JP4256798B2 - 鋳片の連続製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳片の連続製造方法に関し、特に、鋳片の表面割れおよび内部割れを抑制する連続製造方法に関する。
鋳片の連続製造には、グラファイトモールドを用いた水平連続鋳造機が用いられてきた。しかしながら、鋳片の一種である白鋳鉄は、固液共存域が広く、従来の技術を用いて連続製造することは困難であり、殆ど実用化されていない。白鋳鉄の鋳造に関する技術としては、溶融温度と凝固温度との差が大きい鋼材の連続鋳造を可能にするため、溶融金属と接触するダイスに、僅かな磨耗による潤滑作用のある耐火物を使用する技術が提案されている(特許文献1参照)。
連続鋳造方法は、鋼においては既に実用化されている。具体的には、水冷銅モールドと2次冷却とを用いた連続鋳造機を用いて、鋼の連続鋳造が行われている。特に、湾曲型連続鋳造機を用いた場合には、生産性が高まる。
しかしながら、鋼において用いられている連続鋳造方法を、白鋳鉄組織を有する鋳片の連続製造に適用すると、表面割れが発生しやすい問題があった。湾曲型連続鋳造機を用いて、白鋳鉄組織を有する鋳片を連続製造する場合には、内部割れが発生しやすい問題もあった。
米国特許第4074747号明細書
そこで、本発明の目的は、白鋳鉄組織を有する鋳片を連続製造する際の表面割れや内部割れを防止する手段を提供し、白鋳鉄組織を有する鋳片の生産性を向上させることである。
本発明は、
(1) 白鋳鉄となる成分の溶鉄を、水冷銅鋳型を用いて連続鋳造し、鋳型から排出された鋳片を水ミストまたは冷却水によって冷却して白鋳鉄組織を有する鋳片を得る、鋳片の連続製造方法であって、前記溶鉄の過熱度を40℃以下で鋳造し、連続鋳造される鋳片の冷却終了時の温度を、オーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とすることを特徴とする、連続製造方法、
(2) 前記白鋳鉄組織における炭素原子の濃度[C](質量%)、およびケイ素原子の濃度[Si](質量%)が、下記式を満たすことを特徴とする、(1)に記載の連続製造方法、
Figure 0004256798
(3) 湾曲型連続鋳造機を用いて鋳造され、矯正点での鋳片温度をオーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とすることを特徴とする、(1)または(2)に記載の連続製造方法、
(4) 30℃/min以下の冷却速度で鋳片を冷却することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の連続製造方法、
(5) 前記溶鉄に球状化剤元素を添加することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の連続製造方法、
である。
本発明の製造方法を用いれば、白鋳鉄組織を有する鋳片を連続製造する際の表面割れや内部割れが防止され、白鋳鉄組織を有する鋳片の効率的な連続製造が可能となる。また、製造される鋳片の歩留まりが向上し、生産コストの低減が可能である。さらに、割れによる製品品質の悪化が防止される。
本発明は、白鋳鉄となる成分の溶鉄を連続鋳造して白鋳鉄組織を有する鋳片を得る、鋳片の連続製造方法であって、連続鋳造される鋳片の冷却終了時の温度を、オーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とすることを特徴とする、連続製造方法である。
本発明者らの検討の結果、白鋳鉄となる成分の溶鉄を連続鋳造して白鋳鉄組織を有する鋳片を製造する際に発生する表面割れは、鉄の変態点を通過する際の応力によって発生することがわかった。この知見に基づいて、本発明は完成されたものである。具体的には、連続鋳造される鋳片の冷却終了時の温度を、オーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とする。これによって、冷却過程における鉄の変態に起因する割れが防止される。以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法に当たっては、白鋳鉄となる成分の溶鉄が原料として用いられる。鋳造されて、白鋳鉄となる成分の溶鉄であれば、組成は特に限定されない。好ましくは、白鋳鉄となる成分の溶鉄は、炭素原子の濃度[C](質量%)、およびケイ素原子の濃度[Si](質量%)が、下記式を満たす。
