JP4262002B2 - 電界放出型電子銃 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、電子顕微鏡、測長機、電子ビーム露光機、電子ビームテスターなどの電子銃利用機器に用いられる電界放出型電子銃に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
【0004】
前記電子銃利用機器に用いられるこの種の電子銃は、一般的に電子を発する本体部と、そこで発せられた電子を加速し輸送する輸送部とで構成されている。本体部とは、例えばカソードとその周囲に取り付けられたサプレッサであり、輸送部とは、エキストラクタ(引出電極)とアノードである。
【0005】
ところで本体部と輸送部との位置関係に物理的なずれがあると、本体部で高次の非点性収差が生成されるうえ、その非点性収差は前記輸送部では補正しきれないため、それらの間の機械軸調整(アラインメント)が必要である。
【0006】
そこで従来は、図1、図2、あるいは特許文献1の図1等に示すように、前記本体部を外部(大気側)から直接動かすフィールドスルー機構を設け、電子線を真空中で射出しながらその断面を観察するなどして、前記フィールドスルー機構により本体部の位置調整(アラインメント)を実施している。
【0007】
【特許文献1】
【0008】
特開2000−294182公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、前記フィールドスルー機構によるアラインメントは電子線を射出しながら行わなければならず、負担の大きい作業である。また、このフィールドスルー機構は、内部を真空に保ったまま外部から位置調整する構造であるため、その機構がそもそも複雑であるうえ、取付時に傾くおそれがあり、それに対しては対処できない。
【0011】
さらに、このフィールドスルー機構が設けられる電子銃利用機器側の構造をも複雑にせざるを得ないうえ、電子銃もフィールドスルー機構によるアラインメントに対応すべく、その本体部を可動構造にしなければならないことからその構造が複雑かつ大がかりなものとなる。
【0012】
くわえて、このように真空中に種々の動作機構が配置されることは、真空に接する機構部品の表面積が増大することであり、真空度の劣化にもつながる。
【0013】
また摺動部分には、溶着を防止するために異種金属を用いなければならないなどの設計上の制約も生じる。
【0014】
そこで本発明は、本体部と輸送部とに構造を分けるという従来の発想から完全に脱却したものであって、カソードからエキストラクタに至る機構を一体化して独立した構造体とすることにより、構造体単独でのアラインメントを真空外で予め行えるようにするとともに、アノードと前記構造体とを単純な嵌合で位置決めできるようにすることにより、複雑なアラインメント作業を不要とする一方、前記フィールドスルー機構等の機械軸調整機構や、それに対応するための電子銃あるいは電子銃利用機器側の構造を不要とすることにより、電子銃の機構簡略化とそれに伴う大幅な小型化及び電子銃利用機器側の構造簡略化を可能とすることをその主たる所期課題としたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち本発明に係る電界放出型電子銃は、カソードとエキストラクタとの間に形成した電界によって当該カソードから電子を放出させるとともに、その電子を前記エキストラクタとアノードとの間に形成した電界レンズを通過させて放射するようにしたものであって、前記カソードとエキストラクタとを一体化して構造体とするとともに、その構造体及び前記アノードに被嵌合部をそれぞれ設ける一方、前記被嵌合部にそれぞれがたなく嵌合する大きさの第1及び第2嵌合部を形成した位置決め部材を設け、前記アノードに設けた被嵌合部が前記第1嵌合部に、前記構造体に設けた被嵌合部が前記第2嵌合部に、それぞれ加工精度のみにより軸方向に沿ってがたなく嵌合し、前記構造体とアノードとが位置決めされるようにしたことを特徴とする。
【0017】
前記位置決めに必要な加工精度を容易に担保でき、しかも絶縁性に優れた位置決め部材としては、セラミックを素材とするものが好ましい。
【0018】
