JP4255221B2 - 遮光性感光材料ロールとアダプタとの組体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光材料を利用する製版機に明室で装填する遮光性感光材料ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感光材料を利用する製版機には、長尺状感光材料シートが巻芯に巻き付けられたロール状態で装填されている。通常、感光材料ロールは明室で製版機に装填できるように、側面がリング状遮光シートで、その周囲が遮光リーダで覆われている(以下、遮光部材で覆われている感光材料ロールを、遮光性感光材料ロールという)。
【0003】
遮光性感光材料ロールは通常、巻芯に挿入された駆動軸により製版機内で支持される。製版機はその機種によって、駆動軸の径が異なっている。このため、遮光性感光材料ロールの巻芯に、各種の製版機の駆動軸に適合した内径を有する遮光性フランジ付きアダプタを装着して用いる方式が利用され、遮光性感光材料ロール用のアダプタの開発が進められている。
【0004】
特開2000−181018号公報には、巻芯に挿入するアダプタの筒部の外側面に、弾性体であるローリング体(Oリング)を配置したアダプタが提案されている。この公報によれば、ローリング体付きアダプタは、遮光性感光材料ロールの巻芯に強固に固定でき、かつ遮光性感光材料ロールとの着脱が容易であるとされている。
【0005】
一方、本出願人は、巻芯の両側開口部に、内壁に長さ方向に延びる溝が設けられた円筒部を有する一対の遮光性フランジ付き円筒を挿入し、そして遮光性フランジ付き円筒の溝に対応した凸部が外側面に設けられた円筒突起部を有する遮光性フランジ付きアダプタを挿入し、遮光性フランジ付き円筒の溝とアダプタの凸部を係合させることによって、アダプタを遮光性感光材料ロールの巻芯に強固に装着できることを見出し、この発見に基づく発明について既に特許出願している(特願2001−49365号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の凸部付きアダプタは、前記公報に記載のアダプタと比較してローリング体を必要としない点で、コスト的に好ましい。凸部付きアダプタは、凸部と遮光性フランジ付き円筒の溝との係合により、アダプタが遮光性フランジ付き円筒の円筒部内にて空回りしないように固定される。しかしながら、本発明者の研究よれば、アダプタの凸部と遮光性フランジ付き円筒の溝とを工業的に確実に係合させることは難しく、アダプタの凸部と遮光性フランジ付き円筒の溝とが係合されないまま、アダプタが遮光性感光材料ロールに装着されてしまうことがあることが判明した。
【0007】
従って、本発明の目的は、遮光性感光材料ロールの巻芯に挿入された遮光性フランジ付き円筒の溝に、工業的に容易な手法で、アダプタの凸部を確実に係合させることができる遮光性感光材料ロールとアダプタとの組体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、長尺状感光材料シートを中空状の巻芯の周囲に巻き付けてなる感光材料ロール、該巻芯の各両端部に取り付けられた、該感光材料ロールの半径と略同一の半径を持つ一対のリング状側面遮光シート、該長尺状感光材料シートの先端部に接合されていて、両側端部が各リング状側面遮光シートの外周全体を覆うように配置された遮光リーダからなり、さらに、巻芯の両側開口部のそれぞれに挿入された、内壁に長さ方向に延びる溝が設けられた円筒部を有する一対の遮光性フランジ付き円筒を備えた遮光性感光材料ロール、そして該遮光性フランジ付き円筒の両開口端部のそれぞれに挿入される、該円筒の溝に対応した凸部が外側面に設けられた円筒突起部を有する一対の遮光性フランジ付きアダプタからなる遮光性感光材料ロールとアダプタとの組体であって、遮光性フランジ付き円筒の円筒部の内周がアダプタ挿入用開口端部にて拡げられ、前記溝が拡げられた円周端面に連なっていることを特徴とする遮光性感光材料ロールとアダプタとの組体にある。
【0009】
