本発明の一実施形態の車両用シートを図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の車両用シート11は、例えば、車両の車室内に設けられて運転席や助手席等として用いられる一人掛けシートであり、具体的には助手席用のシートである。
車両用シート11は、図1および図2に示す外観をなすもので、車体フロア(図示略)にブラケット12を介して車体前後方向に沿う状態で固定される左右一対のシートレール13,14に搭載されるもので、シートレール13,14で案内されて車体前後方向にスライドする。なお、以下の説明における前後左右は車両用シート11における前後左右である。
車両用シート11は、略水平に沿う姿勢でシートレール13,14に支持されて乗員の主として臀部を支承するシートクッション20と、このシートクッション20の後端部に揺動可能に連結されて乗員の主として背部を支承するシートバック21と、このシートバック21のシートクッション20に対し反対側に支持されて乗員の主として後頭部を支承するヘッドレスト22とを有している。なお、シートバック21はリクライニング可能であるが便宜上略鉛直に沿う起立状態をもって以下に説明する。
シートクッション20は、シートレール13,14にスライド可能に支持されるシートクッションフレーム(シートフレーム)25と、図3〜図6にも示すように、このシートクッションフレーム25上に略水平に沿う姿勢で支持されるシートクッションプレート(板部材,枠板部材)26と、このシートクッションプレート26上に略水平に沿う姿勢で設けられるシートクッションパッド(パッド)27と、シートクッションパッド27の表面27a側つまり上側を覆うネットシート(表皮材)28とを有している。
シートバック21は、図3に示すように、シートクッションフレーム25の後端部に揺動可能に連結されるシートバックフレーム(シートフレーム)31と、シートバックフレーム31の前側にこれに沿う姿勢で設けられる枠状の第1シートバックプレート(板部材,枠板部材)32と、第1シートバックプレート32の前側に設けられるシートバックパッド(パッド)33と、このシートバックパッド33の表面33a側つまり前側を覆うネットシート(表皮材)34と、第1シートバックプレート32の後側に設けられる第2シートバックプレート(緩衝板部,外装板部材)35と、シートバックフレーム31の外側を覆うカバー36とを有している。
ヘッドレスト22は、シートバック21への取付のための左右一対のポスト38が設けられたヘッドレスト本体39と、このヘッドレスト本体39の前側に設けられるヘッドレストパッド(パッド)40と、このヘッドレストパッド40の表面40a側つまり前側を覆うネットシート(表皮材)41とを有している。
シートクッション20についてさらに説明する。
シートクッションフレーム25は、鋼材等の金属材料から形成されるもので、図3および図4に示すように、左右方向に間隔をあけて配置される一対の脚部43,44を有しており、これら脚部43,44において図1および図2に示す一対のシートレール13,14にスライド可能に支持されている。これら脚部43,44は、図3および図4に示すように前端部同士が左右方向に沿う連結部45で連結されており、後端部同士もシートバックフレーム31を介して連結されている。なお、連結部45は例えば円管からなる棒状部材が屈曲されて形成されている。また、両脚部43,44にはそれぞれ上部の前後方向における中間部に下側に凹む凹部47,48が形成されている。
加えて、シートクッションフレーム25は、両脚部43,44の後部にそれぞれ互いに近接する方向に延出するステー50,51が固定され、これらステー50,51には支持フレーム52が前方に延出する状態で固定されている。支持フレーム52は、例えば円管からなる棒状部材が屈曲されて形成されており、ステー50,51に固定されてステー50,51からそれぞれ前方に延出することで左右に並設される一対の側部延出部53,54と、これら側部延出部53,54の前端部同士を連結させるように左右方向に沿う連結部(棒状部)55とを有する略コ字状をなしている。側部延出部53には前後方向に沿う棒状部53aが前後二カ所に形成されており、側部延出部54には前後方向に沿う棒状部54aが前後二カ所に形成されている。ここで、前側の棒状部53a,54a同士の間隔は、後側の棒状部53a,54a同士の間隔よりも広くなっている。
そして、支持フレーム52に弾性変形可能つまり可撓性のシートクッションプレート26が取り付けられている。シートクッションプレート26は、ポリプロピレン等の合成樹脂材料からなる一体成形品で、前側において左右方向に沿いかつ略鉛直に沿う前壁部58と、後側において左右方向に沿いかつ鉛直に対し傾斜する後壁部59と、左右方向一側において前後方向に沿いかつ略鉛直に沿う側壁部(側延部)60と、左右方向逆側において前後方向に沿いかつ略鉛直に沿う側壁部(側延部)61とが略四角枠状に連結され、これらの上側を覆うように上板部62が設けられた形状をなしている。
上板部62は、前側にあって前壁部58および両側壁部60,61の前部に繋がる前板部64と、左右方向一側にあって前板部64の左右方向一側の側部に繋がり左右方向一側の側壁部60に繋がってさらに後壁部59の左右方向一側の側部にも繋がる側板部65と、左右方向逆側にあって前板部64の左右方向逆側の側部に繋がり左右方向逆側の側壁部61に繋がってさらに後壁部59の左右方向逆側の側部にも繋がる側板部66と、これら側板部65,66同士の間つまり左右方向の中央にあって前板部64の同中央に繋がり後壁部59の手前近傍まで延出する中央板部(緩衝板部)67とを有している。
図7〜図9にも示すように、上記した中央板部67の後端部は後壁部59とは前後方向に離間しており、その結果、これらの間に隙間69が形成されている。また、中央板部67と側板部65とは左右方向に離間しており、その結果、これらの間にスリット70が形成されている。同様に、中央板部67と側板部66とは左右方向に離間しており、その結果、これらの間にスリット71が形成されている。ここで、中央板部67は、両側板部65,66および後壁部59とは完全に分離されており、前板部64にのみ片持ち状態で繋がっている。言い換えれば、隙間69およびスリット70,71が平面視コ字状に連続することでシートクッションプレート26は左右方向両側部および後部が開放された形状とされ、隙間69およびスリット70,71の内側にある中央板部67の後部の撓みストロークを大きく確保するようになっている。なお、中央板部67は後側が若干低くなるように傾斜している。
