JP4249466B2 - カラーフィルターの製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ライトバルブを用いて得られる多数のレーザービームと、溶融型の転写シートを用いることにより行なう、カラーフィルターの製造方法に関するものである。また、本発明は、そのようなカラーフィルターの製造方法を実現するのに適したカラーフィルターの製造装置に関するものでもある。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルターは、種々のディスプレイ、とりわけ液晶ディスプレイにおけるカラー表示を行なわせるための重要な光学要素であり、基本的には図6(a)に示すように、透明基材102上に、通常、ブラックマトリックス(図中BMで示す。)103を介してカラーフィルター(図中CFで示す。)の各層、即ち、赤色、緑色、および青色の各色カラーフィルター層(順に、104、105、および106で示す。)が、規則的に配列して積層されて構成されたものである。
【0003】
カラーフィルターを構成するブラックマトリックスや各色カラーフィルター層を透明基材上に形成する方法として、種々の方法が提案されているが、最近は、顔料等の着色剤が分散した樹脂層をパターン状に形成する方法が主流となっており、(1)感光性樹脂を用いて露光、現像によりパターン化する方法、(2)印刷法、もしくは(3)熱溶融性等の樹脂を用いて作成した転写シートを用いて転写する転写法、等が提案されている。
【0004】
(3)の転写法においては、図6(b)に示すように、シート状基材202の片面に、例えば、光熱変換層203を介して転写層204が積層された転写シート201を用い、その転写層204側を透明基材102に向けて重ねあわせ、転写シート201のシート状基材202側から、レーザー光源205を用いてレーザー光206を照射することにより、照射部の転写層204を透明基材102の表面に転写するものであり、1色目、2色目および3色目の各フィルターパターン、遮光性色材層、並びに透明保護層を順次転写している。(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、用いるレーザービームが単一のビームであると、ビームの中心ほど強度が高いので、転写ムラを生じ易く、また、製造効率が不十分である。レーザー光を走査させるためにポリゴンミラーを使用することも考えられるが、形成されるパターンの形状や形成する位置精度が不十分である。あるいは、複数のレーザー発振器から発せられるレーザー光を光ファイバを経て走査方向に集光レンズに導入し、集光レンズを各カラーフィルターのピッチに合わせて、走査方向にずらして配置し、レーザー照射の効率を向上させることが行なわれている。また、光のエネルギー密度分布を平均化させる光変換手段も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−104113号公報(第2〜3頁、第1図)
【特許文献2】
特開平11−160530号公報(請求項3)
【0006】
上記の特許文献2の方法によれば、レーザー照射の効率が改善され、転写ムラも解消するものの、装置の露光部が大きくなる上、実際に一度に転写できる面積はそれほど増加しない。また、光エネルギー密度の分布が両端に傾斜部を有し、大半は平坦なトップハット型となるため、露光すべき場所の面積が小さいときは、ビームの一部をマスクを介して使う必要が生じ、光エネルギーの利用効率が低下する。さらに、上記の特許文献1および特許文献2のいずれにおいても、解像度はビームの径によって決まるために、微細なパターンの形成は困難であった。また、転写により得られるパターンのエッジ部分のシャープさが不十分である欠点も有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、従来技術において、装置の露光部が大きくなる割りには、実際に一度に転写できる面積がそれほど増加せず、また、光エネルギーの利用効率が低かった点を解消することを課題とする。さらに、本発明においては、従来の方法において、解像度が低かった点や、パターンのエッジ部分のシャープさが不十分であった、等の制約を解消することも課題とする。
【0008】
【課題を解決する手段】
発明者の検討によれば、複数の微細な反射板が列をなして並んで設けられたライトバルブにレーザー光を照射すると、ライトバルブの各々の反射板に与えられる電気信号に応じて反射板が変位し、回折方向が変化するので、結果的に、照射されたレーザー光が、互いに独立にON−OFF可能な多数のレーザービームに分割されて、多数のレーザービームを密に並べて照射することが可能となり、しかも、各々のON−OFFにより、容易にパターン状にレーザービームを照射することが可能となることが判明した。また、多数のレーザービームを複数列並べて、列とは直角方向に走査することにより、同一箇所に複数のレーザービームを連続して照射可能とすることにより、照射による転写シートの高速昇温を可能とし、パターンのエッジ部のシャープさが得られることも判明した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0009】
