JP4262829B2 - コバルト回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、コバルト化合物の水溶液から金属コバルトを製造する方法に関し、特に、リチウムイオン電池の正極活物質に含有するコバルト有価物を水溶液中で湿式還元することにより、金属性状のコバルトを生成させ沈澱として系外に析出させるコバルトの回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
コバルト化合物は、金鉱山の様に単独の鉱山として存在する訳では無く、例えば、銅・ニッケルが産出する鉱山中に少量成分として存在する。そのため、工業的には鉱石を精選し主成分の元素類からコバルトを順次精製して含有率の高いコバルト物質とした後、主に以下の処理法に従って金属コバルトを得ている。
【0003】
その方法は、
(イ)コバルト物質を溶解し、電気分解等を繰返して行う事により粗コバルト金属を得る湿式電解法による。
(ロ)コバルト酸化物を還元剤等の存在又は不存在下、不活性雰囲気中で熔融してコバルト金属を得る乾式熔錬法による。
(ハ)(イ)及び(ロ)の併用による精錬方法による。
である。
【0004】
しかしながら、上述した鉱石精錬による方法(イ)では、多くの電力を消費する工程を繰返す必要があった。また、方法(ロ)では、熔融させるための膨大な熱源が必要であり、溶融時に発生する排ガスを処理して公害問題をなくす必要もあった。
【0005】
さらに上記の方法はいずれも、付帯設備が大掛かりになり精製設備全体の規模が大きくなるため、従来の精練所では少量のコバルト原料が入荷されて来ても、小回りに操業し生産する事が困難であった。
【0006】
また一般に、水溶液中で標準電極電位が貴である金属をイオン化した後、該当する元素イオンより標準電極電位が卑である金属を添加すれば、標準電極電位が貴である金属イオンが金属に還元される。
【0007】
これを利用して還元銅を得る工業的方法としては、例えば特開H7−138620があり、銅イオン(Cu++)の溶液に、金属状の鉄(Fe)を添加して、銅イオンを還元し金属銅として系外に析出させて回収している。
【0008】
しかしながら、工業的に実際に行われている反応は、2種の元素の標準電極電位が離れており、且つ一方の元素が水素の標準電極電位よりも貴であって、他の元素が水素の標準電極電位よりも卑である元素間についてのみ工業的に行われているのが実状であった。
【0009】
コバルトイオンのように、水素よりも標準電極電位が卑である物質を還元する為には、標準電極電位が著しく卑な金属;換言すれば、反応性に富む金属を利用する必要があり、工業的に試みる場合には、反応の誘導期間が長くなる場合とか、逆に急激な発熱を伴って反応が進むという、所謂暴走反応が起りやすく、これを制御する事が困難であるため、水溶液中から金属コバルトを析出させて回収することは行われていなかった。
【0010】
一方、生産量が飛躍的に伸びているリチウムイオン二次電池には、コバルト酸リチウムが使用されている。従って、使用済み電池等からコバルト物質を回収し、簡単な方法でコバルトを金属化する事が可能となれば、希少資源のリサイクルが効率的に出来て、産業界における価値は大きい。
【0011】
従来、リチウム電池からコバルト有価物を回収する方法としては、例えば特開平6−346160に記載されており、この方法では使用済み電池を直接焙焼し安定化した後、粉砕してコバルト含有物を得るというものであった。
【0012】
この方法では、焙焼時に有害なHFガス等を大量に放出する可能性があり、その対策を講じると設備費が大幅に増加するという欠点を有していた。そのため、使用済みのリチウム電池等から、コバルト金属のリサイクルの企業化を検討しても、対象となる1回当たりの原料が少量過ぎては採算が合わないことになる。
【0013】
