JP4255194B2 - 音響再生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は音響再生装置に関し、特に音響再生信号を圧縮するコンプレッサを備えた音響再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
音響再生装置において、CDプレーヤ等の音源のダイナミックレンジが広いと、つまり大きい音と小さい音の差が大きい場合、信号レベルが高い部分で、パワーアンプの許容入力を越えて歪みが発生する問題や、ヘッドホンを利用している場合には大音量のために耳に悪影響を与える問題がある。また、音源からの信号レベルが低い部分では音が聞き取れない場合があり、特に走行ノイズがある車載用音響装置ではこの問題が顕著となる。このような問題を解決する方法として、入力信号レベルに応じて音響信号を圧縮処理するコンプレッサを用いる方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近では、DVD(デジタルビデオディスク)等の複数の音響信号チャンネルを備えた再生装置、所謂マルチチャンネル音響再生装置が普及してきており、従来のような圧縮処理では適切な圧縮処理が行えなかったり、演算処理量が増加してデジタル演算を行うDSP(デジタルシグナルプロセッサ)による演算処理の負担が大きくなり過ぎると言った課題が生じてきている。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、複数の音響信号チャンネルを備えた再生装置でも、適切な圧縮処理が行え、また圧縮処理における処理量の増加を抑えることができる音響再生装置を実現することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記課題を解決するため、本発明に係る音響再生装置(1)は、複数のチャンネルの音響信号を再生する音響再生装置において、複数の各チャンネル毎に、他のチャンネルとは独立した処理で音響信号に圧縮処理を施す圧縮手段と、前記圧縮処理における圧縮強度を、段階的に設定された設定レベルから選択させる強度選択手段と、該強度選択手段により選択された前記圧縮処理における圧縮強度の各チャンネル間の差が、所定範囲内に納まるように圧縮特性を規制する規制手段とを備えていることを特徴としている。
上記した音響再生装置(1)によれば、各チャンネルについて独立した自由度の高い処理を行えるので、マルチチャンネル音響再生に適した圧縮処理の実現が可能になる。また、ユ−ザ−の好みにより圧縮強度を調整させる場合、段階的に設定された設定レベルから選択させることができるので、不適切な強度に調整されることを防止することができ、各チャンネル間の圧縮強度差が不要に大きくならないので、各チャンネル間の極端な圧縮強度差に起因する不自然な再生状態の発生を阻止することができる。
【0006】
また、本発明に係る音響再生装置(2)は、上記音響再生装置(1)において、圧縮処理を行うチャンネル選択を可能にする処理対象選択手段を備えていることを特徴としている。
上記した音響再生装置(2)によれば、ユ−ザ−が必要と考えるチャンネルに関してのみ圧縮処理を施すことができるので、圧縮演算処理量を抑えることが可能になると同時に、ユ−ザ−の好みにあった圧縮処理を施すことが可能になる。
【0010】
また、本発明に係る音響再生装置()は、上記音響再生装置(1)又は(2)において、前記設定レベル調整を可能にする設定レベル調整手段を備えていることを特徴としている。
上記した音響再生装置()によれば、段階的に設定され、選択された前記設定レベルの微調整が可能であるので、圧縮強度が不適切な値に設定されることを防止しつつ、圧縮強度の微妙な調整が可能となる。
【0011】
また、本発明に係る音響再生装置()は、上記音響再生装置(1)〜()のいずれかにおいて、前記複数のチャンネルが、前方配置スピーカ用のフロントチャンネルと後方配置スピーカ用のリアチャンネルとを含み、圧縮処理を前記フロントチャンネルのみに施す処理規制手段を備えていることを特徴としている。
