JP4254345B2 - 高強度コンロッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンロッド(連接棒)およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコンロッドの製造方法においては、被削性および疲労耐久性を向上させるために、加工部材を硬度HB300以下に形成した後、焼き入れにより、機械加工が施されない部分の硬度を、HB300以上に形成している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭59−89720号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、焼き入れが施された部分と施されていない部分との間のつなぎ部における強度は、急激に変化するため、十分な座屈強度を得ることが困難である。一方、必要な座屈強度を得るために、焼き入れを広い範囲に施す場合、機械加工が施される部分において、被削性が低下する問題を生じる。
【0005】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、良好な被削性および座屈強度を有する高強度コンロッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
本体をなす軸部と、前記軸部の一端側に位置する大端部と、前記軸部の他端側に位置する小端部とを有するコンロッドであって、
前記大端部と前記軸部との間および前記軸部と前記小端部との間のつなぎ部は、前記軸部に向かって断面積が連続的に減少し、かつ、前記断面積の減少に応じて強度が増加する強度分布を有する
ことを特徴とするコンロッドである。
【0007】
上記目的を達成するための請求項9に記載の発明は、
本体をなす軸部と、前記軸部の一端側に位置する大端部と、前記軸部の他端側に位置する小端部とを有するコンロッドの製造方法であって、
前記大端部と前記軸部との間および前記軸部と前記小端部との間のつなぎ部は、前記軸部に向かって断面積が連続的に減少しており、
前記つなぎ部に、前記断面積の減少に応じた強度分布を形成することを特徴とするコンロッドの製造方法である。
【0008】
【発明の効果】
上記のように構成した本発明は以下の効果を奏する。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、つなぎ部は、断面積の減少に応じて強度が増加する強度分布を有するため、断面積の小さい部位は、座屈強度が大きい。一方、大端部および小端部は、強度が比較的小さいため、被削性は低下していない。したがって、良好な被削性および座屈強度を有する高強度コンロッドを提供することができる。
【0010】
請求項9に記載の発明によれば、つなぎ部に、断面積の減少に応じた強度分布を形成するため、断面積の小さい部位は、座屈強度が大きくなる。一方、大端部および小端部は、強度が比較的小さいため、被削性は低下しない。したがって、良好な被削性および座屈強度を有する高強度コンロッドの製造方法を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態1に係るコンロッドの平面図である。実施の形態1に係るコンロッド(連接棒)10は、内燃機関におけるピストンとクランクシャフトとを連結し、ピストンの往復運動をクランクシャフトに伝達するために使用される。
【0013】
コンロッド10は、例えば、炭素鋼からなり、本体をなす軸部40と、軸部40の一端側に位置する大端部20と、軸部40の他端側に位置する小端部60とを有する。軸部40は、I型断面を有し、形状が略一定である。
【0014】
大端部20は、分割式であり、半円状部21を有し、例えば、ボルトを使用してコンロッドキャップが組み合わされ、クランクシャフトのピンに連結される。小端部60は、ピストンピンを連結するための開口部61を有する。大端部20と軸部40との間および軸部40と小端部60との間には、つなぎ部30,50が形成されている。
【0015】
図2は、図1のコンロッドの側面図、図3は、図1の線III−IIIに関する断面図、図4は、図1の線IV−IVに関する断面図、図5は、図1の線V−Vに関する断面図、図6は、図1の線VI−VIに関する断面図である。