Figure 0004256798
溶鉄を製造するための鉄源としては、鉄鉱石、焼結鉱、石灰石、コークス、ペレットなどの各種材料が用いられ得る。場合によっては、鉄スクラップなどを鉄源として用いて、資源の有効活用を図ってもよい。鉄鉱石、焼結鉱、石灰石、コークス、ペレットなどの原料の使用量および製銑工程については、炭素量およびケイ素量が上述の範囲であれば、特に限定されない。
前記溶鉄は、連続鋳造機を用いて鋳造され、鋳片が連続的に製造される。連続鋳造機の方式には、(a)鋳型とサポートロールとを垂直に配置した垂直型、(b)垂直に移動しながら凝固した鋳片を、凝固完了位置で水平に曲げる垂直曲げ型、(c)湾曲鋳型とサポートロールとを同一半径の円弧上に配置し、鋳片を凝固端で水平に曲げ戻す湾曲型、(d)鋳型と上部サポートロール群とを垂直に配置し、未凝固成分を含む鋳片を逐次に曲げ、凝固端で水平に戻す垂直逐次曲げ型、(e)鋳型とサポートロールとを水平に配置した水平型などがある。
鋳片の製造は、建屋を低くし、建設費を下げる観点からは、鋳片を湾曲させる形式が好ましい。上記(b)〜(d)が、本願においては、「湾曲型連続鋳造機」の概念に含まれる。品質および量産性の双方を向上させるには、垂直型と湾曲型の双方の利点を生かした(d)垂直逐次曲げ型が好ましい。
連続鋳造機は、溶鉄を連続的に鋳造可能な装置であれば、特に限定されない。各種の公知の連続鋳造機が使用可能であり、装置の設置環境に応じて適宜改良を施してもよいし、新たに得られた知見に基づいた改良が施されてもよい。例えば、取鍋、タンディッシュ、鋳型、鋳型振動装置、サポートロール、鋳片を曲げるロール、鋳片を矯正するロール、鋳片を挟んで引き抜くロール、スプレーノズル、鋳片切断用ガス切断機、鋳片引き抜き用ダミーバーなどを備えた連続鋳造機が用いられる。連続鋳造機の構成要素の態様については、特に限定されない。例えば、鋳型としては、水冷銅鋳型が用いられる。水冷銅鋳型を用いることによって、鋳片の冷却速度を高めることが可能である。また、グラファイト製の鋳型を用いる場合に比べて、鋳型に起因する黒鉛の生成を抑制可能である。
鋳造条件は、白鋳鉄が得られるように制御されるが、本発明においては特に冷却温度が規定される。具体的には、鋳型から排出された鋳片の冷却終了時の温度を、オーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とする。鋳型から排出された高温の鋳片は、スプレーノズルから放出される水ミストや冷却水によって、冷却される。この際に、オーステナイトからフェライトへの変態点をまたいで急激に冷却されると、変態に伴い生じる応力によって表面割れが発生してしまう。この問題を防止するために、本発明においては、冷却終了時の温度を、オーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とする。オーステナイトからフェライトへの変態温度は、炭素やケイ素等の成分の含有量によって変化する。例えば、炭素のみを含有する場合には、炭素濃度が1.7質量%以上では炭素濃度によらず、ほぼ一定の値となる。状態図によれば、その温度は727℃である。さらにケイ素を含有する場合には、変態温度は上昇し、ケイ素が1%増加すると、約25℃上昇する。また、ニッケルやマンガンは変態温度を下げ、クロムやアルミニウムは変態温度を上げる。具体的には、冷却終了時の温度を730℃以上とするとよい。冷却終了時の温度の上限は特に限定されないが、冷却終了時の温度が高すぎると、その後の自然放冷に要する時間が長くなり、生産性が低下する虞がある。実際的には、冷却終了時の温度は、900℃以下とされる。
なお、本発明において「冷却終了時の温度」とは、強制冷却を終了する時点における温度を意味する。つまり、冷却終了時の温度とは、スプレーノズルから放出される水ミストや冷却水などの、強制的な冷却手段による冷却が終了する時点における温度を意味する。強制冷却が終了した後も、雰囲気温度と比べて鋳片は高温であるため、自然放冷によって鋳片は冷却されるが、このような強制的な冷却手段によらない冷却は、「冷却終了時」を決定する際には考慮しない。強制的な冷却が終了した後の自然放冷によって、鋳片の温度は徐々に低下していき、オーステナイトからフェライトへの変態点を通過することになるが、強制的な冷却手段によらない冷却であれば、冷却速度が遅いため、変態に伴う外部割れは発生しづらい。
