JP4259656B2 - 車両用エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動二輪車に搭載される車両用エンジンには、クランク軸からの動力を変速して駆動輪に伝達する変速機を備え、この変速機の出力軸に連動するドライブ軸に伝導ケースに軸支し、クランク軸からの動力を変速してドライブ軸から駆動輪に伝達し、さらにエンジンオイルポンプの駆動によりエンジンオイルタンクからオイルをエンジン潤滑部に供給するエンジン潤滑系を備えるものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような車両用エンジンでは、エンジンオイルタンクが比較的大きな容量を必要とする。このエンジンオイルタンクを、例えばクランク軸及び変速機が配置されるクランクケースに備え、さらにクランクケースに伝導ケースを備えると、その分エンジンが大型化する。
【0004】
この発明は、このような実情に鑑みなされたもので、エンジン潤滑系を備え、しかも小型である車両用エンジンを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、その目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0006】
請求項1記載の発明は、『クランク軸からの動力を変速して駆動輪に伝達する変速機を備え、この変速機の出力軸に連動するドライブ軸を伝導ケースに軸支し、前記クランク軸からの動力を変速して前記ドライブ軸から前記駆動輪に伝達し、さらにエンジンオイルポンプの駆動によりエンジンオイルタンクからオイルをエンジン潤滑部に供給するエンジン潤滑系を備え、前記クランク軸及び前記変速機をクランクケースに収容する車両用エンジンにおいて、
前記伝導ケースを、前記クランクケースとは別体で、かつ前記ドライブ軸とともに前記変速機と前記ドライブ軸との間の動力伝達部とを収容するように形成するとともに、
前記伝導ケースに、前記エンジンオイルタンクを一体的に備えることを特徴とする車両用エンジン。』である。
【0007】
この請求項1記載の発明によれば、伝導ケースを、クランクケースとは別体で、かつドライブ軸とともに変速機とドライブ軸との間の動力伝達部とを収容するように形成するとともに、伝導ケースに、エンジンオイルタンクを一体的に備えることで、伝導ケースを利用して大型化することなく比較的大きな容量のエンジンオイルタンクを備えることができ、エンジン潤滑系を備え、しかも小型である。
【0008】
請求項2記載の発明は、『前記伝導ケースの前記ドライブ軸の一端に、前記変速機の出力軸に連動するスプロケットを設け、他端に前記駆動輪に動力を伝達するプーリを設け、前記ドライブ軸の軸方向から見てスプロケット及びプーリと重なり、これらスプロケット及びプーリに挟まれる領域を前記エンジンオイルタンクの容積としていることを特徴とする請求項1記載の車両用エンジン。』である。
【0009】
この請求項2記載の発明によれば、ドライブ軸には両端に径の大きいスプロケット、プーリが結合されるため径の細いドライブ軸の軸周囲はデッドスペースとなり易い。このデッドスペースとなる部分を利用し、ドライブ軸の軸方向から見てスプロケット及びプーリと重なり、これらスプロケット及びプーリに挟まれる領域をエンジンオイルタンクの容積とすることで比較的大きな容量のエンジンオイルタンクを備えることができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、『前記ドライブ軸により駆動されるドライブオイルポンプを備え、このドライブオイルポンプにより前記ドライブ軸の軸受部及び前記ドライブ軸と前記変速機との動力伝達部にオイルを供給する動力伝達部潤滑系を、前記エンジン潤滑系と独立して備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用エンジン。』である。
【0011】
