JP4256595B2 - ピロール化合物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なピロール化合物に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色素として有用な新規なピロール化合物を提供することである。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ピロール化合物の閉環により新規なピロール化合物が得られること、更に、該新規なピロール化合物が、長波紫外域(350nm〜400nm)吸収色素及び黄色色素としての特性を有するとともに、一部の構造のものが青色に発光する蛍光色素としての特性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
すなわち、本発明は下記一般式(1)で表されるピロール化合物である。
【0005】
【化2】
Figure 0004256595
【0006】
式中、R1からR3は、それぞれ水素原子、アリール基、アルキル基、シアノ基、アシル基、置換カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換アミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ基、若しくは置換スルファモイル基を表。Xは酸素原子若しくは硫黄原子を表す。Rは、アルキル基を表す。Yは、酸素原子若しくはN−R’を表す。R’は、水素原子またはアルキル基を表す。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明のピロール化合物は前記一般式(1)で表される。
【0009】
式中、R1〜R3は、それぞれ水素原子、アリール基、アルキル基、シアノ基、アシル基、置換カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換アミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ基、若しくは置換スルファモイル基を表。Xは酸素原子若しくは硫黄原子を表す。Rは、アルキル基を表す。Yは、酸素原子若しくはN−R’を表す。R’は、水素原子またはアルキル基を表す。
【0010】
式中、R1〜R3で表されるアリール基は、置換基を有していてもよく、その置換基例としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換カルバモイル基、置換スルファモイル基、置換アミノ基、置換オキシカルボモイル基、置換オキシスルホニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、置換スルホニルオキシ基、置換アミノカルボニルオキシ基、置換ホスホリルオキシ基が挙げられる。
【0011】
式中、R1〜R3で表されるアリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基が特に好ましい。例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、2−プロポキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、2−ウンデシルオキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)−5−クロロフェニル基、2,2’−ヘキシルオキシ−3,5−ジクロロフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、2−(ジブチルアミノカルボニルエトキシ)フェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−ニトロフェニル基、3−シアノフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−(2’−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−シクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジブトキシフェニル基、3−オクチルオキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、3−(ジ−2−エチルヘキシルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、3−ドデシルオキシフェニル基、4-メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、4−(オクタデシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ブロモフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、2,4−ジ−t−ペンチルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルフェニル基、4−メチルチオフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、の他にヒドロキシフェニル基、フェニルスルホニルフェニル基、フェニルスルホニルオキシフェニル基、フェニルカルボニルオキシフェニル基、ジメチルアミノカルボニルオキシフェニル基、ブチルカルボニルオキシフェニル基が好ましく、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基が特に好ましい。
【0012】
