JP4261637B2 - 布入り筒状ゴム成形体の製造方法 - Google Patents

布入り筒状ゴム成形体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、BFダイヤフラム(あるいはローリングダイヤフラム)と称されている流体機器の作動膜部として用いられる布入り筒状ゴム成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
BFダイヤフラム等の流体機器の作動膜部にはゴム成形体が用いられており、通常、このゴム成形体の内部には基布と呼ばれる織り布が埋め込まれた構造(布入り筒状ゴム成形体)から構成されている。すなわち、この種の布入り筒状ゴム成形体は、流体機器の作動圧力に対する強度をゴム成形体の内部に埋め込まれた基布によって持たせ、また、気密性をゴム材質によって持たせる構造をとっている。
【0003】
このような布入り筒状ゴム成形体を作るに際して、まず最初に、ハット形状に成形された基布が準備される。このような基布成形は、一般に、縦、横にほぼ等しい打込本数を持つ平織布をプレフォームモールドを用いて強制的にハット形状に絞り込んで成形することにより行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この絞り成形によって、初め、平面上に正しく直交していた縦糸と横糸の布目は絞り成形後、図7に示されるように立体曲面上並びにフランジ面上において、半径方向角度によって異なる伸びを示し、全体として45°ごとに対称的にゆがんだ網目を形成するようになる。この45°ごとに区分けされるライン上で特に、深絞りされている側面底部近傍(符号200で示される4箇所の部分)は、極めて変形度合いが大きく強度が小さくなっている。製品の耐久性等を考慮に入れれば、平織布からの深絞り成形には限界があり、ハット形状の直径Dと深さHとの関係は、H/D≦1すなわち、H/D=1までの深絞り成形が限界であると言われている。従って、いわゆる折り返し部分を有しローリング作用によりストロークされるBFダイヤフラム(あるいはローリングダイヤフラム)において、ストロークを大きくしようとすると必然的に直径Dを大きくしなければならず、装置の小型化が図れない。もちろん、小型で長ストロークの製品の実現化もできない。さらに、現行の製品では、上述のごとく深絞り成形をすればする程、耐久性に不利となるように働く強度的に弱い部分が必然的に生じてしまうこと、および成形限界によりストロークが大きくとれないことから可能な範囲での目一杯のストロークでの使用が行われることがあり、これらの点からも耐久性に不利な使用状況にあり、現行製品よりもさらに耐久性に優れた製品の開発が要望されている。
【0005】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであり、その目的は、耐久性に優れ、小型(コンパクト)かつ長ストロークが実現可能な布入り筒状ゴム成形体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明の布入り筒状ゴム成形体の製造方法は、円錐台状のキャビティ形成用凸部を備える下型と、この下型と対をなす円錐台状のキャビティ形成用凹部を備える上型とを有する成形金型を準備し、縦糸と横糸とで織られた筒状の基布筒状体であって、横糸の熱収縮率は少なくとも2種以上のものが用いられ、2種以上の異なる熱収縮率物性を持つ帯状体を備える基布筒状体を準備し、前記基布筒状体は、円錐台状のキャビティ形成用凸部の側面部から頂部へと移行するショルダ部分近傍に、異なる熱収縮率物性を持つ帯状体の境目が配置され、キャビティ形成用凸部の頂部に被着される帯状体の熱収縮率が、キャビティ形成用凸部の側面部に被着される帯状体の熱収縮率よりも大きく設定されており、前記キャビティ形成用凸部の頂部に被着される帯状体の縦糸の打込本数が、キャビティ形成用凸部の側面部に被着される帯状体の縦糸の打込本数よりも小さく設定されており、前記成形金型により未加硫ゴムのゴムプレフォームを形成し、当該ゴムプレフォームを前記円錐台状のキャビティ形成用凸部を備える下型に沿わせて残留させるとともに、上型を離脱させた後、当該下型に形成されたゴムプレフォームの上に前記基布筒状体を被着させ、しかる後、当該基布筒状体を熱収縮させるとともに、当該基布筒状体をゴムプレフォームの表面近傍に基布を埋設させつつ、ゴムプレフォームを熱加硫させるよう構成される。
