JP4250482B2 - 先細熱的アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は一般に超小型電気機械装置に関し、特にインクジェット装置およびその他の液滴排出体に用いられるようなタイプの超小型電気機械熱的アクチュエータに関する。
超小型電気機械システム(MEMS)は比較的最近になって開発が進んだシステムである。これらMEMSは従来の、アクチュエータ、バルブ、および、ポジショナといった電気機械装置の代替品として使用されている。超小型電気機械装置は、超小型電子加工技術を用いるため、潜在的に低コストになる可能性を有する。MEMS装置はサイズスケールが小さいため、新しい利用用途も見出されている。
MEMS技術に関する多くの潜在的な利用用途においては、装置において必要な動作を与えるために、熱的作動を利用している。例えば、多くのアクチュエータ、バルブ、および、ポジショナは、動作のために熱的アクチュエータを使用している。幾つかの利用用途においては、必要とされる動作はパルスにより駆動される。例えば、アクチュエータが第1位置への回復を伴った敏速な第1位置から第2位置への変位を利用して、流体へ圧力パルスを与えたり、または、機構を作動パルス当りの1単位の距離だけ、もしくは、1単位の回転だけ進ませてもよい。ドロップオンデマンド方式の液滴排出体は、離散的な圧力パルスを利用して離散量の液体をノズルから噴射している。
長年にわたり、ドロップオンデマンド(DOD)液体排出装置は、インクジェット印刷システムにおけるインク印刷装置として知られている。初期の装置は、カイザーら(Kyser et al.)の開示している米国特許第3,946,398号やシュテム(Stemme)の開示している米国特許第3,747,120号のような圧電性アクチュエータを基にしている。最近、流行のインクジェット印刷の形式である、熱的インクジェット(または、「バブルジェット」)は、ハラら(Hara et al.)の開示する米国特許第4,296,421号のように、電気抵抗性ヒータを利用して蒸気泡を生成し、液滴の排出を実現している。
電気抵抗性ヒータのアクチュエータは、圧電性アクチュエータに対し、製造コスト面での優位性を有する。なぜなら、十分に発達した超小型電子加工処理を用いて製造が可能であるからである。一方で、熱的インクジェット液滴噴射機構は、インクに気化成分が含まれることを要請し、局所的にこの成分の沸点よりも十分に高い温度にまで、インクの温度を上昇させる。このような熱の照射をすることが、確実に熱的インクジェット装置から噴射されるようなインクおよび他の液体の処方設計に厳しい制限を与える。圧電性作動装置はこのような厳しい制限を、噴射される液体に課すことはない。なぜなら、液体は機械的に加圧されるからである。
インクジェット供給者の実現してきた、有用性、コストパフォーマンス、および、技術的性能の改善により、液体の微小計測を要求する他の利用用途に向けた装置への関心も惹起されてきている。このような新しい利用用途には、ピーズら(Pease et al.)による米国特許第5,599,695号に開示されているような、微量分析化学のための特殊化した化学物質の分配、ナカら(Naka et al.)による米国特許第5,902,648号に開示されているような、電子デバイスの製造のための被覆材の分配、および、プサロスら(Psaros et al.)による米国特許第5,771,882号に開示されているような、吸入療法のための微小滴の分配、を含んでいる。オンデマンド方式でミクロンサイズの広範な液滴を噴射可能とする装置および方法は、最高品質画像印刷においてのみならず、液滴の分配が、超小型液滴の単一的な分散、正確な配置およびタイミング、ならびに、極めて細やかなインクリメントを必要とする、新たな利用用途においても必要である。
広範な処方設計を有する液体を使用可能な微小液滴排出を、低コストで実現する取り組みが必要とされている。熱的インクジェットに用いられる超小型電子加工技術の利点と圧電性機械装置で利用可能な液体組成に関する自由度とを兼ね備える装置および方法が必要とされている。
熱的機構を有するアクチュエータを使用するDODインクジェット装置については、キタハラが1988年7月21日出願のJP2,030,543に開示している(特許文献1)。このアクチュエータはインクジェットチャンバ内を可動な複層カンチレバーで構成されている。ビームがレジスタにより加熱され、それにより、層の熱膨張の不一致のために湾曲が生じる。ビームの自由端が移動してノズルにあるインクを加圧し、液滴の排出が生じる。最近、類似の熱的機構を有するDODインクジェットの構成が、シルバーブルック(Silverbrook)により、米国特許第6,067,797号、6,087,638号、6,239,821号、および、6,243,113号に開示されている(特許文献2〜特許文献5)。超小型電子加工処理を用いた熱的機構を有するインクジェット装置を製造する方法は、K.シルバーブルック(K. Silverbrook)により米国特許第6,180,427号、6,254,793号、および、6,274,056号に開示されている(特許文献6〜8)。
カンチレバー化されている要素を採用している、熱的機械により作動する液滴排出体は、超小型電子工学材料および設備を用いて大量生産可能であり、また、熱的インクジェット装置においては信頼性のないような液体を用いた動作を可能とする低コストな装置になる見込みがある。しかし、カンチレバー方式の熱的アクチュエータおよび液滴排出体のデザインおよび動作は、ピーク温度の偏位を管理し、また、発動反復周波数を最大化するために、エネルギ効率に十分な注意を払う必要がある。以前の構成体よりも少ないエネルギ入力を必要とする一方で、以前の構成体に匹敵した偏向量および偏向力(deflection force)を産み出すデザインが、さまざまな熱的に作動する装置、特にインクジェットプリントヘッドの商業的な可能性を高めるために必要である。
