のうち、約40%が0.6M NaClで溶出され、20〜30%が0.9M NaClで溶出され、1〜5%が1.2M NaClで溶出された。
【0107】
Xa因子プロテアーゼおよびIIa因子プロテアーゼに対する、抗トロンビンによるヘパリン依存性阻害を利用して、アフィニティーで精製したLMWHの分画の抗凝血活性を評価した。検定の前に、各分画を沸騰させ、濾過し、2mMのトリス−HCl(pH7.4)に対して透析し、凍結乾燥させて2mMのトリス−HCl(pH7.4)に再懸濁させた。保持されなかったヘパリンの分画はほとんど完全に不活性であったが、GST−FGF7によって捕捉され、0.6Mおよび0.9M NaClで溶出された分画はそれぞれ、100ng/mlの阻害されていないレベルの45%および21%で、Xa因子を阻害した(図2a)。固定化させたヒト血液由来の抗トロンビンから0.6Mおよび0.9M NaClで溶出されたLMWH分画はそれぞれ、100ng/mlの阻害されていないレベルの47%および16%で、Xa因子を阻害した(図2b)。最大の半分のXa因子阻害に必要な濃度(50%阻害濃度)が、GST−FGF7アフィニティーによって精製したLMWHでは1mlあたり約14ngであったのに比べて、抗トロンビンアフィニティーによって精製したLMWHでは1mlあたり8ngであったことが、投与量応答曲線により示された(図2b)。
【0108】
ヘパリンの抗凝血活性の第2のターゲットは、抗トロンビンによるIIa因子(トロンビン)の阻害である。トロンビン−抗トロンビンと不活性の三元複合体を形成するためにはより長いオリゴ糖が必要であるため、前に述べたように、最近の証拠により鎖の長さもまたXa因子の阻害における要素である可能性が示唆されるが、LMWHは、Xa因子と比べて、IIa因子の阻害においてより低い有効性を示すと予想される。図2cは、抗Xa因子活性に比べて抗IIa因子活性は全体的に減少しているが、100ng/mlでは、GST−FGF7または抗トロンビンカラムによって捕捉されたLMWH分画のどちらもが、同程度の抗IIa活性(それぞれ、阻害されていないレベルの33%および26%の阻害)を示すことを表す。このことは、IIa因子活性に対する50%阻害濃度が、GST−FGF7および抗トロンビンで精製したLMWHで、それぞれ30ng/mlおよび13ng/mlのときに起こったことを示す、投与量応答曲線によって確認された(図2d)。抗Xa因子活性と同様に、どちらのアフィニティーカラムで保持されなかった分画も、活性がなかった)。
【0109】
臨床的LMWH製品の抗凝血活性を向上させるための有用性。多様な化学的および酵素的処理によって作成し、次いで4000〜6000ダルトンにサイズ分別した、いくつかのLMWH製品、たとえばエノキサパリン、イノヘップ、ロジパリン、フラキシパリン、サンドパリン、フラグミンは、診療室において抗凝血性薬剤として広く使用されているが、抗凝血活性に関して向上されていない。図3は、固定化GST−FGF7によって捕捉された分画は、エノキサパリンの抗Xa活性(図3a)および抗IIa活性(図3c)が濃縮されることを表す。アルカリ処理によって作成されるエノキサパリンから濃縮させた抗Xa活性および抗IIa活性は両方とも、ヘパリナーゼ処理によって生成したシグマ6000LMWHより少し低かった。100ng/mlでは、GST−FGF7で0.9M NaClにより生成したエノキサパリンは、Xa因子の阻害が対照の26%(図3b)、IIa因子の阻害が対照の33%(図3d)であり、両酵素はそれぞれ、50%阻害濃度が20ng/mlおよび75ng/mlであった。0.3M NaClの保持されなかった分画は、活性がなかった。
【0110】
