JP4248634B2 - 生体信号監視装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体信号監視装置、特に医療現場で、主としてICU(集中治療室)、NICU(新生児集中治療室)、CCU(循環器疾患治療室)、手術室、救急処置室、救急車、ドクターカー等はもとより、在宅医療においても、心拍等の生体のバイタル情報を常時監視する際に適用して好適な、生体信号監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、医療現場で生体のバイタル情報の1つである心臓機能を常時監視するために使用される心電モニタには、心拍リズムと同期したパルス音を鳴らす再生機能が備わっており、医療従事者はこの音を聞くことにより患者に対する処置作業に集中できるようになっていると共に、離れた病棟からの遠隔監視も可能になっている。
【0003】
又、今後は医療経費削減等のため、高齢者や慢性疾患の患者等は在宅医療が中心となり、家庭にベッドサイドモニタ(心電モニタ)等が入り込む機会が増大し、担当医師が遠隔地から各在宅患者の容態を監視するニーズが増大とすると考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現状の心電モニタによる再生音はバイタルをモニタすることだけを目的として設計されているため、無味乾燥な機械音が連続して鳴り、人には不快感、恐怖感、焦燥感を与え、又時には聞き慣れた医療従事者には睡魔を催させ、監視業務を阻害するという問題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、生体のバイタル情報を音として再生し、その音を通して生体を常時監視する際、医療従事者が遠隔地等においても快適な状態で監視業務等を続けることができる生体信号監視装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、生体信号監視装置において、生体のバイタル信号を計測する計測手段と、所定の音楽を構成する音符情報を記憶する記憶手段と、前記音符情報に基づいて所定の音楽を再生する音楽再生手段と、前記計測手段により計測された前記バイタル信号のリズム周期から次のリズム周期を予測する予測手段と、該予測手段により予測されたリズム周期をもとに前記音楽再生手段が再生する音楽のリズム周期を制御する時刻制御手段と、を備えた構成とすることにより、前記課題を解決したものである。
【0007】
即ち、本発明においては、音楽再生手段により再生される音楽のリズム周期を、計測手段により実測された心拍等のバイタル信号のリズム周期から予測して制御するようにしたので、バイタル信号を種々の音楽を通して監視することが可能となり、従って、従来の無味乾燥な連続した機械音のように、不快感等を与えたり、睡魔を催させたりして、監視業務を阻害することを有効に防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る第1実施形態の生体信号監視装置を、その開発に使用したECG/呼吸波シミュレータの概略構成と共に示すブロック図である。
【0010】
本実施形態の生体信号監視装置10は、生体のバイタル信号である心拍を、心電計から入力される信号から検出する心拍検出部(計測手段)12と、所定の音楽を構成する音符情報を記憶するBGMデータMIDIファイル(記憶手段)14と、前記音符情報に基づいて所定の音楽を再生する音楽再生手段であるMIDIシーケンサ16及びMIDI音源18とを備えて、これらMIDIファイル14、MIDIシーケンサ16及びMIDI音源18は、BGM変調器を構成している。ここで、BGMはBack Ground Music、MIDIはMusical Instrument Digital Interfaceである。
【0011】
本実施形態では、上記生体信号監視装置10を開発するにあたり、後述する課題を解決するために、ECG(心電モニタ)/呼吸波シミュレータを使用した。このECGシミュレータは、基本クロック発生部20と、該発生部20から発生されるクロック信号に揺らぎを与えるための揺らぎ発生部22と、該発生部22から出力される信号から、心電図波形と呼吸波を発生させるECG/呼吸波パターン発生部24とを備え、且つこれら各発生部20、22及び24に対しては、テンポ設定部26、揺らぎパラメータ設定部28及びECG/呼吸波形状パラメータ設定部30により、それぞれパラメータが設定されるようになっている。
