JP4262465B2 - 細胞培養方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞培養方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、細胞培養担体を用いた細胞培養を行うにあたり担体から担体への細胞の継代を行う方法としては、トリプシンに代表される酵素とキレート試薬の混合溶液による処理で担体から細胞を回収した後、新しい担体に細胞を加えて移し替える方法が一般に知られている(例えば、渡邉利雄著、細胞工学別冊 目で見る実験ノートシリーズ バイオ実験イラストレイテッド▲6▼すくすく育て細胞培養、秀潤社、1996年;(社)日本生化学会編、新生化学実験講座18 細胞培養技術、1990年)。また、二種以上の細胞を共培養することで細胞に臓器様の機能を発現させる試みがなされているが(例えば、大和雅之、岡野光夫、臨外、56(1)、53〜60、2001年)、この細胞重層化方法では、多孔質膜と該多孔質膜上にアルギン酸ゲル層と細胞外マトリックス成分ゲル層又は細胞外マトリックス成分スポンジ層とを重層化させた細胞培養担体を用いて細胞の培養を行い、その後、キレート試薬水溶液を用いてアルギン酸ゲル層を溶解させることにより細胞培養物を細胞培養担体から剥離し、該細胞培養物をさらに組み合わせて培養する工程を含んでいる(例えば、特開2001-120267号公報)。
【0003】
これらの細胞培養物の剥離に用いるキレート試薬としてはEDTAが一般的に用いられており、GEDTAを用いた例も若干知られている。しかしながら、EDTAやGEDTAは細胞に対する刺激が強く、細胞の増殖が抑制されたり、細胞が変形したりする問題があった。特に、近年臓器再生技術、細胞治療として注目されている幹細胞の培養や臓器構築においては、細胞への刺激が細胞の癌化や異常分化を誘発する可能性が高く大きな問題となる。
【特許文献1】
特開2001-120267号公報
【非特許文献1】
渡邉利雄著、細胞工学別冊 目で見る実験ノートシリーズ バイオ実験イラストレイテッド▲6▼すくすく育て細胞培養、秀潤社、1996年
【非特許文献2】
社団法人日本生化学会編、新生化学実験講座18 細胞培養技術、1990年
【非特許文献3】
大和雅之、岡野光夫著、臨外、56号1巻、2001年、53〜60頁
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、細胞の成長や増殖を阻害し、又は異常分化を誘起することなく容易に細胞培養担体から培養細胞を剥離する手段を提供することにある。また、そのような手段を用いて細胞を重層して細胞培養物を製造する方法を提供することも本発明の課題である。本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記の一般式(I)で表される化合物を用いると極めて容易に細胞培養担体から培養細胞を剥離することができ、剥離された細胞にはなんら異常が生じないことを見出した。
【0005】
すなわち、本発明は、細胞培養担体の表面に形成された培養細胞から細胞培養担体を剥離する方法であって、該細胞培養担体と下記の一般式(I):
【化4】
(式中、L11は2価の連結基を示し;Mは水素原子またはカチオンを示す)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩と接触させる工程を含む方法を提供するものである。好ましくは、該細胞培養担体はアルギン酸カルシウムゲル層を含む細胞培養担体である上記の方法、及び該細胞培養担体が重層化されたアルギン酸カルシウムゲル層と細胞接着性ゲル層とを含む細胞培養担体である上記の方法が提供される。
【0006】
また、本発明により、細胞培養用担体を用いた細胞培養方法であって、下記の工程:
(1)細胞培養担体の表面に付着した培養細胞を含む細胞培養物を上記の一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩と接触させる工程;および(2)該細胞培養物から培養細胞を剥離して、他の培養細胞の表面に移植する工程を含む方法を提供するものである。
【0007】
これらの発明の好ましい態様によれば、L11が置換又は無置換の2価の炭化水素基である上記の方法;2価の炭化水素基が置換又は無置換のメチレン基である上記の方法;一般式(I)で表される化合物が下記の一般式(II):
【化5】
(式中、L21、L22、及びL23はそれぞれ独立に2価の炭化水素基を示し;R21及びR22はそれぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を示し;Mは水素原子又はカチオンを示す)で表される化合物である上記の方法;一般式(I)で表される化合物が下記の一般式(III):
【化6】
(L31、L32、L33、L34、及びL35は2価の炭化水素基を示し;Mは水素原子又はカチオンを示す)で表される化合物である上記の方法が提供される。
【0008】
別の観点からは、本発明により、細胞の転写方法であって、下記の工程:
(1)細胞培養担体の表面に形成された培養細胞と、他の細胞培養担体の表面とを荷重の存在下で接触させて培養する工程;及び
(2)上記工程(1)で得られた細胞培養物を上記の一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩と接触させて細胞培養担体を剥離する工程