【0009】
好ましい態様として、前記基布筒状体の熱収縮が行われた後に、ゴムプレフォームの熱加硫が行われるように構成される。
【0010】
好ましい態様として、前記基布筒状体の熱収縮が行われると同時に、ゴムプレフォームの熱加硫が行われるように構成される。
【0011】
好ましい態様として、前記布入り筒状ゴム成形体は、流体機器の作動膜部として用いられる。
【0012】
好ましい態様として、前記布入り筒状ゴム成形体は、折り返し部分を有しローリング作用をするローリングダイヤフラムとして用いられる。
【0013】
本発明によれば、従来の深絞りされた基布に代えて、縦糸と横糸とで織られた筒状の基布筒状体であって、横糸の熱収縮率は少なくとも2種以上のものが用いられ、かつ2種以上の異なる熱収縮率物性を持つ帯状体を備える基布筒状体を用いているので、当該基布筒状体を熱収縮させることによりゴムプレフォームの上に基布筒状体を被着させることができる。これにより、耐久性に優れ、小型(コンパクト)かつ長ストロークが実現可能な布入り筒状ゴム成形体が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1(a)〜(c)および図2(d)〜(f)は、それぞれ、本発明の布入り筒状ゴム成形体の製造方法を経時的に示す説明図である。図1に示されるように、本発明の布入り筒状ゴム成形体を製造するに際して、下型60と上型50とからなる成形金型5が準備される。下型60には円錐台状のキャビティ形成用凸部61が備えられており、この下型60と対をなす上型50には円錐台状のキャビティ形成用凹部55が備えられている。下型60と上型50とを一体化させると、これらの間には所定の間隙を隔ててハット状(縁付き帽子状)のキャビティが形成されるようになっている。
【0016】
下型60および上型50が係合された状態で形成されるゴムプレフォーム成形用の間隙の厚みは、例えば、0.1〜1.5mm程度の範囲となるように設定されている。なお、図示されていないが、下型60および上型50には、フランジ突起形成用(ビード用)の凹部や余分なゴムを逃がすための溝部がリング状に適宜、形成されている。
【0017】
このような構造を備える成形金型5を用いて、まず、最初に、図1(a)に示されるように、成形金型5のキャビティ内において未加硫ゴムのゴムプレフォーム11を成形する。未加硫ゴムのゴムプレフォーム11の成形は、例えば、未加硫ゴムのシート状成形物を下型60のキャビティ面に装着し、あるいは、下型60のキャビティ面に未加硫ゴムのシート状成形物(小片)を複数載置した状態で、下型60および上型50を係合し加圧して行なわれる。
【0018】
この際、成形金型5の温度と圧力は未加硫ゴムの加硫が進行しない範囲で設定することが必要である。また、加圧は、例えば、数回のバンピングの後に3〜90秒間程度の範囲で行うようにしてもよい。
【0019】
本発明の製造方法に用いられるゴムは、従来公知の合成ゴムおよび天然ゴムでよく、特に制限はない。本発明で使用可能な合成ゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エーテル−チオエーテルゴム、多硫化系ゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム等を挙げることができる。このようなゴム材に必要に応じて後述するような加硫剤、加硫促進剤等の添加剤を加えた後、混練機により混練し、得られたゴム混合物をロールによって予めシート状に成形し、カレンダーにて厚さ調整してシート状成形物(小片)を作製し、その後、このシート状成形物を使用して本発明の製造方法によりゴム成形体を製造することができる。
【0020】
使用される加硫剤としては、硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、芳香族ニトロ化合物、有機過酸化物等から使用するゴムに対応して適宜選定することができる。
【0021】
