JP4247702B2 - カード保持装置およびそれを備えた携帯端末機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカード保持装置およびそれを使用する携帯端末機に関し、特に携帯電話機等の携帯端末機のSIM(Subscriber Identification Module:加入者識別モジュール)カードの保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機やPHS(Personal Handy-phone System)端末等の携帯端末機は、その利便性の故に急速に普及し、今や生活の必需品となりつつある。携帯端末機には、SIMカードが差し込まれている。このSIMカードは、電話番号等を登録するためのICチップを内蔵するカードである。携帯端末機の電話番号や利用者IDは、内蔵メモリに書き込まれているので、簡単には変更できない。しかし、SIMカードを差し替えることにより、どの携帯端末機でも自己のものとして使用可能である。従って、SIMカードを持っていれば、例え携帯端末機を持っていなくても又は自己の携帯端末機が故障、紛失又は電池切れしていても、他人の携帯端末機を借用し、SIMカードを差し替えることにより自己の携帯端末機と同様に使用することが可能になる。
【0003】
斯かるSIMカード保持装置およびそれを使用する携帯端末機に関する従来技術は、例えば特開2001-244004号公報の「カード保持構造およびそれを備えた携帯端末機」、特開2000-49917号公報の「携帯電話機」、特開2000-253119号公報の「ICカードを備えた携帯電話機用バッテリ」、特開平11-155004号公報の「データカードハウジング」および特開平11-266293号公報の「携帯電話機」等に開示されている。
【0004】
図13は、上述した第1の従来技術に開示されるカード(SIMカード)保持構造の平面図である。この従来のカード保持構造は、携帯電話機の裏面ケース25内に設けられたカード装着用凹部26に固定されたカードコネクタ27にカード(図示せず)をスライドさせて装着し保持する。カードコネクタ27におけるカードスライド方向の前部を保持し、裏面ケース25のカバー兼バッテリの内壁面によりカードの後部を持する。また、カード装着用凹部26の底面に一端が固定された矩形の弾性片からなるケース側ストッパ28を設けている。更に、カードのスライド方向の両側には、保持部29が設けられ、カードコネクタ27にスライドされるカードをガイドすると共に保持する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の如き従来技術には次のような幾つかの課題があった。第1に、SIMカードの取出しが容易でない。その理由は、カード装着用凹部に一端が固定された弾性片からなるケース側ストッパを設けているため、カード取り出し時にこのカード側ストッパを押し下げ水平になるまで撓ませながらカードを後方へスライドさせるため、両手を使用する必要があるためである。第2に、SIMカードの誤挿入が検出できない。その理由は、カード装着用凹部の平坦部がSIMカードの外形(又は幅)以上であるため、予めSIMカードに設けられているカード方向検出用の切り欠きが利用できないからである。
【0006】
第3に、SIMカードの破損が生じる危険性がある。その理由は、カバー兼バッテリを取り付けるまでSIMカードの誤挿入が検出できないからである。SIMカードに設けられているカード方向検出用の切り欠き領域に、バッテリ側ストッパを設けることでSIMカードの誤挿入を検出している。しかし、携帯電話機の使用者(ユーザ)は、バッテリ側ストッパとSIMカードが衝突している状態が確認できない。SIMカードの誤挿入を認識していない携帯電話機の使用者は、無理にバッテリを取り付けようとして、必要以上の力をSIMカードにかけることとなり、破損を生じる。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、これら課題を解決又は軽減するカード保持装置およびそれを備える携帯端末機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題解決のための手段】
前述の課題を解決するため、本発明によるカード保持装置およびそれを備える携帯端末機は次のような特徴的な構成を採用している。
【0009】
(1)携帯電話機等のケースに形成されたカード装着部に取り出し可能に取り付けられるカードをカードロックにより保持するカード保持装置において、