前記構造体とアノードとの中心軸に対するラジアル方向の位置決めを行う場合に、製造が簡単でコスト的にも好ましい位置決め部材の具体的態様としては、前記位置決め部材が筒状をなすものであり、その外周面に設定した第1嵌合部が前記アノードに設けた被嵌合部である凹部に嵌合するとともに、その内周面に設定した第2嵌合部が前記構造体の被嵌合部であるアノード側先端部に嵌合し、前記構造体とアノードとの、中心軸に対するラジアル方向の位置決めが行われるように構成しているものを挙げることができる。
【0019】
さらに構造体とアノードとの中心軸方向の位置決め機能をも、前記位置決め部材に具備させるには、前記位置決め部材が、前記ラジアル方向に延出する壁部を有し、その壁部が前記構造体とアノードとの間に挟まれることにより、前記中心軸方向の位置決めが行われるように構成しているものが望ましい。
【0020】
一方、構造体を小型化するためには、前記構造体が、カソードを固定支持する絶縁性を有したカソード支持体とそのカソード支持体の外周にがたなく固定された筒状のサプレッサとをさらに備え、そのサプレッサに絶縁スペーサを介して筒状のエキストラクタを外嵌させているものであることが好ましい。このようなものであれば、構造体が多重筒構造となり、無駄なスペースを排除することができる。
【0021】
エキストラクタとサプレッサ及びカソード支持体との前記ラジアル方向の位置決めを行うための具体的態様としては、前記エキストラクタにラジアル方向に進退可能に取り付けられた複数の調整部材をさらに備え、それら調整部材によりサプレッサ又はカソード支持体を押圧し、エキストラクタとサプレッサ及びカソード支持体との前記ラジアル方向の位置決めを行い得るように構成しているものを挙げることができる。
【0022】
エキストラクタ内にサプレッサやカソード等を容易に組み込めるようにするには、前記エキストラクタが、ねじ送り機構を介して中心軸方向に結合した一対のエキストラクタ要素を備え、前記サプレッサを各エキストラクタ要素の対向面間に絶縁スペーサを介して挟み込んで固定するように構成してあるものが望ましい。いずれかのエキストラクタ要素を受けとし、一方向からの組み込みが可能となるからである。
【0023】
かかる構成の場合、カソード側のエキストラクタ要素に前記調整部材を取り外し可能に取り付けているものであれば、より好適に真空度を担保できる。
【0024】
なぜならば、真空度を担保するには真空内に配置される部品はできるだけ少ない方がよいが、上述の構成であれば、調整部材を用いて位置決め後、エキストラクタ要素によってサプレッサを狭圧固定することにより、調整部材を取り外した状態で、真空チャンバ内に電子銃を配置することができるからである。
【0025】
さらに、調整部材がカソード側のエキストラクタ要素に取り付けてあってカソード近傍を押圧することとなることから、カソードとエキストラクタの位置関係を正確に調整することができる。
【0026】
また、ここで調整部材とは例えばエキストラクタに形成しためねじ孔に螺合して進退するおねじ部材であるが、このような構成であれば、このおねじ部材を取り外した後のめねじ孔は電子銃内部の排気のための気抜き孔としても用いることができる。
【0027】
もちろん、前記調整部材によって、サプレッサ及びカソード支持体とエキストラクタとの前記中心軸方向の位置決めを行い得るようにし、この調整部材にエキストラクタとサプレッサ又はカソード支持体とを固定する固定具としての役割を担わせるようにしてもよい。
【0028】
電極部を一括して取り出せるようにし、電子銃の小型化をより促進するとともに配線作業の簡単化等を図るためには、前記カソード、サプレッサ及びエキストラクタの電極部を、電子の射出方向の反対側に設けているものが好ましい。
【0029】
本発明のような多重筒構造の構造体の場合、内部排気のための気抜き孔が必要であるが、その気抜き孔による電界への影響をキャンセルするためには、気抜き孔を、円周方向に沿って等間隔かつ4の倍数個設けるようにすることが望ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
【0031】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0032】