上記した音響再生装置()によれば、圧縮処理効果が大きいと期待できるフロントチャンネルにのみ圧縮処理を施すので、圧縮処理効果をあまり低下させることなく、圧縮演算処理量を抑えることが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る音響再生装置()は、上記音響再生装置(1)〜()のいずれかにおいて、前記複数のチャンネルが、前方配置スピーカ用のフロントチャンネルと後方配置スピーカ用のリアチャンネルとを含み、該リアチャンネルに施す圧縮処理をフロントチャンネルに施す圧縮処理より強度的に弱くする処理緩和手段を備えていることを特徴としている。
上記した音響再生装置()によれば、圧縮処理効果がそれ程でもないリアチャンネルの圧縮処理を簡易化することができ、また必要な演算データ記憶量を低減できるので、圧縮処理効果をあまり低下させることなく、圧縮演算処理量等を抑えることが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る音響再生装置()は、上記音響再生装置(1)〜()のいずれかにおいて、周囲の雰囲気を表現する効果音のみを出力しているチャンネルを検出する効果音検出手段と、該効果音検出手段により検出された効果音のみが出力されているチャンネルに対する圧縮処理を停止する効果音圧縮停止手段を備えていることを特徴としている。
上記した音響再生装置()によれば、圧縮処理効果があまり期待できない効果音のみを出力しているチャンネルの圧縮処理を停止するので、圧縮処理効果をあまり低下させることなく、圧縮演算処理量を抑えることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る音響再生装置()は、上記音響再生装置(1)〜()のいずれかにおいて、周囲の雰囲気を表現する効果音のみを出力しているチャンネルを検出する効果音検出手段と、該効果音検出手段により検出された効果音のみが出力されているチャンネルに対する圧縮処理の圧縮強度を低下させる効果音圧縮緩和手段を備えていることを特徴としている。
上記した音響再生装置()によれば、圧縮処理効果があまり期待できない効果音のみを出力しているチャンネルの圧縮処理を簡易化することができ、また必要な演算データ記憶量を低減できるので、圧縮処理効果をあまり低下させることなく、圧縮演算処理量等を抑えることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る音響再生装置()は、上記音響再生装置()において、前記効果音圧縮緩和手段による圧縮強度の低下量調整を可能にする強度低下量調整手段を備えていることを特徴としている。
上記した音響再生装置()によれば、圧縮強度の低下量の調整が可能であるので、効果音のみを出力している前記チャンネルにおける圧縮特性のユ−ザ−による微妙な調整が可能となる。
【0016】
また、本発明に係る音響再生装置()は、上記音響再生装置(1)〜()のいずれかにおいて、前記複数のチャンネルが、低音再生ウーファスピーカ用のウーファチャンネルを含み、前記圧縮処理を前記ウーファチャンネルのみに施す圧縮処理ウーファ限定手段を備えていることを特徴としている。
上記した音響再生装置()によれば、圧縮処理効果(大音量信号の減衰効果:爆発音等の大音量信号は主にウーファチャンネルから出力されることが多い)が大きいと期待できるウーファチャンネルのみに圧縮処理を施すので、圧縮処理効果をあまり低下させることなく、圧縮演算処理量を抑えることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る音響再生装置(10)は、上記音響再生装置(1)〜()のいずれかにおいて、前記複数のチャンネルが、低音再生ウーファスピーカ用のウーファチャンネルを含み、該ウーファチャンネルの音響信号レベルが所定レベル以上であることを検出するウーファ信号検出手段と、該ウーファ信号検出手段の検出結果に基づき、前記ウーファチャンネルの音響信号レベルが所定レベル未満である場合に全チャンネルについて圧縮処理を停止し、前記ウーファチャンネルの音響信号レベルが所定レベル以上である場合に全チャンネルについて圧縮処理を許可する圧縮停止許可手段とを備えていることを特徴としている。