式中、R1〜R3で表されるアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、不飽和結合を有していてもよい。さらにこれらのアルキル基は置換基を有していてもよく、その置換基例としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。また、該アリール基はさらにアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
【0013】
式中、R1〜R3で表わされるアルキル基としては、炭素原子数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜20のアルキル基が特に好ましい。例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、プロピル基、イソプルピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソペンチル基、ヘプチル基、ノニル基、ウンデシル基、プロペニル基、ヘプタデセニル基、t−オクチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチル基、1−(エトキシカルボニル)エチル基、2’,4’−ジイソペンチルフェニルオキシメチル基、2’,4’−ジ−t−ブチルフェニルオキシメチル基、エトキシカルボニルエチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルエチル基、ブチルデシルオキシカルボニルエチル基、ジブチルアミノカルボニルメチル基、ジベンジルアミノカルボニルエチル基、エチルオキシカルボニルプロピル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルプロピル基、2,4−ジ−t−アミルフェニルオキシプロピル基、1−(2’,4’−ジ−t−アミルフェニルオキシ)プロピル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニルオキシプロピル基、アセチルアミノエチル基、N,N−ジヘキシルアミノカルボニルエチル基、2,4−ジ−t−アミルオキシエチルオキシカルボニルプロピル基、イソステアリルオキシカルボニルプロピル、1−(2,4−ジ−t−ペンチルフェニルオキシ)プロピル基、2,4−ジ−t−ペンチルフェニルオキシエチルオキシカルボニルプロピル基、ナフチルオキシエチルオキシカルボニルエチル基、N−メチル−N−フェニルエチルオキシカルボニルエチル基、メタンスルホニルアミノプロピル基が好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、t−オクチル基が特に好ましい。
【0014】
式中、R1〜R3で表されるアシル基としては、炭素原子数2〜20のアシル基が好ましい。例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、2−シアノプロパノイル基、1,1−ジメチルプロパノイル基が好ましい。
【0015】
式中、R1〜R3で表されるアルコキシカルボニル基としては、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、フェニルオキシエチルオキシカルボニル基、フェニルオキシプロピルオキシカルボニル基、2,4−ジ−t−アミルフェニルオキシエチルカルボニル基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基、イソステアリルオキシカルボニル基が好ましい。
【0016】
式中、R1〜R3で表わされる置換アミノ基としては、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N−アシルアミノ基、N−スルホニルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、N,N−ジスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0017】
式中、R1〜R3で表わされる置換アミノ基としては、炭素数0〜50の置換アミノ基が好ましい。具体的には、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−tertブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基、N−オクチルアミノ基、N−2−エチルヘキシルアミノ基、N−デシルアミノ基、N−オクタデシルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−2−メチルフェニルアミノ基、N−2−クロロフェニルアミノ基、N−2−メトキシフェニルアミノ基、N−2−イソプロポキシフェニルアミノ基、N−2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルアミノ基、N−3−クロロフェニルアミノ基、N−3−ニトロフェニルアミノ基、N−3−シアノフェニルアミノ基、N−4−メトキシアミノ基、N−4−(2’−エチルヘキシルオキシ)フェニルアミノ基、N−4−シアノフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジアセチルアミノ基、N,N−ジベンゾイルアミノ基、N,N−(ジブチルカルボニル)アミノ基、N,N−(ジ−2−エチルヘキシルカルボニル)アミノ基、N,N−(ジメチルスルホニル)アミノ基、N,N−(ジエチルスルホニル)アミノ基、N,N−(ジブチルスルホニル)アミノ基、N,N−(2−エチルヘキシルスルホニル)アミノ基、N,N−(ジフェニルスルホニル)アミノ基等が好ましい。
【0018】
式中、R1〜R3で表わされる置換カルバモイル基としては、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基等が挙げられる。
【0019】