連続鋳造機において強制的な冷却を終了する地点は、特に限定されないが、湾曲型連続鋳造機を用いる場合には、矯正点での鋳片温度を、オーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とすることが好ましい。矯正点での鋳片温度をオーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とすることによって、矯正の際の内部割れが効果的に防止される。
鋳片の冷却速度は、白鋳鉄が得られる冷却速度となるように制御されることが好ましい。鋳片の冷却速度が高すぎると、割れが発生する可能性が高まるので、好ましくは、30℃/min以下の冷却速度で鋳片を冷却する。冷却速度の下限値については特に限定されないが、一般的には冷却速度が大きい方が白鋳鉄が得られやすく、冷却速度が緩やか過ぎる場合には、生産性が低下する虞がある。これらを考慮すると、鋳片の冷却速度は、5℃/min以上の冷却速度とすることが好ましい。
また、連続鋳造機に供給された溶鉄の過熱度が40℃以下であることが好ましい。溶鉄の過熱度が高い場合には、鋳片が急冷却されて割れが発生する可能性が高まる。
連続鋳造の際には、必要に応じて、他の成分を溶鉄に添加してもよい。例えば、鋳片を圧延して得られる圧延鋳鉄の加工性を向上させるために、黒鉛生成核が添加されてもよい。黒鉛生成核は、取鍋やタンディッシュに球状化剤元素を添加することによって配合される。球状化剤元素は、溶鉄内部において、球状化剤元素の酸化物、硫化物、窒化物またはこれらの複合化合物となり、これらが黒鉛生成核として作用する。黒鉛生成核の作用については、後述する。必要であれば、クロムやニッケルなどの他成分が、溶鉄に対して添加されてもよい。ただし、ニッケルなどの高価な材料は、製造コストを上昇させてしまうため、添加量は少なくすることが好ましい。
製造される鋳片は、白鋳鉄組織を有する。鋳鉄は、炭素鋼よりも多くの炭素原子を含有し、融点が低く、鋳造性がよい材料である。白鋳鉄組織を有する鋳片は、ダクタイル鋳鉄などの黒鉛が内部に分散している鋳片と異なり、圧延可能である。このため、用途に応じて種々の形状に成形しやすい。特に、黒鉛生成核を分散させた場合には、圧延後に短時間の熱処理によって黒鉛を生産させて、圧延鋳鉄の加工性を容易に向上させることが可能である。また、炭素原子を多く含有する材料であると、圧延などの加熱処理の際には、Feよりも炭素が優先的に酸化され、Feの酸化による酸化スケールの生成が抑制される。その結果、酸化スケールに起因する欠陥発生が抑制される。例えば、白鋳鉄組織を有する鋳片においては、CuやSnの濃化に起因する表面欠陥が抑制される。このため、CuやSnを含有する鉄スクラップなどを、鉄源として用いることも可能である。
製造される鋳片の組成は、鋳片が白鋳鉄組織を有する限り、特に限定されない。鋳鉄には、白鋳鉄、ねずみ鋳鉄、まだら鋳鉄などの種類がある。白鋳鉄は、黒鉛を含まない鋳鉄である。白鋳鉄は、亜共晶成分からなることが好ましい。ねずみ鋳鉄は、Cが遊離して、黒鉛の状態で存在する鋳鉄である。まだら鋳鉄とは、ねずみ鋳鉄や白鋳鉄が混合した鋳鉄である。本発明で製造される鋳鉄は、白鋳鉄組織を有することを特徴とする。「白鋳鉄組織を有する」とは、鋳鉄の少なくとも一部が白鋳鉄であることを意味する。好ましくは、鋳片は、鋳片の全体または実質的に全体が白鋳鉄である。ここで、「実質的に全体」とは、不可避的に混入する不純物に基づく非白鋳鉄組織が、鋳片の一部に存在している状態を含む概念である。
白鋳鉄となるためには、炭素原子およびケイ素原子の含有量が重要である。炭素原子は、鋳片の質量に対して、好ましくは1.7質量%以上含まれる。炭素原子の含有量の上限は、通常は43質量%以下である。ケイ素原子の好ましい含有量は、炭素原子の含有量に依存する。具体的には、白鋳鉄組織における炭素原子の濃度[C](質量%)、およびケイ素原子の濃度[Si](質量%)が、下記式を満たすことが好ましい。鋳片における炭素濃度およびケイ素濃度は、例えば、吸光光度法を用いて測定される。
Figure 0004256798
より好ましくは、鋳片に存在する白鋳鉄組織における炭素原子の濃度[C](質量%)、およびケイ素原子の濃度[Si](質量%)が、下記式を満たす。
Figure 0004256798
炭素原子、ケイ素原子以外の含有成分については、特に限定されない。例えば、リンの濃度、鉄の濃度、硫黄の濃度などについては、通常は、鋳鉄に一般的な範囲とされる。ただし、リンや硫黄などの濃度が一般的な濃度範囲でない鋳片を、本発明の技術的範囲から除外するわけではない。