ブタ腸管粘膜組織(PIM)由来の未処理未分画ヘパリン(UFH)から抗凝血性分画を濃縮することに関する、GST−FGF7アフィニティーの有用性および特異性を示した(図3)。1mlあたり100ngでは、0.9M NaClで溶出されたGST−FGF7で精製した材料は、Xa因子の阻害が対照の12%であり、50%阻害活性は1mlあたり5ngで促進された(図3aおよびb)。同じ分画は、IIa因子の阻害が、1mlあたり100ngである対照の15%であり、50%阻害活性は1mlあたり3ngで示した(図3cおよびd)。粗PIMヘパリンから濃縮した分画の抗IIa活性がLMWHに比べてより高いことは、不活性な抗トロンビン−IIa因子複合体を形成するため、また場合によってはXa因子と最適な阻害複合体を形成するための抗トロンビン結合モチーフを含む、より長いオリゴ糖が必要なことと矛盾しない。固定化GSTおよびGST−FGF1を有する対照カラムは、粗PIMヘパリンから抗凝血活性を向上させることができなかったが、この分画におけるFGF7の特異性を確認した。
【0111】
これらの結果はすべて、GST−FGF7が、粗UFHまたはヘパリンのサイズ分画した調製物(LWMH)から抗Xa分画および抗IIa分画を抽出するアフィニティー剤としての抗トロンビンの、強力な代替物であることを示す。このことで、抗凝血性の分画を濃縮するために天然の哺乳動物抗トロンビンを必要とすることに関連する、コストおよび安全性の問題が回避される。臨床ヘパリン調製物を少数の抗凝血性分画に減少させれば、最適な抗血栓性効果を得るために必要な投与量が減少され、電解質、および不活性な多数の分画による他の生物学的影響によって引き起こされる副作用が減少され、過度の出血を引き起こす可能性があるオーバーシュートがより良く制御される見込みが高くなる。このことは、ヘパリン、その誘導体または模擬体による抗凝血性治療において改善をもたらす可能性がある。抗凝血性でない、(たとえば0.3M NaClの)FGF非結合ヘパリンは、上に記載の抗凝血性に関連しない治療にも役立つ。シグナル伝達には活性がないが、ヘパリンとの相互作用には十分活性があるGST−FGF7または他の変異体は、残留ヘパリンの中和または投与量オーバーシュートの補償に利用することができる。シグナル非活性のFGF7構成物は、血液系または組織の恒常性を妨害する可能性が低い外部不活性因子であるという利点を有している。GST−FGF7または他のFGF7変異体による抗凝血性ヘパリンの中和は、プロタミン、PF4、ヘパリナーゼ、ラクトフェリンなど非特異的な高分子電解質中和剤に比べてより大きな特異性を提供する。最後に、活性FGF7は、柔組織の上皮に独特の特異性を示し、in vivoで特別な創傷治癒特性を示す(本明細書中にその全体を参照として組み込む、米国特許第5,965,530号、第6,183,784号、第5,843,883号、第6,074,848号)。それ自体でまたは生物活性のあるFGF7と組み合わせて投与したFGF7特異的なヘパリンは、同一の病理学的または外科的手術の結果として必要となる、抗血液凝固/血液凝固両方の協調および創傷治癒の治療において二重に有用になる可能性がある。
【0112】
FGF7による抗凝血活性の中和。いくつかの血液タンパク質、血小板因子4(PF4)、高ヒスチジン糖タンパク質(histidine−rich glycoprotein、HRG)、およびビトロネクチンやプロタミンなど血液性でないタンパク質が、抗凝血剤に対する中和活性を示した(Williams他、1992、Levy他、1995、Lane他、1986)。中和機構はあまり明確ではないが、おそらくは立体妨害または直接置換による。FGF7は主に間葉細胞によって生成され、組織の恒常性を維持するためにパラクリン様式で上皮細胞に作用すると報告されている(Finch他、1989、Lu他、1999、Yan他、1993)。FGF7はまた、エピデミック皮膚に現れ、創傷部位で増加され、創傷を治癒することが期待される(Finch他、1989、Lu他、1999、Yan他、1993)。上に示したように、高アフィニティーFGF7結合ヘパリンは抗トロンビンに媒介された抗凝血活性を示すので、FGF7は、ヘパリン鎖上の同一または同様のモチーフと結合するのに抗トロンビンと競合し、抗凝血剤の中和剤として作用する可能性がある。
【0113】
