JP4256597B2 - 立体画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体画像表示装置に関し、詳しくは、観察者の移動に滑らかに対応して適切な立体画像を表示する立体画像表示装置に関する。
【0002 】
【従来の技術】
近年、例えば観察者の移動等に応じて観察対象の立体画像を表示する立体画像表示装置は、バーチャルリアリティの分野で盛んに開発されている。ところで、現実空間では、観察者が観察対象に対して回り込むように移動した場合に、その観察対象の側面および裏面が順次観察されることになる。
【0003 】
従来の立体画像表示装置は、観察者の奥行き知覚の観点から分類すると、両眼視差利用型のものと、運動視差利用型のものと、光波面再生型のものと、に大きく分類される。
【0004】
1番目の両眼視差利用型は、パララックスバリアやのように、左目用画像を観察者の左目に入れるとともに、右目用画像を観察者の右目に入れることにより、各画像を観察者に見せて立体感が得られるようにしたものである。
【0005】
2番目の運動視差利用型は、表示部に通常の平面ディスプレイを利用し、観察者の位置に応じて、例えば平面ディスプレイを設置した雲台を回転させる等して平面ディスプレイにおける表示面の方向を変更するとともに、同時に平面ディスプレイに表示する平面画像を順次切り替えることにより、仮想的な立体感が得られるようにしたものである。この運動視差利用型のものとしては、平面画像の画像データを供給する画像データ供給手段と、この画像データ供給手段によって供給された画像データにしたがって立体画像を表示する平面ディスプレイと、この平面ディスプレイにおける表示面の方向を変更する表示面方向変更手段と、前記平面ディスプレイによって表示される表示画像を観察する観察者の移動を監視するとともに、観察者の移動に対応させて前記表示面方向変更手段によって平面ディスプレイにおける表示面の方向を逐次変更させるとともに、前記画像データ供給手段によって平面画像の画像データを逐次供給させる制御手段と、を備えて構成したものが既に提案されている。
【0006】
3番目の光面波再生型は、例えば、インテグラルフォトグラフィ方式(以下、単に「インテグラル方式という」)におけるレンズ群や、ホログラムにおける干渉縞等を利用し、物体から出る光を忠実に再現するようにしたものである。以下、各方式について簡単に説明する。
【0007】
インテグラル方式は、図6に示されるように、平面上に配置された複数の凸レンズ(以下、要素レンズ121〜12nという)からなるレンズ群120の後方に写真フィルム130をおき、レンズ群120の前方においた被写体110を撮影する。写真フィルム130には各要素レンズ121〜12nにより被写体110の像131〜13n(以下、要素画像という)が結像し、各要素レンズ121〜12nを通してこれに対応する要素画像131〜13nが撮影される。そして、図7に示されるように、撮影、現像した写真140をレンズ群120に対して撮影したときの写真フィルムと同じ位置に配置し、この状態でレンズ群120の前方の視点160から写真上の像141〜14nを見ると立体再生像150が見えるという原理を利用したものである。
【0008】
他方、ホログラフィ方式は、図8に示されるように、被写体にコヒーレント光を照射してそのホログラム(干渉縞)を記録し、再生時にはホログラムに光を照射することで回折格子として働き、物体の像(再生像)が再生されるという原理を利用したものであり、具体的はホログラム面に例えば液晶パネル等の動画を表示することができる表示デバイスを採用する。この液晶パネル等の表示デバイスに入力する映像信号としては、計算機による合成ホログラムや光学的に作成した干渉縞をテレビカメラで直接撮影したものが使用される。このように例えば液晶パネルを採用した場合にあっては、ホログラムの書き換えは映像信号を換えることで容易に行なうことができ、再生する際には通常のホログラフィと同じように、液晶パネルに照明光を照射し、液晶パネル越しに被写体の位置に結像される直接像が再生像として観察者によって観察されるようになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の立体画像表示装置において前述した1番目の両眼視差利用型のものにあっては、観察者が左右方向において移動した場合には、立体画像を認識することができるものの、上下方向において移動した場合には、正常な立体画像を認識することができず、観察者の移動に滑らかに対応して適切な立体画像を表示することがきわめて困難である。
【0010】
また、従来の立体画像表示装置において前述した2番目の運動視差利用型のものにあっては、観察者の位置と、平面ディスプレイにおける表示面の方向との角度誤差が“観察者の認知限界”以下であることが必要であり、観察者の移動に対応させて平面ディスプレイにおける表示面の方向を追従させるには厳密な変更操作が要求される。
【0011】
つまり、平面ディスプレイにおける表示面の方向の変更と、平面画像の画像データの生成とが、観察者の移動に対応させて逐次行なわれるようになっており、観察者の移動を監視するための処理や、観察者の移動に対応させて平面ディスプレイにおける表示面の方向を逐次変更する処理や、観察者の移動に対応させて平面ディスプレイにおいて表示される平面画像の画像データを次々に切り替えて供給する処理等の各処理が順次行なわれるようになっているので、膨大な時間を必要とする。
【0012】
したがって、前述したような運動視差利用型のものにあっては、平面ディスプレイに次々に切り替えられて表示されるべき平面画像が観察者の移動に追いつかず遅延状態で表示されてしまうことが度々あり、観察者の移動と平面ディスプレイに表示される平面画像とが整合せず、観察者に対して違和感を生じさせてしまう。しかも、運動視差利用型のものにあっては、原理上、観察者が静止しているときは、立体感が全く得られないといった問題がある。このように、従来の立体画像表示装置においては、観察者の移動に滑らかに対応して適切な立体画像を表示することがきわめて困難である。
【0013】
また、従来の光面波再生型立体ディスプレイにあっては、前述したようにインテグラル方式のものや、ホログラフィ方式等のもの等が提案されており、ある一定の範囲内においては観察者が移動した場合であっても立体画像を認識させることができるようになっている。
【0014】