本実施形態にかかる電子銃は、図3、図4に示すように、カソードであるエミッタチップ1と、そのエミッタチップ1を加熱するためのフィラメント2と、前記エミッタチップ1の先端に強い電界を作り、電子を放出させるためのエキストラクタ3と、そのエキストラクタ3との間で電界レンズを形成し、エミッタチップ1から放出された電子をさらに加速するとともにその軌道にレンズ作用を及ぼすアノード4と、エミッタチップ1の先端以外の部位で発生する電子を排除するサプレッサ5とを備えた加熱型FE電子銃と称されるもので、電子顕微鏡(SEM)や電子線マイクロアナライザ(EPMA)の構成要素として、図示しない真空チャンバ内に配置される。
【0033】
しかしてこの電子銃は、前記エミッタチップ1、フィラメント2、サプレッサ5及びエキストラクタ3を一体化して構造体6とするとともに、その構造体6と前記アノード4との相対的な位置決めを、後述する位置決め部材17を介在させて嵌合することで行えるようにしたものである。
【0034】
まず構造体6から説明する。
【0035】
この構造体6は、図3、図4に示すように、ヘアピンフィラメント2及びその先端部にスポット溶接等で取り付けられたエミッタチップ1と、それらフィラメント2及びエミッタチップ1を保持するカソード支持体たる円柱状のステム7と、そのステム7の外周にがた無く外嵌し固定された円筒状のサプレッサ5と、そのサプレッサ5に絶縁スペーサ8を介して外嵌する円筒状のエキストラクタ3とを備えている。
【0036】
ステム7は、例えばセラミック等の絶縁性を有する素材で作られたもので、フィラメント2の両端にスポット溶接等で接続された金属棒である一対のフィラメント電極13を内部に貫通させて保持することにより、前記フィラメント2及びエミッタチップ1を固定保持する。
【0037】
サプレッサ5は、その内部にステム7、フィラメント2及びエミッタチップ1を収容する金属製のもので、ステム7側の一端面が開口し、他端面が円錐状に突出する底壁51で閉塞されてなる。その底壁51の中央には電子放出孔9が貫通させてあり、その電子放出孔9内であってサプレッサ5の中心軸上に前記エミッタチップ1が配置されるようにしてある。
【0038】
エキストラクタ3は、前記サプレッサ5に外嵌してこれを内部に収容する金属製のもので、その内周径を前記サプレッサ5の外周径よりも大きく設定し、サプレッサ5と所定の離間距離を保つようにしてある。本実施形態におけるエキストラクタ3は、ねじ送り機構25を介して中心軸方向に結合した一対のエキストラクタ要素3A,3Bからなり、これらエキストラクタ要素3A,3Bにそれぞれ設けた対向面26,27間に、前記サプレッサ5を、リング状をなす一対の絶縁スペーサ8を介して挟み込んで固定する。このエキストラクタ3の両端にはそれぞれ頂壁31及び底壁32が設けてあり、底壁32の中央にはエミッタチップ1から放出される電子を挿通させるための電子挿通孔10が形成してある。なお、前記絶縁スペーサ8は、前記エミッタチップ1とエキストラクタ底壁32間の中心軸方向の離間距離を規定するためのものであり、エキストラクタ3とサプレッサ5との間に密閉された空間が形成されないように、エキストラクタ内周径よりもその外径を若干小さくし、エキストラクタ内周面との間に若干の隙間が形成されるようにしてある。
【0039】
一方、エミッタチップ1側のエキストラクタ要素3A、すなわち前記電子挿通孔10を有するエキストラクタ要素3Aには、その厚み方向(ラジアル方向)に貫通するめねじ孔11が、例えば円周方向に等間隔に離間させて4箇所設けてあり、そのめねじ孔11に調整部材である調整ネジ12が螺合させてある。そして、これら調整ネジ12をラジアル方向に独立して螺進退させ前記サプレッサ5の外周面を押圧することにより、エキストラクタ3、より具体的には当該エキストラクタ要素3Aとサプレッサ5とのラジアル方向の相対位置関係を調整し、エミッタチップ1及び電子放出孔9と電子挿通孔10との中心軸を合致させ得るように構成してある。
【0040】
しかして、このように前記調整ネジ12でこの構造体6におけるラジアル方向のアラインメントを行った後、エキストラクタ要素3A,3Bによってサプレッサ5を狭圧固定し、調整ネジ12を取り外すようにしている。なお、この一連の作業は真空外で行えばよい。
