JP4257659B2 - アンテナ素子及びそれを用いた無線通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アンテナ素子に係るものであり、特に携帯電話や無線LAN(ローカルエリアネットワーク)などのマイクロ波無線通信機器に用いられる小形のアンテナ素子に関する。
マイクロ波無線通信機器、とりわけ携帯電話などの携帯通信機器では、小形軽量化を図るためアンテナ素子としてモノポールアンテナや、誘電体材料からなる基体表面に放射電極を螺旋状に配したヘリカルアンテナなどが、一般に用いられている。これらアンテナについては、非特許文献1に詳しい記載がある。
実用化されているヘリカルアンテナ素子として、絶縁体に螺旋状の導線を巻上げて放射電極とした素子が知られている。例えば、厚膜印刷によって電極を形成したヘリカルアンテナ素子の概略構造を図12に示す。絶縁基板1の外表面に設ける放射電極2と給電電極4は、導体ペーストの塗布焼成よって形成される。一方、特許文献1に記載される積層ヘリカルアンテナは、積層技術を応用して製造するチップ構造のアンテナ素子で、絶縁層間に配置した導線パターンを内部接続し、コイル状の放射電極を得るものである。構造上、放射電極は絶縁物の表面に露出しない埋設状態となる。
図12において、絶縁基板1上の放射電極2を流れる電流の波長は、絶縁基板1の比誘電率の大きさに比例して短縮される(波長短縮効果)ため、放射電極2の線路長を短くしても同一のアンテナ特性が得られる。したがって、放射電極を絶縁基板の表面または絶縁材中に配置するヘリカルアンテナは、この波長短縮効果を利用した小形アンテナである。さらに、モノポールアンテナと比べると、ヘリカルアンテナは波長短縮効果と相俟って螺旋状放射電極構造によってもアンテナ長さを実質的に短くでき、高さの低いアンテナ素子の製造が可能となる。現在では、ヘリカルアンテナは携帯電話などの無線通信機器分野で多用されるアンテナの1つである。
アンテナ工学ハンドブック(電子情報通信学会編、オーム社発行p50〜59) 特開平9-51221号公報
ところが、従来技術によってヘリカルアンテナを小形化しようとすると、次のような課題があった。即ち、絶縁基板の比誘電率を高めていくと放射抵抗が低下し、アンテナの放射効率や利得の低下を招き、実用に供するアンテナ素子が得られない。また、放射抵抗の減少による放射電力の不足を補うために、アンテナ給電点の電流を増加させても、徒に送信回路の損失を増やすだけで、空中に放射される電磁波の増大には寄与しなかった。このように本質的なアンテナ特性を損なう従来技術は、ヘリカルアンテナの小形化に不向きな方法といえる。
また、ヘリカルアンテナを携帯通信機器に組み込んで実際に動作させると、通信機器の筐体あるいは回路基板の導体部分には、アンテナからの放射電磁波による電流が誘起し、この導体部分が見掛け上アンテナの一部として動作する。ヘリカルアンテナの特性は筐体および回路基板の導体とその形状配置、あるいは通信機器の使用環境など周辺の影響を受けやすく、このためアンテナ給電点におけるインピーダンスの不整合や放射指向性の変動が生じ、安定した通信性能が得られない等、実装上の問題があった。
上記した技術上の問題に対して、放射電極の線路長を放射電磁波の1/4波長から1/2波長程度まで延長することによって、放射効率や利得を高める方法が従来とられていた。しかしながら、この方法の欠点は、放射電極の給電側インピーダンスが増加して送信回路側のインピーダンスとの不整合を生じるため、インピーダンス整合回路の挿入が必要であった。アンテナ給電点におけるインピーダンス整合回路の挿入は、送信回路の複雑化と回路規模の増加を招く。さらに、アンテナ素子が長くなることを考慮すると、この技術はアンテナを含めた通信機器の小形化に不適な方法である。
