JP4261890B2 - 熱電効果装置,エネルギー直接変換システム,エネルギー変換システム - Google Patents

熱電効果装置,エネルギー直接変換システム,エネルギー変換システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異なる形態にあるエネルギーの相互変換もしくは熱エネルギー転送を行う装置とその系に係り、特に自然界に存在する熱エネルギーを電気エネルギーや化学エネルギーに直接変換もしくは転送する熱電効果装置,エネルギー直接変換システム,エネルギー変換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、先行技術調査を行うことなく、公知・公用の技術(熱電変換素子によるエネルギーの利用形態)をもとに開発した発明であるため、出願人が知っている先行技術が文献公知発明に該当しない。以下,公知・公用のエネルギーの利用形態を説明する。
【0003】
現在におけるエネルギーの利用形態は、化石燃料,原子力,水力等を非可逆的に利用するものが殆どであり、特に化石燃料の消費は地球の温暖化や環境破壊を増大させる要因となっている。所謂クリーンエネルギーとして、太陽光発電,風力発電,あるいは水素ガスなどを消費することにより、環境への負荷を低減させる努力が漸く実現化の緒についたが、化石燃料や原子力に代替し得るに程度には至っていない。
【0004】
自然界に存在する熱エネルギーを電力等の直接利用可能な形態に変換するものとして、ゼーベック効果を利用した熱電変換素子(以下、ゼーベック素子と称する)が知られ、前記の化石燃料や原子力の代替エネルギーとして研究開発が行われている。前記ゼーベック素子は、それぞれゼーベック係数が異なる2種類の導体(または半導体)を接触して構成され、両導体の自由電子数の差により電子が移動して両導体に間に電位差を生じるものであり、この接点に熱エネルギーを与えることによって、自由電子の動きが活発となり、熱エネルギーを電気エネルギーへ変換することができ、これを熱電効果という。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記のゼーベック素子のような直接発電素子では十分な電力が得られず、小規模なエネルギー源としての利用に限られるため、その応用形態も限定されているのが現状である。
【0006】
一般的に、前記のようなゼーベック素子は、加熱部(高温側)と冷却部(低温側)とが一体素子となっており、またペルチェ効果を利用した熱電効果素子(以下、ペルチェ素子と称する)においても、その吸熱部と発熱部は一体素子となっている。すなわち、ゼーベック素子では加熱部と冷却部とが熱的に相互干渉し、ペルチェ素子では吸熱部と発熱部とが熱的に相互干渉するため、それらゼーベック効果,ペルチェ効果は時間経過と共に減衰してしまう。
【0007】
したがって、前記のようなペルチェ素子とゼーベック素子を用いて大規模なエネルギー変換設備を構築しようとした場合、その設備等の設置場所において物理的な制限が加わるため、非現実的である。また、一般的なペルチェ素子とゼーベック素子とを用いたエネルギー利用は一方向的なものであり、例えば一度使用したエネルギーを再度利用するように循環形態を構成するという技術思想は何らなかった。
【0008】
これからのエネルギー開発は、前記のように、地球の温暖化や環境の破壊を引き起こすことなく、かつ再利用を図る方向でなければならず、これが今後におけるエネルギー開発に欠かせない大きな課題となっている。
【0009】
本発明は、前記課題の解決を図るものであり、自然界において無公害かつ無尽蔵に存在する自然界の熱エネルギーを利用(再利用)することにより、例えば熱エネルギー,電気エネルギー,化学エネルギー等の種々のエネルギーを獲得することが可能な熱電効果装置,エネルギー直接変換システム,エネルギー変換システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記の課題の解決を図るために、請求項1記載の発明は、異なるゼーベック係数を有する第1導電部材と第2導電部材とを接合部材により接合して成る熱電変換素子を複数個備え、前記の各熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部を、その残りの熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部に対してそれぞれ連結部材により電気的に直列接続し、前記の各連結部材のうち少なくとも一つ以上に直流電源を直列接続することにより、前記の各熱電変換素子から成るペルチェ効果熱伝達回路系を構成する。そして、前記ペルチェ効果熱伝達回路系の各吸熱部と各発熱部との間を、それぞれ吸熱部の温度Tα(吸熱部自体の温度Tα)と発熱部の温度Tβ(発熱部自体の温度Tβ)とがTα<Tβの関係を維持できる距離を確保したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、異なるゼーベック係数を有する第1導電部材と第2導電部材とを接合部材により接合して成る熱電変換素子を複数個備え、それら各熱電変換素子を少なくとも2つ以上の異なる温度環境下にそれぞれ配置すると共に、前記の各熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部を、その残りの熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部に対してそれぞれ連結部材により電気的に直列接続し、高温環境下に配置された熱電変換素子の温度T1(熱電変換素子が配置されている環境温度T1)と低温環境下に配置された熱電変換素子の温度T2(熱電変換素子が配置されている環境温度T2)とがT1>T2の関係を維持できる距離を確保する。そして、前記の各連結部材のうち一つ以上における任意の箇所から電気ポテンシャルエネルギーを取り出すことにより、熱エネルギーから電気ポテンシャルエネルギーへ変換することが可能な直接エネルギー変換電気回路系を構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、異なるゼーベック係数を有する第1導電部材と第2導電部材とを接合部材により接合して成る熱電変換素子を複数個備え、それら各熱電変換素子を少なくとも2つ以上の異なる温度環境下にそれぞれ配置すると共に、前記の各熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部を、その残りの熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部に対してそれぞれ連結部材により電気的に直列接続し、高温環境下に配置された熱電変換素子の温度T1(熱電変換素子が配置されている環境温度T1)と低温環境下に配置された熱電変換素子の温度T2(熱電変換素子が配置されている環境温度T2)とがT1>T2の関係を維持できる距離を確保する。そして、前記の各連結部材のうち一つ以上における任意の箇所から電気ポテンシャルエネルギーを取り出すことにより、熱エネルギーから電気ポテンシャルエネルギーへ変換することが可能な直接エネルギー変換電気回路系を構成し、前記の各連結部材のうち一つ以上における任意の箇所から取り出された電気ポテンシャルエネルギーで電気分解することにより、その電気ポテンシャルエネルギーから化学ポテンシャルエネルギーに変換することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、異なるゼーベック係数を有する第1導電部材と第2導電部材とを接合部材により接合して成る熱電変換素子を複数個備え、前記の各熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部を、その残りの熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部に対してそれぞれ連結部材により電気的に直列接続し、前記の各連結部材のうち少なくとも一つ以上に直流電源を直列接続することにより、前記の各熱電変換素子から成るペルチェ効果熱伝達回路系を構成し、前記ペルチェ効果熱伝達回路系の各吸熱部と各発熱部との間を、それぞれ吸熱部の環境の温度T1と発熱部の環境の温度T2とがT1>T2の関係を維持できる距離を確保したことを特徴とする熱電効果装置を構成する。そして、前記の熱電変換装置から得られた熱エネルギーを請求項2記載のエネルギー直接変換システムにおける高温環境下に配置された各熱電変換素子へ供給することにより電気ポテンシャルエネルギーを得、前記の電気ポテンシャルエネルギーの一部を前記熱電効果装置に正帰還し直流電源として用いることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項2乃至4記載の発明において、前記の直接エネルギー変換電気回路系を一組以上用いられ、1つ以上の第1導電部材又は第2導電部材(1つ以上の熱電変換素子(熱電変換素子の接合部材))に初期の外部加熱または外部冷却による温度差を加える為の複数の起動部が備えられ、互いに独立な複数箇所の環境の温度差による環境の熱エネルギー源から直接に電気ポテンシャルエネルギーへの直接エネルギー変換システムを構成することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の発明において、前記電気ポテンシャルエネルギーの正帰還を、前記の各連結部材のうち1箇所以上に接続されたオン/オフスイッチの切り替えによって制御することを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項4または5記載の発明において、前記電気ポテンシャルエネルギーの正帰還を、前記のオン/オフスイッチの切り替えによって制御し、前記電気ポテンシャルエネルギーを前記熱電効果装置へ供給すると共に、前記熱電効果装置の直流電源からの電力供給を断つことを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項4乃至7記載の発明におけるエネルギー変換システムから得られた電気ポテンシャルエネルギーで電気分解することにより、その電気ポテンシャルエネルギーから化学ポテンシャルエネルギーに変換することを特徴とする。