従って、簡単にコバルト資源を回収してコバルト金属を提供すると言う訳には行かず、曳いては使用済み電池の回収が円滑に行われなくなり、新たな公害発生の遠因となる可能性が生じていた。
【0014】
最近、本発明者らによるリチウム電池からコバルトを含む有価物を回収する新たな方法が開示されている(工藤、清水、特願平09−026759)。
これによれば、充電されたリチウム電池であっても水溶液中で放電することで安定化した後、加熱・粉砕工程を経て、コバルト化合物と炭素粉末から構成されるコバルト純分が約50%程度の物質(コバルト滓と称する)を得る事が可能であるが、コバルト有価物を更に高純度化してコバルト金属とするための新たな技術が望まれていた。
【0015】
【目的】
本願発明は上述した問題点に鑑み為されたものであり、コバルト有価物を水溶液中で湿式還元し、金属性状のコバルトを生成させ沈澱として系外に析出させることで、中小の規模の設備のみでコバルト金属の回収を可能とし、使用済みリチウム電池の回収をさらに推進し、ひいては公害問題を解消する、新規なコバルトの回収方法を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願発明のコバルト回収方法は以下のように構成される。すなわち、コバルト有価物中のコバルトを無機酸により溶解し、不溶解成分を精製排除して還元溶解液を生成する溶解工程と、該還元溶解液を、Cr,Zn,Mn,Al,Mgのうちの一種以上の金属の添加により、コバルトを還元して分離回収する回収工程と、からなり、前記回収工程において、前記金属の添加によりコバルトを還元して固液分離して回収した後に、液体分の被還元溶解液に対して、さらに前回より比表面積を大きくした新たな前記金属を添加したことにより、コバルトを還元して分離回収する過程を少なくとも一回以上行うようにしたことを特徴とする。
【0017】
あるいは、コバルト有価物中のコバルトを無機酸により溶解し、不溶解成分を精製排除して還元溶解液を生成する溶解工程と、該還元溶解液を、Cr,Zn,Mn,Al,Mgのうちの一種以上の金属の添加により、コバルトを還元して分離回収する回収工程と、該回収工程により回収したコバルトをアルカリ洗浄して前記金属を除去する精製工程と、からなり、前記回収工程において、前記金属の添加によりコバルトを還元して固液分離して回収した後に、液体分の被還元溶解液に対して、さらに前回より比表面積を大きくした新たな前記金属を添加したことにより、コバルトを還元して分離回収する過程を少なくとも一回以上行うようにしたことを特徴とする。
【0019】
【作用】
以下に、本願発明のコバルト回収方法による作用について、操作手順に従って詳述することとする。
(1) 溶解工程
溶解工程では、コバルト有価物を無機酸により溶解し、不溶解成分を精製して還元溶解液とする。
なお、当該コバルト有価物となる原料は特に限定されるものではないが、コバルト含有率が高く、かつ他の金属含有率の低いことが、金属コバルトの純度を向上させる観点から重要となる。
【0020】
例えば、前記した特願平09−026759に開示した方法で回収した使用済みリチウムイオン電池を処理することにより、コバルト含有率が50重量%程度で、残りの大部分は炭素粉であるコバルト滓を得ることができるため、本願発明のコバルト回収方法の実施対象としては好適なものとなる。
【0021】
また、溶解工程における無機酸は、コバルト有価物中のコバルトを酸水溶液中に溶解できればよく、特に限定されるものではないが、コバルト有価物に含有する他の含有物等を考慮するとともに、作業性、取扱性、公害防止を含めた後処理の観点から、塩酸または硫酸とすることが好ましいものである。
【0022】
(2)回収工程
回収工程では、酸性溶液中で−2.4V〜−0.6Vの範囲の標準電極電位を有する1又は2以上の金属または両性金属を、還元金属として還元溶解液に添加することにより、コバルトを還元して回収するものである。