側板部65の中央板部67側つまり左右方向における中央側となる内周縁部は、内側つまり中央板部67の方向に片持ち状に延出する舌片72が前後方向に間隔をあけるように複数平行に形成されることでヒダ状をなしている。その結果、舌片72の隣り合うもの同士の間にはスリット73が形成されている。ここで、舌片72の先端部およびスリット73の底部は円弧状に形成されている。なお、すべての舌片72を含む側板部65は中央板部67側が若干低くなり、かつ後側が若干低くなるように傾斜している。
同様に、側板部66の中央板部67側つまり左右方向における中央側となる内周縁部も、内側つまり中央板部67の方向に片持ち状に延出する舌片74が前後方向に間隔をあけるように複数平行に形成されることでヒダ状をなしている。その結果、舌片74の隣り合うもの同士の間にはスリット75が形成されている。ここで、舌片74の先端部およびスリット75の底部は円弧状に形成されている。なお、すべての舌片74を含む側板部66も中央板部67側が若干低くなり、かつ後側が若干低くなるように傾斜している。ここで、側板部65,66の両方において、舌片72,74の突出長さは中央板部67の延出長さより短くされている。
シートクッションプレート26は、前壁部58および両側壁部60,61の内側に、シートクッションフレーム25の支持フレーム52を配置するようにして支持フレーム52に取り付けられることになる。ここで、前板部64および両側板部65,66には、図8〜図10に示すように、板厚方向に沿って下方に突出する嵌合取付部(取付部)76,77,78がそれぞれ複数具体的には二カ所ずつ形成されている。
前板部64に形成された左右二カ所の取付部76は、図8に示すように、前後方向に直交する方向に沿う姿勢で板厚方向に沿って下方に直線状に突出する突出片部76Aと、この突出片部76Aの下端から一旦中央板部67とは反対側に位置した後に中央板部67側に位置するように、突出片部76Aの延長上近傍に配置された軸線を中心とした円弧状に湾曲する嵌合片部76Bとを有しており、その結果、取付部76には突出片部76Aと嵌合片部76Bとの間に常時開放の取付用開口部76Cが形成されている。嵌合片部76Bは半円よりも大きい円弧状をなしている。
側板部65に形成された前後二カ所の取付部77は、図10にも示すように、左右方向に直交する方向に沿う姿勢で板厚方向に沿って下方に直線状に突出する突出片部77Aと、この突出片部77Aの下端から一旦中央板部67とは反対側に位置した後に中央板部67側に位置するように、突出片部77Aの延長上近傍に配置された軸線を中心とした円弧状に湾曲する嵌合片部77Bとを有しており、その結果、取付部77には突出片部77Aと嵌合片部77Bとの間に常時開放の取付用開口部77Cが形成されている。嵌合片部77Bも半円よりも大きい円弧状をなしている。
側板部66に形成された前後二カ所の取付部78も、左右方向に直交する方向に沿う姿勢で板厚方向に沿って下方に直線状に突出する突出片部78Aと、この突出片部78Aの下端から一旦中央板部67とは反対側に位置した後に中央板部67側に位置するように、突出片部78Aの延長上近傍に配置された軸線を中心とした円弧状に湾曲する嵌合片部78Bとを有しており、その結果、取付部78には突出片部78Aと嵌合片部78Bとの間に常時開放の取付用開口部78Cが形成されている。嵌合片部78Bも半円よりも大きい円弧状をなしている。
上記シートクッションプレート26は、支持フレーム52に取り付けられる際に、図9に示すように、前板部64の各取付部76の嵌合片部76Bの湾曲内側に支持フレーム52の連結部55を嵌合させ、側板部65の取付部77の嵌合片部77Bの湾曲内側に支持フレーム52の棒状部53aを嵌合させ、さらに、側板部66の取付部78の嵌合片部78Bの湾曲内側に支持フレーム52の棒状部54aを嵌合させて取り付けられる。
上記取付状態で、取付部76は、図9に示すように、連結部55をその軸線周りに部分的に囲む形状をなすことになり、図8に示す常時開放の取付用開口部76Cが連結部55の軸線方向に沿って横断することになる。
上記取付状態で、図9,図10に示すように、取付部77は、棒状部53aをその軸線周りに部分的に囲む形状をなすことになり、常時開放の取付用開口部77Cが棒状部53aの軸線方向に沿って横断することになる。
上記取付状態で、取付部78は、図9に示すように、棒状部54aをその軸線周りに部分的に囲む形状をなすことになり、常時開放の取付用開口部78Cが棒状部54aの軸線方向に沿って横断することになる。
以上により、前板部64は支持フレーム52の連結部55を中心に若干ながら回動可能となり、側板部65も支持フレーム52の側部延出部53を中心に若干ながら回動可能となり、側板部66も支持フレーム52の側部延出部54を中心に若干ながら回動可能となる。
なお、上記取付状態で、シートクッションプレート26は、一対の側部延出部53,54の並設方向つまり左右方向において相反する両側縁部側それぞれに板厚方向に突出して取付部77,78を備えている。
また、上記取付状態で、シートクッションプレート26には、一対の側部延出部53,54の相反側にそれぞれ対向しかつ側部延出部53,54に沿って延在する一対の側壁部60,61が取付部77,78よりも外側に形成されるとともに、取付部77の側壁部60とは反対側に側部延出部53に沿って延在するスリット70が形成され、取付部78の側壁部61とは反対側に側部延出部54に沿って延在するスリット71が形成されていて、取付部77にはスリット70側に取付用開口部77Cが形成され、取付部78にはスリット71側に取付用開口部78Cが形成されている。
そして、シートクッションプレート26をシートクッションフレーム25に取り付ける際には、まず、前下がりの状態として取付部76を連結部55に係止させた状態で、一対の側壁部60,61を両手で持ち、これらを互いに離間する方向に捻ってシートクッションプレート26を撓ませる。すると、スリット70,71が形成されていることによって、スリット70,71よりも各側壁部60,61側がそれぞれ容易に回動し、その結果、側壁部60よりもスリット70側の取付部77および側壁部61よりもスリット71側の取付部78が容易に離間する。その結果、各取付部77,78のスリット70,71側に形成された取付用開口部77C,78Cが互いに離間する。この状態で、シートクッションプレート26を連結部55を中心に回動させて略水平とすることで、両取付部77,78の間に一対の側部延出部53,54を位置させることになり、その後、シートクッションプレート26の撓みを解除すると、取付部77に取付用開口部77C側から側部延出部53が進入するとともに取付部78に取付用開口部78C側から側部延出部54が進入し、その結果、シートクッションプレート26がシートクッションフレーム25に取り付けられる。