を含む方法が提供される。好ましい態様によれば、細胞培養担体はアルギン酸カルシウムゲル層を含む細胞培養担体であり、アルギン酸カルシウムゲル層を含む細胞培養担体は、重層化されたアルギン酸カルシウムゲル層及び細胞接着性ゲル層を含むものである。
【0009】
また、さらに本発明の別の観点からは、細胞重層化の方法であって、下記の工程:
(1)細胞培養担体の表面に形成された培養細胞と、他の培養細胞とを荷重の存在下で接触させて培養する工程;及び
(2)上記工程(1)で得られた細胞培養物を上記の一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩と接触させて細胞培養担体を剥離する工程
を含む方法が提供される。好ましい態様によれば、細胞培養担体はアルギン酸カルシウムゲル層を含む細胞培養担体であり、あるいは重層化されたアルギン酸カルシウムゲル層及び細胞接着性ゲル層を含むものである。これらの発明において、スポンジを介して荷重をかけることが好ましい。
【0010】
本発明のさらに別の観点からは、上記の方法により得ることができる細胞培養物、細胞転写物、又は細胞重層化物が提供される。また、細胞培養担体、好ましくはアルギン酸カルシウムゲル層を含む細胞培養用担体を用いた細胞培養により得られた細胞培養物から培養細胞を剥離するための剥離剤であって、上記の一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩を含む剥離剤、細胞培養担体、好ましくはアルギン酸カルシウムゲル層を含む細胞培養用担体を用いた細胞培養により得られた細胞培養物から該細胞培養担体を除去するための除去剤であって、上記の一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩を含む除去剤、及び上記の一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩を含むアルギン酸カルシウムゲルの溶解剤も本発明により提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
Mで表されるカチオンは、有機または無機のカチオンを表し、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウム(アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、1,2-エタンジアンモニウムなど)、ピリジニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム(テトラブチルホスホニウムなど)などが挙げられる。Mとして好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムであり、より好ましくはナトリウムまたはカリウムである。
【0012】
L11は2価の連結基であればその種類は特に限定されないが、例えば2価の炭化水素基を好ましく用いることができる。2価の炭化水素基としては、例えば直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキレン基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基を用いることができる。より具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、エチルエチレン、ヘキサメチレン、1,2-シクロヘキシレンなどが挙げられる。アルキレン基以外の2価の炭化水素基としては、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは炭素数2〜4であり、例えばビニレン、プロペニレンなどが挙げられる)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜16であり、例えばエチニレンル、3-ペンチニルなどが挙げられる)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェレン、ナフチレンなどが挙げられる)、アラルキレン基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、さらに好ましくは炭素数7〜12であり、例えばキシリレンなどが挙げられる)などが挙げられる。L11で表される2価の炭化水素基としては、好ましくはアルキレン基又はアリーレン基を用いることができ、より好ましくはアルキレン基であり、さらに好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンであり、特に好ましくはメチレンである。
【0013】
L11で表される連結基が2価の炭化水素基を表す場合には、該炭化水素基は1又は2以上の同一又は異なる置換基を有していてもよい。置換基しては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、n-オクチル、n-デシル、n-ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。以下、本明細書において同様である。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2-ブテニル、3-ペンテニルなどが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えば1-プロピニル、3-ペンチニルなどが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p-メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。以下、本明細書において同様である)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2-ナフチルオキシなどが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基はさらに1又は2以上の他の置換基で置換されていてもよい。