【0018】
上記目的を満たすエネルギー源を得るシステムには、熱的に開放系で、且つ、循環型の形態を持たせる必要がある。即ち任意に離れた領域間でペルチェ効果素子により熱エネルギーの転送を行い、ゼーベック効果素子により熱エネルギーを電気的ポテンシャルエネルギーに直接エネルギーに変換し、更に、電解液や水の電気分解等を利用して電気的ポテンシャルエネルギーを化学ポテンシャルエネルギーに変換して、エネルギーの貯蔵,蓄積,運搬を容易に行える電気回路システムを、本発明は提供している。
【0019】
【発明の実施の形態】
発明が解決しようとする課題の欄に記載したとおり、ゼーベック素子(またはペルチェ素子)は加熱部と冷却部(または吸熱部と発熱部)が一体素子となっていることに起因する問題を有していたことから、発明者は、これらの課題を解決するために、ゼーベック素子(ペルチェ素子)の加熱部と冷却部(吸熱部と発熱部)とを分離することに着目した。そこで、素子がその特性を失うことなく、加熱部と冷却部(吸熱部と発熱部)とを分離、すなわち加熱部と冷却部(吸熱部と発熱部)とを各々独立した構成とすることができるかを確認するための実験を試みた。
【0020】
以下、本発明の実施の形態における熱電効果装置,エネルギー直接変換システム,エネルギー変換システムについて、図面等を用いて詳細に説明する。なお、本実施の形態において、自然エネルギーを利用したエネルギー直接変換システムは、そのシステム全体が開放系内で動作していることにより、「閉鎖系でのみ成り立つエントロピー増大の法則」は適応できないことに留意する必要がある。
【0021】
まず、本発明の基本的な技術思想(原理)について説明する。図1はペルチェ効果とゼーベック効果の物理機構の原理をエネルギーバンドで説明する概略模式図であり、それぞれ異なるゼーベック係数を有する導電部材A(例えば、図1ではp型半導体;以下、第1導電部材と称する)と導電部材B(例えば、図1ではn型半導体;以下、第2導電部材と称する)との間に、金属等の導電性を有する接合部材Mを介在させ、外部電界を第2導電部材Bから第1導電部材A方向へ印加した場合の模式を示している。なお、図1中の斜線部は自由電子の無い荷電子帯、一点鎖線はフェルミレベルVF、符号EVは前記荷電子帯の上端レベル、符号ECは導電帯の下端レベル、符号EVacは真空レベルを示すものである。
【0022】
図1に示すように、外部電界を第2導電部材Bから第1導電部材A方向へ印加した場合、第1導電部材AのフェルミレベルEFよりも下のレベル(低いレベル)には、有限の厚さを持つ接合部材MのフェルミレベルEF、更にその下のレベル(低いレベル)には第2導電部材BのフェルミレベルEFが並ぶレベル配置となる。外部電界を加えない場合には、前記導電部材A,BのフェルミレベルEFはそれぞれ同等のレベルとなる。また、外部電界を第1導電部材Aから第2導電部材B方向に印加した場合には、前記の第1導電部材A,接合部材M,第2導電部材Bの各フェルミレベルEFは、それぞれ図1に示したレベル配置の逆の状態となる。
【0023】
図1中の符号φA(T),φM(T),φB(T)は、それぞれ第1導電部材A,接合部材M,第2導電部材Bの電気的ポテンシャル(障壁電位)を示し、外部電界の向きに係わらず、それぞれ第1導電部材A,接合部材M,第2導電部材Bの温度によって固有に決定される電位である。例えば、電荷eを持つ電子が前記の第1導電部材A,接合部材M,第2導電部材Bの外部へ飛び出るには、それぞれeφA(T),eφM(T),eφB(T)のエネルギーを必要とする。
【0024】
前記のように外部電界を加えない場合、第1導電部材AのフェルミレベルEF,接合部材MのフェルミレベルEF,第2導電部材AのフェルミレベルEFがそれぞれ同等のレベルとなるように電子が移動し、第2導電部材Bと接合部材M間の接触電位差VBMは「φB(T)−φM(T)」となり、接合部材Mと第1導電部材Aの接触電位差VMAは「φM(T)−φA(T)」となる。
【0025】
その状態で、外部電界を第2導電部材Bから第1導電部材A方向へ印加して電流を流すと、導電帯の自由電子流と荷電子帯内のホールの移動に伴う電子流とは、それぞれ第1導電部材Aから接合部材M方向へ流れ、更に接合部材Mから第2導電部材B方向へ流れる。なお、外部電界による自由電子のドリフト速度は、自由電子の熱速度に比べて小さいため、無視できる程度である。
【0026】
ここで、前記のように第1導電部材Aから接合部材M方向へ流れ、さらに接合部材Mから第2導電部材Bへ流れ込む自由電子流の電子群に着目すると、この着目電子群内の各電子の全エネルギーは電気的ポテンシャルエネルギーと熱速度による運動論的エネルギーとの総和に相当する。このように着目電子群が第1導電部材Aから接合部材Mへ、さらに接合部材Mから第2導電部材Bへ流れ込む物理過程は、それぞれの接合面領域が十分に狭いため、外部からのエネルギーが着目電子群に加わらない電子的断熱過程となる。
【0027】
すなわち、前記着目電子群は、第1導電部材Aから接合部材M方向へ流れ、さらに接合部材Mから第2導電部材B側に流れ込むと、各境界面(図1では、二つの境界面)において電子の電気的ポテンシャルエネルギーが大きくなった分だけ電子の熱エネルギーは減少し、各境界面に流れ込んだ電子の熱速度は小さくなる。
【0028】
前記の各境界面で小さくなった着目電子群の熱速度は、接合部材M内および第2導電部材B内に予め存在していた自由電子群と導電材原子から、熱エネルギーを極めて早いエネルギー等配分時間で吸収することによって、接合部材Mの第1導電部材A側と第2導電部材Bの接合部材M側との境界付近にて吸熱現象が起こる。このような物理過程が、ペルチェ効果による吸熱現象が起こる物理機構である。なお、第1導電部材Aの接合部材M側と接合部材Mの第2導電部材側との境界付近においては、前記のような吸熱現象は起こらない。
【0029】
次に、外部電界を反転させて電流の向きを逆にすると(外部電界を第1導電部材Aから導電部材B方向へ印加すると)、図1とは逆に、第1導電部材AのフェルミレベルEFよりも上のレベル(高いレベル)に有限の厚さを有する接合部材MのフェルミレベルEF、更にその上のレベル(高いレベル)に第2導電部材BのフェルミレベルEFが並ぶレベル配置となる。それら第1導電部材A,接合部材M,第2導電部材Bの電気ポテンシャルφA(T),φM(T),φB(T)は、前記のように第1導電部材A,接合部材M,第2導電部材Bの各々の温度で固有に決定されるため大小関係は変わらず、電子流の方向は反転する。
【0030】
その結果、各境界面における運動論的エネルギーは電子の電気的ポテンシャルエネルギーが小さくなった分だけ増大し、各境界面に流れ込んだ電子の熱速度が大きくなり、接合部材Mの第2導電部材B側と第1導電部材Aの接合部材M側との各境界付近にて発熱現象が起こる。また、第2導電部材Bの接合部材M側と接合部材Mの第1導電部材A側との境界付近においては、発熱現象は起こらない。
【0031】
電流を流すためには閉回路を構成する必要がある。一般的なペルチェ素子においては、前記のように「導電部材A(T),接合部材M(T),導電部材B(T)」の接合構造で、第1導電部材Aと導電部材Bとの間に絶対ゼーベック係数の小さい接合部材Mを介在させて構成され、これに外部電源により電流を流してペルチェ素子回路が構成される。このように構成されたペルチェ素子回路における第1導電部材Aと第2導電部材Bとの絶対ゼーベック係数の差が大きいほど、ペルチェ効果による発熱量あるいは吸熱量は大きくなる。この絶対ゼーベック係数は温度依存性を持った導電部材固有の係数である。
【0032】
このように閉回路が構成されたペルチェ素子回路では、十分大きな放熱部材(放熱効果の高い部材)により発熱側の発熱エネルギーを取り除かないと、例えば図1に示したように導電部材A(T),接合部材M(T),導電部材B(T)はそれぞれ良好な熱伝導性を有するため、それら三つの導電帯はそれぞれ同等で極めて高い温度を持つようになる。
【0033】
その結果、荷電子帯の電子が大量に導電帯へ熱励起されてフェルミレベルEFが大きく上昇し、最終的に電気的ポテンシャルが「φA(T)=φM(T)=φB(T)」のように三つの導電体全部が等しくなってしまう。このような状態になると、前記の原理説明で述べたペルチェ効果は消滅してしまい、外部から加えられた電力は、前記の三つの導電帯における電気抵抗をジュール加熱するだけに消費される。このような状態にならないようにするため、ペルチェ素子回路を内装した一般的な家電製品やコンピュータにおいては、ペルチェ効果素子の発熱側(発熱側付近)に大きな熱吸収体や放熱材料、あるいは電気ファンを設けることにより、前記のペルチェ効果の消滅を抑制した構造が採られている。