ここで、取付部76が前板部64の前壁部58側の縁部近傍に、取付部77が側板部65のこれに近接する側壁部60側の縁部に、取付部78が側板部66のこれに近接する側壁部61側の縁部に、それぞれ形成されており、その結果、側板部65のすべての舌片72、側板部66のすべての舌片73および中央板部67は、それぞれ全体が支持フレーム52よりも水平方向内側に配置されることになる。
なお、前壁部58、側壁部60,61および後壁部59の下端縁部には、上記したネットシート28を係止するための図10に示す係止溝(被係止部)80がシートクッションプレート26の全周にわたるように形成されている。この係止溝80は、底部側が幅の広い係止空間81とされており、この係止空間81よりも開口側はその幅が係止空間81よりも狭い括れ部82とされている。
シートクッションプレート26の中央板部67と支持フレーム52との間には図8および図9に示すように、スプリング(弾性部材)84が介装されている。つまり、支持フレーム52の側部延出部53の内側に固定された係合部85と、シートクッションプレート26の中央板部67の側板部65側に固定された係合部86との間にコイル状のスプリング84が軸線を左右方向に配置した状態で介装されており、このような支持構造部87が前後方向に離間して複数具体的には二カ所設けられている。同様に、支持フレーム52の側部延出部54の内側に固定された係合部88と、シートクッションプレート26の中央板部67の側板部66側に固定された係合部89との間にコイル状のスプリング84が軸線を左右方向に配置した状態で介装されており、このような支持構造部90が前後方向に離間して複数具体的には二カ所設けられている。
以上のシートクッションプレート26は、前壁部58、後壁部59、両側壁部60,61、前板部64および両側板部65,66が、シートクッションパッド27の裏面27bつまり下面の外周縁部に対向配置されるとともに左右両側の内周縁部に内方に突出する舌片72,74が複数形成されてなる枠部93を構成している。そして、この枠部93の一側つまり前側の内周縁部からこの枠部93で囲まれるように逆側つまり後側の内周縁部に向けてこの後側の内周縁部の手前近傍まで中央板部67が延出している。ここで、中央板部67および支持構造部87,90が、シートクッションプレート26のシートクッションパッド27とは反対側に、シートクッションパッド27の裏面27bの中央側に対向配置される弾性の緩衝機構83を構成している。
シートクッションパッド27は、例えばウレタンフォーム等の発泡材からなるもので、シートクッションプレート26の上側にこれを覆うように載置される。シートクッションパッド27は、図10に示すように、左右方向の両端部が土手状に若干高くなる形状をなしており、これら土手状部分のすぐ内側に、上記したネットシート28を係止するための係止溝(被係止部)94が前後方向に沿って延在形成されている。この係止溝94は、底部側が幅の広い係止空間95とされており、この係止空間95よりも開口側はその幅が係止空間95よりも狭い括れ部96とされている。
シートクッションパッド27は、シートクッションプレート26の上側にこれを覆うように載置された状態で左右方向の両縁部つまり土手側部分の裏面27b側がシートクッションプレート26の両側板部65,66に載置され、左右方向の中央部つまり座面側部分の裏面27b側がシートクッションプレート26の中央板部67に載置される。その結果、シートクッションパッド27の土手側部分への乗員の体圧をシートクッションプレート26の主に側板部65,66で受け、シートクッションパッド27の座面側部分への乗員の体圧を同じシートクッションプレート26の主に中央板部67で受ける。
ネットシート28は、熱可塑性の合成樹脂材料からなる立体構造の編み物形状をなすものであって、柔軟性を有しており、金型で加熱圧縮成形されることで、図10に示すように、厚さが比較的厚い端部係止部(係止部)97が形成されるとともにこの端部係止部97よりも内側部分の厚さがこれよりも薄くなる形状に端末部が固められている。この端部係止部97は、シートクッションプレート26の係止溝80の係止空間81まで嵌合されることで係止溝80の括れ部82に係止される。つまり、ネットシート28は、枠状のシートクッションプレート26に裏面27bの外縁側を対向配置させるようにして当接させられ載置させられたシートクッションパッド27にその表面27a側を覆うように被せられるとともに、その端部係止部97がシートクッションパッド27の裏面27b側のシートクッションプレート26に形成された係止溝80に嵌合され括れ部82に係止されることでシートクッションパッド27をシートクッションプレート26との間に保持する。なお、ネットシート28はシートクッションパッド27に接着される一方、シートクッションパッド27はシートクッションプレート26に対し非接着とされる。
また、ネットシート28は、中間所定位置がヒダ状に摘まれ、その先端側が金型により加熱圧縮成形されることで、厚さが比較的厚い中間係止部98が形成されるとともにこの中間係止部98よりも内側の厚さがこれよりも薄くなるように固められている。この中間係止部98は、シートクッションパッド27の係止溝94の係止空間95まで嵌合されることで係止溝94の括れ部96に係止される。これによりネットシート28が浮くことなくシートクッションパッド27の表面27aに沿う形状をなすことになる。
シートクッション20は、ネットシート28で上側の露出する外面つまり意匠面が構成され、中間部が開放された形状のシートクッションプレート26で下側の露出する外面つまり意匠面が構成され、これらの間にシートクッションパッド27を保持する構造であるため、図11に示すように、厚さが薄くなり車体フロアとの間に隙間を確保できて後部座席乗員の足入れ性を向上させることができるとともに、通気性が向上し蒸れの生じにくい構造になる。
ここで、シートクッションフレーム25の両脚部43,44の凹部47,48は、シートクッションフレーム25の支持フレーム52およびシートクッションプレート26との間に上下方向の隙間を有しており、その結果、図1および図2にも示すように、シートクッション20には、シートクッションパッド27よりも下側に左右方向に貫通する貫通孔99が形成されている。よって、車両用シート11のシート下にトレイを設ければ、このトレイに横からアクセスでき使い勝手性に優れることになる。また、センターウォークスルー仕様の車に適用すれば、シート下に長尺物を車幅方向に延在する状態で収納できる。運転席シートも同様の構造にすれば、さらに長い長尺物を収納できる。また、シート下に車幅方向に長尺物を挿入できるため、ドアを開けてすぐに収納でき、雨天時の傘の収納等に便利である。
