JP4255734B2 - 切断工具取付台および切断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク状の切断砥石、チップソー等をモータにより回転駆動するハンディタイプの切断工具を定位置での切断作業に適用し得る切断工具取付台および同取付台を用いた切断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば建設現場等において鋼材等を切断したり、研削する場合、ディスク状の切断砥石、チップソー等をモータにより回転駆動するハンディタイプの切断工具あるいは研削工具が知られている。
【0003】
一方、ディスク状の回転刃を台盤上に上下揺動可能に取付け、台盤上にバイスにより水平に固定した棒鋼等の被切断材を、ハンドル操作により回転刃を上方から下方に移動させて押し切るようにした定位置での切断作業を行なう切断装置も種々知られている。
【0004】
このように、従来の各切断装置においては一般に、切断工具のボディ、ハンドル等を作業者が把持して回転刃の位置や姿勢を自在に変化させて切断作業を行なうハンディタイプ専用のもの(例えば特許文献1参照)、あるいは切断工具を定位置に固定した状態で切断作業を行なう定位置専用タイプのもの(例えば特許文献2、3等参照)等に区別されている。
【0005】
これに対し近年では、ハンディタイプの工具を台盤上にハンドル付きホルダを介して着脱可能に、かつ上下方向に揺動可能に保持させるようにし、1台の切断工具を台盤から外した状態ではハンデイ型としての移動式切断作業を可能とし、台盤に保持させた状態では定位置における固定型の切断作業を可能とする兼用型の切断工具も提案されている(例えば特許文献4参照)。
【0006】
ところが、この特許文献4等に記載されているように、従来の兼用タイプの切断装置においては、台盤に設けた工具ホルダが切断工具をボルト等により強固に締結する構造となっているため、工具ホルダの開閉操作に手間が掛かり、切断工具の着脱作業が面倒である場合が多い。
【0007】
したがって、切断工具の手持ち状態での切断作業と定位置における固定状態での切断作業との使用切換に際して不便な場合が多く、同一工具の使い分けを必ずしも効果的に行なうことができない。
【0008】
また、従来の切断工具取付台においては、工具ホルダが多くの部品により構成されて複雑となっており、このため製作工程が多く、それだけコストも高く、重量も大きく、搬送等に不便な場合も見られる。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−207595号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平11−123612号公報
【0011】
【特許文献3】
特開2000−254853号公報
【0012】
【特許文献4】
特開2001−347442号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の切断工具取付台においては、台盤に設けた工具ホルダに切断工具をボルト等により強固に締結する構造となっているため、開閉操作に手間が掛かり、切断工具の着脱作業が面倒で、時間を要している。したがって、切断工具の手持ち状態での移動切断作業と定位置における固定状態での切断作業との使用切換えが不便であり、同一工具の使い分けを必ずしも効果的に行なうことができないという問題がある。
【0014】
また、従来の切断工具取付台においては、工具ホルダが多くの部品により構成されて複雑となっており、製作工程が多く、コスト高となり、また重量が大きく搬送等に不便である等の問題がある。
【0015】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、台盤に設けた工具ホルダの開閉操作が容易で、切断工具の着脱作業が迅速かつ簡便に行なえ、これにより切断工具の手持ち状態での移動切断作業と定位置における固定状態での切断作業との使用切換えを極めて容易に行なえ、同一工具の利用性増大、高効率化が図れ、ハンディタイプの切断工具の利便性を一層向上できる切断工具取付台および切断装置を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、工具ホルダを少数部品によりコンパクトで効率のよい構成とし、これにより