【0034】
これに対して、本発明においては、電気的特性(例えば、熱伝導性や導電性)の良好な連結材料(例えば、2本の配線材料)を用いて、ペルチェ素子回路の発熱側と吸熱側との間を所定距離隔てて熱的な開放系にすることにより(例えば、発熱側と吸熱側との間で熱的な相互干渉の無い距離を確保できる連結部材(長距離の配線材料)を用いることにより)、発熱側と吸熱側とをそれぞれ熱的に独立した環境(異なる温度環境)に配置させて、前記のペルチェ効果が絶対に消滅しないようにすると共に、そのペルチェ効果を利用できるように構成されたものである。
【0035】
このように構成されたペルチェ素子回路において、図1の外部電界を加えない状態にある場合、温度Tが高くなるに連れて熱励起による導電帯の自由電子数と荷電子帯のホール数は多くなる。その結果、第1導電部材A側のフェルミレベルEF,接合部材MのフェルミレベルEF,第2導電部材B側のフェルミレベルEFがそれぞれ同等のレベルとなるように、電子がより多く移動し、第1導電部材Aと接合部材Mとの間における接触電位差VAM(すなわち、「eφA(T)−eφM(T)」)は大きくなる。
【0036】
前記のように電界を加えない場合の図1の構成2組を直列に接続、すなわち「第1導電部材A(Tα),第2導電部材B(Tα)から成るユニット」と「第1導電部材A(Tβ),第2導電部材B(Tβ)から成るユニット」とを連結部材(配線材料等)により電気的に直列に接続した構成の場合、温度差「Tα−Tβ」が大きくなるに連れて、直列電位差電圧Vは大きくなる。この電圧Vはゼーベック効果による出力電圧に相当する。
【0037】
本発明は、前記のように異なるゼーベック係数を有する2つの導電部材を用いて成るユニット2組を連結部材で接合することにより構成され、外部電界で電流を流すペルチェ効果と、外部電界を加えずに接触電位差を直列につなげたゼーベック効果とは、それぞれ同様の物理的基礎を有する。すなわち、本発明においては、それぞれ同様の物理機構を有するペルチェ効果とゼーベック効果との二つの側面を活用したものである。
【0038】
[本実施の第1形態]
図2は、本実施の第1形態の熱電効果装置に関するものであり、2つの熱電変換素子の間隔を任意に設定することが可能な一対のペルチェ効果熱転送回路系を説明するための模式回路図である。なお、図2の各符号において、R1,R2は吸熱側と発熱側(または高温側と低温側)における導電部材の抵抗、ICは回路電流、RCは接続導電材料部分の回路抵抗、VExは外部電源電圧を示す。これら各符号においては、以下の実施の形態および実施例においても同様とする。
【0039】
図2に示すように、異なるゼーベック係数を有する第1導電部材A11と第2導電部材B12とを、熱伝導および導電性の良い材料(例えば、銅,金,白金,アルミニウム等)から成る接合部材d13を介して接合することにより第1熱電変換素子10を形成する。また、前記第1熱電変換素子10と同様に、異なるゼーベック係数を有する第1導電部材A21と第2導電部材B22とを接合部材d23を介して接合することにより第2熱電変換素子20を形成する。
【0040】
さらに、前記第1導電部材A11と第2導電部材B12とにおける接合部材d13と対向する側の面と、前記第1導電部材A21と第2導電部材B22とにおける接合部材d23と対向する側の面とを、それぞれ熱伝導および導電性の良い連結部材(例えば、銅,金,白金,アルミニウム等から成る配線材料)24を用いて接合する。そして、前記連結部材24の一部(例えば、一方の導電材料の中央部)に直流電源Exを直列接続することにより、前記接合部材13,23をそれぞれ吸熱部,発熱部とした一対のペルチェ効果熱伝達電気回路系が構成される。
【0041】
前記の連結部材24は、少なくとも前記第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20とが熱的に相互干渉を受けない程度の長さにする必要があり、理論的には数ミクロン前後の微小の長さから数百キロメートルの長さの間で種々設定することが可能である。
【0042】
このように構成された回路系は、吸熱部(すなわち、負の熱エネルギー源)と発熱部(すなわち、正の熱エネルギー源)との間を任意の距離で隔てて、それら二つの正と負の熱エネルギー源を互いに独立して利用することが可能なシステムである。
【0043】
なお、各熱電変換素子10,20間を連結部材24により接続するにあたって、各導電部材(A11,B12,B21,B22)における接合部材(d13,d23)が接触している部分以外(以下、接続部材対向部と称する)であれば、それら各導電部材に対して連結部材をそれぞれ直接接続しても良い。また、必要に応じて例えば図2に示すように導電板(例えば、銅,金,白金,アルミニウム等)d14を接続部材対向部に接続したり、さらに導電板d14に端子(例えば、銅,金,白金,アルミニウム等)d15を接続しても良い。
【0044】
ここで、図2に示したように構成された回路で、熱電変換素子10,20として一般的なπ型pn接合素子(例えば、米国MeLCOR社製のCP−249−06L,CP2−8−31−08L)を使用し、第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20との間の距離(連結部材24(銅線)の長さ)を5mmまたは2メートル隔て、外部直流電源により回路に対して電流を供給し実証実験を行なった。
【0045】
その結果、前記回路の両端に位置する第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20(すなわち、接合部材d13,d23)にてペルチェ効果による吸熱現象と発熱現象が起こり、吸熱部側である第1熱電変換素子10と発熱部側である第2熱電変換素子20とを各々独立した構成においても、ペルチェ効果が失われることなく持続されることを確認できた。また、前記の供給する電流の向きを反転させたところ、前記の両端の吸熱現象と発熱現象が反転することも確認できた。
【0046】
次に、図2の回路で第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20との間の距離を5mm隔てた場合において、外部直流電源から電流を供給したところ、図3に示すように第2熱電変換素子20の発熱部の温度(接続部材d23の温度)Tβが第1熱電変換素子10の吸熱部側に熱伝達してしまい、第1熱電変換素子10の吸熱部の温度(接続部材d13の温度)Tαが徐々に上昇したことが読み取れる。
【0047】
一方、前記の第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20との間の距離を2m隔てた場合においては、図4に示すように第2熱電変換素子20の発熱部の熱が第1熱電変換素子10の吸熱部側に熱伝達されず、第1熱電変換素子10側と第2熱電変換素子20側とにおいて熱的に相互干渉を受けなかったことが読み取れる。すなわち、外部の熱エネルギー落差に依存していることが判った。
【0048】
次に、図2の回路における第1熱電変換素子10の吸熱部の温度Tαと第2熱電変換素子20の発熱部の温度Tβとが平衡になった状態で、その第1熱電変換素子10の吸熱部を外部熱源により人為的に加熱制御して温度10℃に保った場合(加熱制御時)と人為的な加熱をしない場合(加熱前)について其々3回データを取り、外部直流電源の電流変化に対する第2熱電変換素子20の発熱部の温度変化(℃)、および温度変化量(ΔTβ(℃))を測定し、その結果を図5,図6に示した。
【0049】
なお、図5において、記号「◆」,「■」,「▲」はそれぞれ1回目,2回目,3回目の加熱制御時における測定値、記号「*」,「○」,「+」はそれぞれ1回目,2回目,3回目の加熱前における測定値、記号「●」,「−」はそれぞれ加熱前および加熱制御時における測定値の平均値を示すものとする。また、図6において、記号「*」,「●」,「■」はそれぞれ図5における1回目,2回目,3回目の加熱制御時と加熱前との温度差、記号「▲」は前記の加熱制御時および加熱前における温度差の平均値を示すものとする。
【0050】
図5に示す結果から、外部電流電源の電流が大きくなるに連れて、加熱前と加熱制御時では発熱側の温度に差が出ると共に、その温度差も大きくなったことが読み取れる。すなわち、第1熱電変換素子10側からの熱エネルギー入力に応じて、熱エネルギーの転送が行なわれていることが判った。また、図6に示すように、外部電流電源の電流が大きくなるに連れて、温度変化量ΔTβが大きくなり、熱エネルギーの転送量も増大することが判明した。
【0051】
ゆえに、図2のペルチェ効果回路は、熱エネルギー転送に関して外部の熱エネルギー入力依存性および電流依存性を有し、その電流が大きくなるに連れて転送量が大きくなることを確認できた。すなわち、熱エネルギーが回路の吸熱部側から発熱部側へ熱エネルギー転送(いわゆる、導体内自由電子を用いたヒートポンピング)されて、導体内自由電子による熱エネルギー転送が可能であることの原理実証ができたと言える。また、熱エネルギーの転送量は電流に依存し、電流が大きくなるに連れて転送量が大きくなることを確認できた。
【0052】