また、加硫促進剤として、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)等のチアゾール系化合物、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾルスルフェンアミド(CZ)等のスルフェンアミド系化合物、2−メルカプトチアゾリン等のチアゾリン系化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TT)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)等のチウラム系化合物、ジメチルジチオカルバミン酸等のジチオカルバメート系化合物、ヘキサメチレンテトラミン等のアルデヒドアミン系化合物、ジフェニルグアニジン等のグアニジン系化合物、N,N―ジエチルカルバモイル−2−ベンゾチアジルスルフィド等のチアゾール系化合物等を使用することができる。
【0022】
また、上記ゴム成形体には、必要に応じて老化防止剤、ステアリン酸等の有機脂肪酸、カーボンブラック等の充填剤を含有してもよい。このような添加剤は、ゴム100重量部に対して1〜150重量部の範囲で含有することが好ましい。
図1(a)に示されるように、ゴムプレフォーム工程の完了後に上型50を離脱させると、下型60上にはハット状を呈するゴム製のゴムプレフォーム11が形成される。このゴム製ゴムプレフォーム11の厚みは、本実施形態では、例えば、0.1〜1.5mm程度の範囲である。なお、成形金型5から下型60に係合した状態で取り出したゴムプレフォーム11にバリが存在する場合には、このバリを除去する。また、成形したゴムプレフォーム11の端面部等にゴム厚みの不足がある場合には、該当箇所に上述のような未加硫ゴムのシート状成形物(小片)を付け足してもよい。
【0023】
このようにゴムプレフォーム11を円錐台状のキャビティ形成用凸部61を備える下型60に沿わせて残留させるとともに、上型50を離脱させた後、図1(b)に示されるように、下型60に形成されたゴムプレフォーム11を覆うように基布筒状体10’がすっぽりと被せられる。図1(b)の場合、基布筒状体10’の形状は、上下が開口した円筒形状をしているが、上下が開口した円錐台形状であってもよい。また、ゴムプレフォーム11の外形に類似する形状のものであってもよい。
【0024】
このような基布筒状体10’は、ゴムへの装着前の状態において、縦糸と横糸とで織られた筒状の基布筒状体から構成され、横糸の熱収縮率は少なくとも2種以上のものが用いられ、2種以上の異なる熱収縮率物性を持つ帯状体を備えて構成される。そして、この基布筒状体10’は、熱を付与されるだけで容易にゴムプレフォーム11の形状に沿った形に変形することが可能になり、ゴムプレフォーム11の外形にピッタリと馴染んだ状態になる(図1(c))。
【0025】
このように本発明に用いられ、重要な作用を果たす基布筒状体10’について図5を用いて詳細に説明しておく。
【0026】
図5(a)には、ゴム成形体に装着される前の基布筒状体10’の好適な概略斜視図が示されており、図5(b)には、装着後に基布筒状体10’が所定の箇所で所定の熱収縮をしてゴムプレフォーム11の外形形状に類似する形態に変化した状態の概略斜視図が示される。図5において示される図面上の各ハッチ(斜線)は、後述する各帯状体を区別するために便宜上用いられているだけであり、それ以外特別な意味はない。
【0027】
図5(a)において、筒状の基布筒状体10’は、その下部に配置される第3の帯状体10cと、この位置から上方向に順次配置される第2の帯状体10b、および第1の帯状体10aを備えている。
【0028】
第1の帯状体10aは、ゴムプレフォーム11の頂部(図1(b)の符号11a)に位置するように配置され、第2の帯状体10bは、ゴムプレフォーム11の側面部(図1(b)の符号11b)に位置するように配置され、第3の帯状体10cは、ゴムプレフォーム11のフランジ部(図1(b)の符号11c)に位置するように配置される。
【0029】
これらの帯状体は、それぞれ、縦糸と横糸とで織られた平織りの形態から構成されている。例えば、第1の帯状体10aは、図5(a)の右方の円形状にピックアップされた円形内の部分拡大図に示されるように、縦糸100bと横糸100aとにより平織りされて構成されている。また、第2の帯状体10bは、図5(a)の右方の円形状にピックアップされた円形内の部分拡大図に示されるように、縦糸110bと横糸110aとにより平織りされて構成されている。また、第3の帯状体10cは、図5(a)の右方の円形状にピックアップされた円形内の部分拡大図に示されるように、縦糸120bと横糸120aとにより平織りされて構成されている。
【0030】
