JP4255636B2 - 小動物用忌避材 - Google Patents

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  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イヌ、ネコ、ネズミ、モグラ等の小動物類や、スズメ、ハト、カラス等の鳥類を含む小動物を効果的に忌避して撃退することができる忌避材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イヌ、ネコ、ネズミ、モグラの小動物類や、スズメ、ハト、カラス等の鳥類を含む小動物は、民家や農家の周囲に定期的に多数集まることが多い。これらの小動物に嫌悪感をもつ人にとっては、不愉快でまた甚だ危険である。また、その発する鳴き声には迷惑することも多い。また、スズメ、ハト、カラス等の鳥類は、農家や民家の周囲に大群で大挙して飛来して、その梨、柿等の果樹類や落花生などの作物を食い荒らすため、有害な鳥類と考えられている。特に、カラスは賢く、多数で行動し、その撃退は甚だ困難な状況下にある。
【0003】
従来、一般的に、上記したような小動物に対する撃退乃至忌避方法としては、かかしや、表面に円輪模様を描いたふうせん等の設置物を作物畑の周囲に配置するという視覚に訴える撃退方法、あるいは一定時間毎に警笛等の鳴らすという聴覚に訴える撃退方法によっていた。
【0004】
特に、イヌ、ネコネ、ネズミ等の小動物は一般的に臭覚が敏感なことから、その小動物が嫌がるような臭気を発散する臭覚に訴える撃退方法も採られている。この臭覚に訴える撃退方法によれば、臭気の発散が有効に発散される限り、その臭気に基づく効果が持続するという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、カラス等の鳥類は、視覚に優れているものの、臭覚については劣ることから、前記した設置物や警笛等に方法は有効であるが、すぐに慣れてしまうため、その有効性については限界があった。また、従来。鳥類が嫌がる臭気を発散する撃退方法は、鳥類は主に視覚あるいは聴覚により行動するという考えから、困難であると考えられてきた。
【0006】
この臭覚に訴える撃退方法には、民家等の周囲に臭気を安定的に発散させることが必要であるが、その発散する臭気が人にとって異臭ともなるから、その影響が大きく、また、その効果を長期間に亘り持続的に発揮させるのが困難であった。また、揮散性の殺戮剤を発散させる方法もあるが、人体に有害な農薬等の薬剤を使用するのは適当ではない。
【0007】
そこで、本発明では、上記したように、一般的に困難であるとの考えを覆して、小動物の臭覚に訴える撃退方法により、長期間に亘り持続的効果に小動物を忌避により撃退することができ、しかも人体には無害でかつ嫌悪感を生じさせることが少ない小動物用忌避材を簡単な構成で提供することを目的した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明の小動物用忌避材は、シナ粉重量部木粉4〜10重量部の加水混練物を一定形状に成形して乾燥固化させたものに、シトロネラオイルを主成分としてニームオイルを混合した混合植物精油を含有させてなることを特徴とする。
【0009】
上記した本発明の小動物用忌避材において、シナ粉とは、中国産、インドネシア産、日本産等のクスノキ科のタブノキに属する木の樹皮等を粉砕したものであり、その一般のものは加水混練物は比較的に強い粘りを示す。これに対し、木粉とは、スギ粉、一般材木の粉末、割り箸の削りかすの粉等であり、一般に加水混練物中でほとんど粘りを示さない有機粉である。また、木粉の他に、ニームパウダーやブラックシーズパウダー等の精油のしぼりかすをパウダー状にしたものを混入してもよい。
【0010】
そこで、シナ粉及び木粉の加水混練物は、その混練物中のシナ粉による粘りが、木粉を配合することによって、適度に調整された粘りを有するものとして得られる。この混練物の乾燥固化物は、極めて強固な固体物として得られるので、植物精油を良好な状態で含有保持させる基材とすることができる。
【0011】
シナ粉及び木粉との加水混練物において、シナ粉1重量部に対して、木粉が4状量部未満であると、シナ粉による粘りが大きくなり過ぎて、その混練物に対する成形が困難となるし、また、木粉が10重量部を超えると、シナ粉に基づく粘りが小さくなり過ぎて、その混練物の成形物を乾燥させても、強固な固体物として得ることができない。
【0012】
加水混練物におけるシナ粉及び木粉に対する加水量については、この加水混練物に対して成形可能であればよく、特に制限はないが、好ましくはシナ粉及び木粉の1重量部に対し、水が約1重量部の量である。