、製作容易化および低コスト化等が図れるとともに、切断工具のホルダ内への位置決めおよび工具保持も容易、かつ確実に行なえ、定位置における固定状態での作業作業能率および安定性の向上、ならびに作業上の高信頼性も得られる切断工具取付台および切断装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するため、請求項1に係る発明では、被切断材を略水平に載置固定し得る台盤に、モータ駆動式のディスク状切断砥石、チップソー等の回転刃を有するハンディタイプの切断工具における筒形のボディを、そのボディの中心線が前後方向に沿う配置で着脱可能に保持する工具ホルダを備えた切断工具取付台であって、前記工具ホルダは、前記台盤に設けた左右方向に沿うホルダ軸に揺動可能に支持されて前記切断工具における前記ボディの外周面を下側から保持する上面開放形の下部ホルダと、この下部ホルダの左右方向のいずれか一方の側に開閉可能に枢着されて前記切断工具における前記ボディの外周面を上側から保持する下面開放型の上部ホルダと、これらのホルダを閉状態において前記ホルダ軸を中心として上下方向に揺動させる工具操作用ハンドルとを備え、前記下部ホルダは、前記切断工具における前記ボディの左右方向の幅よりも幅狭な下部ホルダ底板と、この下部ホルダ底板の左右の側縁部から互いに離間する方向に向って傾斜状に起立し、前記切断工具における前記ボディの左右両側面下部をそれぞれ支持する1対の下部ホルダ側板とを有し、前記上部ホルダは、前記下部ホルダの各下部ホルダ側板の各上縁位置から互いに起立する左右1対の上部ホルダ側板と、これら各上部ホルダ側板の上縁間に連設されて前記切断工具における前記ボディの中心線位置の上面を上方から押圧保持する上部ホルダ天板とを有することを特徴とする切断工具取付台を提供する。
【0018】
請求項2に係る発明では、前記上部ホルダと前記下部ホルダとにより構成される前記工具ホルダは、前後方向から見て略六角形枠状をなすものである請求項1記載の切断工具取付台を提供する。
【0019】
請求項3に係る発明では、前記切断工具における前記回転刃は下方に向う押下げ力により前記被切断材を切断する設定とされており、前記工具ホルダは、スプリングにより前記切断工具を上方に向けて常時弾性的に付勢する構成とされている請求項1記載の切断工具取付台を提供する。
【0020】
請求項4に係る発明では、前記下部ホルダの下部ホルダ底板には、前記切断工具における前記ボディの外周面から突出する円柱状の突起を嵌挿する工具位置決め孔が穿設されている請求項1記載の切断工具取付台を提供する。
【0021】
請求項5に係る発明では、前記工具位置決め孔は円形孔であり、前記切断工具の外周面から突出する円柱状の突起は、前記工具位置決め孔に対して偏心する偏心孔を有する偏心ブッシュを介して前記工具位置決め孔に挿入され、前記偏心ブッシュの周方向位置決めにより前記切断工具における前記回転刃が前記台盤の表面に対して垂直となる姿勢に調整し得る構成とされている請求項4記載の切断工具取付台を提供する。
【0022】
請求項6に係る発明では、請求項1から5までのいずれかに記載の切断工具取付台に、前記切断工具を装着してなることを特徴とする切断装置を提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る切断工具取付台および切断装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による切断工具取付台の構成を示す全体斜視図である。図2は、この切断工具取付台の工具ホルダを拡大して示す側断面図であり、図3は、図2のA−A線に沿う断面図である。図4は、工具ホルダに切断工具を取付け、切断装置として構成した場合を示す全体側面図である。
【0025】
まず、概略構成について説明する。本実施形態の切断工具取付台1は、図1〜図4に示すように、鋼線材等の被切断材を略水平に載置固定し得る例えば平面視で長方形状をなす台盤2を備えている。この台盤2は、薄鋼板等により構成された平坦な長方形状のベース板3の周縁を、これと一体の垂下側壁4によって囲んだ薄箱状の外形を有し、四隅部にゴム製の脚5が設けられ、ベース板3に所定の高さが確保されている。
【0026】