以上のようなシートクッション20において、乗員が着席するとネットシート28を介してシートクッションパッド27が弾性変形して反力を発生させ、また、シートクッションパッド27で押されることによりシートクッションプレート26の前板部64が取付部76を支持フレーム52に対し回動させながら弾性変形して反力を発生させ、シートクッションプレート26の中央板部67が乗員の重心の下方にある後部を下げるように自ら弾性変形するとともにスプリング84を弾性変形させて反力を発生させ、シートクッションプレート26の両側板部65,66も取付部77,78を支持フレーム52に対し回動させながら弾性変形して反力を発生させ、各舌片72,74も先端側を下げるように弾性変形し反力を発生させることから、十分なクッションストロークが得られるとともに最適な体圧分布が得られて乗員を安定姿勢で確実に保持できる。
また、車両のコーナリング走行時等において乗員に左右方向の体重移動があると、体重が移動する側の例えば側板部65が取付部77を支持フレーム52に対しより大きく回動させながらより大きく弾性変形してより大きな反力を発生させ、側板部65の舌片72もより大きく弾性変形してより大きな反力を発生させ、また中央板部67も捻れるように自ら弾性変形するとともに体重移動する側のスプリング84をより大きく弾性変形させることでより大きな反力を発生させることから、乗員を安定姿勢で確実に保持できる。
上記したシートクッションプレート26の材質および厚さや、舌片72,74の数、位置、幅、間隔および長さや、中央板部67の幅および長さ、さらにはスプリング84の弾性力等のうち、適宜のものを調整することでシートクッション20の特性を変更することができる。また、複数ある取付部76,77,78を選択的に回動可能・回動不可としたりすることでも特性を変更することができる。
次に、上記シートバック21について説明する。
シートバックフレーム31は、鋼材等の金属材料から形成されるもので、図3に示すように、左右方向に間隔をあけて配置される一対の支柱部101,102を有しており、これら支柱部101,102は下端部同士が左右方向に沿う連結軸104で連結されている。また、シートバックフレーム31は支柱部101,102の連結軸104に対し反対側同士が左右方向に沿う架設部103で連結されており、連結軸104を合わせると全体として四角枠状をなす。なお、シートバックフレーム31はシートクッションフレーム25の後端部に連結軸104の位置で揺動可能に支持されており、連結軸104と同軸線を中心に揺動する。
一方の支柱部101は、図12に示すように、左右方向に直交する状態で略鉛直に沿って延在する底板部105と、この底板部105の前側の縁部から左右方向外側に屈曲される前板部(被係止部)106と、底板部105の後側の縁部から左右方向外側に屈曲される後板部107とを有しており、これらによって、左右方向における外側に開口する凹部108が形成されている。
同様に、他方の支柱部102は、図13に示すように、左右方向に直交する状態で略鉛直に沿って延在する底板部110と、この底板部110の前側の縁部から左右方向外側に屈曲される前板部(被係止部)111と、底板部10の後側の縁部から左右方向外側に屈曲される後板部112とを有しており、これらによって、左右方向における外側に開口する凹部113が形成されている。
架設部103は、図14に示すように、略水平に沿う状態で左右方向に延在する底板部115と、この底板部115の前側の縁部から上方に立ち上がる前板部(被係止部)116と、底板部115の後側の縁部から上方に立ち上がる後板部117とを有しており、これらによって、外側である上方に開口する凹部118が形成されている。
ここで、一方の支柱部101の底板部105、架設部103の底板部115および他方の支柱部102の底板部110は連続しており、一方の支柱部101の前板部106、架設部103の前板部116および他方の支柱部102の前板部111も連続していて、さらに、一方の支柱部101の後板部107、架設部103の後板部117および他方の支柱部102の後板部112も連続している。その結果、一方の支柱部101の凹部108、架設部103の凹部118および他方の支柱部102の凹部113も連続している。つまり、シートバックフレーム31は、左右方向における両側部の支柱部101,102および揺動中心に対し反対側の架設部103が、外側に開放する凹形状をなしており、この凹形状が一方の支柱部101から架設部103さらに他方の支柱部102まで連続するように続く形状をなしている。
そして、図3に示すように、シートバックフレーム31の両支柱部101,102の前板部106,111および架設部103の前板部116に弾性変形可能つまり可撓性の第1シートバックプレート32が当接状態で固定されている。第1シートバックプレート32は、ポリプロピレン等の合成樹脂材料からなる一体成形品で、図3および図7に示すように、左右方向に延在する上板部121と、上板部121の左右方向一側から連結軸104側つまり下側に延出する側板部122と、上板部121の左右方向逆側から連結軸104側つまり下側に延出する側板部123と、両側板部122,123の下端部同士を繋げるように左右方向に延在する下板部124とを有している。これにより、第1シートバックプレート32は、四角枠状をなし、中央に空間部125が形成された形状をなす。
そして、上板部121の空間部125側の内周縁部は、空間部125の方向つまり内側に片持ち状に延出する舌片128が上板部121の延在方向つまり左右方向に間隔をあけて複数平行に形成されることでヒダ状をなしている。その結果、舌片128の隣り合うもの同士の間にスリット129が形成される。
同様に、下板部124の空間部125側の内周縁部も、空間部125の方向つまり内側に片持ち状に延出する舌片130が下板部124の延在方向つまり左右方向に間隔をあけて複数平行に形成されることでヒダ状をなしている。その結果、舌片130の隣り合うもの同士の間にスリット131が形成される。
同様に、側板部122の空間部125側の内周縁部も、空間部125の方向つまり内側に片持ち状に延出する舌片132が側板部122の延在方向つまり上下方向に間隔をあけて複数平行に形成されることでヒダ状をなしている。その結果、舌片132の隣り合うもの同士の間にスリット133が形成される。
同様に、側板部123の空間部125側の内周縁部も、空間部125の方向つまり内側に片持ち状に延出する舌片134が側板部123の延在方向つまり上下方向に間隔をあけて複数平行に形成されることでヒダ状をなしている。その結果、舌片134の隣り合うもの同士の間にスリット135が形成される。ここで、すべての舌片128,130,132,134の先端部およびすべてのスリット129,131,133,135の底部は円弧状に形成されている。