【0012】
上記ECG/呼吸波パターン発生部24から出力される信号は、グラフ表示制御部32を介してディスプレイに出力され、後に詳述するインターネットのブラウザの画面である図2の表示画面に示すような心電図と呼吸波の信号波形として出力されるようになっている。又、前記揺らぎ発生部22からは、上記図2に示したパルスに相当する心拍のシミュレーション信号がBGM変調器の前記MIDIシーケンサ16に入力されるようになっている。
【0013】
又、脈搏センサからは外部同期インターフェース34を介して前記基本クロック発生部20に生体から脈搏信号が入力され、生体信号に基づいて基本クロック発生部20で発生するクロック信号のテンポを設定することもできるようになっている。
【0014】
本実施形態においては、前記心拍検出部12で検出される心拍信号をモニタ音としてスピーカから流すにあたり、該モニタ音をより快適な音楽として提供するために、通常一致しない音楽の拍数(音符の数)と心拍のタイミングをどのようにとるか、という課題を解決する必要がある。
【0015】
ここでは、上記課題を解決するために、前記ECG/呼吸波シミュレータから前記BGM変調器に種々のパルス信号を出力しながら検討した結果、楽曲各小節の頭の音符、又は小節内1拍の頭の音符は心拍に同期させ、その他の副音符の演奏タイミングは、例えば直前のリズム周期を基に予測した予測周期を各音符の長さに基づいて割り振ることにより解決できることを知見した。そして、このようにすることにより、拍子が一定であればあらゆる音楽を利用することが可能となった。
【0016】
そこで、本実施形態の生体信号監視装置10では、音符情報をMIDIデータで構成して、前記BGMデータMIDIファイル14に記憶しておくと共に、その情報に基づいてMIDIシーケンサ16及びMIDI音源18からなる音楽再生手段で音楽を再生する際、該MIDIシーケンサ16に前記心拍検出部12から心電誘導等による心拍信号を入力し、該心拍信号の周期や振幅に同期して再生する音楽を制御するようにした。
【0017】
そして、再生する音楽を制御するために、前記MIDIシーケンサ16には、前記心拍検出部12により計測された心拍信号(バイタル信号)のリズム周期から次のリズム周期を予測する予測手段と、該予測手段により予測されたリズム周期をもとに前記MIDI音源18(音楽再生手段)が再生する音楽のリズム周期を制御する時刻制御手段(いずれも図示せず)とが内蔵されていると共に、前記MIDI音源18で音符情報を再生する強度を、該音符情報の演奏時刻に対応する前記バイタル信号の振幅に基づいて制御する演奏強度制御手段も内蔵されている。
【0018】
又、本実施形態では、MIDIシーケンサ16内の前記リズム周期の予測手段が、直前のリズム周期を次のリズム周期の予測値(リズム周期)とするようになっている。又、前記時刻制御手段が、上記予測手段により与えられた予測値に、次に演奏する音楽のリズム周期を一致させるように制御するようになっており、その際に、次に演奏する音楽のリズムを構成するどれか1つの音符の演奏タイミングを、前記バイタル信号のタイミングと一致させるように制御するようになっている。又、前記時刻制御手段は、前記リズム周期の予測手段により与えられた予測値に対して所定の割合で増減した値に、次に演奏する音楽のリズム周期を一致させるように制御する機能も有している。
【0019】
ここでは、音楽のリズムを構成する先頭の音符の演奏タイミングと心拍信号のタイミングとを一致させ、その後に続く副音符は、直前の心拍信号のリズム周期を等分割したタイミングで演奏する場合を具体例として、以下に説明する。
【0020】
図3は、MIDI符号で記述されたBGM音楽に対して、生体信号で演奏を制御するコンセプトの一例を原理的に示したものである。この例では、図3(A)のソースBGMデータ(MIDI)としての音楽が、先頭の2の音符に対してのみIとIIの符号を付して示したように、2拍ずつの音符の連続(リズム)で構成されているが、この音楽のリズムに対して心電波形のR波(心拍位相)に各音符の第I拍を同期させ、第II拍以降の副音符は心拍周期の予測値(直前の周期)を等分したタイミングに配置する。
【0021】