高速な反復周波数および最大の発動力(actuation force)で動作可能な、入力エネルギの効率が最適にされたカンチレバー化された要素を有する熱的アクチュエータの構成体が必要とされている。
特開平2−30543号公報 米国特許第6067797号明細書 米国特許第6087638号明細書 米国特許第6239821号明細書 米国特許第6243113号明細書 米国特許第6180427号明細書 米国特許第6254793号明細書 米国特許第6274056号明細書
従い、本発明の目的は、エネルギ効率が改善された熱的な機械によるアクチュエータを提供することである。
また、エネルギ効率が改善された液滴排出体を提供することも本発明の目的である。
本発明の、前記および多様な他の、特徴、目的、および、利点は、ここに示す詳細な説明、請求項、および、図面をレビューすることで、容易に明らかとなるであろう。これらの特徴、目的、および、利点は、基部要素、ならびに、基部より延びた熱的機械湾曲部(thermo-mechanical bending portion)、および、第1位置に存在する自由端部を備えたカンチレバー要素を有する超小型電気機械装置のための熱的アクチュエータを構成することにより実現される。熱的機械湾曲部は、基部要素に隣接して基部端幅W、そして、自由端部に隣接して自由端幅Wを有し、ここでは、実質的に基部端幅が自由端幅よりも大きい。前記熱的アクチュエータにはさらに、熱パルスを直接的に熱的機械湾曲部に与えるのに適化した装置を有し、カンチレバー要素の自由端部を第2位置まで偏向させる。熱的機械湾曲部の幅は、基部要素からの距離の関数として、または、代替的実施形態においては、少なくとも1段階の減少によって、実質的に単調に減少してもよい。前記熱パルスを与えるのに適化した装置は、薄膜レジスタを備えてもよい。代わりに、熱的機械湾曲部は、電気的パルスが与えられることによって敏速な自由端部の偏向を生じさせるヒータレジスタが形成された電気抵抗性材料からなる第1層を有してもよい。
本発明は特にDODインクジェット印刷のためのプリントヘッドとして用いられる液滴排出体用熱的アクチュエータとして有用である。この好適な実施形態においては、熱的アクチュエータは、液体を噴射するためのノズルを備え、液体で満たされたチャンバないに在る。熱的アクチュエータは、チャンバの壁部から延び、そして、自由端がノズルの直近に在るカンチレバー要素を有する。熱パルスをカンチレバー要素に与えることで、自由端が偏向し、液体をノズルから押し出す。
本発明は、その好適な実施形態についての詳細なリファレンスを用いて詳細に説明されているが、その変形物および修正物も本発明の範囲にて実施可能であると解される。
本明細書にて以下に詳細に説明されているように、本発明は熱的アクチュエータおよびドロップオンデマンド液体排出装置のための装置を提供する。そのような装置のうちでもっとも身近な装置は、インクジェット印刷システムにおいてプリントヘッドとして使用されている。インクジェットプリントヘッドと類似の装置を利用し、正確に計量され、かつ、高度な空間的精確さで堆積される必要のあるインク以外の液体を排出する、数多くの他の利用用途が現れている。用語インクジェットと液滴排出体は、本明細書中、相互交換的に使用される。以下に記載の本発明は、不安定な動作および早期の装置の不具合を生じかねない、高すぎる温度、つまりはホットスポットを回避することを目的として構成され、操作される熱的機械アクチュエータを基にした液滴排出体を提供する。
図1を参照すれば、本発明に関連する装置および操作を使用するインクジェット印刷システムの概略図が示されている。本システムは、液滴を印刷する命令としてコントローラ300が受信する信号を供する画像データソース400を有する。コントローラ300は電気的パルスのソース200に信号を出力する。次に、パルスソース200が、インクジェットプリントヘッド100内の各熱的機械アクチュエータ15と対応した電気抵抗手段に供される電気的エネルギパルスで構成される電圧信号を生成する。電気的エネルギパルスが熱的機械アクチュエータ15(本明細書では、今後「熱的アクチュエータ」)をノズル30にあるインク60を加圧しながら敏速に湾曲させ、受容体500に着地するインク滴50を排出させる。
図2はインクジェットプリントヘッド100部の平面図である。熱的に作動されるインクジェットユニット110のアレイが示されており、インクジェットユニット110は中央に並んだノズル30、および、2列で互いに組み合ったインクチャンバ12を有する。インクジェットユニット110は、超小型電子加工方法を用いて基板10の上および内部に形成される。液滴排出体110を形成するために用いられる製造シーケンスの例は、本発明の譲受人に譲渡された、同時係属中の2000年11月30日出願、出願番号09/726,945号、「Thermal Actuator(熱的アクチュエータ)」に記載されている。
各液滴排出体ユニット110は、図2において想像図として示されているヒータレジスタ部25とともに形成されるか、または、電気的に接続されている、付随の導線接点42、44を有する。例示している実施形態においては、ヒータレジスタ部25は、熱的アクチュエータのカンチレバー要素20の第1層に形成されており、また、これから説明する熱的機械効果に関与する。プリントヘッド100の要素80は、超小型電子基板10、ならびに、液体供給体、電気信号、および、機械的インターフェース機構を連絡させるための手段の取付け面となる取付け用構造体である。
図3aは1個の液滴排出体ユニット110の平面図であり、第2の平面図である図3bはノズル30を有する液体チャンバカバ28を取り外した状態の図である。
図3aにおいて、破線で示される熱的アクチュエータ15は、図3bにおいては実線で示されている。熱的アクチュエータ15のカンチレバー要素20は、基板基部要素10内に形成された液体チャンバ12の基部要素縁部14から延びている。カンチレバー要素のアンカ部26は基部要素の基板10と固着され、カンチレバーを固定している。