式中、R1〜R3で表わされる置換カルバモイル基としては、炭素原子数1〜30の置換カルバモイル基が好ましい。具体的には、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−2−エチルヘキシルカルバモイル基、N−デシルカルバモイル基、N−オクタデシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−2−メチルフェニルカルバモイル基、N−2−クロロフェニルカルバモイル基、N−2−メトキシフェニルカルバモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルカルバモイル基,N−2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルカルバモイル基、N−3−クロロフェニルカルバモイル基、N−3−ニトロフェニルカルバモイル基、N−3−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メトキシカルバモイル基、N−4−(2’−エチルヘキシルオキシ)フェニルカルバモイル基、N−4−シアノフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基等が好ましい。
【0020】
式中、R1〜R3で表わされる置換アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数7〜30のアリールオキシカルボニル基が好ましい。例えば、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2,6−ジメチルフェニルオキシカルボニル基、2,4,6−トリメチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、2,2−エチルヘキシルフェニルオキシカルボニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−クロロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、4−ブトキシフェニルオキシカルボニル基等が好ましい。
【0021】
式中、R1〜R3で表わされるアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましい。例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基等が好ましい。
【0022】
式中、R1〜R3で表わされるアリールスルホニル基としては、炭素原子数6〜30のアリールスルホニル基が好ましい。例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオリフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−ブトキシフェニルスルホニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホニル基、4−オクタデシルフェニルスルホニル基等が好ましい。
【0023】
式中、R1〜R3で表わされる置換スルファモイル基には、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基等が挙げられる。
【0024】
式中、R1〜R3で表わされる置換スルファモイル基としては、炭素原子数0〜30の置換スルファモイル基が好ましい。具体的には、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−2−エチルヘキシルスルファモイル基、N−デシルスルファモイル基、N−オクタデシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N−2−メチルフェニルスルファモイル基、N−2−クロロフェニルスルファモイル基、N−2−メトキシフェニルスルファモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルスルファモイル基,N−2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルファモイル基、N−3−クロロフェニルスルファモイル基、N−3−ニトロフェニルスルファモイル基、N−3−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−メトキシスルファモイル基、N−4−(2’−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルファモイル基、N−4−シアノフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基、N,N−ジー(2−エチルヘキシル)スルファモイル基が好ましい。
【0025】
式中、Rで表されるアルキル基は、それぞれR1〜R3で表されるアルキル基と同義である。
【0026】
Yは、酸素原子またはN−R’を表す。またR’は、水素原子またはアルキル基を表す。
ここで、R’で表されるアルキル基は、R1〜R3で表されるアルキル基と同義である。
【0027】
色素の吸収特性の点からはXが硫黄で、R1がアミノ基であるものが好ましい。
【0034】
以下に、前記一般式(1)で表される本発明のピロール化合物の代表的な具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下の具体例において、(14)は参考例である。
【0035】
【化4】
Figure 0004256595
【0036】
【化5】
Figure 0004256595
【0037】
【化6】
Figure 0004256595
【0038】
【化7】
Figure 0004256595
【0039】