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するために想到した技術思想をもとに具現化したものであり、従前からアンテナの小形化と特性向上は両立できないものと考えられていた。しかし、本発明の実施はアンテナを縮小化すると共に、高い放射効率と放射利得特性を有するアンテナ素子を提供するものである。
本発明は、絶縁基板の表面に放射電極と給電電極を配設するアンテナ素子において、前記放射電極は、螺旋状の第1の放射電極と、該第1の放射電極と前記給電電極とを電気的に接続する機能を有する一部または全てが直線状、つづら折れ状または螺旋状あるいはこれらを組合せた形状である第2の放射電極とからなり、前記第1の放射電極と前記第2の放射電極は静電結合できるように表面上の隙間を介して隣接配置され、前記第2の放射電極の電極線路長は、リターンロスが−10dB以下であると共にアンテナ利得が1dB以上の特性を満足する長さに選ぶことを特徴とするアンテナ素子である。従来のアンテナ素子では、給電電極から直に螺旋状の放射電極に接続する構成であった。しかし、本発明では螺旋状の第1の放射電極を給電電極あるいは接地導体などから離隔するために、第2の放射電極を新たに設置する構成を想到した。給電電極から第1の放射電極を離すことによって、放射効率および指向性が大幅に改善できることを見出し、発明を完成した。第1の放射電極を給電電極に対して所要距離を設けて配することは、接地導体など放射電極近傍に配置される導体からの隔離を意味し、さらに最も効果が得られる離隔距離の範囲を規定したものである。これが本発明の要旨であり、このような技術を開示した公知文献は見当たらない。
さて、第1の放射電極と給電電極の離隔距離としての好適な範囲について触れる。まず、離隔距離の物理的な意味は次のように考えられる。即ち、距離が短い領域では充分な効果を得ることができず、逆に最適長さを超えると、アンテナ性能の低下を招くばかりか、アンテナ素子の大形化につながり、発明の効果が得られない。また、離隔距離についての検討は、シミュレーションによって予め範囲を特定し、さらに実験によってより精細に検証した。まず、シミュレーションの計算モデルについて説明する。
図8において、アンテナ素子10は回路基板5の表面に配置されるものとした。また、アンテナ素子10は絶縁基板1、螺旋状に配した第1の放射電極2および第2の放射電極3からなるものとし、さらにマイクロストリップ線路7は第2の放射電極3に信号を供給する給電線である。また、図示するように回路基板5の裏面には、接地導体8が斜線の位置に設けられる。シミュレーションに用いた物性値および各部の寸法等は実際に即した値を用い、可能な限り実物に近づけるように境界条件等を設定した。
次に、シミュレーション結果について述べる。図9において、横軸は第2の放射電極の線路長Lであり、図8に記入した長さである。また、縦軸のリターンロス(●印)は、アンテナからの反射波の程度を表すパラメータであり、−10dB以下の性能が実用上の目安とされている。図に示すリターンロス特性はLの増加と共に右下がりの特性カーブとなり、3mm付近からリターンロスが−10dB以下にできる。一方、アンテナ利得特性(○印)は、リターンロス特性とは反対の傾向を持ち、Lが増加するに従い右上がりの特性カーブとなり、Lが長くなる程アンテナ利得が向上する。0〜1.5mm付近までの特性改善が著しく、この点を通過した以降は比例領域を経て飽和領域に至る。したがって、Lとして1.5mm程度以上あれば充分であるが、小形化とのトレイドオフを考慮する必要がある。
以上述べたシミュレーション結果を、図10の等価回路を用いて定性的に説明する。この等価回路では、Rは放射抵抗を、Cは第1放射電極と接地導体間の寄生容量を、また第1および第2の放射電極によるインダクタンスをそれぞれL,Lとした。図示するように、R、CおよびL,Lはそれぞれ並列に接続されたものと見なすことができる。また、送信回路の電圧源eはL,Lと直列に挿入される。等価回路ではアンテナから空間に放射される電磁波の電力は、Rを流れる電流Irの自乗とRとの積、即ち(Ir)Rによって表示される。この値が大きい程、放射効率の高いアンテナである。