前記カードロックは、前記カード装着部に挿入して装着される前記カードの後方に配置されるスライド式に構成され且つスライド方向の異なる位置に位置決め突起が形成され前記カードをロック位置およびリリース位置に固定可能であり、前記ロック位置に挿入固定された前記カードを前記挿入方向と反対方向へ移動させると、前記カードロックを前記リリース位置へ移動可能であるカード保持装置。
【0010】
(2)前記カードロックは前記スライド方向に延びる複数の突起状のガイドを有し、該ガイドは前記カード装着部に形成されたガイド挿入孔に挿入保持される上記(1)のカード保持装置。
【0011】
(3)前記カード装着部には、前記ロック位置の前記カードの後端部近傍に形成された傾斜部を有し、前記反対方向へ移動される前記カードの後端部と当接して前記カード装着部から持ち上げる上記(1)又は(2)のカード保持装置。
【0012】
(4)ユーザを識別するSIMカードおよび駆動電力を供給するバッテリをケース内に取り外し自在に内蔵する携帯電話機において、
前記ケースに形成された開口部のカード装着用凹部に設けられたカードコネクタに挿入して装着される前記SIMカードの後方に配置され、前記装着されたSIMカードの後端部に前端部を当接させて保持するスライド式のカードロックを備え、
該カードロックは、ロック位置およびリリース位置へ固定可能にする位置決め突起を有し、前記SIMカードを前記挿入方向と反対方向へ移動させると前記リリース位置へ移動し、
前記バッテリは、前記SIMカードおよび前記カードロック上に配置され、裏面に形成されたカードロックストッパにより前記カードロックを前記ロック位置に保持する携帯電話機。
【0013】
(5)前記カードロックは、弾性部材により一方向にバイアスされている上記(4)の携帯電話機。
【0014】
(6)前記カード装着用凹部には、装着された前記SIMカードの後端部近傍に形成された傾斜部を有し、前記SIMカードを取り外すため前記カードロックを前記リリース位置へ移動するとき前記SIMカードの後端部と当接して前記SIMカードを持ち上げる上記(4)又は(5)の携帯電話機。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるカード保持装置およびそれを備える携帯端末機の好適実施形態の構成および動作を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1は、本発明による携帯端末機の好適実施形態の構成図である。図1は、携帯端末機の裏面側ケース1を示している。この裏面側ケース1には、上部から中央部にわたって、バッテリを取り付けるための開口部2が形成されている。開口部2には、カード(SIMカード)を装着するためのカード装着用凹部3が設けられている。このカード装着用凹部3は、裏面側ケース1の長手方向にカードを装着可能なように、裏面側ケース1の内部表面に設けられている。カード装着用凹部3における上方部には、貫通孔4が形成されており、そこから露出するプリント基板5にカードコネクタ6が固定されている。カード装着用凹部3における下方部には、図2以下を参照して後述する如く、装着されたカードを固定するスライド式のカードロック7が設けられている。また、この携帯端末機は、周知の如く、送受信用のアンテナAが設けられている。
【0021】
次に、図2は、図1に示す携帯端末機の要部であるカード保持装置、特にカードコネクタ6およびカードロック7の平面図である。図2に示す如く、カードコネクタ6は、カードコネクタベース部8および保持部9により構成されている。1対の保持部9は、カードコネクタベース部8の左右に設けられている。これら保持部9は、例えば金属板を折り曲げ、その一端をベースに固定して形成され、その弾力により装着されたカードの接触部の両端を保持する。
【0022】
図3は、図1および図2に示すカードロック7の斜め上方向から見た拡大斜視図である。図3に示す如く、カードロック7には誤挿入検出突起10が設置されており、カードロック7の端面にはカードロック側傾斜部(テーパ)11が形成されている。
【0023】
一方、図4は、図3に示すカードロック7の下方向から見た斜視図である。図4に示す如く、カードロック7の下方には離間した1対のガイド12および2個の位置決め突起13が形成されている。これらガイド12には、それぞれ側方へ突出した取付用の嵌合爪14が形成されている。
【0024】
次に、図5は、図2に示す状態からカードロック7を取り外した平面図である。図5に示す如く、携帯端末機のカード装着用凹部3の中央に、カード装着用凹部側傾斜部(テーパ)15が設けられている。カード装着用凹部3の中央から下方向に2個のガイド挿入孔16が形成されている。また、カード装着用凹部3の下方には2個のロック保持孔17および2個のリリース保持孔18が、上述したカードロック7の1対の位置決め突起13に対応して形成されている。