【0041】
一方、この構造体6においてフィラメント電極13、サプレッサ電極14、エキストラクタ電極15は、全て電子の射出方向の反対側端面から、中心軸方向に沿って延出させてあり、それら電極13、14、15がエキストラクタ3の外周を超えて外に出ないようにしている。
【0042】
また、サプレッサ5及びエキストラクタ3には、それぞれ内部排気のための気抜き孔16を、円周方向に沿って等間隔に4つ設けている。
【0043】
次に位置決め部材17について説明する。
【0044】
この位置決め部材17は、円筒状をなすセラミック製のものであり、その外周面である第1嵌合部18が、前記アノード4に設けた被嵌合部である凹部19に嵌合するとともに、その内周面である第2嵌合部20が、被嵌合部である前記構造体6のアノード側の先端部21に嵌合するようにしてある。
【0045】
前記第1嵌合部18及び第2嵌合部20は、その中心軸を合致させて形成してあり、エキストラクタ3及びアノード4とこの位置決め部材17との熱膨張係数の違いを考慮して、少なくとも作動時において前記凹部19及び構造体先端部21にそれぞれがたなく嵌合する径に設定してある。
【0046】
さらにこの位置決め部材17には、その底部からラジアル方向内向きに延出する所定厚みを有した壁部24が設けてあり、この壁部24がアノード4の頂面と構造体6の底面との間に介在してそれらの間の離間距離を規定する。
【0047】
一方、アノード4に設けた凹部19は、当該アノード4の電子射出孔22と中心軸が一致するように設定してある。
【0048】
したがって、前述したようにアラインメント調整を行った前記構造体6を、この位置決め部材17を介在させてアノード4の凹部19に嵌合させることにより、何ら調整することなく、構造体6及びアノード4とのラジアル方向及び軸方向に関する相対的な位置決めを正確に行うことができる。また、嵌合が軸方向に沿って行われるため、構造体6がアノード4に対し傾くこともない。
【0049】
このように本実施形態によれば、エミッタチップ1からエキストラクタ3に至る機構を一体化し、独立した構造体6としていることから、構造体6単独でのアラインメントを前記調整ネジ12を利用して真空外で予め行うことができるうえ、アノード4と前記構造体6とを単純な嵌合で位置決め(アラインメント)できるため、従来必要であった複雑なアラインメント作業が不要となる。さらにこのような位置決め部材17によって、従来必要であったフィールドスルー機構等の機械軸調整機構や、それに対応するための電子銃あるいは電子銃利用機器側の構造が不要となるため、電子銃の機構簡略化とそれに伴う大幅な小型化及び電子銃利用機器側の構造簡略化が可能となる。
【0050】
また、本実施形態では位置決め部材17の素材にセラミックを用いているため、前記位置決めに必要な加工精度を容易に担保でき、しかも絶縁性が問題になることもない。
【0051】
構造体6について言えば、内からステム7、サプレッサ5、エキストラクタ3の順で外嵌していく多重筒構造であり、無駄なスペースを排除することができるうえ、エキストラクタ3が筐体の役割を果たして、専用の筐体を設ける必要が無いため、小型化を促進することができる。くわえてフィラメント電極13、サプレッサ電極14、エキストラクタ電極15が、全て電子の射出方向の反対側端面から、中心軸方向に沿って延出させてあり、それら電極13,14,15がエキストラクタ3の外周を超えて外に出ないようにしているため、この点からも小型化に寄与できる。
【0052】
また、前記エキストラクタ3が、ねじ送り機構25を介して中心軸方向に結合した一対のエキストラクタ要素3A,3Bを備え、前記サプレッサ5を各エキストラクタ要素3A,3Bで挟み込んで固定するように構成してあるため、いずれかのエキストラクタ要素3A,3Bを受けとすることにより、一方向からの組み込みが可能となって組み立て作業性の向上にも寄与し得る。
【0053】
さらに、前述したように、調整ネジ12でのアラインメントを行った後、その調整ネジ12を取り外して真空チャンバ内に配置できるため、真空内に配置される部品を可及的に減少させて真空度を担保できる。また、この調整ネジ12を取り外した後のめねじ孔11は電子銃内部の排気のための気抜き孔としても機能することとなる。