なお、本明細書においては、図1〜図4に示した台盤2の長手方向を「前後方向」とし、短手方向を「左右方向」として説明する。すなわち、台盤2には、前後方向に沿って長形枠状の工具ホルダ6が設けられ、この工具ホルダ6の一端側(後端側)に工具操作用ハンドル7が連結されている。
【0027】
また、本明細書においては、台盤2の中央位置から見て工具ホルダ6が位置する方向(例えば図1の右下向きの方向)を「前方」とし、ハンドル7が位置する方向(図1の左上向きの方向)を「後方」とする。さらに、後方から前方に向って見た状態での右側(例えば図1の下縁側)を「右側」とし、後方から前方に向って見た状態の左側(図1の上側)を「左側」とする。
【0028】
台盤2には、工具ホルダ6の後方に被切断材固定保持用のバイス8、および被切断材水平角度調整具9が設けられ、台盤2の右側の辺縁部近傍にはその辺縁と平行に、切断工具の回転刃が挿入される回転刃挿入用スリット10が穿設されている。
【0029】
そして、図3および図4に示すように、本実施形態においては、工具ホルダ2に装着される切断工具11が、モータ駆動式のディスク状切断砥石、チップソー等の回転刃12を、把持操作用の円筒形ボディ13の先端に設けた、ハンディタイプの切断工具とされている。
【0030】
なお、モータおよび動力伝達機構等は、円筒形のボディ13内に組込まれている。ボディ13内には、図示省略のカーボンブラシが設けられており、ボディ13の軸方向略中央位置の外周面には、このカーボンブラシのホルダを保持するカーボンホルダ受け部として、ボディ13の外周面から突出する1対の円柱状の突起14が180度対称的に設けられている。なお、回転刃12の周囲約半分は、刃物カバー15によって覆われている。このような切断工具11が、工具ホルダ6に対し、ボディ13の中心線を前後方向に沿わせる配置で着脱可能に保持される。この保持状態において、円柱状の突起14が、後述する下部ホルダ16の工具位置決め孔34に挿入される。
【0031】
以下、切断工具取付台1の各構成について詳細に説明する。
【0032】
図2および図3に拡大断面図として示すように、工具ホルダ6は下部ホルダ16と上部ホルダ17とからなり、台盤2に固定された支持ブラケット18、下部ホルダ16に取付けられた回動ブラケット19およびこれらブラケットに挿通された左右方向に沿うホルダ軸20により、上下方向に揺動可能に支持されている。
【0033】
すなわち、支持ブラケット18は、平板状の下片18aおよびその両端から起立する1対の対向片18bからなる上面および前後面が開口するコ字形部材であり、下片18aが台盤2のベース板3上にネジ具、リベット等の締結具21、またはスポット溶接等により固定され、両対向片18bが台盤2の上方に立ち上がっている。
【0034】
また、回動ブラケット19は、平板状の上片19a、その両端から垂下する1対の対向片19bおよびこれらの対向片19bの前面側に配置された前片19cからなる下面および後面が開口する前面閉塞のコ字形部材であり、上片19aが下部ホルダ16の下面にねじ具、リベット等の締結具22、またはスポット溶接等により固定され、両対向片19bの外面が支持ブラケット18の両対向片18bの内面にそれぞれ摺動可能に重合状態で垂下し、前片19cが支持ブラケット18の前面開口部を塞ぐ状態となっている。
【0035】
そして、これら両ブラケット18,19の対向片18b,19bを貫通する状態でホルダ軸20が挿通されている。このホルダ軸20は、例えば両ブラケット18,19の対向片18b,19bを貫通するボルトとして構成され、ナット24により締結されている。
【0036】
ホルダ軸20には、スプリング25、例えば捩りコイルばねが巻装され、このスプリング25の一端は支持ブラケット18の下片18aの後部に圧接し、他端は回動ブラケット19の前片19cの上部に圧接している。これにより、工具ホルダ6の前端側が下向きに付勢され(矢印a)、これにより切断工具11の回転刃側を上方に向けて常時弾性的に付勢するようになっている。
【0037】
すなわち、図2に示すように、ホルダ軸20を中心とする時計方向の付勢力により、下部ホルダ16の前端側上部が下方(矢印a)に向って押圧され、切断工具11が保持される工具ホルダ6の後部を上昇させるようになっている。そして、非切断時には、回動ブラット19の前片19cの下端が支持ブラケット18の下片18aに当接する状態で工具ホルダ6が停止している。
【0038】