これらのインテグラル方式のものや、ホログラフィ方式等のもの等といった従来の何れの方式によるものにあっても、左目用画像が観察者の左目に入るとともに右目用画像が観察者の右目に入ることにより正常に立体視することができる視域と称される正立体視領域と、例えば左目用画像が観察者の右目に入ってしまうとともに右目用画像が観察者の左目に入ってしまい正常に立体視することができない逆立体視領域と、立体画像を全く目視認識することができない観察不能領域とがあり、正立体視領域においては観察者が正常に立体画像を認識することができるものの、観察者が正立体視領域から逆立体視領域や観察不能領域に移動した場合には、正常に立体画像を認識することができない。つまり、インテグラル方式では主にレンズ製造上の制約から視域(正立体視領域)が制限され、またホログラフィ方式では液晶の画素ピッチを十分に細かくできないので視域(正立体視領域)が制限されてしまう。
【0015】
以下、立体画像表示装置において表示される立体画像を正常に立体視することができる視域(正立体視領域)について図9を参照しながら説明する。ここでは、説明の便宜上、特殊な眼鏡を必要としない2眼式の方式を示している。
【0016】
この方式によれば、ディスプレイ上に規則正しく左右眼に対応する画像を表示し、各左右眼の組毎にレンチキュラーレンズもしくはパララックスバリアと称されるスリットが配置されている。このようにすることにより、図9において中央の主ローブと称される視域(正立体視領域)では、ある一定の距離にいる観察者に対しては、左目用画像が観察者の左目に入り、右目用画像が観察者の右目に入るようになり、特殊な眼鏡をかけずに立体画像を正常に立体視することが可能である。また、主ローブの両側の副ローブと称される視域(他の正立体視領域)では、実際に対応するレンズやスリットに隣接する他のレンズやスリットを通過した像も観察することができるようになっている。この主ローブおよび副ローブは、各領域が視域になるが、離散的に並んでいるので、主ローブと副ローブとの間の位置からは立体画像を正常に立体視することができない。なお、主ローブの視域幅(例えば130mm)、即ち正立体視領域の幅は、視域角によって確定される。
【0017】
したがって、前述したような立体ディスプレイにより表示される立体画像を観察する観察者が現時点の観察位置から移動して視域からでてしまう場合には、視域(正立体視領域)を観察者の移動に追従させ、立体ディスプレイにより表示された立体画像を常に正常に立体視することができるようにすることが望ましい。
【0018】
本発明の第1の目的は、観察者の移動に滑らかに対応して適切な立体画像を表示することができる立体画像表示装置を提供することにある。
【0019】
また本発明の第2の目的は、立体画像として表示する被写体を観察者の移動に滑らかに対応して被写体撮影用カメラで撮影して画像データを供給することができる立体画像表示装置を提供することにある。
【0020】
さらに本発明の第3の目的は、被写体に対する被写体撮影用カメラの撮影方向の変更操作を、光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更結果に対応させて適切に行なうことができる立体画像表示装置を提供することにある。
【0021】
さらにまた本発明の第4の目的は、光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更操作を、被写体撮影用カメラの撮影方向の変更結果に対応させて適切に行なうことができる立体画像表示装置を提供することにある。
【0022】
そして本発明の第5の目的は、観察者監視用カメラによる監視データから視線演算部によって視線方向データを算出することにより、正確な観察者移動情報を生成することができる立体画像表示装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するために、本発明にかかる請求項1の立体画像表示装置は、立体画像の画像データを供給する画像データ供給手段と、この画像データ供給手段から供給される画像データにしたがって立体画像を表示する光波面再生型立体ディスプレイと、この光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更する表示面方向変更手段と、前記光波面再生型立体ディスプレイにより表示される立体画像を観察する観察者の移動を監視する観察者監視用カメラと、この観察者監視用カメラにより監視された観察者の移動に応じた観察者移動情報を生成する観察者移動情報生成手段と、前記観察者移動情報生成手段により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて前記観察者監視用カメラの監視方向を変更する監視方向変更手段と、前記観察者移動情報生成手段により生成された観察者移動情報による観察者の移動と予め設定した移動許容範囲とを比較し、前記観察者移動情報による観察者の移動が前記移動許容範囲を超えた時点で追従指示情報を生成する追従指示情報生成手段と、この追従指示情報生成手段によって生成された追従指示情報に基づき、前記観察者移動情報生成手段により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて、前記表示面方向変更手段によって光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更させるとともに、その観察者移動情報による観察者の移動に対応する画像データを前記画像データ供給手段から前記光波面再生型立体ディスプレイに供給させる制御手段と、を備えることを特徴とする構成とした。
【0024】
ここで、光面波再生型立体ディスプレイとしては、例えばインテグラル方式のものや、ホトグラフィ方式のもの等が掲げられる。また、光面波再生型立体ディスプレイは、立体画像を表示することができる表示デバイスであって、左右方向および上下方向において観察者が移動した場合であって所定範囲内でその移動を許容する視域を有するものであれば、前述したインテグラル方式のものや、ホトグラフィ方式のものに限定されるものではない。
【0025】
この請求項1の立体画像表示装置によれば、光波面再生型ディスプレイにおける表示面の方向が正確に観察者の方向に向いていなくても、観察者が視域内に入っていれば立体画像を観察者に認識させることが可能であり、画像データ供給手段によって立体画像の画像データが光波面再生型立体ディスプレイに供給され、この供給された画像データにしたがって光波面再生型立体ディスプレイによって立体画像が表示されるようになっており、この光波面再生型立体ディスプレイはその表示面の方向が表示面方向変更手段によって変更されるようになっている。また、観察者監視用カメラによって観察者の移動を監視し、この監視された観察者の移動に応じた観察者移動情報が観察者移動情報生成手段によって生成されるようになっており、観察者移動情報生成手段により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて監視方向変更手段によって前記観察者監視用カメラの監視方向が変更される。
【0026】
さらに、追従指示情報生成手段によって観察者移動情報による観察者の移動と予め設定した移動許容範囲とが比較され、前記観察者移動情報による観察者の移動が前記移動許容範囲を超えた時点で追従指示情報が生成される。そして、制御手段において、追従指示情報に基づき、観察者移動情報による観察者の移動に対応させて前記表示面方向変更手段によって光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更させるとともに、その観察者移動情報による観察者の移動に対応する画像データが前記画像データ供給手段から光波面再生型立体ディスプレイに供給させるように操作処理が行なわれる。
【0027】
本発明にかかる請求項2の立体画像表示装置は、請求項1に記載の立体画像表示装置において、前記画像データ供給手段は、被写体を撮影して立体画像の画像データを取得する被写体撮影用カメラと、この被写体撮影用カメラの撮影方向を変更する撮影方向変更手段と、を備え、前記制御手段は、前記追従指示情報生成手段により生成された追従指示情報に基づき、前記観察者移動情報生成手段によって生成された観察者移動情報に対応させて、前記撮影方向変更手段によって前記被写体撮影用カメラの撮影方向を変更させることを特徴とする構成とした。
【0028】
この請求項2の立体画像表示装置によれば、立体画像として表示される被写体を被写体撮影用カメラによって撮影して立体画像の画像データが取得され、この画像データを光波面再生型立体ディスプレイに供給することが可能になる。また、前記被写体撮影用カメラの撮影方向が撮影方向変更手段によって変更されるようになっている。そして、制御手段において、前記追従指示情報生成手段により生成された追従指示情報に基づき、前記観察者移動生成手段により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて撮影方向変更手段による被写体撮影用カメラの撮影方向の変更が行なわれる。
【0029】
本発明にかかる請求項3の立体画像表示装置は、請求項2に記載の立体画像表示装置において、前記制御手段は、前記表示面方向変更手段による光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更結果を検出し、前記追従指示情報生成手段により生成された追従指示情報に基づき、その検出した前記表示面方向変更手段による光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更結果に対応させて、前記撮影方向変更手段によって被写体撮影用カメラの撮影方向を変更させることを特徴とする構成とした。
【0030】
この請求項3の立体画像表示装置によれば、制御手段において、前記追従指示情報生成手段により生成された追従指示情報に基づき、表示面方向変更手段による光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更結果に対応させて、撮影方向変更手段による被写体撮影用カメラの撮影方向の変更が操作される。
【0031】
本発明にかかる請求項4の立体画像表示装置は、請求項2または3に記載の立体画像表示装置において、前記制御手段は、前記撮影方向変更手段による被写体撮影用カメラの撮影方向の変更結果を検出し、前記追従指示情報生成手段により生成された追従指示情報に基づき、その検出した前記撮影方向変更手段による被写体撮影用カメラの撮影方向の変更結果に対応させて、前記表示面方向変更手段によって光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更させることを特徴とする構成とした。
【0032】
この請求項4の立体画像表示装置によれば、制御手段において、前記追従指示情報生成手段により生成された追従指示情報に基づき、撮影方向変更手段による被写体撮影用カメラの撮影方向の変更結果に対応させて、表示面方向変更手段による光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更が操作される。
【0033】
本発明にかかる請求項5の立体画像表示装置は、請求項1〜4の何れか1項に記載の立体画像表示装置において、前記観察者移動情報生成手段は、観察者監視用カメラによる監視データから観察者の視線方向データを算出して観察者移動情報を生成する視線演算部を備えることを特徴とする構成とした。
【0034】
この請求項5の立体画像表示装置によれば、観察者監視用カメラによる監視データから観察者の視線方向データを視線演算部によって算出して観察者移動情報が生成される。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本発明にかかる立体画像表示装置の一例を示す概要説明図である。
【0036】
この第1の実施形態の立体画像表示装置は、立体画像の画像データを供給する画像データ供給手段11と、この画像データ供給手段11から供給される画像データにしたがって立体画像を表示する光波面再生型立体ディスプレイ(以下、単に「立体ディスプレイ」という)12と、この立体ディスプレイ12における表示面の方向を変更する表示面方向変更手段13と、前記立体ディスプレイ12により表示される立体画像を観察する観察者の移動を監視する観察者監視用カメラ14と、この観察者監視用カメラ14により監視された観察者の移動に応じた観察者移動情報を生成する観察者移動情報生成手段15と、この観察者移動情報生成手段15により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて前記観察者監視用カメラ14の監視方向を変更する監視方向変更手段16と、前記観察者移動情報生成手段15により生成された観察者移動情報による観察者の移動と予め設定した移動許容範囲とを比較し、前記観察者移動情報による観察者の移動が前記移動許容範囲を超えた時点で追従指示情報を生成する追従指示情報生成手段17と、この追従指示情報生成手段17により生成された追従指示情報に基づき、前記観察者移動情報生成手段15により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて前記表示面方向変更手段13によって立体ディスプレイ12における表示面の方向を変更させるとともに、その観察者移動情報による観察者の移動に対応する画像データを、画像データ供給手段11から立体ディスプレイ12に供給させる制御手段18とを備えている。
【0037】
画像データ供給手段11は、立体ディスプレイ12において表示するための立体画像の画像データを供給するものである。例えば、ソフトフェア等の計算処理により予め合成された画像データや、立体画像として表示する被写体を撮影することにより取得した画像データ等が、記録媒体に読み出し可能に記録されており、必要に応じて読み出されて立体ディスプレイ12に供給することができるようになっている。
【0038】
この画像データ供給手段11から立体ディスプレイ12に供給される画像データとしては、供給される画像データがソフトフェア等の計算処理により予め合成されたものである場合には、任意の視点からの観察者による観察を可能にするために複数の各視点に応じて予め生成した画像データが準備されており、また供給される画像データが立体画像として表示する被写体を撮影することにより取得したものである場合には、任意の視点からの観察者による観察を可能にするために、複数の各視点に応じた撮影方向から被写体を撮影することにより画像データが生成されて準備されるようになっている。つまり、画像データ供給手段11においては、観察対象の多方向からの各観察面について画像データが準備される。そして、この準備された画像データは、観察者が観察する方向に対応させて立体ディスプレイ12に供給されるようになっている。したがって、この画像データ供給手段11によれば、立体画像の画像データは、観察者による観察対象の多方向からの観察が可能となるように立体ディスプレイ12に供給される。
【0039】
また、この画像データ供給手段11から立体ディスプレイ12に供給する画像データは、立体ディスプレイの方式に応じた形式の信号として供給される。例えば、後述するように、立体ディスプレイ12がインテグラル方式のものである場合には、インテグラル方式用信号形式に適合する画像データが供給され、立体ディスプレイ12がホログラフィ方式のものである場合には、ホログラフィ方式用信号形式に適合する画像データが供給されることになる。
【0040】
立体ディスプレイ12は、前記画像データ供給手段11から供給される画像データにしたがって立体画像を表示する光波面再生型のものであって、光波面再生型ディスプレイにおける表示面の方向が正確に観察者の方向に向いていなくても、観察者が視域内に入っていれば立体画像を観察者に認識させることが可能であり、例えばインテグラル方式やホログラフィ方式等の原理が利用されて立体画像の表示を行なうことができるようになっている。また、本実施形態における立体ディスプレイ12としては、例えばインテグラル方式のものや、ホトグラフィ方式のもの等からなる光面波再生型のもので表示デバイスとして液晶によるものを採用している。なお、本発明にかかる立体画像表示装置における立体画像表示装置においては、立体画像を表示することができる表示デバイスであって、左右方向および上下方向において観察者が移動した場合であっても所定範囲内でその移動を許容する視域を有するものであれば、例えば有機ELディスプレイ等の他の表示デバイスを採用する態様としてもよい。
【0041】
表示面方向変更手段13は、立体ディスプレイ12における表示面の方向を変更するものであり、例えば立体ディスプレイ12を左右や上下に回動させて表示面の方向を左右や上下に変更することができる機構を備えている。なお、左右方向や上下方向のほか、さらに、前後方向に移動させるような機構を採用するようにしてもよい。
【0042】
観察者監視用カメラ14は、前記立体ディスプレイ12によって表示される立体画像を観察する観察者の移動を監視するものであり、観察者が移動中であるか静止中であるかにかかわらず、観察者を撮影するようになっている。したがって、常に監視データが順次生成されている。なお、観察者監視用カメラ14の監視方向は、前記観察者移動情報生成手段15により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて、監視方向変更手段16によって変更される。
【0043】
観察者移動情報生成手段15は、前記観察者監視用カメラ14によって監視された観察者の移動に応じた観察者移動情報を生成するものであり、例えば観察者の移動方向(移動角度)、移動量、移動速度等を含む観察者移動情報を生成する。この観察者移動情報生成手段15においては、例えば観察者監視用カメラ14により監視された監視データから観察者の視線方向データを算出して観察者移動情報を生成する視線演算部(図示せず)を設ける構成としてもよい。
【0044】
このように、観察者移動情報生成手段15において視線演算部(図示せず)を設けた場合にあっては、この視線演算部において、観察者の視線方向データを算出し、この視線方向データを含む観察者移動情報が生成されることになる。この視線演算部においては、角膜反射法と称される方式(以下、角膜反射方式という)を利用して視線方向データが算出されるようになっている。
【0045】
ここで、図5を参照しながら、視線演算部において利用する角膜反射方式の原理について簡単に説明する。まず、観察者の目に対してスポットランプにより弱い赤外光を照射し、その赤外光の虚像を角膜上に結像させる。目の内部では、目の角膜の回転中心と眼球の回転中心がずれているので、目の動きに伴って虚像は平行移動することになる。この平行移動量を目の回転角に換算して視線方向データを算出し、この視線方向データを含む観察者移動情報を生成することができる。また、この角膜反射方式では、観察者の頭部の動きに伴う目の位置変化も検出することができるようになっており、観察者の視線方向を正確に算出して詳細な観察者移動情報を生成することが可能である。
【0046】
なお、観察者の詳細な目の動きを無視する場合には、単に観察者の頭部に赤外光を反射するようなシールを貼り付けておき、このシールの移動を検出することにより、観察者の移動を監視するようにしてもよい。また、前述したような詳細な観察者移動情報を必要としない場合には、一般的な画像処理により、観察者監視用カメラ14により得られた監視データから観察者のシルエットを抽出するなどして観察者の移動を算出し、観察者移動情報として生成するようにしてもよい。
【0047】
監視方向変更手段16は、前記観察者移動情報生成手段15により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて、前記観察者監視用カメラ14の監視方向を変更するものであり、例えば左右や上下に回動させて監視方向を左右や上下に変更することができる機能を備えている。つまり、観察者監視用カメラ14によって観察者を撮影するにあたり、常に観察者を捕らえて撮影することができるようにしている。
【0048】
追従指示情報生成手段17は、前記観察者移動情報生成手段15によって生成された観察者移動情報による観察者の移動と予め設定された移動許容範囲とを比較し、前記観察者移動情報による観察者の移動が前記移動許容範囲を超えた時点で追従指示情報を生成するものである。ここで予め設定される移動許容範囲は、例えば視域(正立体視領域)となる主ローブを確定する視域角の範囲内で任意に設定することができる。具体的には、図3に示されるように、視域角の中心を0として−αth〜+αthの視域角によって主ローブが確定されている場合において、αthよりも小さい値αaで、−αa〜+αaの範囲を観察者の移動が許容される移動許容範囲として設定する。
【0049】
ここで設定される値αaは、この追従指示情報生成手段17による追従指示情報に基づき、制御手段18等におけるその後の処理を行なうにあたって、観察者の移動に追従した視域の移動を可能にする閾値となるものであり、追従指示情報に基づき制御される各手段の性能等を考慮して設定する必要がある。この追従指示情報生成手段17において、観察者移動情報による観察者の移動が移動許容範囲を超えたと判定された場合には、追従指示情報が生成され、この追従指示情報に基づき、制御手段18においてはその後の処理が行なわれることになる。
【0050】
この追従指示情報生成手段17において生成される追従指示情報は、制御手段18による操作処理を開始させるためのものであり、生成後制御手段18に転送される。また、前記観察者移動情報による観察者の移動が前記移動許容範囲を超えていないと判定された場合には、追従指示情報は生成されず、制御手段18においてはその後の処理は行なわれない。
【0051】
制御手段18は、追従指示情報生成手段17により生成された追従指示情報に基づき、前記観察者移動情報生成手段15により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて前記表示面方向変更手段13によって立体ディスプレイ12の表示面の方向を変更させるとともに、その観察者移動情報による観察者の移動に対応する画像データを前記画像データ供給手段11から立体ディスプレイ12に供給させるように操作処理を行なうものである。
【0052】
ここで、制御手段18において、前記表示面方向変更手段13により立体ディスプレイ12における表示面の方向を変更させるように操作処理を行なうにあたっては、追従指示情報手段17により生成された追従指示情報に基づき、前記観察者移動情報生成手段15により生成された観察者による観察者の移動に対応させて立体ディスプレイ12の表示面の方向を視域角の中心に対応させるように観察者の移動速度と同じ速度で変更させる。
【0053】
例えば、図4に示されるように、観察者の移動が予め設定された許容移動範囲(−αa〜+αa)を超えない範囲にとどまる場合には、立体ディスプレイ12における表示面の方向を変更するための表示面方向変更手段13は作動しない。また、観察者の移動が予め設定した移動許容範囲(−αa〜+αa)を超えた場合には、その時点(タイミング)で、立体ディスプレイ12における表示面の方向を変更するための表示面方向変更手段13は観察者の移動と同じ速度でその表示面の方向を変化させる。このように観察者の移動速度のデータ等を含む観察者移動情報や、表示面方向変更手段13による立体ディスプレイ12の表示面を変更する変更速度のデータ等の変更結果情報に基づき、画像データ供給手段11から立体ディスプレイ12に適切な画像データを供給させることが可能になる。
【0054】
次に、制御手段18の動作について説明する。
前述したように、画像データ供給手段11から立体ディスプレイ12に適切な画像データを供給させる際に、任意の視点からの観察を可能にするために画像データ供給手段11にて供給準備されるソフトフェア等の計算処理により予め合成された画像データや、複数の各視点に応じて予め生成した画像データ、さらに立体画像として表示する被写体を撮影することにより取得した画像データである場合には、追従指示情報生成手段17により生成された追従指示情報に基づいて、複数の各視点に応じた撮影方向から被写体を撮影することで生成される画像データ等が、観察者の移動に対応させて画像データ供給手段11から立体ディスプレイ12に供給されることになる。
【0055】
つまり、観察対象を多方向から観察できるように各方向から認識される観察対象の各観察面についての画像データを、追従指示情報生成手段17により生成された追従指示情報に基づき、前記観察者移動情報生成手段15により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて供給させるようにしており、立体ディスプレイ12に表示させる立体画像を適切に変更することができる。
【0056】
また、観察者の移動が止まったときは、実際には観察者は立体ディスプレイ12における表示面の方向の中心からαaだけずれた立体画像を観察しているので、立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更は制御手段18による操作処理にしたがって継続して行なわれ、立体ディスプレイ12に表示される立体画像の観察対象は反対方向に回り込んだ状態の立体画像として、立体ディスプレイ12における表示面の方向の表示面方向変更手段13による変更速度と同じ速度で表示されるようにする。このようにすることにより、観察者に立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更を意識させることなく、主ローブの中心を観察させることができる。
【0057】
なお、立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更速度を初速から観察者と同じ速度にすることは実際には難しいので、αaより小さな角度から徐々に加速させるようにする。また、表示面方向変更手段13の作動パターンについては、立体ディスプレイ12の重量や、モーターのトルク等によって様々なバリエーションが考えられる。
【0058】