アクチュエータのカンチレバー要素20は櫂のような形状を有しており、延びた先細のシャフトの端部には、最終シャフト幅よりも大きな直径を有する円盤を有する。この形状は単に、使用可能なカンチレバーアクチュエータの例示に過ぎず、以下に記すように他の数多くの形状を用いることができる。円盤形状により、ノズル30とカンチレバー要素の自由端部27の中心とが一直線に並ぶ。流体チャンバ12は湾曲壁部16を有し、それは自由端部27の曲率と一致し、アクチュエータの運動のためのクリアランスを設けるために隙間が空けられている。
図3bは、相互接続ターミナル42および44における電気的パルスソース200の抵抗性ヒータ25への取付けを概略的に示している。電圧ターミナル42および44に電位差が与えられることで、ヒータレジスタ25によって抵抗加熱が生じる。このことは一般に、電流Iを示す矢印により示される。図3の平面図においては、パルスが加えられた際、アクチュエータの自由端部27がこの図を見る者に向かって運動し、液滴は、カバ28におけるノズル30から見る者に向かって排出される。この発動および液滴の排出に関する幾何学的性質は、数多くのインクジェットに関する開示において「ルーフシュータ(roof shooter)」と呼ばれている。
図4aおよび図4bは、本発明の好適な実施形態によるカンチレバー化された熱的アクチュエータの側面図を示している。図4aにおいて、アクチュエータは第1位置にあり、図4bにおいて、アクチュエータは第2位置の方向に偏向されていることが示されている。カンチレバー要素20は基部要素10のアンカ位置14から延びている。カンチレバー要素20は幾つかの層で構成されている。第1層22が、カンチレバー要素20における他の層に対して熱的に伸長されると、上方への偏向が生じる。この層は、電気的に抵抗性を有する材料、好ましくはチタンアルミナイド合金で構成されており、高い熱膨張係数を有する。
電流連結装置68が、図4の側面図に示されている。電流連結装置は、ヒータレジスタ25の伸長された2つの抵抗部を直列的に導電しており、また、アルミニウムのような金属層の堆積およびパターン形成により形成されても、また、電気抵抗性を有する材料を用いて形成されてもよい。
カンチレバー要素20は、第1層22に付着されている第2層23を有している。第2層23は、第1層22を構成するために用いられている材料に対し、熱膨張係数の低い第2材料を有する。第2層23の厚さは、必要な機械的剛性を有し、かつ、与えられる熱エネルギ入力に対してカンチレバー要素の偏向が最大になるように選択される。第2層23は、抵抗性ヒータ部および電流連結装置、ならびに、第1層もしくは幾つかの本発明の好適な実施形態において用いられている第3材料に形成される部分を電気的に絶縁する目的で、誘電性絶縁体であってよい。第2層を用いて、第1層22の部分として形成または付加された導電層に形成された電気抵抗体および電流連結体装置を部分的に規定してもよい。
第2層は1よりも多くの材料からなる積層構造物である、副層を有してもよく、それによって、熱流の管理、電気的絶縁性、および、カンチレバー要素20の層の強力な接着に関する機能性を最適化することができる。
図4に示す、パッシベーション層21は、化学的および電気的に第1層22を保護するために備えられている。本発明による熱的アクチュエータの利用用途の幾つかは、このような保護を必要としないかもしれず、そのような場合には、取り除いてもよい。機能している液体と1以上の表面を接している熱的アクチュエータを利用している液滴排出体は、機能している液体と化学的および電気的に不活性なパッシベーション層21を必要とするかもしれない。
カンチレバー要素20の全厚hが図4に示されている。電流連結装置68の直近の領域においては、電流連結体を形成するために材料を付加している場合、幾分厚くともよい。
温度上昇および伸長を第1層22にもたらす、熱パルスが第1層22に与えられる。第2層23は、ほぼ同量ほどは伸長しない。なぜなら、熱膨張係数が小さく、また、熱が第1層22から第2層23へ拡散するには時間が必要だからである。図4bに示すように、第1層22および第2層23の長さの差が、カンチレバー要素20を上方にDだけ曲げる。液滴排出体においてアクチュエータとして用いられる場合、カンチレバー要素20の曲げの反応は、ノズルにおいて液体を十分に加圧するために、十分に敏速でなければならない。一般に、電気抵抗性加熱装置は、熱パルスを加えるのに適しており、4マイクロ秒に満たない存続時間の電気的パルスが用いられ、好ましくは、2マイクロ秒にも満たない存続時間である。
図5ないし図10は、本発明による幾つかの好適な実施形態の単一の液滴排出体を構成するための製造処理ステップを示している。これらの実施形態に関し、第1層22はチタンアルミナイドのような電気抵抗性を有する材料を用いて構成され、部分は電流Iを通電させるレジスタにパターン形成される。
図5は、カンチレバーの第1層22の第1製造段階を示している。図示されている構造は、例えば単結晶シリコンの基板10上に、標準的な超小型電子工学的堆積およびパターン形成法により形成されている。基板10の部分は、そこからカンチレバー要素20の延びる機材要素としての務めを有する。チタンアルミナイド合金の堆積は、例えばRFまたはパルスDCマグネトロンスパッタリングにより実施される。チタンアルミナイドに用いられる堆積処理の例は、本発明の譲受人に譲渡された、同時係属中の2000年11月30日出願、出願番号第09/726,945号、「Thermal Actuator(熱的アクチュエータ)」に記載されている。