【0014】
L11で表される連結基が2価の炭化水素基を表し、該炭化水素基が1又は2以上の同一又は異なる置換基を有する場合、該置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基を挙げることができ、より好ましくはアルキル基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはアルキル基及びヒドロキシ基で二置換されたものでである。このような例として、一般式(I)で表される化合物が1−ヒドロキシエタン−1,1−ジリン酸である場合を挙げることができ、この化合物は本発明に特に好適に用いることができる。
【0015】
本発明の方法では、ポリリン酸又はその塩を好ましく用いることができる。ポリリン酸としては、オルトリン酸が脱水縮合して得られる直鎖縮合ポリリン酸、側鎖に有機基が導入された側鎖ポリリン酸、環状ポリリン酸等が挙げられる。特に、一般式が(PnO3n+1)Hn+2(nは整数を示す)で表され、2個以上のPO4 四面体が頂点の酸素原子を共有して直鎖状に連なった構造の直鎖縮合ポリリン酸が好ましい。ポリリン酸の水酸基の水素がカチオンと置換した分子構造をしたものがポリリン酸塩である。カチオンとしては有機または無機のカチオンを表し、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウム(アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、1,2-エタンジアンモニウムなど)、ピリジニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム(テトラブチルホスホニウムなど)などが挙げられる。カチオンとして好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムであり、より好ましくはナトリウムまたはカリウムである。nは少なくとも2の整数であって、好ましくは2〜2000、更に好ましくは5〜2000である。
【0016】
また、別の好ましい例として、一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物を挙げることができる。一般式(II)又は(III)で表される化合物において、L21、L22、L23、L31、L32、L33、L34、及びL35が示す2価の炭化水素基としては、上記一般式(I)について説明したものを用いることができるが、好ましくはアルキレン基又はアリーレン基であり、より好ましくはアルキレン基であり、さらに好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、シクロヘキシレンであり、特に好ましくはエチレン、プロピレンである。L21、L22、L23が示す2価の炭化水素基は1個又は2個以上の置換基を有していてもよいが、そのような置換基としては上記一般式(I)のL11が2価の炭化水素基である場合について述べた置換基を用いることができる。L21、L22、L23、L31、L32、L33、L34、及びL35が示す2価の炭化水素基は無置換であることが好ましい。L21、L22、及びL23は同一であってもよいが、それぞれ異なっていてもよい。L21及びL22は同一であることが好ましい。L31、L32、L33、L34、及びL35は同一であってもよいが、それぞれ異なっていてもよい。L31、L32、L33、及びL34は同一であることが好ましい。
【0017】
一般式(II)又は一般式(III)においてMで表されるカチオンは、有機または無機のカチオンを表し、例えば水素原子、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウム(アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、1,2-エタンジアンモニウムなど)、ピリジニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム(テトラブチルホスホニウムなど)などが挙げられる。Mとして好ましくは水素原子、アルカリ金属イオンであり、より好ましくはアルカリ金属イオンである。
【0018】
R21及びR22は置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を示すが、置換アルキル基であることが好ましい。アルキル基の置換基としては、例えば、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基を挙げることができ、より好ましくはカルボキシル基、スルホン酸基、又はホスホン酸基を挙げることができる。
【0019】