即ち、ここでは第II拍までだから、同図(B)に示したBGM変調器に入力される心電波形として示したパルスP1 に、音楽のリズムの第I拍の音符を同期させ、第II拍の音符は図示しない前回のパルスP0 からP1 までの時間である直前の周期Tを等分したT/2の時間がパルスP1 から経過した後に演奏するように制御する。同様の制御を他の全ての音符に対して、パルスP2 以降の信号に基づいて行うことにより、常に直前の心拍周期が反映された音楽を演奏することが可能となる。
【0022】
そして、その音楽を再生するに際しては、前記MIDIシーケンサ16が有する前記制御機能により、再生する音楽のリズム周期を直前の心拍信号(バイタル信号)のリズム周期を基に制御すると共に、音楽情報を再生する際の演奏強度を前記バイタル信号の振幅に同期させる制御ができるようになっている。
【0023】
しかしながら、後者の演奏強度を前記バイタル信号即ち心拍信号の振幅に同期させる制御は、現実の心拍信号がパルス状で振幅が顕著に変化しないことから、必ずしも十分な効果が期待できないこともあり得る。最近、呼吸曲線信号(肺に貯えられた空気容量の変動を記録したもの)が心電誘導と同様な方法で同時に計測することが可能になっているため、前記演奏強度の制御は心拍信号(第1信号成分)ではなく、同時計測されるバイタル信号である呼吸信号(第2信号成分)の振幅を用いた方が更なる効果が期待できる。即ち、呼吸信号は心拍信号の約5倍の周期で滑らかに変化し、音楽用語でフレーズと呼ばれ、一息で歌われる音符のグループに類似するため、演奏されるBGMに対して、より音楽的にも自然な抑揚が加わる。
【0024】
前記図3(B)の下段に示した呼吸波形が、呼吸信号を心電波形の時間経過に対応させて示したものである。図3(A)のBGMデータの演奏タイミングを、前述した如く同図(B)の心電波形の心拍信号に基づいて制御すると共に、この呼吸信号により音楽の再生する強度を合わせて制御すると、同図(C)に変調されたBGMデータとして示した、抑揚がはっきりした音楽として演奏(再生)することが可能となる。
【0025】
次に、図4を用いて前記BGM変調器によるシーケンサ動作を、更に具体的に説明する。
【0026】
図4(A)は、前記BGMデータMIDIファイル14に記憶されている、メロディ/コード、いずれも単音からなる分散コード1、分散コード2、経過音により構成されたBGMデータを概念的に示したものであり、この表を区切る縦の線が小節線に対応している。このBGMデータを構成する各コードを表わす記号は、同図(C)に示した音源ファイルとして模式的に示した意味を持っている。なお、この音源ファイルは、ピアノ等の生楽器音の単音又は和音のPCM(Puls Code Modulation)録音データで作成されている。
【0027】
このBGMデータは、各小節を2つの心拍に対応させて演奏するようになっており、基本的には各心拍がメロディ/コード、分散コード1、分散コード2の3つの音符で演奏されるようになっている。例えば、図中の第1小節の場合であれば、第1心拍でH1、D3、G3の各コードを、第2心拍でH2、E3、G3の各コードが演奏されるが、その際にH1、H2は各心拍に丁度同期して、他の2つの副音符はそれぞれ1/3周期(T)ずつ遅らせて演奏される。但し、第2小節と第4小節には3/4周期のタイミングで経過音E4が演奏されるようになっている。
【0028】
従って、上記図4(A)のBGMデータに基づいて、前記MIDIシーケンサ16及びMIDI音源18により音楽を再生すると、同図(B)に演奏シーケンサ動作を示したように、第1小節の場合は心拍検出部12からシーケンサ16に入力される第1心拍にあたるクロック信号のパルス1に同期して、メロディ/コードH1が、これより直前で実測された周期Tを基準に1/3周期遅れて分散コードのD3が、2/3周期遅れて分散コード2のG3が出力される。次の第2心拍にあたるパルス2に同期してH2が、同様にE3、G3が順次出力され、第1小節の演奏が終わる。
【0029】
次いで、第2小節がパルス3、4により、第3小節がパルス5、6により同様に対応する各音が出力されることにより、スピーカからはそれが音楽として流れることになる。
【0030】