第1層22が堆積された後、熱パルスを加えるための適切な電流経路、および、熱−機械性能に望まれる形状を作り出すために、材料を除去してパターン形成される。カンチレバー自由端部27が示される。図示されているように、さらに、第1層22材料に形成されているように、導線42および44のアドレッシングが示されている。導線42、44は、基材要素基板10に先に形成された回路とつないでもよく、また、テープ自動化ボンディング(TAB)またはワイヤボンディングのような、他の標準的電気的接続方法を用いて外部的につないでもよい。パッシベーション層21は、第1層22の材料が堆積およびパターン形成される前に、基盤10上に形成される。このパッシベーション層は、第1層22および他の次の構造体の下に残されてもよく、また、後のパターン形成処理において除去してもよい。
図6は先に示したステップに続く製造処理における次のステップを示している。このステップにおいては、電流連結装置68がカンチレバー要素のシャフトと自由端部27とがつながっているところに形成される。例の実施形態においては、電流連結装置68は、伸長されているヒータレジスタ部66間を直列的に通電させる導電性材料を堆積およびパターン形成することによって形成される。熱パルス起動電流の経路は矢印および字「I」で示す。連結体部68は電流の方向を反対にし、また、カンチレバー要素の直接的に熱せられる部分の外端を規定する。
図7は、先に形成された熱アクチュエータの第1層22の部分の上方に堆積され、そして、パターン形成された第2層23を示している。第2層23も電流連結装置68をカバーしている。第2層23は、レジスタ部66を含む、残存するレジスタパターンをカバーして、第1層22上に形成される。第2層23の材料は、第1層22の材料と比較して低い熱膨張係数を有する。例えば、第2層23は、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、またはこれら材料もしくはその種の他のものからなる複層化された積層構造体であってよい。
図7においては、カンチレバー要素の台形形状部が、破線の間に延びているように図示されている。示されている部分は、高い熱膨張の層22および低い熱膨張の層23を含む熱的機械湾曲げ装置である。後に、基板10から放されれば、熱的機械湾曲部68は、電気パルスが第1層22のヒータレジスタ25に加えられた際に、上方に曲がる。
この段階で、化学的および電気的な保護を目的として、付加的パッシベーション材料が第2層23上に与えられてもよい。また、最初のパッシベーション層21は基板10にエッチングされる開口部から流れる流体の通る領域から離れたところにパターン形成される。
図8は、液滴排出体のチャンバの内部形状に形成された犠牲層29の付与を示している。本目的に適切な材料はポリイミドである。ポリイミドは装置基板に十分な深さで与えられ、図5−図7に示されているように第1層22および第2層23の形状を有する表面を平坦化している。犠牲層29の形成は、隣接する材料に対して選択的に除去可能ないかなる材料を使用してもよい。
犠牲層29上へ、酸化シリコン、窒化シリコンまたはその種の他のものをプラズマ堆積するといったように、コンフォーマル材料を堆積することで図9に示すような液滴排出体の液体チャンバの壁およびカバーが形成される。この層は液滴排出体チャンバ28を形成する目的でパターン形成されている。ノズル30は、製造シーケンスにおけるこの段階において液滴排出チャンバ28内に残存している犠牲層29と通じるようにして、液滴排出体チャンバに形成される。
図10(a)ないし図10(c)は、図9に示すA−Aにそった断面に沿った側面図である。図10aにおいて、ノズル開口部30を除いて犠牲層29は液滴排出体チャンバ壁28に取り囲まれている。また、図10aに示すように、基板10は原型を留めている。パッシベーション層21は、間隙領域13およびカンチレバー要素20の外周において基板10表面から除去されている。これらの場所における層21の除去は、犠牲層29が形成される前の製造段階においてなされる。
図10bにおいて、基板10はカンチレバー要素20の下方ならびにカンチレバー要素20の周りおよび側方の液体チャンバ領域において除去される。この除去は、反応性イオンエッチングのような異方性エッチング処理(anisotropic etching process)、または、用いられている基板がシリコン単結晶である場合には異方性エッチング(orientation dependent etching)によりなされてもよい。熱的アクチュエータだけを構成するには、犠牲層および液体チャンバのステップは必要ではなく、基板10をエッチングするこのステップはカンチレバー要素20を放すために用いられてもよい。
図10cにおいて、犠牲材料層29は、酸素およびフッ素ソースを用いるドライエッチングにより除去されている。エッチャントガスはノズル30および先に基板10の背面より食刻され、新しく開かれた流体供給チャンバ領域12から入る。このステップにより、カンチレバー要素20は解放され、液滴排出体の構造の製造は完了する。
図11(a)および図11(b)は、本発明の幾つかの好適な実施形態による液滴排出体の構造の側面図である。図11aはノズル30に直近の第1位置におけるカンチレバー要素20を示している。図11bはカンチレバー要素20の自由端27のノズル30方向への偏向を示す。この、カンチレバー要素の第2位置への敏速な偏向により、液体60を加圧し、液滴50の排出が生じる。
示されているようなカンチレバー要素型の排出体の動作にあっては、図11aに示すように、カンチレバー要素20は水平な状態であるよりも、むしろ部分的に曲がった状態であってよい。1以上の超小型電子加工技術による堆積または硬化(curing)処理の後に残存する内部応力のために、室温においてアクチュエータが上方または下方に曲がっていてもよい。本装置は、熱管理デザインおよびインク特性の制御を含む様々な目的のために、高温下で稼動されてもよい。もしそうであれば、第1位置は図11bに示されるように実質的に曲がっていてもよい。
ここでは、本発明を説明するために、自由端が偏向している位置を著しく変化させていない場合、カンチレバー要素は静止している、または、第1位置にあると言うことにする。理解を簡単にするため、図4aおよび図11aにおいて第1位置は水平に描かれている。だが、第1位置が曲がっている熱的アクチュエータの操作についても、本発明の発明者は承知しており、想定している。それらは完全に本発明の範囲に含まれる。