第1シートバックプレート32は、シートバックフレーム31の支柱部101の前板部106に側板部122が、支柱部102の前板部111に側板部123が、架設部103の前板部116に上板部121がそれぞれ前側(シートバックパッド33に対し反対側)において当接させられて、図7、図12および図13に示すように樹脂製のクリップ138で取り付けられ固定される。ここで、第1シートバックプレート32は、上板部121、両側板部122,123のそれぞれの外側の縁部つまり空間部125に対し反対側の縁部においてシートバックフレーム31に当接されられることになり、その結果、すべての舌片128,130,132,134は、それぞれ全体がシートバックフレーム31よりも内側に配置されることになる。
ここで、すべての舌片128,130,132,134は、先端側ほどシートバックフレーム31側つまり後側に位置するように若干傾斜している。
シートバックパッド33は、例えばウレタンフォーム等の発泡材からなるもので、第1シートバックプレート32の前側にこれを覆うように配置されている。シートバックパッド33は第1シートバックプレート32よりも一回り小さくされている。
シートバックパッド33は、第1シートバックプレート32の前側にこれを覆うように配置された状態で外周縁部つまり土手側部分の裏面33b側が第1シートバックプレート32の上板部121、両側板部122,123および下板部124に当接させられ、左右方向の中央部つまり座面側部分の裏面33b側が空間部125に対向配置されている。
ネットシート34は、熱可塑性の合成樹脂材料からなる立体構造の編み物形状をなすものであって、柔軟性を有しており、端末部には金型で加熱圧縮成形されて固められることで、図12〜図14に示すように、第1端部係止溝部(係止部)141とこの第1端部係止溝部141よりも内側に位置してこの第1端部係止溝部141とは逆向きに開口する第2端部係止溝部142とが形成されている。第1端部係止溝部141は、シートバックフレーム31の支柱部101の凹部108の前壁を形成する前板部106の外周縁部、架設部103の凹部118の前壁を形成する前板部116の外周縁部および支柱部102の凹部113の前壁を形成する前板部111の外周縁部を嵌合させることでこれらつまりシートバックフレーム31に係止される。つまり、ネットシート34は、シートバックフレーム31に固定された第1シートバックプレート32の前に配置されたシートバックパッド33にその表面33a側を前から覆うように被せられるとともに、その第1端部係止溝部141が、シートバックパッド33の裏面33b側に設けられたシートバックフレーム31のすべての前板部106,111,116に係止されることでシートバックパッド33を第1シートバックプレート32との間に保持する。なお、ネットシート34はシートバックパッド33に接着される一方、シートバックパッド33は第1シートバックプレート32に対し非接着とされる。また、ネットシート34の第1端部係止溝部141はシートバックフレーム31の前板部106,111,116に嵌合により固定される。
上記状態で、シートバックフレーム31は、その一対の支柱部101,102がシートバックパッド33の両側縁部に沿い、架設部103がシートバックパッド33の上縁部に沿うことになる。そして、シートバックフレーム31には、一対の支柱部101,102においてそれぞれ左右方向外側に開口し架設部103において上方に開口する凹部108,118,113が、一方の支柱部101、架設部103および他方の支柱部102に連続的に形成されることになる。
なお、上記のように第1端部係止溝部141でシートバックフレーム31に係止された状態において、ネットシート34の第2端部係止溝部142は外側に凹の溝形状をなすことになる。
第2シートバックプレート35は、弾性変形可能つまり可撓性のポリプロピレン等の合成樹脂材料からなる一体成形品であり、シートバックフレーム31の内側つまりシートバックフレーム31で囲まれた空間部144にこれを閉塞させるように配置されるもので、第1シートバックプレート32よりも後側にあってシートバックパッド33の裏面33bの中央側に対向配置される。ここで、第2シートバックプレート35は、シートバックフレーム31の内周面31cに対し若干の隙間をもつように近接配置され、その結果、第1シートバックプレート32およびシートバックパッド33の後方への露出を防ぐ。また、第2シートバックプレート35は、シートバックパッド33の左右方向の中央部つまり座面側部分の裏面33b側に当接させられる。その結果、シートバック21は、シートバックパッド33の外周縁部側つまり土手側部分への乗員の体圧を第1シートバックプレート32で受け、シートバックパッド33の中央側つまり座面側部分への乗員の体圧を第1シートバックプレート32とは異なる第2シートバックプレート35の前面35aで主に受ける。
第2シートバックプレート35は、シートバックフレーム31に対して前後に移動可能に設けられるもので、具体的には、シートバックフレーム31の連結軸104にこの連結軸104を中心に全体が回動するように下部が支持されるとともに、図12に示すように、前面35aに配置されたスプリング(弾性部材)146でシートバックフレーム31に支持される。つまり、シートバックフレーム31の支柱部101の底板部105の空間部144側に固定された係合部148と、第2シートバックプレート35の支柱部101側かつ第1シートバックプレート32側に固定された係合部149との間にコイル状のスプリング146が軸線を左右方向に配置した状態で介装されており、このような支持構造部150が図7に示すように、上下に離間して複数具体的には二カ所設けられている。
同様に、図13に示すように、シートバックフレーム31の支柱部102の底板部110の空間部144側に固定された係合部152と、第2シートバックプレート35の支柱部102側かつ第1シートバックプレート32側に固定された係合部153との間にコイル状のスプリング146が軸線を左右方向に配置した状態で介装されており、このような支持構造部154が上下に離間して複数具体的には二カ所設けられている。
ここで、第2シートバックプレート35の左右方向における両端部近傍には、スプリング146を収納するため中央部よりも第1シートバックプレート32から離間するように段差状をなす段差部156が形成されている。
これら第2シートバックプレート35および支持構造部150,154が、第1シートバックプレート32のシートバックパッド33とは反対側において、シートバックパッド33の裏面33bの中央側に対向配置される弾性の緩衝機構157を構成している。