このように、工具ホルダ6は、スプリング25により切断工具11の側を上方に向けて常時弾性的に付勢する構成とされており、切断工具11の回転刃12はこの付勢力に抗して下方に向う押下げ力により被切断材26を切断する設定とされている。
【0039】
また、回動ブラケット19の上に支持される下部ホルダ16は、切断工具11を十分に支持するために、上部ホルダ17よりも前後方向に長い構成を有し、ナット切断工具11におけるボディ13の外周面を下側から保持する上面開放形とされている。この下部ホルダ16は、切断工具11におけるボディ13の左右方向の幅よりも幅狭な下部ホルダ底板16aと、この下部ホルダ底板16aの左右の側縁部から互いに離間する方向に向って傾斜状に起立する1対の下部ホルダ側板16bとを有し、これらの下部ホルダ側板16bにより切断工具11におけるボディ13の左右両側面下部をそれぞれ支持するようになっている。下部ホルダ16の前端側に、切断工具11におけるボディ13の円柱状の突起14が挿入される工具位置決め孔34が穿設されている。
【0040】
一方、下部ホルダ16の上側に配置される上部ホルダ17は、切断工具11を上側から十分に保持する前後方向長さ、例えば下部ホルダ16の約1/2程度の長さを有している。この上部ホルダ17は、切断工具11におけるボディ13の外周面を上側から保持する下面開放型とされている。この上部ホルダ17は、下部ホルダ16の各下部ホルダ側板16bの各上縁位置から、互いに接近する方向の傾斜をもって起立する左右1対の上部ホルダ側板17aと、これら各上部ホルダ側板17aの上縁間に連設されて切断工具11におけるボディ13の中心線位置の上面を上方から押圧保持する水平な平板状の上部ホルダ天板17bとを有する構成とされている。上部ホルダ天板17bの下面には、柔軟性のある樹脂等からなるライナ板27が接着されている。
【0041】
これら上部ホルダ17の下端と下部ホルダ16の上端とは、左側の接合部において蝶番28を介して開閉可能に枢着されるとともに、右側においては、上側ホルダに設けた着脱用の掛止具であるフック29aと、このフック29aに掛止される下部ホルダ16に設けたループ状針金29bおよび上下回動摘み29cとからなるホルダ閉止錠29によって閉止可能となっている。
【0042】
以上の構成により、工具ホルダ6は、前後方向から見て略六角形枠状をなす構成とされており、図3に示すように、切断工具11のボディ13を工具ホルダ6に保持した場合には、ボディ13の下側の左右2点(イ、ロ)が下部ホルダ16の内側傾斜面に支持されるとともに、上面の1点(ハ)が上部ホルダ17の下面のライナ板27に支持された状態、すなわち長さ方向直角断面においてボディ13の周囲を3点支持されており、これによりボディ13を3点支持により確実に固定保持できる構成となっている。
【0043】
上部ホルダ17後端側の上部には、図1および図4に示すように、ホルダ軸20を中心として上下方向に揺動するための工具操作用ハンドル7が接続されている。この工具操作用ハンドル7は、上部ホルダ17の上面に溶接等によって一端(前端)が固着された2段屈曲型の軽量な長板状アーム30と、このアーム30の他端(後端)に、ねじ具等の締結具によって連結された保護鍔31付きの丸棒状把手32とを有する構成とされている。この工具操作用ハンドル7は、工具ホルダ6の軸心と一致する傾斜角度で工具ホルダ6の後方に延在し、前述したように、スプリング25により非切断位置では台盤2の上方の高い位置に配置されている。
【0044】
次に、図5〜図8を参照して工具ホルダ6の工具位置決め孔34に対する、切断工具11のボディ13における突起14の係止構成において、偏心ブッシュ33を用いる場合について説明する。図5は、偏心ブッシュ33を用いた工具取付構造を示す斜視図であり、図6(A)は偏心ブッシュ33の支持構造を詳細に示す正面図であり、同図(B)は(A)のB−B線断面図、同図(C)は(A)の平面図である。図7(A)は偏心ブッシュ33を示す平面図であり、同図(B)は(A)のC−C線断面図である。図8は切断工具11における回転刃12の直角度を示す説明図である。
【0045】
工具ホルダ6の工具位置決め孔34に対しては、上記説明のように、切断工具11のボディ13における突起14を挿入して実施することが可能である。しかしながら、本発明の取付け対象となる切断工具11には種々の構成のものが存在し、機種によってはボディ13における突起14の径が多少異なる場合がある。そこで、本発明では工具ホルダ6の工具位置決め孔34の径を大きく設定しておき、適用可能な機種の範囲を拡げることが望ましい。