本発明の組体において、遮光性フランジ付き円筒の溝は、二個以上設けられていることが好ましく、二個以上の溝が、それぞれ円筒部の中心線に対して対称の位置にて設けられていることがより好ましい。さらに、遮光性フランジ付き円筒の溝のうち、少なくとも一個の溝がアダプタ挿入用開口側端部にて、拡げられた溝幅を有することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の遮光性感光材料ロールとアダプタとの組体の構成、及びその主要な構成部材について添付図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の遮光性感光材料ロールとアダプタとの組体の一例の斜視図であり、図2は、図1の組体の分解斜視図である。組体は、遮光性感光材料ロール10と、遮光性感光材料ロール10に装着された遮光性フランジ付きアダプタ30とからなる。
【0012】
感光材料ロール1は、巻芯2の周囲に長尺状の感光材料シート3を巻き付けてなる。
感光材料シート3の例としては、印刷用感光材料(写真製版用あるいは写植用の感光材料フィルム又はペーパー)及び印画紙用感光材料(カラーペーパー又は白黒印画紙)を挙げることができる。印刷用感光材料の具体的な例としては、カメラフィルム、コンタクトフィルム、ストリッピングフィルム、デュープリケーティングフィルム、レーザフィルム、カメラペーパー、コンタクトペーパー、ストリッピングペーパー、デュープリケーティグペーパー、レーザペーパー、ドライファクシミリフィルム、リスフィルム、グラビアフィルムを挙げることができる。また、印画紙用感光材料の具体的な例としては、カラーペーパー、カラーレーザペーパー、反転カラーペーパー、クロームペーパー、密着用印画紙、引延用印画紙、引延用多階調印画紙、特殊用印画紙を挙げることができる。
【0013】
巻芯2の厚さは、通常は、1〜5mmの範囲内である。巻芯2には、通常は、紙管を用いるが、ポリスチレンなどの樹脂から形成したプラスチック菅やアルミニウムなどの金属から形成した金属管を用いることができる。巻芯2の外側表面には、ポリエチレンラミネート紙あるいは発泡ウレタンシートなどの緩衝シート(クッションシート)を巻き付けて、巻芯に接する感光材料シートに巻芯の押し跡が付かないようにしてもよい。
【0014】
遮光性感光材料ロール10は、感光材料ロール1、巻芯2の各両端部に取り付けられるリング状側面遮光シート4、感光材料シート3の先端部に接合され、その周囲に巻き付けられる遮光リーダ6、そして、巻芯2の両側開口部のそれぞれに挿入される、内壁に長さ方向に延びる溝23が設けられた円筒部を有する一対の遮光性フランジ付き円筒20からなる。感光材料ロール1の周囲に巻かれた遮光リーダ6の末端は粘着テープ9によって止められている。
【0015】
リング状側面遮光シート4の半径は、感光材料ロール1の半径と略同一であり、通常は、感光材料ロールの半径と同じか、もしくは感光材料ロールよりもわずかに小さくする。リング状側面遮光シート5の中央に設けられている円孔5は、直径が巻芯2の内径よりも大きく外径よりも小さい。リング状側面遮光シート4の厚さは、通常は、0.1〜0.5mmの範囲内である。リング状側面遮光シート4の剛性は、JIS−P−8143(紙の自重曲げ法によるこわさ試験方法)に規定されたクラーク法に準じて測定した値において30〜150[(cm)3]の範囲内にあることが好ましい。
【0016】
リング状側面遮光シート4の材料には、カーボンブラックなどの遮光性粉末が1〜10重量%の範囲内で分散されているポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン(特に、耐衝撃性ポリスチレン)、ポリエステル、ポリプロピレンなどの樹脂を用いることができる。
【0017】
