JP4258661B2 - 分子モータシステム及びその用途 - Google Patents
分子モータシステム及びその用途 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4258661B2 JP4258661B2 JP2005116694A JP2005116694A JP4258661B2 JP 4258661 B2 JP4258661 B2 JP 4258661B2 JP 2005116694 A JP2005116694 A JP 2005116694A JP 2005116694 A JP2005116694 A JP 2005116694A JP 4258661 B2 JP4258661 B2 JP 4258661B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rna
- microtubule
- binding
- microtubules
- aptamer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Description
このような有用生体高分子の中でも特定の物質に対して結合活性を持った結合機能性核酸(アプタマー)は、改変が容易で大量生産が可能であるという利点があり、大規模スクリーニングによる新機能性RNAアプタマーの探索が行われている。核酸(DNA、RNA)の中でもRNAは一本鎖であり二本鎖のDNAに比べて多様な3次構造をとりやすく、これにより多彩な機能を発揮することが期待でき、新機能性物質創製のターゲット材料として適している。このような新機能性物質の創製にあたっては、ランダムな塩基配列を含む大量の核酸断片のプールの中から特定の機能を持つ核酸の大規模並列スクリーニング(選別)が重要になっており、試験管の中で行われているスクリーニングを、マイクロアレイ進化リアクターチップなどを利用して集積化することが試みられている。
進化リアクターチップでは、生体分子は基板上に直接固定されるのではなく、磁気ビーズ表面に生体分子を固定化したのち、磁性体膜チップ上に固定し、大量の生体分子をビーズの自己組織化により配列し、スクリーニング後に回収するというものである。
RNAアプタマー選別の際には、微量な分子も回収できることや非特異的吸着がなく純度が高いこと、選択の精度と効率がよいことなどがハイスループット処理を目指す上で非常に重要になる。チップ上や磁気ビーズ上での固定では標的RNAの非特異的吸着がおこりやすく微量なRNAの検出にも困難がある。
nmの細胞骨格線維である微小管は、分子の運動を誘導する経路として細胞内の輸送機構等に携わっている。神経軸索では、細胞体で作られた神経伝達物質等の輸送が、微小管系モータータンパク質であるキネシン及びダイニンによって行われる。これらのタンパク質は、ATP加水分解によるエネルギーを利用して、微小管に沿って一方向に運動して神経末端に神経伝達物質等を輸送する。
微小管はGTP結合チューブリンタンパク質サブユニットからなる会合体である。各々のサブユニットは、α−チューブリンおよびβ−チューブリンのヘテロ二量体である。チューブリンは2つのGTP分子に2つの異なる部位で結合し、3つのチューブリンは、不変のグリシンリッチ領域を共有し、その領域はヌクレオチド結合部位の1つへのアクセスの制御に関与していると考えられる。
Vale,R. D.; Reese, T. S.; Sheetz, M. P. Cell. 1985, 42, 39-50. Muthukrishnan, G.; Roberts, C.A.; Chen, Y.C.; Zahn,J. D.; Hancock, W. O. Nano lett. 2004, 4, 2127-2132. Bachand,G. D.; Rivera, S. B.; Boal, A. K.; Gaudioso, J.; Liu, J.; Bunker, B. C.; Nano Lett. 2004, 4, 817-821. Hiratsuka, Y.; Tada, T.; Oiwa, K.;Kanayama, T.; Uyeda, T. Q. Biophys. J.2001.81,1555-1561. Yokokawa, R.;Takeuchi, S.; Kon, T.; Nishiura, M.; Sutoh, K.; Fujita, H.; Nano Lett. 2004, 11, 2265-2270. Grate, D.; Wilson, C.; Proc.Natl. Acad. Sci. 1999, 96,6131-6136. Babendure, J. R.; Adams, S. R.; Tsein R.Y.; J. Am. Chem. Soc. 2003, 125,14716-14717.