【0013】
この加水混練物の成形形状としては、ペレット状のものとして利用することができるが、環状や棒状のものであることが好ましい。環状の成形固化物であれば、その環状の孔内で支持して吊り下げて使用できるから、使用が容易になると共に、その環状の内外面から含有する植物精油を効率的に揮散させることができるから、広領域をカバーできる芳香を発散させるのに便利である。また、棒状の成形固化物であれば、その棒状の先端に着火して得られる薫香に含まれる植物精油を広領域に発散させて、その忌避効果をより効果的に発揮させることができる。この棒状には、直状の棒体としたもののほか、従来の蚊取り線香様にらせん状に形成したもの等も含まれる。
【0014】
本発明の忌避材におけるトロネラオイルを主成分とする植物精油としては、シトロネラオイルと、ニームオイル、ブラッククミンシーズオイル、シナモンオイル、クローブオイル、ジンジャーオイル、ナツメグオイル、カラダモンオイル、ペッパーオイル、カプサイシンオイル及びガーリックオイルから選択される1種又は2種以上との混合植物精油であってもよい。これらの混合植物精油について、小動物に対する忌避効果の有効性が確認される。
【0015】
ここで、シトロネラオイルとは、シトロネラ等のカンキツ系の植物精油であり、ニームオイルとはニームオイル等のセンダン科の植物精油、ブラッククミンシーズオイルとは別名ニゲラオイルともいい、黒種草の精油である。シナモンオイルとはケイヒの樹皮や葉からとった精油、クローブオイルとは、チョウジの蕾よりとった精油、ジンジャーオイルとはしょうがの根茎よりとった精油、ナツメグオイルとはニクズクの種よりとった精油、カルダモンオイルとはカルダモンの果実よりとった精油、ペッパーオイルとはコショウの実よりとった精油、カプサイシンオイルとは唐がらしの精油、及びガーリックオイルとはニンコニクの精油である。
【0016】
混合植物精油は、シトロネラオイルを主成分とするものを適用することができるが、その種類に応じて混合割合は一定せず、例えば、シトロネラオイルとニームオイルとの混合植物精油の場合、シトロネラオイルとニームオイルとが4:1重量部比の割合で混合したものであることが、シトロネラオイル単独を含有させた忌避材と比較して、忌避効果を同等若しくはより以上に高め得る点で好ましい。これによってシトロネラオイルの使用量を減らし、より安価な植物精油を混合使用することにより、当該忌避材をより経済的に得ることができる。
【0017】
前記した加水混練物の乾燥固化物に対する植物精油の含有方法としては、加水混練物の乾燥固化物を植物精油中に浸漬して含有させる方法のほか、植物精油を加水混練物の乾燥固化物に滴下して含有させる方法等、一般的な方法によることができる。また、混合植物精油の場合、予め植物精油を混合させたものを含有させてる方法のほか、前記した乾燥固化物に2種以上の植物精油を順に滴下により含有させる方法によってもよい。
【0018】
植物精油は、乾燥固化物におけるシナ粉と木粉との間の接着部分のみならず、シナ粉及び木粉の有機粉自体にまで浸透する状態で含有されるから、相当量の植物精油を含有保持させることができる。従って、長期間に亘り植物精油に基づく忌避効果のある成分を有効に発散させることが可能である。
【0019】
本発明の小動物用忌避材における植物精油の含有量は、前記した加水混練物の乾燥固化物1重量部に対して、0.5〜0.6重量部であることが好ましく、約0.55重量部であることがより好ましい。植物精油の含有量が、0.5重量部未満であると、その有効成分の発散量か不十分であるかあるいは十分な発散期間が極く短期間となってしまう。また、その含有量が0.6重量部を超える量を含有させるのは困難だからである。
【0020】
本発明の小動物用忌避材は、粒状あるいは顆粒状に成形したものを対象となる地面の周囲に、50〜200g/m2 の量を配置乃至散布することができる。この場合、粒状乃至顆粒状の忌避材から含有する植物精油が徐々に発散して、その対象領域の地面付近に臭気を発散することにより、地面上で徘徊するイヌ、ネコ、モグラ等の小動物を忌避し撃退することができる。
【0021】
小動物用忌避材が、環状のものである場合には、上記同様に、対象領域の地面上に配置して利用することもできるが、その環状の孔に紐を通して、中空域に吊り下げた状態で使用することができる。この場合、植物精油の臭気がその環状の忌避材の内外面から発散されることにより、その対象領域の中空部を含むより広い領域を臭気でカバーさせることがてきる。従って、鳥類を含む多種類の小動物に対し、より効果的にその忌避効果を発揮させることができ、これにより確実に小動物を撃退することができる。
【0022】
