JP4257500B2 - ホスホリルアントラセン化合物、製造法及びその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスホリルアントラセン化合物からなる水素結合ネットワーク型結晶体、製造法及びそれらの用途に関する。
【0002】
本発明の結晶体は、揮発性有機分子固定化剤や金属捕集剤等の用途が期待される。
【0003】
【従来の技術】
従来、本発明のアントラセン系有機ゼオライト類縁体の原料である9,10−ビス(3,5−ジハイドロキシ−1−フェニル)アントラセン(以下、BHPAと略記する。)も、水素結合ネットワークを形成し、多孔質的な挙動を示すことが報告されている(非特許文献1〜2参照。)。この多孔質有機結晶は固体状態で水、メタノール、アセトン、その他の極性溶媒(ゲスト分子)を吸着する能力を有する。しかしながら、BHPAによるOH−O水素結合ネットワーク型結晶では、結晶化の際に極性化合物が選択的に取り込まれるが、ベンゼンなどの非極性化合物や金属イオンを取り込んでの結晶化は困難であった。
【0004】
また、BHPAの含リン誘導体の合成例は、全くなかった。
【0005】
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエテイ(J. Am. Chem. Soc.)」,(米国),1995年,第117巻,第32号,p.8341−8352
【非特許文献2】
「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエテイ(J. Am. Chem. Soc.)」,(米国),1998年,第120巻,第35号,p.8933−8940
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
分子間でのCH−O水素結合ネットワークが可能な化学構造を持ち、非極性化合物や金属イオンの取り込みが可能な新規化合物の提供を課題とする。
【0007】
【発明が解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、BHPAのオキソジフェニルホスホラスオキシ誘導体に合成展開することにより、CH−O水素結合ネットワーク型結晶が得られ、ベンゼン類化合物に代表される非極性化合物を選択的に捕捉できることを見出した。更に、BHPAのオキソヒドロキソフェニルホスホラスオキシ誘導体の合成に成功し、金属イオン捕捉能をもつことを見出した。
【0008】
即ち、本発明の第一観点は、式[1]
式[1]
【0009】
【化17】
【0010】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基又はアミノ基を表し、p及びqは、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。R3は、式[2]
【0011】
【化18】
【0012】
(式中、R4は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基又はアミノ基を表し、sは、1〜5の整数を表す。)
で表されるオキソジフェニルホスホラスオキシ基、又は、式[3]
【0013】
【化19】
【0014】
(式中、R4及びsは、前記と同じ意味を表す。)
で表されるオキソヒドロオキソフェニルホスホラスオキシ基を表し、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数を表す。)
で表されるホスホリルアントラセン化合物からなる水素結合ネットワーク型結晶体である。
【0015】
本発明の第二観点は、式[4]
【0016】
【化20】
【0017】
(式中、R5は、式[5]
【0018】
【化21】
【0019】
で表されるオキソジフェニルホスホラスオキシ基、又は、式[6]
【0020】
【化22】
【0021】
で表されるオキソヒドロオキソフェニルホスホラスオキシ基を表す。)
で表されるホスホリルアントラセン化合物からなる水素結合ネットワーク型結晶体である。
【0022】
本発明の第三観点は、式[7]
【0023】
【化23】
【0024】
(式中、R1、R2、p、q、m及びnは、前記と同じ意味を表す。)
で表されるビス(ハイドロキシフェニル)アントラセン化合物と、式[8]
【0025】
【化24】
【0026】
(式中、R4及びsは、前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるハロゲノジフェニルホスフィンオキシド化合物を塩基の存在下に反応させることを特徴とする式[9]
【0027】
【化25】
【0028】
(式中、R1、R2、R4、p、q、m、n及びsは、前記と同じ意味を表す。)
で表されるホスホリルアントラセン化合物の製造法である。
【0029】
本発明の第四観点は、式[7]
【0030】
【化26】
【0031】
(式中、R1、R2、p、q、m及びnは、前記と同じ意味を表す。)
で表されるビス(ハイドロキシフェニル)アントラセン化合物と式[10]
【0032】
【化27】
【0033】