第1の発明は、透明基材上に、ブラックマトリックスを形成する工程、およびカラーフィルター層を形成する工程を行なうに際し、前記ブラックマトリックスまたは/および前記カラーフィルター層を形成する工程を、色材が分散された転写層が少なくともシート状基材上に積層した転写シートを、前記転写層側が前記透明基材に接するようにして重ね、前記シート状基材側より前記転写シートに対し、レーザー光源から発光されライトバルブにより多数に分割されたレーザービームを照射することにより、前記転写層の前記レーザービームを照射した部分に相当する部分を加熱して前記透明基材上に転写することにより行なうことを特徴とするカラーフィルターの製造方法に関するものである。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記転写シートに対する各レーザービームを照射する照射位置を、前記ライトバルブによる分割にて特定される一方向に並ぶように行ない、かつ、前記透明基材または/および前記レーザービームを、前記照射位置が並ぶ方向と交差する方向に走査して、前記レーザービームの照射を行なうことを特徴とするカラーフィルターの製造方法に関するものである。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、前記照射位置を、前記一方向に複数の行をなして並ぶように行なうことを特徴とするカラーフィルターの製造方法に関するものである。
【0014】
第4の発明は、レーザー光源と、レーザー光源から発光された光を多数のレーザービームに分割するライトバルブと、被照射テーブルと、前記レーザー光源から発光した光を前記ライトバルブに導く光学系と、前記ライトバルブで分割した前記多数のレーザービームを前記被照射テーブル上に導く光学系と、前記被照射テーブル上に導かれる前記多数のレーザービームと前記被照射テーブルとを相対的にx−y方向に移動する移動手段とを有し、シート状基材上にカラーフィルター形成用の転写層が積層された転写シートをレーザービームで照射して、照射部分の前記転写層を前記被照射テーブル上の透明基材上に転写するよう構成されていることを特徴とするカラーフィルターの製造装置に関するものである。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、前記ライトバルブを構成する複数の微細な反射板が複数の列に並んで設けられていることを特徴とするカラーフィルターの製造装置に関するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルターの製造方法においては、カラーフィルター用の透明基材上に、ブラックマトリックスを形成する工程、およびカラーフィルター層を形成する工程のいずれか一方もしくは両方の工程を、いわゆる溶融型の転写シート(熱転写シート)を用い、レーザー光による点状加熱により、その転写層を転写することにより行なうものであり、特に、レーザー光による点状加熱を、レーザ光源から発光されたレーザー光を、ライトバルブ等を用いて多数の径の小さいビームに分割した多数のレーザービームを使用するものである。使用するレーザー光としては、半導体レーザー装置等のレーザー光源から発振された、通常680〜1100nmの近赤外域のものが好ましく、レーザー光源から発振され、集光した段階で、好ましくは5μm〜100μm程度の径を有するものである。
【0017】
本発明における製造装置は、図1(a)に概要を示すように、レーザー光源1から発光されたレーザー光2は、光学系3によりハーフミラー4を直進して分割手段、例えば、ライトバルブ5に導かれる。ライトバルブ5は、入射したレーザー光を多数のビームに分割するもので、かつ、各々のビームをON−OFF制御するものである。ライトバルブ5で分割されたレーザービームは、ハーフミラー4により反射されて、下方の光学系6により被照射テーブル7上に導かれる。光学系6(もしくはレーザー光源1から光学系6までを含む光源装置)もしくは被照射テーブル7は、被照射テーブル7に置かれる被照射体上を、レーザービームが走査可能とするため、いずれか一方もしくは両方が、x−y方向に移動し得る手段、即ち、互いに相対的にx−y方向に移動し得る移動手段を有している。また、被照射テーブルは被照射体を固定するための吸引装置を表面に有していることが好ましい。
【0018】
被照射テーブル7上に、被照射体(例えば透明基材である。)および転写シートをこの順に、転写シートの転写層が被照射体側を向くようにして重ね、好ましくは両者を真空密着して固定し、転写シートの背面側(転写シートのシート状基材側)に、光学系6により導かれたレーザービームを照射することにより、ライトバルブを用いて多数の径の小さいビームに分割した多数のレーザービームを用いた点状加熱による転写を一度に行なうことができる。
【0019】
ライトバルブ5は、図1(b)もしくは図1(c)に示すように、多数の区域に分割されており、各々の光学的な反射特性を互いに独立に制御することができるものである。ライトバルブとしては、例えば、米国シリコンライトマシーンズ社製のグレーティングライトバルブ(商標)を挙げることができる。グレーティングライトバルブは図1(b)に示されるように、表面に単位となる微細回折格子5Dが一列に多数配列したもので、個々の微細回折格子5Dは、図2(a)に示すように6枚のリボンで表面が構成された素子からなっている。6枚のリボンは一つおきに配置された3枚の可動リボンと3枚の固定リボンとからなっており、素子に電気信号を与えると、可動リボンが変位して図2(b)に示すように規則的な凹凸面5a’を与え、従って、電気信号を与えるか与えないかにより、微細回折格子5a毎に表面の回折特性を変化させることができるから、レーザー光を照射すると、微細回折格子毎に分割された、特定の方向に対して、ON−OFF可能な数百本の多数のレーザービームを得ることができる。必要に応じて、グレーティングライトバルブの数を増やすか、もしくは、グレーティングライトバルブの数およびレーザー光源の数を増やすことにより、分割により得られるビーム数をふやすこともできる。なお、図2(c)中、正方形が横に配列した行6の各々は、このように分割されたレーザービームを用いて転写する際の1ラインの画素を示し、ハッチ部分6aが照射する部分であり、ハッチの無い部分6bが照射しない部分である。
【0020】