そして本発明においては、ゴムプレフォーム11の頂部(図1(b)の符号11a)に位置するように配置された第1の帯状体10aを構成する横糸100aの熱収縮率が、ゴムプレフォーム11の側面部(図1(b)の符号11b)に位置するように配置された第2の帯状体10bを構成する横糸110aの熱収縮率よりも大きくなるように設定されている。
【0031】
さらに、第2の帯状体10bを構成する横糸110aの熱収縮率は、ゴムプレフォーム11のフランジ部(図1(b)の符号11c)に位置するように配置される第3の帯状体10cを構成する横糸120aの熱収縮率よりも大きくなるように設定されている。
これにより、本発明の布入り筒状ゴム成形体の製造過程で基布筒状体10’に熱を付与するだけで容易にゴムプレフォーム11の形状に沿った形に変形させることが可能になり、従来法と比べて無理なくベローズゴムプレフォームの外形にピッタリと馴染ませることができる。これにより耐久性に優れ、小型(コンパクト)かつ長ストロークが実現可能な布入り筒状ゴム成形体が製造できる。さらに、作業性および歩留も格段と向上させることができる。熱収縮に関して、基布筒状体10’は、通常、ベローズゴムプレフォーム11に蓄積されている熱(例えば、150℃程度の温度になっている)を受けて熱収縮をし、例えば、図1(c)に示されるごとくのゴムプレフォームの表面近傍の形と同じに変形して、ゴムプレフォームの表面近傍に被着される。なお、ベローズゴムプレフォーム11に蓄積された熱のみでは十分な熱収縮が行えない場合には、外部から基布筒状体10’を強制加熱する必要がある。なお、基布筒状体の熱収縮が行われると同時に、ゴムプレフォームの熱加硫を行なうことが望ましいが、これらは経時的に行ってもよい(基布筒状体の熱収縮の後にゴムプレフォームの熱加硫を行う)。
【0032】
基布筒状体10’が熱収縮した後の基布10の形態が図5(b)に示されており、基布筒状体10’は、所定の箇所で所定の熱収縮をしてゴムプレフォーム11の外形形状に類似する基布10の形態に変化する。図5(b)中の2つのカット位置で予め基布筒状体10’をカットしておけばよい。また、このようなカット調整や基布筒状体10’をゴムプレフォーム11に被着させる時の位置調整がしやすいように、各帯状体ごとに織り糸の色を変えておけば作業がしやすくなる。さらに基布5の被着を完了した後、周縁の余分な基布5を切断除去することもできる。基布筒状体10のセットの仕方は、円錐台状のキャビティ形成用凸部の側面部から頂部へと移行するショルダ部分近傍に、異なる熱収縮率物性を持つ帯状体の境目を配置するようにすればよい。もちろん、キャビティ形成用凸部の頂部に被着される帯状体の熱収縮率が、キャビティ形成用凸部の側面部に被着される帯状体の熱収縮率よりも大きく設定される。
【0033】
なお、各帯状体における横糸の打込み本数(インチ幅当たりの本数)は、基布筒状体10’の熱収縮変形等を考慮して適宜設定すればよい。
【0034】
さらに、前記基布筒状体10’の熱収縮が大きく設定されている帯状体(例えば、第1帯状体10a)は、熱収縮が小さく設定されている帯状体(例えば第2の帯状体10b)と比べて、縦糸の打込み本数(インチ幅当たりの本数)が小さく設定されていることが望ましい。第2の帯状体10bと第3の帯状体10cとの関係においても同様である。熱収縮を大きくしたいところを確実に大きく収縮させるようにするためである。縦糸の打込み本数が極端に多過ぎるといくら横糸の熱収縮を大きくしたところで、縦糸に熱収縮を妨げられてしまうおそれがある。この点に特に留意して縦糸の打込み本数を設定する必要がある。なお、各帯状体ごとに縦糸の打ち込み本数を変える場合、縦糸は、各帯状態の境界部分で不連続となるように織られる。もちろん、縦糸の打ち込み本数が変わらない場合には連続した縦糸となるように織られる。
【0035】
なお、基布筒状体10’を構成する横糸や縦糸の熱収縮率は、糸を成形する際の長手方向の延伸率等を変えて熱固定することにより種々のものが簡単に得られる。
【0036】
本発明の布入り筒状ゴム成形体に用いられる基布10としては、ポリアミド(6ナイロン、66ナイロン等)、アラミド、ポリエステル、綿等の糸を用いて平織などにされたものが用いられる。糸の熱収縮率は、上述した延伸および熱固定の手法により、種々のものが作製でき、本発明においては、横糸の熱収縮率は少なくとも2種以上のものが用いられ、これにより2種以上の異なる熱収縮率物性を持つ帯状体を備える基布筒状体が準備される。
【0037】