本発明者は、キネシン-微小管系分子モータータンパク質の物質輸送機能に着目し、微小管の自己組織化能を利用して溶液中に微量に含まれる標的RNAを微小管上に集約して選択的に捕捉して精製し、結合物質を用いて溶液中に回収するという一連の作業をフロー処理で行えることを見出した。また、キネシン-微小管分子モーターシステムによれば、標的RNAを微小管上に集約して目的地に集めることにより目的物質の濃縮精製を行うことができる。さらに微小管に搭載するスクリーニングプローブとしてRNAアプタマーが結合することにより蛍光を発するようなRNAアプタマーとRNAアプタマー結合物質の組み合わせを選択することにより標的RNA配列を含む微量RNAの転写の検出センサーにもなる。
すなわち、本発明は、結合機能性核酸であるRNAアプタマーのスクリーニングプローブとなるRNAアプタマー結合物質が微小管上に結合しているスクリーニングプローブコンジュゲート微小管、キネシンが塗布された基板、緩衝液からなり、導入されたDNA及び転写酵素の混在する転写液中を移動することにより、標的RNAとスクリーニングプローブコンジュゲート微小管とを反応させて微小管上で集約的に結合させたのち、フロー処理にて洗浄作業の後、微小管を一箇所に集めることにより標的RNAを回収精製する分子モータシステムである。
また、本発明の分子モータシステムは、キネシンが塗布された基板上において、進化工学的手法等により作成したDNAプールよりRNAを転写して回路に導く導入部位、標的RNAアプタマーとスクリーニング物質を微小管と反応させる選別部位、微小管上のRNAアプタマー結合物質が選択的に回収した結合機能を持つRNAアプタマーを再び溶液中に回収する回収部位が、通路で結ばれ、導入と選別、移動と回収および濃縮を緩衝液中で行うことが出来る。
さらに、本発明の分子モータシステムは、スクリーニング物質(ここではRNAアプタマー結合物質)と微小管の結合を、アビジン化スクリーニング物質とビオチン化微小管若しくは、ビオチン化スクリーニング物質とアビジン化微小管により行うことができる。
また、本発明は本発明の分子モータシステムを用いて、有効な結合機能を持つRNAアプタマーを選別する方法である。
さらに、本発明は本発明の分子モータシステムを用いて、標的RNAアプタマーを捕捉した微小管を移動させ一ケ所に集積することで標的RNAアプタマーを濃縮する方法である。
また、本発明は本発明の分子モータシステムを用いて、未反応の混合物の洗浄作業の後、過剰の結合物質を投入することにより導入された転写混合液の中から標的RNAアプタマーを選択的に溶液中に回収するRNAアプタマーの精製方法である。
またさらに、本発明は本発明の分子モータシステムを用いて、RNAアプタマー結合物質にマラカイトグリーンイソチオシアネートを用い、検出したいRNAのDNA配列上流にマラカイトグリーン結合配列を組み込むことにより、マラカイトグリーンとRNAアプタマー配列部位の結合により発する蛍光観察によりRNA転写の有無の検出を効率的に行うことを可能にする自走式RNA転写検出方法である。
また、RNAアプタマー結合後の移動が可能であれば、微小管運動の方向制御技術(例えば非特許文献4、5)と併せることで、未反応の混雑物を洗浄の後、一箇所に移動させて高濃度、高純度で回収することができる。スクリーニングプローブコンジュゲート微小管上には微小管の自己組織化能により多数のRNAアプタマー結合物質が集約されており、RNAアプタマー結合物質に結合した標的RNAも顕微鏡で蛍光が観察されるまでに高濃度に集約されている。これを一箇所に移動させて濃縮することにより回収も高濃度で行うことが可能になる。回収RNAアプタマーが高濃度であることはスクリーニングの後に酵素反応で回収物の増幅を精度よく有効に行う際に重要な要件となる。
また本操作はフロー処理によりワンステップで行うことができ、チップ操作を減らして精度よく標的RNAを回収することが可能で、さらに並列化によってワンステップ大規模スクリーニングシステムに実装することもできる。また、RNAアプタマー結合物質としてマラカイトグリーンイソチオシアネートを用い、RNAのテンプレートとなるDNAの配列にマラカイトグリーンアプタマーの配列を組み込むことによりマラカイトグリーンとマラカイトグリーンアプタマーの蛍光反応により微量のRNAの転写反応も微小管上に標的RNAを集積して顕微鏡で観察することが可能になり、標的RNA濃度依存性の応答を得られることからセンサー素子材料として使用することもできる。
本発明において、RNAアプタマー結合物質となりうるのは、RNAアプタマーと結合することにより活性阻害や蛍光などの機能を発揮することを期待できるRNAアプタマー探索をを目的とした有機物質、無機物質である。代表的には、活性部位に結合して活性阻害をひきおこすRNAアプタマーのスクリーニングを目的とした毒性を持つタンパク質群、具体的には、感受性大腸菌を殺すコリシン類やO157由来のベロ毒素やヒマから抽出される猛毒のリシンなど真核生物のリボソームを不活性化する毒素タンパク質、狂牛病の原因となる感染タンパク質プリオン、癌化やリウマチなどの疾患に関係するタンパク質などビオチン化あるいはストレプトアビジンに結合させることにより微小管に搭載可能なほとんどのタンパク質を挙げることができる。