【0046】
この場合、本来的には、図8に示すように、切断工具11の回転刃12が台盤2に対して垂直度を確保した状態で下降し、所期の切断を行なうことが望ましい。ところが、工具ホルダ6の工具位置決め孔34の径よりも挿入すべきボディ13の突起14の径が小さいと、その隙間分だけ切断工具11のボディ13が回動し得る余裕が発生し、工具ホルダ6への固定保持の際に、回転刃12の被切断材26に対する直角度が微妙に変化した状態となる可能性がある。その場合には、切断工具11が微妙に傾斜して押切りによる切断精度が変化することが想定される。
【0047】
そこで、本実施形態においては、切断工具11のボディ13の外周面から突出する円柱状の突起14は、工具位置決め孔34に対して偏心する偏心孔35を有する偏心ブッシュ33を介して工具位置決め孔34に挿入される構成とされている。そして、偏心ブッシュ33を周方向に回転移動して偏心孔35の位置を調整し、所定の周方向位置決めにより偏心ブッシュ33を固定する構成となっている。すなわち、偏心ブッシュ33の周方向移動により、切断工具11のボディ13がその中心回りで回転し、切断工具11における回転刃12が台盤2の表面に対して垂直となる位置が決定できるため、その切断工具11における回転刃12が台盤2の表面に対して垂直となる姿勢に偏心ブッシュ33を調整して固定する構成となっている。
【0048】
具体的には、図5〜図7に示すように、偏心ブッシュ33が、工具ホルダ6の工具位置決め孔34に嵌挿されるブッシュ本体部としての挿入筒部33aと、この挿入筒部33aの上端に一体形成され、下部ホルダ底板16aの上面に載置されるフランジ部33bとから構成される。挿入筒部33aの外周面とフランジ部33bの外周面とは同心円上に配置されているが、これらを貫通する孔は偏心孔35としてブッシュ33の中心から偏心している。挿入筒部33aの周壁には、その肉厚が最大の部分に、軸直角方向に沿って、ねじ孔36が形成されている。
【0049】
一方、下部ホルダ底板16aの下面には、ブッシュ固定用ガイド部材37が装着されている。このブッシュ固定用ガイド部材37は、円弧状に湾曲した湾曲板38の両端位置に取付耳39を形成し、湾曲板38には周方向に沿う蝶ねじ挿入用スリット40を穿設した構成とされている。そして、取付耳39が下部ホルダ底板16aの下面における、工具位置決め孔34の周囲部に、湾曲板38の内周部が一致するように位置決めされている。なお、この位置決め用として、取付耳39と下部ホルダ底板16aとに、位置決め孔41が形成されている。これらの位置決め孔41を基準として取付耳39が下部ホルダ底板16aに溶接等によって接合固定され、これによりブッシュ固定用ガイド部材37が固定されている。この固定位置において、ブッシュ固定用ガイド部材37の蝶ねじ挿入用スリット40の高さ位置と、下部ホルダ底板16aの工具位置決め孔34に挿入される偏心ブッシュ33の挿入筒部33aに形成したねじ孔36の高さ位置とが一致する。
【0050】
そこで、偏心ブッシュ33を周方向に回転移動して偏心孔35の位置を調整し、所定の周方向位置決め時にブッシュ固定用の蝶ねじ42を締め付けて、偏心ブッシュ33を固定する。これにより、切断工具11におけるボディ13を、回転刃12が台盤2の表面に対して垂直となる位置を選定して、固定位置を決定することができる。
【0051】
なお、図1および図4に示すように、バイス8は、被切断材26を前方に押付ける押付け板43と、この押付け板43を移動調節するため回転用バイスハンドル44と、この両者を接続するバイスねじ45および連結ロッド46と、連結ロッド46をガイドするために台盤2のベース板に穿設したロッドガイド用スリット47と、台盤2の上に固定したバイスねじ保持具48等によって構成される。
【0052】
また、バイス8により押圧される被切断材26の受け具として、被切削材水平度調整具9が台盤2上に配置され、この被切削材水平度調整具9は台盤2のベース板に1対の角度調整ねじ49により、所定範囲内における任意の角度位置に角度調整されて固定される。
【0053】
以上の構成において、切断作業を行なう場合には、まず図3に仮想線で示したように、上部ホルダ17を回動させて下部ホルダ16を開状態とし、切断工具11のボディ13部を下部ホルダ16内に挿入する。