図1(c)や図5(b)に示されるように加熱により熱収縮した変形後の基布10は、ゴムプレフォーム11の形状に応じた形態を備えている。なお、ゴムプレフォーム11の頂部11aの中央部は最終的に円形状に打ち抜かれるために、基布は必要とされる範囲で頂部周縁付近まで入り込んでいればよい(図1(c))。
【0038】
しかる後、図2(d)に示されるように、下型60と上型50とを一体化させて、ゴムプレフォーム11中に基布10を埋設させながら熱加硫する。この加硫工程において使用する下型60および上型50は、通常、ゴムプレフォーム成形用の金型と共用される。
【0039】
このような最終成形用の金型5を使用した布入り筒状ゴム成形体の成形は、上述のように基布10が被着されたゴムプレフォーム11を表面に装着した下型60と上型50とを係合し、加圧・加熱して行う。加圧は、例えば、数回のバンピングの後に行うことができ、加硫時の温度、時間は使用するゴム材等に応じて適宜設定することができる。
【0040】
このような成形金型5を用いて最終成形を行った後、図2(e)に示されているように、上型50を外し、さらに下型60から布入り筒状ゴム成形体1を取り出し、バリが存在する場合には、このバリを除去し、頂部1aの中央部を円形に穴あけして、布入り筒状ゴム成形体1の製造が完了する(図2(f))。
【0041】
以上のようにして製造された布入り筒状ゴム成形体1の概略斜視図が図3に示される。この図3において、成形体1の頂部1aには、ピストン挿入用の穴1bが形成され、成形体1の側面部1cは、流体機器の作動膜部として用いられて折り返し部分がいわゆるローリング作用をする。フランジ部1dには、シリンダに固定するためのリング状突起が形成されている。本発明では、横糸の熱収縮率が異なる所定の基布筒状体10’を用いているために成形体1の側面部1cの長さを、外径寸法に対して極めて大きくすることができる。この製造状況をさらに、実際に照らして描いたものが図4(a)および(b)に示されており、図4(a)は、図1(b)に相当する図、図4(b)は、図1(c)に相当する図である。図4に示されるように、本発明の製造方法は、所定の基布筒状体を用い、この基布筒状体に熱を加えることにより被着物の形態に変形させることができるので、いわゆる長物の長ストロークが可能な布入り筒状ゴム成形体を製造するのに最適な方法であることわかる。
【0042】
以上のようにして製造された布入り筒状ゴム成形体1は、図6(a)(b)に示されているような流体機器21の作動膜部22として用いられる。図示されているように、この流体機器21は、BFダイヤフラムを用いたシリンダであり、潤滑の必要がなく、振動疲労による破損や漏洩のおそれのないなどの特徴を有している。図6において、(a)はBFダイヤフラムのピストンロッドが後退した状態を示す断面図であり、(b)はBFダイヤフラムのピストンロッドが進出した状態を示す断面図である。図6の図面では明確に示されていないが、本発明においてはローリング作用をする側面部の長さを極めて長く作ることができるので、小径で長ストロークの装置が実現でき、装置のコンパクト化が図れる。また、基布の作り方の違いから耐久性にも優れる。さらには、長ストローク化が可能なことにより、目一杯のストロークが必要ないからさらなる耐久性の向上が図れる。
【0043】
さらに、図6について説明すると、図示のごとく、BFダイヤフラム21の本体は、シリンダ室23を区画形成するケーシング24によって形成されている。このケーシング24の下部には、シリンダ室23内へと進退移動するピストンロッド26が挿通されており、このピストンロッド26の周囲には、これを進出させるためのコイルスプリング27が装着されている。一方、ケーシング24の上部には、圧力供給口28が開口されている。
【0044】
ケーシング24は上部ケーシング24aと下部ケーシング24bとに分割形成されており、これらケーシング24a,24bと一体成形されたリング状の張出し部25a,25bにおいて、一体的にネジ止めされている。そして、下部ケーシング24bの側壁には、流体の入口29aと出口29bとが開口されている。
作動膜部22の周縁部は、ケーシング24a,24bの張出し部25a,25bに挟み込むように装着され、その中心部は、ピストンロッド26の先端部に装着されている。この作動膜部22は気密性を保持しうるように装着されており、シリンダ室23内を圧力室側23aとピストン側23bとに区画している。
【0045】