また、制御手段18において、画像データを前記画像データ供給手段11から立体ディスプレイ12に供給させるように操作処理を行なうにあたっては、追従指示情報生成手段17により生成された追従指示情報に基づき、観察者移動情報生成手段15により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応する画像データを、立体ディスプレイ12に観察者の移動と同じ速度で表示させるように、前記画像データ供給手段11から前記立体ディスプレイ12に供給させる。
【0059】
例えば、観察者が立体ディスプレイ12に対して右方向に移動すると、立体ディスプレイ12の表示面の方向は観察者の移動に追従するようにして左方向に変更され、立体ディスプレイ12には観察対象の立体画像が観察者の移動と正反対の左方向に回転した状態の適切な立体画像として表示されることになる。
【0060】
この立体画像表示装置においては、前述したように、光波面再生型ディスプレイが用いられており、光波面再生型ディスプレイにおける表示面の方向が正確に観察者の方向に向いていなくても、観察者が視域内に入っていれば立体画像を観察者に認識させることが可能であり、観察者の位置と、平面ディスプレイにおける表示面の方向との角度誤差が許容される範囲(観察者が違和感なく観察することができる範囲)を“視域角の半分”まで大幅に拡大することができる。
【0061】
つまり、従来の立体画像表示装置における運動視差利用型のもののように、観察者の位置と、平面ディスプレイにおける表示面の方向との角度誤差が“観察者の認知限界”以下である必要はないので、光波面再生型ディスプレイにおける表示面の方向を追従させる際において従来のような厳密な変更操作は要求されない。
【0062】
したがって、追従指示情報生成手段によって観察者移動情報による観察者の移動と予め設定した移動許容範囲とを比較し、前記観察者移動情報による観察者の移動が前記移動許容範囲を超えた時点で追従指示情報を生成し、追従指示情報に基づき、観察者移動情報による観察者の移動に対応させて前記表示面方向変更手段によって光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更させるとともに、その観察者移動情報による観察者の移動に対応する画像データが前記画像データ供給手段から光波面再生型立体ディスプレイに供給させるように操作処理を行なうようにすることにより、観察者の移動に滑らかに対応して適切な立体画像を表示することできる。
【0063】
特に、本発明の立体画像表示装置においては、装置全体の視域角が360度の全周囲になるといったきわめて有利な効果を得ることができる。また、従来のような単なる平面ディスプレイを用いた運動視差利用型と比較して、視覚の運動感覚の不一致を非常に少なくすることができる。具体的には、観察者の位置と、平面ディスプレイにおける表示面の方向との角度誤差について許容される範囲(観察者が違和感なく観察することができる範囲)を概算で少なくとも10倍〜30倍に改善することができる。さらに、観察者が静止しているときであっても自然な立体感を得ることができる。
【0064】
また、本発明の立体画像表示装置においては、観察者の移動に応じて適切な表示画像の切り替えの遅延については60ミリ秒以内の遅延にとどめることにより、観察者に違和感を生じさせないことが確認できた。
【0065】
次に、本発明の第2の実施形態について図2を参照して説明する。図2は本発明にかかる立体画像表示装置の他の例を示す概要説明図である。
【0066】
この第2の実施形態の立体画像表示装置は、第1の実施形態における画像データ供給手段11が、被写体を撮影して立体画像の画像データを取得する被写体撮影用カメラ11aと、この被写体撮影用カメラ11aの撮影方向を変更する撮影方向変更手段11bとによって構成されている態様のものであり、観察者移動情報生成手段15により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて、前記撮影方向変更手段11bによって前記被写体撮影用カメラ11aの撮影方向を変更させる操作処理を、前記制御手段18によって行なうようにしているものである。したがって、立体画像として表示する被写体を観察者の移動に滑らかに対応して、被写体撮影用カメラ11aで撮影した画像データを供給することができる。
【0067】
なお、この第2の実施形態における立体ディスプレイ12、表示面方向変更手段13、観察者監視用カメラ14、観察者移動情報生成手段15、監視方向変更手段16、追従指示情報生成手段17等は、第1の実施形態における各手段と概ね同様のものであり、ここでは重複説明を避ける。
【0068】
前述したように、画像データ供給手段11を構成する被写体撮影用カメラ11aは、観察対象の被写体を撮影して立体画像の画像データを取得するものであり、例えば立体ディスプレイ12がインテグラル方式のものである場合には、これに対応するようにインテグラル立体カメラが採用されてインテグラル方式用信号の画像データを立体ディスプレイ12に供給するようになっている。また、立体ディスプレイ12がホログラフィ方式のものである場合には、これに対応するようにホログラフィ立体カメラが採用されてホログラフィ方式用信号の画像データを立体ディスプレイ12に供給するようになっている。
【0069】
この第2の実施形態における立体画像表示装置にあっては、前記制御手段18において、前記表示面方向変更手段13による立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更結果を検出し、前記追従指示情報生成手段17により生成された追従指示情報に基づき、さらにその検出した前記表示面方向変更手段13による立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更結果に対応させて、前記撮影方向変更手段11bによって、被写体撮影用カメラ11aの撮影方向を変更させるように操作処理を行なってもよい。ここで表示面方向変更手段13による立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更についての情報としては、例えば表示面方向変更手段13による変更方向(変更角度)、変更量、変更速度等が掲げられる。
【0070】