(式中、R4及びsは、前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるフェニルホスホン酸ジハライド化合物と、塩基の存在下に反応させて、式[11]
【0034】
【化28】
【0035】
(式中、R1、R2、R4、X、p、q、m、n及びsは、前記と同じ意味を表す。)
で表されるハロゲノホスホリルアントラセン化合物を得た後、これを加水分解することを特徴とする式[12]
【0036】
【化29】
【0037】
(式中、R1、R2、R4、p、q、m、n及びsは、前記と同じ意味を表す。)
のホスホリルアントラセン化合物の製造法である。
【0038】
本発明の第五観点は、式[9]で表されるホスホリルアントラセン化合物からなる水素結合ネットワーク型結晶体を含有する揮発性有機分子固定化剤である。
【0039】
この好ましい態様としては、揮発性有機分子が芳香族系環境ホルモン化合物である揮発性有機分子固定化剤が挙げられる。
【0040】
本発明の第六観点は、式[12]で表されるホスホリルアントラセン化合物からなる水素結合ネットワーク型結晶体を含有する金属捕集剤である。
【0041】
この好ましい態様としては、金属が周期律表第1族B金属、第2族B金属、第3族B金属及び第8族金属からなる群から選ばれる1種である金属捕集剤である。
【0042】
また、金属が銅、銀、金、カドミウム、水銀、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、イッテルビウム、ウラン、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム及び白金からなる群から選ばれる1種である金属捕集剤である。
【0043】
更に、本発明の第七観点は、式[11]で表されるハロゲノホスホリルアントラセン化合物である。
【0044】
なお、前記式[1]〜[12]の置換基であるR1、R2及びR4は、原料BHPA誘導体の入手の容易性、また本発明用途への性能発現の観点から、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。特に、R1、R2及びR4が水素原子が好ましい。
【0045】
そして、m及びnは、それぞれ独立して1〜3の整数が好ましい。特に、m及びnは、2の整数がより好ましい。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0047】
本発明の代表例である前記式[1]〜[14]のR1、R2及びR5が水素原子の場合の製造法は、下記スキームで表される。
【0048】
スキーム1
【0049】
【化30】
【0050】
スキーム2
【0051】
【化31】
【0052】
即ち、BHPAを塩基の存在下でクロロジフェニルホスフィンオキシド(CDPPと略記する。)と反応させると目的の9,10−ビス[3,5−ビス{(オキソ)(ジフェニル)ホスホラスオキシ}フェニル]アントラセン(BDPPAと略記する。:ホスト1)が製造される。
【0053】
また、BHPAを塩基の存在下でフェニルホスホン酸ジクロライド(PPCLと略記する。)と反応させて、9,10−ビス[3,5−ビス{(クロロ)(オキソ)(フェニル)ホスホラスオキシ}フェニル]アントラセン(BCPPAと略記する。)を得た後、これを加水分解することにより目的とする9,10−ビス[3,5−ビス{(ヒドロキソ)(オキソ)(フェニル)ホスホラスオキシ} フェニル]アントラセン(BHPPAと略記する。ホスト2)が製造される。
【0054】
まず、ホスト1の製造から述べる。
【0055】
原料のBHPAは、下記のスキーム3−1〜スキーム3−2のルートで製造される。
【0056】
スキーム3−1
【0057】
【化32】
【0058】
(式中、Xは、前記と同じ意味を表す。)
スキーム3−2
【0059】
【化33】
【0060】
即ち、1−ハロゲノ−3,5−ジメトキシベンゼン化合物とマグネシウムから、グリニヤール試薬を調製し、9,10−ジハロゲノアントラセンとニッケル錯体触媒存在下で反応させることにより9,10−ビス(3,5−ジメトキシ−1−フェニル)アントラセン(以下、BDMPAと略記する。)が得られる。次に、このBDMPAと三臭化ホウ素と反応させることにより目的のBHPAが得られる[参考文献:「シュプラモレキュラー・ケミストリー(Supramol. Chem.)」,1995年,第4巻,p.229−241]。
【0061】
もう一方の原料であるCDPPは市販品をそのまま使用することができる。その使用量は、BHPA 1.0モルに対して4.0〜12.0モル当量が好ましい。反応は、塩基の存在によって円滑に進行する。その種類としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリプロピルアミン等に代表される鎖状アルキルアミン化合物、ピリジン、アニリン、N−メチルアニリン及び2,6−ルチジン等に代表される芳香族アミン化合物、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノ−5−ネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DBO)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)等に代表される環状アルキルアミン化合物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。これらの塩基の中で特に好ましいものは、トリエチルアミンや炭酸ナトリウムである。その使用量は、CDPPと当量のBHPAに対して4.0〜12.0モル当量が好ましい。