さて、第2の放射電極の線路長Lが長くなることは、図8から明らかなように第1の放射電極2が接地導体8から離れることであり、等価回路ではCが低下し、反対にLが増加することと考えられる。この結果、RとCの並列回路に分流する電流の比率が変化することになる。即ち、Cに流れる電流Icは減少し、逆にIrは増加する。しかし、Lの増加による電流抑制効果によるIrの多少の減少はあるが、増分の方が大きいため、放射電力が増してアンテナ利得の向上につながる。一方、リターンロスについては以下のように考えられる。第2の放射電極の線路長LとインダクタンスLは比例関係にあるため、Lが長くなる程Lが増加する。したがって、Lの増加はインピーダンスが大となることであり、アンテナからの反射を抑制する効果となり、図9に示すリターンロス特性に一致する。
そして、本発明の第2の放射電極は直線状、つづら折れ状あるいは螺旋状のいずれかの1つの形状かまたはこれらを組み合わせた形状とすることができる。上記したように第1の放射電極と給電電極とを離すことが、本発明の要旨であることを考慮すれば、上記の選択は容易に理解されるところである。
本発明において、上記した第1の放射電極と第2の放射電極とが静電結合できるように表面上の隙間を介して隣接配置しても良い。即ち、第1の放射電極と第2の放射電極は物理的には接続されないが、電気回路的には導通する構成である。静電結合作用が発現するには、第1の放射電極と第2の放射電極間でコンデンサを形成させることであり、具体的はそれぞれの電極を隣接配置することによって得られる。さらに、静電結合に必要な静電容量は、第1の放射電極と第2の放射電極の間隙、あるいは絶縁体の材質等を適宜選ぶことによって可能である。本発明では、絶縁体表面に放射電極を形成することを前提にしているため、第1の放射電極と第2の放射電極を隣接配置する構成を実施例で示すが、第1の放射電極と第2の放射電極間でコンデンサを形成すればよいため、2次元ばかりでなく3次元的な電極配置でも可能である。本発明では、電極間のコンデンサの形成方法に制約条件や規定を設けるものではなく、第1の放射電極と第2放射電極間の静電結合作用を利用するものであるため、コンデンサが形成される実施態様であれば、本発明の実施であるといえる。
さて、第1の放射電極と第2の放射電極間にコンデンサを形成することは、等価コンデンサC1-2をL,Lに直列に挿入したことと見なせる。この関係を図11の等価回路に示す。図10の等価回路と相違するところは、C1-2をL,Lおよびeに直列に挿入した点である。C1-2は第1と第2の放射電極間で形成するコンデンサを示し、その容量は可変できるものである。C1-2とL,Lが直列に接続されるため、C1-2によるリアクタンス分がLによるリアクタンスの増分を抑制あるいはキャンセルすることができ、インピーダンスの増加を抑制する。この抑制効果はアンテナ特性向上に寄与することになる。さらに、C1-2の調整範囲を広げることにすればインピーダンス整合機能が得られ、特別に整合回路を設ける必要がなくなり、省スペース化に有効となる構成である。
さらに、本発明において、電極を形成する絶縁基板は矩形状または円柱状が好ましく、形状によって特性は影響されないが、後述する寸法比が問題である。したがって、絶縁基板の形状については製造上のメリットを考慮して決められる選択的な設計事項である。例えば、絶縁基板として略円柱状のものを適用する場合、中心軸に対して平行な平面を円柱面に形成する。絶縁基板の好適な寸法比は、幅W、高さh、長さlとするならば、0.8≦W/h≦1.2の範囲である。
次に、電極について述べる。まず、第1の放射電極と第2の放射電極の線路幅にも望ましい範囲がある。即ち、第1の放射電極幅をa、第2の放射電極幅を幅をbとすると、比b/aは1.5〜20である。また、第1の放射電極と第2の放射電極との間に生じる静電容量C1-2はおよそ次式のように表される。