鋳片は、脱炭処理などの精錬処理を施さなくても製造可能であるため、低コストで製造可能である。ただし、必要であれば、脱硫処理などの精錬処理を施してもよい。
鋳片は、その種類によって加工性や制振性が異なるが、様々な製品に適用できるよう、圧延可能であることが好ましい。白鋳鉄は一般に圧延可能であり、白鋳鉄組織を有する鋳片も圧延可能であるが、白鋳鉄を圧延して得られた圧延鋳鉄は、一般に加工性に乏しい。このため、圧延鋳鉄の加工性を向上させる技術として、焼なましによる黒鉛化処理が提案されている(例えば、日本鉄鋼協会、「第3版 鉄鋼便覧、第V巻 鋳造・鍛造・粉末冶金」、頁115〜116、1982年参照)。微細な黒鉛を鋳鉄内部に生成させることによって、鋳鉄の加工性が向上する。つまり、鋳鉄を変形させやすくなる。焼なまし条件は、多くの他の鋳造要因によって、その時間および温度が決定される。通常は、焼なましは二段階の焼なまし工程を含み、その総処理時間は20〜100時間程度である。
しかしながら、これまでに提案されている圧延鋳鉄の黒鉛化処理は、処理時間が長く、製品の生産性を低下させる要因となる可能性がある。また、長時間の加熱によって表面の酸化および脱炭を抑止するために、非酸化雰囲気下で加熱する場合、処理コストが上昇する可能性がある。さらに、長時間の焼なましによって得られた鋳鉄内部に生成した黒鉛は、球状化されづらく、所望した加工性が得られない虞がある。
この問題は、上述のように黒鉛生成核を鋳片に分散させることによって解決可能である。即ち、鋳片は、好ましくは、内部に、球状化剤元素の酸化物、硫化物、窒化物またはこれらの複合化合物が分散している。球状化剤元素とは、鋳鉄に含まれる酸素、硫黄、窒素と化合し、熱が加えられた際に、核として、黒鉛粒子の生成を促進する化合物を形成する元素を意味する。つまり、溶鉄中に球状化剤元素が配合されると、球状化剤元素は、鉄中に含まれる酸素、硫黄または窒素と化合して、酸化物、硫化物、窒化物またはそれらの複合化合物からなる粒子を形成する。この粒子は、黒鉛粒子生成の核として作用し、鋳片または圧延鋳鉄に熱が加えられた場合に、黒鉛粒子の生成が促進される。このような球状化剤元素の酸化物、硫化物、窒化物またはこれらの複合化合物を分散させておくことによって、長時間の熱処理を行わなくても、比較的短時間の熱処理によって、または、圧延時の熱によって、圧延鋳鉄内部に黒鉛粒子が生成する。この黒鉛粒子によって、圧延鋳鉄の加工性が向上する。
黒鉛生成核は、鋳片内部に存在し、黒鉛粒子の生成を促進する作用を有する材料であれば、特に限定されない。鋳片に分散している黒鉛生成核は、球状化剤元素の酸化物、硫化物、窒化物またはこれらの複合化合物である。2種以上の黒鉛生成核が分散していてもよい。球状化剤元素としては、MgまたはCaの少なくとも一方が含有されることが好ましく、球状化促進効果が大きいMgが含有されることが、より好ましい。希土類元素(REM)が球状化剤元素として含まれていてもよい。球状化剤元素は、単一元素であってもよいし、複数の元素からなる混合物であってもよい。球状化剤元素の具体例としては、Fe−Si−Mg、Ca−Si、Fe−REM、Fe−Mg、Fe−Si−Ca−Mg、Fe−Si−Mg−REM、ミッシュメタル、Ni−Mgなどが挙げられる。
黒鉛生成核の分散量は、特に限定されないが、分散量が少なすぎると、熱処理時の黒鉛粒子の生成が遅くなり、生産性が低下する虞がある。また、生成する球状黒鉛の密度がやや小さくなり、かつ、黒鉛粒子が粗大になるため、加工性が低下する虞がある。したがって、好ましくは、鋳片における黒鉛生成核の個数密度が50個/mm以上である。
黒鉛生成核の大きさは、黒鉛粒子形成の核として作用し得るのであれば、特に限定されないが、好ましくは、黒鉛生成核の平均粒径が0.05μm〜5μmである。黒鉛生成核が小さすぎると、黒鉛粒子生成の核として作用しづらくなる虞がある。また、黒鉛生成核が大きすぎると、生成する黒鉛粒子が粗大になり、加工性などが低下する虞がある。ここで、粒子の直径とは、粒子の円相当径を意味している。粒子の直径は、例えば、断面を観察して所定領域内の全粒子の円相当径を測定し、その平均を算出することによって求められる。他の測定方法が採用されてもよい。
製造された鋳片は、必要に応じて圧延される。必要がなければ、圧延処理が施されなくてもよい。例えば、双ベルト、短ベルト、双ドラム、短ドラム鋳造機で鋳造して得られた、厚みが1〜30mm程度の鋳片が、圧延されずに製品として使用されてもよい。
圧延処理は、好ましくは熱間圧延が用いられる。黒鉛生成核が分散している鋳片を熱間圧延処理する場合には、温度条件の制御が重要である。熱間圧延の処理温度が高温であると、圧延の際に黒鉛の生成が進行し、得られる圧延鋳鉄の内部には、黒鉛粒子が分散する。圧延の際に黒鉛を生成させた場合には、伸延した黒鉛粒子が形成される。伸延した黒鉛粒子が分散している圧延鋳鉄をさらに熱処理することによって、球状の黒鉛粒子を生成させてもよい。この場合には、伸延した黒鉛粒子と球状黒鉛粒子とが混在した、圧延鋳鉄が得られる。圧延鋳鉄を熱処理して、黒鉛粒子を生成させることによって、圧延鋳鉄の加工性が向上する。一方、熱間圧延の処理温度が低温であると、黒鉛が生成していない圧延鋳鉄が得られる。黒鉛が生成していない圧延鋳鉄を得た場合には、この圧延鋳鉄に熱処理を施すことによって、球状の黒鉛粒子を生成させて、加工性を向上させる。
具体的には、圧延温度が900℃を超えると、黒鉛の生成が進行する傾向がある。従って、圧延工程と同時に黒鉛の生成を進行させる場合には、圧延温度を900℃を超える温度とするとよい。逆に、圧延工程と同時に黒鉛の生成を進行させない場合には、圧延温度を900℃以下とするとよい。圧延前の加熱温度についても、同様の観点から、温度を制御するとよい。例えば、黒鉛の生成を進行させたくない場合には、圧延前の加熱温度を900℃以下とするとよい。圧延前の加熱温度および圧延温度の上限については、特に限定されないが、通常は、鉄の融点である1150℃以下とされる。
<実施例1〜8、比較例1〜2>
高炉から出銑した溶銑を、転炉型の精錬容器に移した後、鋼スクラップを添加し、表1に示す成分となるように調整し、鍋に移し、必要に応じて球状化剤を添加した。この溶鉄を、タンディッシュを介して、水冷銅鋳型を備えた、円弧半径10.5mの湾曲型の連続鋳造機に注入し、幅800mm、厚100mmのスラブを、鋳造速度1.2m/分で連続鋳造した。得られた白鋳鉄組織を有する鋳片を気水スプレーで冷却した。冷却終了後は、自然放冷した。成分、溶鉄の過熱度、冷却速度、矯正点での温度を、表1に示すように変化させて、冷却後の鋳片における割れの有無を確認した。なお、実施例1〜8における冷却終了時の温度は、各成分におけるオーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度である。また、比較例1〜2における冷却終了時の温度は、各成分におけるオーステナイトからフェライトへの変態点未満の温度である。
表1に示すように、連続鋳造される鋳片の冷却終了時の温度を、オーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とすることによって、表面割れや内部割れが防止される。
Figure 0004256798

Claims (5)

  1. 白鋳鉄となる成分の溶鉄を、水冷銅鋳型を用いて連続鋳造し、鋳型から排出された鋳片を水ミストまたは冷却水によって冷却して白鋳鉄組織を有する鋳片を得る、鋳片の連続製造方法であって、
    前記溶鉄の過熱度を40℃以下で鋳造し、連続鋳造される鋳片の冷却終了時の温度を、オーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とすることを特徴とする、連続製造方法。
  2. 前記白鋳鉄組織における炭素原子の濃度[C](質量%)、およびケイ素原子の濃度[Si](質量%)が、下記式を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の連続製造方法。
    Figure 0004256798
  3. 湾曲型連続鋳造機を用いて鋳造され、矯正点での鋳片温度をオーステナイトからフェライトへの変態点以上の温度とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の連続製造方法。
  4. 30℃/min以下の冷却速度で鋳片を冷却することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続製造方法。
  5. 前記溶鉄に球状化剤元素を添加することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の連続製造方法。
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