JP4258857B2 - 振動検出装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ又はビデオムービーなどの撮像装置などにおける振動又はブレを検出する振動検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の振動検出装置の例としては、加速度センサ又は角速度センサなどを用いて、装置に生じた加速度又は角速度を検出するものが知られている。一般的に、このような加速度センサ又は角速度センサ自体は、与えた振動に対して微少な電圧しか出力されないために、センサの外部に適当な増幅器を用いて必要な電圧を出力するような構成をとっていた。
しかし、こうした振動を検出するセンサ、特に、カメラなどにおいて一般的に使用されている圧電型振動ジャイロなどは、電源投入直後の数10から数100ms間において極めて不安定な出力をし、低周波の出力ドリフトが電源投入後も発生する。
また、振動を与えないときの電圧(以下、静止時出力電圧という)は、一定値とは限らず、振動ジャイロ個々のバラツキ又は使用環境の変化、特に、使用温度により極めて大きく変化する。このような電源投入時の出力変動などは、加速度又は角速度により本来検出すべき振動に対する出力信号のレベルに比べて無視できないくらい大きく、場合によっては極端に大きいこともあった。
【0003】
従来より、電源投入時の出力変動などの影響を極力抑える振動検出装置として、例えば、特開平7−218953号公報に開示された振動検出回路が知られている。この振動検出回路は、角速度センサと、検出しようとする振動の周波数に対して許容できる低い周波数以下をこの角速度センサの出力からカットするハイパスフィルタと、このハイパスフィルタを通過した信号を増幅する増幅部などから構成されている。
【0004】
図42は、従来の振動検出装置における振動検出回路を示す回路図である。
振動ジャイロ100は、振動により装置に生じた角速度を圧電素子により検出している。回路200は、振動ジャイロ100の出力から高域周波数成分を除去するための3次のローパスフィルタ回路である。回路300は、演算増幅器OP200及び抵抗R600,R700などにより、回路200の出力信号を非反転増幅する増幅回路である。回路300は、コンデンサC400及び抵抗R400により、振動によらない低域周波数成分を除去するハイパスフィルタを構成する。コンデンサC400、抵抗R400で決定される低周波のカットオフ周波数は、装置に生ずる振動に対し影響がないように、検出しようとする振動周波数に対して十分低周波にする必要がある。このために、カットオフ周波数は、具体的数値の例として0.1Hz程度に設定されている。
【0005】
アナログスイッチSW100は、オン動作状態において、カットオフ周波数を高域側にシフトさせるとともに、電源投入時に所定時間オン動作し、振動ジャイロ100の電源投入時の出力変動により、出力信号Voutに影響が生じるのを極力抑えるものである。アナログスイッチSW100がオフ状態のときには、低周波カットオフの周波数は、コンデンサC400及び抵抗R400により決定される。電源回路400は、振動ジャイロ100及び回路200,300に安定した電源を供給している。ワンチップコンピュータ(以下、MCUという)500は、内蔵するA/D変換器500aにより、回路300からの出力信号Voutをディジタル化し、装置に生じた振動を認識するとともに、制御信号発生部500dの制御信号PCにより、電源回路400の動作を制御する。また、MCU500は、操作信号発生部500bの操作信号SSWにより、アナログスイッチSW100のオン動作とオフ動作とを制御する。
【0006】
特開平7−253604号公報及び特開平8−82820号公報に開示された振動検出装置では、振動ジャイロの出力と基準電圧とが差動増幅部により差動増幅され、その出力から装置に生じた振動が検出される。電源投入時の振動ジャイロの出力ドリフトや、静止時出力電圧の振動ジャイロ個々のばらつきなどの影響は、基準電圧を変更して差動増幅した出力をその出力ダイナミックレンジ内におさめることにより解消している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の振動検出装置には、第1に、検出しようとする振動のダイナミックレンジと検出分解能に関する問題があった。
例えば、ブレ補正機能を有する銀塩カメラによりブレ振動による角速度を検出する場合において、静止被写体を通常に撮影するときには、ブレ角速度の最大値は、個人差はあるものの概略20から30°/sec程度である。
一方、カメラをパンニングしたときや流し撮りをしたとき又は高速度で移動する被写体を撮影するときには、静止被写体を撮影するときに比較して非常に大きな角速度、例えば50°/secを越えるような角速度が発生する。
このような静止被写体以外を撮影する場合に起こりうる角速度まで考慮に入れたときには、角速度50°/sec以上のダイナミックレンジを確保する必要がある。
【0008】
ブレ補正機能を有する銀塩カメラ又はビデオムービーなどでは、図42に示すように、検出された出力信号VoutがA/D変換器500aを用いてディジタル値に量子化され、量子化されたブレ信号を用いて一般的にブレが補正される。この場合、A/D変換器500aの量子化単位は有限であるために、振動ジャイロ100の出力を増幅する増幅率を大きく設定し、量子化1ビット当たりの分解能を上げる必要がある。
このために、演算増幅器OP200の出力に含まれるノイズと検出すべき信号との比(S/N)の向上という観点から、演算増幅器OP200及び抵抗R600,R700などで構成される増幅回路の利得を大きく設定する必要がある。
しかし、演算増幅器OP200の出力レンジには限界があるために、量子化1ビット当たりの分解能を向上しようとすると、検出できる角速度のダイナミックレンジは、逆に減少してしまう。
このように、検出すべき振動のダイナミックレンジを優先したときには、量子化1ビット当たりの分解能又はS/Nは、悪化し、量子化1ビット当たりの分解能又はS/Nを優先したときには、検出可能な振動のダイナミックレンジは、狭くなるという問題があった。
【0009】
第2に、ハイパスフィルタの時定数に起因する問題があった。
振動検出装置を構成するハイパスフィルタのカットオフ周波数は、検出すべき振動の周波数帯域に対して十分低い周波数としなければならない。例えば、銀塩カメラ又はビデオムービーを使用したときには、ブレ振動の周波数帯域は、1Hzから15Hz程度が支配的と言われている。この場合、コンデンサC400及び抵抗R400により決定されるハイパスフィルタのカットオフ周波数は、例えば0.1Hz程度に低く抑えなければならない。
このために、コンデンサC400及び抵抗R400により決定される時定数は、非常に大きくなり、出力信号Voutが安定するまでの時間は、結果的に無視できないほど必要となる。特開平7−218953号公報に記載された振動検出装置は、振動ジャイロ100の出力が電源投入時において不安定な振る舞いをする。
その結果、この振動検出装置は、出力信号Voutの安定性を確保する必要から、図42に示すアナログスイッチSW100をオン動作していた。
【0010】
図43は、従来の振動検出装置に電源が投入されたときのタイミングチャートである。
タイミングt(以下、tとする)0において、図43に示す制御信号PCをHighとすることにより、電源回路400が動作し、振動ジャイロ100、回路200,300に電源ラインVddを通じて電源が供給される。t1〜t2において、操作信号SSWをHighとすることにより、振動ジャイロ100の電源投入時の大きな出力変動の影響は、アナログスイッチSW100がオン動作することにより抑えられる。t2において、操作信号SSWをLowにした後に振動ジャイロ100により検出された信号は、演算増幅部OP200などから構成される増幅器により増幅され、ほぼ装置に加えた振動に応じた信号が出力信号Voutとして出力される。
【0011】
しかし、アナログスイッチSW100を設けても、ハイパスフィルタの時定数に起因するオフセットの誤差が生じていた。
例えば、図43に示すような振動(正弦波状の角速度振動)が装置に加わり、t2においてアナログスイッチSW100がオフ動作すると、出力信号Voutは、t2における角速度をほぼ0Vとして出力が開始される。つまり、角速度がゼロのときに、出力信号Voutが0Vとなるような波形として出力されるのではなく、図43に示すように、振幅が上側に偏った波形が出力される。
このために、振動ジャイロ100に与えられた振動角速度に対し、ある誤差だけオフセットがかけられた信号が出力され、この誤差(以下、オフセット誤差という)は、一定値ではなく時間と共に変化する。時定数は、コンデンサC400及び抵抗R400により決定されるために、出力信号Voutの振幅の中心は、0Vに近づいて行く。振動が印加された状態で装置が使用されると、コンデンサC400及び抵抗R400により決定される時定数に起因し、出力信号Voutには、振動検出誤差が生ずる。
その結果、正確な角速度を検出するためには、電源投入時からオフセット誤差が許容できる量になるまで待つ必要があった。また、このオフセット誤差が無視できるまでの時間は、このような振動検出装置を応用する分野、特に、銀塩カメラなどにおいて、許容できない時間であった。
【0012】
特開平7−218953号公報では、オフセット誤差を低減するために、出力信号Voutの振幅のほぼ中心において、t3〜t4において、アナログスイッチSW100を再度オン動作し、0V近辺の振幅に補正している。
しかし、オフセット誤差を低減するための以上の操作は、全ての振動波形に対して有効ではなく、オフセット誤差は、必ず生じていた。
【0013】
また、特開平7−253604号公報及び特開平8−82820号公報による振動検出装置では、基準電圧と振動ジャイロの出力とを差動増幅するために、基準電圧の変化は、差動増幅器により増幅されてしまう。差動増幅部は、一般的に、微小な出力を有する振動ジャイロの出力を必要な振動検出分解能を得るだけの増幅率に設定する。このために、基準電圧の微小な変動は、差動増幅部により、この増幅率分増幅されて出力されてしまう。
特開平7−253604号公報による振動検出装置では、電源投入時の振動ジャイロの出力ドリフトや、振動ジャイロ個々の静止時出力電圧のばらつきなどの影響を抑えるために、基準電圧を変更して差動増幅した出力をその出力ダイナミックレンジ内に収めるように動作している。
その結果、出力に影響がないように、基準電圧の変動を極力抑える必要があり、かつ、基準電圧を変更する刻み量である基準電圧の変更分解能は、ある程度高分解能なものが必要になる。このために、基準電圧の回路設計が非常に難しくなり、コストアップにもつながる。
【0014】
本発明の課題は、ダイナミックレンジを確保しつつ、検出分解能を可能な限り向上させることができる振動検出装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定するものではない。すなわち、請求項1に記載の発明は、振動を検出し、振動検出信号(Vo)を出力する振動検出部(1;21)と、出力信号(Vda1)を発生する出力信号発生部(7b)と、前記振動検出信号及び前記出力信号に基づいて、所定の演算をし、演算出力信号(Vout)を発生する演算部(3;23)と、前記演算出力信号に基づいて、前記出力信号のレベルを可変制御(S3406;S3610;S3710)する制御部(5;35;55;75)と、前記制御部による可変動作によりレベルが変化した前記演算出力信号を変化の前後でつなぎ合わせて、補正出力信号(Vout)を発生(S3404;S3604;S3704)する補正部(5c)とを含み、前記制御部は、前記演算出力信号をサンプリングし、前記補正部は、前記可変動作前にサンプリングされた少なくとも2つの時刻における前記演算出力信号のレベルと前記可変動作後にサンプリングされた少なくとも1つの前記演算出力信号のレベルに基づいて近似することにより、前記補正出力信号を演算(S3403,S3404;S3603,S3604;S3703,S3704)すること、を特徴とする振動検出装置である。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の振動検出装置において、前記制御部は、前記演算出力信号が所定範囲(H,L)を越えるときには、前記出力信号のレベルを可変制御して、前記演算出力信号を前記所定範囲内に引き戻し(S3406;S3610;S3710)、前記補正部は、前記引き戻し動作によって不連続になった前記演算出力信号をつなぎ合わせる(S3404;S3604;S3704)こと、を特徴とする振動検出装置である。
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項に記載の振動検出装置において、前記制御部は、前記出力信号のレベルを可変制御して、前記演算出力信号を所定基準レベル(2.0V)又はその近傍に調整(S3209,S3210,S3217,S3218)すること、を特徴とする振動検出装置である。
【0022】
請求項に記載の発明は、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、前記振動検出信号から高域周波数成分を除去するローパスフィルタ(2)を備え、前記演算部は、前記ローパスフィルタの出力及び前記出力信号発生部の出力信号に基づいて、所定の演算をし、演算出力信号を発生すること、を特徴とする振動検出装置である。
【0023】
請求項に記載の発明は、振動を検出し、振動検出信号(Vo)を出力する振動検出部(11)と、前記振動検出信号に基づいて、所定の演算をし、演算出力信号(Vout)を発生するとともに、前記振動検出信号を初期化する初期化部(13)と、前記演算出力信号が所定範囲(H,L)を越えるときには、前記初期化部を操作(S3506)して、この演算出力信号を前記所定範囲内に引き戻す制御部(15;35;55;75)と、前記引き戻し動作によりレベルが変化した前記演算出力信号を変化の前後でつなぎ合わせて、補正出力信号(Vout’)を発生(S3504)する補正部(15c)とを含み、前記制御部は、前記演算出力信号をサンプリングし、前記補正部は、前記引き戻し動作前にサンプリングされた少なくとも2つの時刻における前記演算出力信号のレベルと前記引き戻し動作後にサンプリングされた少なくとも1つの前記演算出力信号のレベルに基づいて近似することにより、前記補正出力信号を演算(S3503,S3504)すること、を特徴とする振動検出装置である。
【0025】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の振動検出装置において、前記制御部は、前記初期化部を操作して、前記演算出力信号を所定基準レベル(2.0V)又はその近傍に調整すること、を特徴とする振動検出装置である。
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項6に記載の振動検出装置において、前記振動検出部は、角速度を検出する角速度検出器若しくは角加速度を検出する角加速度検出器又は加速度を検出する加速度検出器であること、を特徴とする振動検出装置である。
【0071】
【発明の実施の形態】
〔振動検出装置〕
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について詳しく説明する。
なお、以下の説明において、図42に示す回路と同一の回路は、対応する符号を付して説明し、その部分の詳細な説明については省略する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る振動検出装置における振動検出回路を示す図である。
【0072】
本発明の第1実施形態における振動検出回路は、図42に示す振動検出回路と異なり、カメラ又はビデオムービーなどへの応用をより容易にするために、回路に使用する素子は、単電源においても使用可能な構成としている。
【0073】
振動ジャイロ1は、ブレにより装置に生じた角速度を圧電素子により検出するものである。振動ジャイロ1は、電源ラインVddのほぼ1/2程度の安定した電圧を基準電圧Vref1として出力しており、この基準電圧Vref1は、回路2,3の基準電位として働く。振動ジャイロ1は、印加した振動に応じた振動検出信号Voを、基準電圧Vref1程度の電圧を中心として出力する。
【0074】
回路2は、抵抗R1,R2、コンデンサC1,C2及び演算増幅器OP1により構成され、振動ジャイロ1の振動検出信号Voから振動によらない高域周波数成分を除去する2次のローパスフィルタ回路である。
【0075】
回路3は、抵抗R3,R4,R5,R6及び演算増幅器OP2により構成されている。回路3は、D/A変換器7aの出力信号Vda0、D/A変換器7bの出力信号Vda1及び回路2の出力信号を加算し、かつ、適当な利得で反転増幅する加算増幅回路である。回路3は、所定の演算をした演算出力信号VoutをMCU5に出力する。回路3は、抵抗R3,R4,R5,R6の値を適当に設定することにより、出力信号Vda0,Vda1及び回路2の出力信号の加算比率及び利得を任意に設定することができる。抵抗R3,R4,R5,R6の値は、D/A変換器7a,7bの特性、必要な出力ダイナミックレンジ、分解能及び振動ジャイロ1の感度などから決定される。例えば、振動ジャイロ1の振動検出信号Voに十分な感度があり、回路3により利得を得る必要がないときには、抵抗R3,R4,R5,R6の抵抗値を全て同じ値に設定し、回路3を単なる加算器として動作させることができる。
【0076】
電源回路4は、振動ジャイロ1及び回路2,3に、電源ラインVddを通じて、5V程度の安定した電源を供給するものである。電源回路4は、D/A変換器7a,7bの基準電源及びMCU5に内蔵したA/D変換器5aの基準電源として、より安定した基準電圧Vref2(例えば、4V〜5V程度)を定電圧レギュレータ6を通じて電源ラインVddから供給する。
【0077】
出力信号発生部7は、D/A変換器7a,7bを備えている。D/A変換器7aは、操作信号発生部5bからの操作信号S0に基づいて、演算出力信号Voutのレベルをシフトする出力信号(レベルシフト信号)Vda0を発生する。また、D/A変換器7bは、操作信号発生部5bからの操作信号S1に基づいて、演算出力信号Voutのレベルをシフトする出力信号(レベルシフト信号)を発生する。D/A変換器7a,7bは、出力信号レベル可変部70a,70bをそれぞれ内蔵しており、0Vから基準電圧Vref2までの任意のアナログ電圧を基準電圧Vref2を基準としてそれぞれ出力する。
【0078】
MCU5は、その内部にA/D変換器5aと、操作信号発生部5bと、補正部5cと、制御信号発生部5dとを備え、回路3の演算出力信号Voutを基準電圧Vref2を基準にA/D変換して、装置に生じた振動を認識する。
また、MCU5は、制御信号発生部5dが発生する制御信号PCに基づいて、電源回路4の動作を制御する。
【0079】
つぎに、MCU5の動作を中心にして、本発明の第1実施形態に係る振動検出装置の動作を、電源が投入されたときの動作と、出力レンジを越える振動が印加されたときの動作とに分けて説明する。
(電源が投入されたときの動作)
図2は、本発明の第1実施形態に係る振動検出装置に電源が投入されたときの粗調整動作を説明するためのフローチャートである。図3は、本発明の第1実施形態に係る振動検出装置に電源が投入されたときの微調整動作を説明するためのフローチャートである。図4は、本発明の第1実施形態に係る振動検出装置に電源が投入されたときのタイミングチャートである。
なお、図2は、振動検出装置に電源が投入されたときの動作をMCU5に組み込まれているプログラムから抜き出したものである。
以下では、D/A変換器7a,7bに8ビット型のD/A変換器を使用した場合を例に挙げて説明する。
【0080】
S3200において、MCU5は、振動ジャイロ1の電源投入時の処理を開始する。この時点において、電源回路4は、非動作であり、出力信号発生部7の出力信号Vda0,Vda1は、0Vであるものとする。
【0081】
S3201において、MCU5は、電源回路4をオン動作する。MCU5は、t31において、制御信号発生部5dにPC信号の発生を指示し、PC信号がHighとなり、電源回路4がオン動作する。
その結果、振動ジャイロ1、回路2,3及び定電圧レギュレータ6に、電源ラインVddを通じて電源が供給される。
【0082】
S3202において、MCU5は、電源ラインVddが安定するまでの時間T11だけ待つ。
【0083】
S3203において、MCU5は、出力信号発生部7を操作して、出力信号V00をD/A変換器7aから出力し、出力信号V10をD/A変換器7bから出力する。MCU5は、t32において、操作信号発生部5bに操作信号S0,S1の発生を指示する。出力信号レベル可変部70aは、操作信号S0に基づいて、以下の数1により電圧V00を算出する。
【0084】
【数1】
Figure 0004258857
【0085】
一方、出力信号レベル可変部70bは、操作信号S1に基づいて、以下の数2により電圧V10を算出する。
【0086】
【数2】
Figure 0004258857
【0087】
回路3は、この出力信号Vda0(電圧V00)、出力信号Vda1(電圧V10)及び振動検出信号Voに基づいて演算出力信号Voutを演算する。
【0088】
S3204において、MCU5は、振動ジャイロ1の振動検出信号Voが安定するまで待つ。MCU5は、演算出力信号Voutが安定する時間T12だけ待つ。
【0089】
S3205において、MCU5は、以降において使用する変数nをゼロに設定し、S3206において、変数nを+1(変数nを+1加算)する。
【0090】
S3207において、MCU5は、演算出力信号Voutをモニタする。MCU5は、t33において、A/D変換器5aにより演算出力信号Voutをディジタル値に量子化する。
【0091】
S3208において、MCU5は、演算出力信号Voutのモニタ値が2.0Vよりも大きいか否かを判断し、モニタ値が2.0Vよりも大きいときには、S3209に進み、モニタ値が2.0Vよりも大きくないときには、S3210に進む。MCU5は、演算出力信号Voutが、合わせ込もうとする基準電圧Vref(2.0V)よりも上か下かを判定する。
【0092】
S3209において、MCU5は、出力信号発生部7を操作し、以下の数3により算出される電圧V0nをD/A変換器7aから出力する。
【0093】
【数3】
Figure 0004258857
【0094】
MCU5は、操作信号発生部5bに操作信号S0の発生を指示する。出力信号レベル可変部70aは、この操作信号S0に基づいて、数3に基づく電圧V0nを出力信号Vda0として出力する。回路3は、抵抗R3,R4,R5,R6の抵抗値で定まる比率によって、出力信号Vda0,Vda1及び回路2の出力信号を基準電圧Vref1を基準に加算し、演算出力信号Voutを出力する。