【0062】
また、本反応では溶媒を使用するのが好ましい。その種類としては、塩化メチレン、クロロホルム及び1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素化合物類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン及びジグライム等の脂肪族エーテル化合物類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)等の脂肪族アミド化合物類が一例として挙げられる。これらの中でハロゲン化炭化水素化合物類及び脂肪族エーテル化合物類が特に好ましい。これらは、単独でも混合しても使用することができる。その使用量は、BHPAに対し1〜1000質量倍、特には5〜500質量倍が反応の収率上好ましい。
【0063】
本反応の温度は、−50〜150℃の範囲が好ましく、特には−20〜100℃の範囲で行うのが好ましい。
【0064】
反応時間は、通常1〜30時間で終了させることができる。反応の追跡は、薄層クロマトグラフィー法で原料の消失で確認できる。反応はほぼ定量的に進行する。反応終了後は、水を加えて残余した過剰CDPPを分解してから濃縮により有機溶媒を留去すると白色沈殿が生成する。これを濾取し、クロロホルムに溶解後シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて精製すると、目的のBDPPA(ホスト1)が得られる。また、再結晶法によっても精製することもできる。
【0065】
次に、ホスト2の製造について述べる。
まず、第1工程のBHPAの他のもう一つの原料であるPPCLは、日産化学工業株式会社で工業薬品として高純度で製造されているため、安価に入手できて、これを用いることが経済的で好ましい。その使用量は、BHPA1モルに対して4〜200モル当量が好ましく、特には、10〜100モル当量が好ましい。
【0066】
反応は、塩基の存在によって円滑に進行する。その種類としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリプロピルアミン等に代表される鎖状アルキルアミン化合物、ピリジン、アニリン、N−メチルアニリン及び2,6−ルチジン等に代表される芳香族アミン化合物、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノ−5−ネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DBO)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)等に代表される環状アルキルアミン化合物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。これらの塩基の中で特に好ましいものは、トリエチルアミンや炭酸ナトリウムである。その使用量は、BHPAに対して4〜20モル当量が好ましい。
【0067】
また、本反応では溶媒を使用するのが好ましい。その種類としては、塩化メチレン、クロロホルム及び1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素化合物類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン及びジグライム等の脂肪族エーテル化合物類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)等の脂肪族アミド化合物類が一例として挙げられる。これらは、単独でも混合しても使用することができる。これらの中で、脂肪族エーテル化合物類が特に好ましい。その使用量は、BHPAに対し1〜500質量倍、特には5〜300質量倍が反応の収率上好ましい。
【0068】
本反応の温度は、−50〜150℃の範囲が好ましく、特には−20〜100℃の範囲で行うのが好ましい。
【0069】
反応時間は、通常1〜30時間で終了させることができる。反応の追跡は、薄層クロマトグラフィー法で原料の消失で確認できる。反応はほぼ定量的に進行する。反応終了後は、生成した塩を濾別した後、濾液を濃縮するとBCPPAの粗結晶が得られる。この粗結晶は、再結晶法及びカラムクロマトグラフィー法によって精製することができる。
【0070】
次に、BCPPAから目的のBHPPA(ホスト2)への第2工程について述べる。原料のBCPPAは、前述の精製品を使用することもできるが、第1工程反応終了液に水を加えた後、濃縮により有機溶媒を除き生成した沈殿物を濾取し、これをメタノールに溶解後、不溶分を濾別する。その濾液に1N塩酸水溶液を加えて生じた白色沈殿を濾取して、更にアセトン洗浄し、得られた白色粉末を減圧乾燥することにより、目的物のBHPPA(ホスト2)が得られる。