上記した音響再生装置(10)によれば、音響信号の減衰が必要となる可能性が高い前記ウーファチャンネルの音響信号レベルが高い時にのみ圧縮処理を施すことができるので、圧縮処理効果をあまり低下させることなく、圧縮演算処理量を抑えることが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る音響再生装置を図面に基づいて説明する。図1は実施の形態に係る車載用音響再生装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る車載用音響再生装置は、車室内に配置された各スピーカ毎に異なった音響信号を出力するマルチトラックの音源であるDVDプレーヤ1を備えている。そしてDVDプレーヤ1は音響信号のデジタルデータをメモリ2に出力し、メモリ2はこのデジタルデータを一旦記憶する。メモリ2の容量一杯にデータが記憶されるまでは、DVDプレーヤ1からは音響再生速度より高速で音響データがメモリ2に書き込まれる。そしてメモリ2からは、音響再生速度に応じた速度で音響データがデコーダ3に出力されて音響信号(デジタル)に複号され、そのデータはメモリ2から消去される。従って、振動等によりDVDプレーヤ1からの出力信号が瞬間的には途絶えたとしてもメモリ2からの出力信号により音響再生は継続され、音切れが防止される。デコーダ3からの出力信号は、音響信号のデジタルデータをデジタル処理するDSP(デジタルシグナルプロセッサ)4に入力され、DSP4により圧縮処理がなされる。尚、DSP4には演算処理のためのプログラム、係数、演算結果や演算途中の値の記憶を行うための目盛りが接続(あるいは内蔵)されている。
【0019】
図2は、DSP4による圧縮処理を示す機能ブロック図である。デコーダからの各チャンネルの音響信号は遅延回路11およびレべル算出部12に出力され、このレべル算出部12では音響信号レベルが検出される。レべル算出部12は、音響信号レベルの積分値をデジタル演算により算出するデジタル信号処理により実現される。尚、レべル算出部12は音響信号を包絡線検波する検波回路と、包絡線検波信号を整流平滑する整流平滑回路等により構成することも可能である。そして、レべル算出部12で算出された音響信号レベルは後述のゲイン調整部14のゲインを制御するゲイン算出部13に出力される。
【0020】
このゲイン算出部13では、前記音響信号レベルと後述のマイクロコンピュータ(マイコン)7からの圧縮条件(特性)を示す特性信号に基づきゲイン調整部14へ出力するゲインを算出してゲイン調整部14に出力し、ゲイン調整部14ではこのゲインを受けて音響信号のレベルを制御する。
【0021】
また音響信号は、遅延回路11においてレべル算出部12とゲイン算出部13とで要する信号処理時間分遅延され、ゲイン調整部14に入力される。そして、ゲイン調整部14に入力された音響信号は、ゲイン算出部13により算出されたゲインに応じた増幅率で増幅される(入力信号レベルが大きいほど増幅率が小さい)。このゲイン調整部14は、ゲイン算出部13からの出力信号が増幅率制御用端子に印加された増幅率可変増幅回路(減衰率可変減衰回路でもよい)から構成され、帰還量が可変である演算増幅回路や、増幅率制御用端子への入力信号により減衰率の変化するラダー抵抗等から構成される電子ボリューム等により実現される。
【0022】
例えばウーファチャンネルの信号レベルに応じて全チャンネルの圧縮特性を制御するには、ウーファチャンネルのレべル算出部12からの出力を全チャンネルのゲイン算出部13に印加するようにすればよい。
【0023】
図3は、圧縮特性の一例を示す図で、横軸に入力音量(入力信号レベル)を、縦軸に出力音量(出力信号レベル)をとっている。そして一次関数で示されるのが圧縮なしの状態であり、この一次関数から上側・下側にずれている太線で示された折れ線が圧縮特性を示している。そして、このずれ量が大きい程、圧縮強度が高いと言え、またこのずれが存在する範囲が広い程圧縮範囲が広いと言える。このような圧縮特性が、マイコン7からゲイン算出部13に供給される圧縮条件に基づきゲイン調整部14のゲインが制御されることにより実現される。
【0024】
DSP4により圧縮処理された音響信号は、デジタル・アナログ変換器(D/A)5によりアナログの音響信号に変換される。そしてD/A5から出力された音響信号は、音量、音質、音場制御等を行うプリアンプ(PRAMP)6と、音声再生できるレベルまで電力増幅を行うパワーアンプCA(中央前再生音用)、FLA(左前再生音用)、FRA(右前再生音用)、RLA(左後再生音用)、RRA(右後再生音用)、WA(低音再生用)で電力増幅され、そして車室内の前後左右および前後中央に配置され音声再生を行うスピーカCS(中央前配置)、FLS(左前配置)、FRS(右前配置)、RLS(左後配置)、RRS(右後配置)、WS(配置任意:低音再生用スピーカ)により音声に変換されて音声再生される。尚、D/A5、PRAMP6は、1個の構成で示しているが内部は6チャンネル分の構成が存在する。
【0025】
マイコン7には、使用者による操作のための押ボタンスイッチ等からなる操作部9が接続され、使用者による操作部9の操作状況に応じて、DVDプレーヤ1の動作制御、PRAMP6の動作制御(各チャンネルの出力音量レベル制御等)が行われる。また、マイコン7には、液晶表示装置等で構成された表示部10が接続され、音量調整状態や圧縮処理状態等(圧縮処理対象チャンネル、圧縮強度等)の表示を行うようになっている。また、マイコン7にはメモリ8が接続されている。メモリ8はROMおよびRAMにより構成されており、ROMにはマイコン7の動作プログラムや圧縮特性データ等が記憶され、またRAMは調整した圧縮特性データや演算処理途中のデータ等の各種データの一時記憶用に使用されるようになっている。そして、マイコン7からDSP4に、各チャンネル毎の圧縮条件データ(圧縮特性データ、圧縮処理対象チャンネルデータ等)が出力されることにより、所望の圧縮処理が行われるようになっている。
【0026】
次にマイコン7の行う圧縮選択処理について説明する。図4は、マイコン7の行う圧縮選択処理を示すフローチャートである。尚、この処理は、音源の切り換え、圧縮特性切換操作等、圧縮特性を変更すべき操作があった時に実行される。
【0027】
ステップS1では、操作部9の操作状態やメモリ8に記憶された各チャンネルの圧縮条件を取り込み、ステップS2に移る。尚、操作部9による圧縮強度の選択は、予め定められた複数のステップから操作部9のスイッチ操作により選択するように構成されている。ステップS2では圧縮条件から該当する圧縮特性データを各チャンネル分メモリ8から選択し、ステップS3に移る。ステップS3では、選択された各チャンネルの圧縮特性データを比較して、圧縮効果(強度)の差が所定値以上か否かを判断し、所定値以上であると判断すればステップS4に移り、所定値未満であると判断すればステップS5に移る。ステップS4では、各チャンネルの圧縮特性データをその差が所定値以下となるように補正し(圧縮強度の大きいものを小さくする)、その後ステップS5に移る。ステップS5では、算出した圧縮特性データを、DSP4に設定(出力)し、ステップS6に移る。この処理により、各チャンネルの音響信号が、選択された圧縮特性で圧縮されることとなる。
【0028】
ステップS6では、操作部9において設定操作された圧縮モードを判断して処理し、通常モードであると判断すれば処理を終え、ステップS5で設定された圧縮特性で各チャンネルの音響信号が圧縮されるようにする。また、フロントスピーカ出力圧縮モードであると判断すればステップS7に移り、効果音非圧縮モードであると判断すればステップS8に移る。ステップS7では、操作部9の設定操作状態によりリアスピーカ非圧縮モードか否かを判断し、リアスピーカ非圧縮モードであると判断すればステップS9に移り、リアスピーカ圧縮低減モードであると判断すればステップS10に移る。ステップS9では、リアチャンネルの圧縮処理を停止するデータをDSP4に出力し、処理を終える。また、ステップS10では、リアチャンネルの圧縮処理の圧縮強度を低減させるデータをDSP4に出力し、処理を終える。
【0029】
ステップS8では、操作部9の設定操作状態により効果音非圧縮モードか否かを判断し、効果音非圧縮モードであると判断すればステップS11に移り、効果音圧縮低減モードであると判断すればステップS12に移る。ステップS11では、効果音のみを出力しているチャンネルの圧縮処理を停止するデータをDSP4に出力し、処理を終える。また、ステップS12では、効果音のみを出力しているチャンネルの圧縮処理の圧縮強度を低減させるデータをDSP4に出力し、処理を終える。尚、効果音のみを出力しているチャンネルの検出は、例えばDVDディスクに効果音のみを出力しているチャンネルを示すコードを記録しておき、DVDプレーヤ1からそのコードを出力させる構成とし、マイコン7がそのコードをデコーダ3から取り込む構成とすることにより実現できる。
【0030】
この様な処理により、使用者の好みに応じた圧縮特性で音響再生することが可能となり、また相反する関係にある圧縮特性の品質向上と演算処理量の低減とのバランスを良好に保ちながら圧縮処理を施すことができ、さらに各チャンネル間における圧縮強度の差が不必要に大きくなることを阻止して不適切な圧縮処理になることを防止することができる。
【0031】
次に、効果幅(圧縮強度)の調整処理について説明する。図5は、効果幅の調整処理を示すフローチャートで、この処理は操作部9において効果幅調整開始操作がなされた時に実行される。
【0032】
ステップS21では、操作部9の操作状態により調整対象とする圧縮特性(チャンネル種別、通常の操作選択による圧縮の特性、リアスピーカ圧縮低減モードの特性、効果音圧縮低減モードの特性)の変更モードを取り込み、ステップS22に移る。ステップS22では、操作部9の操作状態により効果幅(圧縮強度)を取り込み、ステップS23に移る。ステップS23では、取り込んだ効果幅に基づいて圧縮特性データを演算し、その演算結果を調整対象の圧縮特性データとしてメモリ8に記憶し、処理を終える。尚、圧縮特性データの演算では、圧縮強度の範囲に制限を加え、不適切な圧縮特性データがメモリ8に記憶されないようにしている。
【0033】
次に、ウーファ選択処理(圧縮処理とウーファ状態との関連制御)について説明する。図6は、ウーファ選択処理を示すフローチャートで、この処理は操作部9においてウーファ選択処理操作がなされた時に実行される。
【0034】
ステップS31では、操作部9の操作状態にもとづいてウーファモードを判断し、通常モード(ウーファ非関連)であると判断すればステップS33に移り、他方ウーファ出力時にのみ圧縮処理するウーファ出力関連モードの時はステップS32に移り、またウーファ出力にのみ圧縮処理を施すウーファモードの時は、ステップS34に移る。ステップS32では、ウーファチャンネルの音響信号レベルからウーファ出力があるか否かを判断し(所定レベル以上であると判断すればウーファ出力有り)、出力有りならステップS33に移り、出力無しならステップS35に移る。ステップS33では、全チャンネルに対して圧縮処理を施すようにするデータをDSP4に出力し、処理を終える。ステップS35では、全チャンネルに対して圧縮処理を停止するようにするデータをDSP4に出力し、処理を終える。また、ステップS34では、ウーファチャンネル以外のチャンネルの音響出力に対する圧縮処理を停止するようにするデータをDSP4に出力し、処理を終える。
【0035】
上記処理により、通常モードでは全チャンネルの圧縮処理が行われ、ウーファ出力関連モードではウーファチャンネルの音響信号出力がある時にのみ全チャンネルの圧縮処理が行われ、またウーファモードの時は、ウーファチャンネルの音響信号にだけ圧縮処理が施されることとなる。
【0036】
次に、圧縮状態の表示処理について説明する。図7は、圧縮状態の表示処理を示すフローチャートで、この処理は車載用音響再生装置動作中に繰り返し実行される。ステップS41では、圧縮処理が行われているチャンネルを検出し、ステップS42に移る。ステップS42では、各チャンネルにおける圧縮強度を検出し、ステップS43に移る。これらの検出は、マイコン7からDSP4に出力された圧縮条件データにより判断される。ステップS43では、検出した圧縮処理中チャンネルと圧縮強度を表示部10に表示させる制御を行い、処理を終える。表示形態としては、チャンネルおよび圧縮状態を液晶表示装置等の文字表示可能な表示器を用いて文字(数字)により表示する方法や、チャンネル毎に発光体(LED等)を設けて、圧縮処理中チャンネルに対応する発光体を点灯し、また圧縮状態については点滅する(強度度に応じて点滅速度を変える)、発光色を変える、チャンネル毎に複数の発光体を設け、強度に対応した数の発光体を点灯する方法等を挙げることができる。
【0037】
上記構成により、各チャンネルの圧縮処理の有無や、圧縮状態を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載用音響再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】圧縮回路の構成を示す回路図である。
【図3】圧縮特性例を示す特性図である。