さらに、マラカイトグリーンのようにビオチン-アビジン結合により微小管に搭載可能な試薬、疾患に関係するリン脂質などのシグナル伝達物質や、毒素タンパク質に翻訳される前のRNA自身などを挙げることができる。微小管に搭載する方法は、ビオチン・アビジン結合の他、微小管の官能基に直接結合させる方法など当業者にとって、周知の方法が適用できる。
本システムをRNAセンサーとして用いる場合には標的RNAの蛍光による検出機能をもつものとして、マラカイトグリーンイソチオシアネートが好ましい。この際転写の有無を調べたいDNAのノンコーディング領域にマラカイトグリーンアプタマーの配列をあらかじめ組み込んでおく必要がある。
本発明で用いるスクリーニングプローブコンジュゲート微小管を製造するに際して、用いられる微小管は、何でも良いが、とくに、蛍光物質であるオレゴングリーン488およびビオチン化チューブリンで修飾されたものを好ましく用いることができる。
また、本発明においてスクリーニングプローブ(RNAアプタマー結合物質)と微小管の結合は、どのような結合でも良いが、アビジン化スクリーニングプローブとビオチン化微小管若しくは、ビオチン化スクリーニングプローブとアビジン化微小管により行うことができる。好ましくは、アビジン化スクリーニングプローブとビオチン化微小管が良い。
さらに、本発明の分子モータシステムでは、キネシンが塗布された基板上において、進化工学的手法等により作成したDNAプールよりRNAを転写して回路に導く導入部位、標的RNAアプタマーとRNAアプタマー結合物質を微小管と反応させる選別部位、微小管上のRNAアプタマー結合物質が選択的に回収した結合機能を持つRNAアプタマーを再び溶液中に回収する回収部位が、通路で結ばれ、導入と選別、移動と回収および濃縮が緩衝液中で行われるが、代表的には図1Bに示される装置が簡便である。すなわち、基板ガラスに一定間隔で2本の両面接着テープを張り付け、上からカバーグラスを載せる。ガラス基板面のカバーグラスに、微細加工、またはPDMS(Polydimethylsiloxane)のようなシリコンポリマーを用いて反応部位と通路と検出部位等を刻っておくと良い(図1C)。
緩衝液としては、RNA、スクリーニングプローブコンジュゲート微小管、キネシン等が活発に動けるものあればどのようなものでも良いが、代表的なものは、アッセイバッファー (10 mM Tris-acetate (pH 7.5), 50 mM potassium acetate, 2.5 mM EGTA, 4 mM magnesium sulfate)を挙げることができる。
微小管を修飾する蛍光物質としては、何でも良いが、身近にあるものとしては、ローダミン、FITC、BODIPY、Oregon Green 514、Oregon Green 488、Cy dyeシリーズを挙げることができる。とくにローダミンやOregon Green 488が好ましく用いられる。
微小管を構成するチューブリンモノマーのビオチン化に際して、リンカーの長さは特に限定されるものではないが、身近にあるものとしては、Pierce社製の、Biotin-(Long
Arm)-NHS、EZ-link NHS-LC-LC-Biotinを挙げることができる。とくにBiotin-(Long Arm)-NHSが好ましく用いられる。
本システムではモデルシステムとしてマラカイトグリーンアプタマーのスクリーニングをとりあげる。SAのフリーのアミノ基を利用してスクリーニングプローブ物質であるマラカイトグリーンイソチオシアネートを付加するため、マラカイトグリーンイソチオシアネートをDEMSOに溶かしたものとSAを0.1 M potassium phosphate/ 0.15 M NaCl, pH 7.3中、室温下の暗室で1時間反応させた。反応後、限外ろ過により未反応のマラカイトグリーンイソチオシアネートを除去した。さらに、凍結乾燥により目的のSA修飾MG (MG-SA)を得た。得られたMG-SAの反応及び本発明によるRNAアプタマースクリーニングの概念図を図1Aに示す。
(微小管の調製)
用いた微小管は、オレゴングリーン488修飾/ビオチン化チューブリン (仕込み比 1:1)を BRP80 (80 mM PIPES, pH 6.8, 1 mM MgCl2, 1 mM EGTA, 10 % glycerol, 5 mM GTP) 緩衝液に懸濁し 37 °C で42分間 インキュベートさせ、最後にタキソールで微小管を安定させることでオレゴングリーン修飾/ビオチン化-微小管(以下微小管)を調製した。
微小管の運動性を評価するために、キネシンをガラス基板上に固定化して微小管の観察を行う方法(motility assay)を採用した。微小管には蛍光物質であるオレゴングリーン488が修飾してあるため顕微鏡でその運動を可視化できる。
スライドガラス、カバーガラスを用いて作製した図1Bのようなフローチャンバーを用いてスクリーニングプローブコンジュゲート微小管の特性評価を行った。フローチャンバー内にアッセイバッファー (10 mM Tris-acetate (pH 7.5), 50 mM potassium acetate, 2.5 mM EGTA, 4 mM magnesium sulfate) 中に溶解したキネシン溶液を挿入し物理的に基板にキネシンを固定化した。その後、微小管溶液を同様にフローチャンバー内に挿入し微小管を基板上のキネシンに結合させた。