【0023】
本発明者らは、標準電極電位が水素より卑であるコバルト金属元素(コバルト−0.28V)と、コバルト元素よりさらに標準電極電位が卑である元素の組合せで、工業的に生産可能な条件を鋭意検討した結果、上記範囲の標準電極電位を有する金属を用いて、上記還元溶解液からコバルトを還元して回収する方法を見出したものである。
当該範囲内の金属単体としては、例えば、Cr、Zn、Mn、Al、Mgが挙げられる。
【0024】
なお、酸性溶液中で上記範囲外の標準電極電位を有する金属では以下のような問題が生じる。
すなわち、コバルトの標準電極電位である−0.28Vから−0.6Vの範囲ではコバルトの標準電極電位と接近しすぎており還元反応が遅い。
また、標準電極電位が−2.4V以下では、カリウム金属(−2.925V)、カルシウム金属(−2.713V)の如く、反応性に富むため還元反応は暴走する。
【0025】
ここで、還元金属の添加量はコバルト元素に対して1〜1.5当量で十分であるが、コバルトの還元反応の暴走を制御し、コバルトの回収率を向上させる観点から、還元金属の添加においては還元溶解液中のコバルト含有量(コバルト濃度)に応じた還元方法を考える必要がある。
【0026】
すなわち、比表面積の大きな粉状の還元金属で比較的高濃度のコバルトイオンを一気に還元して還元溶液からコバルトを析出させると、発熱を伴う還元反応が急速に進行して、しばしば暴走し制御不可能になるからである。
例えば、50g/Lのコバルトを含有する塩化コバルト水溶液を攪拌下、外部から水冷し、所定量のアルミニウム粉を少量ずつ投入した所、2〜3分の誘導期間のあと、著しいガスの発生が起こると共に、系の温度が急激に上昇し系は沸騰して危険な状態となることが観察された。
【0027】
また、塩化コバルト水溶液に投入するアルミニウム粉末を、長時間掛けて極少量宛て添加する別の実験を行った場合でも、一定量添加するまでは、反応が顕著には起こらず誘導期間が長くなるだけで(5〜7分)、誘導期が過ぎると反応は暴走し制御不可能となった。
【0028】
さらに、系の温度を45〜50℃とし、アルミニウム粉末を更に少量宛て時間を掛けて投入したが、誘導期の時間が短縮されるだけで、それが過ぎると反応系の暴走は一層激しく起こり危険であった。
以上の事実から、高濃度のコバルト溶液にアルミニウム粉末を1段で投入して還元する方法は、工業的規模では暴走反応を阻止する事が出来ないという結論に至ったものである。
【0029】
そこで、比較的高濃度のコバルトイオンが含まれる還元溶解液に対しては、還元を複数回に分けて行うことにより還元反応の暴走を抑えることが好ましい。
すなわち、比表面積が小さい還元金属(例えば、粒径5mm以上の塊状のもの)を添加して、還元にともなう反応の暴走を抑えながらコバルトを還元して回収することが好ましい。
【0030】
続いて、コバルト回収によりコバルトイオンが低濃度となった液体分(濾液)の還元溶解液に対しては、比表面積が大きい還元金属(例えば、粒径1mm以下のものや粉状のもの)の添加により、コバルトを還元して回収することが好ましい。
これは、還元溶解液に残存する低濃度のコバルトイオンであれば、還元溶液量に対するコバルト含有量が少ないため、速やかに還元しても発熱量が少なく還元反応が暴走することがないからである。
【0031】
このように、コバルトイオン濃度が下がるほど比表面積の大きな還元金属を添加する工程を、必要に応じて複数回繰り返すことで、作業効率、回収効率の向上を図ることができ工業的なコバルト回収方法として好ましいものとなる。
【0032】
上記方法により、コバルトイオンは容易に還元され、例えば、使用済みリチウムイオン電池を処理して得た有価物から、純度95%以上、収率90%以上のコバルト粉を得ることが可能となる。
なお、生成したコバルト粉は、反応条件によってその粒度(従ってその比表面積)が異なるが、何れも乾燥すると酸化し発熱しやすいので、大気中で保存する際には注意を要する。