なお、温度依存性については、図2に示すような構成では少なくとも「吸熱部の温度Tα<発熱部の温度Tβ」の関係が維持される距離を確保することで、ペルチェ効果を得ることができるが、吸熱作用を有する熱電変換素子(以下、吸熱素子と称する;図2では第1熱電変換素子10に相当)と発熱作用を有する熱電変換素子(以下、発熱素子と称する;図2では熱電変換素子20に相当)とが熱的に相互干渉を受けない距離を確保することが好ましい。例えば、図2の連結部材24において、少なくとも第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20とが熱的に相互干渉を受けない程度の長さであれば、理論的には数ミクロン前後の微小の長さから数百キロメートル、もしくはそれ以上の長さで種々設定することが可能である。
【0053】
[本実施の第2形態]
前記の実施の第1形態における図2のペルチェ効果回路から外部直流電源EXを取り外し、その回路の両端、すなわち第1熱電変換素子10の接合部材d13と第2熱電変換素子20の接合部材d23とを、それぞれ加熱,冷却して80℃前後の温度差を付与したところ、電源EXを取り外した端子に0.2ミリボルトの起電力が発生することを確認できた。また、加熱側である第1熱電変換素子10と冷却側である第2熱電変換素子20とを各々独立した構成においても、ゼーベック効果が失われることなく持続されることを確認できた。
【0054】
図7は、本実施の第2形態に関するものであり、2つの熱電変換素子の間隔を任意に設定することが可能な一対のゼーベック効果による熱エネルギーから電気エネルギーへの直接変換回路系を説明するための模式回路図である。
【0055】
図7に示す回路系は、前記の図2と同様の回路系から直流電源を取り除き、少なくとも第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20とが熱的な相互干渉を受けないように連結部材の長さを調整(例えば、必要に応じて数ミクロン前後の微小の長さから数百キロメートルの長さに調整)し、その連結部材24の一部を切断して出力電圧端子としたものである。
【0056】
図7の回路系において第1熱電変換素子10の吸熱部(接合部材d13)および第2熱電変換素子20の吸熱部(接合部材d23)をそれぞれ異なる温度環境に配置し、それぞれの環境温度T1およびT2における温度差「T1−T2」を有限に保つことにより、異なる環境に存在する熱エネルギーをゼーベック効果によって電気ポテンシャルエネルギーに直接変換させることができ、例えば電力源として利用することができる。
【0057】
ここで、図7に示したように構成された回路系において、熱電変換素子10,20として一般的なπ型pn接合素子を使用し、第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20との間の距離(接合部材24(銅線)の長さ)を2メートル隔て、連結部材24の一部(例えば、一方の連結部材の中央部)を切断し、その切断部にてゼーベック効果による電圧出力を電圧測定器で測定しながら、前記回路系の両端に位置する吸熱部(第1熱電変換素子10の接合部材d13)と発熱部(第2熱電変換素子20の接合部材d23)とを、それぞれ外部から加熱および冷却したところ、プラスとマイナスの出力電圧が測定できた。また、前記の発熱部を加熱し吸熱部を冷却させたところ、出力電圧のプラスとマイナスが反転することを確認できた。
【0058】
なお、ゼーベック効果は温度差を電気ポテンシャルエネルギーに直接変換させるものであるため、例えば図7に示す構成では少なくとも「T1>T2」の関係が維持される距離を確保することにより、その効果を得ることができるが、少なくとも第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20とが熱的に相互干渉を受けない距離を確保することが好ましい。例えば、前記の連結部材24において、少なくとも前記第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20とが熱的に相互干渉を受けない程度の長さであれば、理論的には数ミクロン前後の微小の長さから数百キロメートル、もしくはそれ以上の長さで種々設定することが可能である。
【0059】
以上示した第1,第2形態のように、ペルチェ効果素子とゼーベック効果素子を構成する導電部材を熱伝導の良い連結部材で任意の距離だけ分離するという考えは、従来において全く考慮された事例は無い。このような構成における熱エネルギーの転送は、前記において詳細に説明した電子的断熱現象と、熱伝導の良い連結部材内を電磁波の速度で伝わる電流によって、たとえ前記回路系の吸熱部側と発熱部側との間が遠距離であっても、瞬時に転送されるという物理機構を原理とする。
【0060】
この熱エネルギーの転送のメカニズムは、導体(例えば連結部材)内自由電子群が自ら運ぶのではなく、その電子群が隣接する電子群を電磁的に推し動かす際の僅かな移動によって、電子群の移動が導体内を電磁波の速さで伝わることにより熱エネルギーが転送されているものと推測される。物理的には、回路系における発熱と吸熱は、各場所で互いに独立に起こるが、構成している電気回路系内の電流連続の法則により、同じ量の電流Iが流れる吸熱部および発熱部での吸熱および発熱のエネルギーは、結果的に同一量(略同一量)になり、エネルギー保存則が成立している。
【0061】
[本実施の第3形態]
本実施の第3形態では、まず前記した本発明の基本的な技術思想に基づいて、前記本発明の目的を達成するための具体的な構成(例えば、本実施の第1,第2形態で示した構成の具体例)を説明する。
【0062】
図8は、本実施の第3形態における熱電効果装置(例えば、第1形態の熱電効果装置)を用いたエネルギー直接変換システムを説明するための自己駆動熱転送システムの模式回路図である。なお、図8中(および後述の図10〜図16)のVSは電圧出力、RC1,RC2は回路抵抗、ICは回路電流を示す。また、符号30は、図7の第1熱電変換素子10,第2熱電変換素子20と同様の熱電変換素子を示すものである。さらに、Isは熱伝導性が良好でかつ絶縁性を有する絶縁材(例えば、シリコーンオイル,表面をアルマイト加工した金属,絶縁シート等)を示すものである。さらにまた、各熱電変換素子の接合部材対向部に設けられる導電板,端子等は、前記の第1,第2形態と同様であるため図示省略する。このシステムは、以下の(1)〜(3)の構成および操作手順で動作させる。
【0063】
(1)まず、前記の第1,第2形態と同様に、第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20とを所定距離隔てて異なる温度環境下(T1,T2)に配置すると共に、前記熱電変換素子10における第1導電部材A11,第2導電部材B12の各接合部材対向部と、前記熱電変換素子20における第1導電部材A21,第2導電部材B22の各接合部材対向部とを、それぞれ熱伝導の良い連結部材(例えば、銅,金,白金,アルミニウム等から成る配線材料)24aを用いて接合する。そして、前記連結部材24aの一部に外部直流電源Ex,スイッチSW1を接続することにより、前記図2の接合部材d13,d23をそれぞれ吸熱部,発熱部にした一対のペルチェ効果熱伝達電気回路系から成る熱エネルギー転送部G1が構成される。
【0064】
前記の連結部材24aは、少なくとも前記第1熱電変換素子10と第2熱電変換素子20とが熱的に相互干渉を受けない程度の長さにする必要があり、理論的には数ミクロン前後の微小の長さから数百キロメートル、もしくはそれ以上の長さの間で種々設定することが可能である。
【0065】
前記熱エネルギー転送部G1のスイッチSW1をオンにし外部直流電源EXを駆動することにより、その熱エネルギー転送部G1のペルチェ効果回路系における任意の距離の間で、熱源側(温度T1の熱源側)から電力発生部G2(後述する熱電変換素子30を2m個(mは自然数;図8中では2個)用いて成る電力発生部G2)方向に対して熱エネルギーを転送する。なお、図8中では熱源と熱エネルギー転送部G1との間には絶縁材Isを介在させた。
【0066】
(2)前記熱エネルギー転送部G1の発熱側には、ゼーベック効果を利用した電力発生部G2が絶縁材Isを介して配置される。この電力発生部G2は、そのゼーベック効果による出力電圧を上げるために、それぞれ異なるゼーベック係数の第1導電部材A31と第2導電部材B32とを接合部材d33で接合して成る熱電変換素子30を2n個(nは自然数;図8中では6個)用い、それら各熱電変換素子30を連結部材24bにより多段に直列接続すると共に、各熱電変換素子30のうち吸熱素子30aを高温側に配置(図8中では3個配置)し発熱素子30bを低温側に配置(図8中では3個配置)して構成する。前記の連結部材24bのうち一部にはスイッチSW2が接続される。
【0067】
そして、スイッチSW2をオンにし、前記電力発生部G2における吸熱素子30aの吸熱部(吸熱素子30aの接合部材d33)の環境温度を、絶縁材Isを介して転送された熱エネルギーにより温度T2に加熱し、発熱素子30bの発熱部(発熱素子30bの接合部材d33)を環境温度、もしくは環境温度を必要に応じて空冷または水冷することによって温度T3にし「T2>T3」の状態を保つことにより、電力発生部G2にて電気ポテンシャルエネルギーが発生する。なお、図8のように、電力発生部G2において2n個の熱電変換素子を用いた場合、その電力発生部G2にはn個のペルチェ効果回路が構成されることになり、熱エネルギー転送部G1の発熱側(接合部材d23)の熱エネルギーはIsを介して電力発生部G2の吸熱側(吸熱素子30aの接合部材d33)へ吸収され、更に電力発生部G2の発熱側(吸熱素子30bの接合部材d33)へ転送される。