小動物用忌避材が、棒状のものである場合には、その棒状の先端部に着火し、その着火に伴う薫香を伴って含有する植物精油を効率的に周囲に発散させることができる。この場合、植物精油は、着火に伴う薫香の上昇気流に伴いより上方へ発散されるから、その臭気による忌避作用はより効果的に発揮される。
【0023】
このように、対象領域の地面上と周囲付近のみならず、その上方の中空域にまで効果的にその忌避作用を及ばせることができるから、特に、空から飛来する鳥類に対し、その忌避作用を有効に作用させることができる。これにより、従来撃退が困難であると考えられてきたカラス(ハシブトカラス、ハシボソカラス等)に対しても効果的に忌避して撃退することが可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施の形態の小動物用忌避材を次のように作成した。シナ粉と木粉とを1:4〜10重量部の割合で混合し、この混合粉中に水を同量注加して混練した。この水混練物は粘土状のものとなり、これを環状に成形した。次いで、この環状物を自然乾燥又は冷風乾燥させた。この結果、強固に定形化された乾燥固化物を得た。
【0025】
次いで、この乾燥固化物を基材として、この基材中にシトロネラオイルを主成分とする植物精油中に5〜10分間浸漬することにより含有させて、図1に示す、内径:30mm、外径:60mm、厚:15mmの小動物用忌避材1を得た。
【0026】
図2に示す小動物用忌避材10は、前記した環状の小動物用忌避材1に代えて、長さ10〜30cm、径φ2〜3mmの直状の棒体として形成したものである。すなわち、加水混練物を棒状に形成し、その乾燥固化物に上記同様の植物精油を含有させたものである。
【0027】
小動物用忌避材1は、図1に示すように、その環状の孔1aにロープ2を通して、さらに図3及び図4に示すように、ロープ2の両端を支柱3に支持することができる。これにより、小動物用忌避材1を中空位置に吊り下げた状態で使用することができる。小動物用忌避材1は、約1m間隔で複数個使用した。
【0028】
このように吊り下げ状態の小動物用忌避材1では、図1に示すように、含有する植物精油をその環状の外周部のみならず、その内周部からも発散させることができるから、図3及び図4に示すように、その含有する植物精油の芳香を対象領域Aの地面Aaの周囲及びその中空域に及ばせることができる。従って、対象領域A内の樹木4の果実等に対して小動物を効果的に忌避して撃退することができる。
【0029】
上記した小動物用忌避材1、10は、その乾燥固化物中に相当量の植物精油を含有保持させることができるから、その植物精油の芳香に基づく忌避作用を長期間に亘り発揮させることができる。
【0030】
特に、小動物用忌避材10については、線香に着火する態様で、その棒状の先端部10aに着火して使用することができる。図5及び図6に示すように、この場合、着火に伴う薫煙11は、その火力により含有する植物精油を積極的に発散させながら、その上昇気流に伴って領域Aaの中空部の高い域内にまで達する。これにより、より広範な領域をカバーしてより効果的に、その忌避作用を発揮させることができる。
【0031】
【実施例】
(実施例1〜4)ネズミに対する忌避
シナ粉:スギ粉=1:4、1:6、1:8及び1:10重量部の割合でそれぞれ混ぜて、これらの加水混練物を図1に示す態様で成形し、その乾燥固化物にシトロネラオイルをそれぞれ35重量%の割合で浸漬含有させることにより、小動物用忌避材1をそれぞれ作成した。
【0032】
これらの小動物用忌避材1を実施例1〜4の検体とし、各検体について、その複数個を、ネズミが頻繁に出没する対象領域Aの周囲に沿った地面Aaの上部に約1m間隔でそれぞれ配置した。
【0033】
この結果、いずれの実施例の検体についても、設置した日から1日後においても、その対象領域内にはネズミは全く発見されなかった。
【0034】
(実施例5〜8)ネコに対する忌避
シナ粉:スギ粉=1:4、1:6、1:8及び1:10重量部の割合でそれぞれ混ぜて、これらの加水混練物を図1に示す態様で成形し、その乾燥固化物にシトロネラオイルとニームオイルとを4:1重量部の割合で混合した混合植物精油を、それぞれ35重量%の割合で浸漬含有させることにより、小動物用忌避材1をそれぞれ作成した。
【0035】
これらの小動物用忌避材1を実施例5〜8の検体とし、各検体について、その複数個を、ネコが頻繁に出没する対象領域Aの周囲に沿った地面Aaの上部に約1m間隔でそれぞれ配置した。
【0036】
この結果、いずれの実施例の検体についても、設置した日から1日後においても、その対象領域内にはネコは全く発見されなかった。
【0037】
(実施例9〜12)ハトに対する忌避