本発明の方法で処理可能な細胞の種類は特に限定されず、例えば、種々の動物培養細胞に適応できる。より具体的には、肝臓、腎臓、肺、胃、脾臓などの各種臓器由来の初代培養細胞または株化細胞、神経、筋肉、皮膚、骨などの組織由来の初代培養細胞または株化細胞、種々のガン細胞にも適応できる。動物細胞としては節足動物(昆虫)を含むあらゆる動物の細胞を用いることができ、例えば胚や胎児の細胞を用いることもできる。例えば、胚性幹細胞、体性幹細胞、神経幹細胞、上皮角化細胞、メラノサイト、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、毛母細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、肝細胞、星細胞、小肝細胞、羊膜由来細胞、胎児肝由来細胞、胎児腎由来細胞、胎児肺由来細胞などのほか、株化細胞としてはHeLa細胞、FL細胞、KB細胞、HepG2細胞、WI−38細胞、MA104 細胞、BSC-1細胞、Vero細胞、CV-1細胞、BHK-21細胞、L細胞、CHL細胞、BAE細胞、BRL細胞、PAE細胞等が挙げられる。また、これらの細胞は人為的に遺伝子改変されていてもよい。
【0020】
細胞の培養の際には、通常、細胞濃度1〜1.5万cells/mlの培養液(例えば、D-MEM培地、MEM培地、HamF12培地、HamF10培地)を細胞培養担体上に添加する。細胞の培養条件は、培養する細胞に従って当業者が適宜選択し得る。通常は細胞培養担体表面にコンフルエントな単層の細胞層が形成されるまで培養を行なう。
【0021】
本発明の方法で用いられる細胞培養担体の種類は特に限定されないが、アルギン酸カルシウムゲルを含むものが好ましい。より好ましくはアルギン酸カルシウムゲル層の上に細胞接着性ゲル層を有する重層構造の細胞培養担体を挙げることができる。また、アルギン酸カルシウムゲル層は多孔質膜の表面に形成されていることが好ましい。以下、アルギン酸カルシウムゲル層を含む細胞培養担体について具体的に説明するが、本発明の方法に用いられる細胞培養担体はこの特定の態様に限定されることはない。
【0022】
アルギン酸カルシウムのゲル化は、常法に従って、例えばイオン交換を利用して行なうことができる。例えば、アルギン酸ナトリウム水溶液にカルシウムイオンを添加すると速やかにイオン交換が生じ、アルギン酸カルシウムゲルが得られる。より具体的には、0.2〜2%アルギン酸ナトリウム水溶液を、底が多孔質膜(例えば、FALCON社製ポアサイズ3.0ミクロンのメンブラン)になったセルに0.3〜0.5 ml添加した後、0.01〜0.1M 塩化カルシウム水溶液を多孔質膜からしみこませ、20〜30℃で0.5〜1 時間放置することによりアルギン酸カルシウムゲル層が得られる。このように多孔質膜を用いてアルギン酸のゲル化を行なえば、多孔質膜と該多孔質膜に重層化されたアルギン酸ゲル層とを含む細胞培養担体を得ることができる。もっとも、本発明の方法を行うにあたってはアルギン酸のゲル化に多孔質膜を用いることは必須ではない。
【0023】
本明細書において、「多孔質膜」とはアルギン酸カルシウムゲルは透過させないが、一般式(I)で表される化合物は透過させ得る膜を意味する。多孔質膜の種類は上記の性質を有するものであれば特に限定されず、細孔を有する膜以外に、空隙を有する膜や、細孔と空隙の両方を有する膜等も含まれる。多孔質膜の具体例としては、濾紙、限外濾過膜、シリコーンゴム膜、四フッ化エチレン樹脂多孔質膜(PTFE多孔質膜)、不織布、ガーゼ様メッシュ、各種メンブレンフィルター(ナイロン、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなど)等を例示でき、好ましいものとしては、メンブレンフィルターであり、特にナイロンメンブレンフィルター膜が好ましい。多孔質膜が細孔を有するものである場合、細孔の大きさはアルギン酸ゲルを透過させないが、一般式Iの化合物を透過させ得る大きさである限り特に限定されないが、通常は0.02〜1000μmであり、好ましくは0.02〜100μmであり、さらに好ましくは0.1〜10μmである。
【0024】
アルギン酸カルシウムゲル層の乾膜の厚さは0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.5μm以上5μm以下であることがさらに好ましい。アルギン酸ゲル層の固形分量が少なすぎると充分な膜を形成できず穴が空いてしまい、多すぎると乾燥膜でのカールや割れの発生、培養工程での変形やアルギン酸ゲル溶解工程での溶解不良といった問題が生じる場合がある。なお、アルギン酸ゲル層の厚さは充分に乾燥した状態で計測することが望ましく、電子顕微鏡断面像、膜厚計、エリプソメーター、角度可変XPSなどを用いて計測することができる。好ましくは電子顕微鏡断面像から計測した値を用いる。
【0025】
アルギン酸は、褐藻類の細胞壁構成多糖又は細胞間充填物質として天然に存在しており、これらを原料として採取可能である。原料褐藻類の具体例としては、ヒバマタ目ダービリア科ダービリア属(例えばD.potatorum)、ヒバマタ目ヒバマタ科アスコフィラム属(例えばA.nodosum)、コンブ目コンブ科コンブ属(例えばマコンブ、ナガコンブ)、コンブ目コンブ科アラメ属(例えばアラメ)、コンブ目コンブ科カジメ属(例えばカジメ、ウロメ)、コンブ目レッソニア科レッソニア属(例えばL.flavikans)の褐藻類を例示できる。また、市販のアルギン酸を使用することもできる。アルギン酸のG/Mの比は特に限定されないが、G/Mの比が大きいほどゲル形成能が大きいので、G/Mの比は大きい方が好ましく、具体的には0.1〜1であるのが好ましく、0.2〜0.5であるのがさらに好ましい。