(スクリーニング用モデルDNAの準備)
モデルDNAとして非特許文献7に基づいて調整した共通のT7プロモーター配列を含むT7センスDNA(AGCTTAATACGACTCACTATAGGA)とアンチセンスMGアプタマー(GGATCCATTCGTTACCTGGCTCTCGCCAGTCGGGATCCTATAGTGAGTCGTATTAAGCT)およびコントロールのために用意したアンチセンスポリA(AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCT)とMGアプタマーと81.5%相同のアンチセンスホモログ(GGATCCCGAGTTTACCTGGCTCTCGCCAGTCGGGATCCTATAGTGAGTCGTATTAAGCT)の3種類のアンチセンス鎖をそれぞれ共通T7センスDNAとアニールさせて合成した部分二本鎖DNA3種類を準備した。これらをAmbion社MAXIscriptのT7 In vitro Transcription Kitを用いてRNAに転写したものを必要に応じて精製して使用する。
(スクリーニングプローブ微小管の調製と運動確認)
MG-SAを上記の微小管固定化基板に加えてオレゴングリーン488修飾/ビオチン化微小管上にMG-SAを固定化して、結合能力の評価もかねて、3種類のT7プロモーターを含むDNA(M:MGアプタマー配列、A:ポリA配列、H:MGアプタマーホモログ配列)をそれぞれ0.3
pmolずつ、Ambion社MAXIscriptのT7 In vitro Transcription Kitに加えて作成した20μL 未精製DNA転写液を用いて、アッセイバッファーで5倍に薄めてMG-SAを固定化した微小管と反応させた。オレゴングリーン488の蛍光とマラカイトグリーンアプタマーとマラカイトグリーンの複合体(図2A.I-(3))の蛍光を蛍光顕微鏡(OLYMPUS IX70)によりU-MNIBA2フィルターとU-MWIG2フィルター用いてそれぞれ観察した。この際、微小管がキネシン上を移動しないようにアッセイバッファーにはATPは加えていない。結果から、オレゴングリーン488の示す微小管上にマラカイトグリーンアプタマーとマラカイトグリーンの複合体の蛍光を観察することができたので微小管上にMG-SAが固定化されていると判断した。図2A(1)、(2)によればこの反応の前には微小管上でマラカイトグリーンアプタマーの蛍光は観察されていない。さらに図2Cに示すコントロール実験により、このDNA転写液にMGアプタマー配列を含むDNAが入っていないときにはマラカイトグリーンアプタマーの蛍光は観察できないことから、DNA転写液中のT7ポリメラーゼなどの酵素類と反応しているものなどではなく、マラカイトグリーンアプタマーが微小管上に固定化されたMG-SAと反応してマラカイトグリーンアプタマーとマラカイトグリーン複合体が蛍光を発しているものと考えられる。MG―SAの濃度はあらかじめ精製済みマラカイトグリーンアプタマー30 ngμL-1を用いて1、10、100 ngμL-1の濃度で固定し、蛍光強度を測定して検討を行い、10 ngμL-1を実験に採用した。さらにATPを加えて微小管の運動を観察した。この際微小管の運動を確認することができた(図3 (3))。このマラカイトグリーンアプタマー付加後の運動速度は、23℃で(0.102μm s-1)であった。
MG-SAを搭載した後も、微小管はキネシン固定化基板上を移動した(図3(2))。その際の速度は、0.095μm s-1である。これは、スクリーニングプローブを固定化していない微小管の速度(0.11 μm s-1)をコントロールとすると、86 %になる。
これらのことから、ビオチンアビジン結合により、微小管上にマラカイトグリーンイソチオシアネートを固定化することに成功し、また微小管上にマラカイトグリーンイソチオシアネートをビオチンアビジン結合で固定しても微小管の運動を阻害しないこと、さらにアプタマーを捕捉したことで微小管の移動に影響がないことがわかる。
(標的RNAのスクリーニング)
ひき続き、スクリーニングプローブコンジュゲート微小管と、標的RNAとの結合に関する評価をマラカイトグリーンアプタマーとマラカイトグリーン複合体の発する蛍光を指標として行った。キネシン固定化基板に前述と同様にスクリーニングプローブコンジュゲート微小管を調製し、3種類のT7プロモーターを含むDNA(M、A、H)をそれぞれ0.3
pmolずつ、Ambion社MAXIscriptのT7の In vitro Transcription Kitに加えて作成した20μL未精製 DNA転写液を、アッセイバッファーで5倍に薄めてMG-SAを固定化した微小管と反応させた。未反応混合物を洗浄後、前述と同様に蛍光顕微鏡により、U-MNIBA2フィルターとU-MWIG2フィルターを使用して微小管の運動およびマラカイトグリーンアプタマーとマラカイトグリーン複合体の蛍光をそれぞれ観察した。
