JP4261807B2

JP4261807B2 - 減圧設備内の清掃方法および減圧設備

Info

Publication number: JP4261807B2
Application number: JP2002058243A
Authority: JP
Inventors: 昭男新飼; 俊喜山口; 三司朝野; 隆造早川; 雄一郎森
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 2002-03-05
Filing date: 2002-03-05
Publication date: 2009-04-30
Anticipated expiration: 2022-03-05
Also published as: JP2003254675A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空脱ガス処理設備における排気ダクト清掃方法および減圧設備に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一般に、ステンレス溶鋼を溶製する場合、転炉を用いて炭素濃度が０．３〜０．８質量％程度に粗脱炭精錬を行った粗溶鋼を、ＶＯＤあるいは大形の直胴型浸漬管を用いて減圧下で、クロムの酸化を抑制しながら二次脱炭する減圧脱炭精錬が一般に行われている。この減圧脱炭精錬は、多段のブスター内に蒸気を吹き込んで負圧状態にする排気系を備え、精錬容器内を真空１００Ｔｏｒｒから０．２Ｔｏｒｒにしており、通常では一系統の排気系に一つの精錬容器を組み合わせて行っている。
【０００３】
しかし、近年では、減圧脱炭精錬を適用するステンレス溶鋼の集約による生産性の向上、あるいは設備の共有化による排気系の稼働率を高くして設備費やランニングコストを抑えることが行われている。この一系統の排気系を共有して使用するには、排気系と精錬容器との導通を遮断する遮断弁が必要になります。排気系と精錬容器との導通の遮断は、遮断弁の弁座にダストや微細なスラグ粉等が付着すると、遮断弁と弁座の間に僅かな隙間を生じ、高真空に排気を吸引した際にこの僅かな隙間からリークを招き所定の高真空が得られない。そのために排気系での遮断弁の弁座でのダストや微細なスラグ粉等を清掃する必要がある。
【０００４】
そこで、従来、この真空脱ガス処理設備内の排気系での清掃については、（１）人力やバキューム装置、取替え式のダストポットなどで堆積ダストを直接系外へ排出する方法や、（２）空気、Ｎ₂等の圧縮気体を用いてブローする方法、または、（３）高圧水により洗浄する方法等が行われている。清掃のしにくい場所、あるいは清掃効率を改善するために、実開平７−２１７５６号公報に記載されているように、伸縮管部の内筒の間に高圧ガスを吹き込み、堆積したダストを排除する方法が行われている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、人力やバキュームによりダクトを排出しようとした場合、ダクト内を人体に影響のない温度まで冷却することが必要な上、清掃作業自体も多大な時間が必要となり、長時間の設備休止が必要となる。また、ダストポットを用いた場合も、ポットにトラップされた一部のダストのみを除去出来るのみで、完全な清掃硬化は期待できない。
【０００６】
また、清掃したい場所にノズルを切り込み高圧水を遠隔操作で噴出できるようにすれば清掃効率を改善することが出来るが、これにはポンプや配管を設置するための設備費用が多大になる上、水分によりダストの固着を助長する可能性もある。さらに、系内が高温である場合は、洗浄水の冷却効果による急速な温度変化による設備の損傷や、水分の急激な蒸発による水蒸気爆発を起こすことも懸念されるという問題がある。
【０００７】
このような場合、圧縮気体によるブローがしばしば適用されるが、前述した実開平７−２１７５６号公報の方法では、ベローズの内筒と外筒間の密閉された空間内のダストを排出することが出来るのみで、この方法でダストの内面等の開放された部位を広範囲に清掃するためには膨大な圧縮気体をストックしておくことが必要となり、このためには膨大な設備建設費用とブローに使用する気体のランニングコストがかかることになるという問題がある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、建設コスト、ランニングコストをかけずにダクト内面を広範囲にわたり確実に清掃することができる減圧設備内の清掃方法および減圧設備を提供するものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