【0071】
この様にして得られたBDPPA(ホスト1)及びBHPPA(ホスト2)の包接能を評価した結果、BDPPA(ホスト1)は、揮発性有機分子固定化剤またBHPPA(ホスト2)は、金属捕集剤としての性能を有することが判明した。
【0072】
先ず、BDPPA(ホスト1)の性質から述べると、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒に可溶であるが、その他の溶媒には溶けにくい。ホスト1をクロロホルム(良溶媒)に溶解し、種々の貧溶媒を加えることにより得られた結晶の組成(結晶をDMSO−d6に溶解し1H-NMRの積分値より算出したもの)を明らかにした。どの場合もクロロホルムは全く結晶中に包接されなかった。また、メタノールやシクロヘキサンなども包接されにくく、ホスト1分子に対してそれぞれ0分子ならびに0.3分子の包接量であった。一方、ベンゼンやパラキシレンはホスト1分子当たり2分子も包接されていた。この結果より、ホスト1はベンゼン類を選択的に取り込む能力を有すると言える。また、貧溶媒としてベンゼン・トルエン・パラキシレンの等モル混合溶媒を用いたところ、得られた結晶中にはホスト1分子当たりベンゼン0.3分子、トルエン0.6分子、パラキシレン1.1分子が包接されており、より大きいベンゼン類ほど取り込まれやすい傾向が見られた。
【0073】
ベンゼン類が選択的に取り込まれるしくみをホスト1のベンゼン包接結晶ならびにパラキシレン包接結晶のX線構造解析により明らかにした。ホスト1の側鎖ホスホリル基P=Oと側鎖フェニル基のC−Hが、相補的に分子間で、ネットワーク状にCH−O型水素結合(C−O距離は3.2から3.3Å)する。その結果、芳香環により囲まれた、ベンゼン類に適した包接空間が形成される。一つの包接空間当たり、ベンゼンやパラキシレンがそれぞれ2分子取り込まれる。また、ベンゼン、トルエン、パラキシレンを共存させた場合は、大きな分子ほど多く取り込まれることが解った。従って、種々の芳香族化合物をゲストとして包接できる可能性がある。
【0074】
特に、ベンゼン環2枚分の容積の包接空間を形成するので、これに見合った大きさの分子(ビフェニル類)が効率よく取り込まれると予想され、PCBやダイオキシンに代表される芳香族系環境ホルモン化合物の包接の可能性が示唆される。更に、ゲスト分子の蒸気圧が低く、蒸気からの取り込みが困難な場合でも、水中からの取り込み時は、疎水性効果が強く働くため、極低濃度からの取り込みの可能性も大きい。
【0075】
次に、BHPPA(ホスト2)の性質について述べると、ホスト2はOH基を有するため、メタノール等のアルコール系溶媒に可溶である。ホスト2をメタノールに溶解し、これに過剰の金属イオン(AgOTfあるいはCuCl2)のメタノール溶液を加えることにより、銀イオンを固定化した結晶、銅イオンを固定化した結晶がそれぞれ得られる。金属イオンの固定量は、ホスト1分子当たり2つである。
【0076】
金属イオンが取り込まれる仕組みを、ホスト2の銀イオン固定化結晶ならびに銅イオン固定化結晶のX線構造解析により明らかにした。ホスト2の側鎖のOH基のプロトンが、金属イオンと交換することが根本原理であった。一価の銀イオンの場合には、ホスト2の四つのプロトンのうち、二つが銀イオンと交換し、はしご構造を作り結晶化する。一方、二価の銅イオンの場合には、四つのプロトンすべてが交換し、網目状構造を作り結晶化する。
【0077】
本発明のホスト2で補集できる金属の種類としては、周期律表第1族B元素の銅、銀及び金、第2族B金属のカドミウム、水銀、第3族B元素のスカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類及びウラン、第8族元素のルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム及び白金等が一例として挙げられる。
【0078】
ホスト2の特徴は、(1)ポリマー型の金属配位によりどのような金属でも沈殿として捕集できること、(2)金属イオン半径や価数により沈殿速度が異なるため、これを利用した多種金属イオン分離の可能性があること、(3)特に価数・イオン半径ともに大きな金属イオンとは速く沈殿する傾向にあるため、希土類や貴金属類などの捕集に適していると思われること、(4)イオン交換型の捕集であるため溶液中のカウンターアニオンは全く取り込まれないこと、等が挙げられます。
【0079】
以上、ホスホリル基を有する2種の新規なホスト化合物の簡便な製造法ならびにそのベンゼン類捕捉あるいは金属イオン固定における有用性を明らかにした。ホスト1については、ベンゼン類(環境ホルモン化合物等)の精密分離などへの有効利用が考えられる。ホスト2については、金属イオン(貴金属、希土類金属、重金属類等)の(選択的)捕集剤などへの応用が考えられる。
【0080】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0081】
なお、実施例で用いた分析法は以下の通りである。
【0082】
[1]1H-NMR、13C-NMR:Bruker社製DPX300で測定した。
【0083】
[2]質量分析(MS):装置;JEOL(日本電子)JMS−DX303、測定法;FAB法で測定した。