【0016】
つなぎ部30の断面積は、軸部40に向かって連続的に減少している。例えば、大端部20とつなぎ部30との境界P2における断面積(図3参照)は、つなぎ部30と軸部40との境界P3における断面積(図3参照)の約1.5倍である。
【0017】
つなぎ部30の凹部31の肉厚は、図3および図6に示されるように、比較例(一般的なコンロッド)に比べ、大きくなっている。また、図2に示されるように、大端部20のつなぎ部30に隣接する部位も、比較例の形状に比べ、大きくなっており、大端部20からつなぎ部30に移行する際に、断面積がなだらかに変化するように設定されている。
【0018】
軸部40は、形状が略一定であるため、つなぎ部30と軸部40との境界P3における断面積(図4参照)と、軸部40とつなぎ部50の境界P4における断面積(図5参照)とは、同一である。
【0019】
つなぎ部50の断面積は、つなぎ部30と同様に、軸部40に向かって連続的に減少している。例えば、つなぎ部50と小端部60との境界P5における断面積(図6参照)は、軸部40とつなぎ部50との境界P4における断面積(図5参照)の約1.5倍である。
【0020】
つなぎ部50の凹部51の肉厚は、比較例の形状に比べ、大きくなっている。また、図2に明確に示されるように、小端部60のつなぎ部50に隣接する部位も、比較例の形状に比べ、大きくなっており、小端部60からつなぎ部40に移行する際に、断面積がなだらかに変化するように設定されている。
【0021】
また、軸部40の強度は、略一定である。一方、つなぎ部30,50の強度は、なだらかに変化し、軸部40に向かって増加している。つまり、つなぎ部30,50は、断面積の減少に応じて強度が増加する強度分布を有する。
【0022】
図7は、コンロッド10の断面積と座屈強度の関係を示しているグラフである。図に示されるように、コンロッド10の断面積は、大端部20の半円状部21と境界P2との間の境界P1から、境界P3に向かって減少し、軸部40においては一定であり、境界P4から、小端部60の開口部61の近傍に位置する境界P6に向かって増加している。
【0023】
一方、座屈強度は、境界P2に至るまでは略一定であり、境界P2から境界P3に向かって増加し、軸部40においては一定であり、境界P4から境界P5に向かって減少し、境界P5からは略一定である。
【0024】
つまり、つなぎ部30,50の強度に対応して、座屈強度が変化しており、断面積の小さい部位は、座屈強度が大きくなっている。一方、大端部20および小端部60は、強度が比較的小さいため、被削性は低下していない。
【0025】
以上のように、実施の形態1においては、良好な被削性および座屈強度を有する高強度コンロッドを提供することができる。
【0026】
なお、つなぎ部の強度分布は、例えば、熱処理(焼き入れ)による硬化を制御することによって形成することが可能であり、例えば、つなぎ部の焼き入れの際に、焼き入れ温度あるいは焼き戻し時間に分布を生じさせる。この際、軸部40は、完全に焼き入れされ、大端部20および小端部60は、実質的に焼き入れされていないことが、被削性および座屈強度の観点からは好ましい。
【0027】
また、マルテンサイト率は、図8に示されるように、座屈強度と対応する。したがって、つなぎ部のマルテンサイト率Ms(%)が、つなぎ部の断面積Dの変化に応じ、D/Dmin≧1/((1−α)×Ms/100+α)の関係を満足するように、連続的に変化する場合(図9参照)、断面積の変化に応じた強度分布を確実に得ることができる。
【0028】
なお、式中、Dminは、つなぎ部の断面積の最小値、αは、焼き入れ無しにおける座屈応力を焼き入れ有りにおける座屈応力によって除した値である。
【0029】
次に、実施の形態1に係るコンロッドの製造方法を説明する。図10に示されるように、実施の形態1に係るコンロッドの製造方法は、熱間鍛造工程、焼き入れ工程、ショットブラスト工程、コイニング工程、機械加工工程を有する。
【0030】
熱間鍛造工程においては、再結晶温度以上の温度(例えば、800〜1200℃)で、素材鋼がコンロッド形状に成形され、コンロッド半製品が得られる。素材鋼は、例えば、炭素鋼(S40C〜S50C)である。
【0031】
焼き入れ工程においては、コンロッド半製品の軸部およびつなぎ部の焼き入れの際に、つなぎ部の焼き入れ温度に分布(例えば、勾配)を生じさせることによって、焼き入れの効果が制御される。