レーザー光の分割手段としては、上記した以外にも、テキサスインスツルメント社製のデジタルマイクロミラーデバイス(商標)を使用することができ、デジタルマイクロミラーデバイス5は、図1(c)に示すように、表面に微細な反射鏡を有した素子5Mが多数、縦横に配列したものであって、各々の微細な反射鏡5Mは、電気信号を与えるか与えないかにより、所定の二つの角度のいずれかの角度を取ることができるから、やはりレーザー光を照射すると、微細な反射鏡毎に、特定の方向に対して、ON−OFF可能な多数のレーザービームを得ることができる。以上の2タイプのものは、いずれも回折型のライトバルブであるが、これらのほかにも、PLZT材の電極に電圧が印可されると、光の偏光状態が変わり各バルブごとレーザビームのON−OFF制御を行う直線型のライトバルブもある。直線型には、さらに液晶シャッターによるライトバルブも有る。
【0021】
上記のような分割手段により、レーザー光源から発光されたレーザー光が多数のレーザービームに分割されるので、これら多数のレーザービームを画素毎に対応させることにより、従来、困難であった、均一な転写を画素毎に行なうことができ、通常は、照射可能な面積を広げることもできるので、次のような、従来は困難であった転写が可能になる。
【0022】
図3は、ある区域内の大部分には転写を行なうが、その一部には転写を行なわないための方法の例を示した図で、図3(b)に示す横長の長方形7の図形の右方の空白部分7aは転写を行なわなかった部分を示し、その他の部分7bは転写を行なった部分を示している。図中の破線は、長方形を横方向に画素の大きさに応じた等しい幅で分割した各行の境界を示すものである。図3(a)は、図3(b)に示した長方形の図形7を実現するための、横方向の各ライン71〜75の各画素を示すものであり、図示上の都合で、一部を重ねて描いたものである。ライン71、72、74、および75の四つの行の各画素は、図3(b)の長方形に設定される、上から1番目、2番目、4番目、および5番目の各行に相当し、各行の9個の画素のいずれにおいても転写を行なうことを示すものである。ライン73の各画素は、長方形の上から3番目の行に相当し、向かって右側から二つ目の画素においては、転写を全く行なわず、ただし、この行の他のすべての画素において転写を行なうことを示すものである。
【0023】
長方形7の各行に、上記のように準備された画素に応じて、順次転写を行なって、ライン73の転写を行なわない部分を残すことにより、図3(b)に示すように、画素1つ分が転写されないため、空白部7aを有した図形を形成することができる。
【0024】
上記のように転写を行なわない空白部を形成することは、配列されたTFT上にカラーフィルター層を形成するカラーフィルターオンアレイ(略称;COA)構造のカラーフィルターにおけるコンタクトホールの形成のために、特に重要な意味を持つ。
【0025】
図5は、カラーフィルターオンアレイ(略称;COA)構造のカラーフィルターを用いて構成した液晶パネル10の断面の一部を示す図であり、透明基材11上に、TFT(太線で囲んだ範囲におけるハッチの無い部分の集まりからなるもの)12bおよび12cが等ピッチで配列されて積層され、各TFT12b上および12c上を通ってブラックマトリックス(図ではBMと略称する黒に塗りつぶした部分)13bおよび13cが積層されており、ブラックマトリックス13の開孔部に対応して各カラーフィルター(図ではCFと略称する。)層14a、14b、およ14cが配列されて積層されているものである。図5中、例えば、カラーフィルター層14bには、カラーフィルター14bの左側に積層されているTFT12bと透明電極層15bとの間の電気的な接続(導通)を図るための孔、即ち、コンタクトホール16bが設けられており、コンタクトホール16b内には、透明電極層15bを構成する素材が充填されることにより導通が実現されている。図5は断面図なので明らかではないが、このコンタクトホール15bは、カラーフィルター層14bのごく一部の、しかも、通常は端に近い位置に設けられるが、従来のビーム径の大きいレーザー光、もしくは位置精度の十分でない走査方法を用いて形成することは困難であったのが、本発明の方法によれば、多数に分割されたレーザービームを用いるのでコンタクトホール15bの形成が容易である。
【0026】
図4は、ある区域内の大部分には通常の転写を行ない、その一部には転写を行なわない部分を形成すると共に、転写を行なわなかった空白部分の周囲のエッジ部分、即ち、転写された箇所と転写されなかった箇所の境界部分をより明瞭に形成する例を示した図である。図4(b)の横長長方形8の図形の右方の空白部分8aは転写を行なわなかった部分を示し、空白部分8aの周囲には、転写条件を変えて転写を行った部分8cを有し、その他の部分8bは、通常に転写を行った部分を示している。やはり、長方形8中の破線は、長方形を横方向に画素の大きさに応じた等しい幅で分割した行を示す。図4(a)は、図4(b)に示した長方形8への転写を実現するための、いずれも2行分のエリア81〜85の各画素を示すものである。
【0027】
エリア81は、1行目については、いずれの画素においても転写を行ない、2行目については、最後の3つの画素においてのみ転写を行ない、その他の画素においては転写を行なわないことを示す。このエリア81の1行目は、図 4(b)の長方形8の1行目に相当し、また、エリア81の2行目は、図 4(b)の長方形の2行目に相当する。
【0028】
エリア82は、1行目については、いずれの画素においても転写を行ない、2行目については、最後から3つ目と最後の画素においてのみ転写を行ない、その他の画素においては転写を行なわないことを示す。このエリア82の1行目は、図 4(b)の長方形の2行目に相当し、また、エリア81の2行目は、図 4(b)の長方形の3行目に相当する。