【0084】
[3]元素分析:CHN定量分析:2400CHN(PERKIN−ELMER Corp.製)で測定した。
【0085】
[4]赤外分光法(IR)
IR装置:SPECTRUM 2000(Parkin−Elmer製)で測定した。測定条件 KBr錠剤法、測定範囲4000〜400cm−1
[5]BDPPA,BHPPA包接体の構造解析
使用機器:Rigaku RAD−PC X線回折装置(30KV,20mA,Cu−Kα radiation,X線波長1.5418nm,2θ=50degまで測定)。
【0086】
[原料BHPAの製造]
参考例1
9,10−ビス(3,5−ジメトキシ−1−フェニル)アントラセン[BDMPA]の合成
【0087】
【化34】
【0088】
グリニヤール反応:窒素下、マグネシウム(2.11g,0.087mol)にテトラヒドロフラン(THF)10m1を加え、少量のジブロモエタンでマグネシウムを活性化する。滴下ロートより1−クロロ−3,5−ジメトキシベンゼン(10g,0.058mol)のTHF溶液(20ml)をゆっくりと加える。約7mlほど滴下したところで滴下をやめ、反応容器を一度加熱還流させる。溶液がやや緑色になることを確認した後、最後まで滴下する。約24時間加熱還流を行う。
【0089】
クロスカップリング反応:窒素下、9,10−ジメトキシアントラセン(5.83g,0.015mol)および[NiCl2(dppp)](0.19g,1mol%)をベンゼンとTHFの混合溶媒(ベンゼン220ml+THF150ml)に溶解する(40℃)。滴下ロートに先のグリニヤール試薬を移し、ゆっくりと滴下する。滴下終了後、室温で12時間以上撹拌する。反応終了後、反応液を濃縮し、これをクロロホルム(又は塩化メチレン)で抽出する。希塩酸、水、飽和重曹水、飽和食塩水で処理後、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を留去し粗体を得る。これをメタノールで洗浄後、乾燥することにより高純度の目的物BDMPAが得られる(収率50%)。
【0090】
参考例2
9,10−ビス(3,5−ジハイドロキシ−1−フェニル)アントラセン[BHPA]の合成
【0091】
【化35】
【0092】
乾燥空気下(窒素下では反応が進行しない)、9,10−ビス(3,5−ジメトキシ−1−フェニル)アントラセン[BDMPA](2.59g,0.0058mol)を塩化メチレン80mlに溶解し、氷浴で冷却する。滴下ロートから三臭化ホウ素(3.2ml,0.0345mol)の塩化メチレン溶液(約40ml)を遮光下ゆっくりと滴下する。約12時間撹拌を続ける。反応終了後、水冷下、反応溶液にゆっくり水を加える(塩化メチレンと同容積)。エバポレーターで塩化メチレンのみをほとんど留去し、これを酢酸エチルで抽出する。飽和重曹水、水、飽和食塩水で処理後、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を留去し、粗体を得る。これをシリカゲルフラッシュカラム(溶出液:酢酸エチル)にかけ、原点成分を除く。目的物を含むフラクションを濃縮し、これを少量の活性炭で処理する(液の黄色味がかなり抜ける)。最後に、目的物を最少量の酢酸エチルに溶解し、ヘキサンあるいはベンゼン雰囲気下に放置して得られた結晶を加熱乾燥することにより、純粋なBHPAが得られる(収率80%)。
【0093】
実施例1[BDPPAの合成]
【0094】
【化36】
【0095】
BHPA 0.394g(1mmol)を乾燥THF(100mL)と乾燥ジクロロメタン(150mL)の混合溶媒に溶解させた。その後、クロロジフェニルホスフィン酸(CDPP)1.21mL(6mmol)とトリエチルアミン0.84mL(6mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応終了後、反応溶液と同量の蒸留水を加えて、減圧濃縮により有機溶媒を取り除き、生じた白色沈殿を濾取した。その粗結晶をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、目的物を含むフラクションを濃縮することにより9,10−ビス[3,5−ビス{(オキソ)(ジフェニル)ホスホラスオキシ}フェニル]アントラセン(BDPPA:ホスト1)を得た(収量0.86g、収率72.1%)。BDPPAの化学構造は、下記の分析結果から確認した。
【0096】
1H-NMR(300 MHz DMSO-d6):δ=6.80-6.85 (m,4H), 7.08 (s,4H), 7.23-7.28 (m,4H), 7.50-7.60 (m,18H), 7.64-7.70 (m,8H), 7.85-7.91 (m,16H).
13C-NMR(75 MHz DMSO-d6):δ=113.2 (s), 119.7 (s), 125.1 (s), 126.1(s), 134.9 (s), 141.4 (s), 151.5 (s), 151.6 (s), 128.6 (d,Jc-p=13.4 Hz), 129.2 (d,Jc-p=9.75 Hz), 131.9 (d,Jc-p=10.4 Hz), 131.8 (d,Jc-p=110 Hz).