キネシン固定化基板に前述と同様にスクリーニングプローブコンジュゲート微小管を調製し、定量評価を行うために精製RNAを用いて、濃度を0、0.1、0.5、1.0、 2.0、4.0、6.0、8.0 ngμL-1と変化させ顕微鏡観察にU-MWIG2フィルターを用いて蛍光強度を比較して、RNA濃度が0.5~8.0 ngμL-1の範囲で感度応答があることを確認した(図4)。精製MGアプタマーを用いてMG-SA修飾微小管とMG-SA非修飾微小管で感度応答を調べると、コントロールとしたマラカイトグリーン修飾をしていない微小管ではMGアプタマーを増やしても蛍光強度にほとんど変化がないことがわかる(図4(1))。さらにこの感度応答は精製RNA等濃度混合溶液中(M、A、H)でも保持される(図4(2))ことから、実際のDNAプールから目的のRNAをスクリーニングしてくる際にも感度応答が期待されバイオセンサーとしても本スクリーニングプローブコンジュゲート微小管が有効であることが確認された。図4(2)のコントロールにおいてはマラカイトグリーンアプタマーを含まない精製RNA等濃度混合溶液(A、H)を用いて、横軸に示す濃度は精製RNA混合溶液濃度の3分の1量になっている。バイオセンサーとして用いる場合はマラカイトグリーンアプタマーの蛍光観察の最適フィルターを用いることにより微量域での感度は上がるものと期待される。 本発明の分子モータシステムで用いるスクリーニングプローブコンジュゲート微小管はプレートリーダーで観察できない微量のマラカイトグリーンアプタマーの蛍光も微小管の自己組織化能を生かしてRNAアプタマーとマラカイトグリーンの複合体を微小管上に集積することにより顕微鏡上での観察を可能にするものであり、分子生物学的手法によりマラカイトグリーンに結合する配列を転写を検出したいDNAに組み込むことにより、自走するDNA転写反応のバイオセンシング素子としても利用することができる。
本発明の分子モータシステムは、ライフサイエンスやナノテクノロジーの分野等に広く応用できる可能性を秘めたものであり、産業上の利用可能性は極めて高いものである。
Claims (7)
- 結合機能性核酸であるRNAアプタマーのスクリーニングプローブとなるRNAアプタマー結合物質が微小管上に結合しているスクリーニングプローブコンジュゲート微小管、キネシンが塗布された基板、緩衝液からなり、導入されたDNA及び転写酵素の混在する転写液中を移動することにより、標的RNAとスクリーニングプローブコンジュゲート微小管とを反応させて微小管上で集約的に結合させたのち、フロー処理にて洗浄作業の後、微小管を一箇所に集めることにより標的RNAを回収精製する分子モータシステム。
- キネシンが塗布された基板上において、進化工学的手法により作成したDNAプールよりRNAを転写して回路に導く導入部位、標的RNAアプタマーとRNAアプタマー結合物質を微小管と反応させる選別部位、微小管上のRNAアプタマー結合物質が選択的に回収した結合機能を持つRNAアプタマーを再び溶液中に回収する回収部位が、通路で結ばれ、前記キネシンが塗布された基板上を前記スクリーニングプローブコンジュゲート微小管が移動することにより、導入と選別、移動と回収および濃縮が緩衝液中で行われることを特徴とする請求項1に記載した分子モータシステム。
- RNAアプタマー結合物質と微小管の結合が、アビジン化RNAアプタマー結合物質とビオチン化微小管若しくは、ビオチン化RNAアプタマー結合物質とアビジン化微小管により行われる請求項1又は請求項2に記載した分子モータシステム。
- 結合機能性核酸であるRNAアプタマーのスクリーニングプローブとなるRNAアプタマー結合物質が微小管上に結合しているスクリーニングプローブコンジュゲート微小管、キネシンが塗布された基板、緩衝液からなり、導入されたDNA及び転写酵素の混在する転写液中を移動することにより、標的RNAとスクリーニングプローブコンジュゲート微小管とを反応させて微小管上で集約的に結合させたのち、フロー処理にて洗浄作業の後、微小管を一箇所に集めることにより標的RNAを回収精製する分子モータシステムを用いて、有効な結合機能をもつRNAアプタマーを選別する方法。
- 結合機能性核酸であるRNAアプタマーのスクリーニングプローブとなるRNAアプタマー結合物質が微小管上に結合しているスクリーニングプローブコンジュゲート微小管、キネシンが塗布された基板、緩衝液からなり、導入されたDNA及び転写酵素の混在する転写液中を移動することにより、標的RNAとスクリーニングプローブコンジュゲート微小管とを反応させて微小管上で集約的に結合させたのち、フロー処理にて洗浄作業の後、微小管を一箇所に集めることにより標的RNAを回収精製する分子モータシステムを用いて、有効な結合機能をもつRNAアプタマーを選別した後、標的RNAアプタマーを捕捉した微小管を移動させ一箇所に集めることで標的RNAアプタマーを濃縮する方法。
