JP4261840B2 - アミノイミダゾールカルボキサミドの製造方法 - Google Patents

アミノイミダゾールカルボキサミドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品の製造中間体等として有用なイミダゾール環の4位にアミノ基と、5位にカルバモイル基とを有するイミダゾール化合物(以下、「アミノイミダゾールカルボキサミド」という。)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イミダゾール骨格を有するイミダゾール化合物、とりわけアミノイミダゾールカルボキサミドは、医薬品製造中間体として有用であり、例えば、抗ガン剤ダカルバジン(dacarbazine)、肝臓保護薬ウラザミド(urazamide)の製造原料として用いられている。
【0003】
このアミノイミダゾールカルボキサミドの結晶は本来白色であり、医薬品製造原料として用いられる場合においても、高純度な白色結晶であるのが望ましい。しかしながら、アミノイミダゾールカルボキサミドは、置換基として反応性に富むアミノ基を有する。そのため、このものの製造反応時等に着色物質が生成して反応液が着色し易く、反応終了後において、反応液から遊離のアミノイミダゾールカルボキサミドを晶析させるときに、アミノイミダゾールカルボキサミドの結晶中に着色物質が取り込まれ、着色した結晶が得られることが多い。
従って、従来においては、無色の結晶を得ることが容易な塩酸塩等の塩の形でアミノイミダゾールカルボキサミドを単離する方法が一般的に採用されていた。
【0004】
しかしながら、アミノイミダゾールカルボキサミドの塩酸塩等の塩を医薬品等の製造原料として用いるためには、遊離のアミノイミダゾールカルボキサミドに変換する必要があり、工業的に生産する上で、取り扱いが煩雑になる等の問題があった。
【0005】
一方、遊離のアミノイミダゾールカルボキサミドの結晶を取り出した例がいくつか報告されている。例えば、アミノイミダゾールカルボキサミドの塩酸塩を水に溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液で中和した後に、中和水溶液を乾固し、有機溶媒を用いてアミノイミダゾールカルボキサミドを抽出後、該抽出液から有機溶媒を除去して遊離のアミノイミダゾールカルボキサミドを得る方法(特開昭52−71468号公報)や、アミノイミダゾールカルボキサミドの塩酸塩に塩基を添加することにより遊離のアミノイミダゾールカルボキサミドの水溶液を得た後、イオン交換樹脂を用いて、該水溶液から電解質を除く方法(特開昭52−83750号公報)等が挙げられる。
【0006】
しかしながら、これらの方法も、アミノイミダゾールカルボキサミドの塩を単離した後に、遊離のアミノイミダゾールカルボキサミドを得るものであり、工業的に有利な方法とはいえなかった。
【0007】
以上のように、アミノイミダゾールカルボキサミドの白色結晶を工業的生産に適応できる方法により単離した報告例はない。従って、高純度なアミノイミダゾールカルボキサミドの白色結晶を得ることができる、工業的生産に適応可能な製造方法の開発が要望されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、高純度な遊離のアミノイミダゾールカルボキサミドの白色結晶を、工業的生産に適応可能な方法により得ることができるアミノイミダゾールカルボキサミドの製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべくアミノイミダゾールカルボキサミドの着色のない結晶を効率よく単離する方法について鋭意検討した。その結果、アミノイミダゾールカルボキサミドの有機溶媒溶液に、活性炭等の脱色剤を添加して脱色処理を行なう工程、及び処理後の有機溶媒溶液に貧溶媒を添加して晶析させる工程を設けることにより、高純度なアミノイミダゾールカルボキサミドの白色結晶を効率よく得ることができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
かくして本発明によれば、式(1)
【0011】
【化3】
Figure 0004261840
【0012】
(式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよい炭素数7〜11のアラルキル基を表す。)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドの有機溶媒溶液を、脱色剤を用いて脱色処理する工程と、脱色処理して得られた溶液に貧溶媒を添加して、式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドを結晶化させ、固液分離する工程とを有する式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドの製造方法が提供される。
【0013】