GST−FGF7で精製した6000DaシグマLMWH(0.9M NaCl溶出物)の存在下では、FGF7は、抗トロンビンに媒介された抗Xa活性および抗IIa活性を、それぞれの50%阻害濃度である8μg/mlおよび7μg/mlのときに中和することができる(図4)。抗トロンビンで精製したLMWHの存在下では、これらの濃度は両方とも約15μg/mlであり、GST−FGF7で精製したLMWHを使用したときより2倍高かった(図4)。このことは、FGF7が、抗トロンビン結合モチーフを利用しながら、配列組成のある種の変動に耐えうることができる可能性を示す。これは、血液凝固に関連する疾病および外科手術の臨床処置における、GST−FGF7で精製した抗凝血性ヘパリンを使用することの利点となり得る。股関節の手術や心肺バイパスなど外科手術後、またはヘパリンによる治療や予防の間に恐ろしいのは出血性合併症であり、また、出血斑、血小板減少症、皮膚壊死、骨粗鬆症など他の種類の健康問題も引き起こすことである。これは、粗材料であり様々な患者間で制御することが困難である、注入した外部ヘパリンによって引き起こされる。GST−FGF7で精製した高レベルの抗凝血性ヘパリンを使用することで、その副作用は著しく減少すると予想できる。重度の出血が生じた場合、今度は純粋なFGF7を適用して、より簡単に過剰の抗凝血活性を中和または制御することができる。純粋なFGF7を大量に低コストで生産する方法が、現在利用可能である。また、FGF7は、FGF7自体、FGF7/精製抗凝血性ヘパリンの複合体、または制御したFGF7/抗凝血性ヘパリンを特定の比で使用することによって創傷を治癒すると報告されているので、創傷治癒と血液凝固の両方を制御し、創傷治癒や外科手術の回復を加速することができる。そのヘパリンはFGF7に特異的なヘパリンであるので、FGF/FGFRに関連する疾病を治療するのに使用することもできる。
【0114】
実施例3
組換えFGFの細菌中の発現。FGF cDNAのクローニングおよび発現ベクターの構築は、詳細に記載されている(本明細書中に参照として特に組み込む、Luo他、1998)。大腸菌のGST−FGF7の発現では、誘導の前に、培地に様々な濃度のMgClおよび100μg/mlのクロラムフェニコールを加えた。基本培地はMillers Luria Broth Baseであり、2価の陽イオンは加えず、その陽イオン濃度は、生物ソースからキャリーオーバーされた生理的レベル(およそ1mM)であると推定される。手短に述べると、37℃で終夜250rpmで振盪したLBブロス中の500mlの初期培養液を使用して、抗生物質を含む3リットルのLBブロスに接種した。2〜3時間、OD600が1.0以上になるまでインキュベートを続け、10〜100mMのMgClおよび1mMのIPTGを加え、その後、培養液を30℃で3〜4時間維持した。細菌を集菌し、組換えFGFを抽出および処理するまで凍結した。このバッチ調製手順は、50リットルまでスケールアップし、比例した収量であった。
【0115】
FGFの回収および精製。すべての工程は4℃で行った。3リットルの培養液からの細菌ペレット(最終OD600約1.6)を、20mMトリス−HCl(pH7.4)、0.1mM DTT、2mM EDTA、0.5M NaCl、新しく加えたPMSFを含む200mlの溶解緩衝液に再懸濁させた。この懸濁液に、1mlあたり10μgのDNA分解酵素Iを加え、次いで、30秒ごとに15秒氷冷しながら、全部で5分間の超音波処理を行った。溶菌液を13000rpmの遠心分離によって分離した。上清をヘパリン−セファロースまたはグルタチオン(GSH)−セファロースに載せてバッチクロマトグラフィーを行い、上記緩衝液でよく洗った。生成物は、それぞれの培養液から、1.5M NaClまたは20nM還元GSHによってバッチで溶出させた。タンパク質濃度は、BSA標準を用いた280nmの吸収によって決定した。
【0116】
N末端GST部分から離れたFGF部分だけを単離するために、GST−FGFをヘパリンセファロースに固定化させてFGFコアを消化から保護しながら、トリプシン処理した。固定化ビーズを洗うことによって懸濁緩衝液をリン酸緩衝液の生理食塩水に変えた。最終濃度が1mlあたり2〜5μgになるようにトリプシンを加えた。消化は、室温で30〜50分ゆっくり回転させながら行った。細胞溶解緩衝液でよく洗い、FGFを、10mMトリス−HCl(pH7.4)、0.1mM DTT、2mM EDTAおよび0.02%アジ化ナトリウムの緩衝液中の1.5M NaClで溶出させた。調製手順は、最初の固定化段階でバッチからカラムに適応させることもでき、ヘパリンセファロースからの、最終洗浄および溶出前の収量および純度が少し向上する。