- 結合機能性核酸であるRNAアプタマーのスクリーニングプローブとなるRNAアプタマー結合物質が微小管上に結合しているスクリーニングプローブコンジュゲート微小管、キネシンが塗布された基板、緩衝液からなり、導入されたDNA及び転写酵素の混在する転写液中を移動することにより、標的RNAとスクリーニングプローブコンジュゲート微小管とを反応させて微小管上で集約的に結合させたのち、フロー処理にて洗浄作業の後、微小管を一箇所に集めることにより標的RNAを回収精製する分子モータシステムを用いて、有効な結合機能をもつRNAアプタマーを選別し、未反応の混合物を洗浄した後、過剰の結合物質を投入することにより導入された転写混合液の中から標的RNAアプタマーを選択的に溶液中に回収する方法。
- 結合機能性核酸であるRNAアプタマーのスクリーニングプローブとなるRNAアプタマー結合物質が微小管上に結合しているスクリーニングプローブコンジュゲート微小管、キネシンが塗布された基板、緩衝液からなり、導入されたDNA及び転写酵素の混在する転写液中を移動することにより、標的RNAとスクリーニングプローブコンジュゲート微小管とを反応させて微小管上で集約的に結合させたのち、フロー処理にて洗浄作業の後、微小管を一箇所に集めることにより標的RNAを回収精製する分子モータシステムを用いて、スクリーニング物質にマラカイトグリーンイソチオシアネートを用い、検出したいRNAのDNA配列上流にマラカイトグリーン結合配列を組み込むことにより、マラカイトグリーンとRNAアプタマー配列部位の結合により発する蛍光観察によりRNA転写の有無の検出を行う自走式RNA転写検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005116694A JP4258661B2 (ja) | 2005-04-14 | 2005-04-14 | 分子モータシステム及びその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005116694A JP4258661B2 (ja) | 2005-04-14 | 2005-04-14 | 分子モータシステム及びその用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006288336A JP2006288336A (ja) | 2006-10-26 |
JP4258661B2 true JP4258661B2 (ja) | 2009-04-30 |
Family
ID=37409632
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005116694A Expired - Fee Related JP4258661B2 (ja) | 2005-04-14 | 2005-04-14 | 分子モータシステム及びその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4258661B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9632082B2 (en) | 2011-11-29 | 2017-04-25 | Taiyo Yuden Co., Ltd. | Motor protein device |
CN104152433B (zh) * | 2014-08-01 | 2016-06-08 | 中国科学院化学研究所 | 一种葡萄糖响应的微管-驱动蛋白运输体系及其制备方法 |
JP6422075B2 (ja) * | 2014-09-24 | 2018-11-14 | 太陽誘電株式会社 | 組成物及び組成物を利用したモーター蛋白デバイス |
WO2019020798A1 (en) * | 2017-07-27 | 2019-01-31 | INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) | METHODS AND TOOLS FOR PURIFYING NUCLEIC ACIDS USING POLYMERIZED TUBULIN |
-
2005
- 2005-04-14 JP JP2005116694A patent/JP4258661B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006288336A (ja) | 2006-10-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9993794B2 (en) | Single molecule loading methods and compositions | |
Xi et al. | Progress in selection and biomedical applications of aptamers | |
Hamula et al. | Selection and analytical applications of aptamers binding microbial pathogens | |
Dubus et al. | PCR-free DNA detection using a magnetic bead-supported polymeric transducer and microelectromagnetic traps | |