IR(KBr):ν 1439 cm-1 (P-C,st.)、1261 cm-1 (P=O,st.)、1228 cm-1 (P-O-aryl,st.)
元素分析:測定値;C, 71.82; H, 4.63 %. 理論値;C74H54O8P4+2.33H2Oとして: C, 71.84 ; H, 4.78.
MS(FAB): 1195 (計算値;C74H54O8P4として 1195).。
【0097】
実施例2[BHPPAの合成]
【0098】
【化37】
【0099】
乾燥THF(100mL)中にフェニルホスホン酸ジクロライド13.9mL(100mmol)とトリエチルアミン1.68mL(12mmol)を加え不活性ガス下で約30分撹拌した。白濁した反応溶液に、BHPA 0.394g(1mmol)のTHF溶液をゆっくりと滴下して、室温で約6時間反応させた。反応終了後、反応溶液と同量の蒸留水を加えて減圧濃縮により、低沸点のTHFを取り除いた。生じた沈殿物を濾取して、これをメタノール100mLに溶解させた。その後濾過して不溶物を取り除いた。濾液に1Nの塩酸水溶液を加えることで生じた白色沈殿を濾取して、アセトン(合計100mL)で洗浄し、得られた白色粉末を80℃で減圧乾燥することで目的物である9,10−ビス[3,5−ビス{(ヒドロキソ)(オキソ)(フェニル)ホスホラスオキシ}フェニル]アントラセン(BHPPA:ホスト2)を得た(収量0.81g、収率84.8%)。BHPPAの化学構造は、下記の分析結果から確認した。
【0100】
1H-NMR(300 MHz DMSO-d6):δ=6.84 (s,4H), 7.14-7.20 (m,6H), 7.33-7.36 (m,4H), 7.44-7.50 (m,8H), 7.57-7.66 (m,4H), 7.66-7.73 (m,8H).
13C-NMR(75 MHz DMSO-d6):δ=114.0 (s), 120.2 (s), 127.1(s), 129.7(s), 129.9 (s), 136.3 (s), 141.2 (s), 152.8 (s), 152.9 (s), 129.8 (d,Jc-p=14.6 Hz), 132.7 (d,Jc-p=9.9 Hz), 132.9 (d,Jc-p=100.1 Hz).
IR(KBr): ν 1440 cm-1 (P-C,st.)、1227 cm-1 (P=O,st.,P-O-aryl,st.).
元素分析:測定値;C, 60.03; H, 4.30 %. 理論値;C50H38O12P4+2.5H2Oとして: C, 60.07 ; H, 4.34.
MS(FAB): 955 (計算値;C50H38O12P4として 955).。
【0101】
実施例3〜6及び比較例1[BDPPA(ホスト1)の包接能評価]
【0102】
【化38】
【0103】
ホスト1はクロロホルムなどのハロゲン系溶媒に可溶であるが、その他の溶媒には溶けにくい。ホスト1をクロロホルム(良溶媒)に溶解し、種々の貧溶媒を加えることにより得られた結晶の組成(結晶をDMSO−d6に溶解し1H-NMRの積分値より算出したもの)を表1に示した。
【0104】
【表1】
【0105】
どの場合もクロロホルムは全く結晶中に包接されなかった。また、メタノールやシクロヘキサンなども包接されにくく、ホスト1分子に対してそれぞれ0分子ならびに0.3分子の包接量であった。一方、ベンゼンやパラキシレンはホスト1分子当たり2分子も包接されていた。この結果より、ホスト1はベンゼン類を選択的に取り込む能力を有すると言える。また、貧溶媒としてベンゼン・トルエン・パラキシレンの等モル混合溶媒を用いたところ、得られた結晶中にはホスト1分子当たりベンゼン0.3分子、トルエン0.6分子、パラキシレン1.1分子が包接されており、より大きいベンゼン類ほど取り込まれやすい傾向が見られた。
【0106】
ベンゼン類が選択的に取り込まれる仕組みをホスト1のベンゼン包接結晶ならびにパラキシレン包接結晶の構造解析を行い以下の結果を得た。
【0107】
ホスト1にベンゼン2分子包接された結晶の物性値と単結晶X線構造解析結果を以下に示す。
【0108】
[ベンゼン包接結晶:ホスト1−2(ベンゼン)]
C86H66O8P4, M=1351.36, block, colorless,
sizes 0.500 x 0.400 x 0.400 mm, triclinic,
a=8.6274(7), b=14.302(1), c=14.7393(8) Å, 1716.4(2) Å3,
α=108.330(3), β=91.035(1), γ=95.454(2) deg Mo-Kα,
space group P -1, Z=1, Dcalc=1.307 g/cm3,
T=193.2 K, μ(Mo-Kα)=0.171 cm-1,