【0032】
例えば、つなぎ部のマルテンサイト率Ms(%)が、つなぎ部の断面積Dの変化に応じ、D/Dmin≧1/((1−α)×Ms/100+α)の関係を満足し、連続的に変化するように、つなぎ部の焼き入れ温度に分布を生じさせることで、つなぎ部に、断面積の変化に応じた強度(硬度)分布が形成される。
【0033】
次に、図11を参照し、誘導加熱コイル90を利用する高周波焼き入れを適用する場合における焼き入れ方法を説明する。
【0034】
コンロッド半製品10Aは、長手軸線Sを中心に回転可能に配置される。誘導加熱コイル90は、コンロッド半製品10Aの近傍であって、かつ、コンロッド半製品10Aの回転を妨げない位置に、配置される。
【0035】
誘導加熱コイル90は、略矩形構造を有しており、つなぎ部30,50および軸部40に沿って延長する長辺部92,94と、大端部20および小端部60と交差するように延長する短辺部91,93を有する。
【0036】
コンロッド半製品10Aの大端部20および小端部60は、軸部40に比べて形状が大きく、また、軸部40(およびつなぎ部30,50)は、大端部20および小端部60の間に位置する。
【0037】
そのため、大端部20および小端部60の熱容量や、大端部20および小端部60と軸部40(およびつなぎ部30,50)との伝熱を考慮して、長辺部92,94とコンロッド半製品との間の離間距離(クリアランス)は、大端部20および小端部60に近づくに連れて若干減少している。
【0038】
この結果、軸部40は、完全に焼入れするために必要とされる焼き入れ温度が得られ、また、つなぎ部30,50には、焼き入れ温度の分布が生じる。つまり、誘導加熱コイル90は、つなぎ部30,50に沿って配置され、誘導加熱コイル90とつなぎ部30,50との離間距離は、焼き入れ温度に適当な分布を生じさせるように適宜設定されている。
【0039】
例えば、焼き入れは、コンロッド半製品10Aを150rpmで回転させながら、誘導加熱コイル90に高周波電流(30kHz)を5秒間通電することによって、実行される。例えば、出力は25kwであり、軸部40における焼き入れ温度は920℃である。
【0040】
この結果、つなぎ部30,50に、断面積の変化に応じた強度分布が形成される。なお、高周波焼き入れは短時間の急速加熱であるため、加熱ムラを防止するために、コンロッド半製品10Aの回転数は、例えば、60rpm以上が好ましい。
【0041】
ショットブラスト工程においては、コンロッド半製品の表面の酸化スケールが除去される。コイニング工程においては、軽度の冷間鍛造によって、例えば、コンロッド半製品の厚さが修正される。
【0042】
機械加工工程においては、例えば、大端部および小端部の摺動部の仕上げや、大端部および小端部に油穴を形成するために、機械加工が施され、製品部品としてのコンロッドが得られる。
【0043】
なお、大端部および小端部は、実質的に焼き入れされていないため、硬度が低く、良好な被削性を有しており、機械加工は容易である。また、コンロッドのつなぎ部は、断面積の減少に応じて強度が増加する強度分布を有するため、十分な座屈強度を呈する。
【0044】
以上のように、実施の形態1においては、良好な被削性および座屈強度を有する高強度コンロッドの製造方法を提供することができる。
【0045】
なお、コイニング工程と機械加工工程の間に、ショットピーニングを施すことによって、疲労強度を向上させることも可能である。
【0046】
つなぎ部の強度分布は、焼き入れ温度に分布を生じさせることによって、形成されているが、例えば、同一の焼き入れ温度に昇温させた後において、冷却速度を制御し、焼き戻し時間に分布を生じさせることによって、形成することも可能である。
【0047】
また、高周波焼き入れにおいて、高周波電流を通電する時間や出力などの条件を変更し、誘導加熱コイルによる加熱を断続的あるいは連続的に複数回実行することも可能である。この場合、焼き入れ温度の分布を、例えば、局所的な伝熱や放熱あるいは熱容量の作用等を考慮し、高精度で制御することができる。
【0048】
さらに、独立して制御される誘導加熱コイルを、つなぎ部に沿って複数設け、高周波電流を通電する時間を変化させることで、焼き入れ温度に分布を生じさせることも可能である。
【0049】