Figure 0004257659
ここで上式において、εは絶縁基板を構成する材料による放射電極周辺の実効誘電率である。この式から容易にわかるように、C1-2を大きくするには線路幅bを広くするか、あるいは電極間距離cを狭くすることが選択肢としてあげられる。しかし、cを狭くするほど製造工程で要求されるcの形成精度を高めることが必要であることから、寧ろ線路幅bを選んだ方が有利である。さらに、第2の放射電極の線路幅bは第1の放射電極の線路幅aよりも広く形成した方がよく、その比b/aを1.5〜20とするのが好ましい。比b/aが1.5未満であると、第2の放射電極のインダクタンスLを低減するのに十分でなく、一方20を超えると絶縁基板が大形化することから上記した範囲が好適である。
以上説明したように、第1の放射電極が第2の放射電極を付加したことにより実質的に延長されることから、本発明のアンテナ素子の放射抵抗を高くすることができ、アンテナ素子を小形化した場合であっても放射効率あるいは利得の低下が抑えられる。さらに、第1の放射電極と第2の放射電極とを静電容量を介して電気的に結合するため、等価回路的に静電容量と放射電極のインダクタンスとが直列接続されることになると共に、第2の放射電極によって生じたインダクタンス成分が打ち消される結果、アンテナ給電点におけるインピーダンスの不整合が解消され、給電点での反射損失が少ないアンテナ素子を得ることができる。そして、本発明は上記したアンテナ素子のいずれかを用いることによって効果的に作用する例えば携帯電話のような無線通信装置を用途とする。
以上の説明から明らかなように、本発明によってアンテナ素子を小形化できると共に、小形化に伴う利得の低下や指向性のばらつきを抑制できる。さらに、広帯域でかつ周波数変動の少ないアンテナ素子を提供が可能である。また、本発明によるアンテナ素子を無線通信装置に組み込んだ場合、通信到達距離の増加および伝送エラーの低減等、通信装置の信頼性向上の付加的効果が得られる。
本発明に係るアンテナ素子について、以下詳細に説明する。図1は本発明によるアンテナ素子の斜視図である。アンテナ素子10は、絶縁基板1の外表面に配設された螺旋状の第1の放射電極2、絶縁基板1の少なくとも上面に設けた第2の放射電極3および端面に設けた給電電極4からなる。図示するように給電電極4と第2の放射電極3とは接続されているが、第1の放射電極2はcの間隙だけ第2の放射電極から離れて配置される。この状態を等価回路で示すと図11の場合であるが、図10の第1の放射電極と第2の放射電極が物理的に接続される場合も、本発明の実施態様の1つである。
使用する絶縁基板は、アンテナの特性を考慮してチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミナ等の誘電体セラミックスや低損失のガラスエポキシやテフロン(登録商標)等の誘電体材量が好適である。しかし、1GHzまでの周波数帯を持つものであれば、比透磁率が10未満の軟磁性材料、例えばNiZnフェライト等の使用が可能である。
また、放射電極および給電電極は、印刷、蒸着あるいはメッキなどの方法から適宜選択して形成される。電極材としては、Au、Pt、Ag、Cu等の電気抵抗の低い金属材料またはこれらを主成分とする合金が使用できる。さらに、各電極間の接続については、チップコンデンサ等の製造に用いられる積層技術によって絶縁基板の内部に電極を形成し、絶縁基板の外表面に形成した少なくとも1つ以上の導体線路で電気的に接続して、構成上の簡略化を図ることができる。