この例では、パルス4まではほぼ等しい周期であるが、パルス5の時点で心拍に異常が発生して周期が長くなっている。ところが、直前の実測周期を利用して制御をしているため、パルス4を起点に演奏される副音符D3、A3はそれまでの短い周期で制御され、次のパルス5を起点とする副音符D3、G3が長い周期で制御されることになる。その結果、パルス4から5にかけて音楽のメロディに大きな変化が現われることになるため、このようなメロディの変化により、医療従事者は患者に起きた心拍の乱れを知ることができる。
【0031】
上述した如く、本実施形態によれば、環境音楽(BGM)を再生する機能を心電モニタ装置に組み込み、再生される音楽の各音符又は音符群が演奏されるタイミング又はその強さを、計測された生体からの心拍のリズム信号により制御するようにしたので、医療従事者は、より人に快適なBGMのリズム変動を聴取しながら、心臓機能の状態を監視することが可能となる。
【0032】
又、本実施形態では、音楽のリズム周期を構成する1拍目の音符を心拍信号に同期させ、それに続く副音符は直前の心拍信号の周期を等分した間隔を割り当てて演奏するようにしたので、拍子が一定のあらゆる音楽を心拍に同期させて演奏することができる。
【0033】
又、前記MIDIシーケンサ16に内蔵されている時刻制御手段が有する機能である予測周期を所定の割合で増減させ、その周期に音楽のリズム周期を一致させる制御を行う場合には、このリズム周期の第1拍も予測周期で演奏することができるようになる。このようにすることにより、BGMの演奏テンポを心拍周期に同期させるだけでなく、常に心拍周期より一定の割合で遅くしたり、速くしたりするといった速度制御が可能になる。従って、自分の心拍に同期したBGMを聞くことができることにより、BGMを聞いている間に心拍が落ち着くと、BGMのテンポもそれに合わせて遅くなるというバイオフィードバック効果を得ることができる。
【0034】
即ち、例えば、BGMの演奏速度を心拍の80%に設定した場合、初め心拍数100の人に対して毎分80のテンポでBGMが演奏され、その後、その人の心拍数が80に低下すると、BGMのテンポも毎分64に低下するというように、バイオフィードバックをかけることが可能となる。このようにBGMで心拍をコントロールすることにより、睡眠効果があることが知られており、これにより睡眠治療等、音楽療法への応用も期待できる。又、逆にテンポを速く設定することにより、覚醒させることもできる。
【0035】
次に本発明に係る第2実施形態の生体信号監視装置について説明する。
【0036】
本実施形態の生体信号監視装置は、基本的な機能は前記第1実施形態と同一であるが、更に、(1)あちらこちらに点在している在宅療養患者を集中管理するにはどうしたらよいか、(2)心拍と呼吸の信号を同時にとるためには2種類のセンサを必要とするが、在宅等で患者の負担にならないように1つのセンサでとるにはどうしたらよいか、という課題を解決するために、以下の(1)、(2)の機能を追加したものである。
【0037】
(1)在宅家庭のベッドサイドモニタから常時監視を必要とする情報のみを抽出して、電話回線で所定のWWW(World Wide Web)サーバ(インターネット・プロバイダ、病院のネットワークサーバ等)にリアルタイムで伝送できるようにする。こうすることにより、担当医は病院のパソコンや家庭のパソコンで担当患者の状態をWWWブラウザで常時監視でき、席を外してもBGMでモニタできるようになる。
【0038】
(2)心音マイクを患者の胸に吸着固定し、該マイクから得られる心音情報から心拍と呼吸の情報を分離する方法を採る。心音は心臓から発せられる音が呼吸器を介して伝導するため、呼吸器の空気容量により音の周波数が変調される。即ち、心音からその第I音を検出し、そのタイミングが心拍で、音程の揺らぎ成分が呼吸振幅を表わしているため、この呼吸振幅を、本発明者が既に特開平10−247099に「音声信号の符号化方法」として提案している技術を利用して検出する。
【0039】
図5は、本実施形態の生体信号監視装置の要部を概念的に示したものである。本実施形態の監視装置は、前記図1に示した心電計に相当する心音ソースとして吸盤で患者の胸に直接固定できる心音マイク(聴診器)と、該心音マイクを介して入力される心音信号を計測し、該心音信号を心拍信号と呼吸信号に分離する機能を有する、前記心拍検出部12に相当するMIDI符号化ソフトとを備えている。このMIDI符号化ソフトは、BGM変調器等の他の全ての構成要素と地理的に隔離されていると共に、該BGM変調器が内蔵されている図示したベッドサイドモニタとの間にはバイタル信号を伝送するためのイントラネット/インターネット(伝送手段)が配設されている。即ち、本実施形態の生体信号監視装置は、前記図1で説明すれば、心拍検出部12とBGM変調器が地理的に隔離され、該検出部12と前記MIDIシーケンサ16に内蔵されている前記リズム周期の予測手段とがインターネット等のネットワークで接続された構成になっている。