No.of reflections measured=16075, No.of reflections used=7604, No.of of variables=550,
R1=0.0515, GOF=1.54, WR2=0.1740
(図1にモデル図を記載。)。
【0109】
ホスト1にパラキシレン2分子包接された結晶の物性値と単結晶X線構造解析結果を以下に示す。
【0110】
[パラキシレン包接結晶:ホスト1−2(パラキシレン)]
C90H74O8P4, M=1407.47, block, colorless,
sizes=0.350 x 0.340 x 0.250 mm triclinic,
a=8.7873, b=14.5935, c=14.5769(2)Å, V=1774.33(4) Å3,
α=107.204(2), β=95.530(4), γ=91.5507(9) deg Mo-Kα,
space group P-1, Z=1, Dcalc=1.317 g/cm3,
T=173.2 K, μ(Mo-Kα)=0.168 cm-1, No.of reflections measured=16091,
No.of reflections used=7713, No.of of variables=568,
R1=0.0765, GOF=1.748, WR2=0.2070
ホスト1の側鎖ホスホリル基P=Oと側鎖フェニル基のC−Hが、相補的に分子間で、ネットワーク状にCH−O型水素結合(C−O距離は3.2から3.3Å)する。その結果、芳香環により囲まれた、ベンゼン類に適した包接空間が形成される。一つの包接空間当たり、ベンゼンやパラキシレンがそれぞれ2分子取り込まれる。
【0111】
結晶の安定性について:ホスト1のベンゼン包接結晶ならびにクロロホルム包接結晶は非常に安定であり、包接されたベンゼンやパラキシレンは、乾燥温度100℃では全く抜けてこない。180℃で24時間乾燥すると、ほぼ完全に抜ける(全て1H-NMRにより確認)。ホスト2の金属錯体結晶については不安定であり、室温大気下で徐々に、金属に配位しているメタノールが抜け、単結晶性が失われる。
【0112】
実施例7[BPPPA(ホスト2)の包接能評価]
ホスト2はOH基を有するため、メタノール等のアルコール系溶媒に可溶である。ホスト2をメタノールに溶解し、これに過剰の金属イオン(AgOTfあるいはCuCl2)のメタノール溶液を加えることにより、銀イオンを固定化した結晶、銅イオンを固定化した結晶がそれぞれ得られる。金属イオンの固定量は、ホスト1分子当たり2つである。
【0113】
再結晶条件:再結晶はホスト50mgスケールで行う。再結晶溶媒は、良溶媒・貧溶媒ともにホストのモル数に対して大過剰(200倍以上)とした。金属塩(AgOTfあるいはCuCl2)を加える場合は、ホストのモル数に対して金属イオンのモル数が10倍程度となるように加える。混合後、数時間してから結晶が析出し始め、2〜3日で結晶の析出が完了する。得られる結晶は、ホスト回収率としてどの場合も常に85%以上である。
【0114】
金属イオンが取り込まれる仕組みを、ホスト2の銀イオン固定化結晶ならびに銅イオン固定化結晶の構造解析により明らかにした。
【0115】
[ホスト22−−2Ag+−4(メタノール)]
C54H52Ag2O16P4, M=1296.63, block, colorless,
sizes=0.100 x 0.100x x0.100 mm, triclinic,
a=8.5366(5), b=12.2380(8), c=12.3663(8) Å, V=1250.9(1) Å3,
α=90.664(2), β=100.635(3), γ=99.557(2) deg, Mo-Kα,
space group P-1, Z=1, Dcalc=1.721 g/cm3,
T=93.2 K, μ(Mo-Kα)=0.984 cm-1, No.of reflections measured=11593,
No.of reflections used=5628, No.of of variables=443
R1=0.0631, GOF=1.348, WR2=0.1489
(図2と図3にモデル図を記載。)。
【0116】
[ホスト24−−2Cu2+−2(メタノール)−4(H2O)]
C52H50Cu2O18P4, M=1213.94, platelet, colorless,
sizes=0.600 x 0.400 x 0.200 mm , monoclinic,
a=15.4146(3), b=10.6068(5), c=16.8022(3) Å,V= 2705.9(1) Å3,
α=90, β=99.948(3), γ=90 deg, Mo-Kα,