【0117】
N末端融合によるFGF7生産の向上。21Asn−FGF1および30ala−FGF7を、それぞれのcDNAがNdelおよびBamH1部位にクローニングされたpET−3Cベクターから発現させた。この組換えベクターを使用して細菌宿主BL21(DE3)またはBL21(DE3)pLysSを形質転換させ、溶菌液の可溶分画から回収した組換え生成物を上記のように精製した。280nmの吸収から推定して、1.0のOD6001Lあたり約30±4mgの精製FGF1が回収されたが、同条件下で、同じ方法で評価したFGF7抗原の回収は、ほとんど検出できなかった。細菌封入体と可溶分画の両方を含む完全な洗浄性抽出物を別に分析することにより、低レベルのFGF7生成物は溶解度に起因するのではなく、細菌内の発現が全体的に低いレベルであることと、FGF1に比べてFGF7の安定性がより低いレベルであることにおそらく起因する回収中の損失とが組み合わさったことの結果であることが示された。FGF7と質量が同じ融合パートナーの付加によって収量が向上するかを判定するために、FGF1およびFGF7の両方をGSTのC末端に融合した構築体を調製した。精製したGST−FGF1の収量は、1.0のOD6001リットルあたり28±3mgと両方の菌株の融合していないFGF1の収量に近かったが、GST−FGF7の収量は、1.0のOD6001リットルあたり3.2±0.4mgと著しく上昇した(図5)。
【0118】
GST−FGF1とGST−FGF7のどちらも、FGFRキナーゼ複合体と結合し活性化させて培養液中の細胞に分裂促進活性を示さず、両方とも、融合していない生成物と同様にヘパリンとのアフィニティーを保持する。N末端GST融合パートナーは、固相でヘパリン−セファロースに固定化させている間に制御したトリプシン処理を行うことによって、GST−FGF1およびGST−FGF7の両方から除去することができ、1.0のOD600の培養液1リットルあたり14mgおよび1mgの21Asn−FGF1および54ser−FGF7を生じる。
【0119】
増殖培地中の高レベル塩化マグネシウムによる、GST−FGF7生成の亢進。N末端融合パートナーをFGF7に利用することによってFGF7の収量は増加したが、その収量は依然として、同じ戦略で生成したFGF1の約10パーセントであった。様々なプロモーター、プラスミドの改変および培地条件を単独で、またそれらを組み合わせてスクリーニングしたが、細菌発現レベルおよび精製した生成物の最終収量を向上させる試みは成功しなかった。これには、様々な市販の培養基、高細胞密度での発酵、シャペロンを含む発現プラスミドとの共感染、プロテアーゼ欠乏性株、培養温度、および誘導濃度と誘導の両方が含まれる。別の実験により、プラスミドの回収は、IPTGで誘導する前と後の両方で類似していることが示されたが、それでも特にFGF7またはGST−FGF7をコードするプラスミドで形質転換した細胞をIPTGで誘導すると、細菌数の増殖速度の著しい減少を引き起こすことは明白であった。
【0120】
意外なことに、単純な細菌増殖培地(Millers Luria Broth Base)に10〜100mMのMgClを補充すると、GST−FGF7の生成が著しく向上した。30mM MgClでは、BL21(DE3)pLysS株中のGST−FGF7の収量が1.0のOD6001リットルあたり17±1.4mgとなり、これは、追加のMgClを含まない培地より約5〜6倍高かった(図6)。100mM MgClでは、収量が減少し始め、これは明らかに、細菌数が約10パーセント減少することに起因していた。GST−FGF1の収量は、30mMまで試験したすべての濃度のMgClで、補充していない培地と同様であった。
【0121】