本発明の製造方法においては、前記式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドの有機溶媒溶液が、前記式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドのアルコール系溶媒の溶液であるのが好ましい。
また、前記貧溶媒として、炭化水素系溶媒を用いるのが好ましい。
【0014】
本発明の製造方法においては、前記式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドが、式(2)
【0015】
【化4】
Figure 0004261840
【0016】
(式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよい炭素数7〜11のアラルキル基を表す。)で表されるイミダゾールカルボキサミド化合物をホフマン転位条件下で反応させて製造されたものであるのが好ましい。
【0017】
本発明の製造方法によれば、前記式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドを、着色のない白色結晶として単離することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドの製造方法を詳細に説明する。
【0019】
(1)アミノイミダゾールカルボキサミド
本発明に係るアミノイミダゾールカルボキサミドは、前記式(1)で表される化合物である。
式(1)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよい炭素数7〜11のアラルキル基を表す。
【0020】
前記置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0021】
前記置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる、前記置換基を有していてもよい複素環基の複素環基としては、例えば、環内に窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を1〜3個含む5員又は6員の複素環の基が挙げられる。
【0022】
前記複素環基の具体例としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、ピリダジン−3−イル、ピラジン−2−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、1,4−ジオキサン−2−イル等の6員環複素環基;2−ピロリル、3−ピロリル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、ピラゾール−3−イル、ピラゾール−4−イル、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、オキサゾール−5−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、イソオキサゾール−3−イル、イソオキサゾール−4−イル、イソオキサゾール−5−イル、イソチアゾール−3−イル、イソチアゾール−4−イル、イソチアゾール−5−イル等の5員環複素環基;等が挙げられる。
【0023】
前記置換基を有していてもよい炭素数7〜10のアラルキル基のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基等が挙げられる。
【0024】
前記置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、及び置換基を有していてもよい炭素数7〜10のアラルキル基の置換基としては、例えば、ニトロ基;シアノ基;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェニル基、4−クロロフェニル基、2−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;等が挙げられる。
これらの置換基の置換位置は特に制限されず、また、同一若しくは相異なって複数の置換基が結合していてもよい。
【0025】
前記式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドの具体例としては、4−アミノ−5−カルバモイルイミダゾール、4−アミノ−5−カルバモイル−2−メチルイミダゾール、4−アミノ−5−カルバモイル−2−エチルイミダゾール、4−アミノ−5−カルバモイル−2−n−プロピルイミダゾール、4−アミノ−5−カルバモイル−2−フェニルイミダゾール、4−アミノ−5−カルバモイル−2−(2’−ピリジル)イミダゾール、4−アミノ−5−カルバモイル−2−ベンジルイミダゾール等が挙げられる。
【0026】
なお、式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドには互変異性体が存在し得るが、これらは全て本発明に含まれる。
【0027】
(2)アミノイミダゾールカルボキサミドの製造方法
アミノイミダゾールカルボキサミドは、例えば、以下に示す公知の方法により製造することができる。