space group P 1 21/c 1, Z=2, Dcalc=1.490 g/cm3,
T=93.2 K, μ(Mo-Kα)=0.977 cm-1, No.of reflections measured=21248,
No.of reflections used=6125,
No.of of variables=365,R1=0.1096, GOF=1.859, WR2=0.2744
(図4と図5にモデル図を記載。)。
【0117】
ホスト2の側鎖のOH基のプロトンが、金属イオンと交換することが基本原理である。一価の銀イオンの場合には、ホスト2の四つのプロトンのうち、二つが銀イオンと交換し、はしご構造を作り結晶化する。一方、二価の銅イオンの場合には、四つのプロトンすべてが交換し、網目状構造を作り結晶化する。
【0118】
以上、ホスホリル基を有する2種の新規なホスト化合物の簡便な製造法ならびにそのベンゼン類捕捉あるいは金属イオン固定における有用性を明らかにした。
【0119】
ホスト1については、ベンゼン類の精密分離などへの有効利用が考えられる。ホスト2については、金属イオンの選択的固定化剤などへの応用が考えられる。
【0120】
【発明の効果】
揮発性有機分子固定化剤又は、金属捕集剤の用途が期待されるホスホリルアントラセン系化合物の水素結合ネットワーク型結晶体、及びその製造法を提供した。
【0121】
具体的には、ホスホリル基を有する2種の新規なホスト化合物の簡便な製造法ならびにそのベンゼン類捕捉あるいは金属イオン固定における有用性を明らかにした。ホスト1については、ベンゼン類等の揮発性有機溶媒の精密分離などへの利用が考えられる。ホスト2については、金属イオンの選択的固定化剤などへの応用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 [ベンゼン包接結晶:ホスト1−2(ベンゼン)]における、ホスト1にベンゼン2分子包接された結晶のモデル図を表す。
【図2】 [ホスト22−−2Ag+−4(メタノール)]における、ホスト2の側鎖片側のOH基のプロトンが一価の銀イオンに対して、ホスト2の二つのプロトンのうち、一つが銀イオンと交換したモデル図を表す。
【図3】 [ホスト22−−2Ag+−4(メタノール)]における、ホスト2の側鎖のOH基のプロトンが一価の銀イオンに対して、ホスト2の四つのプロトンのうち、二つが銀イオンと交換し、形成した「はしご構造」のモデル図を表す。
【図4】 [ホスト24−−2Cu2+−2(メタノール)−4(H2O)]における、ホスト2の側鎖片側のOH基のプロトンが二価の銅イオンに対して、二つのプロトンすべてが交換したモデル図を表す。
【図5】 [ホスト24−−2Cu2+−2(メタノール)−4(H2O)]における、ホスト2の側鎖のOH基のプロトンが二価の銅イオンに対して、四つのプロトンすべてが交換し、形成した「網目状構造」のモデル図を表す。
Claims (11)
- 式[1]
)で表されるオキソジフェニルホスホラスオキシ基、又は、式[3]
で表されるオキソヒドロオキソフェニルホスホラスオキシ基を表し、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数を表す。)
で表されるホスホリルアントラセン化合物からなる水素結合ネットワーク型結晶体。 - 式[7]
で表されるビス(ハイドロキシフェニル)アントラセン化合物と、式[8]
で表されるハロゲノジフェニルホスフィンオキシド化合物を塩基の存在下に反応させることを特徴とする式[9]
で表されるホスホリルアントラセン化合物の製造法。 - 式[7]
で表されるビス(ハイドロキシフェニル)アントラセン化合物と式[10]
で表されるフェニルホスホン酸ジハライド化合物と、塩基の存在下に反応させて、式[11]
で表されるハロゲノホスホリルアントラセン化合物を得た後、これを加水分解することを特徴とする式[12]
で表されるホスホリルアントラセン化合物の製造法。 - 揮発性有機分子が芳香族化合物である請求項5に記載の固定化剤。
- 揮発性有機分子が芳香族系環境ホルモン化合物である請求項5に記載の固定化剤。
- 金属が周期律表第1族B金属、第2族B金属、第3族B金属及び第8族金属からなる群から選ばれる1種である請求項8記載の捕集剤。
- 金属が銅、銀、金、カドミウム、水銀、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、イッテルビウム、ウラン、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム及び白金からなる群から選ばれる1種である請求項8記載の捕集剤。
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