【0026】
「細胞接着性ゲル層」とは細胞接着性を有する層状のハイドロゲルを意味しているが、ゲルの種類は特に限定されず、細胞毒性が無く、通常の培養条件で細胞が付着するものであればいかなるものを用いてもよい。天然又は合成のゲル形成性化合物により形成されるいずれのハイドロゲルを用いてもよい。好ましくは層状の細胞外マトリックス成分ゲルを用いることができる。
【0027】
細胞外マトリックスは、一般的には「動物組織中の細胞の外側に存在する安定な生体構造物で、細胞が合成し、細胞外に分泌・蓄積した生体高分子の複雑な会合体」と定義されており(生化学辞典(第3版)、p.570、株式会社東京化学同人)、細胞を物質的に支持する役割や細胞の活性を調節する役割(すなわち細胞外の情報を細胞に伝えその活性に変化を与える役割)等を担っている。「細胞外マトリックス成分」とは、細胞外マトリックスの構成成分を意味し、その具体例としては、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、グルコサミノグリカン(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸など)、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン等を例示でき、これらのうち特に好ましいものとして、コラーゲン、アテロコラーゲン、マトリゲル(IV型コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸よりなるゲル)、ヒアルロン酸を例示できる。細胞外マトリックス成分は、常法に従って得ることができる。また、市販の細胞外マトリックス成分を使用してもよい。細胞接着性成分のゲル化は、常法に従って行なうことができる。例えば、細胞接着性成分がコラーゲンである場合には、0.3〜0.5%コラーゲン水溶液を37℃で10〜20分間インキュベーションすることにより、コラーゲンゲルを得ることができる。細胞外マトリックス成分のゲル化の際には、必要に応じてゲル化剤を使用してもよい。
【0028】
細胞接着性ゲル層の乾燥膜の厚さは特に限定されないが、例えば0.005μm以上0.3μm以下が好ましく、0. 005μm以上0.2μm以下がさらに好ましい。細胞接着性ゲル層の厚さは充分に乾燥した状態で計測することが望ましく、電子顕微鏡断面像、膜厚計、エリプソメーター、角度可変XPSなどを用いて計測することができ、好ましくは電子顕微鏡断面像から計測した値を用いることができる。細胞接着性ゲル層が厚いと乾燥時に膜に亀裂が発生することがあり、また細胞の転写が著しく困難になることがある。
【0029】
アルギン酸カルシウムゲル層上に細胞接着性成分ゲル層を重層化する際には、アルギン酸カルシウムゲル層と細胞接着性成分ゲル層とを別々に作製した後、両者を重層化してもよいが、アルギン酸カルシウムゲル層上に細胞接着性成分含有水溶液を重層化した後、該水溶液をゲル化させるのが好ましい。細胞接着性成分ゲル層は脱着を行なうのに十分な物理的強度を有していないため、細胞接着性成分ゲル層を形成させた容器(例えばディッシュ、シャーレ等)から細胞接着性成分ゲル層を剥離するのは困難だからである。極薄層の細胞接着性ゲル層を得るには、アルギン酸カルシウムゲル層を再簿接着性成分の溶液に浸漬することで簡便に得ることができる。例えば、市販の0.3〜0.5%コラーゲン水溶液に上記の方法で作成したアルギン酸カルシウムゲルを浸漬し、水洗ののち乾燥することで得られる。
【0030】
アルギン酸カルシウムゲル層を含む細胞培養担体を用いた細胞の培養は具体的には次のようにして行なうことができる。該細胞培養担体をシャーレ等の内部に設置し、シャーレ内に適当な培養液(例えば、D-MEM培地、MEM培地、HamF12培地、HamF10培地)を添加して5分浸漬後培地交換することを3回繰り返したのち12〜24時間放置し、培養液を細胞培養担体中に浸潤させる。シャーレ内の培養液を捨て、細胞培養担体の細胞接着性ゲル層上に細胞を播き、シャーレ内に適当な培養液(例えば、D-MEM培地、MEM培地、HamF12培地、HamF10培地)を添加する。37℃で1〜2時間放置し、細胞接着性ゲル層に接着させた後、37℃で培養を続ける。培養の際には、必要に応じて培養液を交換してもよい。通常は培養0.5〜2日ごとに培養液を交換する。上記の細胞培養担体を用いた細胞の培養により得られる細胞培養物は、細胞培養担体と該細胞培養担体に保持された細胞層とを含む。好ましい態様によれば、細胞培養担体に保持された細胞層は、アルギン酸カルシウムゲル層のうえに重層された細胞接着性ゲル層上に形成された細胞層である。
【0031】