【0028】
【化5】
Figure 0004261840
【0029】
(式中、Rは前記と同じ意味を表し、Xは塩素、臭素等のハロゲン原子を表す。)
【0030】
すなわち、式(2)で表される4−シアノ−5−カルバモイルイミダゾール化合物(以下、「イミダゾールカルボキサミド化合物」という。)にハロゲン化剤を作用させることにより、式(3)で表される4−シアノ−5−N−ハロゲノカルバモイルイミダゾール化合物(以下、「イミダゾールハロゲノカルボキサミド化合物」という。)を得る。次いで、得られたイミダゾールハロゲノカルボキサミド化合物に塩基を作用させる、いわゆるホフマン転位条件下で、式(1)で表されるアミノイミダゾール化合物を得ることができる。
【0031】
イミダゾールハロゲノカルボキサミド化合物を得る反応は、前記式(2)で表されるイミダゾールカルボキサミド化合物を不活性溶媒に溶解又は懸濁させ、そこへ、所定量のハロゲン化剤を添加して行なうことができる。
【0032】
イミダゾールハロゲノカルボキサミド化合物の製造に用いるハロゲン化剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸塩;次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜臭素酸カルシウム等の次亜臭素酸塩;塩素ガス、臭素ガス等のハロゲンガス;等が挙げられる。本発明においては、効率よく目的物が得られること等から、次亜ハロゲン酸塩の使用が好ましい。
ハロゲン化剤の使用量は、イミダゾールカルボキサミド化合物1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは1.1〜2モルである。
【0033】
用いる不活性溶媒としては、水;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられるが、次亜塩素酸塩又は次亜臭素酸塩を用いる場合には水の使用が好ましい。
【0034】
また、この場合においては、反応系に無機塩基を添加するのが好ましい。無機塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;等が挙げられる。無機塩基の添加量は、式(2)で表されるイミダゾールカルボキサミド化合物1モルに対して、通常1.5モルである。
ハロゲン化反応は、通常−20℃〜+80℃、好ましくは−10℃〜+40℃、より好ましくは−5℃〜+20℃で円滑に進行する。
【0035】
イミダゾールハロゲノカルボキサミド化合物は、単離して次の反応に供することができるが、単離することなく、そのまま連続的に行なうこともできる。
【0036】
イミダゾールハロゲノカルボキサミド化合物からアミノイミダゾールカルボキサミドを得る、いわゆるホフマン転位反応に用いる塩基は特に制限されない。用いる塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩等が挙げられる。これらの中でも、収率よく目的とするアミノイミダゾール化合物が得られることから、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましい。
【0037】
塩基の使用量は、通常、イミダゾールカルボキサミド化合物に対して、2〜30倍モル、好ましくは9〜20倍モルの範囲である。大過剰の塩基を用いることにより、ホフマン転位反応のみならず、シアノ基の加水分解反応も進行せしめて、式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドを得ることができる。反応温度は、通常0℃〜100℃、好ましくは50℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲である。反応は、窒素気流下で行なうのが好ましく、通常、1〜8時間で終了する。
【0038】
反応終了後は反応溶液を塩酸等で中和晶析して、目的とするアミノイミダゾールカルボキサミドの結晶を単離することができる。
【0039】
出発原料である式(2)で表されるイミダゾールカルボキサミド化合物は、公知の方法により製造することができる。製造方法の一例を下記に示す。
【0040】
【化6】
Figure 0004261840
【0041】
(式中、R及びXは前記と同じ意味を表す。Rは低級アルキル基を表す。)
先ず、ジアミノマレオニトリル(4)に、不活性溶媒中、オルトエステル(5)を反応させて、2−置換−4,5−ジシアノイミダゾール(6)を得る。
ここで用いるオルトエステルの具体例としては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸メチル、オルト安息香酸メチル、オルトフェニル酢酸メチル、オルト(2−ピリジンカルボン酸)メチル等が挙げられる。また、用いる不活性溶媒としては、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。
【0042】