【0040】
まず、生体信号からBGM制御信号を生成する方法について説明する。一般に、BGMを制御するに必要な時系列情報は心拍のパルス情報に呼吸成分の振幅がのったもので、ビットレートは数kbpsのオーダーである。従って、電話回線経由のインターネットでも伝送に耐えられ、ベッドサイド部と監視するブラウザ部を隔離できる。
【0041】
これら心拍と呼吸の情報は、通常使われているベッドサイドモニタから技術的には容易に入手できるが、ここでは患者の胸に聴診マスクを取り付けて聴取した心音情報(生体信号)から、前記MIDI符号化ソフトにより心拍と呼吸の情報を分離抽出する。心音は心臓の音が呼吸器系を介して聴取されているため、肺の空気容量に応じて伝導する音の周波数が変調されているので、本発明者が提案している、前記MIDI符号化ソフトによる信号処理を応用することにより、心音信号から上記両信号を分離抽出することができる。その結果、心音のI音位相から心拍パルスを求め、I音の音程の揺らぎから呼吸の深さ情報(呼吸波形)を算出することができる。
【0042】
このMIDI符号化信号処理により心音情報から心拍と呼吸の情報を分離する方法を、図6を用いて説明する。通常、聴診マイクを通して得られる心音は、図6(A)にイメージを示すように、1つの心拍がI音、II音の2つの音で構成されている。そして、この心音を前記MIDI符号化ソフトで処理すると、同図(B)にMIDIデータを示したように、緩やかな振幅で上下する音符情報に変換される。但し、特殊な心患者ではIII 、IV音が聴取される場合もある。
【0043】
この音符情報の心音のI音の位相から、同図(C)の心拍パルスを求め、該I音の音程の揺らぎから、同図(D)にイメージを示したような呼吸情報を算出することができる。
【0044】
本実施形態では、このように分離抽出した心拍と呼吸の情報を前記図5に示したように、インターネット等のネットワークを介してベッドサイドモニタが有するBGM変調器に伝送し、前記図2に示したと同様のブラウザ画面にこれら両情報を表示すると共に、該両情報により変調されたBGM音楽を演奏できるようになる。従って、地理的に隔離されている在宅患者に対しても、患者には聴診器1つ取り付けておくだけで、病院等の医療機関で常時監視することができるようになる。
【0045】
本実施形態では、以上の遠隔監視をインターネットのWWW環境で行うために、WWWサーバ側(患者側)のMIDI符号化ソフトを、WWWクライアント側のベッドサイドモニタが有する前記BGM変調器(患者側にも置く場合はそれも含む)をJavaアプレット(サン・マイクロシステムズ社が開発したプログラミング言語Javaで作成したプログラム)で実現している。特に、前記図1に示したBGM変調器に相当するBGM再生機能は、MIDI音源18を含む全てをJavaアプレットで実現した。
【0046】
このように、Javaアプレットで実現したMIDI符号化処理機能をWWWサーバ側に、BGM変調機能をWWWサーバのクライアント側にそれぞれインプリメントすることにより、前記図5に示した1対1の対応を拡張することができ、図7にイメージを示すように、インターネット経由で複数の患者を遠隔監視するシステムを構築することができる。
【0047】
この図7には、太い矢印で示したように、ベッドサイドモニタAから患者の心音等のバイタル信号がMIB(Medical Infornation Bus )を介してWWWサーバAに伝送されると、該サーバAでは前記MIDI符号化処理により心音情報から心拍と呼吸の情報が取り出され、この両情報がHTTP(プロトコル)を使ってインターネット等を介してWWWクライアント2に伝送され、前記ブラウザの画面に表示されると共に、Javaアプレットで実現されている前記BGM変調機能により音楽が演奏される。
【0048】