【0033】
(3)精製工程
精製工程では、アルカリ液で洗浄することで、コバルトに混在する両性金属を溶解除去して精製できるため好ましいものである。
(2)の回収工程では、還元金属添加により生じたコバルト金属の沈澱を分離回収するのみであり、これを洗浄するのみでもコバルト純度を高めることが可能であるが、両性金属でコバルトイオンを還元してコバルト沈澱を分離回収した後、アルカリ洗浄することにより、両性金属を洗浄液に溶出させて除去することで、コバルト純度の更なる向上を図るものである。
【0034】
ここで、上記範囲内の標準電極電位を有する両性金属では、入手容易性、取扱性、公害防止等の観点から、アルミニウム(−1.66V)または(及び)亜鉛(−0.763V)を用いることが好ましいものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明に係るコバルト回収方法の実施形態について詳細に説明する。図1は実施例1及び2の工程図であり、図2は実施例3、5及び7の工程図である。
【0036】
[試料の調整]
(1)リチウム電池からコバルト化合物(コバルト滓)の調整
コバルト化合物は、リチウムイオン2次電池から回収した酸化コバルト含有物(コバルト滓と称する)を用い、その製造法はアサカ理研工業公開法(特願平09−026759)に記載の方法に従って調達した。
【0037】
(2)塩化コバルト水溶液及び硫酸コバルト水溶液の調整
(1)で得たコバルト含有率40%のコバルト滓10kgを35%の工業塩酸31.8kgに溶解させて、不溶の炭素粉を濾過により除去し、この水溶液に水を加えて全体を80Lにした。この塩化コバルト水溶液のコバルト含有率は、50g/Lであった。
【0038】
また、(1)で得た40%コバルト滓10kgを、20%硫酸68kgに加えて70℃で溶解させた後、系をろ過しこの水溶液に水を加えて全体を80Lにした。この硫酸コバルト水溶液のコバルト含有率は50g/Lであった。
【0039】
[実施例1] 塩化コバルト水溶液のマンガンによる2段還元
(2)で得た塩化コバルト水溶液8Lに直径5mm程度のマンガン塊450grを添加し攪拌下、系の温度を95℃に上昇させた。系の温度が上昇するに従ってガスの発生が見られた。このまま反応を2時間続けた後、放冷後濾過し還元されたコバルト粉の沈澱1を採取した。
また濾液にはコバルトが残存している為、溶液の色は赤紫色を呈した。この濾液に粉末状のマンガン(粒度#0.2mmメッシュ)を20gr宛て系に数回添加した。
攪拌を止めたところ系は2層に分離し、赤紫色の上澄み液は反応の進行とともに薄くなり殆ど無色透明になった。反応後上澄み液をデカントにより除去して沈澱2を得た。
沈澱1と沈澱2を合せ、水で洗浄しコバルト金属粉末300g(75%)を得た。このときのコバルト金属粉の純度は87%であった。
【0040】
[実施例2] 塩化コバルト水溶液のアルミニウムによる2段還元
(2)で得た塩化コバルト水溶液80Lに、直径5mm程度のアルミニウム塊2200grを添加し攪拌下、系の温度を80℃に上昇させた。系の温度が上昇するに従ってガスの発生が見られた。このまま反応を2時間続けた後、放冷後濾過し還元されたコバルト粉の沈澱3を採取した。
また濾液にはコバルトが残存している為、溶液の色は赤紫色を呈した。この濾液に粉末状のアルミニウム(粒度#0.1mmメッシュ)を100gr宛て系に数回添加した。
攪拌を止めたところ系は2層に分離し、赤紫色の上澄み液は反応の進行とともに薄くなり殆ど無色透明になった。反応後上澄み液をデカントにより除去して沈澱4を得た。
沈澱3と沈澱4を合せ、水で洗浄しコバルト金属粉末3.8kg(95%)を得た。このときのコバルト金属粉の純度は90%であった。
【0041】
[実施例3] 塩化コバルト水溶液のアルミニウムによる2段還元