さらに、制御手段18において、前記表示面方向変更手段13による立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更結果を検出するには、例えば立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更結果についての情報を生成する表示面方向変更結果情報生成部(図示せず)を設けておくことにより、立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更結果を検出することが可能になり、表示面方向変更手段13による立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更結果を正確に把握することができる。
【0071】
このような態様を採用すれば、表示面方向変更手段13による立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更結果に応じて、撮影方向変更手段によって被写体撮影用カメラの撮影方向を変更させることが可能になる。したがって、被写体に対する被写体撮影用カメラの撮影方向の変更操作を、立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更結果に対応させて適切に行なうことができる。つまり、立体ディスプレイ12における表示面の方向に対して、立体ディスプレイ12に表示される立体画像を整合させることができ、観察者に違和感を生じさせてしまうといった事態を回避することができる。
【0072】
また、第2の実施形態における立体画像表示装置にあっては、前記制御手段18において、前記撮影方向変更手段11bによる被写体撮影用カメラ11aの撮影方向の変更結果を検出し、前記追従指示情報生成手段17により生成された追従指示情報に基づき、その検出した前記撮影方向変更手段11bによる被写体撮影用カメラ11aの撮影方向の変更結果にさらに対応させて、前記表示面方向変更手段13によって立体ディスプレイ12における表示面の方向を変更させるように操作処理を行なうようにしてもよい。ここで、撮影方向変更手段11bによる被写体撮影用カメラ11aの撮影方向の変更結果についての情報としては、例えば撮影方向変更手段11bによる変更方向(変更角度)、変更量、変更速度等が掲げられる。
【0073】
ここで制御手段18において前記撮影方向変更手段11bによる被写体撮影用カメラ11aの撮影方向の変更結果を検出するにあたっては、例えば被写体撮影用カメラ11aの撮影方向を変更した場合にその変更結果についての情報を生成する撮影方向変更結果情報生成部(図示せず)を設けておくことにより、被写体撮影用カメラ11aの撮影方向の変更結果を検出することが可能になり、撮影方向変更手段11bによる被写体撮影用カメラ11aの撮影方向の変更結果を正確に把握することができる。
【0074】
このような態様を採用すれば、撮影用方向変更手段11bによる被写体撮影用カメラ11aの撮影方向の変更結果に応じて、表示面方向変更手段13によって立体ディスプレイ12における表示面の方向を変更させることが可能になる。したがって、立体ディスプレイ12における表示面の方向の変更操作を、被写体撮影用カメラ11aの撮影方向の変更結果に対応させて適切に行なうことができる。つまり、被写体撮影用カメラ11aの撮影方向に、立体ディスプレイ12における表示面の方向を整合させることができ、この点において観察者に違和感を生じさせてしまうといった事態を回避することができる。
【0075】
本発明にかかる立体画像表示装置は、ホビーや純粋な情報提供等の用途のほか、以下のように医療分野や博物・美術分野における用途に特に有用である。本発明にかかる立体画像表示装置の用途例について簡単に説明する。
【0076】
医療分野にあっては、従来から画像診断を行なうにあたりX線CTやMRI等といった撮像装置の普及が進んでいるものの、複数の平面画像を見比べて細部の位置関係を割り出すには熟練が必要である。これに対し、本発明にかかる立体画像表示装置では、これらの撮像装置により画像データをリアルタイムで処理することにより、医師が自由に移動しつつ、任意の断面から体内の構造の立体画像を観察することができるので、きわめて便利である。
【0077】
また、博物・美術分野にあっては、従来から歴史的・美術的に貴重な物品に関しては、外気に晒されると劣化してしまうといった物理的な理由等により実物の公開を制限せざるを得ないので、一般展示や教育目的には写真やレプリカが使用されているにすぎない。これに対し、本発明にかかる立体画像表示装置では、物品の画像データを取り込んで保存しておくことにより、CG展示をより実物に近い形で行なうことができ、きわめて便利である。
【0078】
しかも、本発明にかかる立体画像表示装置は、視覚と運動感覚の不一致により起こる「3次元酔い」と称される不快感が大幅に軽減され、特に立体画像の細部を注視するときにはその効果が顕著である。
【0079】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明にかかる請求項1の立体画像表示装置によれば、光波面再生型ディスプレイにおける表示面の方向が正確に観察者の方向に向いていなくても、観察者が視域内に入っていれば立体画像を観察者に認識させることが可能であり、観察者の位置と、平面ディスプレイにおける表示面の方向との角度誤差について許容される範囲(観察者が違和感なく観察することができる範囲)を“視域角の半分”にまで大幅に拡大することができる。また、観察者移動情報による観察者の移動が前記移動許容範囲を超えた時点で追従指示情報が生成され、この追従指示情報に基づき、観察者移動情報による観察者の移動に対応させて光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更させるとともに、その観察者移動情報による観察者の移動に対応する画像データが光波面再生型立体ディスプレイに供給させるように操作処理が行なわれるようにしたので、観察者の移動に滑らかに対応して適切な立体画像を表示することできる。特に、本発明の立体画像表示装置においては、装置全体の視域角が360度の全周囲になるといったきわめて有利な効果を得ることができる。また、従来のような単なる平面ディスプレイを用いた運動視差利用型と比較して、視覚の運動感覚の不一致が非常に少なくすることができる。さらに、観察者が静止しているときであっても自然な立体感を得ることができる。
【0080】
また、本発明にかかる請求項2の立体画像表示装置によれば、追従指示情報に基づき、観察者移動情報による観察者の移動に対応させて被写体撮影用カメラの撮影方向の変更が行なわれるようにしたので、立体画像として表示する被写体を観察者の移動に滑らかに対応して被写体撮影用カメラで撮影して画像データを供給することができる。