このように、複数のサーバにそれぞれ複数の患者(図7中ではベッドサイドモニタ)が接続され、且つ、各サーバがネットワークを介して複数のクライアント(医療従事者)と接続された遠隔監視システムが構築できることから、患者は希望するクライアントに情報を伝送することができると共に、クライアントも任意の患者を監視でき、複数のクライアントが同時に同一の患者の状態を監視することもできる。
【0049】
以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に示したものに限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0050】
例えば、バイタル情報としては、これまで述べた各種心電波形、心拍変動曲線、呼吸曲線に限らず、血圧変動、体温変動、動脈血酸素飽和度、脳波等、電気的に時系列計測できるものであれば任意である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、生体のバイタル情報を音として再生し、その音を通して生体の状態を常時監視する際、医療従事者が快適な状態で監視業務等を続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の生体信号監視装置の概略構成を、ECG/呼吸波シミュレータと共に示すブロック図
【図2】上記ECG/呼吸波シミュレータから出力される心電波形と呼吸波形の一例を示す説明図
【図3】生体信号によるBGM変調の概念を示す説明図
【図4】生体信号監視装置を構成するBGM変調器のシーケンサ動作の一例を示す説明図
【図5】本発明に係る第2実施形態の生体信号監視装置の基本概念を示す説明図
【図6】心音情報から心拍と呼吸の2つの情報を分離する処理のイメージを示す説明図
【図7】第2実施形態の生体信号監視装置の変形例を示す説明図
【符号の説明】
10…生体信号監視装置
12…心拍検出部
14…BGMデータMIDIファイル
16…MIDIシーケンサ
18…MIDI音源
Claims (10)
- 生体のバイタル信号を計測する計測手段と、所定の音楽を構成する音符情報を記憶する記憶手段と、前記音符情報に基づいて所定の音楽を再生する音楽再生手段と、前記計測手段により計測された前記バイタル信号のリズム周期から次のリズム周期を予測する予測手段と、該予測手段により予測されたリズム周期をもとに前記音楽再生手段が再生する音楽のリズム周期を制御する時刻制御手段と、を備えていることを特徴とする生体信号監視装置。
- 請求項1において、
前記音楽再生手段で前記音符情報を再生する強度を、前記音符情報の演奏時刻に対応する前記バイタル信号の振幅に基づいて制御する演奏強度制御手段を備えていることを特徴とする生体信号監視装置。 - 請求項2において、
前記時刻制御手段が、前記心拍信号に基づいて前記音楽の演奏タイミングを制御し、前記演奏強度制御手段が前記呼吸信号に基づいて、前記音楽の演奏強度を制御することを特徴とする生体信号監視装置。 - 請求項1において、
前記計測手段が、心音信号を計測し、該心音信号を心拍信号と呼吸信号の2つのバイタル信号に分離する機能を有していることを特徴とする生体信号監視装置。 - 請求項1において、
前記計測手段と、それ以外の全ての手段とが地理的に隔離されていると共に、前記予測手段との間に、バイタル信号を伝送する伝送手段が設けられていることを特徴とする生体信号監視装置。 - 請求項1において、
前記予測手段が、直前のリズム周期を次のリズム周期の予測値としていることを特徴とする生体信号監視装置。 - 請求項1において、
前記時刻制御手段が、前記予測手段により予測されたバイタル信号の予測周期の値に、次に演奏する音楽のリズム周期を一致させるように制御することを特徴とする生体信号監視装置。 - 請求項7において、
前記次に演奏する音楽のリズムを構成するいずれか1つの音符の演奏タイミングを、前記バイタル信号のタイミングと一致させるように制御することを特徴とする生体信号監視装置。 - 請求項1において、
前記時刻制御手段が、前記予測手段により予測されたバイタル信号の予測周期の値に対して所定の割合で増減した値に、次に演奏する音楽のリズム周期を一致させるように制御することを特徴とする生体信号監視装置。 - 請求項1において、
前記音符情報がMIDIデータで構成され、且つ前記音楽再生手段がMIDIシーケンサ及びMIDI音源を備えていることを特徴とする生体信号監視装置。
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