なお、数3におけるV0n-1 は、本演算を行う直前のD/A変換器7aの出力電圧に相当し、例えば、n=1の場合の電圧V0n-1 は、数1で規定するV00である。
【0095】
S3210において、MCU5は、出力信号発生部7を操作し、以下の数4により算出される電圧V0nをD/A変換器7aから出力する。
【0096】
【数4】
Figure 0004258857
【0097】
MCU5は、操作信号発生部5bに操作信号S0の発生を指示する。出力信号レベル可変部70aは、この操作信号S0に基づいて、数4に基づく電圧V0nを出力信号Vda0として出力し、回路3は、S3209における処理と同様に、演算出力信号Voutを出力する。
なお、数4におけるV0n-1 は、本演算を行う直前のD/A変換器7aの出力電圧に相当し、例えば、n=1の場合の電圧V0n-1 は、数1で規定されるV00である。
【0098】
S3211において、MCU5は、出力信号Vda0及び演算出力信号Voutが安定するまで待つ。
【0099】
S3212において、MCU5は、変数nが7であるか否かを判断する。変数nが7に満たないときには、S3206に戻り、t34において、変数nが7になったときには、S3213に進む。MCU5は、変数nが7になるまでS3206以降の処理を繰り返し、合わせ込もうとする基準電圧Vref(2.0V)に演算出力信号Voutの電圧値を粗調整する。
【0100】
S3213において、MCU5は、以降において使用する変数mをゼロに設定し、S3214において、変数mを+1(変数mを+1加算)する。
【0101】
S3215において、MCU5は、演算出力信号Voutをモニタする。MCU5は、A/D変換器5aにより演算出力信号Voutをディジタル値に量子化する。
【0102】
S3216において、MCU5は、演算出力信号Voutのモニタ値が2.0Vよりも大きいか否かを判断し、モニタ値が2.0Vよりも大きいときには、S3217に進み、モニタ値が2.0Vよりも大きくないときには、S3218に進む。MCU5は、演算出力信号Voutが、合わせ込もうとする基準電圧Vref(2.0V)よりも上か下かを判定する。
【0103】
S3217において、MCU5は、出力信号発生部7を操作し、以下の数5により算出される電圧V1mをD/A変換器7bから出力する。
【0104】
【数5】
Figure 0004258857
【0105】
MCU5は、操作信号発生部5bに操作信号S1の発生を指示する。出力信号レベル可変部70bは、この操作信号S1に基づいて、数5に基づく電圧V1mを出力信号Vda1として出力する。回路3は、抵抗R3,R4,R5,R6の抵抗値で定まる比率によって、出力信号Vda0,Vda1及び回路2の出力信号を基準電圧Vref1を基準に加算し、演算出力信号Voutを出力する。
なお、数5におけるV1m-1 は、本演算を行う直前のD/A変換器7bの出力電圧に相当し、例えば、m=1の場合の電圧V1m-1 は、数2で規定するV10である。
【0106】
S3218において、MCU5は、出力信号発生部7を操作し、以下の数6により算出される電圧V1mをD/A変換器7bから出力する。
【0107】
【数6】
Figure 0004258857
【0108】
MCU5は、操作信号発生部5bに操作信号S1の発生を指示する。出力信号レベル可変部70bは、この操作信号S1に基づいて、数6に基づく電圧V1mを出力信号Vda1として出力し、回路3は、S3217における処理と同様に、演算出力信号Voutを出力する。
なお、数6におけるV0m-1 は、本演算を行う直前のD/A変換器7bの出力電圧に相当し、例えば、m=1の場合の電圧V1m-1 は、数2で規定されるV10である。
【0109】
S3219において、MCU5は、出力信号Vda1及び演算出力信号Voutが安定するまで待つ。
【0110】
S3220において、MCU5は、変数mが7であるか否かを判断する。変数mが7に満たないときには、S3214に戻り、t35において、変数mが7になったときには、S3221において一連の処理が終了する。MCU5は、変数mが7になるまでS3214以降の処理を繰り返し、合わせ込もうとする基準電圧Vref(2.0V)に演算出力信号Voutの電圧値を微調整する。
なお、MCU5は、t33〜t35において、検出すべき振動の周波数に対して無視できるほど短い時間で、演算出力信号Voutを調整する。
【0111】
なお、MCU5は、S3250〜S3221の処理を、後述する初期調整動作として行う。
【0112】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る振動検出装置は、以下に記載する効果を有する。
(1) 振動ジャイロ1の電源投入時における出力変動、個々の振動ジャイロ1の静止時出力のバラツキ及び使用環境による出力変動などによって、振動検出信号Vo及び回路2の出力は、回路3の基準電圧Vref1に対して大きな電圧差を生ずる。この電圧差は、抵抗R3,R6で決定される増幅率で演算出力信号Voutとして出力されて、常に決まった電圧として出力されないばかりか、演算増幅器OP2の出力レンジを越えて演算出力信号Voutが飽和してしまう。
【0113】
本発明の第1実施形態は、回路2の出力及びD/A変換器7a,7bの出力信号Vda0,Vda1を、回路3によって加算し、演算出力信号Voutを出力する。
ここで、抵抗R5よりも抵抗R4が小さく設定されると、S3200〜S3212の動作により、演算出力信号Voutの電圧レベルがMCU5によってモニタされて、D/A変換器7aの出力信号Vda0は、その電圧レベルで可変制御される。
その結果、合わせ込もうとする所定の電圧2.0V又はその近辺に、演算出力信号Voutを大まかに調整(粗調整)することができる。
【0114】
(2) MCU5は、S3213〜S3221の動作により、演算出力信号Voutの電圧レベルをモニタし、D/A変換器7bの出力信号Vda1を可変制御する。
このために、合わせ込もうとする所定の電圧2.0V又はその近辺に、演算出力信号Voutを高精度に調整(微調整)することができる。
その結果、振動ジャイロ1から出力した振動検出信号Voの電源投入時における出力変動、個々の振動ジャイロの静止時出力のばらつき及び使用環境による出力変化を精度よく基準電圧Vref(2.0V)に調整することができる。
【0115】
例えば、D/A変換器7a,7bに8ビット分解能のD/A変換器を利用し、抵抗R4,R5の抵抗値の比率を1:256に設定すると、MCU5は、演算出力信号Voutの電圧レベルを2.0Vに粗調整する。
さらに、MCU5は、演算出力信号Voutの電圧レベルを、より細かい1/256の分解能により、2.0Vにきめ細かく調整(微調整)することができる。本発明の第1実施形態は、分解能の高いD/A変換器7a,7bを用いずに、比較的安価に入手可能な8ビット程度のD/A変換器を用いて、演算出力信号Voutの電圧レベルを高精度に調整することができる。
【0116】
(3) 本発明の第1実施形態に係る振動検出装置は、ハイパスフィルタを用いていないために、従来の振動検出装置におけるハイパスフィルタの時定数に起因する問題を解決することができる。
【0117】
(出力レンジを越える振動が印加されたときの動作)
図5は、本発明の第1実施形態に係る振動検出装置に出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのフローチャートである。図6は、本発明の第1実施形態に係る振動検出装置に出力レンジを越える振動が印加されたときのタイミングチャートである。
なお、図5は、振動検出装置に電源が投入されたときの動作をMCU5に組み込まれているプログラムから抜き出したものである。
【0118】
S3300において、MCU5は、振動検出割り込み処理(インターバル割り込み)1を開始する。MCU5は、前述の電源が投入された時の動作を、この時点において終了しており、制御信号発生部5dに制御信号PCの出力を指示している。電源回路4は、振動ジャイロ1及び回路2,3に電源を投入しており、MCU5は、演算出力信号Voutを所定の電圧2.0Vに調整し、演算出力信号Voutが安定した状態において、振動検出割り込み処理1を開始する。
振動検出割り込み処理1は、内蔵するタイマ機能を用いて、例えば、1ms間隔で行うインターバル割り込み処理であり、MCU5は、後述するオフセット値Voffsetを初期値として予めゼロに設定している。
【0119】
S3301において、MCU5は、演算出力信号Voutをモニタし、内蔵するA/D変換器5aにより演算出力信号Voutをディジタル化し、この演算出力信号Voutのモニタ結果をモニタ値V1に設定する。
【0120】
S3302において、MCU5は、モニタ値V1がレベルLからレベルHまでの範囲内にあるか否かを判断する。レベルLからレベルHまでの範囲内にモニタ値V1があるきには、S3307に進み、MCU5は、モニタ値V1をモニタ値V2に設定する。レベルLからレベルHまでの範囲内にモニタ値V1がないときには、S3303に進む。
【0121】
S3303において、MCU5は、出力信号発生部7を操作し、出力信号Vda1を所定電圧+C又は所定電圧−C’だけ変化させる。MCU5は、モニタ値V1がレベルH以上であるときには、出力信号Vda1を+Cだけ変化させ、モニタ値V1がレベルL以下であるときには、出力信号Vda1を−C’だけ変化させる。
MCU5は、図6に示すように、演算出力信号Voutが飽和する直前(飽和レベルよりも幾分低めに設定されたレベルH(飽和レベルよりも幾分高めに設定されたレベルL))を越えたt41(t43)において、操作信号発生部5bに操作信号S1の発生を指示する。この操作信号S1に基づいて、D/A変換器7bは、モニタ値V1がレベルH以上であるときには、現在の出力信号Vda1よりも所定電圧C(Cは、正の数)を加算した電圧Vda1に変更するように、出力信号レベル可変部70bに指示する。
また、モニタ値V1がレベルL以下であるときには、D/A変換器7bは、現在の出力信号Vda1よりも所定電圧C’(C’は、正の数)だけ減算した電圧Vda1に変更するように、出力信号レベル可変部70bに指示する。
出力信号Vda1は、抵抗R5を通じて演算増幅器OP2の負側に入力する。回路3は、抵抗R3,R4,R5,R6の抵抗値で定まる比率によって、振動検出信号Voに基づく回路2の出力と出力信号Vda0,Vda1とを基準電圧Vref1を基準に加算する。
その結果、演算出力信号Voutは、所定の電圧レベル2.0V又はその近辺まで引き戻される。
【0122】
S3304において、MCU5は、出力信号Vda1及び演算出力信号Voutが安定するまで待つ。MCU5は、出力信号Vda1及び出力信号Vda1の変化に伴い変化する演算出力信号Voutが安定するまで待つ。
【0123】
S3305において、MCU5は、演算出力信号Voutをモニタし、演算出力信号Voutをモニタ値V2に設定する。
【0124】
S3306において、MCU5は、モニタ値V1とモニタ値V2との変化量V1−V2に現在のオフセット値Voffsetを加算し、改めてオフセット値Voffsetを設定する。MCU5は、D/A変換器7bが動作する直前における演算出力信号Voutの電圧K(M)と、D/A変換器7bが動作した直後における演算出力信号Voutの電圧L(N)とをモニタする。MCU5は、電圧差K−L(M−N)を演算し、現在のオフセット値Voffsetにこの変化量K−L(M−N)を加算し、改めてオフセット値Voffsetを算出する。
【0125】
S3308において、MCU5は、改めて算出したオフセット値Voffsetにモニタ値V2を加算し補正演算出力信号Vout’とする。補正部5cは、t41(t43)〜t42(t44)までの演算出力信号Voutをつなぎ合せ、補正演算出力信号Vout’を算出する。そして、S3309において、MCU5は、振動検出割り込み処理1を終了する。
なお、以上の説明において、演算出力信号VoutがレベルMを下回ったときの動作については、かっこを付して説明している。
【0126】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る振動検出装置は、以下に記載する効果を有する。
(1) MCU5は、図6に示すように、演算出力信号Voutがt41においてK点を越えるとき、又は、演算出力信号Voutがt43においてM点を下回るときに、D/A変換器7bを操作している。
その結果、基準電圧Vref(2.0V)側に演算出力信号Voutが引き戻される。
【0127】
(2) 演算出力信号Voutは、t41において、基準電圧Vref(2.0V)側に引き戻されているが、さらに大きな振動が印加されると、再度上側又は下側の出力ダイナミックレンジを複数回越える可能性がある。
この場合には、t41又はt43における操作を繰り返して、従来の振動検出装置に比べて数倍又はそれを越える大きな振動を検出することができる。
【0128】
(3) MCU5は、D/A変換器7bの操作直前(t41のK点又はt43のM点)のモニタ値(電圧値)V1と、操作直後(t42のL点又はt44のN点)のモニタ値(電圧値)V2とから、電圧の変化量(電圧差)V1−V2を演算している。
そして、MCU5は、この電圧差V1−V2に基づいて、演算出力信号Voutをつなぎ合わせて、補正演算出力信号Vout’を算出する。
その結果、従来の振動検出装置では出力ダイナミックレンジを大きく越えてしまうような振動を、補正演算出力信号Vout’を算出することでほぼリアルタイムに検出することができる。
また、補正演算出力信号Vout’の振動検出分解能及びS/Nを維持することができる。
さらに、検出可能な振動のダイナミックレンジが拡大するために、図1に示す回路3の増幅率が上がり、検出分解能及びS/Nが向上する。
【0129】
(4) 演算出力信号Voutの変化量V1−V2は、D/A変換器7bの特性、抵抗R5,R6の抵抗値及び基準電圧Vref2の電圧値が既知であれば、当然に定まる。出力信号Vda1の電圧変更量C(−C’)及びK点(M点)の電位から、図6に示すt42(t44)の電圧値をモニタしなくても、L点(N点)の電圧を定めることができる。その逆に、L点(N点)の電位からK点(M点)の正確な電位も定まるために、その分処理を容易にすることができる。
MCU5は、出力信号Vda1の電圧変化量C,−C’と抵抗R5,R6に基づいて、演算出力信号Voutの変化量V1−V2を以下の数7及び数8により算出することができる。
【0130】
【数7】
Figure 0004258857
【0131】
【数8】
Figure 0004258857
【0132】
MCU5は、数7及び数8の算出結果に基づいて、S3306,S3308の演算をすることができる。
【0133】
(5) 本発明の第1実施形態は、図1に示すように、A/D変換器5a及びD/A変換器7bの基準電源を同じ基準電圧Vref2としている。抵抗R5,R6の比率が一定であって、D/A変換器7bが出力信号Vda1を所定ディジタル値分、例えば、1LSB分可変したときには、A/D変換器5aがA/D変換するディジタル値の変化量は、基準電圧Vref2の変動に係わらず常に一定である。
このために、振動検出装置の個々で基準電圧Vref2にばらつきや、経時変化などが生じても、同じ量子化量だけD/A変換器7bを操作する限り、演算出力信号Voutの変化量に対するA/D変換値の変化量を常に一定に保つことができる。
その結果、基準電圧Vref2の変動は、数7及び数8に示す変化量V1−V2の演算値に影響を与えず、補正演算出力信号Vout’に誤差が生じない。
【0134】
(第2実施形態)
(出力レンジを越える振動が印加されたときの動作)
図7は、本発明の第2実施形態に係る振動検出装置に出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのフローチャートである。図8は、本発明の第2実施形態に係る振動検出装置における引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図7は、振動検出装置に電源が投入されたときの動作をMCU5に組み込まれているプログラムから抜き出したものである。
また、引き戻し動作とは、演算出力信号Voutが所定範囲を越えるときに、出力信号発生部67をMCU5が操作して、演算出力信号Voutを所定範囲内に引き戻す動作である。
さらに、つなぎ合わせ動作とは、引き戻し動作前の演算出力信号Voutと、引き戻し動作後の演算出力信号Voutとをつなぎ合わせる動作をいう。
【0135】
本発明の第2実施形態は、つなぎ合わせ動作が第1実施形態と異なる他の実施形態である。
以下では、図5に示すステップと同一又は略同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
【0136】
S3400において、MCU5は、振動検出割り込み処理(インターバル割り込み)2を開始する。
【0137】
S3401において、MCU5は、演算出力信号Voutをモニタし、モニタ結果を量子化値V(t)に設定する。
【0138】
S3402において、MCU5は、前回のサンプリング時に出力信号発生部7を操作したか否かを判断する。MCU5は、現時刻の1ms前に行った振動検出割り込み処理2において、操作信号発生部5bにより出力信号発生部7を操作し、D/A変換器7bの出力信号Vda1を変更したか否かを判断する。前回のサンプリング時に出力信号発生部7を操作したときには、S3403に進み、前回のサンプリング時に出力信号発生部7を操作しなかったときには、S3404に進む。
【0139】
S3403において、MCU5は、Voffset値を更新する。MCU5は、以下の数9により改めてオフセット値Voffsetを設定する。
【0140】
【数9】
Figure 0004258857
【0141】
ここで、サンプリング間隔ts は、図8に示すように、振動検出割り込み処理2を行うインターバル間隔であり、時刻tは、現在のサンプリング時刻であり、時刻t−ts は、前回のサンプリング時刻であり、時刻t−2ts は、前々回のサンプリング時刻である。
また、量子化値V(t−2ts )は、時刻t−2ts における演算出力信号Voutに応じた演算データであり、量子化値V(t−ts )は、時刻t−ts における演算出力信号Voutに応じた演算データであり、量子化値V(t)は、時刻tにおける演算出力信号Voutに応じた演算データである。
【0142】
S3404において、補正部5cは、補正出力信号Vout’(t)を演算する。補正部5cは、以下の数10により補正出力信号Vout’(t)を演算する。
【0143】
【数10】
Figure 0004258857
【0144】
S3405において、MCU5は、量子化値V(t)がレベルLからレベルHまでの範囲内にあるか否かを判断する。レベルLからレベルHまでの範囲内に量子化値V(t)があるきには、S3407に進み、振動検出割り込み処理2を終了する。レベルLからレベルHまでの範囲内に量子化値V(t)がないときには、S3406に進む。
【0145】
S3406において、MCU5は、出力信号発生部7を操作し、出力信号Vda1を所定電圧+C又は所定電圧−C’だけ変化させる。MCU5は、量子化値V(t)がレベルH以上であるときには、出力信号Vda1を所定電圧+Cだけ変化させ、量子化値V(t)がレベルL以下であるときには、出力信号Vda1を所定電圧−C’だけ変化させる。そして、S3407において、MCU5は、振動検出割り込み処理2を終了する。
【0146】
MCU5は、図8に示すように、演算出力信号Voutが飽和する直前(飽和レベルよりも幾分低めに設定されたレベルH)を越えたサンプリング時刻t−ts において、操作信号発生部5bに操作信号S1の発生を指示する。D/A変換器7bは、この操作信号S1に基づいて、量子化値V(t)がレベルH以上であるときには、現在の出力信号Vda1に所定電圧C(Cは、正の数)を加算した電圧Vda1に変更するように、出力信号レベル可変部70bに指示する。
また、量子化値V(t)がレベルL以下であるときには、D/A変換器7bは、現在の出力信号Vda1よりも所定電圧C’(C’は、正の数)だけ減算した電圧Vda1に変更するように、出力信号レベル可変部70bに指示する。
【0147】
出力信号Vda1は、抵抗R5を通じて演算増幅器OP2の負側に入力する。回路3は、抵抗R3,R4,R5,R6の抵抗値で定まる比率によって、振動検出信号Voに基づく回路2の出力と出力信号Vda0,Vda1とを基準電圧Vref1を基準に加算する。
その結果、演算出力信号Voutの電圧レベルが、演算出力信号Voutのダイナミックレンジの内側に引き戻される。
また、補正部5cは、次回の量子化値V(t)と、前回の量子化値V(t−ts )及び前々回の量子化値V(t−2ts )とに基づいて、引き戻し動作中(時刻t−ts 〜時刻t)の演算出力信号Voutの変化量を考慮して、不連続になった演算出力信号Voutをつなぎ合わせることができる。
なお、図8は、ダイナミックレンジの上側を演算出力信号Voutが越えようとする場合を例に挙げているが、ダイナミックレンジの下側を演算出力信号Voutが越えようとする場合にも、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を同様に行うことができる。
【0148】
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る振動検出装置は、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を有する。
S3304において、MCU5は、出力信号発生部7を操作して、D/A変換器7bが出力信号Vda1を発生している。ここで、出力信号Vda1及び演算出力信号Voutが安定するまでの待ち時間(t41〜t42,t43〜t44)が、無駄になってしまう。この待ち時間は、D/A変換器7bの応答特性、抵抗R5,R6の比率及びオペアンプOP2の応答特性に依存し、これらの素子の選択によっては、無視できない時間、例えば、約100μs程度の時間となることがある。
【0149】
この待ち時間において、急激に変化する振動波形が振動検出装置に印加すると、演算出力信号Voutが大きく変化する。
その結果、演算出力信号Voutを引き戻して、K点とL点又はM点とN点とをつなぎ合わせた波形である補正演算出力信号V’outに、この待ち時間の間の信号変化量が誤差となって生じる可能性がある。量子化値V(t−2ts ),V(t−ts ),V(t),・・・は、A/D変換器65aによる離散的な演算データであり、サンプリング間隔ts が長くなるほどこの誤差が大きくなる。
【0150】
一方、D/A変換器7bの特性、抵抗R5,R6の抵抗値及び基準電圧Vref2の電圧値が既知のときには、数7及び数8によって変化量V1−V2を演算し、S3304における待ち時間も不要となる。