生成の亢進は、Mg2+、FGF7、および細菌株特異的である。GST−FGF7の収量の向上における、10mMの他の2価陽イオンの影響をMgClと比較して試験した。MgClが最も有効であったが、CaClは約2倍収量を増加させ、10mMのZnClまたはCuClはGST−FGF7の生成を激しく減少させた(図7)。様々な条件下における総細菌収量は、10パーセント未満でしか変動しなかった。
【0122】
MgClの追加は、すでに高収量であったGST−FGF1の生成にあまり影響を与えなかったが、特にGST−FGF7の生成を、FGFポリペプチドのうち別の低収量メンバーであるGST−FGF9の生成と比較した(図8)。通常培地での培養から同じ手順で回収した、精製したGST−FGF9の収量は、BL21(DE3)およびBL21(DE3)pLysS株の両方で、1.0のOD6001リットルあたり約1.5〜2.0mgであった。10mMのMgClを加えることによって、GST−FGF9の低かった収量が少し増加した。このことは、この亢進がFGF1およびFGF9に比べてFGF7に特異的であることを示唆する。
【0123】
細菌株BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysSおよびDH5α中のGST−FGF7の相対収量を調べた(図8)。MgClを補充することによる収量の増加は菌株特異的であり、BL21(DE3)pLysSでのみ明らかであった。
【0124】
最後に、10mM MgClおよびBL21(DE3)pLysS株を利用した改善された条件下で回収したGST−FGF7を、ヘパリンに固定化させてトリプシン処理することによってGST部分を除去し、その後精製した、54Ser−FGF7の回収率および活性を試験した。前で説明したように、活性は、放射標識したFGF7生成物と、昆虫細胞の表面に示されるFGFR2lllbとの高アフィニティー結合、非標識の材料と放射標識したFGF1との競合、および培養マウスケラチノサイト(mouse keratinocyte、MK)中の分裂促進活性によって評価した。結果は、純粋な54Ser−FGF7の収量が1.0のOD6001リットルあたり4.8±0.5mgであることを示し、これは、モル濃度に基づくと、精製したGST−FGF7生成物から平均70パーセントの収率を表す。分析の誤差内で、生成物の特異的活性は、融合パートナーなしでFGF7を発現する、またはGST−FGF7をもっと低い収量で発現する細菌から回収したFGF7の特異的活性と同等またはより高かった。別の実験により、高収量培養物からのGST−FGF7融合タンパク質は、FGFR複合体の結合および分裂促進活性に不活性であったが、GSH−セファロースに固定化させたとき、ヘパリンおよびヘパラン硫酸を結合し、粗ヘパリンのFGF7特異的で抗トロンビン結合性である抗凝血性分画を選択的に精製および中和するのに十分活性であったことが、さらに確認された。
【0125】
10mMのMgClを宿主細菌株BL21(DE3)pLysSに単純に加えることで、GST−FGF7の収量および後の成熟54Ser−FGF7の回収率が、MgClを加えずに生成した場合の5倍以上に増加する。この改善は、宿主株およびFGF7に特異的である。培地中の高濃度のMgClによって緩和される、GST−FGF7またはFGF7の発現におけるFGF7に特異的な制限の、根底にある機構は不明確である。この制限は、FGF7プラスミドで形質転換させた細菌の増殖または生存度がFGF1で形質転換させた細胞に比べて減少している、誘導段階で発生しているように思われる。しかし、この亢進には高濃度のMgClは誘導段階でしか必要とされないにもかかわらず、FGF1で形質転換させた細胞で誘導期間に生じる細胞数に匹敵するほどの細胞数の増加はない。このことは、FGF7の発現は個体数の増殖を制限するが、MgClにより、総細胞数ではなく細胞1個あたりの生成量が亢進されることを示す。FGF7のmRNAまたは新生タンパク質鎖の独特の特性は、十分に厳しくタンパク質合成機構と競合またはそれを妨げて、増殖または細胞の生存度を制限し、高濃度のMgClが、そのレベルの阻害を部分的に取り除く可能性がある。
【0126】
実施例4