次いで、式(6)で表される化合物を、水酸化ナトリウム等の塩基の存在下、一方のシアノ基のみを加水分解してアミド基に変換することにより、式(2)で表される化合物を得ることができる。
【0043】
(3)脱色処理工程
本発明の製造方法は、式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドの有機溶媒溶液を、脱色剤を用いて脱色処理を行なう工程を有することを特徴とする。
【0044】
アミノイミダゾールカルボキサミドの有機溶媒溶液の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。
【0045】
これらの中でも、アミノイミダゾールカルボキサミドの溶解性、脱色処理効率の観点から、アルコール系溶媒、エステル系溶媒又はエーテル系溶媒が好ましく、アルコール系溶媒が特に好ましい。
溶媒量は特に制限されないが、前記式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドの結晶に対し、通常、10〜50倍重量である。
【0046】
本発明においては、前記アミノイミダゾールカルボキサミドの有機溶媒溶液が、ホフマン転位反応により得られる反応液から単離したアミノイミダゾールカルボキサミドの結晶を有機溶媒に溶解した溶液であるのが好ましい。この溶液は、具体的には、上記反応液に塩酸等の酸を添加して中和して(pH5〜7)、アミノイミダゾールカルボキサミドを晶析させ、アミノイミダゾールカルボキサミドの結晶を単離した後、この結晶を有機溶媒に溶解させて調製することができる。
【0047】
また、本発明においては、前記反応液から式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドを晶析する前に、前記反応液に酸を添加して中和した後に、脱色剤を添加して脱色処理を施すこともできる。この脱色処理は、以下に述べるアミノイミダゾールカルボキサミドの有機溶媒溶液を脱色処理する場合と同様の脱色剤を使用し、同様な処理条件で行なうことができる。
【0048】
前記アミノイミダゾールカルボキサミドの有機溶媒溶液の脱色処理に用いる脱色剤としては、活性炭、シリカゲル、アルミナ等の公知の吸着剤が使用できるが、脱色効率、製造コスト、操作性等の観点から活性炭の使用が好ましい。活性炭には、水蒸気賦活品、塩化亜鉛賦活品、その他薬品賦活したもの等あるが、いずれを用いても脱色処理を行なうことができる。中でも、吸着によるアミノイミダゾールカルボキサミドのロスを防ぐ観点から、水蒸気賦活品が好ましい。脱色剤の使用量は、通常、アミノイミダゾールカルボキサミド1モルに対し1〜100g、好ましくは10〜30gである。
【0049】
脱色剤による処理は、溶液がほぼ無色透明になるまで行なえばよい。処理時間は、通常、10分から数時間、好ましくは20分から1時間である。処理温度は、通常、常温から溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは30℃〜50℃である。処理終了後、脱色剤を通常の方法で濾別することにより、用いた脱色剤及び他の不溶物を除去して、無色透明な濾液を得ることができる。また、脱色剤による処理は、所望により複数回繰り返してもよい。
【0050】
(4)晶析工程
アミノイミダゾールカルボキサミドの有機溶媒溶液を脱色処理した後は、脱色剤を濾別後、得られた濾液と貧溶媒とを混合することにより、アミノイミダゾールカルボキサミドを晶析させる。ここで、貧溶媒とは、アミノイミダゾールカルボキサミドに対する溶解度の低い有機溶媒をいう。また、混合方法は特に限定されず、貧溶媒を濾液に添加しても、濾液を貧溶媒に添加してもよい。
【0051】
晶析に用いる貧溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ましい。炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;等が挙げられる。これらの中でも、芳香族炭化水素系溶媒がより好ましく、トルエンが特に好ましい。貧溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
【0052】
貧溶媒の使用量は溶媒の種類によって異なり、アミノイミダゾールカルボキサミドの溶解度に合わせて、任意の量を設定することができる。
【0053】
アミノイミダゾールカルボキサミドの晶析時間は、使用する有機溶媒量にもよるが、通常、数分から数時間である。析出したアミノイミダゾールカルボキサミドの結晶を熟成させて、その回収率を向上させる観点からは1時間から数時間が好ましい。晶析は、通常、0℃〜40℃、好ましくは10℃〜30℃で行なう。
【0054】
析出したアミノイミダゾールカルボキサミドの結晶は、通常の固液分離方法で単離することができる。固液分離方法は特に限定されないが、例えば、ヌッチェを用いる濾過法、遠心分離装置を用いる遠心分離方法等を例示することができる。濾過法を採用する場合には、アミノイミダゾールカルボキサミドの回収率を向上させるために、溶媒を部分的に留去してから濾取するのが好ましい。
【0055】