シナ粉:スギ粉=1:4、1:6、1:8及び1:10重量部の割合でそれぞれ混ぜて、これらの加水混練物を図1に示す態様で個別に成形し、その乾燥固化物にシトロネラオイルとニームオイルとを4:1重量部の割合で混合した混合植物精油を、それぞれ35重量%の割合で浸漬含有させることにより、小動物用忌避材1をそれぞれ作成した。
【0038】
これらの小動物用忌避材1を実施例9〜12の検体とし、各検体について、その複数個を、図3及び4に示す態様で、多数のハトが頻繁に飛来する対象領域Aの周囲に沿って吊り下げて使用した。この場合、各検体について、地面Aaの上方約0.5mの位置であって、それぞれ約1m間隔の位置に吊り下げた。
【0039】
この結果、いずれの実施例の検体についても、設置した日から1日後においても、その対象領域内にハトは全く寄りつかなかった。
【0040】
(実施例13〜16)カラスに対する忌避
シナ粉:スギ粉=1:4、1:6、1:8及び1:10重量部の割合でそれぞれ混ぜて、これらの加水混練物を図1に示す態様で成形し、その乾燥固化物にシトロネラオイルとニームオイルとを4:1重量部の割合で混合した混合植物精油を、それぞれ35重量%の割合で浸漬含有させることにより、小動物用忌避材1をそれぞれ作成した。
【0041】
これらの小動物用忌避材1を実施例13〜16の検体とし、各検体について、その複数個を、図3及び4に示す態様で、カラスが頻繁に飛来する対象領域Aの周囲に沿って吊り下げて使用した。この場合、各検体について、地面Aaの上方約0.5mの位置であって、それぞれ約1m間隔の位置に吊り下げた。
【0042】
この結果、いずれの実施例の検体についても、設置した日から20日後においても、その対象領域内にカラスは全く寄りつかなかった。
【0043】
【発明の効果】
上述したように本発明は構成されるから、次のような効果が発揮される。本発明の小動物用忌避材は、シナ粉と木粉とを原料とする加水混練物によりなるから、その成形した状態の乾燥固化物が得られる。この乾燥固化物は、シナ粉と木粉の有機物の繊維質によりなるので、植物精油を相当量安定した状態で含有保持させることができる。従って、長期間に亘って植物精油による忌避作用を及ぼすことができる。
【0044】
この乾燥固化物は、それ自体強固な形態で得られるから、乾燥固化物に植物精油を含有させなる忌避材は、環状に成形されたものはそのまま吊り下げた状態で使用することが可能となる。この場合、その環状形状に応じて、含有する植物精油を効率的に対象領域の周囲に発散させることができ、これによりその忌避効果を高めることができる。この発散する植物精油は、小動物を効果的に忌避できるが、人に嫌悪感を与えることが少ない。
【0045】
前記したように、この乾燥固形物は、シナ粉と木粉とからなるので、忌避材が棒状に形成されているときには、その先端部に着火して薫香が生じる状態で使用することもできる。この場合、薫香に伴い含有する植物精油の揮散が促進されるから、その忌避作用をより増強させることができると共に、より広い領域を対象することが可能となる。
【0046】
また、植物精油として、シトロネラオイルを主成分としてニームオイルを混合した混合植物精油を使用することにより、小動物用忌避材をより経済的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小動物用忌避材の環状形態と利用態様を説明する斜視図である。
【図2】本発明の小動物用忌避材の直状の棒体形態と利用態様を説明する斜視図である。
【図3】本発明の環状の小動物用忌避材を利用する場合の設置態様を説明する平面図である。
【図4】本発明の環状の小動物用忌避材を利用する場合の設置態様を説明する正面図である。
【図5】本発明の直状の棒体の小動物用忌避材を利用する場合の設置態様を説明する正面図である。
【図6】本発明の直状の棒体の小動物用忌避材を利用する場合の設置態様を説明する正面図である。
【符号の説明】
1 小動物用忌避材
1a 孔
2 ロープ
3 支柱
10 10 小動物用忌避材
11 薫煙
A 対象領域
Aa 地面

Claims (4)

  1. シナ粉重量部木粉4〜10重量部の加水混練物を一定形状に成形して乾燥固化させたものに、シトロネラオイルを主成分としてニームオイルを混合した混合植物精油を含有させてなることを特徴とする小動物用忌避材。
  2. 前記混合植物精油は、シトロネラオイル4重量部:ニームオイル1重量部としてあることを特徴とする請求項1に記載された小動物用忌避材。
  3. 水と、シナ粉及び木粉との混練物が、環状に成形されてなる請求項1又は2に記載された小動物用忌避材。
  4. 水と、シナ粉及び木粉との混練物が、棒状に成形されてなる請求項1又は2に記載された小動物用忌避材。
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