図5ないし図10は、好適な製造シーケンスを示している。だが、他の数多くの、超小型電子加工技術による製造処理、および、材料を用いた構成方法に従ってもよい。本発明の目的のため、熱的機械による湾曲部を有するカンチレバー要素を生ずるあらゆる製造方法に従ってよい。加えて、熱的機械による湾曲部は、熱パルスを供するのに適した他の装置によって加熱されてもよい。例えば、薄膜レジスタを熱的機械による湾曲部の下方または上方に形成し、加熱するために電気パルスを与えてもよい。代わりに、加熱パルスを熱的機械による湾曲部に、光エネルギまたは電磁継手(electromagnetic coupling)によって与えてもよい。
図5ないし図10に示されているシーケンスにおいては、液滴排出体の液体チャンバ28およびノズル30は基板10上のその位置に形成される。代わりに、熱的アクチュエータを別に構成し、液体チャンバ構成要素と接合して液滴排出体を構成することも可能である。
重要なことには、カンチレバー要素を有する熱的アクチュエータの効率は熱的に湾曲する部分の形状に影響を受けているということを、本発明の発明者が見出した。カンチレバー要素は、超小型電子装置の利用用途を液滴排出体、スイッチ、バルブ、光偏向器、またはその種の他のものとするに必要な要求を満たすのに十分な偏向量を得るのに十分な長さを有するように設計されている。熱的機械による湾曲部の層に関する、熱膨張の違い、剛性、厚さ、およびその他の要因に関する詳細を、カンチレバー要素の適切な長さの決定の際に考慮する。
カンチレバーの幅は、発動中に達成可能な力を決定する上で重要である。大抵の熱的アクチュエータの利用用途に関し、その発動は質量体を動かし、対抗する力に打ち勝たねばならない。例えば、液滴排出体において使用される場合、熱的アクチュエータは液状質量体を加速させ、背圧に打ち勝って液滴を排出するのに十分な圧力パルスを生成しなければならない。スイッチおよびバルブにおいて使用される場合、良好な接触または封止を達成するために、アクチュエータは部材を押し込まなければならない。
一般に、所定の長さおよび材料層の構成に対し、生じる力はカンチレバー要素の熱的機械による湾曲部の幅に比例する。よって、熱的機械湾曲体の素直なデザインは、幅w、長さの長方形のビームであって、所定の熱的機械部材および層構造の組み合わせに対し、Lは適切なアクチュエータの偏向を実現するように選択され、wは適切な発動力を実現するように選択される。
上述の真っ直ぐな長方形状は熱的機械湾曲体として最もエネルギ効率のよい形状ではないということが、本発明の発明者によって見出されている。むしろ、カンチレバー要素を支えている端部から、より狭い幅の自由端へ向かって幅が減少している熱的機械による湾曲部が湾曲体の所定の領域に対し、より大きな力を発生させることを本発明の発明者が見出している。
図12aは本発明によるカンチレバー要素27および熱的機械湾曲部63を示している。熱的機械湾曲部63は、基部要素アンカ位置14から自由端部27との接続位置18へと延びている。熱的機械湾曲部の幅は実質的に、基部端におけるwのほうが自由端におけるwよりも大きい。図12aにおいて、熱的機械湾曲体の幅は直線的にwからwまで減少し、台形形状熱的機械湾曲部を形成している。また図12aに示されているように、wおよびwは、台形熱的機械湾曲部63の面積が図12aに破線で示した同一の長さL、および、幅w=(w+w)/2を有する長方形熱的機械湾曲部の面積と等しくなるように選択される。
図12aに示される直線的に先細になっている形状は、図12bに示される本発明による一般的な先細形状の特別な場合である。一般に、図12bに示される先細の熱的機械湾曲部62は幅w(x)を有する。w(x)は、基部要素10のアンカ位置14におけるwbから、距離Lにある自由端部27との接続位置18におけるwfまで単調減少する距離xの関数である。図12bにおいては、幅が単調減少している熱的機械湾曲部62における距離の変数xはx=0→1の範囲で表現される。つまり、長さLで規格化された単位で表現される。
先細形状熱的機械湾曲部62または63の有益な効果は、このような形状を有するビームの曲げに対する抵抗性を分析することで理解される。図13は、閉じた形式で(in closed form)分析的に調査可能な第1形状を示している。図13aは第1層22および第2層23を有するカンチレバー要素の斜視図である。直線的に先細になっている(台形の)熱的機械湾曲部63は基部要素10のアンカ位置14から自由端部27へ延びている。カンチレバー要素の自由端部27とつながっている熱的機械湾曲部63の自由端18に対し、垂直に、図13において負のy方向に、負荷または背圧を表す力、Pが作用する。
図13bは後文に記す分析に用いられている台形熱的機械湾曲部63の幾何学的特性を示す平面図である。直線的なテーパの量は、図13bにおける角Θ、および、図12aにおける幅差δw/2として表される。これら2つのテーパに関する記述は、tanΘ=δw/Lなる関係を有する。
アンカ位置14(x=0)において固定され、自由端18(x=L)において力Pを受けている熱的機械湾曲部63は、複層構造の全厚h、および、実効ヤング率Eを含む幾何形状パラメータに基づいた平衡形状と仮定する。アンカ接続により、カンチレバー要素に対して力Pとは反対の方向に力が働き、それによって移動しないようにしている。よって、固定されている基部端からの距離xにおける熱的機械湾曲部に働く総モーメント、M(x)は次式である。
Figure 0004250482
熱的機械湾曲部63はビームの剛性I(x)およびヤング率Eで表される幾何形状因子に基づき、作用するモーメントM(x)に対応する曲げに耐える。よって、
Figure 0004250482
ここで、
Figure 0004250482