この請求項3記載の発明によれば、ドライブ軸の軸受部及びドライブ軸と変速機との動力伝達部にオイルを供給する動力伝達部潤滑系を、エンジン潤滑系と独立して備えることで、ドライブ軸の軸受部及びドライブ軸と変速機との動力伝達部をエンジン側と独立してドライブオイルポンプの駆動によってオイルを供給して潤滑し、車速、即ちドライブ軸の回転束に比例した量のオイルの供給が可能になり、オイルの供給に過不足がなく無駄な供給がない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の自動二輪車に搭載される車両用エンジンの実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。図1は車両用エンジンが搭載される自動二輪車の側面図である。
【0013】
この実施の形態の自動二輪車1は、車体2の前側にはフロントフォーク3が左右に旋回可能に設けられている。フロントフォーク3の下部には、前輪4が回転可能に支持されると共に、フロントフェンダ5が固定されている。フロントフォーク3の上部には、ハンドル6が設けられ、ハンドル6によりフロントフォーク3を左右に旋回する。
【0014】
車体2には、車両用エンジン10が搭載されている。車両用エンジン10の後方の車体2には、リヤアーム11が揺動可能に支持され、リヤアーム11の後端は不図示のリヤクッションを介して車体2に支持されている。また、リヤアーム11の後端には、後輪13が回転可能に支持され、後輪13の上方にはリヤフェンダ14が車体2に固定されている。
【0015】
車体2には、車両用エンジン10の上方位置に燃料タンク15が配置され、さらに燃料タンク15の後方位置にはシート16が配置されている。
【0016】
次に、図2乃至図10に基づいて、この自動二輪車に搭載される車両用エンジンについて説明する。図2は車両用エンジンの右側面図、図3は図2のIII-III線に沿う断面図、図4は吸気バルブ及び排気バルブ部分の断面図、図5は点火プラグ部分の断面図、図6は吸気バルブ及び排気バルブを作動する動弁機構を示す図、図7はカム軸部分の側面図、図8は図7のVIII-VIII線に沿う断面図、図9は図6のIX-IX線に沿う断面図、図10はロッカーアームを示すシリンダヘッド部分の平面図である。
【0017】
この車両用エンジン10は、空冷式の4バルブV型4サイクルエンジンであり、V型に配置された気筒20,21の間の空間に気化器22が配置され、気筒20の前側に排気管23が接続され、気筒21の後側に排気管24が接続されている。左右割の一対のクランクケース30,31には、それぞれの気筒20,21を構成するシリンダブロック32が載置され、このシリンダブロック32上にシリンダヘッド33が取り付けられ、さらにシリンダヘッド33はヘッドカバー34により覆われている。
【0018】
左右のクランクケース30,31の間には、クランク軸35が回動可能に軸支され、このクランク軸35はコンロッド36を介してピストン37に連結されている。ピストン37は、シリンダブロック32に形成されたシリンダボア38内に往復動可能に設けられ、シリンダボア38と、ピストン37の頭部と、シリンダヘッド33の凹部88との間に燃焼室39が設けられている。
【0019】
シリンダヘッド33には、燃焼室39に開口する吸気通路40と排気通路41が形成され、それぞれの開口部40a,41aは、動弁機構42により駆動される吸気バルブ43と排気バルブ44によって所定のタイミングで開閉し、燃焼室39内のガス交換が行なわれる。燃焼室39に臨むように、一対の点火プラグ45,46はシリンダヘッド33に取り付けられている。
【0020】
クランク軸35の端部には、動力を取り出す減少ギヤ90が配置され、この減少ギヤ90からの動力が変速機91のメインシャフト92に回動可能に設けられた減大ギヤ93に伝達され、さらにクラッチ94を介してメインシャフト92に伝達される。メインシャフト92の回転力は、変速ギヤ96a,96bにより変速してカウンターシャフト95に伝達され、カウンターシャフト95に設けたスプロケット97からチェーン100を介してドライブ軸98の一端部に設けられたスプロケット98aに伝達される。ドライブ軸98の他端部に設けられたプーリ99と、駆動輪である後輪13のプーリ200とに歯付ベルト101が掛け渡されており、クランク軸35からの動力を変速して駆動輪である後輪13に伝達される。
【0021】