なお、図11〜図14に示すように、第2シートバックプレート35の後面35bは、車両用シート11の後側の外部に露出する外面つまり意匠面を構成している。また、シートバックフレーム31は、その両支柱部101,102の後面107b,112bおよび内面105c,110cの第2シートバックプレート35よりも後側と、架設部103の後面117bおよび内面115cの第2シートバックプレート35よりも後側とが車両用シート11の後側の外部に露出する外面つまり意匠面を構成している。言い換えれば、第2シートバックプレート35の後面35bと、シートバックフレーム31の後面31bと、シートバックフレーム31の内周面31cの第2シートバックプレート35よりも後側とが後方に露出している。
また、第2シートバックプレート35は、乗員が着席しない状態ではその後面35bがシートバックフレーム31の後板部107,112,117の後面107b,112b,117bよりも前側に位置しており、その結果、第2シートバックプレート35とシートバックフレーム31とで構成されるシートバック21の後部が全体としてその中央に前方に凹むシートバック凹部159が形成された形状となり、後部座席乗員のニークリアランスを確保可能となっている。
シートバック21は、ネットシート34で前側の露出する外面つまり意匠面が構成され、中間部が第2シートバックプレート35で後側の露出する外面つまり意匠面が構成され、これらの間にシートバックパッド33および開放形状の第1シートバックプレート32を保持する構造であるため、厚さが薄くなり、この点からも後部座席乗員のニークリアランスをさらに確保可能となっている。また、第1シートバックプレート32が開放形状であり第2シートバックプレート35がシートバックフレーム31との間に隙間を有していることから、通気性が向上し蒸れの生じにくい構造になる。
カバー36は、図3に示すように、シートバックフレーム31の外側に開口する両支柱部101,102の両凹部108,113の開口側および架設部103の凹部118の開口側を覆う合成樹脂製のもので、図12に示すように支柱部101の凹部108を覆う板状の側部閉塞部161と、図13に示すように支柱部102の凹部113を覆う板状の側部閉塞部162とこれら側部閉塞部161,162の端部同士を繋ぐように設けられて架設部103の凹部118を覆う図14に示す板状の上部閉塞部163とを有しており、全体としてコ字状をなしている。
カバー36は、車両用シート11における窓側つまりこの場合右ハンドル車の助手席用シートであることから左側の側部閉塞部161の下部に、シートバック21の角度を調節するリクライニング機構を操作するための図3等に示すレバー165が取り付けられている。
図12に示すように、側部閉塞部161の前側の端縁部には他方の側部閉塞部162側に突出する前側係止部167が形成されており、後側の端縁部にも同側に突出する後側係止部168が形成されている。同様に、図13に示すように、側部閉塞部162の前側の端縁部には他方の側部閉塞部161側に突出する前側係止部169が形成されており、後側の端縁部にも同側に突出する後側係止部170が形成されている。同様に、図14に示すように、上部閉塞部163の前側の端縁部には下方に突出する前側係止部171が形成されており、後側の端縁部にも同側に突出する後側係止部172が形成されている。
カバー36は、前側係止部167,169,171が、シートバックフレーム31の前板部106,111,116に第1端部係止溝部141で係止された状態のネットシート34の第2端部係止溝部142に嵌合されて係止され、後側係止部168,170,172がシートバックフレーム31の後板部107,112,117のそれぞれの後側に係止されることでシートバックフレーム31に係止される。
ここで、シートバック21側のネットシート34の係止を上記したシートクッション20側と同様にしても良い。つまり、ネットシート34の端末部に金型で加熱圧縮成形することで、図15に示すように、厚さが比較的厚い端部係止部(係止部)143Aを形成するとともに、シートバックフレーム31にクリップ138で取り付けられる第1シートバックプレート32の外周縁部に、底部側が幅の広い係止空間143Bとされ、この係止空間143Bよりも開口側が係止空間143Bよりも幅の狭い括れ部143Cとされた外側開口の係止溝143Dを形成し、この係止溝143Dの係止空間143Bまでつまり括れ部143Cで係止される位置まで端部係止部143Aを嵌合させるのである。この場合、カバー36の前側係止部167,169,171を係止させる係止溝145が第1シートバックプレート32に形成される。
以上のようなシートバック21において、着席した乗員が寄りかかるとネットシート34を介してシートバックパッド33が弾性変形して反力を発生させ、また、シートバックパッド33で押されることにより、第1シートバックプレート32の上板部121、両側板部122,123および下板部124とそれぞれの各舌片128,130,132,134が先端側を後方に位置させるように弾性変形して反力を発生させ、第2シートバックプレート35も連結軸104を中心に回動して後方に位置するように移動しスプリング146を弾性変形させるとともに必要により自らも弾性変形して反力を発生させることから、十分なクッションストロークが得られるとともに最適な体圧分布が得られて乗員を安定姿勢で確実に保持できる。
また、車両のコーナリング走行時等において乗員に左右方向の体重移動があると、体重が移動する側の例えば側板部122およびその舌片128が大きく変形し、また第2シートバックプレート35も捻れるように姿勢を変更することで体重が移動する側のスプリング146を大きく弾性変形させてより大きな反力を発生させることから、乗員を確実に保持できる。
なお、乗員が寄りかかることで、第2シートバックプレート35が連結軸104を中心に回動して後方に移動しても第2シートバックプレート35はシートバックフレーム31の後板部107,112,117よりも前側に位置し、シートバック21の後面の中央に前方に凹むシートバック凹部159を維持し、リアシートの乗員に対する大きなニークリアランスを維持するようになっている。
シートバック21においても、第1シートバックプレート32の材質および厚さや、舌片128,130,132,134の数、位置、間隔、幅および長さ、さらには第2シートバックプレート35の材質および厚さや、これを支持するスプリング146の弾性力等を調整することでその特性を変更することができる。
ここで、上記のようにシートバック21の中央側つまり座面側の乗員の体圧を受ける第2シートバックプレート35は、外周縁側つまり土手側の乗員の体圧を受ける第1シートバックプレート32とは別体とされてスプリング146で支持されるため、大きな変位が可能となる。