細胞培養物から培養細胞を剥離するためには、アルギン酸カルシウムゲル層を可溶化処理すればよい。必要により、同時に細胞接着性ゲル層も可溶化して除去することができる。このような処理を行うことにより、培養細胞をシートとして取り出すことができる。本発明の方法に従って細胞培養担体を除去するためには、一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩を10 nM以上100 mM以下の濃度で用いることが好ましく、さらに好ましくは500 nM以上50 mM以下、特に好ましくは1 mM以上10 mM以下の濃度で用いることができる。一般式(I)で表される化合物とポリリン酸又はその塩とを組み合わせて用いてもよい。例えば、アルギン酸カルシウムゲル層の可溶化処理は、一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩を含む水溶液中に細胞培養物を浸漬してアルギン酸カルシウムゲルを構成するカチオン成分を除去することにより行うことができる。通常、細胞培養用の培地にはリン酸イオンが多く存在するため、多価金属カチオンの総和モル数に対して90モル%以上の一般式(I)で表される化合物を添加した水溶液に浸漬することが細胞への侵襲を低減する観点から好ましい。一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩の濃度は90モル%以上10000モル%以下が好ましく、90モル%以上1000モル%以下がさらに好ましい。
【0032】
剥離処理に用いられる一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩を含む水溶液には培地成分が含まれていてもよく、あるいは培地中に一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩を添加してアルギン酸カルシウムゲル層の可溶化処理を行ってもよい。一般式(I)の化合物又はポリリン酸若しくはその塩を用いた除去処理の時間としては1分以上12時間以下が好ましく、5分以上2時間以下が特に好ましい。一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩を含む剥離用の水溶液には、必要に応じて緩衝剤、pH調節剤、又は培地組成物若しくはその成分などを適宜添加することができる。処理温度は特に限定されないが、細胞培養を行う通常の温度範囲であることが望ましい。本発明の方法を細胞継代操作に適用する場合にはトリプシンを併用することが好ましい。トリプシンの使用量としては100μg/l以上50 g/L以下が好ましく、1 g/L以上10 g/L以下が特に好ましい。
【0033】
一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩を用いたアルギン酸カルシウムゲル層の可溶化処理は、多孔質膜から一般式(I)で表される化合物又はポリリン酸若しくはその塩を染み込ませて、該ゲル層と該化合物とを接触させることにより好ましく行われる。これによって、多孔質膜とアルギン酸カルシウムゲル層とを容易に分離することができ、細胞培養物を多孔質膜から容易に脱離させることができる。アルギン酸カルシウムゲル層の可溶化処理によってアルギン酸ゲル層を完全に除去する必要はなく、可溶化処理後に得られる培養細胞にはアルギン酸カルシウムゲルが残っていてもよいが、アルギン酸カルシウムゲル層はできるだけ可溶化して除去するのが好ましい。また、可溶化処理により細胞接着性ゲル層を同時に除去することも好ましい。
【0034】
アルギン酸カルシウムゲル層を可溶化処理して得られる細胞培養物は、培養細胞層を含んでいるので、細胞層の重層化ならびに転写に使用できる。細胞層の重層化の方法は、例えば、予め培養した細胞上に荷重をかけた状態で細胞層を接着して培養したのち、アルギン酸カルシウムゲルを可溶化する方法、アルギン酸カルシウムゲル層を可溶化して得られる細胞培養物同士を重層化する方法、あるいはアルギン酸カルシウムゲル層を可溶化して得られる培養細胞を別に作製した細胞層に重層化する方法などのいずれであってもよい。重層化する細胞層の細胞の種類は、同一であっても異なっていてもよい。重層化する細胞層の数は特に限定されないが、通常1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。また、細胞層の転写際には、別の細胞培養用基材上に荷重をかけた状態で培養したのちアルギン酸カルシウムゲルを可溶化してもよいし、アルギン酸カルシウムゲル層を可溶化して得られる細胞培養物を他の媒体に転写してもよい。好ましい重層化及び転写方法としては、予め培養した細胞上又は別の細胞培養担体上に荷重をかけた状態で培養細胞担体上に形成された培養細胞層を接触させ、培養したのちにアルギン酸カルシウムゲルを溶解する方法である。
【0035】
荷重の程度及び方法は特に限定されず、細胞が転写されるべき細胞層又は細胞培養担体表面にムラが生じない程度に十分密着できるものであればいかなるものでもよい。荷重をかける際に細胞が密閉されると窒息をすることから、転写する側又は転写されるべき側の少なくとも一方の細胞培養担体が水透過性のゲルや多孔質膜あるいはこれらの組み合わせからなるものであることが好ましい。また、ムラ無く転写を行うためには、細胞面を充分に覆う状態で荷重をかける必要があるが、均一に接触すると酸素の拡散を妨害することとなるため、不織布(ナイロン、ポリエステル、ステンレスなど)等を介して酸素の拡散を妨げないで荷重することが好ましい。スポンジを介して荷重することが好ましい。荷重は0.1g/cm2以上50g/cm2以下であることが好ましく、0.5g/cm2以上10g/cm2以下であることがさらに好ましい。荷重をかけた細胞の培養の時間は充分な細胞の転写が実現できれば特に限定されないが、例えば4時間以上72時間以下が好ましく、6時間以上48時間以下がさらに好ましい。
【0036】