また、コンロッド半製品の周りに、誘導加熱コイルを巻き、つなぎ部に沿ってコイルピッチを変更することで、焼き入れ温度に分布を生じさせることも可能である。
【0050】
図12は、本発明の実施の形態2に係るコンロッドの製造方法を説明するための工程図である。実施の形態2は、焼入れ工程の代わりに、冷間鍛造工程および時効処理工程を有する点で、実施の形態1と概して異なる。
【0051】
つまり、実施の形態2に係るコンロッドの製造方法は、熱間鍛造工程、冷間鍛造工程、時効処理工程、ショットブラスト工程、コイニング工程、機械加工工程を有する。
【0052】
熱間鍛造工程においては、再結晶温度以上の温度(例えば、800〜1200℃)で、素材鋼が略コンロッド形状に成形され、コンロッド粗材が得られる。素材鋼は、例えば、炭素鋼(S40C〜S50C)である。なお、コンロッド粗材は、素材鋼から熱間鍛造によって形成することに限定されない。
【0053】
冷間鍛造工程においては、再結晶温度以下の温度(例えば、常温)でコンロッド粗材がコンロッド形状に成形されることで、ひずみが導入される。ひずみは、実施の形態2においては、各断面における平均値が使用される。
【0054】
ひずみは、例えば、FEM(有限要素法)シミュレーションを適用し、コンロッド粗材の断面を複数の領域に分割し、各領域において算出されるひずみを算術平均することで得られる。つまり、図13に示されるように、ひずみの平均値が、つなぎ部の断面積の変化に応じ、連続的に変化するように、冷間鍛造が施される。
【0055】
また、ひずみの平均値は、図14に示されるように、座屈強度と対応関係を有しているため、図7に示されるような断面積の減少に応じて強度が増加する強度分布(実施の形態1と同様な強度分布)を有するコンロッド半製品が得られる。
【0056】
したがって、つなぎ部は、断面積の減少に応じて強度が増加する強度分布を有し、断面積の小さい部位は、座屈強度が大きくなる。一方、大端部および小端部は、強度が比較的小さいため、被削性は低下していない。
【0057】
なお、熱間鍛造工程および冷間鍛造工程によって、実施の形態1における熱間鍛造工程によって得られるコンロッド形状を達成している。したがって、熱間鍛造工程後の形状は、実施の形態1と実施の形態2とでは異なっている。
【0058】
時効処理工程においては、例えば、400℃で30分の条件で保持される。そして、コンロッド半製品は、実施の形態1と同様に、ショットブラスト工程、コイニング工程、機械加工工程を経て、製品部品としてのコンロッドとなる。
【0059】
次に、冷間鍛造によってひずみの分布を形成する方法を説明する。なお、図15は、冷間鍛造プレスの金型を説明するための断面図、図16〜図18は、冷間鍛造前後における形状変化を説明するための図であり、図16は、図15の線XVI−XVIに関する断面図、図17は、図15の線XVII−XVIIに関する断面図、図18は、図15の線XVIII−XVIIIに関する断面図である。
【0060】
ひずみの導入するための冷間鍛造プレスは、上型101および下型102に分割された金型100を有する。熱間鍛造によって略コンロッド形状に成形されたコンロッド粗材110は、上型101および下型102の間に配置される。
【0061】
コンロッド粗材110は、冷間鍛造が施されることで塑性変形し、高さHが小さくなり(H0からH1)、幅Wが広がる(W0からW1)ことで、ひずみが導入される。冷間鍛造プレスにおけるスライドのストロークは、例えば、148mmであり、毎分ストローク数は、例えば、30である。
【0062】
コンロッド粗材110の形状は、冷間鍛造後の形状と、冷間鍛造によって導入されるひずみとに基づいて、設定される。また、ひずみの均等な導入や、肉の流れ、まくれ込みのきずを抑制することを考慮して、コンロッド粗材110の形状を最適化することが好ましい。
【0063】
ひずみを導入するために上型101および下型102によってつぶされる部位は、リブ部位131である。リブ部位131のみを対象とすることは、冷間鍛造の荷重を削減し、冷間鍛造が効率化される点で、好ましい。しかし、上型101および下型102の形状を変更し、リブ部位131の間を延長し凹部を形成する連接部位132にも、荷重が加わるように設定することも可能である。
【0064】
上型101および下型102の形状は、つなぎ部の断面積の変化に応じ、リブ部位131のつぶし率が、連続的に変化するように設定されている。つぶし率は、冷間鍛造前後におけるリブ部位131の高さHの減少率(=(H0−H1)×100/H0)であり、ひずみと対応関係を有する。
【0065】
つぶし率は、図19に示されるように、引張強度と比例関係を有しており、つぶし率を変更することによって、断面積の減少に応じて強度が増加する強度分布を得ることができる。
【0066】
したがって、コンロッド粗材110を上型101および下型102によって冷間鍛造することで得られるコンロッド半製品のつなぎ部は、断面積の減少に応じて強度が増加する強度分布を有し、断面積の小さい部位は、座屈強度が大きくなる。一方、大端部および小端部は、強度が比較的小さいため、被削性は低下していない。
【0067】
以上のように、実施の形態2においても、良好な被削性および座屈強度を有する高強度コンロッドおよびその製造方法を提供することができる。
【0068】
なお、ひずみは、リブ部位のつぶし率に基づいて制御することに限定されず、ひずみと対応関係を有するパラメータ、例えば、つなぎ部の各断面における断面積の減少率に基づいて制御することも可能である。
【0069】
また、冷間鍛造が施されるコンロッド粗材の厚みのばらつきに応じて、冷間鍛造条件を変更し、冷間鍛造によって導入されるひずみを調整することが好ましい。この場合、コンロッドの強度のばらつきを抑制することが可能である。
【0070】
コンロッド粗材の厚みの変化は、例えば、レーザ測定により検出することが可能である。冷間鍛造条件は、例えば、スライドとベット間の距離であるシャットハイトの設定である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係るコンロッドの平面図である。
【図2】 図1のコンロッドの側面図である。
【図3】 図1の線III−IIIに関する断面図である。
【図4】 図1の線IV−IVに関する断面図である。
【図5】 図1の線V−Vに関する断面図である。
【図6】 図1の線VI−VIに関する断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態1に係るコンロッドの断面積と座屈強度の関係を示しているグラフである。
【図8】 マルテンサイト率と座屈強度の関係を示しているグラフである。
【図9】 本発明の実施の形態1に係るコンロッドの断面積と、焼入れによるマルテンサイト率との関係を示しているグラフである。
【図10】 本発明の実施の形態1に係るコンロッドの製造方法を説明するための工程図である。
【図11】 図10に示される焼き入れに適用される誘導加熱コイルを利用する高周波焼き入れを説明するための平面図である。
【図12】 本発明の実施の形態2に係るコンロッドの製造方法を説明するための工程図である。
【図13】 本発明の実施の形態2に係るコンロッドの断面積と、図11に示される冷間鍛造によって導入されるひずみの平均値との関係を示しているグラフである。
【図14】 ひずみの平均値と座屈強度の関係を示しているグラフである。
【図15】 冷間鍛造プレスの金型を説明するための断面図である。
【図16】 図15の線XVI−XVIに関する断面図であり、冷間鍛造前後における形状変化を示している。
【図17】 図15の線XVII−XVIIに関する断面図であり、冷間鍛造前後における形状変化を示している。
【図18】 図15の線XVIII−XVIIに関する断面図であり、冷間鍛造前後における形状変化を示している。
【図19】 引張強度とつぶし率との関係を示しているグラフである。
【符号の説明】
10…コンロッド(連接棒)、
10A…コンロッド半製品、
20…大端部、
21…半円状部、
30…つなぎ部、
31…凹部、
40…軸部、
50…つなぎ部、
51…凹部、
60…小端部、
61…開口部、
90…誘導加熱コイル、
91,93…短辺部、
92,94…長辺部、
100…金型、
101…上型、
102…下型、
110…コンロッド粗材、
131…リブ部位、
132…連接部位、
0,H1…高さ、
1〜P6…境界、
S…長手軸線、
0,W1…幅。

Claims (18)

  1. 本体をなす軸部と、前記軸部の一端側に位置する大端部と、前記軸部の他端側に位置する小端部とを有するコンロッドであって、
    前記大端部と前記軸部との間および前記軸部と前記小端部との間のつなぎ部は、前記軸部に向かって断面積が連続的に減少し、かつ、前記断面積の減少に応じて強度が増加する強度分布を有する
    ことを特徴とするコンロッド。
  2. 前記強度分布は、焼き入れによるマルテンサイト率Ms(%)に基づくことを特徴とする請求項1に記載のコンロッド。
  3. 前記マルテンサイト率Ms(%)は、つなぎ部の断面積Dの変化に応じ、
    D/Dmin≧1/((1−α)×Ms/100+α)(式中、Dminは、つなぎ部の断面積の最小値、αは、焼き入れ無しにおける座屈応力を焼き入れ有りにおける座屈応力によって除した値を意味する)
    の関係を満足するように、連続的に変化していることを特徴とする請求項2に記載のコンロッド。
  4. 前記強度分布は、焼き入れ温度あるいは焼き戻し時間に分布を生じさせることに基づくことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のコンロッド。
  5. 前記強度分布は、冷間鍛造によって導入されるひずみに基づくことを特徴とする請求項1に記載のコンロッド。
  6. 前記ひずみは、つなぎ部の断面積の変化に応じ、連続的に変化することを特徴とする請求項5に記載のコンロッド。
  7. 前記ひずみは、前記冷間鍛造が施されるコンロッド粗材の厚みのばらつきに応じて、調整されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のコンロッド。
  8. 前記冷間鍛造の後で、時効処理が施されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のコンロッド。
  9. 本体をなす軸部と、前記軸部の一端側に位置する大端部と、前記軸部の他端側に位置する小端部とを有するコンロッドの製造方法であって、
    前記大端部と前記軸部との間および前記軸部と前記小端部との間のつなぎ部は、前記軸部に向かって断面積が連続的に減少しており、
    前記つなぎ部に、前記断面積の減少に応じた強度分布を形成することを特徴とするコンロッドの製造方法。
  10. 前記強度分布は、焼き入れによるマルテンサイト率Ms(%)に基づくことを特徴とする請求項9に記載のコンロッドの製造方法。
  11. 前記マルテンサイト率Ms(%)は、つなぎ部の断面積Dの変化に応じ、
    D/Dmin≧1/((1−α)×Ms/100+α)(式中、Dminは、つなぎ部の断面積の最小値、αは、焼き入れ無しにおける座屈応力を焼き入れ有りにおける座屈応力によって除した値を意味する)
    の関係を満足していることを特徴とする請求項10に記載のコンロッドの製造方法。
  12. 前記強度分布は、焼き入れ温度あるいは焼き戻し時間に分布を生じさせることに基づくことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のコンロッドの製造方法。
  13. 前記焼き入れは、誘導加熱コイルを使用する高周波焼き入れであり、前記誘導加熱コイルは、前記つなぎ部に沿って配置され、前記誘導加熱コイルと前記つなぎ部との離間距離は、焼き入れ温度に分布を生じさせるように設定されることを特徴とする請求項12に記載のコンロッドの製造方法。
  14. 前記強度分布は、冷間鍛造によって導入されるひずみに基づくことを特徴とする請求項9に記載のコンロッドの製造方法。
  15. 前記ひずみは、つなぎ部の断面積の変化に応じ、連続的に変化することを特徴とする請求項14に記載のコンロッドの製造方法。
  16. 前記ひずみは、つなぎ部のリブ部位を押しつぶすことに基づくことを特徴とする請求項14又は請求項15に記載のコンロッドの製造方法。
  17. 前記冷間鍛造が施されるコンロッド粗材の厚みのばらつきに応じて、前記ひずみを調整することを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載のコンロッドの製造方法。
  18. 前記冷間鍛造の後で、時効処理を施すことを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載のコンロッドの製造方法。
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