【0068】
(3)前記電力発生部G2で発生した出力電圧(電気ポテンシャルエネルギー)が熱エネルギー転送部G1へ正帰還するように、熱エネルギー転送部G1(連結部材24aの一部)と電力発生部G2(連結部材24bの一部)とを連結部材24cにより接続して電力帰還部G3を構成する。前記の連結部材24cの一部には、スイッチSW3が接続される。
【0069】
そして、スイッチSW2とスイッチSW3をオンにし、スイッチSW1をオフにして外部直流電源を切り離すことにより、電力発生部G2で発生した出力電圧が電力帰還部G3によって熱エネルギー転送部G1へ正帰還され、熱エネルギー転送部G1でのペルチェ効果を使った回路系に対し電流が流れ続けると共に、その熱エネルギー転送部G1による熱エネルギー転送も持続される。即ち、最終的にG1の熱源の熱エネルギーをエネルギー源として、熱源の熱エネルギーが利用できるかぎり、この回路システムは駆動し続ける事になる。
【0070】
なお、図8に示した回路系は、熱力学的には開放系で動作するシステムであり、「独立した閉鎖系でのみ成立するエントロピー増大の法則」をこのシステムには適用できず、この回路システムは決して永久機関のような科学的に不可能な系ではないことに留意すべきである。
また、図8の回路の電力発生部G2におけるゼーベック効果を調べるために、T2とT3との温度差「T2−T3」に対する起電力を測定したところ、図9に示すように「T2−T3」が大きくなるに連れて得られる起電力は大きくなることが確認できた。すなわち、図8のような回路によれば、T2とT3との温度差を保つことにより、ゼーベック効果による起電力が効率良く発生し維持できることが確認できた。この実験は図7を用いても、図9の実験結果を得ることが出来る。
【0071】
[本実施の第4形態]
図10は、本実施の第4形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図であり、図8の回路系を更に改良した自己駆動熱転送システムの模式回路図である。この改良システムは、以下の(1)〜(4)の構成および操作手順で動作させる。なお、図8に示したものと同様のものには同一符号を用い、その詳細な説明を省略する。
(1)図8に示した回路系で、熱電変換素子10,20間に接続されスイッチSW1と外部直流電源Exを取り外し、スイッチSW3を備えた連結部材24cを熱電変換素子10の導電部材A11に接続することにより、電力帰還部G3を構成する。図10中の電力発生部G2においては、必要に応じて木材などの燃焼または小型加熱器等の補助加熱器50により、ゼーベック回路系の高温側(図10中では吸熱素子30aの接合部材d33)の温度をT3に加熱し、その電力発生部G2の低温側(図10中では吸熱素子30bの接合部材d33)は環境温度、もしくはその環境温度を空冷または水冷(冷却装置等の外部冷却)して温度T4にし、「T3>T4」の状態を保ち、ペルチエ効果熱転送部を電気駆動するのに十分なゼーベック起電圧が出るようにする。すなわち、エネルギー直接変換システムの使用開始時(初期段階)に、電力発生部G2において各吸熱素子の一つ以上を外部加熱または各発熱素子の一つ以上を外部冷却し、その吸熱素子側と発熱素子側との間で環境の温度差を生じさせ、そのゼーベック回路系でゼーベック効果が得られるようにする(請求項3での起動部(複数個の起動部)を構成する)。
(2)電力帰還部G3のスイッチSW3をオンにすることにより、ゼーベッ ク効果による電力発生部G2で発生した出力電圧が熱エネルギー転送部G1のペルチェ効果熱伝達系に正帰還する。
(3)前記(1)の正帰還により、熱エネルギー転送部G1のペルチェ効果熱転送回路に電流が流れて熱エネルギーが転送され、その熱エネルギーにより温度T2が上昇(図8中では熱エネルギー転送部G1における第2熱電変換素子20の接合部材が温度T2に上昇)する。そして、T2とT3がほぼ同等の温度になった後、補助加熱器50による外部加熱をオフにする。
(4)図10の回路系は、初期に投入するエネルギーを局所的(図10中では吸熱素子30aの接合部材d33)に加えることによって、例えば図8のような回路系が初期にペルチェ効果熱エネルギー転送回路内でジュール熱損失として消費するエネルギーと比較して、小さく抑えることができる。特に、ペルチェ効果による熱エネルギー転送回路の熱エネルギー転送距離が数十キロから数百キロメートル、もしくはそれ以上の長さの大規模なシステムである場合において、顕著な効果を発揮する。
【0072】
[本実施の第5形態]
図11は、本実施の第5形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図であり、図8と同様の外部直流電源を更に改良した自己駆動熱転送システムの模式回路図である。
【0073】
すなわち、図8のように外部直流電源Exを使用した場合の回路系において、熱電変換素子30を複数個多段に直列接続して構成されたゼーベック効果による電力発生部G2の出力電圧の出力端子に、正帰還回路部(すなわち電力帰還部G3)と並列に負荷回路61を設けて電気分解部G4を構成したものである。前記負荷回路61の具体例としては、例えば水の電気分解により電気ポテンシャルエネルギーから水素ガス(H2)と酸素ガス(O2)の化学ポテンシャルエネルギーへ変換する電気分解装置が挙げられる。
【0074】
なお、図中の符号において、ILは負荷電流、RLは負荷抵抗であり、後述の実施の形態および実施例でも同様である。また、前記負荷回路61として用いられた電気分解装置は、一般的に市販されているもの等を用いることができる。さらに、熱エネルギー転送部G1と電力発生部G2の構成は図8と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0075】
本実施の第5形態においては、電力発生部G2で発生した電気ポテンシャルエネルギーを、電気分解部G4に設置した例えば水を電気分解する装置により、水素ガス(H2)と酸素ガス(O2)の化学ポテンシャルエネルギーに変換して利用することができる。また、電気ポテンシャルエネルギーから化学ポテンシャルエネルギーに変換することにより、加圧・圧縮・貯蔵・蓄積・搬送が容易なエネルギーを確保することができる。
【0076】
さらに、化学ポテンシャルエネルギーを、電力帰還部G3を介して熱エネルギー転送部G1や電力発生部G2へ正帰還させることにより、それら熱エネルギー転送部G1や電力発生部G2におけるペルチェ効果やゼーベック効果を使った回路系に対して電流を流し続けると同時に、その熱エネルギー転送部G1による熱エネルギー転送や電力発生部G2による電力発生を持続させることができる。
【0077】
[本実施の第6形態]
図12は、本実施の第6形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図であり、図10,図11のシステムを改良した自己駆動熱転送システムに負荷回路の具体例として、水を電気分解する電気分解部G4を設置している。
【0078】
図12の回路システムは、図10で説明したシステムに化学ポテンシャルエネルギーを利用する電気分解部G4を設置したものである。すなわち、転送した熱エネルギーの利用,電力の利用,および電解液や水の電気分解等による化学ポテンシャルエネルギーを、それぞれ共に利用する場合において有効な自己駆動熱転送システムである。
【0079】
この図12の改良した自己駆動熱転送システムを、例えば日本のみならず世界中の各地域や地方に設置すれば、そのシステムで得られるエネルギーにより各地域や地方の経済や食糧生産を活性化すると同時に、地球温暖化の軽減と環境破壊を抑えることが現実に実行できることは、例えば約21億人に膨れ上がった人類や他の生物を支えるために、極めて有用であることは明らかである。
【0080】
[本実施の第7形態]
図13は、本実施の第7形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。このシステムは、ペルチェ効果熱エネルギー転送回路を用いずに、熱源からの熱エネルギーを、熱電変換素子30を複数個多段に直列接続して構成された回路でゼーベック効果による熱エネルギー直接電力変換部G5により電気ポテンシャルエネルギーへ直接変換し、その出力電圧端に負荷回路の具体例として例えば水の電気分解などによる化学ポテンシャルエネルギーに変換する水の電気分解部G4を設置したものである。
【0081】
前記熱エネルギー直接電力変換部G5に用いられる熱電変換素子30は、電力発生部G2と同様に、各熱電変換素子30を連結部材24により多段に直列接続すると共に、各熱電変換素子30のうち吸熱素子30aを高温側に配置(図8中では3個配置)し発熱素子30bを低温側に配置(図8中では3個配置)する。
【0082】
本実施の第7形態の構成によれば、自己駆動運転が可能な直接変換回路システムにより、熱エネルギーから電気ポテンシャルエネルギー及び化学ポテンシャルエネルギーを得ることができる。
【0083】
[本実施の第8形態]
図14は、本実施の第8形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。このシステムは図2に示す回路系を更に改良し、ペルチェ効果熱エネルギー転送回路(熱エネルギー転送部G1に相当)を複数個構成したものである。
【0084】