(2)で得た塩化コバルト水溶液80Lに、直径5mm程度のアルミニウム塊2200grを添加し攪拌下、系の温度を95℃に上昇させた。系の温度が上昇するに従ってガスの発生が見られた。このまま反応を2時間続けた後、放冷後濾過し還元されたコバルト粉の沈澱5を採取した。
【0042】
また濾液にはコバルトが残存している為、溶液の色は赤紫色を呈した。この濾液に粉末状のアルミニウム(粒度#0.1mmメッシュ)を100gr宛て系に数回添加した。
攪拌を止めたところ系は2層に分離し、赤紫色の上澄み液は反応の進行とともに薄くなり殆ど無色透明になった。反応後上澄み液をデカントにより除去して沈澱6を得た。
沈澱5と沈澱6を合せ、か性ソーダ水溶液を加えてpH14とした後、1時間攪拌して、還元剤であるアルミニウムを溶出し除去する操作を2回繰り返した。
【0043】
最後に、スラリーを水で洗浄しコバルト金属粉末3.9kg(97.5%)を得た。このときのコバルト金属粉の純度は98.5%であった。
なお、生じたコバルト粉を大気中で濾過・乾燥すると酸化により発熱したため、取扱いには注意を要した。
【0044】
[実施例4] 塩化コバルト水溶液のアルミニウムによる1段還元
粉末状アルミニウムのみを用い、(2)で得た塩化コバルト水溶液10Lを用い、反応温度以外は実施例3と同様の条件での還元反応を試みた。即ち、攪拌下、外部から水冷し、所定量のアルミニウム粉を少量ずつ投入した所、2〜3分の誘導期間のあと、著しいガスの発生が起こると共に、系の温度が急激に上昇し系は沸騰して危険な状態となったため試験を中止した。
【0045】
[実施例5] 硫酸コバルト水溶液のアルミニウムによる2段還元
(2)で得た硫酸コバルト水溶液80Lに、アルミニウム塊2200grを添加し攪拌しながら、系の温度を80℃に上昇させた。系の温度が上昇するに従って、上澄み液の赤紫色は退色し反応が進行する様子が伺えた。
【0046】
しかし反応の進行速度は、実施例3の塩酸溶液の場合よりも若干遅かった。反応速度を高める為に、系の温度を95℃に上昇させた場合、及び35%塩酸を少量添加し、反応を促進させても系全体が暴走する様な事はなかった。
【0047】
2時間反応を続けた後、放冷した後濾過し還元されたコバルトの沈澱7を採取した。また、濾液にはコバルトが残存している為、溶液は赤紫色を呈していた。この濾液を攪拌しながら粉末状のアルミニウムを200gr宛て数回系に添加した。
【0048】
攪拌を止めたところ系は2層に分離し、赤紫色の上澄み液は反応の進行とともに薄くなり殆ど無色透明になった。反応後上澄み液をデカントにより除去してコバルトの沈澱8を得た。
沈澱7と沈澱8を合せ、か性ソーダ水溶液を加えてpH14とした後、1時間攪拌して、還元剤であるアルミニウムを溶出し除去する操作を2回繰り返した。
【0049】
最後に、このコバルトの沈澱を水で洗浄しコバルト金属粉末3.8kg(収率95.0%)、コバルト金属粉の純度98.8%を得た。
なお、生じたコバルト粉を大気中で濾過・乾燥すると酸化により発熱したため、取扱いには注意を要した。
【0050】
[実施例6] 硫酸コバルト水溶液のアルミニウムによる1段還元
実験例2で得た硫酸コバルト水溶液1.0kgを攪拌しながら、所定量のアルミニウム粉末の内、極少量を水冷架下に添加したところ一見反応が遅い様に感じられた。その為60℃に加温した所、系の温度が急激に上昇し水蒸気が突沸し、反応を制御できなくなったため実験を中止した。
【0051】
[実験例7] 塩化コバルト水溶液の亜鉛による2段還元
(2)で得た塩化コバルト水溶液10Lに、直径5mm程度の粒状の亜鉛金属666grを添加し攪拌下、系の温度を80℃に上昇させた。
【0052】
系の温度が上昇するに従ってガスの発生が見られた。このまま反応を3時間続けた後、室温にまで冷却した系を濾過して還元されたコバルトの沈澱9を採取した。濾液中にはコバルトが残存している為、溶液の色は赤紫色を呈した。