【0054】
また、調整ネジ12がエミッタチップ1側のエキストラクタ要素3Aに取り付けてあってそのエミッタチップ1近傍を押圧することとなることから、エミッタチップ1とエキストラクタ3の位置関係を正確に調整することができる。
【0055】
くわえて、気抜き孔16を円周方向に沿って等間隔に4つ設けているため、それら気抜き孔16による電界への影響をキャンセルすることができる。
【0056】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。
【0057】
図5,図6は、エキストラクタ3が、前記実施形態のようにエキストラクタ要素に分割されていない一体ものである例を示している。この場合、サプレッサ5を固定する必要があるため、前記調整ねじ12をエキストラクタ3に対するサプレッサ5の固定具として用いており、アラインメント後でもこの調整ねじ12を取り外すことはない。また、この調整ねじ12は強度の関係から金属製のものを用いており、この調整ねじ12によってサプレッサ5を押圧するとサプレッサ5−エキストラクタ3間の絶縁が保てないため、サプレッサ5に大径の孔28を設け、前記調整ねじ12をこの孔28に挿通させて、サプレッサ5に接触しないようにし、ステム7を押圧するようにしている。なお、この調整ねじ12には、頭のない止めねじタイプのものを用いており、この調整ねじ12がめねじ孔11に埋没してエキストラクタ3の外周面より外側に突出しないようにしている。
【0058】
一方、ここまでに説明してきた構造体6では、サプレッサ5とエキストラクタ3(より正確にはエミッタチップ1とエキストラクタ3の電子挿通孔)との中心軸方向の位置関係は、絶縁スペーサ8により規定され、その変更は絶縁スペーサ8を変えない限りできない構成であったが、図7,図8に示すように、サプレッサ5とエキストラクタ3との中心軸方向の位置関係を可変に調整できるように構成しても構わない。
【0059】
この図7,図8に示す構造体6は、各エキストラクタ要素3A,3Bの開口近傍内周にめねじ33、34が形成してあり、円筒状をなし外周面にねじ山35を形成した中間ねじ23が、前記各エキストラクタ要素3A,3Bのめねじ33、34に螺合してこれらを結合するように構成している。この中間ねじ23は、ステム7を絶縁スペーサ8を介して一方のエキストラクタ要素3Bとの間で狭圧固定するもので、このエキストラクタ要素3Bから突出した部分に、他方のエキストラクタ要素3A(この例ではエミッタチップ1側のエキストラクタ要素3A)が螺合する。しかしてその螺合の回転角度を調整することで、エミッタチップ1と電子挿通孔10との距離の微調整を可能としている。
【0060】
なお、図5、図6に示すもの同様、サプレッサ5のラジアル方向の位置決め及び固定には、エミッタチップ1側のエキストラクタ要素3Aに取り付けてある調整ねじ12でステム7を押圧することにより行うようにしている。
【0061】
本発明は、例えば冷陰極(コールド)FE電子銃にも適用可能で、このものにおいてはサプレッサが不要であるため、構造体はサプレッサが省略された機構とする必要がある。
【0062】
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0063】
【発明の効果】
【0064】
以上に詳述したように、本発明によれば、カソードからエキストラクタに至る機構を一体化して独立した構造体とし、その構造体単独でのアラインメントを前記調整ねじを利用して真空外で予め行うことができるようにしているうえ、アノードと前記構造体とを単純な嵌合で位置決め(アラインメント)できるようにしているため、従来必要であった複雑なアラインメント作業が不要となる。
【0065】
さらにこのような位置決め部材によって、従来必要であったフィールドスルー機構等の機械軸調整機構や、それに対応するための電子銃あるいは電子銃利用機器側の構造が不要となるため、電子銃の機構簡略化とそれに伴う大幅な小型化及び電子銃利用機器側の構造簡略化が可能となる。
【0066】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電子銃を示す模式図。