リング状側面遮光シート4は、上記の樹脂材料から形成された単層のシートであってもよいが、上記の樹脂材料から形成されたフィルムを2枚以上積層した積層シートであることが好ましい。リング状側面遮光シート用の積層シートの例としては、ポリエチレンフィルム(厚さ:20〜40μm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:25〜100μm)/ポリエチレンフィルム(厚さ:20〜40μm)の三層構成の積層シートを挙げることができる。また、リング状側面遮光シートとフランジ付き円筒のフランジとを熱融着させる場合には、一方の表面に低温ヒートシール性のフィルム(例:エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム)を有する積層シートを用いることもできる。低温ヒートシール性のフィルムを有する積層シートの具体的な例としては、上記三層構成の積層シートの一方の表面にエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを貼り合わせた四層構成の積層シート、あるいは上記三層構成の積層シートの一方のポリエチレンフィルムをエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを置き換えた三層構成の積層シートを挙げることができる。低温ヒートシール性のフィルムを一方の表面に有するリング状側面遮光シートでは、低温ヒートシール性のフィルム面と他方の面とが目視で判別できるように、例えば、低温ヒートシール性のフィルム面を黒色にし、他方の面をグレー色にするなど、それぞれを色分けすることが好ましい。
各フィルムの貼り合わせには各種ラミネート法(例:ドライラミネート法)を採用することができる。
【0018】
図3は、本発明の組体に好適に用いることができる遮光性フランジ付き円筒の一例を示す斜視図であり、図4は、図3に示した遮光性フランジ付き円筒のアダプタ挿入用開口部の拡大斜視図である。本発明の組体に用いる遮光性フランジ付き円筒20は、円筒部21の内周がアダプタ挿入用開口端部にて拡げられて円周端面25が形成されていることに主な特徴がある。
【0019】
アダプタ挿入用開口端部に円周端面25が形成されている遮光性フランジ付き円筒20では、アダプタの円筒突起部が挿入されると、円周端面25にアダプタの凸部の先端面が接触する。そして、アダプタ30を円筒突起部31を軸として回転させることにより、溝23のアダプタ挿入用開口端部側の先端と、アダプタの凸部33の先端との位置合わせを行うことができる。
【0020】
図3及び図4では、溝23は、一方の側面が斜めに切り込まれた形でその溝幅が拡げられて円周端面25に連なっている。溝幅が拡げられた側の溝23の側面(以下、傾斜面という)26は、溝23とアダプタの凸部との位置合わせをより円滑にする機能を有する。すわなち、円周端面25に接触したアダプタ30の凸部33の先端面を、傾斜面26側から溝23の開口端部側に接触させることによって、溝23とアダプタの凸部との位置合わせがより円滑になる。傾斜面26を溝の両側に設けても良いが、傾斜面26が設けられていない側の溝の側面は、アダプタ30の凸部33が溝23を超えないようにする滑り止めとして機能するので、溝の一方の側に傾斜面を設ける方が好ましい。
【0021】
図5は、遮光性フランジ付き円筒の別の一例を示すアダプタ挿入用開口部の拡大斜視図である。
図5(a)は、溝23と円周端面25との角のみを切り落とした形で傾斜面27が形成された遮光性フランジ付き円筒の一例である。
図5(b)は、傾斜面が設けられていない(溝幅が拡げられていない)遮光性フランジ付き円筒の一例である。
【0022】
図6は、図3に示した遮光性フランジ付き円筒の断面図である。遮光性フランジ付き円筒の円筒部21は、長さが20〜50mmの範囲内にあることが好ましく、厚さが0.5〜1mmの範囲内にあることが好ましい。遮光性フランジ付き円筒のフランジ部22は、外径が円筒部21の外径の1.1〜1.3倍の大きさであることが好ましく、厚さが0.1〜0.5mmの範囲内にあることが好ましい。円筒部21の先端はテーパ状になっていることが好ましい。円筒部21の内壁の円周端面の幅は0.2〜0.4mmの範囲内にあることが好ましい。溝23の個数は、2個以上であることが好ましく、通常は、4〜6個である。溝23は、深さが円筒部の厚さの30〜80%に相当する深さであることが好ましく、幅が0.5〜1.0mmの範囲内にあることが好ましい。溝23は、円筒部21の先端から1mm程度離れた位置からアダプタ挿入用開口端部に延びていることが好ましい。溝23が円筒部の先端に接すると、円筒部が溝23から裂け易くなる傾向がある。円筒部21の外径は、巻芯の内径の100.1〜103%のサイズとすることが望ましく、さらに、円筒部の外側面のフランジ部側の周囲には、円筒部の厚さの5〜10%に相当する深さの筒部凹陥部24を設けることが好ましい。