まず吸熱素子である熱電変換素子10を複数個それぞれ異なる温度環境下に配置(図14中では5個の熱電変換素子10を温度T1a〜T1eの環境に配置)すると共に、発熱素子である熱電変換素子20を複数個それぞれ異なる温度環境下に配置(図14中では2個の熱電変換素子20を温度T2a,T2bの環境に配置)する。なお、前記熱電変換素子10の環境温度は、それぞれ熱電変換素子20の環境温度よりも高いものとする。
【0085】
そして、前記の各熱電変換素子10における第1導電部材A11,第2導電部材B12の接合部材対向部を、各熱電変換素子20のうち何れか一つ以上の第1導電部材A21,第2導電部材B22の接合部材対向部に対して、それぞれ連結部材24により接続する。また、前記の各連結部材のうち何れか1箇所以上(図14中では2箇所)に直流電源を接続する。
【0086】
これにより、ペルチェ効果が失われることなく持続することが可能な回路システムを構成することができ、それぞれ異なる温度の複数の環境から他の複数の環境に対して、それぞれ熱エネルギー転送することが可能となる。
【0087】
[本実施の第9形態]
図15は、本実施の第9形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。このシステムは図7の回路系を更に改良し、異なる環境に存在する熱エネルギーをゼーベック効果により電気ポテンシャルエネルギーに直接変換するものである。
【0088】
まず、吸熱素子である熱電変換素子10を複数個それぞれ異なる温度環境下(図15中では温度T1a〜T1c)に配置(図15中では3個の熱電変換素子10を温度T1a〜T1cの環境に配置)すると共に、発熱素子である熱電変換素子20を複数個それぞれ異なる温度環境下に配置(図14中では2個の熱電変換素子20を温度T2a,T2bの環境に配置)する。なお、前記熱電変換素子10の環境温度は、それぞれ熱電変換素子20の環境温度よりも高いものとする(図15中では例えば「T2a<T1a>T2b<T1b>T2c<T1c>T2d」とする)。
【0089】
そして、前記の各熱電変換素子10における第1導電部材A11,第2導電部材B12の接合部材対向部を、各熱電変換素子20のうち何れかの第1導電部材A21,第2導電部材B22の接合部材対向部に対して、それぞれ連結部材24により接続することにより、前記の各熱電変換素子10,20を直列接続する。また、前記の各連結部材のうち何れかの一部を切断して出力電圧端子(符号VOUT)とする。
【0090】
これにより、それぞれ異なる温度の複数の環境に存在する熱エネルギーをゼーベック効果により電気ポテンシャルエネルギーに直接変換させることができ、出力電圧端子を介し電力源として利用することが可能となる。
【0091】
[本実施の第10形態]
図16は、本実施の第10形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。このシステムは図12に示す回路系を更に改良して、ペルチェ効果熱エネルギー転送回路によって転送された複数の環境の熱エネルギーを利用し、ゼーベック効果により電気ポテンシャルエネルギー,化学ポテンシャルエネルギーを得るものである。
【0092】
まず、複数個の熱電変換素子10,20から成るペルチェ効果熱エネルギー転送回路(すなわち、熱エネルギー転送部G1に相当)の各熱電変換素子20側に対して、それぞれ複数個の吸熱素子30aを配置(図16中では各熱電変換素子20側(温度T3a,T3b)に対して1個の吸熱素子を配置)すると共に、それら吸熱素子30aの環境よりも低い温度(温度T4)環境下に対して複数個の発熱素子を配置(図16中では1個配置)する。
【0093】
そして、前記の各吸熱素子30aにおける第1導電部材A11,第2導電部材B12の接合部材対向部を、各発熱素子30bのうち何れか一つ以上(図16中では1個)の第1導電部材A21,第2導電部材B22の接合部材対向部に対しそれぞれ連結部材24を介して接続することにより、ゼーベック効果による電力発生部G2を構成する。また、前記電力発生部G2の出力電圧が、熱エネルギー転送部G1のペルチェ効果熱伝達系に正帰還するように電力帰還部G3(図示省略)を構成する。さらに、前記電力発生部G2の出力電圧の出力端子に対し、電力帰還部G3と並列に負荷回路61を設けて電気分解部G4を構成する。
【0094】
これにより、それぞれ異なる温度の複数の環境から転送された熱エネルギー転送により、電気ポテンシャルエネルギー,化学ポテンシャルエネルギーを得ることができると共に、それら電気ポテンシャルエネルギー,化学ポテンシャルエネルギーをペルチェ効果熱エネルギー転送回路に正帰還させることにより、ペルチェ効果が失われること無く維持することが可能となる。
【0095】
なお、前記の図2,図7,図8,図10〜図16で説明した構成の各回路系により、吸熱部および発熱部(あるいは加熱部と冷却部)を互いに所定距離を隔てて配置でき、熱エネルギーあるいは電気ポテンシャルエネルギーを、短距離(例えば、数ミクロン前後)から遠距離(例えば、数百キロメートル)まで転送が可能となる。すなわち、無尽蔵に存在する自然界の熱エネルギーを再利用可能で無公害かつ循環型のエネルギー源獲得システムを構築することができる。
【0096】
また、図14,図16のように、複数個のペルチェ効果回路がそれぞれ並列(少なくとも2つのペルチェ効果回路が互いに並列)となるように連結部材を接続してエネルギー直接変換システムを構成することにより、例えば前記連結部材のうち何れか1個所以上で断線等の不具合が生じた場合(例えば図16では符号Xで断線故障が生じた場合)でも、その不具合が生じたペルチェ効果回路と並列関係にあるペルチェ効果回路(不具合の無いペルチェ効果回路;例えば図16では、温度T1a〜T1c,T1eの環境の熱エネルギーを転送するペルチェ効果回路)により熱エネルギー転送を持続でき、電気ポテンシャルエネルギー等を安定して得ることができる。
【0097】
さらに、前記の各実施の形態で示した熱電変換素子を構成する導電部材としては、低温(例えば室温)領域熱電材料として例えばBi2Te3,Bi2Se3,Sb2Te3等の固溶体などが知られており、温度1000Kを超える高温領域熱電材料としては例えばSiGe系の合金の他にCe3Te4,La3Te4,Nd3Te4系等が知られており、中温領域熱電材料として例えばPbTe,AgSbTe−GeTe系多元化合物系化合物,Mg2Ge−Mg2Si系が知られており、熱電変換素子の使用環境の温度等を考慮して任意の導電部材を選択することが好ましい。
【0098】
加えて、対を成して熱電変換素子を構成するp型,n型の各導電部材もまた、同一の材料を用いても良く、異なる材料を用いても良く、熱電変換素子の使用環境の温度等に応じて任意の組み合わせを選択することができる。
【0099】
次に、前記実施の第1〜第10形態における熱電変換装置および循環型のエネルギー源獲得システムである熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムにおいて、より具体的な実施例について説明する。
【0100】
[第1実施例]
図17は、実施規模の大きい本発明の第1実施例の説明図であり、社会エネルギー供給インフラの具体例である。
【0101】
図17において、符号101aは、ペルチェ効果熱伝達回路系(または、複数個のペルチェ効果熱伝達回路系)の熱電効果装置における吸熱側の熱電変換素子群(例えば、図14では各第1熱電変換素子10(特に、第1熱電変換素子10の接合部材d13側)に相当)、符号101bは前記の吸熱側の熱変換素子群101aから所定距離を隔てて配置される発熱側の熱電変換素子群(例えば、図14では各第2熱電変換素子20(特に、第2熱電変換素子20の接合部材d23側)に相当)を示すものである。なお、T11,T12,T2はそれぞれ地域α(海水,河川等),地域β,地域γの温度を示すものであり、T11,T12はそれぞれT2よりも高い温度とする。このように構成されたペルチェ効果熱伝達回路系は、以下の(1)〜(6)に示すように実施される。
【0102】
(1)水面下10メートル前後の海水は、安定した温度(一定の温度)で絶えず流動しているため、年間を通して安定した熱エネルギー源となる。この海水中の安定した熱エネルギーを、図17に示すペルチェ効果熱伝達回路系により、吸熱側である熱電変換素子群101aから発熱側である熱電変換素子群101bに対して転送(長距離エネルギー転送)する。
【0103】
前記の発熱側の熱電変換素子群101bに対してゼーベック効果素子群(図示省略;図16中では各吸熱素子30aに相当)を密着させ、前記の長距離転送された熱エネルギーをゼーベック効果により電気ポテンシャルエネルギーにエネルギー変換(例えば、実施の第2〜第5,第7,第9,第10形態のようにゼーベック効果により電気ポテンシャルエネルギーにエネルギー変換)させることによって、例えば年間を通して安定した電力発電を行うことが可能となる。すなわち、自然エネルギー(転送された熱エネルギー)を利用する無公害の発電所等のインフラ設備を日本中各地に構築することが可能となる。
【0104】
(2)前記(1)のように吸熱側の熱電変換素子群101aを海水中に配置する替わりに、その熱電変換素子群101aを河川の水中に配置し、その河川の水中に存在する熱エネルギーを(1)と同様の手段(長距離エネルギー転送と同様の手段)により発熱側である熱電変換装置101bに対して中距離エネルギー転送を行い、その熱電変換素子群101bにゼーベック効果素子群を密着させて、熱エネルギーから電気ポテンシャルエネルギーへのエネルギー変換を行うことにより、前記の(1)と同様に自然エネルギーを利用する無公害の発電所等のインフラ設備を日本中各地に構築することが可能となる。