である。式(1)と合わせて、
Figure 0004250482
となる。
上の式(4)は、幾何形状パラメータ、材料パラメータ、および、Lを単位として表されている固定アンカ位置からの距離xの関数としての熱的機械湾曲部材の偏向、y(x)に関する微分方程式である。式(4)は境界条件y(0)=dy(0)/dx=0の下でy(x)について解いてもよい。
先ず最初に長方形熱的機械湾曲部について式(4)を解き、本発明に係る幅が減少する形状と比較するために基本となる、または、公称としての事例を定めることは有意義である。よって、図12aにて破線で示す長方形状に対しては、
Figure 0004250482
Figure 0004250482
Figure 0004250482
であり、ここで、
Figure 0004250482
である。長方形熱的機械湾曲部63の自由端、x=1.0における負荷Pに対するビームの偏向、y(1)は、
Figure 0004250482
となる。
上の式(9)において表されている長方形熱的機械湾曲部の自由端18における偏向、y(1)は、以下に記す解析において、規格化定数として用いられる。つまり、本発明に係る幅が減少している熱的機械湾曲部の負荷Pを受けた状態における偏向量が解析され、そして、長方形の場合と比較される。本発明に係る熱的機械湾曲部は、同じ長さL、および、平均幅wを有する長方形熱的機械湾曲部よりも、同一の負荷または背圧において偏向は少ないことがわかる。本発明による熱的機械湾曲部の形状は負荷による力および背圧による力に対して、さらに抵抗性が高いので、長方形熱的機械湾曲体に比して、同じ熱エネルギの入力で、より大きな偏向およびより力強い偏向を実現できる。
図2、3、12、および、13に示されている台形形状熱的機械湾曲部は、本発明の好適な実施形態である。熱的機械湾曲部63は、基部端幅wから自由端幅wまで、基部要素10のアンカ位置からの距離xの一次関数として狭くなるデザインである。さらに、実現されている効率性の向上に関し、それを明白にするため、台形形状熱的機械湾曲部は、上記の式(5)にて記述した長方形状熱的機械湾曲部と同一の長さL、および、面積wLを有するようにデザインされている。台形形状の幅関数w(x)は以下のように表される。
Figure 0004250482
ここで、(w+w)/2=w、δ=(w−w)/2w、a=−2δ、および、b=(1+δ)である。
線形幅関数、式(10)を微分方程式(4)に代入すると、自由端位置18における負荷Pに対する台形形状熱的機械湾曲部63の偏向、y(x)が計算できる。
Figure 0004250482
Figure 0004250482
ここで、上記の式(12)におけるCは、長方形熱的機械湾曲部の場合のための式(7)ないし式(9)にある定数Cと同一である。δなる量は、w単位のテーパ量を表す。さらに、上記の式(12)は、δ→0とすることで、長方形の場合の式(7)に還元される。
先細形状の熱的機械湾曲部の有益な効果は、自由端位置18において負荷Pの起こす偏向量を調べ、長方形状の場合(式(9)参照)に得た偏向量、−C/3で規格化することで、より理解されるかもしれない。規格化された自由端における偏向を上方に−を付けたy(1)で表す。
Figure 0004250482
規格化自由端偏向を、図14に曲線210としてδの関数としてプロットする。図14の曲線210は、δが増加するにつれて負荷Pのかかる状況において熱的機械湾曲部の偏向は少なくなることを示している。実際的な実施に関し、δはδ=0.75をはるかに上回るところまで増加させることはできない。なぜなら、そのような自由端の狭めは、カンチレバー要素20において、熱的機械湾曲部63と自由端部27とがつながる自由端位置18を弱めることにつながるからである。
図14の規格化自由端偏向プロット210は、先細、または、台形形状の熱的機械湾曲部が、流体を移動させる装置の場合において、アクチュエータの負荷または背圧により効率的に耐えるであろうことを示している。例えば、幅w=20μm、長さL=100μmの標準的な長方熱的アクチュエータが、その自由端においてw=10μmに狭められ、その基部端においてw=30μmに広げられれば、δ=0.5である。そのような先細の熱的機械湾曲部は、同一の面積を有する20μm幅の長方熱的アクチュエータよりも18%程度偏向が少なくなっている。この、熱的機械湾曲部の改善された負荷耐性は、同じ熱エネルギがパルスされた場合に、発動力および総自由端偏向の増加として見て取れる。代わりに、先細形状による力の効率の向上は、より少ないエネルギ熱パルスを用いて同量の力を得ることに用いられてもよい。
図12bに示されるように、基部端から自由端に向かって幅が単調減少する熱的機械湾曲部ならどのような形状であれ、発動負荷または背圧に対する耐性が、同程度の面積および長さを有する長方湾曲体よりも向上する。このことは、式(4)より、ビームの湾曲の変化率、dy/dxが基部端からの距離、x、が増加するに従い幅が狭まる場合に増加することを認識すれば理解できる。つまり、式(4)より、
Figure 0004250482
である。w(x)=w(定数)となる長方形の場合と比較すれば、単調減少するw(x)により、負荷Pを受けている状況下で下方に偏向しているビームの傾きの変化率の値は、より大きな負の値になる。従って、各点におけるビームの傾き、つまり湾曲は、xが増加するに従って減少し、自由端x=1において累積したビームの偏向量は少なくなる。熱的機械湾曲部の負荷に対する耐性に関する有益な向上点は、基部端の幅が実質的に自由端の幅よりも大きければ、現れる。ここで用いた用語「実質的に大きい」とは少なくとも20%大きい意味で用いられている。
2つの代替的な本発明の実施形態を図15aないし図15cに示す。図15aは一次より高次な幅の減少を有する熱的機械湾曲部64を示す図であり、この場合においてはwからwに向かって幅は2次で変化している。
Figure 0004250482