【0025】
ここで、カードロック7は、ガイド12をガイド挿入孔16に挿入することにより嵌合爪14が、その弾性により撓む。カードロック7を更に押圧すると、嵌合爪14は、ガイド挿入孔16の裏面に潜り込み、カードロック7をカード装着用凹部3に取り付けられる。これにより、カードロック7は、カード装着方向に対して前後方向(図1における上下方向)のみに移動可能である。また、位置決め突起13を、ロック保持孔17およびリリース保持孔18に保持されることにより、カードロック7の前後方向への動きは、カードをロックした状態又はリリースした状態の2個の明確な位置をとることが可能になる。
【0026】
次に、図6は、携帯端末機の開口部2に取り付けるバッテリ19の裏側から見た拡大斜視図である。図6に示す如く、バッテリ19は、全体的に薄い略直方体である。このバッテリ19の裏面には、1対のカードロックストッパ20が設けられている。このカードロックストッパ20は、略長方形の平面形状を有し、カード装着用凹部3に対向するようにバッテリ19に突設されている。
【0027】
次に、以上の如く構成された携帯端末機におけるカードの取り付けまたは挿入動作を、図7〜図9の側面図(又は側断面図)を参照して説明する。先ず、図7に示す如く、カード(SIMカード)21の先端を左右1対の保持部9に位置合わせすると共に、カード21をカード装着用凹部3に設置する。次に、カード21を図7の右方向へスライドさせる。そして、図8に示す如く、カード21の先端が保持部9の下を通り抜け、所定の位置で停止させる。
【0028】
その後、カードロック7を図8の右方向にスライドさせ、図9の状態になる。これによって、カード21の接触部(コンタクト)22は、保持部9により適度な力で押しつけられる。その結果、カードコネクタ6の接触部(コンタクト又は接触片)23とカード21の接触部22との良好な電気的接触状態が維持される。また、カードロック7の前端がカード21の後端に当接することにより、カード21が左方向へ抜ける(又は移動する)のを防止する。
【0029】
上述した状態で、カードコネクタ6、このカードコネクタ6に挿入されたカード21およびこのカードを固定するカードロック7の上部にバッテリ19が取り付けられる。すると、バッテリ19の裏面に形成されたカードロックストッパ20は、カード装着用凹部3にカードロック7の図9における左位置で設置され、カードロック7が落下等の衝撃により図9における左方向へ移動することを確実に防止する。
【0030】
次に、カード21の取出し動作を、図10および図11を参照して説明する。先ず、バッテリ19を取り外す。次に、カード21を図中の左方向へスライドさせることにより、カードロック7に形成されているガイド12を押し出すため、図10に示す如くカード21およびカードロック7が同時に移動する。その後、カード装着用凹部3に形成されたカード装着用凹部傾斜部15とカードロック7に形成されたカードロック側傾斜部11により、カード21の後端部は、図11に示す如くカード装着用凹部3から持ち上がるので、ユーザが指で掴むことにより容易に取り出すことが可能である。
【0031】
次に、図12の側断面図を参照して、本発明によるカード保持装置の第2実施形態を説明する。尚、上述した好適実施形態の構成要素に対応する構成要素には、説明の便宜上、同様の参照符号を使用することとする。この第2実施形態では、カードロック7の端部にスプリング(コイルスプリング、トーションスプリング等)24を設ける。これにより、一度カードコネクタ6に挿入されたSIMカード21は、自動的にロック状態に保持される。従って、カード21をロックしない状態でバッテリ19を取り付けるために生じ得るカードロックの破損を防止することが可能である。
【0032】
以上、本発明によるカード保持装置およびそれを備える携帯端末機の好適実施形態の構成および動作を詳述した。しかし、斯かる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。
【0033】
【効果の説明】
以上の説明から明らかな如く、本発明のカード保持装置およびそれを備える携帯端末機によると、次の如き実用上の顕著な効果が得られる。第1に、ロックを外すことなくSIMカードを取り出すことが可能である。その理由は、カード装着用凹部およびカードロックに傾斜を設けたためである。SIMカードをスライドさせることにより自動的にSIMカードのロックが解除されるため、SIMカードのロックを外しながらSIMカードを操作するという動作が不要になる。
【0034】
第2に、SIMカードの誤挿入を効果的に防止可能である。その理由は、カードロックに誤挿入検出突起を形成したためである。携帯端末機のユーザがSIMカードを誤挿入しても、カードロックがロック状態にならないため、携帯端末機のユーザは、SIMカードの誤挿入を容易に認識できるためである。