クランクケース30には、クランクケースカバー50が設けられ、このクランクケースカバー50には気筒20及び気筒21側のカム軸51,52が回動可能に設けられている。クランクケースカバー50の内側でカム軸51に設けたギヤ53と、カム軸52に設けたギヤ54とが噛み合っており、クランクケースカバー50の外側でカム軸52に設けたギヤ55がクランク軸35に設けたギヤ56に噛み合っており、クランク軸35の回転によりカム軸51,52が連動して回転する。カム軸51とギヤ53は圧入して固定され、カム軸52とギヤ54も圧入して固定され、それぞれにはデコンプ機構の一部を構成するロッド57,58が挿入されている。
【0022】
気筒20側では、カム軸51の吸気側カム51aが油圧リフタ60を介して吸気側プッシュロッド61を作動し、排気側カム51bは油圧リフタ62を介して排気側プッシュロッド63を作動する。気筒21側では、カム軸52の吸気側カム52aが油圧リフタ64を介して吸気側プッシュロッド65を作動し、排気側カム52bは油圧リフタ66を介して排気側プッシュロッド67を作動する。
【0023】
気筒20側では、吸気側プッシュロッド61が吸気側ロッカーアーム70を作動して吸気バルブ43を押動し、吸気通路40を所定のタイミングで開閉する。また、排気側プッシュロッド63が排気側ロッカーアーム71を作動して排気バルブ44を押動し、排気通路41を所定のタイミングで開閉する。気筒21側では、吸気側プッシュロッド65が吸気側ロッカーアーム72を作動して吸気バルブ43を押動し、吸気通路40を所定のタイミングで開閉する。また、排気側プッシュロッド67が排気側ロッカーアーム73を作動して排気バルブ44を押動し、排気通路41を所定のタイミングで開閉する。
【0024】
気筒20側の吸気側プッシュロッド61及び排気側プッシュロッド63は、気筒20側のシリンダブロック32の側部に配置され、筒状の側部カバー74で覆われている。気筒21側の吸気側プッシュロッド65び排気側プッシュロッド67は、気筒21側のシリンダブロック32の側部に配置され、筒状の側部カバー75で覆われている。
【0025】
側部カバー74の下部は、クランクケース30に設けられた取付体76に嵌入され、側部カバー74の上部は、気筒20側のヘッドカバー34に嵌入されている。取付体76には、油圧リフタ60,62の挿入孔76aが形成され、また側部カバー75内のオイルをクランク室側に戻す一対のオイル通路76bが形成されている。
【0026】
側部カバー75の下部は、クランクケース30に設けられた取付体77に嵌入され、側部カバー74の上部は、気筒21側のヘッドカバー34に嵌入されている。取付体77には、油圧リフタ64,66の挿入孔77aが形成され、また側部カバー74内のオイルをクランク室側に戻す一対のオイル通路77bが形成されている。
【0027】
次に、図11乃至図16に基づいて、車両用エンジンの動力伝達装置について説明する。図11は動力伝達装置の右側面図、図12は動力伝達装置の出力部の左側面図、図13は図11のXIII-XIII線に沿う断面図、図14は図11のXIV-XIV線に沿う断面図、図15は図12のXV-XV線に沿う断面図、図16は歯飛び防止ローラを示す図である。
【0028】
車両用エンジン10の後側には、動力伝達ユニット120が組み付けられている。動力伝達ユニット120の伝導ケース121にドライブ軸98が組み付けられている。伝導ケース121には、中央分割ケース122と、この中央分割ケース122の両側に組付けられる左右分割ケース123,124とからなっている。中央分割ケース122の左側に左分割ケース123を当てがい、ボルト125により中央分割ケース122に締付固定される。
【0029】
また、伝導ケース121の後方には、左分割ケース123と共にブラケット500がボルト125により中央分割ケース122に締付固定されており、このブラケット500は車体2のピボット軸501に沿う凹部501aが形成されている。このブラケット500の上下の位置をボルト502により車体2に締付固定している。このためエンジン駆動力で歯付ベルト101により引っ張られて後輪13とプーリ200との軸間距離を縮める力が作用しても伝導ケース121がブラケット500により車体2に強固に締付固定されているから、歯付ベルト101が浮き上がって歯飛びすることが防止される。
【0030】
中央分割ケース122の両側には軸受部122a,122bが連通して一体に形成され、この軸受部122a,122bにドライブ軸98が右側から挿通され、軸受126,127を介して回転可能に支持されている。ドライブ軸98の一端部には、スプロケット98aが一体に形成され、他端部にはプーリ99を挿着しナット128を螺着して締付固定されている。