上記一般式(1)で表されるピロール化合物は、下記一般式(2)で表されるピロール化合物を閉環反応させ、下記一般式(3)で表されるピロール化合物を合成し、次に合成した一般式(3)で表されるピロール化合物を、更にアルキル化することにより得ることができる。
【0040】
【化8】
Figure 0004256595
【0041】
【化9】
Figure 0004256595
【0042】
一般式(2)中のR1〜R3は、一般式(1)のR1〜R3と同義である。一般式(2)中のR4は、アルキル基またはアリール基を示し、炭素数1から10のアルキル基、炭素数6から10のアリール基が好ましい。
【0043】
一般式(2)中、R4で表わされるアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、プロピル基、イソプルピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソペンチル基、ヘプチル基、ノニル基、プロペニル基、t−オクチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチル基、1−(エトキシカルボニル)エチル基、2’,4’−ジイソペンチルフェニルオキシメチル基、2’,4’−ジ−t−ブチルフェニルオキシメチル基、エトキシカルボニルエチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルエチル基、ブチルデシルオキシカルボニルエチル基、ジブチルアミノカルボニルメチル基、ジベンジルアミノカルボニルエチル基、エチルオキシカルボニルプロピル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルプロピル基、2,4−ジ−t−アミルフェニルオキシプロピル基、1−(2’,4’−ジ−t−アミルフェニルオキシ)プロピル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニルオキシプロピル基、アセチルアミノエチル基、N,N−ジヘキシルアミノカルボニルエチル基、2,4−ジ−t−アミルオキシエチルオキシカルボニルプロピル基、イソステアリルオキシカルボニルプロピル、1−(2,4−ジ−t−ペンチルフェニルオキシ)プロピル基、2,4−ジ−t−ペンチルフェニルオキシエチルオキシカルボニルプロピル基、ナフチルオキシエチルオキシカルボニルエチル基、N−メチル−N−フェニルエチルオキシカルボニルエチル基、メタンスルホニルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0044】
一般式(2)中、R4で表わされるアリール基は、R1〜R3のアリール基と同義である。
【0045】
一般式(2)で表されるピロール化合物の閉環反応は、このピロール化合物に触媒を作用させることにより行う。
【0046】
触媒としては、塩基性化合物が好ましく、無機塩基でも有機塩基でも良い。無機塩基としてはNaOH、KOH、NaHCO3、KHCO3、Na2CO3、K2CO3、MgO、CaOなどが好ましく、有機塩基としてはトリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、4−ジメチルアミノピリジン、グアニジン、イミダゾールなどが好ましい。触媒の使用量は、一般式(2)で表されるピロール化合物1モルに対して1.0〜2.0モルが好ましく、特に1.0〜1.2モルが好ましい。
【0047】
一般式(2)で表されるピロール化合物は、質量比で1.0〜50倍の有機溶媒に溶解して使用するのが好ましく、特に5.0〜30倍の有機溶媒に溶解して使用するのがより好ましい。
【0048】
反応溶媒としては、塩基性化合物を溶解しやすいものが好ましく、酢酸エチル、アセトニトリル、THF、DMAc、DMF、N−メチルピロリドンなどが好ましい。反応温度は、10℃から100℃が好ましく、特に25℃から80℃が好ましい。
【0049】
反応終了後、反応混合物を冷却し、析出した一般式(3)で表されるピロール化合物の塩の結晶を濾取する。
【0050】
また、反応混合物を酸性水で洗浄処理して一般式(2)で表されるピロール化合物を含む塩基性物質を除去することによっても、一般式(3)で表されるピロール化合物の結晶を得ることもできる。
【0051】
一般式(3)で表わされるピロール化合物のアルキル化は、該ピロール化合物にアルキル化剤を作用することにより行う。
【0052】
アルキル化剤としては、アルキルハライド、スルホン酸アルキルエステル、硫酸アルキルエステル等が挙げられる。
アルキル化剤の使用量は、一般式(3)で表わされるピロール化合物1モルに対して1〜2モルが好ましく、1〜1.5モルが特に好ましい。
【0053】
一般式(3)で表わされるピロール化合物は、質量比で1〜10倍の有機溶媒に溶解して使用するのが好ましく、2〜5倍の有機溶媒に溶解して使用するのが特に好ましい。
【0054】
反応溶媒としては、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、水が好ましい。
反応温度は、20〜100℃が好ましく、30〜70℃が特に好ましい。
【0055】
反応終了後、反応液を水で希釈し析出した結晶を濾過する、または、油状粗生成物を酢酸エチルなどで抽出し、該、結晶または抽出物を、再結晶やカラムクロマトグラフィー等の方法で精製することにより一般式(1)のピロール化合物を得ることが出来る。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
(実施例1)
下記(4−A)で表される化合物 17.4g(0.05mol)とエトキシカルボニルイソチオシアネート 6.6g(0.05mol)が含有しているアセトニトリル溶液 200mlを25℃で1時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、アセトニトリルで洗浄後乾燥し、下記(4−B)で表される化合物 14.4gを黄色結晶として得た。収率は60%であった。