【0035】
第3に、SIMカードの破損を確実に防止可能である。その理由は、カードロックに誤挿入検出突起を形成したためである。カードの誤挿入は、携帯端末機のユーザがバッテリを取り付けることなく認識できるため、カードを誤挿入した状態でバッテリが取り付けられることはなく、SIMカードに無理な力が加えられることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカード保持装置を備える携帯端末機の好適実施形態の構成図である。
【図2】本発明によるカード保持装置の第1実施形態の平面図である。
【図3】図2中のカードロックの斜め上方向から見た拡大斜視図である。
【図4】図3に示すカードロックの裏面側から見た斜視図である。
【図5】図2に示すカード保持装置から図3および図4に示すカードロックを除いた平面図である。
【図6】本発明の携帯端末機に使用するバッテリの裏面から見た斜視図である。
【図7】本発明によるカード保持装置にカードを装着する最初の工程を示す側断面図である。
【図8】本発明によるカード保持装置にカードを装着した状態を示す側断面図である。
【図9】本発明によるカード保持装置にカードを装着し、カードロックをかけ、更にバッテリを取り付けた本発明の形態端末機の側断面図である。
【図10】本発明のカード保持装置に装着されたカードを取り出す最初の工程を示す側断面図である。
【図11】本発明のカード保持装置からカードを取り出している状態を示す側断面図である。
【図12】本発明によるカード保持装置の他の実施形態の側断面図である。
【図13】従来のカード保持装置の平面図である。
【符号の説明】
1 携帯端末機の裏面側ケース
2 開口部
3 カード装着用凹部
5 プリント基板
6 カードコネクタ
7 カードロック
8 カードコネクタベース
9 保持部
10 誤挿入検出突起
11 カードロック側傾斜部
12 ガイド
13 位置決め突起
14 嵌合爪
15 カード装着用凹部側傾斜部
16 ガイド挿入孔
17 ロック保持孔
18 リリース保持孔
19 バッテリ
20 カードロックストッパ
21 カード(SIMカード)
Claims (6)
- 携帯電話機等のケースに形成されたカード装着部に取り出し可能に取り付けられるカードをカードロックにより保持するカード保持装置において、
前記カードロックは、前記カード装着部に挿入して装着される前記カードの後方に配置されるスライド式に構成され且つスライド方向の異なる位置に位置決め突起が形成され前記カードをロック位置およびリリース位置に固定可能であり、前記ロック位置に挿入固定された前記カードを前記挿入方向と反対方向へ移動させると、前記カードロックを前記リリース位置へ移動可能であることを特徴とするカード保持装置。 - 前記カードロックは前記スライド方向に延びる複数の突起状のガイドを有し、該ガイドは前記カード装着部に形成されたガイド挿入孔に挿入保持されることを特徴とする請求項1に記載のカード保持装置。
- 前記カード装着部には、前記ロック位置の前記カードの後端部近傍に形成された傾斜部を有し、前記反対方向へ移動される前記カードの後端部と当接して前記カード装着部から持ち上げることを特徴とする請求項1又は2に記載のカード保持装置。
- ユーザを識別するSIMカードおよび駆動電力を供給するバッテリをケース内に取り外し自在に内蔵する携帯電話機において、
前記ケースに形成された開口部のカード装着用凹部に設けられたカードコネクタに挿入して装着される前記SIMカードの後方に配置され、前記装着されたSIMカードの後端部に前端部を当接させて保持するスライド式のカードロックを備え、
該カードロックは、ロック位置およびリリース位置へ固定可能にする位置決め突起を有し、前記SIMカードを前記挿入方向と反対方向へ移動させると前記リリース位置へ移動し、
前記バッテリは、前記SIMカードおよび前記カードロック上に配置され、裏面に形成されたカードロックストッパにより前記カードロックを前記ロック位置に保持することを特徴とする携帯電話機。 - 前記カードロックは、弾性部材により一方向にバイアスされていることを特徴とする請求項4に記載の携帯電話機。
- 前記カード装着用凹部には、装着された前記SIMカードの後端部近傍に形成された傾斜部を有し、前記SIMカードを取り外すため前記カードロックを前記リリース位置へ移動するとき前記SIMカードの後端部と当接して前記SIMカードを持ち上げることを特徴とする請求項4又は5に記載の携帯電話機。
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