アンテナ素子を実装する回路基板を図2に示す。第1および第2の放射電極からの送信電力が、回路基板5の接地導体8に吸収されるため、放射効率、利得の低減あるいは放射指向特性の乱れをなくすように、アンテナ素子を固定する回路基板5上にマイクロストリップ線路7と裏面の一部に接地導体8を配した構造である。また、主回路基板とは別置してアンテナを設けて同軸線路で接続する場合には、アンテナ素子の長手方向と直交する面内の放射指向性をできるだけ均一にするため、図3に示すようにアンテナ素子を回路基板5の中心軸上に配置し、かつ回路基板5の中心軸に対称となるように接地導体8のパターンを設けた。
(実施例1)
図1において、ジルコン酸カルシウムからなる誘電体材料の粉体を加圧成形して焼結した後、切削加工によって幅3mm、高さ3mm、長さ15mm直方体状の絶縁基板1を作製した。この絶縁基板の外表面にAgを主体とするペースト材料を用いて、略3ターンの螺旋状の導体パターンを印刷して第1の放射電極とした。さらに、直線状の第2の放射電極を印刷した。この作製工程中、第1の放射電極と第2の放射電極の間に幅c=0.5mmの間隙(放射電極間距離)になるように調整し、第1の放射電極と第2の放射電極とが規定の静電容量結合できるように配慮した。
さらに、第2の放射電極と給電電極を接続するために、Agペーストを用いた。これら電極の印刷が終了した後、850℃の焼き付け工程に入れ、絶縁基板上に焼き付けた。得られたアンテナ素子は2.5GHz帯の無線LAN用のアンテナ素子である。焼き付け後の各部の寸法を測定すると、第1の放射電極の線路幅aは0.5mm、厚さ10μmである。一方、第2の放射電極の線路幅bは3mm、長さ9mm、厚さ10μmに加工した。
このようにして作製したアンテナ素子を、ガラスエポキシを主成分とする幅25mm、長さ30mm、厚さ1mmの評価用回路基板に実装した。この基板の一端に同軸端子を設け、この端子とアンテナ素子の給電電極とを評価用回路基板に形成した特性インピーダンス50Ωのマイクロストリップ線路(パターン幅2mm)に半田付けによって固定した。
試作したアンテナ素子の給電電極を評価用回路基板に半田付けした後、アンテナ給電点におけるインピーダンスZOを測定しながら、50Ωとなるように放射電極の端部をトリミングし、間隙cの距離を微調整した。ZOをほぼ50Ωに一致させた結果、伝搬中心周波数は2.5GHzとなり、電圧定在波比(VSWR)2の条件で、周波数帯域幅は100MHzの特性が得られた。
試作無線LAN用のアンテナ素子は、VSWR(定在電圧波比)が2以下の条件において2.484GHz±13MHzの周波数帯域幅が必要であるが、本発明によるアンテナ素子は十分な周波数帯域幅特性を有している。また、ZO調整の際、第1の放射電極と第2の放射電極との間隙が広がるに従い、両電極間で形成される静電容量が小さくなるためアンテナ素子の伝搬周波数は高くなるが、無線LAN用の必要周波数帯域幅に比べて周波数変動分は1/10以下であり、十分余裕のあることが実証され、調整による影響は無視できるものであった。
比較例として、図12に示した従来構成のヘリカルアンテナ素子を作製した。このアンテナ素子は実施例1と同様な誘電体材料を使用して、同一の寸法で同じ製法である。以上述べた試作アンテナ素子を特性評価を行った。測定項目は電波暗室における放射利得と放射指向特性である。まず、放射利得はアンテナ素子を実装した評価回路基板に同軸ケーブルを介して信号発生器に接続し、2.5GHzの信号をアンテナ素子に給電した場合の試験アンテナ素子からの放射電力を測定する。被試験アンテナから3m離れた地点に設けたホーンアンテナにより空中線電力を受信し、同軸ケーブルでスペクトラムアナライザに入力した。次に、利得特性が既知の半波長ダイポールアンテナ(伝搬周波数2.5GHz、アンテナ長60mm)に取り替え、同様の測定を行い、被試験アンテナ素子の受信電力との相対比較から、放射利得を求めた。