【図4】マイコンの行う圧縮選択処理を示すフローチャートである。
【図5】マイコンの行う効果幅調整処理を示すフローチャートである。
【図6】マイコンの行うウーファ選択処理を示すフローチャートである。
【図7】マイコンの行う表示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・DVDプレーヤ
2・・・メモリ
3・・・デコーダ
4・・・DSP(デジタルシグナルプロセッサ)
7・・・マイコン

Claims (10)

  1. 複数のチャンネルの音響信号を再生する音響再生装置において、
    複数の各チャンネル毎に、他のチャンネルとは独立した処理で音響信号に圧縮処理を施す圧縮手段と、
    前記圧縮処理における圧縮強度を、段階的に設定された設定レベルから選択させる強度選択手段と、
    該強度選択手段により選択された前記圧縮処理における圧縮強度の各チャンネル間の差が、所定範囲内に納まるように圧縮特性を規制する規制手段とを備えていることを特徴とする音響再生装置。
  2. 圧縮処理を行うチャンネルの選択を可能にする処理対象選択手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の音響再生装置。
  3. 前記設定レベルの調整を可能にする設定レベル調整手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の音響再生装置。
  4. 前記複数のチャンネルが、前方配置スピーカ用のフロントチャンネルと後方配置スピーカ用のリアチャンネルとを含み、
    圧縮処理を前記フロントチャンネルのみに施す処理規制手段を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の音響再生装置。
  5. 前記複数のチャンネルが、前方配置スピーカ用のフロントチャンネルと後方配置スピーカ用のリアチャンネルとを含み、
    該リアチャンネルに施す圧縮処理をフロントチャンネルに施す圧縮処理より強度的に弱くする処理緩和手段を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の音響再生装置。
  6. 周囲の雰囲気を表現する効果音のみを出力しているチャンネルを検出する効果音検出手段と、
    該効果音検出手段により検出された効果音のみが出力されているチャンネルに対する圧縮処理を停止する効果音圧縮停止手段を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の音響再生装置。
  7. 周囲の雰囲気を表現する効果音のみを出力しているチャンネルを検出する効果音検出手段と、
    該効果音検出手段により検出された効果音のみが出力されているチャンネルに対する圧縮処理の圧縮強度を低下させる効果音圧縮緩和手段を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の音響再生装置。
  8. 前記効果音圧縮緩和手段による圧縮強度の低下量の調整を可能にする強度低下量調整手段を備えていることを特徴とする請求項記載の音響再生装置。
  9. 前記複数のチャンネルが、低音再生ウーファスピーカ用のウーファチャンネルを含み、
    前記圧縮処理を前記ウーファチャンネルのみに施す圧縮処理ウーファ限定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の音響再生装置。
  10. 前記複数のチャンネルが、低音再生ウーファスピーカ用のウーファチャンネルを含み、
    該ウーファチャンネルの音響信号レベルが所定レベル以上であることを検出するウーファ信号検出手段と、
    該ウーファ信号検出手段の検出結果に基づき、前記ウーファチャンネルの音響信号レベルが所定レベル未満である場合に全チャンネルについて圧縮処理を停止し、前記ウーファチャンネルの音響信号レベルが所定レベル以上である場合に全チャンネルについて圧縮処理を許可する圧縮停止許可手段とを備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の音響再生装置。
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