【0029】
エリア83の1行目については、向かって右側から2番目の画素においてのみ転写を行なわず、その他の画素については、いずれも転写を行ない、また、エリア83の2行目については、最後の3つの画素においてのみ転写を行なうことを示す。このエリア83の1行目は、図 4(b)の長方形の3行目に相当し、また、エリア81の2行目は、図 4(b)の長方形の4行目に相当する。
【0030】
いま、仮に、長方形8に、上記のエリア81、エリア82、およびエリア83について述べたような決まりに基づいて、連続した短時間内に転写を行うと、長方形の1行目の各画素に相当する位置(以降、長方形8上の相当する位置を単に画素と言うものとする。)には通常の転写が行なわれ、長方形の2行目の画素については、左側から1番目〜6番目の画素には通常の転写が行なわれ、左側から7番目〜9番目には同一箇所にレーザービームを二回連続して照射することにより、よりシャープな輪郭での転写が行なわれる。また、長方形の3行目の画素については、左側から1番目〜6番目の画素には通常の転写が行なわれ、左側から7番目および9番目においては、同一箇所にレーザービームを二回連続して照射することにより、よりシャープな輪郭での転写が行なわれ、左側から8番目の画素には転写が行なわれない。さらに4行目の画素については、左側から1番目〜6番目の画素には転写が行なわれず、左側から7番目〜9番目には、通常の転写が行なわれる。
【0031】
図4(a)中のエリア84およびエリア85は、同様のものどうしであって、いずれも、1行目については、いずれの画素においても転写を行ない、2行目については、いずれの画素においても転写を行なわないことを示す。エリア84の1行目は、図 4(b)の長方形の4行目に相当し、また、エリア84の2行目は、図 4(b)の長方形の5行目に相当する。同様に、エリア85の1行目は、図 4(b)の長方形の5行目に相当し、また、エリア84の2行目は、図 4(b)の長方形の6行目(図4(B)中には該当箇所無し。)に相当する。
【0032】
従って、長方形8に、上記のエリア81、エリア82、エリア83、エリア84、およびエリア85について述べたような決まりに基づいて、連続した短時間内に転写を行うと、長方形の4行目の画素については、左側から1番目〜6番目の画素には通常の転写が行なわれ、左側から7番目〜9番目には、同一箇所にレーザービームを二回連続して照射することにより、よりシャープな輪郭での転写が行なわれる。また、長方形の5行目の各画素については、いずれにも一様な通常の濃度での転写が行なわれ、以上のようにして、図4(b)に示すような空白部分8aが形成され、空白部分8aの周囲のエッジ部分がより明瞭に形成された転写物が得られる。
【0033】
図3を引用して説明した例においては、転写しない部分を形成し、また、図4を引用して説明した例においては、転写しない部分に加えて、より明瞭化したエッジ部分を形成したが、本発明の方法は、さらに様々に適用が可能である。
【0034】
例えば、図3を引用して説明したのとは全く逆に、一部のみ転写し、残る大部分を転写しないこともできる。この方法によれば、転写した部分で凸部を形成することができるので、図5に示すような液晶パネルの下側の透明基材11上に種々の層を積層した下側の基板と、下側に透明電極層を有する上側の基板との間隔を一定に保つためのカラムスペーサ(柱状のスペーサ)17を、透明樹脂層等の転写により形成することができる。また、カラムスパーサ17の高さが不足するときは、転写を2回以上、同一箇所に対して行なうことにより、高さのより高いカラムスペーサ17を形成することができる。なお、転写を2回以上行なう際に、後に転写する層ほど、転写する面積を小さくすることにより、先端が細くなったカラムスペーサ17を形成することもできる。カラムスペーサ17を形成する際にも、上記したように、同一箇所にレーザービームを連続して複数回照射することにより、輪郭をよりシャープに形成する方法を適用すると好ましい。
【0035】
図4を用いて説明した例では、エリア81〜85が、いずれも2行に渡っていて、一時に2行ずつレーザービームを照射するように説明したが、さらに、3行もしくは4行と増やしてもよい。このように複数の行に渡ってレーザービームを照射する際には、被照射体の同じ位置に2回以上の複数回の照射を行なうことができるので、1回の照射にくらべ、照射された部分がより高い温度に昇温するかもしくは、短時間に高い温度に昇温する。従って、一度に複数の行にレーザービームを照射し、かつ行方向と交差する方向に走査することにより、同一箇所に、好ましくは連続的に複数回の照射を行ない、しかも、同一箇所に照射する回数を変えることにより、転写によって得られるパターンのエッジのシャープさが増すので、数十μm程度以下の細かいパターンの転写も良好に行なえる。このようなことも従来の、例えばポリゴンミラーを用いた走査では、照射位置精度が不十分で、また、レーザービームの重複した照射が困難であるため、実現が困難であった。
【0036】
本発明においては、レーザー光源から発光され、多数のレーザービームに分割されたものを使用するので、従来の方法でレーザー光を用いるのにくらべて、より精細な転写を行なうことができるが、この方法によると、転写を広い範囲に渡り一定化できる利点も有している。即ち、図2(c)の上部に示すように、レーザー光源から発光されたレーザー光は、その断面方向に見ると、トップハット(シルクハットのような頂上が平らな帽子)型で、両側に傾斜部を持つ熱エネルギー分布を有するので、このまま使用すると、端と中心とでは付与できる熱エネルギーの大小を生じ、転写ムラの原因となり得る。しかし、レーザー光源から発光されたレーザー光を多数のレーザービームに分割して使用する際には、端の部分を避ければ、その他の部分から分割された多数のレーザービームの各々は、図2(c)の下部に示すように、ミクロ的に見れば両側に傾斜部を持つ分布を有するものの、ごく小さい部分にしか生じないために、見た目には、無視できる程度になるからである。