次に、ヘッドレスト22について説明する。
図16に示すヘッドレスト22のヘッドレスト本体39は、ポリプロピレン等の合成樹脂の発泡材からなっており、例えば、金型に一対の図3に示すポスト38を配置するとともに金型内のキャビティにポリプロピレンビーズを投入して、金型を加熱しポリプロピレンビーズをキャビティ内で発泡させることでキャビティでかたどられる形状に形成される。
なお、ヘッドレスト本体39のポスト38よりも前側の周縁部には、図16に示すように、上記したネットシート41を係止するための係止溝(被係止部)175が全周にわたるように形成されている。この係止溝175は、底部側が幅の広い係止空間176とされており、この係止空間176よりも開口側がその幅が係止空間176よりも狭い括れ部177とされている。
ヘッドレストパッド40は、例えばウレタンフォーム等の発泡材からなるもので、ヘッドレスト本体39の前側にこれを覆うように設けられる。
ネットシート41は、合成樹脂材料からなる立体構造の編み物形状をなすものであって、加熱圧縮されることで、厚さが比較的厚い端部係止部(係止部)179が形成されるとともにこの端部係止部179よりも内側部分の厚さがこれよりも薄くなる形状に端末部が固められている。この端部係止部179は、ヘッドレスト本体39の係止溝175の係止空間176まで嵌め込まれることで括れ部177に係止される。つまり、ネットシート41は、ヘッドレスト本体39の前に配置されたヘッドレストパッド40にその表面40aを覆うように被せられるとともに、その端部係止部179が係止溝175に係止されることでヘッドレストパッド40をヘッドレスト本体39との間に保持する。なお、ネットシート41はヘッドレストパッド40に接着されることになる。
シートバックフレーム31の凹部108,113,118とカバー36とで形成される空間はデバイス類の収納空間として利用されている。
つまり、図14に示すように、シートバックフレーム31の架設部103の凹部118内には、ヘッドレスト22の一対のポスト38を嵌合させることでヘッドレスト22をシートバックフレーム31に支持させる左右一対(一方のみ図示)の筒状のガイド181からなる支持部(デバイス類)182が架設部103の底板部115に溶接等で固定されて設けられている。つまり、一対のガイド181からなる支持部182はシートバックフレーム31の架設部103の凹部118とカバー36の上部閉塞部163とで囲まれた空間に収納され、言い換えれば、シートバックフレーム31の架設部103の凹部118とカバー36の上部閉塞部163とで形成される空間がヘッドレスト22を支持するための支持部182用の収納空間183とされている。なお、カバー36の上部閉塞部163には、ヘッドレスト22の一対のポスト38をガイド181に挿入させるための挿入穴184が左右に離間して一対形成されている。
また、シートバックフレーム31の車両用シート11における窓側つまりこの場合右ハンドル車の助手席用シートであることから左側の支柱部101の凹部108の下部には、図17に示すように、シートバック21の角度を調節するリクライニング機構(デバイス類)186の一部が配置されている。つまり、リクライニング機構186はシートバックフレーム31の支柱部101の凹部108とカバー36の側部閉塞部161とで囲まれた空間に収納され、言い換えれば、シートバックフレーム31の支柱部101の凹部108とカバー36の側部閉塞部161とで形成される空間がリクライニング機構186用の収納空間187とされている。
さらに、シートバックフレーム31の車両用シート11における窓側つまり左側の支柱部101の凹部108の上下方向における中間部には、図12に示すように、サイドエアバッグモジュール(デバイス類)190が配置されている。つまり、サイドエアバッグモジュール190はシートバックフレーム31の支柱部101の凹部108とカバー36の側部閉塞部161とで囲まれた空間に収納され、言い換えれば、シートバックフレーム31の支柱部101の凹部108とカバー36の側部閉塞部161とで形成される空間がサイドエアバッグモジュール190用の収納空間191とされている。
ここで、カバー36の側部閉塞部161におけるサイドエアバッグモジュール190用の収納空間191を覆う部分は、図1および図2に示すように、他の部分とは分割されることで単独で取外可能なエアバッグリッド192とされている。そして、サイドエアバッグモジュール190の作動時に、このエアバッグリッド192は、展開するサイドエアバッグで押圧されてその前側係止部167がネットシート34の第2端部係止溝部142から外れるとともにその後側係止部168がシートバックフレーム31の左側の支柱部101の後板部107から外れて全体としてシートバックフレーム31から外れ、その結果、凹部108が開口しこの部分からサイドエアバッグが外側に展開することになる。
さらに、シートバックフレーム31の車両用シート11における左側の支柱部101の凹部108の上下方向における中間部であってサイドエアバッグモジュール190よりも上側の部分には、図18に示すように、着席した乗員の座高を検出する座高検知センサおよび着席した乗員の頭部の位置を検出する頭部検知センサからなる乗員姿勢検知システムの制御ユニット(デバイス類)194が配置されている。つまり、乗員姿勢検知システムの姿勢検知制御ユニット194はシートバックフレーム31の支柱部101の凹部108とカバー36の側部閉塞部161とで囲まれた空間に収納され、言い換えれば、シートバックフレーム31の支柱部101の凹部108とカバー36の側部閉塞部161とで形成される空間が姿勢検知制御ユニット194用の収納空間195とされている。
また、シートバックフレーム31の車両用シート11における車体中央側つまりこの場合右ハンドル車の助手席用シートであることから右側の支柱部102の凹部113の上部には、図13および図19に示すように、フック機構部(デバイス類)197が配置されている。つまり、カバー36の側部閉塞部162における上部にはカバー36の側部閉塞部162の全体的な外面よりも奥方に凹む凹部198が形成され、この凹部198の下部にフック199が上側に突出するように設けられている。ここで、フック199および凹部198は側部閉塞部162の全体的な外面よりも外側に突出しないように設けられており、その結果、凹部198およびフック199からなるフック機構部197は側部閉塞部162の全体的な外面よりも内側に出っ張る。つまり、このフック機構部197が、シートバックフレーム31の支柱部102の凹部113内の空間に収納され、言い換えれば、シートバックフレーム31の支柱部102の凹部113内の空間がフック機構部197の内側への出っ張りを収納する収納空間200とされている。なお、フック機構部197をシートバックフレーム31の逆側の支柱部101に設け、この支柱部101の凹部108の空間をフック機構部197の内側への出っ張りを収納する収納空間としても良い。