【0105】
(3)前記(1),(2)のように吸熱側の熱電変換素子群101aを海水中や河川の水中に配置する替わりに、その熱電変換素子群101aを陸上(図17中では地域γ)に配置し地熱,温泉排水等の熱エネルギーや太陽光からの直接熱エネルギーを利用することによっても、前記の(1),(2)と同様に自然エネルギーを利用する無公害の発電所等のインフラ設備を日本中各地に構築することが可能となる。
【0106】
(4)前記(1)〜(3)の各地で得られた電力(発電所等のインフラ設備による電力)を利用して、例えば前記の実施の第5〜第7,第10形態に基づいて水の電気分解を行うことにより、電気ポテンシャルエネルギーから水素ガスと酸素ガスの化学ポテンシャルエネルギーへエネルギー変換を行うことができる。
【0107】
化学ポテンシャルエネルギーによって蓄えられた前記の水素ガスと酸素ガスを、それぞれ加圧圧縮してボンベ等に貯蔵することにより搬送が容易となり、その化学ポテンシャルエネルギー源を各地に供給および蓄えることができる。この水素と酸素を再び反応させて、動力エネルギーや推進エネルギー変換を行ったり、水素電池等に利用することにより、目的に応じたエネルギーとして活用することが可能となる。
【0108】
(5)前記(4)の水素と酸素の化学ポテンシャルエネルギーを活用した際に発生する廃棄物(生成物)は、水であることから、公害としての環境負荷はほぼ皆無である。
【0109】
(6)前記(1)から(5)で利用した環境からのエネルギー源は、太陽から地球上へ注がれた太陽光が熱エネルギーに変換されたものの一部であり、やがて放射エネルギーとして地球外へ放出される。上記の実施形態例は、太陽から得られるエネルギーの流れの一部を利用した「循環型で持続可能なエネルギー活用」である。
【0110】
[第2実施例]
図18は、実施規模が中程度である本発明の第2実施例の説明図であり、例えば家屋におけるエネルギー供給システムの具体例である。図18において、符号102aはペルチェ効果熱伝達回路系(または、複数個のペルチェ効果熱伝達回路系)の熱電効果装置の吸熱側の熱電変換素子群、符号102bは前記の吸熱側の熱変換素子群102aから所定距離を隔てて配置される発熱側の熱電変換素子群、符号103は太陽光を吸収し易い物質(以下、吸光物質と称する;例えば、黒色の物質)、符号104は照明器具等の電気機器を示すものであり、以下の(1)〜(4)に示すように実施される。
【0111】
(1)家屋の屋根等に用いられている一般的な太陽光発電素子は、太陽光エネルギーの大部分を反射してしまうため、そのエネルギーを有効に活用できない要素を有する。そこで、前記の太陽光発電素子を家屋の屋根等に張り詰めるて、更に太陽光発電素子両面に密着させて薄い吸光物質103を敷き詰め、その吸光物質103に対して吸熱側の熱電変換素子群102aを配置する。
【0112】
これによって、吸光物質103により黒体エネルギー吸収をさせて、太陽光エネルギーの大部分を熱エネルギーに変換させる。そして、図18に示すようにペルチェ効果熱伝達回路系により、前記の変換により得られた熱エネルギーを吸熱側の熱電変換素子群102aで吸熱し、その熱電変換素子群101aから発熱側である熱電変換素子群101bに対して転送(中小距離エネルギー転送)する。この転送された熱エネルギーは、目的に応じて、暖房器具や加熱機器類として利用できる。本実施例においては、大きな外部電力を必要とせず、太陽光から得られたエネルギーを目的に応じて熱エネルギーとし、その熱エネルギーを各種形態で利用できることが重要な要点である。太陽光発電と一緒にこの新しいシステムを導入すれば、入射太陽エネルギーに対する変換したエネルギー利用効率は、太陽光発電素子だけよりも格段に大きくなる。
【0113】
(2)図18に示した実施例は昼間における熱エネルギー利用であり、屋内よりも屋外の温度が高いことを想定しているが、例えば夜間においては前記の温度関係において逆転現象が起こる場合がある。そのため、例えば図18のエネルギー供給システムにおいてスイッチング素子(図示省略)を構成し、その屋内と屋外との温度変化を感知するセンサー(図示省略)によって、または居住者の意志等に応じて前記スイッチング素子を動作させて、そのエネルギー供給システムにおける吸熱側および発熱側を切り替えることにより、所望の熱エネルギー変換(例えば、屋内の熱を屋外へ排熱)を行うことが可能となる。
【0114】
したがって、図18に示すペルチェ効果熱伝達回路系において、電流の向きを逆にすることにより、例えば回路部品の交換等を行うことなく熱電変換素子群102a,102bをそれぞれペルチェ効果熱伝達回路系の発熱側、吸熱側とすること(ペルチェ効果熱伝達回路系において吸熱側,発熱側を切り替え)ができることから、大きな外部電力を必要としない冷房器や製氷機を構成することができる(本発明の改良型ペルチェ効果熱転送システムを用いると、例えばエアコン装置システムを外部電力なしに構成できる可能性がある)。
【0115】
(3)前記の(1)(または(2))のように熱エネルギーが転送された発熱側の熱電変換素子群102a(または102b)に対してゼーベック効果素子群(図示省略;図16中では各吸熱素子30aに相当)を密着させることにより、前記の転送された熱エネルギーをゼーベック効果により電気ポテンシャルエネルギーにエネルギー変換(例えば、実施の第2〜第5,第7,第9,第10形態のようにゼーベック効果により電気ポテンシャルエネルギーにエネルギー変換)させることによって、例えば中規模発電機を各地域や家庭に構築することが可能となる。
【0116】
(4)前記(3)の中規模発電機を利用し、例えば前記の実施の第5〜第7,第10形態に基づいて水の電気分解を行うことにより、電気ポテンシャルエネルギーから水素ガスと酸素ガスの化学ポテンシャルエネルギーへエネルギー変換を行うことができるため、第1実施例と同様に、目的に応じて化学エネルギーを活用するシステムを各地域や家庭に設置することが可能となる。
【0117】
[第3実施例]
例えば生活環境の周りの空気は、絶対零度ケルビンでなければ必ず何らかの熱エネルギーを持っている。この生活環境の空気の持つ熱エネルギーを利用、すなわち小規模な実施例として記述すれば次のとおりである。
【0118】
(1)ペルチェ効果熱伝達回路系(または複数のペルチェ効果熱伝達回路系)における吸熱側の熱電変換素子(または素子群)と発熱側の熱電変換素子(または素子群)とを、それぞれ必要に応じた距離(吸熱側ペルチェ効果素子群と発熱側ペルチェ効果素子群とが熱的に相互干渉を受けない距離)を隔てて配置する。このペルチェ効果熱伝達回路系における2つの素子群は、それぞれ独立して利用目的に応じた使用が可能であるため、例えば前記の実施の第1形態に基づいて冷却側を室内用エアコンや冷蔵庫または冷凍庫内に配置し、発熱側を温水器やポットや料理加熱装置に配置することによって、大きな外部電力を利用しなくとも、家庭内においてそれぞれ一対の形態で冷房(冷却)と加熱機器とを同時に利用することができる(この場合においても、改良型ペルチェ効果熱転送システムを用いた場合には、外部電力を利用しなくとも、冷却と加熱が一対になっている家庭内の各種機器を使うことができる)。
【0119】
(2)更に、前記のエネルギー効果熱伝達回路系を小型化して、持ち運び可能な携帯型にすることにより、例えば屋内及び屋外やキャンプ場などにおいて、小型冷蔵庫とポットや加熱料理器具などの、冷却と加熱が一対になっている各種機器を製作することができる。
【0120】
(3)大型,中型,小型のコンピュータやパーソナルコンピュータ類、小型電源器機類、固体,液体,気体内の不要な熱除去法と、除去熱の利用法についての具体例としては下記のとおりである。
【0121】
例えば、一般的なコンピュータ類の内部では、中央演算処理(CPU)素子が動作時の器機内の大きな発熱源になっている。このCPU素子の熱を除去する為に、現在はペルチェ効果素子を用いた厚さ約1cm以内の冷却用サーモ・モジュールが使われ、そのペルチェ効果素子の吸熱側をCPU素子に密着させると共に、その発熱側に放熱板と熱除去用小型扇風機(小型ファン)を取り付けて強制廃熱を行っているため、電力の無駄,ファンによる気流騒音,雑音が避けられない問題がある。
【0122】
一方、本発明を利用すれば、ペルチェ効果熱伝達回路系の吸熱側と発熱側との間を、熱伝導の良い連結部材によりコンピュータの大きさに応じて例えば十数センチから数メートル隔離して、吸熱側をCPU素子に密着させ発熱側を表面積の大きいコンピュータボックスや外部の放熱金属体に密着または温水器に取り付けることによって、騒音,雑音の出ない熱除去と省電力化を同時に図ることができる。
【0123】
また、本発明において、改良型ペルチェ効果熱転送システムを用い外部電力の必要としない回路系によれば、コンピュータの他に小型電源機器類や、固体,液体,気体内の不要な熱除去と除去熱の利用のための小型機器を製品化することが可能となる。
【0124】
本発明のその他の応用例として、次のようなものがある。液体の場合は、例えば冷たい飲み物と暖かい飲み物とを両方共販売する自動販売機において、ペルチェ効果熱伝達回路系の吸熱側を冷たい飲み物側に位置させ、そのペルチェ効果熱伝達回路系の発熱側を温かい飲み物側に位置させることによって、外部電力の消費量を極端に減らすことができる販売機や、改良型ペルチェ効果熱転送システムを用いた外部電力の要らない自動販売機を開発することが可能となる。