Kim et al. | Fabrication of MERS-nanovesicle biosensor composed of multi-functional DNA aptamer/graphene-MoS2 nanocomposite based on electrochemical and surface-enhanced Raman spectroscopy | |
CN106796218A (zh) | 改进的测定方法 | |
Hanif et al. | Aptamer based nanobiosensors: Promising healthcare devices | |
US20110281320A1 (en) | Device for analyzing nucleic acids and apparatus for analyzing nucleic acids | |
Fischer et al. | Aptasensors for biosecurity applications | |
Bognár et al. | Aptamers against immunoglobulins: Design, selection and bioanalytical applications | |
KR101460450B1 (ko) | 카드뮴에 특이적으로 결합하는 dna 앱타머 및 이의 용도 | |
JP4258661B2 (ja) | 分子モータシステム及びその用途 | |
US20220243196A1 (en) | Screening method of aptamer and immunoassay using the aptamer | |
JP4264746B2 (ja) | 分子モータシステムとその応用 | |
CN113227377B (zh) | 与黄热病病毒ediii特异性结合的dna适体及其用途 | |
Daems et al. | Controlling the bioreceptor spatial distribution at the nanoscale for single molecule counting in microwell arrays | |
Li et al. | Discovery and translation of functional nucleic acids for clinically diagnosing infectious diseases: Opportunities and challenges | |
Rueda et al. | Single molecule fluorescence control for nanotechnology | |
US10760084B2 (en) | α-amylase-binding nucleic acid molecule and use thereof | |
US11231420B2 (en) | Selection and optimization of aptamers to recognize ebola markers | |
JP4264748B2 (ja) | 分子荷物の搭載降荷分子モータシステム | |
JP5309092B2 (ja) | 核酸分析用デバイス,核酸分析装置、及び核酸分析用デバイスの製造方法 | |
JP2022509310A (ja) | イマチニブに対するアプタマー | |
Feng et al. | High-affinity aptamers enable the rapid optical detection and differentiation of three SARS-CoV-2 VOCs | |
JP6218250B2 (ja) | ターゲット分析用センサ、ターゲット分析用デバイス、および、これを用いたターゲットの分析方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070314 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081028 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081224 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090127 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090127 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140220 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140220 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140220 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R370 | Written measure of declining of transfer procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |