JP4251043B2 - 車体前部構造 - Google Patents

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本発明は車体前部構造に関し、特に、自動車等の車体においてフロントサイドメンバによって衝突荷重を受け持つ車体前部構造に関する。
従来から、自動車等の車体においてフロントサイドメンバによって衝突荷重を受け持つ車体前部構造においては、閉断面構造のフロントサイドメンバのエンジンおよびサスペンション等の支持部に第1のリインフォースメントを設けるとともに、第1のリインフォースメントの前方にこれに一体に結合し、前端がフロントサイドメンバの前端よりも前方に突出し、かつ第1のリインフォースメントよりも板厚の薄い第2のリインフォースメントを延設して、第2のリインフォースメントの前端突出部により衝撃吸収部を形成し、これによりフロントサイドメンバを前方から後方に向けて段階的に剛性が高くした構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、左右一対の金属製フロントサイドメンバ(フロントサイドフレームともいう)を備え、フロントサイドメンバの前後方向の所定部に、初期荷重を高め、かつ低歪みで破断し得る表面処理部を形成した構成(例えば、特許文献2参照)、車両の前面衝突時(前突時)にフロントサイドメンバに衝突荷重が入力すると、接続メンバの第1、第2、第3の閉断面部の配置構成によって該衝突荷重を効率よくフロアメンバに伝達させることができる構成が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平9−183388号公報 特開2002−114171号公報 特開2001−30961号公報
しかしながら、特許文献1では、第1のリインフォースメントと第2のリインフォースメントとが車体前後方向に沿って略水平に結合されている。この結果、前突時の荷重入力図芯から、フロントサイドメンバにおけるキック部の下端部までのモーメント長が長くなり、キック部の下端部に作用するモーメント力が大きくなる。このため、キック部の下端部に変形が発生し、フロントサイドメンバ後方への荷重伝達コントロールが難しい。
請求項1記載の本発明の車両前部構造は、自動車車体の前部の車幅方向両端部に車体前後方向に沿って配設され、車体前後方向に沿って直線的に配設された前部と、該前部の後端に連結され車体前方上側から車体後方下側に向かって傾斜したキック部が形成された後部と、を備えたフロントサイドメンバと、
前記フロントサイドメンバのキック部の下端部に前端部が連結されたフロアアンダリインフォースメントと、
を有し、
前記フロントサイドメンバの後部は、
前記前部の後端に連結された基部と、
該基部の下方側に形成され、該基部の前端位置から垂直下方へ延びる前壁部と、前壁部から車体後方下側に向かって延設され前記キック部の下端部へ達し、前記フロアアンダリインフォースメントの前端部に連結される閉断面部と、を備えた段差受圧部と、
を有することを特徴とする。
請求項1記載の本発明の車体前部構造は、フロントサイドメンバの前端部から所定距離後方側の部位から垂直下方へ延びる前壁部と、前記前壁部から車体後方下側に向かって延設され前記フロントサイドメンバのキック部の下端部へ達する閉断面部と、を備えた段差受圧部を有することを特徴とする。
従って、前突初期の小さな荷重は、フロントサイドメンバの前部で受ける。また、前突中期以降の大荷重は、フロントサイドメンバの前部の後端に連結された基部と、基部の下方側に形成され、基部の前端位置から垂直下方へ延びる前壁部と、前壁部から車体後方下側に向かって延設されキック部の下端部へ達し、フロアアンダリインフォースメントの前端部に連結される閉断面部と、を備えた段差受圧部と、を有するフロントサイドメンバの後部で受ける。この結果、前突中期以降の大荷重入力図芯から、フロントサイドメンバにおけるキック部の下端部までのモーメント長が短くなり、キック部の下端部に作用するモーメント力が小さくなる。このため、キック部の下端部に変形が発生し難く、フロントサイドメンバ後方への荷重伝達コントロールが容易である。また、衝突エネルギの吸収効率も向上する。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の車体前部構造において、ドライブシャフトが無く、前記フロントサイドメンバと前記フロントサイドメンバに連結されたフロントサスペンションメンバとにサスペンションアームを介して連結された車輪を有することを特徴とする。
従って、請求項1に記載の内容に加えて、車輪にはドライブシャフトが無く、フロントサイドメンバと、フロントサイドメンバに連結されたフロントサスペンションメンバとにサスペンションアームを介して連結されているため、ドライブシャフトの上下変動を考慮する必要がない。この結果、段差受圧部の後部において、閉断面部を車体下方へ延設し易い。このため、前突中期以降の大荷重入力図芯から、フロントサイドメンバにおけるキック部の下端部までのモーメント長を大幅に短くでき、キック部の下端部に作用するモーメント力を大幅に小さくできる。
請求項1記載の本発明の車体前部構造は、自動車車体の前部の車幅方向両端部に車体前後方向に沿って配設され、車体前後方向に沿って直線的に配設された前部と、前部の後端に連結され車体前方上側から車体後方下側に向かって傾斜したキック部が形成された後部と、を備えたフロントサイドメンバと、フロントサイドメンバのキック部の下端部に前端部が連結されたフロアアンダリインフォースメントと、を有し、フロントサイドメンバの後部は、前部の後端に連結された基部と、基部の下方側に形成され、基部の前端位置から垂直下方へ延びる前壁部と、前壁部から車体後方下側に向かって延設されキック部の下端部へ達し、フロアアンダリインフォースメントの前端部に連結される閉断面部と、を備えた段差受圧部と、を有するため、前突時のフロントサイドメンバ後方への荷重伝達コントロールが容易であるという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の車体前部構造において、ドライブシャフトが無く、フロントサイドメンバとフロントサイドメンバに連結されたフロントサスペンションメンバとにサスペンションアームを介して連結された車輪有するため、請求項1に記載の効果に加えて、キック部の下端部に作用するモーメント力を大幅に小さくできるという優れた効果を有する。
本発明における車体前部構造の一実施形態を図1及び図2に従って説明する。
なお、図中矢印UPは車体上方方向を示し、図中矢印FRは車体前方方向を示している。
図2に示される如く、本実施形態の自動車車体10の前部には、車幅方向両端部に車体前後方向に沿ってフロントサイドメンバ12が配設されている。左右のフロントサイドメンバ12の前端部12Aには、フロントバンパリインフォースメント14が架設されており、車体10が前突(前面衝突)した場合には、フロントバンパリインフォースメント14に入力する衝突荷重を左右のフロントサイドメンバ12で受けるようになっている。
フロントサイドメンバ12の前部12Bは、車体前後方向に沿って直線的に配設されており、車体前後方向から見た断面形状が矩形の閉断面構造となっている。また、フロントサイドメンバ12の前部12Bはアルミの押出し材で、フロントサイドメンバ12の後部12Cはアルミの鋳物で構成されており、互いに連結されている。
図1に示される如く、フロントサイドメンバ12の後部12Cは、前部12Bの後方に車体後方へ向かって連結された基部20と、基部20の下方側に形成された段差受圧部22とで構成されている。
フロントサイドメンバ12の後部12Cにおける後部は、車体前方上側から車体後方下側に向かって傾斜したキック部12Dとなっており、キック部12Dの下端部12Eには、フロアアンダリインフォースメント26の前端部26Aに連結されている。
一方、段差受圧部22の前壁部22Aは、フロントサイドメンバ12の前端部12Aから所定距離後方側の部位である基部20の前端位置から垂直下方へ延びており、この前壁部22Aの車体後方側には、前壁部22Aとキック部12Dの下端部12Eとを連結する閉断面部22Bが形成されている。
従って、前突初期の小荷重F1の入力図芯K1から、フロントサイドメンバ12におけるキック部12Dの下端部12Eの図芯Pまでのモーメント長L1に比べ、前突中期以降の大荷重F2の入力図芯K2から、フロントサイドメンバ12におけるキック部12Dの下端部12Eの図芯Pまでのモーメント長L2が小さくなる(L1>L2)。
図2に示される如く、フロントサイドメンバ12の後部12Cにおける段差受圧部22の前端下部22Cと、キック部12Dの下端部12Eとには、サスペンションメンバ30が連結されており、フロントサイドメンバ12の後部12Cの基部20とサスペンションメンバ30には、サスペンションアーム32、34を介して、ホイールインモータ36を備えドライブシャフトが無い車輪38が取付けられている。
また、左右のフロントサイドメンバ12のキック部12Dには、ダッシュクロスロア40の車幅方向外側端部40Aが結合されており、ダッシュクロスロア40は車幅方向に延びる閉断面部を有するアルミの押出し材で構成されている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、図1に示される如く、衝突体Sに車体10が前突した場合には、フロントバンパリインフォースメント14に入力する衝突荷重を左右のフロントサイドメンバ12で受ける。この際、前突初期の小さな荷重(図1の矢印F1)は、フロントサイドメンバ12の前端部12Aと段差受圧部22との間となるフロントサイドメンバ12の前部12Bで受ける。