【0037】
図6(b)中に示すように、本発明において用いる溶融転写型の転写シート201も、基本的には、従来のものと同様で、シート状基材202上に、好ましくは光熱変換層203を介して溶融型の転写層204が積層されたものである。
【0038】
シート状基材202としては、特に制限されないが、レーザー光をシート状基材202側から照射するため、少なくとも、用いるレーザー光に対して透明性の高いものを用いることが好ましい。好ましいシート状基材202の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、トリアセチルセルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリエチレンサルファイド(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、もしくはアイオノマー等のように比較的耐熱性の良いプラスチック、コンデンサー紙、もしくはパラフィン紙等の紙類、または不織布等を挙げることができる。また、これらを任意に複合した複合体であってもよい。このシート状基材202の厚みは、その強度及び熱伝導性が適切になるように、素材に応じて適宜変更することが出来るが、その厚みとしては、2μm〜180μmが好ましく、より好ましくは、50μm〜125μmである。
【0039】
光熱変換層203は、シート状基材202上に、転写層204との間に設け、照射されるレーザー光を熱に変換する機能を有する層である。光熱変換層202は、例えば、近赤外線吸収材料とバインダ樹脂とから構成され、バインダ樹脂は、好ましくは、架橋された樹脂組成物からなる。
【0040】
近赤外線吸収材料は、光を吸収し効率良く熱に変換する物質であり、例えば半導体レーザーを光源として使用する場合、具体的にはカーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、酸化鉄、複合金属酸化物、フタロシアニン系色素、スクアリウム系色素、ニトロソ化合物及びその金属錯塩、ポリメチン系色素、チオールニッケル塩、トリアリールメタン系色素、インモニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラセン系色素等を用いることができる。近赤外線吸収材料として、上記の中でも特に、粒子材料であるカーボンブラックを用いると、適度な箔持ちと印字の高感度化が達成できるので、好ましい。
【0041】
光熱変換層203を構成するためのバインダー樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、セルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、もしくは酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂やポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、シリコーン変性樹脂、または長鎖アルキル変性樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0042】
より好ましいバインダ樹脂のタイプとして、樹脂中にOH基等の反応性基を有する熱可塑性樹脂とポリイソシアネート等のイソシアネート系硬化剤との反応硬化物が挙げられ、樹脂中に反応性基を有する熱可塑性樹脂としては、上記した熱可塑性樹脂、もしくは、それらの熱可塑性樹脂に反応性基が導入されたものを挙げることができる。
【0043】
イソシアネート系硬化剤としては、従来、種々のものが知られているが、その中でも芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましく、市販品の中から用いることができる。商品名;「タケネート」(武田薬品工業株式会社製)、商品名;「バーノック」(大日本インキ化学工業株式会社製)、商品名;「コロネート」(日本ポリウレタン工業株式会社製)、商品名;「デュラネート」(旭化成工業株式会社製)、商品名;「デスモジュール」(バイエル社製)である。これらイソシアネート系硬化剤の添加量は、光熱変換層を構成するバインダー樹脂100に対し、5〜200の割合(質量基準)が適当である。−NCO/−OHの比では、0.6〜2.0程度の範囲が好ましい。なお、イソシアネート系硬化剤の添加量が少ないと架橋密度が低くなり、耐熱性が不充分となり、イソシアネート系硬化剤の添加量が多いと形成される塗膜の収縮を制御できず、硬化時間が長期化し、さらには、未反応の−NCO基が光熱変換層中に残存するため、大気中の水分と反応してしまうなど不具合を生じることがある。
【0044】
同様に、より好ましいバインダ樹脂のタイプとして、架橋された樹脂組成物からなるものを挙げることができる。具体的には不飽和結合を有するモノマー、もしくはオリゴマー等の電子線もしくは紫外線等の電離放射線の照射による硬化物である。あるいは、架橋された樹脂組成物として、硬化性バインダに加えて、非硬化性バインダ、光重合開始剤を適宜加えたものを、電子線やUVにより硬化物としたものを挙げることもできる。
【0045】
硬化性バインダとしては、少なくとも1つの重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を用いることができる。このような硬化性バインダの含有量は、光熱変換層の総固形分に対して20〜80%(質量基準)の範囲であることが好ましい。非硬化性バインダーとしては、併用する硬化性バインダとの相溶性や熱に対する黄変性等の観点から、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂とポリメタクリル酸エチル樹脂の共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルローストリアセテート等を好ましく使用することができる。特に好ましくは、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂とポリメタクリル酸エチル樹脂の共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、および、これらの変性物を使用することができる。このような非硬化性バインダーの含有量は、光熱変換層の総固形分に対して5〜50%(質量基準)の範囲が好ましい。
【0046】
硬化性バインダには、光重合開始剤を単独で、また、光硬化反応速度を高めるために2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤の添加量は、光熱変換層の総固形分に対して、0.1〜10%(質量基準)の範囲が好ましい。光重合開始剤の添加量が0.1%未満であると、使用する光重合開始剤の種類によらず、光重合開始剤としての効果を発現させることが非常に困難となる。また、10%を超えると、光重合の反応速度が非常に速くなるものの、タックが残り好ましくない。上記の架橋された樹脂組成物であるバインダを用いることにより、光熱変換層の耐熱性が高く、レーザー光の高出力時にも軟化せず、溶融型の転写層との剥離性が良く、高感度な、溶融転写型の転写シートが得られる。
【0047】
光熱変換層203の形成は、上記のような近赤外線吸収材料とバインダー樹脂以外に、必要に応じて、添加剤、水もしくは有機溶剤等の溶剤もしくは希釈剤を配合し調整した光熱変換層形成用塗工液を、公知の塗布方法、即ち、グラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ダイコート、マイクログラビアコート、スライドコート、スリットリバースコート、カーテンコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等により塗布し、乾燥することにより行なうことができる。光熱変換層203の厚みは、乾燥時で0.1μm〜5μmが好ましく、光熱変換層203における近赤外線吸収材料の含有量は、転写に用いる光源の波長での吸光度が0.3〜3.0になるように決めることができる。一般的には吸光度が0.4〜1.5程度あれば良い。
【0048】
溶融型の転写層204は、色材とバインダを主成分として構成され、加熱されると、被転写体、例えば、カラーフィルターの基材等との接着力が、光熱変換層203側との接着力より強くなることにより、被転写体側に転写されるものである。なお、溶融型とは、完全に溶融するもの以外に、加熱により粘着性を帯びるものも含めるものとし、図6(b)に示すように、加熱部分において、転写層が完全に転移するもののみならず、厚みの一部が転写するものも含める。
【0049】
色材としては、例えば無機顔料もしくは有機顔料等の顔料、または染料を挙げることができる。無機顔料としては、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、または鉛、亜鉛、バリウム、もしくはカルシウムのクロム酸塩等を挙げることができる。また、有機顔料としては、アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、もしくはトリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料(例えば銅フタロシアニン)もしくはその誘導体、またはキナクリドン顔料などが挙げられる。染料としては、酸性染料、直接染料、分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料、もしくは昇華性色素等の有機染料を挙げることができる。
【0050】
昇華性色素としては従来から公知の昇華性色素を用いることができる。なお、本発明においては、昇華性色素と言う時、これは熱昇華性色素を意味する。この昇華性色素としては、例えばシアン色素、マゼンタ色素、イエロー色素を挙げることができる。熱転写インキ層に含有される昇華性色素は、形成しようとする画像が単色であるならば、イエロー色素、マゼンタ色素及びシアン色素の何れ単独またはそれらの混合物であってもよい。
【0051】
色材としては、カラーフィルターを構成したときに、良好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変褪色しないものであることが好ましい。
【0052】
転写層204のバインダは、樹脂を主体として構成することが好ましく、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、もしくはスチレン−ブタジエンゴム等の熱可塑性エラストマーを挙げることができる。特に従来より感熱接着剤として使用されている比較的低軟化点、例えば、50〜150℃の軟化点を有するものが好ましい。
【0053】
転写層204のバインダとしては、転写層204の耐熱性等を阻害しない範囲で、ワックス成分を混合し使用することができる。ワックスとしては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラック、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、もしくは脂肪酸アミド等の種々のワックスを挙ることができる。これらのなかで、特に融点が50〜85℃であるものが好ましい。融点が50℃未満であると、保存性に問題が生じ、また85℃を超えると感度が不足するからである。