FGF特異的なオリゴ糖の単離および特徴付け。部分的ヘパリナーゼI切断、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、強陰イオン交換クロマトグラフィーを含む一連のステップを適用することにより、本発明者はFGF−7結合ヘパリンオリゴマー(8重合体、10重合体、12重合体、14重合体)を単離した。ヘパリナーゼIで部分的に消化したヘパリンの分画は、Bio−Gel P−10(バイオラッド、Bio−Rad、カリフォルニア州)ゲル濾過カラム(190cm×2.6cm)で行った。約100〜200mgの消化ヘパリン混合物を、0.2%NaN中で添加し、次いで0.2Mの炭酸水素アンモニウムを添加し、流量は0.3ml/分の一定流量である。分離したヘパリンオリゴマーは、不飽和ウロン酸の紫外吸収226nmで検出した。それぞれのタイプのオリゴマーからの溶液を、ピーク幅に応じて回収し、NHHCOを分解するために60〜80℃で4時間加熱し、凍結乾燥させた。上記のステップを繰り返して、均一なサイズを得た。消化されていない材料のバルクピークから分離したピークを有する、最大サイズ18重合体までの分離が得られた。より大きなオリゴマーをきれいに分離するには、より少ない粗出発材料を載せることになるので、収量を犠牲にしなければ起こらない。
【0127】
最終的な純粋オリゴマーをsuperfineセファデックス(Sephadex)G−25で脱塩し、真空下で遠心蒸発して容積を調節し、2mMトリス−HCl(pH7.4)で保存した。アフィニティーカラムは、2×1mlのGSH−セファロース上の30mgの純粋なGST−FGF7から調製した。0.14M NaClを用いて、ヘパリンオリゴマーを0.3ml/分で添加した。結合した材料は、0〜0.14M、0.14〜0.3M、0.3〜0.6M、0.6〜1.0Mの濃度のNaClを用いて段階的に溶出させた。アフィニティー均一性を保証するために、上記のステップを少なくともさらに2回繰り返した。単独で、GST−FGF7で精製し、0.6〜1.0M NaClで溶出した8重合体、10重合体、12重合体および14重合体は、抗Xa因子活性を示し、それは、同じ量のAT III結合合成五糖、あるいは他の実験室からの精製したAT III結合10重合体または14重合体に比べて明らかに高かった。しかし、それは、GST−FGF7で精製した粗ヘパリン、または0.6〜1.0M NaClで溶出した低分子量ヘパリンの抗Xa因子活性より低い(図9)。残りの3つの分画は、実質的に活性がなかった。
【0128】
本明細書中で開示および請求する方法および/または装置は、本発明の開示を考慮に入れて、過度の実験なしに作成し実行することができる。本発明の組成および方法を好ましい実施形態で表したが、本発明の概念、精神および範囲を逸脱することなく、本明細書中に記載した方法および/または装置、ならびにステップまたは一連のステップを変化させることができることは、当業者には明らかであろう。より具体的には、化学的におよび生理学的の両方に関連するある種の薬剤を、本明細書中に記載する薬剤の代わりに使用しても、同じまたは同様の結果が得られることになることが、明らかであろう。当業者に明らかであるこのような類似の置き換えおよび改変すべてが、添付の請求の範囲によって定義する本発明の精神、範囲、および概念に含まれるとみなされる。
【0129】
(参考文献)
以下の参考文献は、本明細書中で述べた例示的手順および他の詳細を補足することを提供する限りで、本明細書中に参考文献として特に組み込む。
【0130】
【表1】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 GST−FGF7融合生成物のヘパリン結合性が損なわれていないことを示すグラフである。
【図2】 LMWHヘパリンの抗血栓活性および抗凝血活性をアフィニティーにより向上させた場合の、GST−FGF7と抗トロンビンの比較を示すグラフである。
【図3】 GST−FGF7による、エノキサパリンおよび粗ブタ腸管粘膜ヘパリンの抗凝血活性の濃縮を示すグラフである。
【図4】 GST−FGF7カラム(中実正方形)または抗トロンビンカラム(中実三角形)から溶出させた0.9M NaClの6000Daヘパリン(シグマ)分画の、FGF7による抗凝血活性の中和を示すグラフである。