【0081】
さらに、本発明にかかる請求項3の立体画像表示装置によれば、追従指示情報に基づき、光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更結果に対応させて、被写体撮影用カメラの撮影方向を変更させるようにしたので、被写体に対する被写体撮影用カメラの撮影方向の変更操作を、光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更結果に対応させて適切に行なうことができる。
【0082】
さらにまた、本発明にかかる請求項4の立体画像表示装置によれば、追従指示情報に基づき、被写体撮影用カメラの撮影方向の変更結果に対応させて、光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更させるようにしたので、光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更操作を、被写体撮影用カメラの撮影方向の変更結果に対応させて適切に行なうことができる。
【0083】
そして、本発明にかかる請求項5の立体画像表示装置によれば、観察者監視用カメラによる監視データから視線演算部によって視線方向データを算出して観察者移動情報が生成されるようにしたので、正確な観察者移動情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる立体画像表示装置の一例を示す概要説明図である。
【図2】本発明にかかる立体画像表示装置を他の例を示す概要説明図である。
【図3】観察者の移動許容範囲を示す説明図である。
【図4】立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更する動作の一例を示す説明図である。
【図5】角膜反射法の検出原理の説明図である。
【図6】インテグラル方式の撮影原理を示す説明図である。
【図7】インテグラル方式の表示原理を示す説明図である。
【図8】液晶パネルを用いたホログラフィ方式の概念図である。
【図9】視域角の説明図である。
【符号の説明】
11 画像データ供給手段
11a 被写体撮影用カメラ
11b 撮影方向変更手段
12 光波面再生型立体ディスプレイ
13 表示面方向変更手段
14 観察者監視用カメラ
15 観察者移動情報生成手段
16 監視方向変更手段
17 追従指示情報生成手段
18 制御手段
110 被写体
120 レンズ群
121〜12n 要素レンズ
130 写真フィルム
131〜13n 像(要素画像)
140 写真
141〜14n 像
150 立体再生像
160 視点
Claims (5)
- 立体画像の画像データを供給する画像データ供給手段と、
この画像データ供給手段から供給される画像データにしたがって立体画像を表示する光波面再生型立体ディスプレイと、
この光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更する表示面方向変更手段と、
前記光波面再生型立体ディスプレイにより表示される立体画像を観察する観察者の移動を監視する観察者監視用カメラと、
この観察者監視用カメラにより監視された観察者の移動に応じた観察者移動情報を生成する観察者移動情報生成手段と、
前記観察者移動情報生成手段により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて前記観察者監視用カメラの監視方向を変更する監視方向変更手段と、
前記観察者移動情報生成手段により生成された観察者移動情報による観察者の移動と予め設定した移動許容範囲とを比較し、観察者移動情報による観察者の移動が前記移動許容範囲を超えた時点で追従指示情報を生成する追従指示情報生成手段と、
この追従指示情報生成手段によって生成された追従指示情報に基づき、前記観察者移動情報生成手段により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて、前記表示面方向変更手段によって光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更させるとともに、その観察者移動情報による観察者の移動に対応する画像データを前記画像データ供給手段から前記光波面再生型立体ディスプレイに供給させる制御手段と、
を備えることを特徴とする立体画像表示装置。 - 前記画像データ供給手段は、被写体を撮影して立体画像の画像データを取得する被写体撮影用カメラと、この被写体撮影用カメラの撮影方向を変更する撮影方向変更手段と、を備え、
前記制御手段は、前記追従指示情報生成手段により生成された追従指示情報に基づき、観察者移動情報生成手段により生成された観察者移動情報による観察者の移動に対応させて、前記撮影方向変更手段によって前記被写体撮影用カメラの撮影方向を変更させることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。 - 前記制御手段は、前記表示面方向変更手段による光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更結果を検出し、前記追従指示情報生成手段により生成された追従指示情報に基づき、その検出した前記表示面方向変更手段による光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向の変更結果にさらに対応させて、前記撮影方向変更手段によって被写体撮影用カメラの撮影方向を変更させることを特徴とする請求項2に記載の立体画像表示装置。
- 前記制御手段は、前記撮影方向変更手段による被写体撮影用カメラの撮影方向の変更結果を検出し、前記追従指示情報生成手段により生成された追従指示情報に基づき、その検出した前記撮影方向変更手段による被写体撮影用カメラの撮影方向の変更結果にさらに対応させて、前記表示面方向変更手段によって光波面再生型立体ディスプレイにおける表示面の方向を変更させることを特徴とする請求項2または3に記載の立体画像表示装置。
- 前記観察者移動情報生成手段は、観察者監視用カメラによる監視データから観察者の視線方向データを算出して観察者移動情報を生成する視線演算部を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の立体画像表示装置。
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