【0054】
転写層204における色材の含有率は特に限定されないが、通常5〜70%(質量基準)の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜60%(質量基準)である。
【0055】
転写層204の形成は、上記のような色材、バインダー、必要に応じて分散剤もしくは帯電防止剤なの種々の添加剤を配合し、さらに、必要に応じて水、もしくは有機溶剤等の溶剤もしくは希釈剤を配合し調整した転写層形成用塗工液を、公知の塗布方法、即ち、ホットメルトコート、ホットラッカーコート、グラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ダイコート、マイクログラビアコート、スライドコート、スリットリバースコート、カーテンコート、ナイフコート、エアコート、もしくはロールコート等により、塗布することにより行なうことができる。転写層204の厚みは、乾燥状態で、0.05μm〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.2μm〜1.5μmである。厚みが、0.05μm未満の場合、成膜性の問題で均一なインキ層が得られず、転写後の転写層の擦過性低下の原因になる。また、厚みが5μmを超えると、転写の際に、高エネルギーが必要となり、感度不足となるからである。なお、上記と同様にして色材を配合せずに調製した塗工液を用いることにより、シート状基材上に透明樹脂層を転写可能に形成することもでき、保護層等の転写形成に適用することもでき、保護層の転写形成により、保護層が積層された下層の物理的もしくは化学的性状を向上させることができる。
【0056】
本発明の方法においても、図6(b)を引用して説明したように、基本的にはシート状基材202の片面に、必要に応じて光熱変換層203を介して転写層204が積層された転写シート201を用い、その転写層203側を透明基材102に向けて重ねあわせ、シート状基材201側からレーザー光源205を用いてレーザー光206を照射することにより、照射部の転写層204を透明基材102の表面に転写する。ただし、レーザー光206については、ライトバルブ等により分割されたものを用いる。
【0057】
被転写材である透明基材102としては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、低膨張ガラス等のガラス基板あるいは透明性および耐熱性を有するフィルムが好適に用いられる。透明性および耐熱性を有するフィルムの具体的な材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンサルファイド(PES)、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリアミド、芳香族ポリアミド等を挙げることができ、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、もしくはポリエーテルスルホンが好適に用いられる。透明基材102には、必要に応じて、カラーフィルター層もしくは液晶表示パネルを構成するための種々の層が先に積層されてもいてもよく、先に積層され得るものとして、図5を引用して既に説明したTFT12やブラックマトリックス13等を挙げることができる。
【0058】
【実施例】
(実施例)
転写シートとしては、厚み;100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、ルミラーT−60)を基材とし、基材の一方の面に、下記組成の塗工液をリバースロールコーターによって塗布・乾燥して、光熱変換層、転写層を順に積層したものを使用した。なお、塗工厚みは、光熱変換層が0.8μm、転写層が1.2μmであり、光熱変換層は、塗工後、温度;120℃で3分間加熱し、硬化させたものである。以降における「部」は質量基準である。
【0059】
(光熱変換層形成用塗工液)
・カーボンブラック 1部
・ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、バイロン290) 3部
・イソシアネート(武田薬品工業(株)製、タケネート) 0.6部
・メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 35.4部
【0060】
(転写層形成用塗工液)
・アントラキノン顔料 3部
・スチレン−アクリル共重合体 6部
(ハイマーSBM−100:三洋化成(株)製)
・トルエン 91部
【0061】
転写装置としては、図1を引用して説明したものを準備した。レーザー光を多数に分割する手段としては、回折型ライトバルブである、マイクロミラーが2次元に配列されているデジタル・マイクロミラー・デバイス(テキサス・インストルメンツ社製、商品名;DMD)を使用して構成された装置である。
【0062】
転写装置の被照射テーブル7上にTFT付きの透明ガラス基板を載せ、その上に上記のようにして準備した転写シートを転写層が透明ガラス基板側になるよう重ねて、吸引し、真空密着させた後、出力;20Wのレーザー光源を用い、ライトバルブにより、500本のレーザービームに分割し、分割後のレーザーの集光径を5μm/ピクセル(画素)とし、0.36μsecの印加パルスで、通常の転写部分においては、照射エネルギー;0.285j/cm2、コンタクトホールエッジ部分では、照射エネルギー;0.428j/cm2の条件で画素に応じた照射を行なったところ、線幅;100μmのカラーフィルター層中に、縦横共20μmの矩形のコンタクトホールを形成することができた。このコンタクトホールの周囲の照射エネルギーを高めた部分も通常の部分と同様の濃度を有していた。