以上のようにして、アミノイミダゾールカルボキサミドを高純度な白色結晶として単離することができる。ただし、結晶自身の性質に由来する色を有している場合には、必ずしも白色結晶が得られるわけではない。この場合は、本発明の方法を用いることにより、その結晶色の化合物を得ることができる。本発明の方法によれば、色素計により測定したL値が、85以上、好ましくは90以上の結晶を得ることができる。
【0056】
得られたアミノイミダゾールカルボキサミドは、NMRスペクトル、ガスクロマトグラフィ、IRスペクトル、マススペクトル等の公知の分析手段により、その構造を確認することができ、その純度を測定することができる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。化合物の構造及び純度は、NMRスペクトル、ガスクロマトグラフィ、IRスペクトル、マススペクトル等により分析することで、確認及び決定した。
【0058】
実施例1 4−アミノ−5−カルバモイルイミダゾール(AICA)の製造
水220mlに、炭酸水素ナトリウム126g及び4−シアノ−5−カルバモイルイミダゾール136.1gを加えた。得られた混合物を0℃に冷却して、塩酸を用いてpHを7.7〜8.0に調整し、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液806gを0〜3℃で滴下した後、8時間撹拌した。次いで、反応液に塩酸を滴下してpHを4.0に調整して1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、温風乾燥することにより、4−シアノ−5−(N−クロロカルバモイル)イミダゾールの結晶150.1gを得た。収率88.0%
【0059】
14%水酸化ナトリウム水溶液820mlに、上記で得た4−シアノ−5−(N−クロロカルバモイル)イミダゾール100gを液温0℃で加えた後、窒素気流下で5時間還流した。反応液を塩酸で中和してpHを6.0に調整した後、全容を5℃まで冷却して30分間撹拌した。析出結晶を濾取し、減圧下で乾燥し、遊離のAICAの粗結晶75.3gを得た(収率81.4%)。得られたAICAの結晶の純度は80.0%であった。
【0060】
上記で得たAICAの粗結晶10.0gにメタノール160mlを加えて、40℃で30分間撹拌した。次いで、活性炭1.6gを加えて、さらに40℃で1時間撹拌した。活性炭を濾別後、濾液を内容量が60gになるまで濃縮し、20℃に冷却した後、トルエン100mlを滴下し、全容を5℃まで冷却して30分間撹拌した。析出した結晶を濾取し、減圧下で乾燥して、AICAの結晶7.8gを得た(収率97.5%)。
得られたAICAの結晶は白色であり、純度は99.9%以上であった。また、得られたAICAの結晶の色調を色素計により測定したところ、L値:93.76、a値:0.25、b値:4.09であった。
【0061】
比較例1 AICAの合成
実施例1において、活性炭処理を施さない以外は、実施例1と同様にして、AICAを製造した。得られたAICAの結晶は、褐色に着色していた。無色結晶を得るために、メタノールとトルエンを用いて再結晶を4回繰り返したが、白色のAICAの結晶を得ることはできなかった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便な方法によって、高純度な遊離のアミノイミダゾールカルボキサミドの白色結晶を効率よく得ることができる。従って、本発明は、着色のない高純度品が要求される医薬品等の製造原料となるアミノイミダゾールカルボキサミドを工業的に製造する場合に好適に適用することができる。

Claims (2)

  1. 式(1)
    Figure 0004261840
    (式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよい炭素数7〜11のアラルキル基を表す。)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドのアルコール系溶媒溶液を、脱色剤を用いて脱色処理する工程と、脱色処理して得られた溶液と炭化水素系溶媒とを混合して、式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドを結晶化させ、固液分離する工程とを有する、色素計により測定したL値が85以上の白色結晶である式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドの製造方法。
  2. 前記式(1)で表されるアミノイミダゾールカルボキサミドが、式(2)
    Figure 0004261840
    (式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよい炭素数7〜11のアラルキル基を表す。)で表されるイミダゾール化合物をホフマン転位条件下で反応させて製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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