図15bは段階的に減少する熱的機械湾曲部65を示しており、x=xにおいて1段階減少を有する。
Figure 0004250482
一次よりも高次な幅関数、式(15)、は閉形式表現で解析するには扱いにくい。だが、段階的な形状、式(16)、は本発明を理解する上で助けとなる閉形式解に従いやすい。
図15cは、熱的機械湾曲部65に直接的に熱パルスを与えることに適した代替装置、薄膜レジスタ46、を示している。薄膜レジスタは、カンチレバー要素20および熱的機械湾曲部65を構成する前に基板上に形成されても、完成後に加えられても、または、中間的段階において加えられてもよい。このような熱パルス付加装置は、本発明に係るあらゆる熱的機械湾曲部のデザインに用いてよい。
調べられる第1段階的減少熱的機械湾曲部65は、Lを単位としてx=0.5である中間点にて減少している。つまり、
Figure 0004250482
であり、ここで、δ=(w−w)/2であり、熱的機械湾曲部65の面積は、幅wおよび長さLを有する長方湾曲体と等しい。式(4)は、階段状熱的機械湾曲部65の自由端位置18において負荷Pを受けている状況の偏向y(x)について解いてもよい。境界条件y(0)=dy(0)/dx=0にx=0.5の階段におけるyおよびdy/dxの連続性に関する要件が加えられる。負荷Pを受けている状況における偏向、y(x)は、
Figure 0004250482
となる。
同一の面積および長さを有する長方形湾曲体の自由端の偏向により規格化された、階段状熱的機械湾曲部の自由端位置18の偏向は次式で表される。
Figure 0004250482
図16に式(19)をδの関数としてプロット220で示す。これから分かることは、階段状熱的機械湾曲部65は、ビームが弱くなって耐性が落ちる、比がおよそδ〜0.5までは負荷Pに対する耐性が向上するということである。0.5w程度の段階的減少を選択すれば、同一の面積および長さを有する長方熱的機械湾曲部よりもおよそ16%程度偏向が小さくなる。この向上した負荷耐性は、テーパ比0.5を有する(図14、プロット210参照)台形形状熱的機械湾曲部の負荷耐性に匹敵する。
図16は、階段状熱的機械湾曲部に対し、所定の段差位置に最適な幅の減少があることを示している。また、階段状熱的機械湾曲部の所定の幅減少比に対し、最適な段差位置xが存在する場合もありうる。以下に、一般的1段階幅減少の場合を解析している。
Figure 0004250482
ここでfは、長方熱的機械湾曲部の公称幅wに対する自由端幅の比であり、f=w/wである。式(20)は、先のように境界条件y(0)=dy(0)/dx=0および段差xにおけるyおよびdyの連続性を用いながら、微分方程式(4)に代入される。自由端位置18における規格化された偏向は次式で表される。
Figure 0004250482
の関数としての式(21)の傾きを調べ、選択するfに対し最適なxを決定する。
Figure 0004250482
式(22)に示した傾度関数は、波括弧内の分子がゼロになるとき、ゼロになる。この分子の項を、3つのfの値について図17にプロットする。図17のプロット222はf=0.25に対するもので、プロット224はf=0.5に対するものであり、また、プロット226はf=0.75に対するものである。自由端位置18における規格化された偏向は傾きがゼロになるxにおいて極小になる。それ故、負荷耐性を最大にするには、w〜(0.25ないし0.75)wの範囲で階段状熱的機械湾曲部が減少する場合、最適段差位置はx〜0.4ないし0.7であることが分かる。
熱的機械湾曲部の自由端を狭くすることを伴う負荷の力または背圧の抵抗の低減においては、面積および長さが一定の場合、必然的に、基部端が広げられることを意味している。基部を広くすることにより、カンチレバー要素から発動用の熱を取り去るための熱伝導経路が広くなるという、さらなる利点を有する。だがある時点で、アクチュエータが所定の動作温度に到達する前に余りに多くの熱が失われてしまうのであれば、幅広の基部端のために熱的アクチュエータの効率が損なわれるかもしれない。
図13に示された台形形状熱的機械湾曲部の発動の数値シミュレーションを、液滴排出用途に代表的な装置寸法および熱パルスを用いて実施している。計算は、熱的機械湾曲部63の領域で均一な加熱がなされることを仮定している。テーパ角Θ〜0度ないし11度を有する先細の熱的機械湾曲部に関し、代表的流体背圧に対する自由端位置18の偏向のシミュレーションを実施し、図18の曲線230としてプロットした。異なるテーパ角を有する熱的機械湾曲部の長さおよび全面積と同様に、入力パルス当りのエネルギは一定に保持されている。図18のプロットに関し、背圧負荷に対する耐性の大きな装置は偏向がより大きくなっている。図18のプロット230より、テーパ角が3度ないし10度の範囲にある場合、同一の面積および長さを有する長方熱的機械湾曲部よりも実質的に大きな偏向または向上したエネルギ効率を示す。長方形の装置の性能はプロット230のΘ=0度のデータが示している。
プロット230の6度よりも大きな角における偏向の減少は、熱的機械湾曲部の拡大された基部端からの熱の損失のためである。さらに大きくテーパのついた装置では、発動熱の喪失が早すぎるために、所定の動作温度に到達しない。最適なテーパまたは幅を減少させるデザインは、これらの熱損失効果を試験した後で選択されることが好ましい。
これまでの説明の大部分は単一の熱的アクチュエータまたは液滴排出体の構成および動作についてなされているが、本発明は複数の熱的アクチュエータおよび液滴排出体ユニットのアレイおよびアセンブリに適用可能であると解されるべきである。また、本発明による熱的アクチュエータ装置は、他の電子的構成要素および回路と同時に製造されても、または、電子的構成要素および回路の製造の前もしくは後で同一の基板上に形成されてもよいと解されるべきである。