【0063】
(比較例)
レーザービームの分割手段をライトバルブではなく、ポリゴンミラーとしたレーザスキャン方式のレーザ転写装置を用い、レーザ光源としては、同様に、出力;100mWのレーザー光源を用い、レーザーの集光径を5μmとし、11.4μsecの印加パルス、照射エネルギー;0.285j/cm2の条件で転写を行なったが、コンタクトホールは形成できなかった。
【0064】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、レーザー光源から発光し、ライトバルブを用いて分割された多数のレーザービームを用いた加熱により転写を行なうので、各々のレーザービームの熱エネルギー特性が揃っており、従って、解像度が高く、加熱される場所によらず一定な加熱を行なうことができるので、局部的に転写を行なわない箇所や、転写濃度を高める箇所を自由に形成可能なカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
【0065】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、一時に転写される幅を広くすることができるので、処理速度の高められたカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
【0066】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、複数の行に渡って転写が可能なカラーフィルターの製造方法を提供することができる。特に走査を、行どうしの並ぶ方向に行なうことにより、同一箇所に複数回の照射を行なえるので、到達できる昇温レベルを向上させて、より高濃度な転写を実現することが可能なカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
【0069】
請求項4の発明によれば、ライトバルブを分割手段として用いて構成されているので、照射するレーザービームの各々の熱エネルギー特性が揃っており、加熱される場所によらず一定な加熱を行なえ、転写の解像度が高いカラーフィルターの製造装置を提供することができる。
【0070】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、複数の行に渡って転写が可能であり、同一箇所に複数回の照射を行なうことが可能なカラーフィルターの製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルターの製造方法および製造装置を説明する図である。
【図2】ライトバルブの例を示す図である。
【図3】空白部の形成方法を説明する図である。
【図4】空白部および明瞭なエッジ部の形成方法を説明する図である。
【図5】カラーフィルターオンアレイの基板を用いた液晶パネルを説明する図である。
【図6】レーザー転写法にるカラーフィルターの製造の原理を説明する図である。
【符号の説明】
1 レーザー光源
2 レーザー光
3、6 光学系
4 ハーフミラー
5 ライトバルブ(分割手段)
7 被照射テーブル
10 液晶パネル
11 透明基材
12 TFT
13 ブラックマトリックス(BM)
14 カラーフィルター(CF)
15 透明電極層
16 コンタクトホール
17 カラムスペーサ
Claims (5)
- 透明基材上に、ブラックマトリックスを形成する工程、およびカラーフィルター層を形成する工程を行なうに際し、前記ブラックマトリックスまたは/および前記カラーフィルター層を形成する工程を、色材が分散された転写層が少なくともシート状基材上に積層した転写シートを、前記転写層側が前記透明基材に接するようにして重ね、前記シート状基材側より前記転写シートに対し、レーザー光源から発光されライトバルブにより多数に分割されたレーザービームを照射することにより、前記転写層の前記レーザービームを照射した部分に相当する部分を加熱して前記透明基材上に転写することにより行なうことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- 前記転写シートに対する各レーザービームを照射する照射位置を、前記ライトバルブによる分割にて特定される一方向に並ぶように行ない、かつ、前記透明基材または/および前記レーザービームを、前記照射位置が並ぶ方向と交差する方向に走査して、前記レーザービームの照射を行なうことを特徴とする請求項1記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記照射位置を、前記一方向に複数の行をなして並ぶように行なうことを特徴とする請求項2記載のカラーフィルターの製造方法。
- レーザー光源と、レーザー光源から発光された光を多数のレーザービームに分割するライトバルブと、被照射テーブルと、前記レーザー光源から発光した光を前記ライトバルブに導く光学系と、前記ライトバルブで分割した前記多数のレーザービームを前記被照射テーブル上に導く光学系と、前記被照射テーブル上に導かれる前記多数のレーザービームと前記被照射テーブルとを相対的にx−y方向に移動する移動手段とを有し、シート状基材上にカラーフィルター形成用の転写層が積層された転写シートをレーザービームで照射して、照射部分の前記転写層を前記被照射テーブル上の透明基材上に転写するよう構成されていることを特徴とするカラーフィルターの製造装置。
- 前記ライトバルブを構成する複数の微細な反射板が複数の列に並んで設けられていることを特徴とする請求項4記載のカラーフィルターの製造装置。
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