また、前突中期以降の大荷重(図1の矢印F2)は、基部20と、基部20の下方側に形成され、基部20の前端位置となるフロントサイドメンバ12の前端部12Aから所定距離後方側の部位から垂直下方へ延びる前壁部22Aと、前壁部22Aから車体後方下側に向かって延設されフロントサイドメンバ12のキック部12Dの下端部12Eへ達する閉断面部22Bと、を備えた段差受圧部22と、を有する後部12Cで受ける。
この結果、前突初期の小荷重F1の入力図芯K1から、フロントサイドメンバ12におけるキック部12Dの下端部12Eの図芯Pまでのモーメント長L1に比べ、前突中期以降の大荷重F2の入力図芯K2から、フロントサイドメンバ12におけるキック部12Dの下端部12Eの図芯Pまでのモーメント長L2が小さくなる(L1>L2)。
このため、大荷重F2に対して、キック部12Dの下端部12Eに作用するモーメント力Mが小さくなるので、キック部12Dの下端部12Eに変形が発生し難く、フロントサイドメンバ後方への荷重伝達コントロールが容易になる。また、衝突エネルギの吸収効率も向上する。
また、本実施形態では、フロントサイドメンバ12の後部12Cの基部20とサスペンションメンバ30に、サスペンションアーム32、34を介して、ホイールインモータ36を備えドライブシャフトが無い車輪38が取付けられている。この結果、ドライブシャフトの上下変動を考慮する必要がない。このため、前突中期以降の大荷重F2の入力図芯K2から、フロントサイドメンバ12におけるキック部12Dの下端部12Eの図芯Pまでのモーメント長L2を大幅に短くでき、キック部12Dの下端部12Eに作用するモーメント力Mを大幅に小さくできる。
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、フロントサイドメンバ12の後部12Cの基部20とサスペンションメンバ30とに、サスペンションアーム32、34を介して、ホイールインモータ36を備えドライブシャフトが無い車輪38が取付けたが、これに代えて、フロントサイドメンバ12の後部12Cの基部20とサスペンションメンバ30とに、サスペンションアーム32、34を介して、ドライブシャフトを有する車輪を付けた構成としても良い。
また、上記実施形態では、フロントサイドメンバ12の前部12Bをアルミの押出し材で、フロントサイドメンバ12の後部12Cをアルミの鋳物で構成したが、フロントサイドメンバ12の構成は、これに限定されず、フロントサイドメンバ12の前部12Bと後部12Cとを一体としても良い。また、フロントサイドメンバ12はアルミ以外の金属等の他の材料で構成しても良い。
図2の1−1線に沿った拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係る車体前部構造を適用した車体を示す車体斜め後方から見た斜視図である。
符号の説明
10 自動車車体
12 フロントサイドメンバ
12A フロントサイドメンバの前端部
12B フロントサイドメンバの前部
12C フロントサイドメンバの後部
12D フロントサイドメンバのキック部
12E フロントサイドメンバのキック部の下端部
20 フロントサイドメンバの後部の基部
22 フロントサイドメンバの段差受圧部
22A 段差受圧部の前壁部
22B 段差受圧部の閉断面部
30 サスペンションメンバ
32 サスペンションアーム
36 ホイールインモータ
38 車輪

Claims (2)

  1. 自動車車体の前部の車幅方向両端部に車体前後方向に沿って配設され、車体前後方向に沿って直線的に配設された前部と、該前部の後端に連結され車体前方上側から車体後方下側に向かって傾斜したキック部が形成された後部と、を備えたフロントサイドメンバと、
    前記フロントサイドメンバのキック部の下端部に前端部が連結されたフロアアンダリインフォースメントと、
    を有し、
    前記フロントサイドメンバの後部は、
    前記前部の後端に連結された基部と、
    該基部の下方側に形成され、該基部の前端位置から垂直下方へ延びる前壁部と、前壁部から車体後方下側に向かって延設され前記キック部の下端部へ達し、前記フロアアンダリインフォースメントの前端部に連結される閉断面部と、を備えた段差受圧部と、
    を有することを特徴とする車体前部構造。
  2. ドライブシャフトが無く、前記フロントサイドメンバと前記フロントサイドメンバに連結されたフロントサスペンションメンバとにサスペンションアームを介して連結された車輪を有することを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
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