【0054】
この場合、図5〜図7に示した偏心ブッシュ33を使用して切断工具11の回転刃12の垂直度を設定する。
【0055】
その後、図3に実線で示したように、上部ホルダ17を回動させて下部ホルダ16を閉状態とし、ホルダ閉止錠29によって切断工具11のボディ13を下部ホルダ16内に固定する。これにより、図4および図8に示すように、切断工具11が工具ホルダ6内に所定の直角度をもって固定保持される。
【0056】
そこで、バイス8により必要な被切断材26を台盤2上に固定し、工具操作用ハンドル7の把手32を把持して、スプリング25の付勢力に抗して下方に移動させることにより、回転工具により、被切断材26を切断することができる。
【0057】
本実施形態によれば、台盤2に設けた工具ホルダ6が上下に2分され、一側が蝶番28により回動可能で、かつ他側がホルダ閉止錠29により開閉できる構成となっているので、開閉操作が容易で、切断工具11の着脱作業が迅速かつ簡便に行なえる。したがって、切断工具11の手持ち状態での移動切断作業と定位置における固定状態での切断作業との使用切換えが従来に比して極めて容易となり、同一工具の利用性増大、高効率化が図れる。これにより、ハンディタイプの切断工具11の利便性を一層向上することができる。
【0058】
また、工具ホルダ6は、下部ホルダ16および上部ホルダ17により例えば六角形状の簡易な構成とされ、かつ蝶番28およびホルダ閉止錠29等の少数部品によりコンパクトで効率のよい構成とされているため、製作容易化および低コスト化等が図れ、しかも切断工具11のホルダ内への位置決めおよび工具保持も容易、かつ確実に行なえる。したがって、定位置における固定状態での作業作業能率および安定性が向上し、作業上の信頼性を高めることができる。
【0059】
さらに、偏心ブッシュ33を適用した場合には、切断工具11のボディ13の周方向位置決めの微調整が容易かつ確実に行なえ、切断砥石、チップソー等のディスク状回転刃12の両側面を台盤2に対して高精度で垂直出しすることができ、これにより切断の精度向上も図れるようになる。
【0060】
なお、本実施形態では、上部ホルダ17と下部ホルダ16とにより構成される工具ホルダ6を前後方向から見て略六角形枠状をなす構成としたが、これは望ましい構成例を示したものであり、3点支持が可能であれば種々変形することが可能である。
【0061】
また、工具ホルダ6の開閉構成として、蝶番28およびホルダ閉止錠29等を設けたが、これらの形状や種類、左右配置等に関しては種々変更することが可能である。
【0062】
また、下部ホルダ16の下部ホルダ底板16aの工具位置決め孔34に偏心ブッシュ33を挿入し、偏心ブッシュ33の周方向位置決めにより切断工具11における回転刃12が台盤2の表面に対して垂直となる姿勢に調整し得る構成としたが、これは最も望ましい例を示したものであり、この偏心ブッシュ33に代えて、径の異なる複数の同心的なブッシュを適用したり、ブッシュを省略した構成とすることも可能である。
【0063】
また、工具ホルダ6の支持構造、ブラケット、ホルダ前傾用スプリング25、工具操作用ハンドル7の構成等についても、種々の変更が可能である。
【0064】
【発明の効果】
本発明によると、台盤に設けた工具ホルダの開閉操作が容易で、切断工具の着脱作業が迅速かつ簡便に行なえるため、切断工具の手持ち状態での移動切断作業と定位置における固定状態での切断作業との使用切換えが従来に比して極めて容易となり、同一工具の利用性増大、高効率化が図れ、ハンディタイプの切断工具の利便性を一層向上することができる。
【0065】
また、工具ホルダが少数部品によりコンパクトで効率のよい構成とされているため、製作容易化および低コスト化等が図れると同時に、切断工具のホルダ内への位置決めおよび工具保持も容易、かつ確実に行なえ、定位置における固定状態での作業作業能率および安定性が向上し、作業上の高信頼性も得られる。
【0066】
さらに、偏心ブッシュ33を適用した場合には、切断工具のボディの周方向位置決めの微調整が容易かつ確実に行なえ、切断砥石、チップソー等のディスク状回転刃の両側面を台盤に対して高精度で垂直出しすることができ、切断の精度向上も図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による切断工具取付台の構成を示す全体斜視図。
【図2】前記切断工具取付台の工具ホルダを拡大して示す側断面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】本発明の一実施形態による切断装置の構成を示す全体側面図。
【図5】本発明の一実施形態におけるブッシュを用いた工具取付構造を示す斜視図。
【図6】(A)は上記ブッシュの支持構造を示す正面図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(A)の平面図。
【図7】(A)は上記ブッシュを示す平面図、(B)は(A)のC−C線断面図。
【図8】切断工具の台盤に対する垂直度調整の状態を示す説明図。
【符号の説明】
1 切断工具取付台
2 台盤
3 ベース板
4 垂下側壁
5 脚
6 工具ホルダ
7 工具操作用ハンドル
8 バイス
9 被切断材水平角度調整具
10 回転刃挿入用スリット
11 切断工具
12 回転刃
13 ボディ
14 突起
15 刃物カバー
16 下部ホルダ
17 上部ホルダ
18 支持ブラケット
19 回動ブラケット
20 ホルダ軸
21,22 締結具
24 ナット
25 スプリング
26 被切断材
27 ライナ板
28 蝶番
29 ホルダ閉止錠
30 アーム
31 保護鍔
32 丸棒状把手
33 偏心ブッシュ
34 工具位置決め孔
35 偏心孔
36 ねじ孔
37 ブッシュ固定用ガイド部材
38 湾曲板
39 取付耳
40 蝶ねじ挿入用スリット
41 位置決め孔
42 蝶ねじ
43 押付け板
44 バイスハンドル
45 バイスねじ
46 連結ロッド
47 ロッドガイド用スリット
48 バイスねじ保持具
49 角度調整ねじ

Claims (6)

  1. 被切断材を略水平に載置固定し得る台盤に、モータ駆動式のディスク状切断砥石、チップソー等の回転刃を有するハンディタイプの切断工具における筒形のボディを、そのボディの中心線が前後方向に沿う配置で着脱可能に保持する工具ホルダを備えた切断工具取付台であって、前記工具ホルダは、前記台盤に設けた左右方向に沿うホルダ軸に揺動可能に支持されて前記切断工具における前記ボディの外周面を下側から保持する上面開放形の下部ホルダと、この下部ホルダの左右方向のいずれか一方の側に開閉可能に枢着されて前記切断工具における前記ボディの外周面を上側から保持する下面開放型の上部ホルダと、これらのホルダを閉状態において前記ホルダ軸を中心として上下方向に揺動させる工具操作用ハンドルとを備え、前記下部ホルダは、前記切断工具における前記ボディの左右方向の幅よりも幅狭な下部ホルダ底板と、この下部ホルダ底板の左右の側縁部から互いに離間する方向に向って傾斜状に起立し、前記切断工具における前記ボディの左右両側面下部をそれぞれ支持する1対の下部ホルダ側板とを有し、前記上部ホルダは、前記下部ホルダの各下部ホルダ側板の各上縁位置から互いに起立する左右1対の上部ホルダ側板と、これら各上部ホルダ側板の上縁間に連設されて前記切断工具における前記ボディの中心線位置の上面を上方から押圧保持する上部ホルダ天板とを有することを特徴とする切断工具取付台。
  2. 前記上部ホルダと前記下部ホルダとにより構成される前記工具ホルダは、前後方向から見て略六角形枠状をなすものである請求項1記載の切断工具取付台。
  3. 前記切断工具における前記回転刃は下方に向う押下げ力により前記被切断材を切断する設定とされており、前記工具ホルダは、スプリングにより前記切断工具を上方に向けて常時弾性的に付勢する構成とされている請求項1記載の切断工具取付台。
  4. 前記下部ホルダの下部ホルダ底板には、前記切断工具における前記ボディの外周面から突出する円柱状の突起を嵌挿する工具位置決め孔が穿設されている請求項1記載の切断工具取付台。
  5. 前記工具位置決め孔は円形孔であり、前記切断工具の外周面から突出する円柱状の突起は、前記工具位置決め孔に対して偏心する偏心孔を有する偏心ブッシュを介して前記工具位置決め孔に挿入され、前記偏心ブッシュの周方向位置決めにより前記切断工具における前記回転刃が前記台盤の表面に対して垂直となる姿勢に調整し得る構成とされている請求項4記載の切断工具取付台。
  6. 請求項1から5までのいずれかに記載の切断工具取付台に、前記切断工具を装着してなることを特徴とする切断装置。
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