その発明の要旨とするところは、
（１）少なくとも二つの精練容器に連通する吸引ダクトのガスクーラー側にそれぞれ開閉弁を設け、該開閉弁の精練容器側の吸引ダクトに外気を設備内に吸引するブローノズルを設けると共に、前記開閉弁の弁座部にアジテーションボックスとこれに連通するアジテーションノズルを設け、該アジテーションノズルにより大気の噴射及び圧縮気体のブローを行うことを特徴とする減圧設備内の清掃方法。
【００１０】
（２）少なくとも二つの精練容器に連通する吸引ダクトのガスクーラー側にそれぞれ切り替え遮断弁を設け、該切り替え遮断弁の精練容器側の吸引ダクトに外気を吸引するブローノズルを設けると共に、前記切り替え遮断弁の弁座内部に連通する通気孔を備えたアジテーションボックスを設け、該アジテーションボックスに気体供給管を連通したことを特徴とする減圧設備である。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図１は、真空精錬設備の排気系設備の全体概要を示す図である。この図１に示すように、減圧精錬炉Ａと減圧精錬炉Ｂが設けられ、減圧精錬炉Ａに連通する減圧精錬炉Ａ専用の吸引ダクト１と、減圧精錬炉Ｂに連通する減圧精錬炉Ｂ専用の吸引ダクト２とを備えている。吸引ダクト１および吸引ダクト２には、それぞれ切り替え遮断弁３、切り替え遮断弁４を取り付けている。
【００１２】
例えば、減圧精錬炉Ａを用いて、減圧脱炭精錬を行う場合、減圧精錬炉Ａに連通する吸引ダクト１に設けた切り替え遮断弁３を開き、吸引ダクト２の切り替え遮断弁４を閉にする。そして、複数のブスターを組み込み、このブスターに高圧蒸気を吹き込んで負圧を形成する排気装置５を作動して、排気を吸引し、吸引ダクト１および減圧精錬炉Ａの内部の大気圧の状態を１００Ｔｏｒｒから０．２Ｔｏｒｒに減圧する。この減圧精錬炉Ａから吸引ダクト１を通る排ガスは、溶鋼の精錬時の温度であり、高温度であるので、ガスクーラー６で、一旦、吸引したガスを冷却してから排気装置５に吸引してから排気するような構成からなる。
【００１３】
図２は、真空精錬設備の排気ダクト内の開閉弁に設置したブロー設備の概要を示す図である。実操業においては本開閉弁を開にして行うが、このとき開閉弁の設置されたダクトには前述したように多量のダストが堆積する。従って、このまま開閉弁７を閉じた場合、弁体８や弁座９部の間にダクトを噛込み、シール不良を引き起こす。しかしながら下記の実施例のようにブローを行なうことで、堆積したダストを清掃することが可能となる。
【００１４】
（１）真空精錬後の完了後、連通弁１０を開にし、大気をダクト１８内に吸引する。この時吸引された大気はブローノズル１１とアジテーションノズル１２の両方から噴出し、弁座９部に堆積したダクトを攪拌、浮上させると同時に、ブローノズル１１による側方ブローにより開閉弁７周辺の堆積ダストを広範囲に清掃する。
（２）ダクト１８内圧力が大気圧となり大気の吸引が終われば、連通弁１０を閉にして連通管を遮断する。
【００１５】
（３）次に、開閉弁７を閉とさせるが、図２に示す状態の場合は、弁体８は全開位置にあるが、これをシリンダー１６の操作により、シリンダーロッド１７が下降させ、それにより、ステム１４と一体のステムヘッド１５が下降するようにスライドゲート構造によって構成され、このステム１４の下降により微開位置での弁体１９から、さらに完全に下降した状態で全閉位置となる。この完全に閉（弁体８と弁座部９が接触する）となる前の微開位置で一旦停止させ、圧縮気体弁１３を開とする。すると、圧縮気体がアジテーションノズル１２から弁体８と弁座９の僅かな隙間を通り大気圧のダクト１８内に噴出し、開閉弁７の下部に堆積した残留ダストを清掃すると共に、弁体８と弁座９間の接触面に付着したダストを払い落とす。なお、圧縮気体弁１３は任意のタイミングで開として良いが、弁体８と弁座９間の隙間が狭いほど、この間を通過する気体の流速が大きくなるため、接触面の清掃効果を得るには、開閉弁７を全閉直前の位置で圧縮気体のブローを行うことが望ましい。
【００１６】