【0031】
この伝導ケース121は、中央分割ケース122の取付孔122cをクランクケース30に螺着したスタッドボルト130に挿通して当てがい、中央分割ケース122はボルト300によりクランクケース30に締付固定されている。さらにスタッドボルト130に右分割ケース124の取付孔124aを挿通して当てがい、スタッドボルト130にナット131を螺着して締付固定する。中央分割ケース122と右分割ケース124によりチェーン室133が形成され、このチェーン室133内にカウンターシャフト95のスプロケット97、チェーン100及びドライブ軸98のスプロケット98aが配置されている。一方、左分割ケース123は、ボルト132によりクランクケース31に締付固定されている。
【0032】
右分割ケース124には、チェーン室カバー134を当てがい、ボルト135により締付固定されている。また、中央分割ケース122の上部には、上カバー136がボルト137により締付固定されている。
【0033】
上カバー136の前側には、図11及び図14に示すようにオイル導入口136aとオイル吐出口136bが形成され、オイル導入口136aにはオイル戻し管140が接続され、オイル吐出口136bにはオイル供給管141が接続されている。クランクケース30に設けたエンジンオイルポンプ142の駆動で、オイルがオイル戻し管140、オイル導入口136aを介して上カバー136内に戻され、一方上カバー136内からオイル吐出口136b、オイル供給管141を介してエンジンオイルポンプ142に供給される。
【0034】
上カバー136にはオイルレベルゲージ143が設けられ、また上カバー136内は、伝導ケース121に一体的に形成されたエンジンオイルタンク400に連通している。中央分割ケース122には、オイル戻り通路122eが形成されており、エンジンオイルタンク400内のオイルがオイル戻り通路122e、オイル吐出口136bからオイル戻し管141を介してエンジンオイルポンプ142に戻され、エンジンオイルポンプ142の駆動によりエンジンオイルタンク400からオイルをエンジン潤滑部に供給するエンジン潤滑系が備えられている。
【0035】
このように伝導ケース121にエンジンオイルタンク400を一体的に備えることで、伝導ケース121を利用して大型化することなく比較的大きな容量のエンジンオイルタンク400を備えることができる。また、伝導ケース121のドライブ軸98の下方位置にはリヤクッション12が配置されるため凹部401が形成され、ドライブ軸98の前後及び上部をエンジンオイルタンク400の容積としている。即ち、ドライブ軸98の前後及び上部は、軸方向から見てスプロケット98a及びプーリ99と重なり、これらスプロケット98a及びプーリ99に挟まれる領域をエンジンオイルタンク400の容積としている。
【0036】
このようにドライブ軸98には両端に径の大きいスプロケット98a、プーリ99が結合されるため径の細いドライブ軸98の軸周囲はデッドスペースとなり易い。このデッドスペースとなる部分を利用し、伝導ケース121のドライブ軸98の前後及び上部を、エンジンオイルタンク400の容積とすることで比較的大きな容量のエンジンオイルタンク400を備えることができる。
【0037】
右分割ケース124には、図13及び図14に示すようにドライブオイルポンプ150が設けられている。ドライブオイルポンプ150は、ポンプ本体151が右分割ケース124にビス152により締付固定され、ポンプ本体151にはポンプカバー153がビス154により締付固定され、さらにポンプ駆動軸155はドライブ軸98の先端部に対して同軸上に一体回転可能に係合されている。
【0038】
ドライブオイルポンプ150の吸入口150aは、右分割ケース124に形成されたオイル通路124bと連通し、このオイル通路124bは中央分割ケース122に形成されたオイル通路122dと連通しており、ドライブオイルポンプ150の駆動でチェーン室133内のオイルがオイル通路122d、オイル通路124bを介してドライブオイルポンプ150に吸入される。
【0039】
ドライブオイルポンプ150の吐出口150bは、一部がポンプ駆動軸155に形成されたオイル通路155aと連通し、このオイル通路155aは、ドライブ軸98の軸心に形成されたオイル通路98bと連通しており、ドライブオイルポンプ150の駆動によりオイルが吐出口150bから、オイル通路155a、オイル通路98bに供給される。オイル通路98bに供給されたオイルは、ドライブ軸98に形成された吐出通路98cからドライブ軸98と中央分割ケース122との間に形成されたオイル通路156に供給され、軸受126,127を潤滑する。軸受127側にはシール部材160が設けられ、オイルが歯付ベルト101側に浸入することがないようにしている。軸受126側は、チェーン室133に連通しており、軸受126を潤滑するオイルがチェーン室133に戻される。
【0040】
ドライブオイルポンプ150の吐出口150bは、一部が右分割ケース124とポンプ本体151との間に形成されたオイル通路157と連通し、ドライブオイルポンプ150の駆動によりオイルが吐出口150bからオイル通路157に供給され、右分割ケース124に形成された吐出通路124dからスプロケット98a及びチェーン100で、特に特に両者が噛み込む部分に供給され、このスプロケット98a及びチェーン100を潤滑するオイルは、落下してチェーン室133に戻される。
【0041】
このスプロケット98a及びチェーン100にオイルを供給する時は、図11に示すように特に両者が噛み込む部分、即ちスプロケット98aの下側に供給する。例えば、車両用エンジン10の駆動でエンジン側から駆動力を受けている時は、スプロケット98aの回転方向は時計方向であり、チェーン100は上部に張力が生じ、一方下部には撓みがでる。撓みが生じたチェーン100とスプロケット98aの噛み込み部では、チェーン100が振動して踊るとスプロケット98aを叩き、振動変動が大きいため、撓みが生じたチェーン100とスプロケット98aの噛み込み部が最も潤滑を必要とし、この部分にオイルを供給することで効率的な潤滑が可能となる。
【0042】
また、ドライブ軸98により駆動されるドライブオイルポンプ150を備え、このドライブオイルポンプ150によりドライブ軸98の軸受126,127等の軸受軸部及びドライブ軸98のスプロケット98a、チェーン100等の変速機91との動力伝達部にオイルを供給する動力伝達部潤滑系が、エンジン潤滑系と独立して備えられている。
【0043】
このようにドライブ軸98の軸受部及びドライブ軸98と変速機91との動力伝達部にオイルを供給する動力伝達部潤滑系を、エンジン潤滑系と独立して備えることで、後輪側の駆動輪からの動力でドライブ軸98が回転するとドライブオイルポンプ150が駆動し、これによりドライブ軸98の軸受部及びドライブ軸98と変速機91との動力伝達部をエンジン側と独立してオイルを供給して潤滑することができる。
【0044】
この実施の形態では、ドライブ軸98の軸受部及びドライブ軸98と変速機91との動力伝達部をエンジン側と独立してドライブオイルポンプ150の駆動によってオイルを供給して潤滑しており、車速、即ちドライブ軸98の回転束に比例した量のオイルの供給が可能になり、オイルの供給に過不足がなく無駄な供給がない。このオイルの供給を、例えばエンジンオイルポンプ142により行なうと、エンジンオイルポンプ142の吐出量は、エンジン回転数に比例するからドライブ軸98の軸受部及びドライブ軸98と変速機91との動力伝達部にとっては、オイルの供給が多過ぎる場合があり、その分エンジンオイルポンプ142を駆動することで、エンジンのロス馬力になる。
【0045】
左分割ケース123には、2箇所に支持ピン170,171が圧入され、この2箇所の支持ピン170,171には歯飛び防止ローラ172,173が回動可能に挿着されている。2箇所の支持ピン170,171に歯飛び防止ローラ172,173を挿着した状態で、ベルトカバー174のボス部174aに形成した取付穴174bを支持ピン170,171にそれぞれ挿入して支持する。支持ピン170,171は、歯飛び防止ローラ172,173を回動可能に支持するとともに、ベルトカバー174を組付けるときの位置決めとなる。ベルトカバー174のボス部174aの入口174cには、テーパーが形成され、ベルトカバー174の取付穴174bを支持ピン170,171に容易に挿着ができるようになっている。ベルトカバー174には、プーリ99の位置に対応して防振カバー180がボルト181により取り付けられている。防振カバー180の外周部とベルトカバー174との間には、ダンパ182が介在されている。
【0046】
歯飛び防止ローラ172,173は、図12に示すようにドライブ軸98の軸心Oを通る鉛直線L1より前側に配置され、歯付ベルト101の浮上がりを規制する。また、歯飛び防止ローラ172,173は、ドライブ軸98の軸心Oを通る水平線L2に対して上下両方の位置に配置され、上側の歯飛び防止ローラ172より下側の歯飛び防止ローラ173が距離D後側に配置されている。
【0047】
この歯飛び防止ローラ172は、図15及び図16に示すように歯付ベルト101の外面と接する部分に凹部172a,172bを有している。この歯飛び防止ローラ172の凹部172a,172bは、環状に形成されている。歯飛び防止ローラ173も同様に構成されるから説明を省略する。
【0048】
このようにドライブ軸98の軸心Oを通る鉛直線L1より前側に、歯付ベルトの浮上がりを規制する歯飛び防止ローラ172,173を設け、さらに歯飛び防止ローラ172,173をドライブ軸98の軸心Oを通る水平線L2に対して上下両方の位置に配置したから、加速時にはドライブ軸98の回転力により歯付ベルト101が上側が引っ張られて下側では撓んで浮き上がろうとするが下側に配置した歯飛び防止ローラ173により浮上がりを防止できる。反対に、減速時には歯付ベルト101が下側で引っ張られて上側では撓んで浮き上がろうとするが上側に配置した歯飛び防止ローラ172により浮上がりを防止できる。
【0049】
また、加速時にドライブ軸98の回転力により歯付ベルト101が上側が引っ張られて下側では撓んで浮き上がる方が、減速時に歯付ベルト101が下側で引っ張られて上側では撓んで浮き上がろうとする方より浮き上がりが大きい。即ち、加速時には、歯付ベルト101の自重と、エンジン駆動時の張力が減速時のブレーキ時張力より大きいことの理由により浮き上がりが大きいが、上側の歯飛び防止ローラ172より下側の歯飛び防止ローラ173が後側に配置されているから、確実に歯付ベルト101の浮上がりを規制することができる。
【0050】
このように加速時や減速時にドライブ軸98の軸心Oを通る鉛直線L1より前側で歯付ベルト101が引っ張られる部分が生じて撓んでも、歯飛び防止ローラ172,173により歯付ベルト101の浮上がを防止することができ、また歯付ベルト101の浮上がりが防止されるためにプーリ99を叩く騒音が発生したり、歯付ベルト101とプーリ99との間に泥やゴミ等の異物が入るおそれもない。
【0051】
また、リヤアームの振動角度により歯付ベルト101と歯飛び防止ローラ172,173間の距離が変わることを考慮し歯飛び防止ローラ172,173の位置を設定せねばならず、その際にはドライブ軸98の軸心より後方位置に歯飛び防止ローラ172,173を配置すると、歯付ベルト101と歯飛び防止ローラ172,173との当接頻度は多いが、ドライブ軸98の軸心を通る鉛直線より前側に配置することで、歯付ベルト101と歯飛び防止ローラ172,173との当接頻度が少なく、騒音も少ない。
【0052】
また、歯飛び防止ローラ172には、歯付ベルト101の両端部の外面に接する部分に凹部172a,172bが形成されており、歯付ベルト101の外面に泥やゴミ等の異物が付着することがあっても、泥やゴミ等の異物が凹部172a,172bによって歯飛び防止ローラ172の中央部まで入り込むことが軽減され、歯付ベルト101に無理な外力がかからず円滑に作動することができる。さらに、歯飛び防止ローラ172の凹部172a,172bが環状に形成されており、泥やゴミ等の異物が凹部172a,172bによってより確実に歯飛び防止ローラ172の中央部まで入り込むことが軽減される。歯飛び防止ローラ173も歯飛び防止ローラ172と同様に構成されるから説明を省略する。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明では、伝導ケースを、クランクケースとは別体で、かつドライブ軸とともに変速機とドライブ軸との間の動力伝達部とを収容するように形成するとともに、伝導ケースに、エンジンオイルタンクを一体的に備えることで、伝導ケースを利用して大型化することなく比較的大きな容量のエンジンオイルタンクを備えることができ、エンジン潤滑系を備え、しかも小型である。
【0054】
請求項2記載の発明では、ドライブ軸には両端に径の大きいスプロケット、プーリが結合されるため径の細いドライブ軸の軸周囲はデッドスペースとなり易い。このデッドスペースとなる部分を利用し、ドライブ軸の軸方向から見てスプロケット及びプーリと重なり、これらスプロケット及びプーリに挟まれる領域をエンジンオイルタンクの容積とすることで比較的大きな容量のエンジンオイルタンクを備えることができる。
【0055】
請求項3記載の発明では、ドライブ軸の軸受部及びドライブ軸と変速機との動力伝達部にオイルを供給する動力伝達部潤滑系を、エンジン潤滑系と独立して備えることで、ドライブ軸の軸受部及びドライブ軸と変速機との動力伝達部をエンジン側と独立してドライブオイルポンプの駆動によってオイルを供給して潤滑し、車速、即ちドライブ軸の回転束に比例した量のオイルの供給が可能になり、オイルの供給に過不足がなく無駄な供給がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用エンジンが搭載される自動二輪車の側面図である。
【図2】車両用エンジンの右側面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】吸気バルブ及び排気バルブ部分の断面図である。
【図5】点火プラグ部分の断面図である。
【図6】吸気バルブ及び排気バルブを作動する動弁機構を示す図である。
【図7】カム軸部分の側面図である。
【図8】図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【図9】図6のIX-IX線に沿う断面図である。
【図10】ロッカーアームを示すシリンダヘッド部分の平面図である。
【図11】動力伝達装置の右側面図である。
【図12】動力伝達装置の出力部の左側面図である。
【図13】図11のXIII-XIII線に沿う断面図である。
【図14】図11のXIV-XIV線に沿う断面図である。
【図15】図12のXV-XV線に沿う断面図である。
【図16】歯飛び防止ローラを示す図である。
【符号の説明】
10 車両用エンジン
35 クランク軸
91 変速機
98 ドライブ軸
98a スプロケット
121 伝導ケース
142 エンジンオイルポンプ
400 エンジンオイルタンク
Claims (3)
- クランク軸からの動力を変速して駆動輪に伝達する変速機を備え、この変速機の出力軸に連動するドライブ軸を伝導ケースに軸支し、前記クランク軸からの動力を変速して前記ドライブ軸から前記駆動輪に伝達し、さらにエンジンオイルポンプの駆動によりエンジンオイルタンクからオイルをエンジン潤滑部に供給するエンジン潤滑系を備え、前記クランク軸及び前記変速機をクランクケースに収容する車両用エンジンにおいて、
前記伝導ケースを、前記クランクケースとは別体で、かつ前記ドライブ軸とともに前記変速機と前記ドライブ軸との間の動力伝達部とを収容するように形成するとともに、
前記伝導ケースに、前記エンジンオイルタンクを一体的に備えることを特徴とする車両用エンジン。 - 前記伝導ケースの前記ドライブ軸の一端に、前記変速機の出力軸に連動するスプロケットを設け、他端に前記駆動輪に動力を伝達するプーリを設け、
前記ドライブ軸の軸方向から見てスプロケット及びプーリと重なり、これらスプロケット及びプーリに挟まれる領域を前記エンジンオイルタンクの容積としていることを特徴とする請求項1記載の車両用エンジン。 - 前記ドライブ軸により駆動されるドライブオイルポンプを備え、このドライブオイルポンプにより前記ドライブ軸の軸受部及び前記ドライブ軸と前記変速機との動力伝達部にオイルを供給する動力伝達部潤滑系を、前記エンジン潤滑系と独立して備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用エンジン。
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-
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- 1998-10-28 JP JP30766398A patent/JP4259656B2/ja not_active Expired - Lifetime
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