本発明によるインクジェットシステムの概略図である。 本発明によるインクジェットユニットまたは液滴排出ユニットのアレイの平面図である。 (a)および(b):図2に示すインクジェットユニットの個体の拡大平面図である。 (a)および(b):本発明による熱的アクチュエータの運動を示す側面図である。 本発明による熱的アクチュエータを構成するのに適した処理の初期段階に関する斜視図であって、ここでは、カンチレバー要素の電気抵抗性材料からなる第1層が形成される。 図5に示される処理の次の段階に関する斜視図であって、ここでは電流接続装置が追加している。 図5または図6に示される処理の次の段階に関する斜視図であって、ここではカンチレバー要素の誘電性材料からなる第2層が形成される。 図5ないし図7に示される処理の次の段階に関する斜視図であって、ここでは本発明による液滴排出体のチャンバを満たしている液体の形状をした犠牲層が形成される。 図5ないし図8に示される処理の次の段階に関する斜視図であって、ここでは本発明による液滴排出体の液体チャンバおよびノズルが形成される。 (a)および(c):図5ないし図9に示される処理の最終段階に関する斜視図であって、ここでは液体供給経路が形成され、そして犠牲層が除去されて本発明による液滴排出体が完成される。 (a)および(b):本発明による液滴排出体の動作を示す側面図である。 (a)および(b):本発明による熱的機械湾曲部のデザインに関する透視図および平面図である。 (a)および(b):本発明による熱的機械湾曲部の代替的デザインに関する斜視図および平面図である。 テーパ角の関数として、先細熱的機械アクチュエータに負荷を課した状態における熱的機械湾曲部自由端の偏向をプロットした図である。 (a)および(c):本発明による熱的機械湾曲部の代替的デザインの平面図である。 幅の減少の程度の関数として、段階的に幅が減少している熱的機械アクチュエータに負荷を課した状態における熱的機械湾曲部自由端の偏向をプロットした図である。 段階的減少のある位置の関数として、3種類の段階的減少のある熱的機械アクチュエータに負荷を課した状態におけるカンチレバーの先端の偏向の傾きをプロットした図である。 テーパ角の関数として、先細熱的機械アクチュエータが発動されたときの最大偏向を数値的にシミュレートしたプロットである。
符号の説明
10 ・・ 基板基部要素 12 ・・ 液体チャンバ
13 ・・ カンチレバー要素とチャンバ壁間の間隙
14 ・・ カンチレバー要素アンカ位置
15 ・・ 熱的アクチュエータ 16 ・・ 液体チャンバ湾曲壁部
18 ・・ 熱的機械湾曲部自由端 20 ・・ カンチレバー要素
21 ・・ パッシベーション層 22 ・・ 第1層
23 ・・ 第2層 25 ・・ ヒータレジスタ
26 ・・ カンチレバー要素アンカ端位置
27 ・・ カンチレバー要素自由端位置
28 ・・ 液体チャンバ構造、壁およびカバ
29 ・・ パターン形成された犠牲層 30 ・・ ノズル
41 ・・ TAB導線 42 ・・ 電気的入力パッド
43 ・・ ソルダーバンプ 44 ・・ 電気的入力パッド
46 ・・ 薄膜レジスタ 50 ・・ 液滴
52 ・・ 蒸気泡 60 ・・ 機能性液体
62 ・・ 幅が単調減少している熱的機械湾曲部
63 ・・ 台形形状熱的機械湾曲部
64 ・・ 一次よりも高次で幅が減少している熱的機械湾曲部
65 ・・ 幅が階段状に減少している熱的機械湾曲部
66 ・・ ヒートレジスタ部 68 ・・ 電流連結装置
80 ・・ 支持構造 100 ・・ インクジェットプリントヘッド
110 ・・ 液滴排出体ユニット 200 ・・ 電気的パルス源
300 ・・ コントローラ 400 ・・ 画像データソース
500 ・・ 受容体

Claims (3)

  1. (a)基部要素、
    (b)前記基部要素から延びる熱的機械湾曲部、および、第1位置にある自由端部を有し、前記熱的機械湾曲部が、前記基部要素に隣接して基部端幅、w、および、前記自由端部に隣接して自由端幅、w、を有し、前記基部端幅が実質的に前記自由端幅より大きいカンチレバー要素、ならびに、
    (c)前記熱的機械湾曲部に直接的に熱パルスを与え、前記カンチレバー要素の前記自由端部を第2位置に偏向させる装置を有する超小型電気機械装置用熱的アクチュエータ。
  2. (a)基板に形成され、液体で満たされ、前記液体の液滴を排出するためのノズルを有するチャンバ、
    (b)前記チャンバの壁から延びるカンチレバー要素、および、前記ノズル直近の第1位置にある自由端部を有し、前記カンチレバー要素が、基部要素から前記自由端部に延びる熱的機械湾曲部を有し、前記熱的機械湾曲部が前記基部要素に隣接して基部端幅、w、および、前記自由端部に隣接して自由端幅、w、を有し、前記基部端幅が実質的に前記自由端幅よりも大きい、熱的アクチュエータ、ならびに、
    (c)前記熱的機械湾曲部に直接的に熱パルスを与え、前記自由端位置を敏速に偏向させ、液滴を排出する装置を有する液滴排出体。
  3. (a)基板に形成され、液体に満たされ、前記液体の液滴を排出するためのノズルを有するチャンバ、
    (b)前記チャンバの壁から延びるカンチレバー要素、および、前記ノズル直近の第1位置にある自由端部を有し、前記カンチレバー要素が基部要素から前記自由端部に延びる熱的機械湾曲部を有し、前記熱的機械湾曲部が高い熱膨張係数を有する電気的に抵抗性を有する材料を含んでいる第1層、および、低い熱膨張係数を有する第2材料を含み前記第1層に付着した第2層を有し、前記熱的機械湾曲部が前記基部要素に隣接して基部端幅、w、および、前記自由端部に隣接して自由端幅、w、を有し、前記基部端幅が実質的に前記自由端幅よりも大きい、熱的アクチュエータ、
    (c)前記第1層に形成されたヒータレジスタ、ならびに、
    (d)電気パルスを与えて前記熱的機械湾曲部を抵抗加熱して前記自由端部を敏速に偏向させ液滴を排出する前記ヒータレジスタに接続された一対の電極を有する熱的アクチュエータ。
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