本発明の方法を行うにあたって、細胞培養担体を滅菌しておくことが好ましい。滅菌の方法は特に限定されないが、例えば電子線、γ線、X線、紫外線などの放射線による滅菌が好ましく用いられ、電子線、γ線、紫外線がさらに好ましく用いられ、電子線滅菌が特に好ましい。電子線滅菌の照射線量としては0.1kGy以上65kGy以下が好ましく、1kGy以上40kGy以下が特に好ましい。エチレンオキサイドガス滅菌などの化学滅菌、高圧蒸気ガス滅菌などの高熱をかける滅菌は細胞接着性層やアルギン酸ゲル層を分解するため好ましくない。滅菌法は単一の方法で行ってもよいが、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。あるいは同一の滅菌法を繰り返し適用してもよい。
【0037】
重層化する細胞層として、例えば、血管内皮細胞層や肝細胞層を使用すれば、肝臓の3次元組織構造物を構築できる。この3次元組織構造物は、in vitroにおける薬物の透過性試験へ適用できるとともに、動物実験代替モデルや移植用臓器へ応用できる。重層化した細胞層は、細胞層を構成する細胞の種類に応じた培養条件で培養することができる。培養の際には、例えば、D-MEM培地、MEM培地、HamF12培地、HamF10培地等の培地を使用できる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:細胞培養担体の作製
(1)ナイロンミクロフィルターの調製
6-ナイロン13.7 gを66.3 gの蟻酸に溶解し一晩放置し、水20 mlを添加しホモジナイザーで分散しナイロンドープを得た。得られたナイロンドープを250 ml/m2厚さでステンレス基板上に塗布し、塗布物を45重量%の蟻酸水溶液に浸漬した。塗布物が充分白濁したのち、塗布物を流水で洗浄しナイロンミクロフィルターを得た。ナイロンミクロフィルターは乾燥させず水中に保管した。
【0039】
(2)アルギン酸カルシウム層の形成
上記(1)で得たナイロンミクロフィルターを紙で水分を拭い、0.1Mの塩化カルシウム水溶液に浸漬したのち、1重量%のアルギン酸ナトリウム水溶液を100 ml/m2の厚さで塗布した。この塗布物を0.1Mの塩化カルシウムと10 mg/lのWSCを含む水溶液に浸漬したのち、流水で洗浄することでナイロンミクロフィルター/アルギン酸カルシウム積層膜を得た。アルギン酸ゲル層乾膜の厚さは電子顕微鏡断面像から計測すると0.75μmであった。
(3)コラーゲン層修飾
上記(2)で得た乾燥させていないガラス基板付アルギン酸カルシウム単膜、ナイロンミクロフィルター/アルギン酸カルシウム積層膜それぞれをCellmatrix I-C(新田ゼラチン製)の10倍希釈水溶液に1時間浸漬したのち、流水洗浄、乾燥することで極薄コラーゲン層修飾膜を得た。コラーゲン層およびアルギン酸ゲル層の厚さの合計は電子顕微鏡写真から0.8μmであり、アルギン酸ゲル層の厚さが0.75μmとの差からコラーゲン層の厚さは0.05μmであった。
(4)滅菌
上記(3)の膜を3時間 UV滅菌することで細胞培養担体を得た。
【0040】
例2:細胞培養担体を用いた細胞の培養と剥離
次のようにして細胞培養担体を用いた細胞の培養を行なった。
(1)材料
使用細胞:CHL(Chinese Hamster Lung Cell)
使用培地:Eagle最小培地、10%牛胎児血清
細胞培養担体:
例1で作製した細胞培養担体をポリスチレン製細胞培養用シャーレの底面に両面テープで貼り付けたもの、及びポリスチレン製細胞培養用シャーレのみ(比較例)にUV滅菌又は電子線滅菌を施した。培地を添加して5分浸漬後培地交換することを3回繰り返したのち一晩放置し、培地を細胞培養担体中に浸潤させた。使用した細胞培養担体と滅菌法の組み合わせを表1に示す。
【0041】
(2)細胞の培養
予め培養しておいた細胞をトリプシン処理で回収し、細胞濃度を50000cell/mlに調整した。セル及びシャーレ内の培地を捨てた後、この細胞液を細胞数10000cell/cm2となるようにシャーレ内に播種し培地を添加した。その後、CO2インキュベーターを用いて37℃で2日間培養した。
(3)細胞層の剥離
培養したサンプルを下記7種類の剥離液および非剥離液に浸漬したのちピンセットで細胞層を引っ張ることで細胞培養担体からの細胞層の剥離状況を確認した。細胞層の剥離に必要な時間を測定した。次いで、剥離液浸漬時間を30分として剥離した細胞シートをポリスチレン製細胞培養用シャーレ上に置いて培地を添加したのち、CO2インキュベーターを用いて37℃で1日間培養した。この細胞をトリパンブルーで染色したのち、光学顕微鏡で観察した。結果を表1に示す。本発明の剥離剤を用いた場合には良好な剥離性が得られ、細胞の高い生存率及び非刺激性(刺激による細胞変形が無いこと)が確認できた。
剥離液
▲1▼蒸留水
▲2▼Eagle最小培地(MEM)
▲3▼MEMに1.5mMのEDTAを加えたもの
▲4▼MEMに3g/lのヘキサメタリン酸ナトリウム(HMPA)を加えたもの
▲5▼MEMに3mMの1-ヒドロキシエタン-1,1-ジリン酸(HEDP)を加えたもの
剥離液▲3▼〜▲5▼は薬品を添加した後、NaOHもしくはHClでpHを剥離液▲2▼に合わせた。
【0042】
【表1】
【0043】
例3:細胞層の転写