【0023】
図7は、円筒部の外径が巻芯の内径よりも大きく、円筒部の外側面に筒部凹陥部が設けられている遮光性フランジ付き円筒が巻芯に挿入されている遮光性感光材料ロールの一例の断面図である。円筒部21の外径を巻芯の内径よりも大きくし、筒部凹陥部24を設けることによって、遮光性フランジ付き円筒20の円筒部21は筒部凹陥部24にて内側に湾曲する。そして、筒部凹陥部24の突起28が巻芯2の内壁に強く接触するため、遮光性フランジ付き円筒20と巻芯2との係合性が高くなる。
【0024】
遮光リーダ6は、通常は、巻芯2にリング状側面遮光シート4を取り付けた後に、感光材料ロールの周囲に巻き付ける。遮光リーダ6の長さは、リング状側面遮光シートの外周以上の長さであり、通常は、リング状側面遮光シートの外周の2〜3倍の長さである。遮光リーダ6の幅は、その両端部がリング状側面遮光シートの外側表面に接触する程度に感光材料ロールの幅よりも広くされる。
【0025】
遮光リーダ6の両端部をリング状側面遮光シート4の外側表面に接触させる方法には、遮光リーダに熱収縮性遮光シートを用い、熱収縮性遮光シートを熱収縮させる方法を用いることが好ましい。遮光リーダに熱収縮性遮光シートを用いる場合には、遮光リーダ全体を熱収縮性遮光シートとしても良いが、リング状側面遮光シートの外側表面に接触させる部分だけに熱収縮性遮光シートを用いることが、材料コストの面で好ましい。
図2に示す遮光リーダ6は、幅が感光材料シートと同じで、熱収縮性をほとんどあるいは全く有しない遮光シート7の両側端部に熱収縮性遮光シート8を付設した構成となっている。
【0026】
遮光シート7の材料には、カーボンブラックなどの遮光性顔料を混入させた低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を用いることができる。遮光シートは、上記の樹脂材料から形成された単層のシートであってもよいが、上記の樹脂材料から形成されたフィルムを2枚以上積層した積層シートであることが好ましい。遮光シート用の積層シートの例としては、ポリエチレンフィルム/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレンフィルムの三層構成の積層シートを挙げることができる。ポリエチレンフィルムは厚さが20〜100μmの範囲内、ポリエチレンテレフタレートフィルムは厚さが25〜175μmの範囲内にあることが好ましい。各フィルムの貼り合わせには各種ラミネート法(例えば、ドライラミネート法)を採用することができる。
【0027】
熱収縮性遮光シート8は、長さ方向の熱収縮率が幅方向の熱収縮率より相対的に大きいことが好ましい。例えば、100℃における熱収縮性遮光フィルムの長さ方向の熱収縮率は、5%以上、好ましくは15%以上であり、幅方向の収縮率よりも絶対的な差として、1%以上、好ましくは3%、さらに好ましくは5%以上大きいことが望ましい。なお、上記の熱収縮性遮光フィルムの熱収縮率は、JIS−Z−1709−1976(収縮包装用フィルム)に規定されている方法に準じて測定した値である。
【0028】
熱収縮性遮光シート8は、長さ方向に引裂き可能であることが好ましく、長さ方向におけるエルメンドルフ引裂荷重が、0.1〜0.5Nの範囲内にあることがより好ましい。長さ方向におけるエルメンドルフ引裂荷重が、0.5Nより大きくなると熱収縮性遮光シートを引裂きにくくなる傾向があり、また、エルメンドルフ引裂荷重が、0.1Nより小さくなると、遮光性感光材料ロールの輸送時に、熱収縮性遮光フィルムが引き裂けやすくなる傾向がある。なお、上記の熱収縮性遮光フィルムのエルメンドルフ引裂荷重は、JIS−K−7128−2:1998(プラスチック−フィルム及びシートの引裂き強さ試験方法−第2部)に規定されている方法に準じて測定した値である。
【0029】
熱収縮性遮光シート8には、長さ方向に大きな熱収縮性を有し、かつ長さ方向に引裂き可能な透明あるいは半透明のシュリンクフィルムと、熱収縮性をほとんどあるいは全く示さない遮光性フィルムとを貼り合わせた積層シートを用いることができる。特に、遮光性フィルム/シュリンクフィルム/遮光性フィルムの三層構成の積層シートが好ましい。遮光性フィルム及びシュリンクフィルムは厚さがそれぞれ10〜30μmの範囲内にあることが好ましい。シュリンクフィルムには、例えば、ファンシーラップ(商品名、グンゼ(株)製)のグレードがTHS、TNS、TAS、TBS、TRSを用いることができる。遮光性フィルムには、例えば、カーボンブラックなどの顔料を混入させた低密度ポリエチレンフィルムなどのフィルムを用いることができる。
【0030】
図8は、本発明の組体に好適に用いることができるアダプタの一例の斜視図であり、図9は、図8のアダプタの断面図である。
アダプタの円筒突起部31は、長さ方向の中央から先がテーパ状になっていることが好ましい。円筒突起部31の厚さは1〜3mmの範囲内にあることが好ましい。凸部33の長さは、円筒突起部31の長さ方向の中央を超える長さで、前記のフランジ付き円筒の溝の長さと同等あるいはそれより短いことが好ましい。
【0031】
アダプタフランジ部32には、リング状側面遮光シートの周縁部が接する部分にリング状のフランジ凹陥部34が設けられていることが好ましい。フランジ凹陥部34はまた、円筒突起部31に向かって傾斜していることが好ましい。さらに、フランジ凹陥部34が設けられていないアダプタフランジ部22のリング状側面遮光シートに接する部分の表面はリング状側面遮光シートの厚さ分だけ削られていることが好ましい。アダプタフランジ部32の厚さは外周部で、2.8〜3.5mmの範囲内であることが好ましく、フランジ凹陥部34の厚さは0.8〜1.6mmの範囲内であることが好ましい。アダプタフランジ部32のリング状側面遮光シートに接する部分の厚みは、2.4〜2.7mmの範囲内であることが好ましい。
【0032】
アダプタの材料には、カーボンブラックなどの遮光性顔料を混入させたポリカーボネート、ポリスチレン(特に、耐衝撃性ポリスチレン)、ポリエステル、ポリプロピレンなどの樹脂を用いることができる。又、カーボンブラックなどの遮光性顔料を混入させた生分解性樹脂、紙樹脂などの樹脂を用いることもできる。
【0033】
製版機には、感光材料ロールから巻き出して露光させた感光材料シートを再度、元の感光材料ロールの巻芯に巻き戻す機構があるものもあり、遮光性感光材料ロールは、一旦巻き出した感光材料シートを再度、巻芯に円滑に巻き戻せるものであることが望まれている。アダプタ付き遮光性感光材料ロールでは、感光材料シートの巻き出し時にリング状側面遮光シートが感光材料ロール側(アダプタフランジの反対側)に傾斜しやすい傾向にあり、感光材料ロールから巻き出した感光材料シートを元の感光材料ロールの巻芯に巻き戻す際に、リング状側面遮光シートの周端部表面に感光材料の側端部が接触し、感光材料シートが巻きずれを起こすことがある。この感光材料シートの巻きずれを起こりにくくするために、本発明の組体では、リング状側面遮光シートをアダプタフランジ部に接着固定することが好ましい。
【0034】
図10は、本発明の組体の一例の部分断面図である。リング状側面遮光シート4は、アダプタ30のアダプタフランジ部32の内側面に接着剤35にて接着固定されている。
【0035】
接着剤35には、ホットメルト型感圧接着剤(例えば、ベースポリマーにエチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンなどのブロック共重合体、ポリアミド、アクリルエステル共重合体を用いたもの)、エマルジョン系接着剤(例えば、アクリルエマルジョン)、ゴム系感圧接着剤(例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、再生ゴム、スチレンブタジエンゴム)などの各種感圧接着剤を用いることができる。これら感圧接着剤のなかでもホットメルト型感圧接着剤が好ましく、特に常温固化型ホットメルト型感圧接着剤が好ましい。常温固化型ホットメルト型感圧接着剤の市販品の例としては、新田ゼラチン(株)製の常温粘着ニットタイトHT−400Qを挙げることができる。なお、接着剤の変わりに両面テープを用いて、リング状側面遮光シート4をアダプタ30のアダプタフランジ部32に固定しても良い。
【0036】
本発明の組体では、アダプタを外した状態、すなわち遮光性感光材料ロール単体でも製版機に装填することができる。通常、遮光性感光材料ロール単体を製版機に装填する場合には、製版機の感光材料ロール用の駆動軸は遮光感光材料ロールの巻芯に挿入される。本発明の組体においては、遮光性感光材料ロールの巻芯内壁には、遮光性フランジ付き円筒の筒部が挿入されており、製版機の駆動軸には遮光性フランジ付き円筒の筒部の内壁が接触する。遮光性感光材料ロールの巻芯に挿入された遮光性フランジ付き円筒の筒部の長さが、製版機の駆動軸の長さよりも過度に短いと、遮光性フランジ付き円筒の筒部と駆動軸との接触面積が狭くなり、製版機の使用時に駆動軸が空回りすることがある。このため、遮光性感光材料ロールの巻芯内壁には、遮光性フランジ付き円筒の円筒部の先端を延長した位置に、円筒部の厚みと略同一の厚みを有するスペーサシートを接着固定し、製版機の駆動軸と遮光性感光材料ロールの巻芯内壁との接触面積を広くすることが好ましい。
【0037】
図11は、遮光性感光材料ロールの巻芯にスペーサシートが接着固定されている本発明の組体の一例の断面図である。スペーサシートの厚さは、通常は遮光性フランジ付き円筒20の円筒部21の厚さの−0.2〜+0.3mmの範囲内とすることが好ましい。スペーサシート36には巻芯の内壁に接着固定できるものであれば、紙板、ポリスチレンなどの樹脂から形成したプラスチック板、アルミニウムなどの金属から形成した金属板などの各種の板状物、又は、紙管、プラスチック管、あるいは金属管などの筒状物を用いることができる。
【0038】
遮光性感光材料ロール単体で製版機に装填する場合には、遮光性フランジ付き円筒の円筒部の内壁に凹凸を形成することが好ましい。製版機の駆動軸の外側面には、通常、巻芯との接触を強めるための突起が設けられており、この突起と遮光性フランジ付き円筒の内壁の凹凸とを係合させることにより、遮光性感光材料ロールの巻芯に挿入された駆動軸が空回りしにくくなるからである。
【0039】
【実施例】
[実施例1]
図3に示した形状の遮光性フランジ付き円筒を下記のサイズで作成した。
(1)円筒部の外径:74.05mm
(2)円筒部の長さ:30mm
(3)円筒部の厚さ:0.85mm
(4)アダプタ挿入用開口部の内径:72.35mm
(5)アダプタ挿入用開口部の長さ:1.0mm
(6)円周端面の幅:0.33mm
(7)傾斜面の角度:30度(円周端面に対して)
(8)筒部凹陥部の長さ:5mm
(8)筒部凹陥部の深さ:0.1mm
(9)溝の数:6個(円筒部の中心に向かって60度間隔)
(10)溝の長さ:28mm
(11)溝の深さ:0.5mm
(12)溝の幅:0.7mm
(13)フランジ部の外径:91.4mm
(14)フランジ部の厚さ:0.3mm
【0040】
図8に示した形状のアダプタを下記のサイズで作成した。
(1)円筒突起部の外径:72.28mm
(2)円筒突起部の厚さ:2.9mm
(3)凸部の数:6個
(4)凸部の長さ:28mm
(5)凸部の高さ:0.41mm
(6)凸部の幅:0.5mm
(7)アダプタフランジ部の外径:131mm
(8)アダプタフランジ部(周縁部)の厚さ:2.85mm
(9)フランジ凹陥部の厚さ:1.0mm
(10)アダプタフランジ部(リング状側面遮光シート接する部分)の厚さ:2.6mm
【0041】
上記のフランジ付き円筒を用いて下記のサイズの遮光性感光材料ロールを作成した。
(1)感光材料ロールの外径:122mm
(2)巻芯の内径:73.70mm
(3)巻芯の厚さ:2.0mm