放射指向性は、放射利得の測定時に被試験アンテナ素子を回転テーブル上に固定し、テーブルとアンテナ素子を水平面内での角度0度から360度まで回転させながら、受信電力を測定することによって水平面内の利得分布を測定した。図7に本発明によるアンテナ素子と従来のアンテナ素子の指向特性を比較して示す。この測定結果は、アンテナ利得を半波長ダイポールアンテナ(最大利得2.15dBi)と比較した場合の相対利得(単位dBd)で表す。測定結果より、本発明のアンテナ素子は従来のアンテナ素子に対し放射利得の最大値は+2dB、平均値は+6dB改善され、半波長ダイポールアンテナと比べても同等の利得が得られることがわかる。また、水平面内の指向性ばらつきが従来のアンテナ素子に比べ減少し、ほぼ無指向性に近い性能が得られた。
(実施例2)
本発明による他の実施例として、図4に示すアンテナ素子を同時に試作した。このアンテナ素子は、第2の放射電極3がつづら折れ状に形成したものであって、第2の放射電極の形状による影響を検討するものである。絶縁基板の材質および電極寸法等は実施例1と全く同一とし、第2の放射電極2に対しては線路幅bが1mm、中央部の全長が15mm、厚さが10μmである。実施例1と同様な特性評価を行ったところ、実施例1と有意差が認められない程度の特性が得られ、第2の放射電極の形状の影響は無視できるものと考えられる。
(実施例3)
以上試作したアンテナ素子を無線通信装置に実装し、通信到達距離を測定した。前述したように本発明によるアンテナ素子は、アンテナ利得が向上するため従来のアンテナ素子に比べて、通信到達距離が約1.2倍増加し、同一の距離におけるデータの伝送エラーが大幅に低減できることを確認した。また、図5および6に示すアンテナ素子についても同様な結果が得られ、本発明の有効性が確認できた。
本発明の一実施例に係るアンテナ素子の斜視図。 アンテナ素子を実装する回路基板。 本発明に係るアンテナ素子を回路基板に実装した配置図。 本発明の他の実施例に係るアンテナ素子の斜視図。 本発明の他の実施例に係るアンテナ素子の斜視図。 本発明の他の実施例に係るアンテナ素子の斜視図。 本発明および従来のヘリカルアンテナの放射指向特性。 シミュレーションのための計算モデル。 本発明の放射電極線路長に対するアンテナのリターンロスおよび利得特性。 第1の発明の等価回路図。 第2の発明の等価回路図。 従来のヘリカルアンテナの斜視図。
符号の説明
1:絶縁基板
2:第1の放射電極
3:第2の放射電極
4:給電電極
5:回路基板
6:給電点
7:マイクロストリップ線路
8:接地導体
10:アンテナ素子

Claims (5)

  1. 絶縁基板の表面に放射電極と給電電極を配設するアンテナ素子において、前記放射電極は、螺旋状の第1の放射電極と、該第1の放射電極と前記給電電極とを電気的に接続する機能を有する一部または全てが直線状、つづら折れ状または螺旋状あるいはこれらを組合せた形状である第2の放射電極とからなり、前記第1の放射電極と前記第2の放射電極は静電結合できるように表面上の隙間を介して隣接配置され、前記第2の放射電極の電極線路長は、リターンロスが−10dB以下であると共にアンテナ利得が1dB以上の特性を満足する長さに選ぶことを特徴とするアンテナ素子。
  2. 請求項1において、前記絶縁基板の幅をW、高さをhとすると、0.8≦W/h≦1.2の断面を有することを特徴とするアンテナ素子。
  3. 請求項1または2のいずれかにおいて、前記絶縁基板は円柱状に形成され、中心軸に平行な面を少なくとも1つ以上有することを特徴とするアンテナ素子。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記第1の放射電極の幅をa、第2の放射電極の幅をbとすると、b/aを1.5〜20に選ぶことを特徴とするアンテナ素子。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のアンテナ素子を用いることを特徴とする無線通信装置。
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