しかし、抵抗R5,R6の抵抗値、D/A変換器7b及び基準電圧Vref2の電圧値などのばらつきによって、変化量V1−V2を精度よく演算することは困難である。
さらに、抵抗R5,R6の抵抗値、D/A変換器7b及び基準電圧Vref2の電圧値などのばらつきによる影響を受けない高性能な素子を用いると、コストアップにつながってしまう。
【0151】
本発明の第2実施形態は、Voffset値を補正部65cが数9によって演算し、補正演算出力信号Vout’(t)を数10によって演算している。
このために、時刻tの補正演算出力信号Vout’(t)は、引き戻し動作を行う2回前の量子化値V(t−2ts )と、1回前の量子化値V(t−ts )とを通過する直線上にあるものとして近似することができる。
その結果、MCU5は、サンプリング間隔ts 毎に振動検出割り込み処理2を繰り返し行って、振動検出装置に生じた振動をほぼリアルタイムに検出することができる。
また、図5に示すS3304のように、出力信号Vda1及び演算出力信号Voutが安定するまでの待ち時間を設ける必要がなくなって、引き戻し動作により生ずる補正演算出力信号Vout’(t)の誤差が減少する。
【0152】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係る振動検出装置における振動検出回路を示す図である。
なお、以下の説明において、図42に示す回路と同一の回路は、対応する符号を付して説明し、その部分の詳細な説明については省略する。
【0153】
本発明の第3実施形態における振動検出回路は、図42に示す従来の振動検出回路と回路配置が同一である。本発明の第3実施形態におけるMCU15は、増幅回路13からの演算出力信号Voutが所定範囲内にあるか否かを判断しており、演算出力信号Voutをディジタル化するA/D変換器15aと、操作信号SSWを発生する操作信号発生部15bと、演算出力信号Voutを補正演算出力信号Vout’に補正する補正部15cと、制御信号PCを発生する制御信号発生部15dとを備えている。
【0154】
(出力レンジを越える振動が印加されたときの動作)
つぎに、MCU15の動作を中心にして、本発明の第3実施形態に係る振動検出装置の動作を説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る振動検出装置に出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
図10は、出力レンジを越える振動が振動検出装置に印加されたときの動作をMCU15に組み込まれているプログラムから抜き出して示したものである。
なお、以下では、図7に示すステップと同一又は略同一のステップについては、対応する番号を付して説明し、そのステップの詳細な説明を省略する。
【0155】
S3500において、MCU15は、振動検出割り込み処理(インターバル割り込み)3を開始する。
【0156】
S3501において、MCU15は、演算出力信号Voutをモニタし、この演算出力信号Voutを量子化値V(t)に設定する。
【0157】
S3502において、MCU15は、前回サンプリング時にアナログスイッチSW10をオン動作したか否かを判断する。MCU15は、現時刻の1ms前に行った振動検出割り込み処理3において、操作信号発生部15bにより操作信号SSWを発生し、アナログスイッチSW10をオン動作したか否かを判断する。前回のサンプリング時にアナログスイッチSW10をオン動作したときには、S3504に進み、前回のサンプリング時にアナログスイッチSW10をオン動作しなかったときには、S3503に進む。
【0158】
S3503において、MCU15は、Voffset値を更新する。MCU15は、オフセット値Voffsetを数9によって改めて設定する。
【0159】
S3504において、補正部15cは、補正出力信号Vout’(t)を演算する。補正部15cは、補正出力信号Vout’(t)を数10によって演算する。
【0160】
S3505において、MCU15は、量子化値V(t)がレベルLからレベルHまでの範囲内にあるか否かを判断する。レベルLからレベルHまでの範囲内に量子化値V(t)があるときには、S3507に進み、振動検出割り込み処理3を終了する。レベルLからレベルHまでの範囲内に量子化値V(t)がないときには、S3506に進む。
【0161】
S3506において、MCU15は、アナログスイッチSW10を所定時間オン動作させる。MCU15は、図8に示すように、演算出力信号Voutが飽和する直前(飽和レベルよりも幾分低めに設定されたレベルH)を越えた時刻t−ts において、操作信号発生部15bに操作信号SSWの発生を指示する。操作信号SSWは、時刻t−ts 〜時刻tにおいてHighとなり、アナログスイッチSW10は、時刻t−ts 〜時刻tにおいてオン動作を維持する。
その結果、回路12からの出力信号の一部は、アナログスイッチSW10及び抵抗R15,R16を通じて演算増幅器OP12の負側に入力する。演算出力信号Voutは、そのダイナミックレンジの中央側(図9に示す0V側)に引き戻され、初期化処理がなされる。
そして、S3507において、MCU15は、振動検出割り込み処理3を終了する。
【0162】
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る振動検出装置は、第2実施形態に係る振動検出装置と同様の効果を有する。
【0163】
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態に係る振動検出装置における振動検出回路の一部を示す図である。
本発明の第4実施形態に係る振動検出装置は、第1実施形態〜第3実施形態と異なり、ピエゾ抵抗型の加速度センサを用いた他の実施形態である。
図1及び図9に示す振動ジャイロ1,11は、振動による角速度を検出する角速度センサであるが、振動を検出する素子として加速度センサを用いることもできる。
以下では、振動検出装置に加速度センサを用いた例を挙げて説明する。
なお、図1及び図9に示す回路と同一の回路は、対応する番号を付して説明し、その部分の詳細な説明については省略する。
【0164】
振動検出部21は、ピエゾ抵抗型の加速度センサである。振動検出部21は、4本の抵抗で構成した抵抗ブリッジを備えている。この抵抗ブリッジの端子P1,P4は、公知の技術によって、それぞれ一定の電圧+VB,−VBに保たれている。振動検出部21は、4本の抵抗の抵抗値のバランスが、印加した加速度に応じて変化し、端子P2と端子P3との間に電位差を生ずる。振動検出部21は、検出した加速度に応じた振動検出信号を、回路22に出力する。
【0165】
回路22は、振動検出部21の端子P2,P3から出力する振動検出信号を差動増幅する回路である。回路22は、公知のインスツルメンテーションアンプであり、演算増幅器OP21,OP22,OP23と、抵抗R21,R22,R23,R24,R25,R26,R27とからなる。回路22は、振動検出部21に印加した加速度に比例して、端子P2と端子P3との間に電位差を生じ、それに比例した出力信号を発生する。
【0166】
回路23は、演算増幅器OP24と、抵抗R28,R29,R30,R31とからなる。回路23は、回路22の出力信号と、出力信号Vda0,Vda1とを、抵抗R28,R29,R30,R31の抵抗値の比率で決まる加算比率及び増幅比率で加算演算して、振動により生じた加速度信号(演算出力信号)Voutを出力する。
【0167】
〔カメラ〕
(第5実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態〜第4実施形態に係る振動検出装置をカメラに応用した例を挙げて説明する。
図12は、本発明の第5実施形態に係るカメラを示すブロック図である。
なお、本発明の第5実施形態は、本発明の第1実施形態〜第4実施形態に係る振動検出装置をカメラに応用したときに、電源投入動作、初期調整動作、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を行うタイミングに関する実施形態である。
【0168】
カメラ30は、例えば、ビデオムービー、電子スチルカメラ又は銀塩カメラなどの撮影装置である。カメラ30は、ユーザによって操作され、撮影準備動作及び撮影動作を開始するレリーズボタン31と、カメラを起動するメインボタン32と、ズームアップ動作及びズームダウン動作を開始するズームボタン33とを備えている。カメラ30は、その内部に、MCU35と、振動検出回路36と、露光回路37と、ズーム駆動回路38と、ズーム駆動機構部39と、レリーズボタン31の半押し動作を検出する半押しスイッチSW11と、レリーズボタン31の全押し動を検出する全押しスイッチSW12と、メインボタン32のオン動作を検出するメインスイッチSW13と、ズームアップ時におけるズームボタン33のオン動作を検出するズームアップスイッチSW14と、ズームダウン時におけるズームボタン33のオン動作を検出するズームダウンスイッチSW15とを備えている。
【0169】
MCU35は、図1及び図9に示すMCU5,15に相当し、A/D変換器5a,15a、操作信号発生部5b,15b、補正部5c,15c及び制御信号発生部5d,15dなどを含む。MCU35には、振動検出回路36と、露光回路37と、ズーム駆動回路38とが接続されている。
また、MCU35は、その入力ポートに、半押しスイッチSW11と、全押しスイッチSW12と、メインスイッチSW13と、ズームアップスイッチSW14と、ズームダウンスイッチSW15とが接続されており、それぞれのスイッチのオン信号が入力する。MCU35は、その内部にプルアップ抵抗を内蔵しており、各スイッチがオフ動作したときには、信号レベルがHighになり、各スイッチがオン動作したときには、信号レベルがLowになる。MCU35は、各スイッチのオン信号が入力することによって、ユーザによる各ボタンの操作を認識する。
なお、以下では、MCU35以外の回路や信号などについては、図1及び図9における名称や記号などをそのまま利用する。
【0170】
振動検出回路36は、カメラ30に生じた振動を検出するための回路である。振動検出回路36は、図1、図9及び図11に示すMCU5,15以外の全ての回路に相当し、振動ジャイロ1,11、振動検出部21、回路2,12,22、回路3,13,23及び電源回路4,14などを含む。
【0171】
露光回路37は、図示しない撮影レンズからの被写体像を図示しない銀塩フィルムに露光させるための回路、又は、電荷転送素子(以下、CCDという)などの撮像素子に撮像させて、電気的な撮像信号を得るための回路である。露光回路37は、MCU35によって制御される。
露光回路37は、銀塩カメラや一部の電子スチルカメラについては、メカニカルシャッタとその電子制御回路からなる。また、露光回路37は、一般的な電子スチルカメラやビデオムービーなどについては、CCDとその電荷蓄積時間などの制御による電子シャッタ回路などからなる。
【0172】
ズーム駆動回路38は、ズーム駆動機構部39を動作するための回路である。ズーム駆動回路38は、MCU35によって制御される。
【0173】
ズーム駆動機構部39は、撮影光学系の少なくとも一部を構成するズームレンズ40を光軸I方向に駆動して、焦点距離を連続的に変更するものである。ズーム駆動機構部39は、ズーム駆動回路38に接続されている。ズーム駆動機構部39は、ユーザによるズームボタン33の操作に応じて、ズームレンズ40を駆動する。ズーム駆動機構部39は、ズームアップスイッチSW14がオン動作したときには、焦点距離を長焦点側にズームアップし、ズームダウンスイッチSW15がオン動作したときには、焦点距離を短焦点側にズームダウンする。
【0174】
つぎに、本発明の第5実施形態に係るカメラの動作を説明する。
図13は、本発明の第5実施形態に係るカメラに出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【0175】
図13は、振動検出装置に電源が投入されたときの動作をMCU35に組み込まれているプログラムから抜き出したものである。
図13に示すMCU35の基本的な動作は、図7に示す振動検出割り込み処理2と略同様であり、カメラに使用する際に適した処理を一部追加している。
なお、図13に示すフローチャートは、S3606〜S3609の処理が、図7に示すフローチャートと相違する。以下では、図7に示すS3401〜S3405と同一のS3601〜S3605については、詳細な説明を省略する。
【0176】
S3600において、MCU35は、振動検出割り込み処理(インターバル割り込み)4を開始する。MCU35は、後述するオフセット値Voffset及び引き戻し回数Npを初期値として予めゼロに初期化している。
【0177】
S3606において、MCU35は、引き戻し動作が許可されているか否かを判断する。MCU35は、S3610において実行される引き戻し動作が許可されているか否かを判断する。引き戻し動作が許可されているときには、S3607に進む。
一方、引き戻し動作が禁止されているときには、S3612に進み、S3610における引き戻し動作が禁止されて、振動検出割り込み処理4を終了する。
【0178】
S3607において、MCU35は、補正演算出力信号Vout’(t)が所定範囲内であるか否かを判断する。MCU35は、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作によって演算した補正演算出力信号Vout’(t)の絶対値が、所定値以下であるか否かを判断する。補正演算出力信号Vout’(t)の絶対値が所定値以下であるときには、S3608に進む。
一方、補正演算出力信号Vout’(t)の絶対値が所定値よりも大きいときには、S3612に進み、S3610における引き戻し動作が禁止される。
【0179】
S3608において、MCU35は、引き戻し回数Npが所定回数以内であるか否かを判断する。MCU35は、引き戻し回数Npの絶対値が所定値以下であるか否かを判断する。引き戻し回数Npの絶対値が所定値以下であるときには、S3609に進む。
一方、引き戻し回数Npの絶対値が所定値よりも大きいときには、S3612に進み、S3610における引き戻し動作が禁止される。
【0180】
S3609において、MCU35は、補正演算出力信号Vout’(t)が急速に変化したか否かを判断する。MCU35は、図8に示す今回の時刻tにおける量子化値V(t)と、前回の時刻t−ts における量子化値V(t−ts)との変化量の絶対値が、所定値を越えるか否かを判断する。MCU35は、量子化値V(t)と量子化値V(t−ts)との変化量の絶対値が、所定値以下であるときには、S3610へ進む。
一方、MCU35は、量子化値V(t)と量子化値V(t−ts)との変化量の絶対値が、所定値を越えるときには、S3612に進み、S3610における引き戻し動作が禁止される。
【0181】
S3611において、MCU35は、引き戻し回数Npを更新する。MCU35は、量子化値V(t)がレベルH以上であるときには、引き戻し回数Npを+1する。MCU35は、演算出力信号Voutが所定レベルH側のダイナミックレンジを越える場合、又は、越える直前の場合であって、S3610において演算出力信号Voutを内側に引き戻したときには、現在の引き戻し回数Npを+1加算する。
一方、MCU35は、量子化値V(t)がレベルL以下であるときには、引き戻し回数Npを−1する。MCU35は、演算出力信号Voutが所定レベルL側のダイナミックレンジを越える場合、又は、越える直前の場合であって、S3610において演算出力信号Voutを内側に引き戻したときには、現在の引き戻し回数Npを−1加算する。
その結果、引き戻し動作の回数が、引き戻し回数Np値として算出される。
【0182】
S3612において、MCU35は、振動検出割込み処理4を終了する。
このように、MCU35は、S3606〜S3609の判定を終えて、これらの判定の少なくとも一つが条件を満たさないと判断したときには、S3612へ進み、振動検出割込み処理4を終了する。
一方、MCU35は、S3606〜S3609の判定を終えて、これらの判定の全ての条件を満たすと判断したときには、S3610において引き戻し動作を行って、振動検出割込み処理4を終了する。
【0183】
以上説明したように、本発明の第5実施形態に係るカメラは、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
例えば、振動検出装置又はカメラを何かにぶつけたときや、カメラの画角を急に変更したときなどのように、振動検出装置又はカメラに大きな振動が急激に加わると、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作により生ずる誤差が大きくなることがある。図7〜図11に示すように、第2実施形態〜第4実施形態に係る振動検出装置は、引き戻し動作やつなぎ合わせ動作により生ずる誤差を減らすことができる。
しかし、演算出力信号Voutが急激に変化したり、あまりにも大きな振動が加わったときには、この誤差は無視できないくらい大きくなることがある。
また、演算出力信号Voutが急激に変化せずに、1回のつなぎ合わせ誤差が微少であっても、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を複数回行うことによって、この誤差が累積して無視できない誤差となるときがある。
【0184】
本発明の第1実施形態〜第3実施形態に係る振動検出装置は、振動ジャイロ1,11及び加速度センサ21が出力する振動検出信号からDC成分をカットしていない。
その結果、引き戻し動作やつなぎ合わせ動作を中止したために、演算出力信号Voutがダイナミックレンジを越えて飽和しても、振動検出装置又はカメラに生じた振動がおさまり小さくなると、演算出力信号Voutは、元のダイナミックレンジ内に戻る。
【0185】
このために、図13に示す振動検出割込み処理4は、以下の場合には、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を制限している。
第1に、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作後の補正出力信号Vout’が大きい場合、第2に、引き戻し回数Npが多い場合、第3に、演算出力信号Voutが急速に変化した場合には、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作により生ずる誤差が増大する可能性があるために、つなぎ合わせ動作及び引き戻し動作を禁止している。
【0186】
(レリーズボタンの操作と振動検出動作)
つぎに、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明する。
図14は、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。図15は、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図14は、図12に示すレリーズボタン31をユーザが操作したときの動作を、MCU35に組み込んだプログラムから抜き出したものである。
【0187】
S4100において、MCU35は、カメラ動作1を開始する。
【0188】
S4101において、MCU35は、半押しスイッチSW11がオン動作したか否かを判断する。MCU35は、レリーズボタン31をユーザが半押し操作することによって、半押しスイッチSW11がオン動作し、半押しスイッチオン信号がLowになったか否かを判断する。t51において、半押しスイッチSW11がオン動作したときには、S4102に進み、半押しスイッチSW11がオン動作していないときには、S4101の判断を繰り返す。
【0189】
S4102において、MCU35は、振動検出回路36をオン動作する。MCU35は、図15に示すt51において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の発生を指示し、PC信号がHighとなり、電源回路4,14がオン動作する。その結果、電源ラインVddを通じて、振動検出回路36に電源が供給される。
【0190】
S4103において、MCU35は、電源ラインVddが安定するまで待つ。MCU35は、t51〜t52までの、図4に示す時間T13(=T11+T12)だけ待つ。
【0191】
S4104において、MCU35は、初期調整処理を開始する。MCU35は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理(以下、初期調整動作という)をt52〜t53で実行する。
S3251において、MCU35は、オフセット値Voffsetをゼロに設定(初期化)し、S3252において、MCU35は、引き戻し回数Npをゼロに設定(初期化)する。
S3253において、MCU35は、出力信号発生部7を操作して、出力信号V00をD/A変換器7aから出力し、出力信号V10をD/A変換器7bから出力する。
S3254において、MCU35は、出力信号Vda0(電圧V00)、出力信号Vda1(電圧V10)及び演算出力信号Voutが、安定するまでの時間だけ待つ。
S3250〜S3221において、MCU35は、演算出力信号Voutを所定電圧(2.0V近辺)に調整して、図14に示すS4105に進む。
【0192】
S4105において、MCU35は、振動検出を開始する。MCU35は、振動検出割り込み処理4を許可し、t53において、カメラに生じた振動の検出を開始する。
その結果、MCU35は、カメラに生じた振動をほぼリアルタイムに検出する。また、ダイナミックレンジを越える大きな振動が印加したときには、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作によって、補正演算出力信号Vout’(t)を得ることができる。
【0193】
S4106において、MCU35は、引き戻し動作を許可する。MCU35は、t53において、引き戻し動作を許可する。
その結果、図13に示すS3606において、MCU35は、引き戻し動作が許可されていると判断する。
【0194】
S4107において、MCU35は、全押しスイッチSW12がオン動作したか否かを判断する。MCU35は、レリーズボタン31をユーザが全押し操作することによって、全押しスイッチSW12がオン動作し、全押しスイッチオン信号がLowになったか否かを判断する。t54において、全押しスイッチSW12がオン動作したときには、S4108に進み、全押しスイッチSW12がオン動作していないときには、S4113の判断を繰り返す。
【0195】
S4108において、MCU35は、引き戻し動作(つなぎ合わせ動作)を禁止する。MCU35は、レリーズボタン31の全押し動作に応じて、t54〜t56において、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止する。
その結果、図13に示すS3606において、MCU35は、引き戻し動作が許可されていない(禁止されている)と判断する。MCU35は、S3610における引き戻し動作を禁止して、S3603及びS3604におけるつなぎ合わせ動作も禁止する。
【0196】
S4109において、MCU35は、タイマスタートする。MCU35は、例えば、所定時間を経過(タイムアップ)したことを知らせるタイマを内蔵している。MCU35は、タイマスタートからタイムアップまでの所定の時間をこのタイマにより設定して、タイマスタートする。
【0197】
S4110において、MCU35は、露光処理を開始させる。露光回路37は、t54において、銀塩フィルムへの露光動作又は撮像素子への撮像動作を開始し、t55において、露光動作又は撮像動作が終了する。MCU35は、露光時間(t54〜t55)以上にタイマを設定したときには、少なくとも露光動作中又は撮像動作中に、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止する。一方、MCU35は、露光時間にタイマを設定したときには、露光動作中又は撮像動作中のみ、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止する。
【0198】
S4111において、MCU35は、タイムアップしたか否かを判断する。MCU35は、スタートしたタイマがタイムアップしたか否かを判断する。t56において、タイマがタイムアップしたときには、S4112に進む。タイマがタイムアップしていないときには、MCU35は、タイムアップするまで繰り返し判断を続ける。
【0199】
S4112において、MCU35は、引き戻し動作を許可する。MCU35は、S4108において禁止した引き戻し動作をt56において許可する。
【0200】
S4113において、MCU35は、半押しスイッチSW11がオン動作したか否かを判断する。MCU35は、半押しスイッチSW11がオン動作して、半押しスイッチオン信号がLowになったか否かを判断する。半押しスイッチSW11がオン動作したときには、S4107に戻り、S4107以降の処理を繰り返す。半押しスイッチSW11がオン動作していないときには、S4114に進む。
【0201】
S4114において、MCU35は、振動検出を終了する。MCU35は、t57において、振動検出割り込み処理4を禁止する。
【0202】
S4115において、MCU35は、振動検出回路36をオフ動作する。MCU35は、t57において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の停止を指示し、PC信号がLowとなり、振動検出回路36がオフ動作する。その結果、振動検出回路36への電源の供給が、遮断される。S4115の処理が終了すると、S4101へ戻り、MCU35は、S4101以降の処理を繰り返す。
【0203】
以上説明したように、本発明の第5実施形態に係るカメラは、以下の効果を有する。
(1) MCU35は、レリーズボタン31の半押し操作に応じて、振動検出回路36をオン動作して、初期調整動作及び振動検出を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可することができる。
【0204】
(2) MCU35は、ユーザによるレリーズボタン31の半押し動作中には、振動検出を開始して、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可することができる。
【0205】
(3) 引き戻し動作後につなぎ合わせた補正演算出力信号Vout’(t)は、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作により、微少ではあるが波形に不連続性を生じている。一般に、ブレ補正装置を備えるカメラ又はビデオムービーなどは、補正演算出力信号Vout’(t)に基づいて、露光中のブレを補正する。
このために、露光中に引き戻し動作やつなぎ合わせ動作を行って、補正演算出力信号Vout’(t)が不連続になると、ブレ補正動作に影響を与える。
MCU35は、S4109〜S4112の処理によって、少なくとも露光中は引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止するために、精度よくブレを補正することができる。
【0206】
(ズーミング動作と振動検出動作)
つぎに、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるズームボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明する。
図16は、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるズームボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。図17は、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるズームボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
以下では、図14に示すステップと同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
【0207】
S4200において、MCU35は、カメラ動作2を開始する。
【0208】
S4201において、MCU35は、ズームボタン33がオン動作したか否かを判断する。MCU35は、ズームボタン33をユーザが操作することによって、ズームスイッチSW14又はズームスイッチSW15がオン動作し、ズームスイッチオン信号がLowになったか否かを判断する。図17に示すように、例えば、t61において、ズームスイッチSW14がオン動作したときには、S4202に進む。ズームスイッチSW14又はズームスイッチSW15がオン動作していないときには、S4201の判断を繰り返す。
【0209】
S4202において、MCU35は、振動検出回路36をオン動作する。
【0210】
S4203において、MCU35は、電源ラインVddが安定するまで待つ。MCU35は、t61〜t62において、図4に示す時間T13(=T11+T12)だけ待つ。
【0211】
S4204において、MCU35は、初期調整動作を開始する。MCU35は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理をt62〜t63で実行する。
【0212】
S4205において、MCU35は、引き戻し動作(つなぎ合わせ動作)を禁止する。MCU35は、ズームボタン33の操作に応じて、t63〜t64において、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止する。MCU35は、図13に示すS3606において、引き戻し動作が許可されていないと判断して、S3610において引き戻し動作を禁止し、S3603及びS3604においてつなぎ合わせ動作も禁止する。
【0213】
S4206において、MCU35は、振動検出を開始する。MCU35は、振動検出割り込み処理4を許可し、t63において、カメラに生じた振動の検出を開始する。
【0214】
S4207において、MCU35は、ズームアップしたか否かを判断する。MCU35は、ズームスイッチSW14がオン動作し、ズームスイッチオン信号がLowになったか否かを判断する。ズームスイッチSW14がオン動作したときには、S4208に進み、ズームスイッチSW14がオン動作していないときには、S4209に進む。
【0215】
S4208において、MCU35は、ズームアップ駆動を指示する。MCU35は、ズームスイッチSW14のオン動作に基づいて、ズーム駆動回路38を制御し、ズーム駆動機構部39は、ズームレンズ40をズームアップ駆動する。
【0216】
S4209において、MCU35は、ズームダウン駆動を指示する。ズームスイッチSW14がオン動作していないとき(ズームスイッチSW15がオン動作したとき)には、MCU35は、ズーム駆動回路38を制御し、ズーム駆動機構部39は、ズームレンズ40をズームダウン駆動する。
【0217】
S4210において、MCU35は、ズームボタン33がオフ動作したか否かを判断する。MCU35は、ズームスイッチSW14及びズームスイッチSW15がオフ動作し、ズームスイッチオン信号がHighになったか否かを判断する。例えば、t64において、ズームスイッチSW14がオフ動作したときには、S4211に進む。ズームスイッチSW14及びズームスイッチSW15がオフ動作していないときには、S4207に戻り、MCU35は、S4207以降の処理を繰り返す。
その結果、ズームボタン33がユーザによって操作されている間は、ズームアップ駆動又はズームダウン駆動が継続される。
【0218】
S4211において、MCU35は、ズーム駆動終了を指示する。MCU35は、ズームスイッチSW14及びズームスイッチSW15のオフ動作に基づいて、ズーム駆動回路38を制御し、ズーム駆動機構部39は、ズームレンズ40のズームアップ駆動又はズームダウン駆動を停止する。
【0219】
S4212において、MCU35は、初期調整動作を開始する。MCU35は、t64〜t65において、初期調整動作を行う。
【0220】
S4213において、MCU35は、引き戻し動作を許可する。MCU35は、t65において、引き戻し動作を許可する。
その結果、MCU35は、図13に示すS3606において、引き戻し動作が許可されていると判断し、S3610において引き戻し動作を行って、S3603及びS3604においてつなぎ合わせ動作を行う。
【0221】
S4214において、MCU35は、振動検出を開始する。MCU35は、振動検出割り込み処理4を許可し、t65において、カメラに生じた振動の検出を開始する。
【0222】
S4215において、MCU35は、タイマスタートする。MCU35は、タイマスタートからタイムアップまでの所定の時間を、内蔵するタイマにより設定し、タイマをスタートする。
【0223】
S4216において、MCU35は、ズームボタン33がオン動作したか否かを判断する。例えば、t66において、ズームスイッチSW15がオン動作したときにはS4204に戻り、MCU35はS4204以降の処理を繰り返す。
その結果、MCU35は、t66〜t67において、初期調整動作を開始し、t67において、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止して、t67において、振動検出を開始する。t68において、ズームスイッチSW15がオフ動作すると、ズームダウン駆動が終了する。そして、MCU35は、t68〜t69において、初期調整動作を開始し、t69において、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止して、振動検出を開始する。
【0224】
S4217において、MCU35は、タイムアップしたか否かを判断する。t70において、タイマがタイムアップしたときには、S4218に進む。タイマがタイムアップしていないときには、S4216に戻り、MCU35は、タイムアップするまで繰り返し判断を続ける。
【0225】
S4218において、MCU35は、振動検出を終了する。MCU35は、t70において、振動検出割り込み処理4を禁止する。
【0226】
S4219において、MCU35は、振動検出回路36をオフ動作する。MCU35は、t70において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の停止を指示し、PC信号がLowとなり、振動検出回路36がオフ動作する。その結果、振動検出回路36への電源の供給が、遮断される。S4219の処理が終了すると、S4201へ戻り、MCU35は、S4201以降の処理を繰り返す。
【0227】
以上説明したように、本発明の第5実施形態に係るカメラは、以下の効果を有する。
(1) MCU35は、ズームボタン33のオン動作に応じて振動検出回路36をオン動作し、t61〜t63において、初期調整動作を行うことができる。
また、MCU35は、ズームボタン33のオン動作に応じて、t63〜t64、t65〜t66、t67〜t68及びt69〜t70において、振動検出を開始することができる。
さらに、MCU35は、ズームボタン33がオフ動作して、所定時間経過後のt70において、振動検出動作を禁止し、振動検出回路36への電源の供給を遮断することができる。
【0228】
(2) MCU35は、ズームボタン33がオフ動作して、振動検出動作を行っている場合に、ズームボタン33が再度オン動作したとき、又は、ズームボタン33がオン動作からオフ動作したときには、振動検出回路36をオン動作して初期調整動作を行っている。
この場合に、MCU35は、振動検出回路36のオン動作及び初期調整動作を既に行っているために、ズームボタン33のオフ動作時及び再度のオン動作時に、初期調整動作は本来不要である。
しかし、カメラ又はビデオムービーなどへの振動検出装置の使用を考慮すると、ズームボタン33の操作に応じて、ユーザが撮影画角を変更したり、撮影画角を決定することが多い。そして、ズームボタン33をユーザが操作する場合や撮影画角を操作中に変更する場合には、極端に大きな振動を生じるときがある。
このために、MCU35は、それ以前に行った引き戻し動作やつなぎ合わせ動作による誤差や誤動作をキャンセルするために、初期調整動作を再度行って、その後に振動検出を再開している。
また、MCU35は、ズームボタン33をユーザが操作して、ズーム駆動を行っているときには、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止している。
このために、画角変更などの大きな振動によって、補正演算出力信号Vout’(t)につなぎ合わせ誤差が生じるのを防止することができる。
【0229】
(レリーズボタンの半押し操作と振動検出動作)
つぎに、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザにより半押し操作されたときの動作を説明する。
図18は、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザによって半押し操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。図19は、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザによって半押し操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
以下では、図14に示すステップと同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
【0230】
S4300において、MCU35は、カメラ動作3を開始する。
【0231】
S4301において、MCU35は、半押しスイッチSW11がオン動作したか否かを判断する。図19に示すt81において、半押しスイッチSW11がオン動作したときには、S4302に進み、半押しスイッチSW11がオン動作していないときには、S4301の判断を繰り返す。
【0232】
S4302において、MCU35は、振動検出回路36をオン動作する。MCU35は、t81において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の発生を指示し、PC信号がHighとなり、振動検出回路36がオン動作する。
【0233】
S4303において、MCU35は、電源ラインVddが安定するまで待つ。MCU35は、t81〜t82の図4に示す時間T13(=T11+T12)だけ待つ。
【0234】
S4304において、MCU35は、初期調整動作を開始する。MCU35は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理を、t82〜t83で実行する。
【0235】
S4305において、MCU35は、振動検出を開始する。MCU35は、振動検出割り込み処理4を許可し、t83において、カメラに生じた振動の検出を開始する。
【0236】
S4306において、MCU35は、引き戻し動作を許可する。MCU35は、t83において、引き戻し動作を許可する。
その結果、図12に示すS3606において、MCU35は、引き戻し動作が許可されていると判断する。
【0237】
S4307において、MCU35は、半押しスイッチSW11がオフ動作したか否かを判断する。MCU35は、レリーズボタン31をユーザが操作して、半押しスイッチSW11がオフ動作し、半押しスイッチオン信号がHighになったか否かを判断する。t84において、半押しスイッチSW11がオフ動作したときには、S4308に進み、半押しスイッチSW11がオフ動作していないときには、S4307の判断を繰り返す。
【0238】
S4308において、MCU35は、タイマスタートする。MCU35は、タイマスタートからタイムアップまでの所定の時間を、内蔵するタイマにより設定して、タイマをスタートする。
【0239】
S4309において、MCU35は、タイムアップしたか否かを判断する。タイマがタイムアップしたときには、S4311に進み、タイマがタイムアップしていないときには、S4310に進む。
【0240】
S4310において、MCU35は、半押しスイッチSW11がオン動作したか否かを判断する。t85において、半押しスイッチSW11が再度オン動作したときには、S4304に戻り、MCU35は、S4304以降の処理を繰り返し、t85〜t86で初期調整動作を行う。半押しスイッチSW11がオン動作していないときには、S4309に戻り、MCU35は、S4309以降の処理を繰り返す。
【0241】
S4311において、MCU35は、振動検出を終了する。t87において、半押しスイッチSW11がオフ動作した後に、MCU35は、タイマがタイムアップするt88において、振動検出割り込み処理4を禁止する。
【0242】
S4312において、MCU35は、振動検出回路36をオフ動作する。MCU35は、t88において、制御信号発生部65dにPC信号の停止を指示し、PC信号がLowとなり、振動検出回路36がオフ動作する。その結果、振動検出回路36への電源の供給が、遮断される。S4312の処理が終了すると、S4301へ戻り、MCU35は、S4301以降の処理を繰り返す。
【0243】
以上説明したように、本発明の第5実施形態に係るカメラは、以下の効果を有する。
(1) 振動検出装置をカメラなどに使用した場合には、半押しスイッチSW11をオフ動作してから、あまり時間を経過しないうちに、半押しスイッチSW11をユーザが再度オン動作するときが頻繁にある。
そして、振動検出回路36を一旦オフ動作すると、振動ジャイロ1,15や振動検出部25の電源投入時のドリフトや、振動検出回路36の電源投入時の出力安定性などが、振動検出精度に影響したり、安定して振動を検出するまでに時間を要したりする。
MCU35は、半押しスイッチSW11がオフ動作してから所定時間は、振動検出回路36をオン動作して、振動検出動作を行っている。
このために、電源投入時の安定時間が不要となり、半押しスイッチSW11が再度オン動作したときに、直ちに振動を検出することができる。
【0244】
(2) MCU35は、半押しスイッチSW11がオフ動作して、振動検出動作を行っている場合に、半押しスイッチSW11が再度オン動作したとき、又は、半押しスイッチSW11がオン動作からオフ動作したときには、振動検出回路36をオン動作して初期調整動作を行っている。
この場合に、MCU35は、振動検出回路36のオン動作及び初期調整動作を既に行っているために、半押しスイッチSW11の再度のオン動作時に、初期調整動作は本来不要である。
しかし、カメラなどへの振動検出装置の使用を考慮すると、半押しスイッチSW11のオン動作時には、撮影画角をユーザが既に決定しているときが多く、カメラなどに加わる振動もある程度小さいときが多い。
一方、半押しスイッチSW11がオン動作する以前のタイミングでは、撮影画角をユーザが変更して、カメラなどに大きな振動が加わる場合が多い。
このために、MCU35は、それ以前に行った引き戻し動作やつなぎ合わせ動作に、誤差や誤動作を生じないように、初期調整動作を再度行っている。
【0245】
また、図2及び図3に示す初期調整動作中に、大きな振動がカメラなどに加わった場合には、精度のよい調整動作を振動検出装置が行えない可能性がある。
このために、MCU35は、カメラに加わる振動がある程度小さいと予想される半押しスイッチSW11のオン動作後に初期調整動作を再度行っている。
【0246】
(メインボタンの操作と振動検出動作)
つぎに、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるメインボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明する。
図20は、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるメインボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。図21は、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるメインボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
以下では、図18に示すステップと同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
【0247】
S4400において、MCU35は、カメラ動作4を開始する。
【0248】
S4401において、MCU35は、メインボタン32がオン動作したか否かを判断する。図21に示すt91において、メインスイッチSW13がオン動作したときには、S4402に進み、メインスイッチSW13がオン動作していないときには、S4401の判断を繰り返す。
【0249】
S4402において、MCU35は、振動検出回路36をオン動作する。MCU35は、t91において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の発生を指示し、PC信号がHighとなり、振動検出回路36がオン動作する。
【0250】
S4403において、MCU35は、電源ラインVddが安定するまで待つ。MCU35は、t91〜t92の図4に示す時間T13(=T11+T12)だけ待つ。
【0251】
S4404において、MCU35は、初期調整動作を開始する。MCU35は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理をt92〜t93で実行する。
【0252】
S4405において、MCU35は、振動検出を開始する。MCU35は、振動検出割り込み処理4を許可し、t93において、カメラに生じた振動の検出を開始する。
【0253】
S4406において、MCU35は、引き戻し動作を許可する。MCU35は、t93において、引き戻し動作を許可する。
【0254】
S4407において、MCU35は、メインボタン32がオフ動作したか否かを判断する。MCU35は、メインスイッチSW13がオフ動作して、メインスイッチオン信号がHighになったか否かを判断する。t94において、メインスイッチSW13がオフ動作したときには、S4408に進み、メインスイッチSW13がオフ動作していないときには、S4407の判断を繰り返す。
【0255】
S4408において、MCU35は、タイマスタートする。MCU35は、タイマスタートからタイムアップまでの所定の時間を、内蔵するタイマにより設定して、タイマをスタートする。
【0256】
S4409において、MCU35は、タイムアップしたか否かを判断する。タイマがタイムアップしたときには、S4411に進み、タイマがタイムアップしていないときには、S4410に進む。
【0257】
S4410において、MCU35は、メインボタン32がオン動作したか否かを判断する。メインスイッチSW13が再度オン動作したときには、S4404に戻り、MCU35は、S4304以降の処理を繰り返す。メインスイッチSW13がオン動作していないときには、S4409に戻り、MCU35は、S4309以降の処理を繰り返す。
【0258】
S4411において、MCU35は、振動検出を終了する。t94において、メインスイッチSW13がオフ動作した後に、MCU35は、タイマがタイムアップするt95において、振動検出割り込み処理4を禁止する。
【0259】
S4412において、MCU35は、振動検出回路36をオフ動作する。MCU35は、t95において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の停止を指示し、PC信号がLowとなり、振動検出回路36がオフ動作する。その結果、振動検出回路36への電源の供給が、遮断される。S4412の処理が終了すると、S4401へ戻り、MCU35は、S4401以降の処理を繰り返す。
【0260】
以上説明したように、本発明の第5実施形態に係るカメラは、以下の効果を有する。
振動検出装置をカメラなどに使用した場合には、メインスイッチSW13をオフ動作してから、あまり時間を経過しないうちに、メインスイッチSW13をユーザが再度オン動作するときが頻繁にある。
そして、振動検出回路36を一旦オフ動作すると、振動ジャイロ1,15や振動検出部25の電源投入時のドリフトや、振動検出回路36の電源投入時の出力安定性などが、振動検出精度に影響したり、安定して振動を検出するまでに時間を要したりする。
MCU35は、メインスイッチSW13がオフ動作してから所定時間は、振動検出回路36をオン動作して、振動検出動作を行っている。
このために、電源投入時の安定時間が不要となり、半押しスイッチSW11が再度オン動作したときに、直ちに振動を検出することができる。
【0261】
(第6実施形態)
つぎに、本発明の第6実施形態に係るカメラの動作を説明する。
図22は、本発明の第6実施形態に係るカメラに出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
なお、図22に示すフローチャートは、S3706〜S3709の処理が、図13に示すフローチャートと相違する。
以下では、図7及び図13に示すステップと同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
本発明の第6実施形態に係るカメラは、第5実施形態とは異なり、つなぎ合わせ動作により生ずる誤差の増大を未然に防止する他の実施形態である。
【0262】
S3700において、MCU35は、振動検出割り込み処理(インターバル割り込み)5を開始する。
【0263】
S3709において、MCU35は、初期調整FLGをセットする。MCU35は、S3706〜S3708の判定を終えて、これらの判定の少なくとも一つが条件を満たさないと判断したときには、S3709に進む。MCU35は、S3710における引き戻し動作を禁止するとともに、初期調整FLGをセットする。
【0264】
S3712において、MCU35は、振動検出割込み処理5を終了する。MCU35は、S3709において、初期調整FLGをセットして、振動検出割込み処理5を終了する。
また、MCU35は、S3606〜S3609の判定を終えて、これらの判定の全ての条件を満たすと判断したときには、S3610において引き戻し動作を行って、振動検出割込み処理5を終了する。
【0265】
以上説明したように、図122に示す振動検出割り込み処理5は、以下の場合には、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止して、初期調整FLGをセットしている。
第1に、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作後の補正出力信号Vout’が大きい場合、第2に、引き戻し回数Npが多い場合、第3に、演算出力信号Voutが急速に変化した場合には、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作により生ずる誤差が増大する可能性がある。
【0266】
(レリーズボタンの半押し操作と振動検出動作)
つぎに、本発明の第5実施形態に係るカメラにおける初期調整FLGがセットされたときの動作を説明する。
図23は、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザによって半押し操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。図24は、本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザによって半押し操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
以下では、図18に示すステップと同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
【0267】
S4500において、MCU35は、カメラ動作5を開始する。
【0268】
S4501において、MCU35は、レリーズボタン31が半押し操作されたか否かを判断する。図24に示すt101において、半押しスイッチSW11がオン動作したときには、S4502に進み、半押しスイッチSW11がオン動作していないときには、S4501の判断を繰り返す。
【0269】
S4502において、MCU35は、振動検出回路36をオン動作する。MCU35は、t102において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の発生を指示し、PC信号がHighとなり、振動検出回路36がオン動作する。
【0270】
S4503において、MCU35は、電源ラインVddが安定するまで待つ。MCU35は、t102〜t103の図4に示す時間T13(=T11+T12)だけ待つ。
【0271】
S4504において、MCU35は、振動検出を終了する。MCU35は、振動検出割り込み処理5を一旦禁止する。
【0272】
S4505において、MCU35は、初期調整動作を開始する。MCU35は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理をt102〜t103で実行する。
【0273】
S4506において、MCU35は、初期調整FLGをクリアする。
【0274】
S4507において、MCU35は、振動検出を開始する。MCU35は、振動検出割り込み処理5を許可し、t103において、カメラに生じた振動の検出を開始する。
MCU35は、図22に示すS3706〜S3708の判定のうち、少なくとも一つの条件を満たさないと判断したときには、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止して、S3709において、初期調整FLGをセットする。
【0275】
S4508において、MCU35は、初期調整FLGがセットされているか否かを判断する。t104(t107)において、初期調整FLGがセットされているときには、S4504に戻る。MCU35は、S4504〜S4505までの処理を繰り返して、t105(t108)〜t106(t109)において、初期調整動作を再度行う。初期調整FLGがセットされていないときには、S4509に進む。
【0276】
S4509において、MCU35は、レリーズボタン31の半押し操作がオフ動作したか否かを判断する。MCU35は、半押しスイッチSW11がオフ動作し、半押しスイッチオン信号がHighになったか否かを判断する。t110において、半押しスイッチSW11がオフ動作したときには、S4510に進み、半押しスイッチSW11がオフ動作していないときには、S4508に戻り、MCU35は、S4508以降の判断を繰り返す。
【0277】
S4510において、MCU35は、振動検出を終了する。MCU35は、t110において、振動検出割り込み処理5を禁止する。
【0278】
S4511において、MCU35は、振動検出回路36をオフ動作する。MCU35は、t110において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の停止を指示し、PC信号がLowとなり、振動検出回路36がオフ動作する。その結果、振動検出回路36への電源の供給が、遮断される。S4312の処理が終了すると、S4501へ戻り、MCU35は、S4501以降の処理を繰り返す。
【0279】
以上説明したように、本発明の第6実施形態に係るカメラは、第5実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
例えば、振動検出装置又はカメラを何かにぶつけたときや、カメラの撮影画角を急に変更したときなどのように、振動検出装置又はカメラに大きな振動が急激に加わると、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作によって、補正演算出力信号Vout’(t)の誤差が大きくなる可能性がある。
また、図8に示す時刻t−ts 〜時刻tにおける引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作中に、振動検出装置又はカメラに大きな振動が生じると、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作が誤動作する可能性がある。
MCU35は、図22〜図24に示すように、初期調整動作をやり直すことによって、オフセット値Voffsetを初期化している。
その結果、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作により生ずる誤差や誤動作を、解消することができる。
【0280】
〔カメラシステム〕
(第7実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態〜第4実施形態に係る振動検出装置を一眼レフカメラシステムに応用した例を挙げて説明する。
図25は、本発明の第7実施形態に係るカメラシステムを示すブロック図である。
本発明の第7実施形態に係るカメラシステムは、カメラボディ50と、このカメラボディ50に公知の技術で着脱可能に装着された交換レンズ51とからなり、種々のカメラボディと種々の交換レンズとの装着組み合わせが可能である。カメラボディ50及び交換レンズ51は、これらの装着部に電気接点などを備えており、公知の技術によって、カメラボディ50側から交換レンズ51側に電源を供給している。
【0281】
(カメラボディ)
カメラボディ50は、例えば、ビデオムービー、電子スチルカメラ又は銀塩カメラなどの撮影装置本体である。カメラボディ50は、銀塩フィルムや、電子スチルカメラにおけるCCDなどの撮像素子を、撮像する媒体として備えている。また、カメラボディ50は、ボディ側MCU53と、ディジタル系電源回路52と、パワー系電源回路54とを備えている。
【0282】
ボディ側MCU53は、カメラボディ50側のシーケンスを主に制御するものである。ボディ側MCU53には、ディジタル系電源回路52と、パワー系電源回路54とが接続されている。
【0283】
ディジタル系電源回路52は、交換レンズ51側にVCCラインを通じて、ディジタル系電源VCCをレンズ側MCU55に供給するものである。ディジタル系電源回路52は、ボディ側MCU53によって制御されている。
【0284】
パワー系電源回路54は、交換レンズ51側にPVCCラインを通じて、パワー系電源PVCCを振動検出回路56に供給するものである。パワー系電源回路54は、ボディ側MCU53によって制御されている。
【0285】
(交換レンズ)
交換レンズ51は、レンズ側MCU55と、振動検出回路56とを内蔵している。
【0286】
レンズ側MCU55は、主として交換レンズ51側を制御するためのものである。レンズ側MCU55には、振動検出回路56が接続されている。レンズ側MCU55は、カメラボディ50との装着部に設けられた電気接点を通じて、ボディ側MCU53との間で通信が可能であり、レンズ側MCU55及びボディ側MCU53は、通信機能を備えている。レンズ側MCU55は、図1及び図9に示すMCU5,15に相当し、A/D変換器5a,15a、操作信号発生部5b,15b、補正部5c,15c及び制御信号発生部5d,15dなどを含む。
【0287】
振動検出回路56は、カメラボディ50及び交換レンズ51に生じた振動を検出するための回路である。振動検出回路56は、図1及び図9に示すMCU65,15以外の全ての回路に相当し、振動ジャイロ1,11、振動検出部21、回路2,12,21及び回路3,13,23などを含む。図1及び図9に示す電源回路4,14には、PVCCラインを通じて、パワー系電源回路54からパワー系電源PVCCが供給されている。
【0288】
なお、以下では、レンズ側MCU55以外の回路や信号などについては、図1、図9及び図13における名称や記号などをそのまま利用する。
また、初期調整動作は、図2及び図3に示すフローチャートを利用し、振動検出動作は、図13に示すフローチャートを利用するものとし、交換レンズMCU55は、これらのプログラムを内蔵しているものとする。
【0289】
つぎに、本発明の第7実施形態に係るカメラシステムの動作を説明する。
図26は、本発明の第7実施形態に係るカメラシステムにおけるボディ側MCUの動作を説明するためのフローチャートである。図27は、本発明の第7実施形態に係るカメラシステムにおけるレンズ側MCUの動作を説明するためのフローチャートである。図28は、本発明の第7実施形態に係るカメラシステムにおけるカメラボディ側から電源が供給されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図26は、ボディ側MCU53に組み込まれているプログラムから本発明の第7実施形態に関する部分のみを抜き出したものである。
また、図27は、レンズ側MCU55に組み込まれているプログラムから本発明の第7実施形態に関する部分のみを抜き出したものである。
【0290】
S5100において、ボディ側MCU53は、ボディ処理1を開始する。
【0291】
S5101において、ボディ側MCU53は、ディジタル系電源回路52を操作して、交換レンズ51側にディジタル系電源VCCを供給する。ボディ側MCU53は、図28に示すt111において、ディジタル系電源回路52を制御し、ディジタル系電源回路52は、VCCラインを通じて、レンズ側MCU55へのディジタル系電源VCCの供給を開始する。
【0292】
S5102において、ボディ側MCU53は、パワー系電源回路54を操作して、交換レンズ51側にパワー系電源PVCCを供給する。ボディ側MCU53は、t111において、パワー系電源回路54を制御し、パワー系電源回路54は、PVCCラインを通じて、振動検出回路56へのパワー系電源PVCCの供給を開始する。
【0293】
S5103において、ボディ側MCU53は、交換レンズ51との通信を開始する。ボディ側MCU53は、t115において、レンズ側MCU55との通信を開始する。
【0294】
S5104において、ボディ側MCU53は、ボディ処理1を終了する。
【0295】
S6100において、レンズ側MCU55は、交換レンズ電源投入後処理1を開始する。レンズ側MCU55は、カメラボディ50側のディジタル系電源回路52が、ディジタル系電源VCCを供給するt111よりも後に、動作を開始する。
【0296】
S6101において、レンズ側MCU55は、振動検出回路56をオン動作する。レンズ側MCU55は、t112において、制御信号発生部65dにPC信号の発生を指示し、PC信号がHighとなり、振動検出回路56がオン動作する。その結果、振動検出回路56は、カメラボディ50側のパワー系電源回路54が供給するディジタル系電源VCCを用いて、振動検出回路56を含む全回路に、電源ラインVddを通じて電源を供給する。
【0297】
S6102において、レンズ側MCU55は、電源ラインVddが安定するまで待つ。レンズ側MCU55は、t112〜t113の図4に示す時間T13(=T11+T12)だけ待つ。
【0298】
S6103において、レンズ側MCU55は、初期調整動作を開始する。レンズ側MCU55は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理をt113〜t114で実行する。
S3251において、レンズ側MCU55は、オフセット値Voffsetをゼロに設定(初期化)し、S3252において、レンズ側MCU55は、引き戻し回数Npをゼロに設定(初期化)する。
S3253において、レンズ側MCU55は、出力信号発生部67を操作して、出力信号V00をD/A変換器67aから出力し、出力信号V10をD/A変換器67bから出力する。
S3254において、レンズ側MCU55は、出力信号Vda0(電圧V00)、出力信号Vda1(電圧V10)及び演算出力信号Voutが、安定するまでの時間だけ待つ。
そして、S3250〜S3221において、レンズ側MCU55は、演算出力信号Voutを所定電圧(2.0V近辺)に調整して、図27に示すS6104に進む。
【0299】
S6104において、レンズ側MCU55は、振動検出を開始する。レンズ側MCU55は、振動検出割り込み処理4,5を許可し、t114において、カメラに生じた振動の検出を開始する。MCU161は、カメラボディ50及び交換レンズ51に生じた振動を、ほぼリアルタイムに検出する。
【0300】
S6105において、レンズ側MCU55は、引き戻し動作を許可する。レンズ側MCU55は、t114において、引き戻し動作を許可する。その結果、図13に示すS3606において、レンズ側MCU55は、引き戻し動作が許可されていると判断する。また、ダイナミックレンジを越える大きな振動が印加したときには、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作によって、補正演算出力信号Vout’(t)を得ることができる。
【0301】
S6106において、レンズ側MCU55は、カメラボディ50との通信を開始する。レンズ側MCU55は、t115において、ボディ側MCU53との通信を開始する。
【0302】
S6107において、レンズ側MCU55は、交換レンズ電源投入後処理1を終了する。
【0303】
以上説明したように、本発明の第7実施形態に係るカメラシステムは、本発明の第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
振動検出回路56をオン動作して、初期調整動作及び振動検出動作を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可するまでの処理には、ある程度の時間が必要である。
レンズ側MCU55は、カメラボディ50側からの電源供給に応じて、振動検出回路56をオン動作して、初期調整動作及び振動検出動作を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可することができる。
このために、これらの動作を撮影時などに行う必要がなく、撮影時などの振動検出を必要とするタイミングに、これらの動作を予め行うことができる。
【0304】
(第8実施形態)
つぎに、本発明の第8実施形態に係るカメラシステムの動作を説明する。
図29は、本発明の第8実施形態に係るカメラシステムにおけるレンズ側MCUの動作を説明するためのフローチャートである。図30は、本発明の第8実施形態に係るカメラシステムにおけるカメラボディ側から通信を受けたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図29は、レンズ側MCU55に組み込まれているプログラムから本発明の第8実施形態に関する部分のみを抜き出したものであり、ボディ側MCU53は、図26に示す動作を行うものとする。
以下では、図27に示すステップと同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
【0305】
本発明の第8実施形態に係るカメラシステムは、第7実施形態と異なり、カメラボディ50側からの通信に応じて、振動検出動作などを行う他の実施形態である。
【0306】
S6200において、レンズ側MCU55は、交換レンズ電源投入後処理2を開始する。レンズ側MCU55は、カメラボディ50側のディジタル系電源回路52が、ディジタル系電源VCCを供給するt121よりも後に、動作を開始する。
【0307】
S6201において、レンズ側MCU55は、カメラボディ50からの通信があるか否かを判断する。レンズ側MCU55は、ボディ側MCU53からの通信があるか否かを判断する。図30に示すt122において、ボディ側MCU53からの通信があるときには、S6202に進む。ボディ側MCU53からの通信がないときには、レンズ側MCU55は、S6201の判断を繰り返す。
【0308】
S6202において、レンズ側MCU55は、カメラボディ50と通信を行う。レンズ側MCU55は、t122において、ボディ側MCU53との通信を開始する。
【0309】
S6203において、レンズ側MCU55は、振動検出回路56をオン動作する。レンズ側MCU55は、t123において、制御信号発生部65dにPC信号の発生を指示し、PC信号がHighとなり、振動検出回路56がオン動作する。
【0310】
S6204において、レンズ側MCU55は、電源ラインVddが安定するまで待つ。レンズ側MCU55は、t123〜t124の図4に示す時間T13(=T11+T12)だけ待つ。
【0311】
S6205において、レンズ側MCU55は、初期調整動作を開始する。MCU161は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理をt123〜t125で実行する。
【0312】
S6206において、レンズ側MCU55は、振動検出を開始する。MCU161は、振動検出割り込み処理4,5を許可し、t125において、カメラボディ50及び交換レンズ51に生じた振動の検出を開始する。
【0313】
S6207において、レンズ側MCU55は、t125において、引き戻し動作を許可する。
【0314】
S6208において、レンズ側MCU55は、カメラボディ50からの通信があるか否かを判断する。ボディ側MCU53からの通信があるときには、S6209に進み、ボディ側MCU53からの通信がないときには、レンズ側MCU55は、S6208の判断を繰り返す。
【0315】
S6209において、レンズ側MCU55は、カメラボディ50と通信を行う。レンズ側MCU55は、ボディ側MCU53との通信を開始し、S6208に戻り、S6208以降の処理を繰り返す。
【0316】
以上説明したように、本発明の第8実施形態に係るカメラシステムは、本発明の第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
振動検出回路56をオン動作して、初期調整動作及び振動検出動作を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可するまでの処理には、ある程度の時間が必要である。
レンズ側MCU55は、カメラボディ50側からの通信に応じて、振動検出回路56をオン動作して、初期調整動作及び振動検出動作を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可することができる。
このために、これらの動作を撮影時などに行う必要がなく、撮影時などの振動検出を必要とするタイミングに、これらの動作を予め行うことができる。
【0317】
(第9実施形態)
つぎに、本発明の第9実施形態に係るカメラシステムの動作を説明する。
図31は、本発明の第9実施形態に係るカメラシステムにおけるレンズ側MCUの動作を説明するためのフローチャートである。図32は、本発明の第9実施形態に係るカメラシステムにおけるカメラボディ側から通信を受けたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図31は、レンズ側MCU55に組み込まれているプログラムから本発明の第9実施形態に関する部分のみを抜き出したものであり、ボディ側MCU53は、図26に示す動作を行うものとする。
以下では、図29に示すステップと同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
【0318】
本発明の第9実施形態に係るカメラシステムは、第7実施形態及び第8実施形態と異なり、カメラボディ50側からの所定の通信に応じて、振動検出動作などを行う他の実施形態である。
【0319】
S6300において、レンズ側MCU55は、交換レンズ電源投入後処理3を開始する。レンズ側MCU55は、カメラボディ50側のディジタル系電源回路52が、ディジタル系電源VCCを供給するt131よりも後に、動作を開始する。
【0320】
S6301において、レンズ側MCU55は、カメラボディ50からの通信があるか否かを判断する。レンズ側MCU55は、ボディ側MCU53からの通信があるか否かを判断する。図32に示すt132において、ボディ側MCU53からの通信があるときには、S6302に進む。ボディ側MCU53からの通信がないときには、レンズ側MCU55は、S6301の判断を繰り返す。
【0321】
S6302において、レンズ側MCU55は、カメラボディ50と通信を行う。レンズ側MCU55は、t132において、ボディ側MCU53との通信を開始する。
【0322】
S6303において、レンズ側MCU55は、カメラボディ50から所定の通信コマンドを受信したか否かを判断する。レンズ側MCU55は、ボディ側MCU53から所定の通信コマンドを受信したか否かを判断する。例えば、t132(t136)において、ボディ側MCU53から所定の通信コマンドを受信したときには、S6304に進み、ボディ側MCU53から所定の通信コマンドを受信しなかったときには、S6301に戻り、レンズ側MCU55は、S6301以降の処理を繰り返す。
【0323】
S6304において、レンズ側MCU55は、振動検出回路56を既にオン動作しているか否かを判断する。例えば、t133において、振動検出回路56が既にオン動作しているときには、振動検出回路56をオン動作し、電源ラインVddが安定するまで待つ必要がないために、S6307に進む。振動検出回路56がオン動作していないときには、S6305に進む。
【0324】
S6305において、レンズ側MCU55は、振動検出回路56をオン動作する。レンズ側MCU55は、t133において、制御信号発生部65dにPC信号の発生を指示し、PC信号がHighとなり、振動検出回路56がオン動作する。
【0325】
S6306において、レンズ側MCU55は、電源ラインVddが安定するまで待つ。レンズ側MCU55は、t133〜t134の図4に示す時間T13(=T11+T12)だけ待つ。
【0326】
S6307において、レンズ側MCU55は、初期調整動作を開始する。MCU161は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理を、t134〜t135までの間で実行する。レンズ側MCU55は、S6304において、振動検出回路56が既にオン動作していると判断したときには、S3250〜S3221の処理をt137〜t138で実行する。
【0327】
S6308において、レンズ側MCU55は、振動検出動作を開始する。MCU161は、振動検出割り込み処理4,5を許可し、t135(t138)において、カメラボディ50及び交換レンズ51に生じた振動の検出を開始する。
【0328】
S6309において、レンズ側MCU55は、引き戻し動作を許可する。レンズ側MCU55は、t135(t138)において、引き戻し動作を許可して、S6301に戻り、S6301以降の処理を繰り返す。
【0329】
以上説明したように、本発明の第9実施形態に係るカメラシステムは、本発明の第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(1) 振動検出回路56をオン動作して、初期調整動作及び振動検出動作を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可するまでの処理には、ある程度の時間が必要である。
レンズ側MCU55は、カメラボディ50側からの所定の通信コマンドに応じて、振動検出回路56をオン動作して、初期調整動作及び振動検出動作を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可することができる。
このために、これらの動作を撮影時などに行う必要がなく、撮影時などの振動検出を必要とするタイミングに、これらの動作を予め行うことができる。
【0330】
一般に、着脱可能な交換レンズ51とカメラボディ50とからなるカメラシステムでは、ユーザによって操作されるレリーズボタンなどは、カメラボディ50側に設けられている。
一方、カメラシステムに生じる振動は、例えば、レリーズボタンやメインボタンなどの操作のように、ユーザによるカメラボディ50側の操作と関連が深い。例えば、ユーザは、撮影画角を変更して、撮影画角を決定した後に、レリーズボタンを操作して撮影している。レンズ側MCU55は、ボディ側MCU53が認識するユーザの操作に応じて、初期調整動作を必要とするタイミングにおいて、初期調整動作を行うことができる。
その結果、カメラシステムに生じる振動が小さいときに、調整誤差が少なく精度のよい初期調整動作を行うことができる。
【0331】
(2) レンズ側MCU55は、振動検出回路56が既にオン動作しているときには、振動検出回路56を再度オン動作せずに、初期調整動作及び振動検出動作を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可することができる。
【0332】
〔交換レンズ〕
(第10実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態〜第4実施形態に係る振動検出装置を交換レンズに応用した例を挙げて説明する。
図33は、本発明の第10実施形態に係る交換レンズのブロック図である。
【0333】
交換レンズ70は、一眼レフカメラのカメラボディに公知の技術で着脱可能である。交換レンズ70は、撮影レンズ71,72,73,74と、レンズ側MCU75と、振動検出回路76と、距離エンコーダ77と、ズームエンコーダ78と、位置検出回路79と、モータ駆動回路80と、AFモータ81と、距離環82と、ズーム環83とを備えている。交換レンズ70は、カメラボディとの装着部に電気接点などを備えている。
【0334】
撮影レンズ71,72,73,74は、ズーム環83のユーザによる操作に連動して、光軸I方向に移動して、焦点距離を連続的に可変する変倍光学系(以下、ズームレンズという)ものである。ユーザは、ズーム環83を回転操作することによって、所定の範囲において任意の撮影倍率で撮影することができる。
また、撮影レンズ72は、ユーザによる距離環82の回転操作又はAFモータ81の回転駆動によって、光軸I方向に移動して、フィルム面又は撮像面における結像のピントを調整するフォーカシングレンズである。
【0335】
レンズ側MCU75は、交換レンズ70を制御するためのものである。レンズ側MCU75は、例えば、モータ駆動回路80を駆動制御したり、撮影レンズ72(以下、フォーカシングレンズ72という)の光軸I方向の位置を認識したり、距離環82の位置とフォーカシングレンズ72の位置又はその変化を認識したり、ズーム環83の位置又はその変化と焦点距離又はその変化を認識する。レンズ側MCU75には、振動検出回路76と、距離エンコーダ77と、ズームエンコーダ78と、位置検出回路79と、モータ駆動回路80とが接続されている。レンズ側MCU75は、カメラボディとの装着部に設けられた電気接点を通じて、ボディ側MCUとの間で通信が可能であり、レンズ側MCU75は、通信機能を備えている。レンズ側MCU75は、図1及び図9に示すMCU65,15に相当し、A/D変換器5a,15a、操作信号発生部5b,15b、補正部5c,15c及び制御信号発生部5d,15dなどを含む。
【0336】
振動検出回路76は、交換レンズ70に生じた振動を検出するための回路である。振動検出回路76は、図1及び図9に示すMCU65,15以外の全ての回路に相当し、振動ジャイロ1,11、振動検出部21、回路2,12,22及び回路3,13,23、電源回路4,14などを含む。振動検出回路76は、レンズ側MCU75によって制御される。
【0337】
距離エンコーダ77は、フォーカシングレンズ72の光軸I方向の移動に連動した距離環82の位置を検出するものである。距離エンコーダ77は、4つの距離エンコーダ信号が入力しており、4つの距離エンコーダ信号の位相(High又はLow)の組み合わせによって、距離環82の位置を検出する。
【0338】
ズームエンコーダ78は、ズーム環83の位置又はズーム環83に連動した撮影レンズの焦点距離を検出するものである。ズームエンコーダ78は、4つのズームエンコーダ信号が入力しており、4つのズームエンコーダ信号の位相(High又はLow)の組み合わせによって、ズーム環83の位置又は撮影レンズの焦点距離を検出する。
【0339】
位置検出回路79は、フォーカシングレンズ72の光軸I方向における位置を検出するものである。
【0340】
モータ駆動回路80は、AFモータ81を駆動するためのものである。モータ駆動回路80には、AFモータ81が接続されている。
【0341】
AFモータ81は、フォーカシングレンズ72の光軸I方向に駆動するためのものである。AFモータ81は、例えば、フォーカシングレンズ72と、ギヤなどの公知の技術で連結されており、回転運動を直線移動に変換して、フォーカシングレンズ72を光軸I方向に駆動する。
【0342】
なお、以下では、レンズ側MCU75以外の回路や信号などについては、図1、図9及び図11における名称や記号などをそのまま利用する。
また、初期調整動作は、図2及び図3に示すフローチャートを利用し、振動検出動作は、図12に示すフローチャートを利用するものとし、レンズ側MCU75は、これらのプログラムを内蔵しているものとする。
【0343】
つぎに、本発明の第10実施形態に係る交換レンズの動作を説明する。
(ズーム環の操作と振動検出動作)
図34は、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるズーム環がユーザによって操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
なお、図34は、レンズ側MCU75に組み込まれているプログラムから本発明の第10実施形態に関する部分のみを抜き出したものである。
【0344】
S7100において、レンズ側MCU75は、ズーム環操作検出割り込み処理(インターバル割り込み処理)を開始する。ズーム環操作検出割り込み処理は、例えば、レンズ側MCU75が内蔵するタイマによって、50ms間隔で繰り返し行われるインターバル割り込み処理である。
なお、レンズ側MCU75は、ズーム環操作検出割り込み処理を、所定のタイミングで許可している。
【0345】
S7101において、レンズ側MCU75は、現在のズーム環83の位置を読み取る。レンズ側MCU75は、ズームエンコーダ78が出力するズームエンコーダ信号の位相を読み込むことで、ズーム環83の現在位置を読み込む。
【0346】
S7102において、レンズ側MCU75は、現在のズーム環83の位置と、前回のズーム環操作検出割り込み処理時におけるズーム環83の位置とに変化があるか否かを判断する。レンズ側MCU75は、現時点におけるズーム環83の位置と、50ms前におけるズーム環83の位置とを比較し、両者の位置が変化しているか否かを判断する。ズーム環83の現在位置と、ズーム環83の前回位置とに変化があるときには、S7103に進み、ズーム環83の現在位置と、ズーム環83の前回位置とに変化がないときには、S7104に進む。
【0347】
S7103において、レンズ側MCU75は、ズーム環83が操作されたと判断し、S7104において、レンズ側MCU75は、ズーム環83が操作されていないと判断する。
【0348】
S7105において、レンズ側MCU75は、現在のズーム環83の位置を保持する。レンズ側MCU75は、S7101において読み取ったズーム環83の現在位置を、次回のズーム環操作検出割り込み処理時まで保持する。
【0349】
S7106において、レンズ側MCU75は、ズーム環操作検出割り込み処理を終了する。
【0350】
レンズ側MCU75は、ズーム環操作検出割り込み処理を50ms間隔で繰り返し行っている。
このために、ズーム環83をユーザが操作すると、所定インターバル間隔で読み取るズーム環83の位置が変化し、レンズ側MCU75は、ユーザによるズーム環83の操作を検出することができる。
【0351】
つぎに、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるズーム環がユーザにより操作されたときの動作を説明する。
図35は、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるズーム環が操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。図36は、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるズーム環が操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図35は、ズーム環83をユーザが操作したときの動作を、レンズ側MCU75に組み込まれているプログラムから抜き出したものである。
【0352】
S6400において、レンズ側MCU75は交換レンズ処理1を開始する。
【0353】
S6401において、レンズ側MCU75は、ズーム環83が操作されているか否かを判断する。レンズ側MCU75は、図34に示すズーム環操作検出割り込み処理によって、ズーム環83が操作されているか否かを認識している。例えば、図36に示すt141において、ズーム環83が操作されているときには、S6402に進む。ズーム環83が操作されていないときには、レンズ側MCU75は、S6401の判断を繰り返す。
【0354】
S6402において、レンズ側MCU75は、振動検出回路76をオン動作する。レンズ側MCU75は、t141において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の発生を指示し、PC信号がHighとなり、振動検出回路76がオン動作する。その結果、電源ラインVddを通じて、振動検出回路76に電源が供給される。
【0355】
S6403において、レンズ側MCU75は、電源ラインVddが安定するまで待つ。レンズ側MCU75は、t141〜t142の図4に示す時間T13(=T11+T12)だけ待つ。
【0356】
S6404において、レンズ側MCU75は、初期調整動作を開始する。レンズ側MCU75は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理をt142〜t143で実行する。
S3251において、レンズ側MCU75は、オフセット値Voffsetをゼロに設定(初期化)し、S3252において、レンズ側MCU75は、引き戻し回数Npをゼロに設定(初期化)する。
S3253において、レンズ側MCU75は、出力信号発生部7を操作して、出力信号V00をD/A変換器7aから出力し、出力信号V10をD/A変換器7bから出力する。
S3254において、レンズ側MCU75は、出力信号Vda0(電圧V00)、出力信号Vda1(電圧V10)及び演算出力信号Voutが、安定するまでの時間だけ待つ。
そして、S3250〜S3221において、レンズ側MCU75は、演算出力信号Voutを所定電圧(2.0V近辺)に調整して、図35に示すS6405に進む。
【0357】
S6405において、レンズ側MCU75は、振動検出を開始する。レンズ側MCU75は、振動検出割り込み処理4,5を許可し、t143において、交換レンズ70に生じた振動の検出を開始する。
その結果、レンズ側MCU75は、交換レンズ70に生じた振動をほぼリアルタイムに検出する。また、ダイナミックレンジを越える大きな振動が印加したときには、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作によって、補正演算出力信号Vout’(t)を得ることができる。
【0358】
S6406において、レンズ側MCU75は、t143において、引き戻し動作を禁止する。
【0359】
S6407において、レンズ側MCU75は、ズーム環83が操作されているか否かを判断する。レンズ側MCU75は、ズーム環操作検出割り込み処理によって、ズーム環83が操作されているか否かを認識し、ズーム環83が操作されているときには、S6408に進む。一方、例えば、t144において、ズーム環83が操作されていないときには、レンズ側MCU75は、S6407の判断を繰り返す。
【0360】
S6408において、レンズ側MCU75は、初期調整動作を開始する。レンズ側MCU75は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理をt144〜t145で実行する。
【0361】
S6409において、レンズ側MCU75は、振動検出を開始する。レンズ側MCU75は、振動検出割り込み処理4を許可し、t145において、交換レンズ70に生じた振動の検出を開始する。
【0362】
S6410において、レンズ側MCU75は、引き戻し動作を許可する。レンズ側MCU75は、t145において、引き戻し動作を許可する。その結果、図12に示すS3606において、レンズ側MCU75は、引き戻し動作が許可されていると判断する。
【0363】
S6411において、レンズ側MCU75は、タイマスタートする。レンズ側MCU75は、例えば、所定時間を経過(タイムアップ)したことを知らせるタイマを内蔵している。レンズ側MCU75は、タイマスタートからタイムアップまでの所定の時間をこのタイマにより設定して、タイマスタートする。
【0364】
S6412において、レンズ側MCU75は、タイムアップしたか否かを判断する。レンズ側MCU75は、スタートしたタイマがタイムアップしたか否かを判断する。レンズ側MCU75は、S6407において、ズーム環83が操作されているか否かを判断してから、一定時間を経過(タイムアップ)したときには、S6414に進み、タイマがタイムアップしていないときには、S6413に進む。
【0365】
S6413において、レンズ側MCU75は、ズーム環83が操作されているか否かを判断する。レンズ側MCU75は、t146において、ズーム環操作検出割り込み処理に基づいて、ズーム環83が再度操作されたと判断したときには、S6404に戻る。そして、レンズ側MCU75は、S6404以降の処理を繰り返し、t146〜t147までの間の初期調整動作を行う。一方、例えば、t148において、ズーム環83が操作されていないときには、S6412に戻り、レンズ側MCU75は、S6412以降の処理を繰り返す。
【0366】
S6414において、レンズ側MCU75は、振動検出を終了する。レンズ側MCU75は、t150において、振動検出割り込み処理4,5を禁止する。
【0367】
S6415において、レンズ側MCU75は、振動検出回路76をオフ動作する。レンズ側MCU75は、t150において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の停止を指示し、PC信号がLowとなり、振動検出回路76がオフ動作する。その結果、振動検出回路76への電源の供給が、遮断される。S6415の処理が終了すると、S6401へ戻り、レンズ側MCU75は、S6401以降の処理を繰り返す。
【0368】
以上説明したように、本発明の第10実施形態に係る交換レンズは、以下の効果を有する。
(1) レンズ側MCU75は、ユーザによるズーム環83の操作に応じて、振動検出回路76をオン動作して、初期調整動作を行っている。
ユーザは、ズーム環83を操作して撮影焦点距離を変更した後に、直ちに撮影を行うことが多い。
しかし、振動ジャイロ1,11及び振動検出部21やその出力信号を処理する回路2,12,22などは、電源投入時に出力ドリフトがあり、出力信号が安定するまでに時間を要する。
また、図14及び図15に示すように、ユーザによるレリーズボタン101の操作に応じて、振動検出回路76をオン動作し、振動検出動作を開始したのでは、この安定時間を確保できない場合が多い。
このために、レンズ側MCU75は、ユーザによる撮影前のズーム環83の操作に応じて、振動検出回路76をオン動作して、初期調整動作を行っている。
【0369】
(2) レンズ側MCU75は、ユーザによるズーム環83の操作が終了してから所定時間は、振動検出回路76のオン動作を維持し、振動検出動作、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を継続している。
そして、レンズ側MCU75は、ズーム環83の操作停止から所定時間を経過したときに、振動検出動作を終了し、振動検出回路76をオフ動作している。
このために、これらの動作中に、レリーズボタン101をユーザが操作しても、振動検出回路76のオン動作及び初期調整動作などの処理時間や、振動ジャイロ1,11、振動検出部21及び振動検出回路76などの出力安定時間が不要となって、直ちに撮影を行うことができる。
【0370】
(3) レンズ側MCU75は、ズーム環83をユーザが操作している間は、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止している。
ズーム環83をユーザが操作している間は、撮影画角をユーザが変更したりするために、交換レンズ70に加わる振動が極端に大きくなって、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作により誤差や誤動作を生じる可能性がある。
このために、レンズ側MCU75は、これらを未然に防止するために、ズーム環83をユーザが操作している間は、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止している。
【0371】
(4) レンズ側MCU75は、ユーザによるズーム環83の操作終了に応じて、初期調整動作を行っている。
ズーム環83の操作をユーザが終了したときには、撮影画角をユーザが決定しており、交換レンズ70に加わる振動も小さく、このタイミングにおいて初期調整動作を行ったほうが誤動作が少ない。
このために、レンズ側MCU75は、ユーザによるズーム環83の操作を検出し、ズーム環83の操作停止に応じて、初期調整動作及び振動検出を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可している。
【0372】
(距離環の操作と振動検出動作)
つぎに、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおける距離環がユーザにより操作されたときの動作を説明する。
図37は、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおける距離環がユーザによって操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
なお、図34に示すステップと同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
【0373】
S7200において、レンズ側MCU75は、距離環操作検出割り込み処理(インターバル割り込み処理)を開始する。ズーム環操作検出割り込み処理は、例えば、50ms間隔で繰り返し行われるインターバル割り込み処理である。
なお、レンズ側MCU75は、ズーム環操作検出割り込み処理を、所定のタイミングで許可している。
【0374】
S7201において、レンズ側MCU75は、現在の距離環82の位置を読み取る。レンズ側MCU75は、距離エンコーダ77が出力する距離エンコーダ信号の位相に基づいて、距離環82の現在位置を読み込む。
【0375】
S7202において、レンズ側MCU75は、現在の距離環82の位置と、前回の距離環操作検出割り込み処理時における距離環82の位置とに変化があるか否かを判断する。現時点における距離環82の位置と、50ms前における距離環82の位置とに変化があるときには、S7203に進み、現時点における距離環82の位置と、50ms前における距離環82の位置とに変化がないときには、S7204に進む。
【0376】
S7203において、レンズ側MCU75は、距離環82が操作されたと判断し、S7204において、レンズ側MCU75は、距離環82が操作されていないと判断する。
【0377】
S7205において、レンズ側MCU75は、現在の距離環82の位置を保持する。レンズ側MCU75は、S7201において読み取った距離環82の現在位置を、次回の距離環操作検出割り込み処理時まで保持する。
【0378】
S7206において、レンズ側MCU75は、距離環操作検出割り込み処理を終了する。
【0379】
レンズ側MCU75は、距離環操作検出割り込み処理を50ms間隔で繰り返し行っている。
このために、ユーザが距離環82を操作すると、所定インターバル間隔で読み取る距離環82の位置が変化し、レンズ側MCU75は、ユーザによる距離環82の操作を検出することができる。
【0380】
つぎに、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおける距離環がユーザにより操作されたときの動作を説明する。
図38は、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおける距離環が操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。図39は、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおける距離環が操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図35に示すステップと同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
【0381】
S6500において、レンズ側MCU75は交換レンズ処理2を開始する。
【0382】
S6501において、レンズ側MCU75は、距離環82が操作されているか否かを判断する。レンズ側MCU75は、図37に示す距離環操作検出割り込み処理によって、距離環82が操作されているか否かを認識している。例えば、図39に示すt161において、距離環82が操作されているときには、S6502に進む。距離環82が操作されていないときには、レンズ側MCU75は、S6501の判断を繰り返す。
【0383】
S6502において、レンズ側MCU75は、振動検出回路76をオン動作する。レンズ側MCU75は、t161において、制御信号発生部5d,15dにPC信号の発生を指示し、PC信号がHighとなり、振動検出回路76がオン動作する。その結果、電源ラインVddを通じて、振動検出回路76に電源が供給される。
【0384】
S6503において、レンズ側MCU75は、電源ラインVddが安定するまで待つ。レンズ側MCU75は、t161〜t162の図4に示す時間T13(=T11+T12)だけ待つ。
【0385】
S6504において、レンズ側MCU75は、初期調整動作を開始する。レンズ側MCU75は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理を、t162〜t163で実行する。
【0386】
S6505において、レンズ側MCU75は、振動検出を開始する。レンズ側MCU75は、振動検出割り込み処理4,5を許可し、t163において、交換レンズ70に生じた振動の検出を開始する。
【0387】
S6506において、レンズ側MCU75は、t163において、引き戻し動作を禁止する。
【0388】
S6507において、レンズ側MCU75は、距離環82が操作されているか否かを判断する。レンズ側MCU75は、距離環操作検出割り込み処理によって、距離環82が操作されているか否かを認識し、距離環82が操作されているときには、S6508に進む。
一方、例えば、t164において、距離環82が操作されていないときには、レンズ側MCU75は、S6507の判断を繰り返す。
【0389】
S6508において、レンズ側MCU75は、初期調整動作を開始する。レンズ側MCU75は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理を、t164〜t165で実行する。
【0390】
S6509において、レンズ側MCU75は、振動検出を開始する。レンズ側MCU75は、振動検出割り込み処理4,5を許可し、t165において、交換レンズ70に生じた振動の検出を開始する。
【0391】
S6510において、レンズ側MCU75は、引き戻し動作を許可する。レンズ側MCU75は、t165において、引き戻し動作を許可する。その結果、図12に示すS3606において、レンズ側MCU75は、引き戻し動作が許可されていると判断する。
【0392】
S6511において、レンズ側MCU75は、タイマスタートする。レンズ側MCU75は、タイマスタートからタイムアップまでの所定の時間を、内蔵するタイマにより設定して、タイマスタートする。
【0393】
S6512において、レンズ側MCU75は、タイムアップしたか否かを判断する。レンズ側MCU75は、S6507において、距離環82が操作されているか否かを判断してから、一定時間を経過したときには、S6514に進み、タイマがタイムアップしていないときには、S6513に進む。
【0394】
S6513において、レンズ側MCU75は、距離環82が操作されているか否かを判断する。レンズ側MCU75は、t166において、距離環操作検出割り込み処理に基づいて、距離環82が再度操作されたと判断したときには、S6504に戻る。そして、レンズ側MCU75は、S6504以降の処理を繰り返し、t166〜t167までの間の初期調整動作を行う。一方、例えば、t168において、距離環82が操作されていないときには、S6512に戻り、レンズ側MCU75は、S6512以降の処理を繰り返す。
【0395】
S6514において、レンズ側MCU75は、振動検出を終了する。レンズ側MCU75は、t170において、振動検出割り込み処理4,5を禁止する。
【0396】
S6515において、レンズ側MCU75は、振動検出回路76をオフ動作する。レンズ側MCU75は、t170において、制御信号発生部65dにPC信号の停止を指示し、PC信号がLowとなり、振動検出回路76がオフ動作する。その結果、振動検出回路76への電源の供給が、遮断される。S6515の処理が終了すると、S6501へ戻り、レンズ側MCU75は、S6501以降の処理を繰り返す。
【0397】
以上説明したように、本発明の第10実施形態に係る交換レンズは、以下の効果を有する。
(1) レンズ側MCU75は、ユーザによる距離環82の操作に応じて、振動検出回路76をオン動作して、初期調整動作を行っている。
ユーザは、距離環82を操作して、フォーカシングを変更又は調整した後に、直ちに撮影を行うことが多い。
しかし、振動ジャイロ1,11、振動検出部21及びその出力信号を処理する回路2,12,22などは、電源投入時に出力ドリフトがあり、出力信号が安定するまでに時間を要する。
また、図13及び図14に示すように、ユーザによるレリーズボタン101の操作に応じて、振動検出回路76をオン動作し、振動検出動作を開始したのでは、この安定時間を確保できない場合が多い。
このために、レンズ側MCU75は、ユーザによる撮影前の距離環82の操作に応じて、振動検出回路76をオン動作して、初期調整動作を行っている。
【0398】
(2) レンズ側MCU75は、ユーザによる距離環82の操作が終了してから所定時間は、振動検出回路76のオン動作を維持し、振動検出動作、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を継続している。
そして、レンズ側MCU75は、距離環82の操作停止から所定時間を経過したときに、振動検出動作を終了し、振動検出回路76をオフ動作している。
このために、これらの動作中に、レリーズボタン101をユーザが操作しても、振動検出回路76のオン動作及び初期調整動作などの処理時間や、振動ジャイロ1、11、振動検出部21及び振動検出回路76などの出力安定時間が不要となって、直ちに撮影を行うことができる。
【0399】
(3) レンズ側MCU75は、距離環82をユーザが操作している間は、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止している。
距離環82をユーザが操作している間は、撮影画角をユーザが変更したりするために、交換レンズ70に加わる振動が極端に大きくなって、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作により誤差や誤動作を生じる可能性がある。
このために、レンズ側MCU75は、これらを未然に防止するために、距離環82をユーザが操作している間は、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止している。
【0400】
(4) レンズ側MCU75は、ユーザによる距離環82の操作終了に応じて、初期調整動作を行っている。
距離環82の操作をユーザが終了したときには、撮影画角をユーザが決定しており、交換レンズ70に加わる振動も小さく、このタイミングにおいて初期調整動作を行ったほうが誤動作が少ない。
このために、レンズ側MCU75は、ユーザによる距離環82の操作を検出し、距離環82の操作停止に応じて、初期調整動作及び振動検出を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可している。
【0401】
(AF駆動と振動検出動作)
つぎに、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるAF駆動がされたときの動作を説明する。
図40は、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるAF駆動がされたときの動作を説明するためのフローチャートである。図41は、本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるAF駆動がされたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図40は、AF駆動がされたときの動作を、レンズ側MCU75に組み込まれているプログラムから抜き出したものである。
以下では、図35及び図38に示すステップと同一のステップについては、詳細な説明を省略する。
【0402】
S6600において、レンズ側MCU75は、交換レンズ処理3を開始する。レンズ側MCU75は、交換レンズ処理3を開始する前に、制御信号発生部5d,15dに制御信号PCの出力を指示しており、電源回路4,14は、電源ラインVddを介して振動検出回路76に電源を供給している。
【0403】
S6601において、レンズ側MCU75は、カメラボディからの通信があるか否かを判断する。カメラボディからの通信があるときには、S6602に進み、カメラボディからの通信がないときには、S6601の判断を繰り返す。
【0404】
S6602において、レンズ側MCU75は、カメラボディと通信する。
【0405】
S6603において、レンズ側MCU75は、AF駆動関連の通信コマンドをカメラボディから受信したか否かを判断する。図41に示すt181,t183,t185,t187において、フォーカシングレンズ駆動関連の通信コマンドをカメラボディから受信したときには、S6604に進む。フォーカシングレンズ駆動関連の通信コマンドをカメラボディから受信しなかったときには、S6601に戻り、レンズ側MCU75は、S6601以降の処理を繰り返す。
【0406】
S6604において、レンズ側MCU75は、カメラボディからの通信がAF駆動停止であるか否かを判断する。レンズ側MCU75は、t183,t187において、カメラボディから駆動停止コマンドを受信したときには、S6606に進む。一方、レンズ側MCU75は、t181,t185において、カメラボディから駆動停止コマンドを受信しなかった(正転駆動コマンド又は逆転駆動コマンドを受信した)ときには、S6605に進む。
【0407】
S6605において、レンズ側MCU75は、カメラボディからの通信がAF正転駆動であるか否かを判断する。レンズ側MCU75は、t181において、カメラボディから正転駆動コマンドを受信したときには、S6610に進む。一方、レンズ側MCU75は、t185において、カメラボディから正転駆動コマンドを受信しなかった(逆転駆動コマンドを受信した)ときには、S6614に進む。
【0408】
S6606において、レンズ側MCU75は、AFモータ81を停止させる。レンズ側MCU75は、t183において、図33に示すモータ駆動回路80を制御し、フォーカシングレンズ72の駆動をAFモータ81が停止する。
【0409】
S6607において、レンズ側MCU75は、初期調整動作を開始する。レンズ側MCU75は、図2及び図3に示すS3250〜S3221の処理を、t183〜t184で実行する。
【0410】
S6608において、レンズ側MCU75は、振動検出を開始する。レンズ側MCU75は、振動検出割り込み処理4,5を許可し、t184において、交換レンズ70に生じた振動の検出を開始する。
【0411】
S6609において、レンズ側MCU75は、t186において、引き戻し動作を禁止する。そして、レンズ側MCU75は、S6601以降の処理を繰り返す。
【0412】
S6610において、レンズ側MCU75は、AFモータ81を正転させる。レンズ側MCU75は、t181において、モータ駆動回路80を制御し、AFモータ81が正転して、フォーカシングレンズ72が繰り出す。
【0413】
S6611において、レンズ側MCU75は、初期調整動作を開始する。レンズ側MCU75は、S3250〜S3221の処理を、t181〜t182で実行する。
【0414】
S6612において、レンズ側MCU75は、振動検出を開始する。レンズ側MCU75は、振動検出割り込み処理4,5を許可し、t182において、交換レンズ70に生じた振動の検出を開始する。
【0415】
S6613において、レンズ側MCU75は、t182において、引き戻し動作を禁止する。そして、レンズ側MCU75は、S6601以降の処理を繰り返す。
【0416】
S6614において、レンズ側MCU75は、AFモータ81を逆転させる。レンズ側MCU75は、t185において、モータ駆動回路80を制御し、AFモータ81が逆転して、フォーカシングレンズ72が繰り込む。
【0417】
S6615において、レンズ側MCU75は、初期調整動作を開始する。レンズ側MCU75は、S3250〜S3221の処理を、t185〜t186で実行する。
【0418】
S6616において、レンズ側MCU75は、振動検出を開始する。レンズ側MCU75は、振動検出割り込み処理4,5を許可し、t186において、交換レンズ70に生じた振動の検出を開始する。
【0419】
S6617において、レンズ側MCU75は、t186において、引き戻し動作を禁止する。そして、レンズ側MCU75は、S6601以降の処理を繰り返す。
【0420】
以上説明したように、本発明の第10実施形態に係る交換レンズは、以下の効果を有する。
(1) レンズ側MCU75は、カメラボディからのフォーカシングレンズ72の駆動開始コマンドに応じて、初期調整動作を行って、振動検出動作を開始している。
ユーザは、撮影画角を決定した後に、フォーカシングレンズ72の駆動を開始してピントを合わせ、ピントが合ったところで撮影を開始する。このようなユーザによる一連の操作を考えると、フォーカシングレンズ72の駆動前に、非常に大きな振動が交換レンズ70に加わる可能性が大きい。
そして、フォーカシングレンズ72の駆動前に、たまたま大きな振動が加わったタイミングにおいて、初期調整動作を行うと、調整誤差が大きくなったり誤動作したりして、初期調整動作を行うことができない可能性がある。
レンズ側MCU75は、このような状況を想定して、フォーカシングレンズ72の駆動開始に応じて、初期調整動作を行っている。
【0421】
(2) レンズ側MCU75は、カメラボディからのフォーカシングレンズ72の駆動停止コマンドに応じて、初期調整動作を行って、振動検出動作を開始している。
また、レンズ側MCU75は、フォーカシングレンズ72の駆動中には、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止し、フォーカシングレンズ72の駆動を停止して、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可している。
フォーカシングレンズ72をユーザが駆動操作してピントを合わせているときには、撮影画角をユーザが決定していないことが多く、交換レンズ70に加わる振動が大きい。
一方、フォーカシングレンズ72の駆動操作後には、ユーザは、撮影画角を決定しており、交換レンズ70に加わる振動が小さい状態で撮影を開始することが多い。
このために、フォーカシングレンズ72の駆動を終了して、交換レンズ70に加わる振動が小さくなってから初期調整動作を行ったほうが、誤動作が少ない。レンズ側MCU75は、フォーカシングレンズ72の駆動停止時に初期調整動作を行うとともに、フォーカシングレンズ72の駆動中には、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止している。
【0422】
(他の実施形態)
本発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように、種々の変形又は変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
また、具体的数値又は回路構成は、本発明の実施形態において挙げた数値又は構成に限定するものではない。
(1) 本発明の第1実施形態は、抵抗R4,R5の比率を1:256に設定しているが、これに限定するものではなく、1:2^k(k=1,2,3,・・・)などの既知の比率に設定することもできる。
この場合には、出力信号Vda0,Vda1のそれぞれの可変量と、演算出力信号Voutの変化に対する出力信号Vda0,Vda1の影響量との比が既知となる。
このために、S3200(S3250)〜S3212の粗調整動作と、S3213〜S2221の微調整動作とに分けずに、出力信号Vda0,Vda1を同時に可変して、演算出力信号Voutを調整することができる。
その結果、振動ジャイロ1の電源投入時における処理に要する時間を、短くすることができる。
【0423】
(2) 本発明の第1実施形態及び第2実施形態は、出力信号発生部7を操作することにより、図4及び図6に示すように、基準電圧Vref(2.0V)まで演算出力信号Voutを引き戻し又は初期調整しているが、2.0Vまで正確に引き戻さなくてもよい。