【図5】 FGF1およびFGF7の組換え体の単独収量、ならびにpET−3CおよびpGEX−2T系でそれぞれ発現させたGST−FGF1およびGST−FGF7の組換え体の収量を示すグラフである。
【図6】 組換えGST−FGF7の収量に対する塩化マグネシウムの影響を示すグラフである。
【図7】 組換えGST−FGF7の収量に対する、様々な金属の2価陽イオンの塩の影響を示すグラフである。
【図8】 細菌中の組換えFGFの収量に対する、菌株およびMgClの影響を示す表である。
【図9】 様々なFGF7アフィニティーで精製したヘパリン分画の抗Xa因子活性の比較を示すグラフである。
【配列表】
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Claims (21)

  1. 組換え線維芽細胞成長因子7(FGF7)を含むアフィニティーマトリックスを抗凝血性ヘパリンまたは抗凝血性ヘパラン硫酸を含む混合物と接触させること、および
    結合した材料から結合していない材料を分離することを含む、抗凝血性ヘパリンまたは抗凝血性ヘパラン硫酸を単離する方法。
  2. FGF7が融合タンパク質に含まれている請求項1に記載の方法。
  3. 融合タンパク質がグルタチオン−S−トランスフェラーゼ−FGF7融合タンパク質である請求項に記載の方法。
  4. 前記混合物が、抗凝血性でないヘパリンをさらに含む請求項1に記載の方法。
  5. 前記混合物が粗ヘパリンを含む請求項1に記載の方法。
  6. 前記混合物が低分子量ヘパリンを含む請求項1に記載の方法。
  7. 前記混合物が抗凝血性薬剤である請求項1に記載の方法。
  8. FGF7が、支持体に固定化されている請求項1に記載の方法。
  9. 支持体がアガロースである請求項8に記載の方法。
  10. 吸着していない材料を溶出させることによって、結合した材料から結合していない材料を分離する請求項1に記載の方法。
  11. 前記抗凝血性ヘパリンを回収することをさらに含む請求項1に記載の方法。
  12. 前記抗凝血性ヘパリンを溶出させることをさらに含む請求項1に記載の方法。
  13. 組換え線維芽細胞成長因子7(FGF7)を含むアフィニティーマトリックスを、抗凝血性ヘパリンまたは抗凝血性ヘパラン硫酸および抗凝血性でないヘパリンまたは抗凝血性でないヘパラン硫酸を含む混合物と接触させること、
    結合していない材料をアフィニティーマトリックスから溶出させることによって、結合していない材料を結合した材料から分離すること、および
    結合した材料をアフィニティーマトリックスから脱着させて溶出させることを含む、抗凝血性でないヘパリンまたは抗凝血性でないヘパラン硫酸から抗凝血性ヘパリンまたは抗凝血性ヘパラン硫酸を分離する方法。
  14. 支持体に固定化させた組換え線維芽細胞成長因子7(FGF7)を含み、固定化させたFGF7が固定化されていない線維芽細胞成長因子7(FGF7)のヘパリン結合特異性を保持している、抗凝血性ヘパリンまたは抗凝血性ヘパラン硫酸を単離するためのアフィニティーマトリックス。
  15. FGF7が融合タンパク質に含まれている請求項14に記載のマトリックス。
  16. 融合タンパク質がグルタチオン−S−トランスフェラーゼ−FGF7融合タンパク質である請求項15に記載のマトリックス。
  17. 前記支持体がアガロースである請求項14に記載のマトリックス。
  18. 組換え線維芽細胞成長因子7(FGF7)を準備すること、およびFGF7を支持体に固定化させることを含む、抗凝血性ヘパリンまたは抗凝血性ヘパラン硫酸を単離するためのアフィニティーマトリックスを調製する方法。
  19. FGF7が融合タンパク質に含まれている請求項18に記載の方法。
  20. 融合タンパク質がグルタチオン−S−トランスフェラーゼ−FGF7融合タンパク質である請求項19に記載の方法。
  21. 前記支持体がアガロースである請求項18に記載の方法。
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