（４）圧縮気体弁１３を閉にし、圧縮気体ブローを停止した後、最後に開閉弁７を全閉とさせる。万一シール不良が発生した場合も、再度開閉弁７を微開させ、圧縮気体によるブローを行えば、いつでも完全なシール状態とすることができる。もしブロー用役を大気吸入のみで確保した場合は、ダクト１８内が減圧された状態でしか行われないが、圧縮気体ブローを併用すれば任意のタイミングで何度でも清掃を行なえるため、開閉弁７のシール不良が発生した時にも即座に再度清掃することができる。
【００１７】
図３は、本発明に係る弁座部でのダスト除去の作動工程を示す図である。図３（ａ）は、真空精錬処理終了後に復圧と同時に空気によりダストを排除する場合で、前述したように、ブローノズル１１とアジテーションノズル１２の両方から噴出し、弁座９部に堆積したダストを攪拌、浮上させて堆積ダストを清掃するもので、弁座９内部に連通する通気孔２０を備えたアジテーションボックス２１を設け、このアジテーションボックス２１を気体供給管２２に連通させた。図３（ｂ）は、ステムの下降により中間で一旦停止した後、Ｎ₂ブローによって弁体８面を清掃する。
【００１８】
また、図３（ｃ）は、ステムをさらに下降させ通気孔２０を完全に閉とした状態で弁座９面を完全に圧着して全閉位置となる。このように、切り替え遮断弁の弁座に、該弁座内部に連通する通気孔を備えたアジテーションボックス設け、該アジテーションボックスを気体供給管に連通させた構造の減圧設備の切り替え遮断弁を構成することにより、開閉弁下部の凹部に堆積したダストまでも完全に除去することができる。
【００１９】
さらに、図２では、開閉弁７の減圧精錬容器側（上流側）にブローノズル１１を設けた場合について説明したが、このブローノズル１１の位置は、開閉弁７から３ｍ以内の範囲にすることにより、開閉弁７の周囲に付着したダスト等の付着物を確実に除去できるので好ましい結果が得られ、ブローノズル１１の直径を２００ｍｍ以上のものを用いることで、約２２０００Ｎｍ³／時間の空気を一挙に放出してダスト等の付着物を除去することができる。また、ブローノズル１１を開閉弁７の下流側に配置し、ガスクーラー６と反対側にダスト等の付着物を放出することもでき、さらに、開閉弁７の取付け位置も吸引ダスト１および吸引ダスト２から排気装置５の間で、任意の場所に取り付けることも可能である。
【００２０】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によりブローノズルから大気を吸引することで、膨大な量のブロー気体を、ランニングコストが無で、しかも設備投資を最小に確保することができ、堆積した膨大なダストを広範囲に除去することができる。また、アジテーションノズルを併用することで、開閉弁下部の凹部に堆積したダストまでも完全に除去することができる。また、開閉弁が全閉直前の位置で圧縮気体によるブローを行うことで、弁体と弁座間の接触面の清掃まで行え、より確実なシールが可能となる。さらに、圧縮気体を併用することで、シール不良が発生した場合の再清掃が容易に行え、操業時間のロスを最小限に抑えることが出来る等極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】真空精錬設備の排気系設備の全体概要を示す図である。
【図２】真空精錬設備の排気ダクト内の開閉弁に設置したブロー設備の概要を示す図である。
【図３】本発明に係る弁座部でのダスト除去の作動工程を示す図である。
【符号の説明】
１、２吸引ダクト
３、４切り替え遮断弁
５排気装置
６ガスクーラー
７開閉弁
８弁体
９弁座
１０連通弁
１１ブローノズル
１２アジテーションノズル
１３圧縮気体弁
１４ステム
１５ステムヘッド
１６シリンダー
１７シリンダーロッド
１８ダクト
１９微開位置での弁体
２０通気孔
２１アジテーションボックス
２２気体供給管
Ａ減圧精錬炉Ａ
Ｂ減圧精錬炉Ｂ

Claims

少なくとも二つの精練容器に連通する吸引ダクトのガスクーラー側にそれぞれ開閉弁を設け、該開閉弁の精練容器側の吸引ダクトに外気を設備内に吸引するブローノズルを設けると共に、前記開閉弁の弁座部にアジテーションボックスとこれに連通するアジテーションノズルを設け、該アジテーションノズルにより大気の噴射及び圧縮気体のブローを行うことを特徴とする減圧設備内の清掃方法。
少なくとも二つの精練容器に連通する吸引ダクトのガスクーラー側にそれぞれ切り替え遮断弁を設け、該切り替え遮断弁の精練容器側の吸引ダクトに外気を吸引するブローノズルを設けると共に、前記切り替え遮断弁の弁座内部に連通する通気孔を備えたアジテーションボックスを設け、該アジテーションボックスに気体供給管を連通したことを特徴とする減圧設備。