(4)リング状側面遮光シートの外径:122mm
(5)リング状側面遮光シートの厚さ:0.2mm
【0042】
上記の遮光性感光材料ロールに上記のアダプタを挿入して組体を100個作成し、溝と凸部が係合していない組体の発生率(不具合発生率)を測定した。その結果を表1に示す。
【0043】
[実施例2]
円筒部の内壁に傾斜部が設けられていない以外は、実施例1と同じサイズのフランジ付き円筒(図5(b)参照)を用いて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0044】
[比較例1]
円筒部の内壁に、円周端面が設けられていない(アダプタ挿入用開口部が拡げられていない)以外は、実施例1と同じサイズのフランジ付き円筒を用いて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
本発明の組体は、工業的に容易な手法を用いて、アダプタの凸部と遮光性フランジ付き円筒の溝とを係合させることができるので、生産性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遮光性感光材料ロールとアダプタとの組体の一例の斜視図である。
【図2】図1の組体の分解斜視図である。
【図3】本発明の組体の遮光性フランジ付き円筒の一例の斜視図である。
【図4】図4に示した遮光性フランジ付き円筒の要部拡大斜視図である。
【図5】本発明の組体に用いる遮光性フランジ付き円筒の別の一例の斜視図である。
【図6】図4に示した遮光性フランジ付き円筒の断面図である。
【図7】円筒部の外径が巻芯の内径よりも大きく、円筒部の外側面に筒部凹陥部が設けられている遮光性フランジ付き円筒が巻芯に挿入されている遮光性感光材料ロールの一例の部分断面図である。
【図8】本発明の組体に用いるアダプタの一例の斜視図である。
【図9】図8に示したアダプタの断面図である。
【図10】本発明に従う組体の一例の部分断面図である。
【図11】本発明に従う組体の別の一例の部分断面図である。
【符号の説明】
1 感光材料ロール
2 巻芯
3 感光材料シート
4 リング状側面遮光シート
5 円孔
6 遮光リーダ
7 遮光シート
8 熱収縮性遮光シート
9 粘着テープ
10 遮光性感光材料ロール
20 遮光性フランジ付き円筒
21 円筒部
22 フランジ部
23 溝
24 筒部凹陥部
25 円周端面
26、27 傾斜面
28 駆動軸固定用突起
30 アダプタ
31 円筒突起部
32 アダプタフランジ部
33 凸部
34 フランジ凹陥部
35 接着剤
36 スペーサシート
Claims (4)
- 長尺状感光材料シートを中空状の巻芯の周囲に巻き付けてなる感光材料ロール、該巻芯の各両端部に取り付けられた、該感光材料ロールの半径と略同一の半径を持つ一対のリング状側面遮光シート、該長尺状感光材料シートの先端部に接合されていて、両側端部が各リング状側面遮光シートの外周全体を覆うように配置された遮光リーダからなり、さらに、巻芯の両側開口部のそれぞれに挿入された、内壁に長さ方向に延びる溝が設けられた円筒部を有する一対の遮光性フランジ付き円筒を備えた遮光性感光材料ロール、そして該遮光性フランジ付き円筒の両開口端部のそれぞれに挿入される、該円筒の溝に対応した凸部が外側面に設けられた円筒突起部を有する一対の遮光性フランジ付きアダプタからなる遮光性感光材料ロールとアダプタとの組体であって、遮光性フランジ付き円筒の円筒部の内周がアダプタ挿入用開口端部にて拡げられ、前記溝が拡げられた円周端面に連なっていることを特徴とする遮光性感光材料ロールとアダプタとの組体。
- 遮光性フランジ付き円筒の溝が、二個以上設けられている請求項1に記載の組体。
- 二個以上の溝が、それぞれ円筒部の中心線に対して対称の位置にて設けられている請求項2に記載の組体。
- 遮光性フランジ付き円筒の溝のうち、少なくとも一個の溝がアダプタ挿入用開口側端部にて、拡げられた溝幅を有する請求項2もしくは3に記載の組体。
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