例2で細胞培養担体上に培養したサンプルを担体ごと取り出し、ポリスチレン製細胞培養用シャーレに細胞面が接するように置き、その上に厚さ3 mm発泡ウレタンフィルター、ステンレス板の順で載せた。なお、ステンレス板の重さはウレタンフィルターと合わせて0.8g/cm2となるように調整した。ついで、例2の剥離液▲3▼、▲4▼または▲5▼に10分間浸漬したのち、液を培地に入れ替えCO2インキュベーターを用いて37℃で1日間培養した。この培養物を同じ剥離液に20分間浸漬したのち、細胞培養担体をピンセットで引っ張り剥離した。その後、液を培地に入れ替えCO2インキュベーターを用いて37℃で1日間培養した。この細胞をトリパンブルーで染色したのち、光学顕微鏡で観察した。結果を表2に示す。本発明の剥離液では良好な結果を与えた。なお、ナイロン不織布を用いずステンレス板のみで荷重したもの、剥離液を▲1▼にしたものは転写操作中に細胞が死滅した。また、剥離液▲2▼については転写できなかった。
【0044】
【表2】
【0045】
例4:細胞層の重層化
例1の細胞培養担体にHepG2(ヒト肝臓ガン由来細胞)を、及びポリスチレン製細胞培養用シャーレにBRL(Buffalo Rat Liver 3A, ATCC No.: CRL 1442)を例2と同様にして培養した。シャーレ上に培養した細胞上に例2の剥離液▲5▼を用いて例3と同様にして細胞層を転写し、重層化細胞を得た。この重層化細胞を培地中90時間培養したものに7-ベンゾイル-4-(トリフルオロメチル)-クマリン(BFC)を添加して2昼夜培養したのち、チトクロームP450 3Aにより代謝生成した7-ヒドロキシ-4-(トリフロロメチル)-クマリン(HFC)を蛍光顕微鏡で観察した。HepG2部分でHFC由来の蛍光が観察された(図1)。
【0046】
例5:培養細胞へのキレート化剤の影響
予め培養しておいたCHL細胞をトリプシン処理で回収し、細胞濃度を50000cell/mlに調整した。ポリスチレン製細胞培養用シャーレ上にこの細胞液を細胞数10000cell/cm2となるようにシャーレ内に播種し以下の培地を添加した。その後、CO2インキュベーターを用いて37℃で2日間培養した。培養した細胞の形態と増殖性から細胞への刺激性について表中培地aを基準として評価した結果を表3に示す。増殖性については細胞数が100%を超えるものを◎、90〜100%のものを○、70〜90%に僅かに悪化したものを△、70%以下に悪化したものを×とした。また、細胞の形態は70%以上が丸みを帯びていないものを○、30〜70%が丸みを帯びていないものを△、30%以下が丸みを帯びていないものを×とした。
培地a:Eagle最小培地(MEM)
培地b:MEMに1.5 mMのEDTAを加えたもの
培地c:MEMに1.5 mMのGEDTAを加えたもの
培地d:MEMに1.5 mMのジエチレントリアミン-N,N,N',N,N-ペンタ酢酸(DTPA)を加えたもの
培地e:MEMに3 g/lのヘキサメタリン酸ナトリウム(HMPA)を加えたもの
培地g:MEMに3 mMの1-ヒドロキシエタン-1,1-ジリン酸(HEDP)を加えたもの
培地f:MEMに1.5 mM のeエチレンジアミン-N,N,N',N'-テトラキス(メチレンリン酸)(EDTPO) を加えたもの
培地b〜fは薬品を添加した後、NaOHもしくはHClでpHを培地aに合わせた。
【0047】
【表3】
【0048】
例5:トリプシンによる剥離継代
組織培養フラスコ(FALCON社製:3013)であらかじめ培養し、底面積の8割程度を占めるまでに増殖したCHL細胞のフラスコを5つ用意した。それぞれのフラスコの培地をアスピレーターで吸引、除去した後、少量のトリプシン溶液(GIBCO社製:15050-065)で細胞表面を洗浄した。洗浄後、再びフラスコ内にトリプシン溶液を2 ml添加し、CO2インキュベーター内(CO2、37℃)に移した。0.5分後、1分後、2分後、3分後、4分後にそれぞれ1つずつ培養フラスコを取り出し、ピペットにて、シングルセルアイソレーションを行った。遠心して細胞を回収した後、新しい培地のフラスコに20万個づつ播種した。5%CO2、37℃で4日間培養後、細胞の状態を位相差倒立顕微鏡で観察した。その結果、トリプシン処理0.5分では細胞塊が形成し、2〜4分では、細胞の生育が明らかに遅延していた。トリプシン処理1分のみ細胞の正常な増殖が認められた。すなわち、トリプシンによる剥離継代には最適となる処理時間が必要であり、それより長くても、短くても、最良の継代は望めないと結論された。
【0049】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、培養細胞に障害を与えることなく極めて簡便かつ確実に細胞培養担体から培養細胞を剥離することができ、細胞の転写や重層を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の剥離液を用いて剥離した細胞を重層化して得た重層細胞でチトクロームP450 3Aが発現した結果を示した光学顕微鏡写真である。
Claims (6)
- 一般式(I)で表される化合物が1−ヒドロキシエタン−1,1−ジリン酸である請求項1に記載の方法。
- 一般式(III)で表される化合物がエチレンジアミン−N,N,N',N'−テトラキス(メチレンリン酸)(EDTPO)である請求項3に記載の方法。
- アルギン酸カルシウムゲル層を含む細胞培養担体の表面に形成された培養細胞から細胞培養担体を剥離する方法であって、該細胞培養担体とヘキサメタリン酸ナトリウムとを接触させる工程を含む方法。
- アルギン酸カルシウムゲル層を含む細胞培養担体が重層化されたアルギン酸カルシウムゲル層及び細胞接着性ゲル層を含む細胞培養担体である請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
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