続いて、この濾液に粉末状の金属亜鉛を35gr宛て数回系に添加した。
【0053】
攪拌を止めたところ系は2層に分離し、赤紫色の上澄み液は反応の進行とともに薄くなり殆ど無色透明になった。反応後上澄み液をデカントにより除去して沈澱10を得た。
沈澱9と沈澱10を合せ、か性ソーダ水溶液を加えてpH14としたものを2時間攪拌して、還元剤である亜鉛粉末を溶出させて除去した。
【0054】
最後に、この沈澱を水で洗浄しコバルト金属粉末487gr(95.9%)を得た。このときのコバルト金属粉の純度は98.5%であった。
なお、生じたコバルト粉を大気中で濾過・乾燥すると酸化により発熱したため、取扱いには注意を要した。
【0055】
[実施例8]塩化コバルトの亜鉛粉末による1段還元
実験例2で得た塩化コバルト水溶液1.0Lを攪拌しながら、所定量の亜鉛粉末の1/10量を添加した後60℃に加温した所、系の温度が急激に上昇して水蒸気が突沸し、反応を制御できなくなったため実験を中止した。
【0056】
【他の実施形態の可能性】
本願発明の目的を達成するため、本実施例は以下のように変更することが可能である。
すなわち、コバルト有価物の原料としては、コバルトを用いたリチウム電池が好適であるが、これに限定されるものではない。
さらに、コバルトを回収した後の濾液に対しても、還元金属あるいは両性金属をさらに添加して、濾液中に残存するコバルトイオンを還元して回収しているが、この工程は選択的なものであり、省略することも可能である。
【0057】
【効果】
上述したように、本願発明に係るコバルト回収方法によれば、工業的にコバルト有価物を水溶液中で湿式還元し、金属性状のコバルトを生成させ沈澱として系外に析出させることができる。
【0058】
特に、還元金属として両性金属を用いることで、コバルトイオンの還元により生じたコバルト金属の沈澱をアルカリ液で洗浄し、両性金属をアルカリ溶出する事によって精製することで、コバルト純度をさらに向上させることが可能である。
【0059】
従って、中小の規模の設備のみでコバルト金属の回収を可能とし、使用済みリチウム電池の回収をさらに推進し、ひいては公害問題を解消することができるため、その産業的効果は顕著なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1及び2の工程図である。
【図2】 実施例3、5及び7の工程図である。
Claims (2)
- コバルト有価物中のコバルトを無機酸により溶解し、不溶解成分を精製排除して還元溶解液を生成する溶解工程と、該還元溶解液を、Cr,Zn,Mn,Al,Mgのうちの一種以上の金属の添加により、コバルトを還元して分離回収する回収工程と、からなり、
前記回収工程において、前記金属の添加によりコバルトを還元して固液分離して回収した後に、液体分の被還元溶解液に対して、さらに前回より比表面積を大きくした新たな前記金属を添加したことにより、コバルトを還元して分離回収する過程を少なくとも一回以上行うようにしたことを特徴とするコバルト回収方法。 - コバルト有価物中のコバルトを無機酸により溶解し、不溶解成分を精製排除して還元溶解液を生成する溶解工程と、該還元溶解液を、Cr,Zn,Mn,Al,Mgのうちの一種以上の金属の添加により、コバルトを還元して分離回収する回収工程と、該回収工程により回収したコバルトをアルカリ洗浄して前記金属を除去する精製工程と、からなり、
前記回収工程において、前記金属の添加によりコバルトを還元して固液分離して回収した後に、液体分の被還元溶解液に対して、さらに前回より比表面積を大きくした新たな前記金属を添加したことにより、コバルトを還元して分離回収する過程を少なくとも一回以上行うようにしたことを特徴とするコバルト回収方法。
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