1H−NMR(DMSO−d6、δ値)解析により、10.27(br,1H)、6.66(br,2H)、5.92(s,1H)、4.12(qr,2H)、2.38(s,3H)、1.44−1.69(m,3H)、1.14−1.31(m,7H)、0.98(m,3H)、0.78−0.92(m,18H)の結果が得られた。
【0057】
【化10】
Figure 0004256595
【0058】
上記で得られた化合物(4−B) 4.79g(10mmol)と1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU) 1.52g(10mmol)が含有しているテトラヒドロフラン(THF)溶液 20mlを60℃で1時間攪拌した。析出した結晶を濾過、アセトニトリルで洗浄後乾燥し、下記(4−C)で表される化合物(DBU塩) 5.39g(9.2mmol)を黄色結晶として得た。収率は92%であった。
1H−NMR(CDCl、δ値)解析により、5.92(s,1H)、3.59(t,2H)、3.44(m,6H)、3.05(m,2H)、2.59(s,3H)、2.06(qn,2H)、1.60−1.84(m,8H)、1.42−1.59(m,1H)、1.23−1.40(m,2H)、1.16−1.21(m,2H)、1.00(d,3H)、0.89(s,18H)の結果が得られた。
【0059】
【化11】
Figure 0004256595
【0060】
上記で得られた化合物(4−C;DBU塩) 2.93g(5mmol)とヨウ化エチル 0.78g(5mmol)が含有しているN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc) 溶液20mlを50℃で1時間攪拌した。反応液を大量の水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=6:1)により分離精製し、上記例示化合物(4) 1.46g(3.2mmol)を得た。収率63%であった。
1H−NMR(CDCl、δ値)解析により、5.99(s,1H)、3.35(qr,2H)、2.40(s,3H)、1.50−1.78(m,3H)、2.06(t,3H)、1.16−1.38(m,4H)、1.03(d,3H)、0.89(s,18H)の結果が得られた。さらに、UV吸収スペクトル(酢酸エチル)を測定したところ、λmaxは455.4nm、εは17400であった。
【0061】
【化12】
Figure 0004256595
【0062】
(実施例2)
2,4−ジメチル−3−エチルピロール 10.9g(100mmol)とエトキシカルボニルイソチオシアネート 13.2g(100mmol)が含有しているアセトニトリル溶液 200mlを25℃で3時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、アセトニトリルで洗浄後乾燥し、下記(2−B)で表される化合物19.5gを黄色結晶として得た。収率は81%であった。
1H−NMR(DMSO−d6、δ値)解析により、4.14(qr,2H)、2.32(qr,2H)、2.17(s,3H)、2.14(s,3H)、1.23(t,3H)、0.98(t,3H)の結果が得られた。
【0063】
上記で得られた化合物(2−B) 12.1g(50mmol)とDBU 7.6g(50mmol)が含有しているTHF溶液 100mlを60℃で1時間攪拌した。反応混合物を大量の水にあけ、希塩酸で酸性とし、析出した結晶を濾過・乾燥し、下記(2−C)で表される化合物 9.5gを黄色結晶として得た。収率は97%であった。
1H−NMR(CDCl、δ値)解析により、8.03(br−s,1H)、2.38(qr,2H)、2.37(s,3H)、2.29(s,3H)、1.07(t,3H)の結果が得られた。
【0064】
【化13】
Figure 0004256595
【0065】
上記で得られた化合物(2−C) 1.95g(10mmol)とDBU 1.52g(10mmol)が含有しているDMAc溶液 10mlに、室温でヨウ化メチル 1.36g(10mmol)を滴下し、40℃で30分攪拌した。反応液を大量の水にあけ、析出した結晶を濾取し、メタノール−酢酸エチルで再結晶して、上記例示化合物(2) 1.72gを得た。収率82%であった。
1H−NMR(CDCl、δ値)解析により、3.28(s,3H)、2.37(qr,2H)、2.36(s,3H)、2.29(s,3H)、1.07(t,3H)の結果が得られた。さらに、UV吸収スペクトル(酢酸エチル)を測定したところ、λmaxは400.8nm、εは7020であった。
【0066】
【化14】
Figure 0004256595
【0067】
【発明の効果】
本発明は、長波紫外域(350nm〜400nm)吸収色素及び黄色色素としての特性を有するとともに、一部の構造のものが青色に発光する蛍光色素として有用な新規な、ピロール化合物を提供できる。

Claims (1)

  1. 下記一般式(1)で表されるピロール化合物。
    Figure 0004256595
    (式中、R1からR3は、それぞれ水素原子、アリール基、アルキル基、シアノ基、アシル基、置換カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換アミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ基、若しくは置換スルファモイル基を表。Xは酸素原子若しくは硫黄原子を表す。Rは、アルキル基を表す。Yは、酸素原子若しくはN−R’を表す。R’は、水素原子またはアルキル基を表す。)
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