【0125】
また、気体の場合は、魚屋の鮮魚陳列器や肉屋の肉の冷凍庫等に対応させて加熱機器類を一対にすることにより、冷却,保存と加熱,保温とが一対になった構成で、循環型の低エネルギーかつ無公害の機器が具現化できる。
【0126】
以上示した本発明による改良型ペルチェ効果熱転送システムを利用した全ての実施例は、「化石燃料などの燃料や外部電力を使う必要が無く、自然界にある熱エネルギーを基にした熱エネルギー転送と、各種タイプのエネルギー変換を行う開放型のエネルギーリサイクルシステム」であり、「地球温暖化を軽減し、且つ、公害を伴うような環境負荷の殆ど無いシステム」を提供することができる。
【0127】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0128】
【発明の効果】
以上示したように本発明によれば、例えば化石燃料等を使うことなく、自然界にある熱エネルギーを有効に利用し、かつこれを再利用し、またこの熱エネルギーを電気エネルギーに変換して電力として利用したり、さらに、化学エネルギーに変換する事により、開放型のエネルギーリサイクル系を構築できるものであるため、地球温暖化を軽減し、且つ、公害を伴うような環境負荷が殆ど無いエネルギー直接変換系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ペルチェ効果とゼーベック効果の物理構築の原理をエネルギーバンドで説明する模式図である。
【図2】本実施の第1形態における任意の間隔を開けることのできる一対のペルチェ効果熱転送回路系を説明する模式図である。
【図3】ペルチェ効果における時間変化に対する温度変化特性図。
【図4】ペルチェ効果における時間変化に対する温度変化特性図。
【図5】電流変化に対する温度変化特性図。
【図6】電流変化に対する温度変化量特性図。
【図7】本実施の第2形態における任意の間隔を開けることのできる一対のゼーベック効果による熱エネルギーから電気エネルギーに変換する回路系を説明する模式図である。
【図8】 本実施の第3形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。
【図9】温度差変化に対する起電力特性図。
【図10】本実施の第4形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。
【図11】本実施の第5形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。
【図12】本実施の第6形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。
【図13】本実施の第7形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。
【図14】本実施の第8形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。
【図15】本実施の第9形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。
【図16】本実施の第10形態における熱電効果装置を用いたエネルギー直接変換システムを説明する自己駆動熱転送システムの模式回路図である。
【図17】第1実施例の熱電変換装置,エネルギー直接変換システムの概略説明図。
【図18】第2実施例の熱電変換装置,エネルギー直接変換システムの概略説明図。
【符号の説明】
A11,A21…第1導電部材
B12,B22…第2導電部材
10,20,30…熱電変換素子

Claims (8)

  1. 異なるゼーベック係数を有する第1導電部材と第2導電部材とを接合部材により接合して成る熱電変換素子を複数個備え、
    前記の各熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部を、その残りの熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部に対してそれぞれ連結部材により電気的に直列接続し、前記の各連結部材のうち少なくとも一つ以上に直流電源を直列接続することにより、前記の各熱電変換素子から成るペルチェ効果熱伝達回路系を構成し、
    前記ペルチェ効果熱伝達回路系の各吸熱部と各発熱部との間を、それぞれ吸熱部の温度Tαと発熱部の温度TβとがTα<Tβの関係を維持できる距離を確保したことを特徴とする熱電効果装置。
  2. 異なるゼーベック係数を有する第1導電部材と第2導電部材とを接合部材により接合して成る熱電変換素子を複数個備え、それら各熱電変換素子を少なくとも2つ以上の異なる温度環境下にそれぞれ配置すると共に、
    前記の各熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部を、その残りの熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部に対してそれぞれ連結部材により電気的に直列接続し、高温環境下に配置された熱電変換素子の温度T1と低温環境下に配置された熱電変換素子の温度T2とがT1>T2の関係を維持できる距離を確保して、
    前記の各連結部材のうち一つ以上における任意の箇所から電気ポテンシャルエネルギーを取り出すことにより、熱エネルギーから電気ポテンシャルエネルギーへ変換することが可能な直接エネルギー変換電気回路系を構成したことを特徴とするエネルギー直接変換システム。
  3. 異なるゼーベック係数を有する第1導電部材と第2導電部材とを接合部材により接合して成る熱電変換素子を複数個備え、それら各熱電変換素子を少なくとも2つ以上の異なる温度環境下にそれぞれ配置すると共に、
    前記の各熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部を、その残りの熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部に対してそれぞれ連結部材により電気的に直列接続し、高温環境下に配置された熱電変換素子の温度T1と低温環境下に配置された熱電変換素子の温度T2とがT1>T2の関係を維持できる距離を確保して、
    前記の各連結部材のうち一つ以上における任意の箇所から電気ポテンシャルエネルギーを取り出すことにより、熱エネルギーから電気ポテンシャルエネルギーへ変換することが可能な直接エネルギー変換電気回路系を構成し、
    前記の各連結部材のうち一つ以上における任意の箇所から取り出された電気ポテンシャルエネルギーで電気分解することにより、その電気ポテンシャルエネルギーから化学ポテンシャルエネルギーに変換することを特徴とするエネルギー変換システム。
  4. 異なるゼーベック係数を有する第1導電部材と第2導電部材とを接合部材により接合して成る熱電変換素子を複数個備え、
    前記の各熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部を、その残りの熱電変換素子のうち一つ以上の各第1導電部材,第2導電部材における接合部材対向部に対してそれぞれ連結部材により電気的に直列接続し、前記の各連結部材のうち少なくとも一つ以上に直流電源を直列接続することにより、前記の各熱電変換素子から成るペルチェ効果熱伝達回路系を構成し、
    前記ペルチェ効果熱伝達回路系の各吸熱部と各発熱部との間を、それぞれ吸熱部の環境の温度T1と発熱部の環境の温度T2とがT1>T2の関係を維持できる距離を確保したことを特徴とする熱電効果装置を構成し、
    前記の熱電変換装置から得られた熱エネルギーを請求項2記載のエネルギー直接変換システムにおける高温環境下に配置された各熱電変換素子へ供給することにより電気ポテンシャルエネルギーを得、
    前記の電気ポテンシャルエネルギーの一部を前記熱電効果装置に正帰還し直流電源として用いることを特徴とするエネルギー変換システム。
  5. 前記の直接エネルギー変換電気回路系を一組以上用いられ、
    1つ以上の第1導電部材または第2導電部材に対し初期の外部加熱または外部冷却による温度差を加える為の複数の起動部が備えられ、
    互いに独立な複数箇所の環境の温度差による環境の熱エネルギー源から直接に電気ポテンシャルエネルギーへの直接エネルギー変換システムを構成することを特徴とする請求項2乃至4記載のエネルギー直接変換システム。
  6. 前記電気ポテンシャルエネルギーの正帰還を、前記の各連結部材のうち1箇所以上に接続されたオン/オフスイッチの切り替えによって制御することを特徴とする請求項4または5記載のエネルギー変換システム。
  7. 前記電気ポテンシャルエネルギーの正帰還を、前記のオン/オフスイッチの切り替えによって制御し、
    前記電気ポテンシャルエネルギーを前記熱電効果装置へ供給すると共に、前記熱電効果装置の直流電源からの電力供給を断つことを特徴とする請求項4または5記載の熱エネルギー変換システム。
  8. 請求項4乃至7記載のエネルギー変換システムから得られた電気ポテンシャルエネルギーで電気分解することにより、その電気ポテンシャルエネルギーから化学ポテンシャルエネルギーに変換することを特徴とするエネルギー変換システム。
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