この作動膜部22として、上述した本発明の布入り筒状ゴム成形体1が用いられる。この布入り筒状ゴム成形体10は、BFダイヤフラム21の圧力室側23aに基布5が位置する状態で組み込まれる。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、従来の深絞りされた基布に代えて、縦糸と横糸とで織られた筒状の基布筒状体であって、横糸の熱収縮率は少なくとも2種以上のものが用いられ、かつ2種以上の異なる熱収縮率物性を持つ帯状体を備える基布筒状体を用いているので、当該基布筒状体を熱収縮させることによりゴムプレフォームの上に基布筒状体を被着させることができる。これにより、耐久性に優れ、小型(コンパクト)かつ長ストロークが実現可能な布入り筒状ゴム成形体が得られる。さらに、製品歩留および作業能率の向上をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、それぞれ、本発明の布入り筒状ゴム成形体の製造方法を経時的に示す説明図である。
【図2】(d)〜(f)は、それぞれ、本発明の布入り筒状ゴム成形体の製造方法を経時的に示す説明図である。
【図3】布入り筒状ゴム成形体の概略斜視図である。
【図4】(a)は、図1(b)に相当する図、(b)は、図1(c)に相当する図である。
【図5】(a)は、ゴム成形体に装着される前の基布筒状体10’の好適な概略斜視図、(b)は、装着後に基布筒状体10’が所定の箇所で所定の熱収縮をしてゴムプレフォーム11の外形形状に類似する形態に変化した状態の概略斜視図である。
【図6】(a)はBFダイヤフラムのピストンロッドが後退した状態を示す断面図であり、(b)はBFダイヤフラムのピストンロッドが進出した状態を示す断面図である。
【図7】絞り成形によって形成された従来の基布のハット形状を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1…布入り筒状ゴム成形体
5…成形金型
10’…基布筒状体
10…基布
10a,10b,10c…帯状体
11…ゴムプレフォーム
50…上型
55…キャビティ凹部
60…下型
61…キャビティ凸部

Claims (5)

  1. 円錐台状のキャビティ形成用凸部を備える下型と、この下型と対をなす円錐台状のキャビティ形成用凹部を備える上型とを有する成形金型を準備し、
    縦糸と横糸とで織られた筒状の基布筒状体であって、横糸の熱収縮率は少なくとも2種以上のものが用いられ、2種以上の異なる熱収縮率物性を持つ帯状体を備える基布筒状体を準備し、
    前記基布筒状体は、円錐台状のキャビティ形成用凸部の側面部から頂部へと移行するショルダ部分近傍に、異なる熱収縮率物性を持つ帯状体の境目が配置され、キャビティ形成用凸部の頂部に被着される帯状体の熱収縮率が、キャビティ形成用凸部の側面部に被着される帯状体の熱収縮率よりも大きく設定されており、前記キャビティ形成用凸部の頂部に被着される帯状体の縦糸の打込本数が、キャビティ形成用凸部の側面部に被着される帯状体の縦糸の打込本数よりも小さく設定されており、
    前記成形金型により未加硫ゴムのゴムプレフォームを形成し、当該ゴムプレフォームを前記円錐台状のキャビティ形成用凸部を備える下型に沿わせて残留させるとともに、上型を離脱させた後、
    当該下型に形成されたゴムプレフォームの上に前記基布筒状体を被着させ、しかる後、当該基布筒状体を熱収縮させるとともに、当該基布筒状体をゴムプレフォームの表面近傍に基布を埋設させつつ、ゴムプレフォームを熱加硫させることを特徴とする布入り筒状ゴム成形体の製造方法。
  2. 前記基布筒状体の熱収縮が行われた後に、ゴムプレフォームの熱加硫が行われる請求項1に記載の布入り筒状ゴム成形体の製造方法。
  3. 前記基布筒状体の熱収縮が行われると同時に、ゴムプレフォームの熱加硫が行われる請求項1または請求項2に記載の布入り筒状ゴム成形体の製造方法。
  4. 前記布入り筒状ゴム成形体は、流体機器の作動膜部として用いられる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の布入り筒状ゴム成形体の製造方法。
  5. 前記布入り筒状ゴム成形体は、折り返し部分を有しローリング作用をするローリングダイヤフラムとして用いられる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の布入り筒状ゴム成形体の製造方法。
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