【図2】従来の電子銃を示す模式図。
【図3】本発明の一実施形態を示す電子銃の内部構造を示す縦断面図。
【図4】図3におけるA−A線断面図。
【図5】本発明の他の実施形態を示す電子銃の内部構造を示す縦断面図。
【図6】図5におけるB−B線断面図。
【図7】本発明のさらに他の実施形態を示す電子銃の内部構造を示す縦断面図。
【図8】同実施形態における電子銃の分解斜視図。
【符号の説明】
1・・・カソード(エミッタチップ)
3・・・エキストラクタ
3A、3B・・・エキストラクタ要素
4・・・アノード
5・・・サプレッサ
6・・・構造体
7・・・カソード支持体(ステム)
8・・・絶縁スペーサ
11・・・調整部材(調整ねじ)
13・・・カソード電極部(フィラメント電極部)
14・・・サプレッサ電極部
15・・・エキストラクタ電極部
16・・・気抜き孔
17・・・位置決め部材
18・・・第1嵌合部(外周面)
19・・・被嵌合部(アノードの凹部)
20・・・第2嵌合部(内周面)
21・・・被嵌合部(構造体の先端部)
24・・・壁部
25・・・ねじ送り機構
26、27・・・対向面
Claims (10)
- カソードとエキストラクタとの間に形成した電界によって当該カソードから電子を放出させるとともに、その電子を前記エキストラクタとアノードとの間に形成した電界レンズを通過させて放射するようにしたものにおいて、
前記カソードとエキストラクタとを一体化して構造体とするとともに、その構造体及び前記アノードに被嵌合部をそれぞれ設ける一方、
前記被嵌合部にそれぞれがたなく嵌合する大きさの第1及び第2嵌合部を形成した位置決め部材を設け、
前記アノードに設けた被嵌合部が前記第1嵌合部に、前記構造体に設けた被嵌合部が前記第2嵌合部に、それぞれ加工精度のみにより軸方向に沿ってがたなく嵌合し、前記構造体とアノードとが位置決めされるようにしたことを特徴とする電界放出型電子銃。 - 位置決め部材がセラミックを素材とするものである請求項1記載の電界放出型電子銃。
- 前記位置決め部材が筒状をなすものであり、その外周面に設定した第1嵌合部が前記アノードに設けた被嵌合部である凹部に嵌合するとともに、その内周面に設定した第2嵌合部が前記構造体の被嵌合部であるアノード側先端部に嵌合し、前記構造体とアノードとの、中心軸に対するラジアル方向の位置決めが行われるように構成している請求項1又は2記載の電界放出型電子銃。
- 前記位置決め部材が、前記ラジアル方向に延出する壁部を有するものであり、その壁部が前記構造体とアノードとの間に挟まれることにより、前記構造体とアノードとの、中心軸方向の位置決めが行われるように構成している請求項3記載の電界放出型電子銃。
- 前記構造体が、カソードを固定支持する絶縁性を有したカソード支持体とそのカソード支持体の外周にがたなく固定された筒状のサプレッサとをさらに備え、そのサプレッサに絶縁スペーサを介して筒状のエキストラクタを外嵌させているものである請求項1、2、3又は4記載の電界放出型電子銃。
- 前記エキストラクタにラジアル方向に進退可能に取り付けられた複数の調整部材をさらに備え、それら調整部材によりサプレッサ又はカソード支持体を押圧し、エキストラクタとサプレッサ及びカソード支持体との前記ラジアル方向の位置決めを行い得るように構成している請求項5記載の電界放出型電子銃。
- 前記エキストラクタが、ねじ送り機構を介して中心軸方向に結合した一対のエキストラクタ要素を備えたものであり、前記サプレッサを各エキストラクタ要素の対向面間に絶縁スペーサを介して挟み込んで固定するように構成している請求項6記載の電界放出型電子銃。
- カソード側のエキストラクタ要素に前記調整部材を取り外し可能に取り付けている請求項7記載の電界放出型電子銃。
- 前記調整部材が、サプレッサ及びカソード支持体とエキストラクタとの前記中心軸方向の位置決めを行い得るものである請求項6記載の電界放出型電子銃。
- 内部排気のための気抜き孔を、円周方向に沿って等間隔かつ4の倍数個設けるようにしている請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の電界放出型電子銃。
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