加えて、シートバックフレーム31の車両用シート11における右側の支柱部102の凹部113の下部には、図19および図20に示すように携帯電話収納部(デバイス類)202が配置されている。つまり、カバー36の側部閉塞部162における下部つまりフック機構部197よりも下側は、カバー36の側部閉塞部162の全体的な外面よりも奥方に凹む凹部203が形成され、この凹部203の下側に蓋部204が形成されて奥方かつ下方に凹むポケット状をなしている。ここで、蓋部204は側部閉塞部162の全体的な外面と同一面をなしており、その結果、凹部203は側部閉塞部162の全体的な外面よりも内側に出っ張る。つまり、この携帯電話収納部202の凹部203が、シートバックフレーム31の支柱部102の凹部113内の空間に収納され、言い換えれば、シートバックフレーム31の支柱部102の凹部113の空間が携帯電話収納部202の内側への出っ張りを収納する収納空間205とされている。なお、携帯電話収納部202をシートバックフレーム31の逆側の支柱部101に設け、この支柱部101の凹部108の空間を携帯電話収納部202の内側への出っ張りを収納する収納空間としても良い。
他にも、上記したサイドエアバッグモジュール190および乗員姿勢検知システム等のハーネス類(デバイス類)もシートバックフレーム31の凹部108とカバー36とで形成される空間に収納することで外観品質が向上させられている。さらに、支柱部101の凹部108の空間をスピーカや昇降用の手掛け部を収納する収納空間としても良い。
なお、以上の実施形態では、本実施形態の車両用シート11を車両の助手席に適用する場合を例にとり説明したが、助手席以外の車両用シート11にも勿論適用可能である。例えば、運転席に適用する場合、リクライニング機構186およびサイドエアバッグモジュール190を左右方向逆側に設ける等の変更を行うことになる。
以上に述べた本実施形態の車両用シート11によれば、可撓性のシートクッションプレート26の取付部76にその取付用開口部76Cを介してシートクッションフレーム25の連結部55を進入させると、取付部76が連結部55をその軸線周りに部分的に囲むようになる。また、取付部77にその取付用開口部77Cを介してシートクッションフレーム25の棒状部53aを進入させると、取付部77が棒状部53aをその軸線周りに部分的に囲むようになる。さらに、取付部78にその取付用開口部78Cを介してシートクッションフレーム25の棒状部54aを進入させると、取付部78が棒状部54aをその軸線周りに部分的に囲むようになる。以上の結果、シートクッションプレート26がシートクッションフレーム25に取り付けられる。このように別途のブラケット等を用いる必要がないことから取付用の工具も必要なくなり、簡単にシートクッションプレート26をシートクッションフレーム25に取り付けることができる。したがって、組み立て作業の容易化を図ることができ、組み立てコストを低減することができる。
具体的には、シートクッションプレート26を、前下がりの状態として取付部76をその取付用開口部76Cを介して連結部55に係止させた状態で、一対の側壁部60,61を両手で持ち、これらを互いに離間する方向に捻ってシートクッションプレート26を撓ませると、スリット70,71が形成されていることによって、スリット70,71よりも各側壁部60,61側がそれぞれ容易に回動し、その結果、側壁部60よりもスリット70側の取付部77および側壁部61よりもスリット71側の取付部78が容易に離間する。これにより、各取付部77,78のスリット70,71側に形成された取付用開口部77C,78Cが互いに離間することから、この状態で、シートクッションプレート26を連結部55を中心に回動させて略水平とすることで、両取付部77,78の間に一対の側部延出部53,54を位置させることになり、その後、シートクッションプレート26の撓みを解除すると、取付部77に取付用開口部77C側から側部延出部53が進入するとともに取付部78に取付用開口部78C側から側部延出部54が進入し、その結果、シートクッションプレート26がシートクッションフレーム25に取り付けられる。このようにシートクッションプレート26を撓ませることで、複数カ所において簡単にシートクッションプレート26をシートクッションフレーム25に取り付けることができる。したがって、複数カ所の取り付けに対しても組み立て作業のさらなる容易化を図ることができ、組み立てコストを低減することができる。また、シートクッションプレート26がシートクッションフレーム25に取り付けられたとき、各取付部77,78は棒状部53a,54bの相反側を抱えるように配置されるため、シートクッションプレート26がシートクッションフレーム25からシートクッションプレート26の広がる方向の力を受けたとしてもシートクッションフレーム25からずれにくい。したがって、横方向の荷重に対するサポート性を確保することができる。また、側壁部60,61が棒状部53a,54bと取付部77,78とを覆うので見栄えが良い。
加えて、取付部76が連結部55の軸線周りに回動可能であり、取付部77が棒状部53aの軸線周りに回動可能であって、取付部78が棒状部54aの軸線周りに回動可能であるため、シートクッションプレート26が乗員の体圧で撓むときに、取付部76が連結部55の軸線周りに容易に回動して追従し、取付部77が棒状部53aの軸線周りに容易に回動して追従し、取付部78が棒状部54aの軸線周りに容易に回動して追従する。よって、シートクッションプレート26が良好に撓むことになる。
なお、以上の実施形態においては、取付部76を連結部55の軸線周りに回動可能とし、取付部77を棒状部53aの軸線周りに回動可能として、取付部78を棒状部54aの軸線周りに回動可能としているが、複数ある取付部76,77,78のうち少なくともいずれか一つを回動可能とし、少なくともいずれか一つを回動不可に固定すれば、シートクッションプレート26の撓み感を各部で異なるように調整することができる。
また、上記実施形態において、取付部76をなくせば、取付部77が棒状部53aの軸線方向に移動可能となり、取付部78が棒状部54aの軸線方向に移動可能となる。よって、これを利用してシートクッション20の前後位置を調整するように構成すれば、乗員の脚の長さに応じてシートクッション20の座面を適切な位置に配置できることになる。