また、引き戻す電圧は、2.0Vに限定するものではなく、A/D変換器5aの入力範囲に合わせて、より有効に使用可能なように、電圧変更量C,C’を任意の電圧に設定することができる。
例えば、演算増幅器OP2などの出力範囲の中央に引き戻すことによって、演算出力信号Voutの出力ダイナミックレンジをより有効に使用することができる。
さらに、出力信号Vda1を変化させるための電圧変更量C,C’は、絶対値を一致させてもよいし一致させず異なる値としてもよい。
【0424】
(3) 本発明の第1実施形態及び第2実施形態は、演算出力信号Voutを初期調整動作により調整する電圧、及び、演算出力信号Voutを引き戻し動作により引き戻す電圧を、2.0Vとしているが、回路を変更することなく任意の電圧値に変更することがきる。
例えば、S3208,S3216に相当する部分のMCU5又はレンズ側MCU55,75のソフトウエアを変更することによって、電圧値を簡単に変更することがきる。
このために、例えば、演算出力信号Voutの出力ダイナミックレンジの上側又は下側に、回路2,3の基準電圧Vref1が偏っていても、それに依存しない電圧として演算出力信号Voutを合わせ込むことができる。
その結果、電源投入時における演算出力信号Voutの合わせ込む電圧値を、回路3の出力形態に合わせて、出力ダイナミックレンジの中央に調整することができる。回路2,3など、特に、演算増幅器OP2の出力範囲の中央に、この電圧値を設定することによって、演算出力信号Voutの出力ダイナミックレンジを、より有効に使用することができる。
また、A/D変換器5aの入力範囲に合わせて、有効に使用可能な範囲になるように、電圧値を設定することができる。
さらに、検出しようとする振動の出力ダイナミックレンジと検出分解能に関する問題を多少解決することもできる。
【0425】
(4) 本発明の第1実施形態及び第2実施形態は、D/A変換器7a,7bなどをワンチップ化した一つのICで構成してもよい。
例えば、12bit程度の高分解能のD/A変換器により、D/A変換器7a,7bを一つに構成してもよい。演算出力信号Voutに調整精度が必要ではないときには、D/A変換器7a,7bを一つの安価なD/A変換器により構成して、演算出力信号Voutを2.0Vに調整してもよい。
また、操作信号発生部5bの操作信号S0,S1は、2種類である必要はなく、2つのD/A変換器7a,7bの出力信号Vda0,Vda1を一つの操作信号によって可変制御してもよい。
さらに、D/A変換器7aは、MCU5の外部に設けられているが、MCU5に内蔵してもよい。
【0426】
(5) 本発明の第1実施形態及び第2実施形態は、振動ジャイロ1から出力した基準電圧Vref1を基準に、回路2,3を構成しているが、振動ジャイロ1の出力を用いずに、外部から適当な電位を印加してもよい。
例えば、基準電圧Vref2の電圧を、抵抗分圧により適当な電圧にして供給したり、定電圧レギュレータ6と同様なものを用いたり、図9に示すように、GND基準でこれらの回路を構成してもよい。
【0427】
(6) 本発明の第1実施形態及び第2実施形態は、回路2により構成したローパスフィルタによって、振動検出信号Voから振動によらない高周波成分を除去しているが、高周波ノイズが無視できるときには、これらの回路を省略してもよい。
例えば、振動検出信号Voが演算部3に、直接入力するような回路構成であってもよい。
【0428】
(7) 本発明の第3実施形態及び第4実施形態は、0Vを基準に回路12,13を構成しているが、例えば、振動ジャイロ11から出力される基準電圧Vref1又はそれ相当の基準電位を中心として、図1に示すような回路を構成することもできる。この場合に、本発明の第3実施形態では、アナログスイッチSW10のオン動作により引き戻す電圧値は、0Vではなく基準電圧Vref1程度の電圧となる。
【0429】
(8) 本発明の第1実施形態、第2実施形態及び第4実施形態は、演算出力信号Voutが出力レンジを越えたときに、MCU5、35又はレンズ側MCU55,75がD/A変換器7bのみを可変制御して、出力信号Vda1を発生しているが、これに限定するものではない。
例えば、D/A変換器7a,7bの双方を可変制御して、出力信号Vda0,Vda1を発生してもよい。
【0430】
(9) 本発明の第5実施形態は、S4109及びS4111を省略して、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を、露光中のみ禁止してもよい。
また、半押しスイッチSW10がオフ動作した後であって、タイマがタイムアップするt88において、振動検出回路36への電源の供給を遮断しているが、MCU35が内蔵するタイマ以外のものでカウントすることもできる。
例えば、半押しスイッチSW11のオン動作と同時にオン動作して、半押しスイッチSW11がオフ動作してから一定時間は、オン動作を維持する半押しタイマを使用してもよい。
【0431】
(10) 本発明の第5実施形態は、ズームボタン33の操作によってズーミング動作が可能なカメラを例に挙げて説明したが、ボディ側に設けたズームボタンによって、レンズ側のズームレンズを駆動する交換レンズについて、本発明を適用することもできる。
【0432】
(11) 本発明の第10実施形態は、カメラボディからの通信コマンドに応じて、フォーカシングレンズ72を駆動して、振動検出動作を行っているが、これに限定するものではない。
例えば、銀塩カメラにおけるコンパクトカメラ、電子スチルカメラ又はビデオムービーなどの撮影レンズが一体化したカメラについては、フォーカシングレンズの駆動に応じて、振動検出動作を行ってもよい。
例えば、フォーカシングレンズの正転又は逆転に応じて、初期調整動作を行って、振動検出動作を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止してもよい。
また、フォーカシングレンズの停止に応じて、初期調整動作を行って、振動検出動作を開始し、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を許可してもよい。
【0433】
(12) 本発明の第10実施形態は、AF駆動が可能な交換レンズ70を例に挙げて説明したが、AF駆動か可能なカメラについても本発明を適用することができる。
【0434】
(13) 本発明の第1実施形態〜第10実施形態は、MCU5,15及びレンズ側MCU55,75がインターバル割り込み処理を行っているが、インターバル割り込み処理以外の連続モニタ処理であってもよい。
【0435】
(14) 本発明の第1実施形態〜第10実施形態は、MCU5,15,35及びレンズ側MCU55,75に、A/D変換器5a,15aを内蔵しているが、MCU5,15,35及びレンズ側MCU55,75の外部に、A/D変換器5a,15aを設けてもよい。
【0436】
(15) 本発明の第1実施形態〜第10実施形態は、振動を検出する素子として角速度や加速度を検出する圧電型振動ジャイロを使用する場合を例に挙げて説明したが、これらに限定するものではなく、角加速度を検出する角加速度センサであってもよい。
【0437】
(16) 本発明の第1実施形態〜第10実施形態は、スチルカメラ又はビデオムービなどに限定するものではなく、本発明の利用分野は多岐にわたり、振動を検出する技術分野にわたり広く応用することができる。
【0438】
(17) 本発明の第2実施形態〜第10実施形態は、引き戻し動作直前の2つの量子化値V(t−ts),V(t−2ts)に基づいて、補正演算出力信号Vout’(t)を1次の関数により、補正部5c,15cが直線近似して補正しているが、これに限定するものではない。
例えば、引き戻し動作直前の3つ以上の量子化値V(t−ts),V(t−2ts),V(t−3ts),・・・に基づいて、補正演算出力信号Vout’(t)を2次以上の関数で曲線近似して、高精度なつなぎ合わせ動作をすることもできる。
【0439】
(18) 本発明の第2実施形態〜第10実施形態は、S3609及びS3708において、量子化値V(t)と量子化値V(t−ts)の変化量の絶対値に基づいて判断しているが、判定方法はこれに限定するものではない。
例えば、演算出力信号Voutを時間微分して、その微分出力が所定値以下であるか否かを判断するなど、種々の方法によって判断することができる。
【0440】
(19) 本発明の第2実施形態〜第10実施形態は、S3607〜S3609又はS3706〜S3708の判定のうち、少なくとも一つの条件を満たさないときには、引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を禁止しているが、これに限定するものではない。
例えば、これらの条件の一つ又は組み合わせによって、判定してもよい。
【0441】
(20) 本発明の第2実施形態〜第10実施形態は、S3611,S3711において、演算出力信号Voutが上側のレベルHを越えたときに、引き戻し回数Npを+1とし、演算出力信号Voutが下側のレベルLを越えたときに、引き戻し回数Npを−1としているが、これに限定するものではない。
例えば、演算出力信号VoutがレベルH,Lを越えたときに、いずれも引き戻し回数Npを+1とし、S3608,S3707において、引き戻し回数Npが所定値(正数)以下であるか否かを判断してもよい。
【0442】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、演算出力信号が所定範囲を越えるときには、この演算出力信号を所定範囲内に引き戻して補正出力信号を発生しているので、所定範囲を越える演算出力信号を検出することができるとともに、検出分解能を向上させることができる。
また、引き戻し動作前の演算出力信号に基づいて、この補正出力信号の誤差を修正しているので、所定範囲を越える演算出力信号をリアルタイムに精度よく検出することができる。
さらに、演算出力信号を所定基準レベル又はその近傍に、時定数の影響を受けずに調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る振動検出装置における振動検出回路を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る振動検出装置に電源が投入されたときの粗調整動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態に係る振動検出装置に電源が投入されたときの微調整動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態に係る振動検出装置に電源が投入されたときのタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る振動検出装置に出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る振動検出装置に出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る振動検出装置に出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る振動検出装置における引き戻し動作及びつなぎ合わせ動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係る振動検出装置における振動検出回路を示す図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る振動検出装置に出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第4実施形態に係る振動検出装置における振動検出回路の一部を示す図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係るカメラを示すブロック図である。
【図13】本発明の第5実施形態に係るカメラに出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図16】本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるズームボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるズームボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図18】本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザにより半押し操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図19】本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザにより半押し操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図20】本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるメインボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図21】本発明の第5実施形態に係るカメラにおけるメインボタンがユーザにより操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図22】本発明の第6実施形態に係るカメラに出力レンジを越える振動が印加されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図23】本発明の第6実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザにより半押し操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の第6実施形態に係るカメラにおけるレリーズボタンがユーザにより半押し操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図25】本発明の第7実施形態に係るカメラシステムを示すブロック図である。
【図26】本発明の第7実施形態に係るカメラシステムにおけるボディ側MCUの動作を説明するためのフローチャートである。
【図27】本発明の第7実施形態に係るカメラシステムにおけるレンズ側MCUの動作を説明するためのフローチャートである。
【図28】本発明の第7実施形態に係るカメラシステムにおけるカメラボディ側から電源が供給されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図29】本発明の第8実施形態に係るカメラシステムにおけるレンズ側MCUの動作を説明するためのフローチャートである。
【図30】本発明の第8実施形態に係るカメラシステムにおけるカメラボディ側から通信を受けたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図31】本発明の第9実施形態に係るカメラシステムにおけるレンズ側MCUの動作を説明するためのフローチャートである。
【図32】本発明の第9実施形態に係るカメラシステムにおけるカメラボディ側から通信を受けたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図33】本発明の第10実施形態に係る交換レンズを示すブロック図である。
【図34】本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるズーム環がユーザによって操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図35】本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるズーム環が操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図36】本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるズーム環が操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図37】本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおける距離環がユーザによって操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図38】本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおける距離環が操作されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図39】本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおける距離環が操作されたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図40】本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるAF駆動がされたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図41】本発明の第10実施形態に係る交換レンズにおけるAF駆動がされたときの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図42】従来の振動検出装置における振動検出回路を示す回路図である。
【図43】従来の振動検出装置に電源が投入されたときのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1,11,100 振動ジャイロ
2,12,200 回路(ローパスフィルタ回路)
3 回路(加算増幅回路)
13,300 回路(ハイパスフィルタ回路及び増幅回路)
4,14,400 電源回路
5,15,35 MCU
5a,15a,500a A/D変換器
5b,15b,500b 操作信号発生部
5c,15c 補正部
5d,15d,500d 制御信号発生部
6 定電圧レギュレータ
7 出力信号発生部
7a,7b D/A変換器
30 カメラ
31 レリーズボタン
32 メインボタン
33 ズームボタン
36,56,76 振動検出回路
37 露光回路
38 ズーム駆動回路
39 ズーム駆動機構部
40,71,72,73,74 ズームレンズ(撮影レンズ)
50 カメラボディ
51,70 交換レンズ
52 ディジタル系電源回路
53 ボディ側MCU
54 パワー系電源回路
55,75 レンズ側MCU
70a,70b 出力信号レベル可変部
72 フォーカシングレンズ(撮影レンズ)
77 距離エンコーダ
78 ズームエンコーダ
80 モータ駆動回路
81 AFモータ
82 距離環
83 ズーム環
SW10,SW100 アナログスイッチ
SW11 半押しスイッチ
SW12 全押しスイッチ
SW13 メインスイッチ
SW14 ズームアップスイッチ
SW15 ズームダウンスイッチ
Vo 振動検出信号
Vout 演算出力信号
Vout’ 補正演算出力信号
Vda0,Vda1 出力信号
SSW,S0,S1 操作信号

Claims (7)

  1. 振動を検出し、振動検出信号を出力する振動検出部と、
    出力信号を発生する出力信号発生部と、
    前記振動検出信号及び前記出力信号に基づいて、所定の演算をし、演算出力信号を発生する演算部と、
    前記演算出力信号に基づいて、前記出力信号のレベルを可変制御する制御部と、
    前記制御部による可変動作によりレベルが変化した前記演算出力信号を変化の前後でつなぎ合わせて、補正出力信号を発生する補正部とを含み、
    前記制御部は、前記演算出力信号をサンプリングし、
    前記補正部は、前記可変動作前にサンプリングされた少なくとも2つの時刻における前記演算出力信号のレベルと前記可変動作後にサンプリングされた少なくとも1つの前記演算出力信号のレベルに基づいて近似することにより、前記補正出力信号を演算すること、
    を特徴とする振動検出装置。
  2. 請求項1に記載の振動検出装置において、
    前記制御部は、前記演算出力信号が所定範囲を越えるときには、前記出力信号のレベルを可変制御して、前記演算出力信号を前記所定範囲内に引き戻し、
    前記補正部は、前記引き戻し動作によって不連続になった前記演算出力信号をつなぎ合わせること、
    を特徴とする振動検出装置。
  3. 請求項1又は請求項に記載の振動検出装置において、
    前記制御部は、前記出力信号のレベルを可変制御して、前記演算出力信号を所定基準レベル又はその近傍に調整すること、
    を特徴とする振動検出装置。
  4. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、
    前記振動検出信号から高域周波数成分を除去するローパスフィルタを備え、
    前記演算部は、前記ローパスフィルタの出力及び前記出力信号発生部の出力信号に基づいて、所定の演算をし、演算出力信号を発生すること、
    を特徴とする振動検出装置。
  5. 振動を検出し、振動検出信号を出力する振動検出部と、
    前記振動検出信号に基づいて、所定の演算をし、演算出力信号を発生するとともに、前記振動検出信号を初期化する初期化部と、
    前記演算出力信号が所定範囲を越えるときには、前記初期化部を操作して、この演算出力信号を前記所定範囲内に引き戻す制御部と、
    前記引き戻し動作によりレベルが変化した前記演算出力信号を変化の前後でつなぎ合わせて、補正出力信号を発生する補正部とを含み、
    前記制御部は、前記演算出力信号をサンプリングし、
    前記補正部は、前記引き戻し動作前にサンプリングされた少なくとも2つの時刻における前記演算出力信号のレベルと前記引き戻し動作後にサンプリングされた少なくとも1つの前記演算出力信号のレベルに基づいて近似することにより、前記補正出力信号を演算すること、
    を特徴とする振動検出装置。
  6. 請求項5に記載の振動検出装置において、
    前記制御部は、前記初期化部を操作して、前記演算出力信号を所定基準レベル又はその近傍に調整すること、
    を特徴とする振動検出装置。
  7. 請求項1又は請求項6に記載の振動検出装置において、
    前記振動検出部は、角速度を検出する角速度検出器若しくは角加速度を検出する角加速度検出器又は加速度を検出する加速度検出器であること、
    を特徴とする振動検出装置。
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