JP4247357B2 - フィルタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高調波発生源である負荷回路から発生する高調波電流を除去するフィルタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業用の半導体電力変換装置の大容量化やFA、OA機器、インバータエアコン等の利用の増大に伴い、各種負荷回路がもたらす交流電源系統の高調波障害が問題となっている。高調波発生源である負荷回路から発生する高調波電流を抑制するために、フィルタ装置が用いられている。
【0003】
フィルタ装置の例としては、LCフィルタ(パッシブフィルタ)、並列型アクティブフィルタ、直列型アクティブフィルタ、ハイブリッドフィルタなどがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
LCフィルタは、安価で効率が高いという利点を有する反面、(1)高周波抑制効果は系統インピーダンスの影響を受ける、(2)系統とLCフィルタとの間で反共振(並列共振)を引き起こす恐れがある、(3)LCフィルタの共振周波数以外の高調波成分に対しては補償効果が期待できない、(4)装置の重量が重い、(5)装置が大型化する、といった欠点を有する。また、LCフィルタでは、例えばサイクロコンバータなどの半導体電力変換装置が発生する複雑な周波数成分を含む高調波電流の補償は難しい。
【0005】
アクティブフィルタは、LCフィルタのような欠点を持たない高調波抑制装置として注目されている。しかし、アクティブフィルタは、周波数特性に優れた高効率の電力変換器を必要とし、大容量化、製造コスト、運転損失が大きいなどに問題がある。
上記問題を解決するものとして、注入回路つきアクティブフィルタや、LCフィルタとアクティブフィルタとを組み合わせたハイブリッドフィルタなどが既に提案されている。
【0006】
ハイブリッドフィルタにおいては、LCフィルタは負荷で生じる高調波電流の補償を行い、アクティブフィルタはLCフィルタの特性をさらに改善といったように、各々役割分担した形で動作する。ハイブリッドフィルタは、LCフィルタの上述の欠点を生じることなく、かつ、アクティブフィルタ単体の場合に比べて電力変換器の容量を大幅に低減することができるので、今後のますますの利用が期待されている。
【0007】
図12は、従来例におけるハイブリッドフィルタを例示する図である。
ここでは、このハイブリッドフィルタ51が、三相の電源系統61と高調波発生源である負荷回路62の間の受電点Pにおいて接続され、負荷回路62で発生した高調波電流を除去する例を説明する。
従来のハイブリッドフィルタ51は、LCフィルタ52とアクティブフィルタ53とが、整合用変圧器54を介して直列に接続されて構成される。
【0008】
ハイブリッドフィルタ51内のLCフィルタ52は、例えば5次共振フィルタ71と、7次の共振フィルタ72と、ハイパスフィルタ73とから構成される。
ハイブリッドフィルタ51内のアクティブフィルタ53は、例えばMOSFETを用いた三相電圧形PWM変換器であり、その出力側には小容量のスイッチングリプル除去用フィルタ74が設けられる。
【0009】
LCフィルタ52による高調波電流の補償は、系統インピーダンスとLCフィルタ52のインピーダンスとの間での分流によって行われる。すなわち、LCフィルタ52は、特定周波数の高調波に対し、系統インピーダンスよりも低インピーダンスの分路となるように設計される。
ハイブリッドフィルタは、次のような欠点を有する。
【0010】
まず、系統インピーダンスが小さい場合や、LCフィルタの共振周波数以外の高調波成分に対しては、十分な補償効果が得られないという問題がある。
さらに、整合用変圧器54を必要とするので、装置の重量が重くなり、大型化する。また、製造コストも上がる。
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、小型軽量かつ構造容易で、製造コストを低減したハイブリッドフィルタ形式のフィルタ装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を実現するために、本発明においては、ハイブリッド形式のフィルタ装置として、所定の次数の高調波電流に同調する同調フィルタに、整合用変圧器を介さずにアクティブフィルタを直接接続することを特徴とする。
本発明においては、同調フィルタは、所定の次数の高調波電流を吸収する。その一方で、アクティブフィルタについては、上述の所定の次数以外の次数を有する高調波電流に対しても抑制効果をもたせるために、換言すれば、同調フィルタの同調周波数以外の高調波周波数に対しても良好な高調波抑制効果をもたせるために、以下で説明する第1の態様もしくは第2の態様において示されるような所定の出力電圧(以下、「アクティブフィルタ出力電圧」と呼ぶ。)を出力するように制御される。
【0012】
ところで、従来のハイブリッドフィルタは、主として系統電圧が600ボルト以下の低圧回路システムへ適用できるように開発されていた。したがって、従来例においては、アクティブフィルタを構成するスイッチング素子(例えばIGBTなどのパワーデバイス)の電圧定格と出力電圧との整合を取るために、アクティブフィルタとLCフィルタとの間に整合用変圧器を設けていた。従来例では、高圧回路システムにハイブリッドフィルタを適用する場合においても、低圧回路システムの場合と同様にアクティブフィルタとLCフィルタとの間に整合用変圧器を設けていた。
【0013】
これに対し、本発明では、同調フィルタとアクティブフィルタとを整合用変圧器を介さずに直接接続する。そして、アクティブフィルタ内のスイッチング素子の耐圧として、後述する所定の値よりも大きいものを選択する。
図1は、本発明の第1の態様によるフィルタ装置を示す概略図である。
ここでは、電源系統2と負荷回路3との間の受電点Pにおいてフィルタ装置1の一端が接続される場合を説明する。
【0014】
なお本明細書では、これ以降、受電点Pに対し、電源系統側を流れる電流を電源系統電流iS、負荷回路側を流れる電流を負荷電流iL、フィルタ装置1に流れ込む電流をフィルタ電流iFとし、これら各電流に含まれる高調波電流をそれぞれ電源系統側高調波電流iSh、負荷側高調波電流iLh、フィルタ側高調波電流iFとする。
【0015】
また、電源系統電流iSについては電源系統側から受電点Pへ、負荷電流iLについては受電点Pから負荷回路へ、フィルタ電流iFについては受電点Pからフィルタ装置1へ流れる向きを、それぞれ電流の正の向き(図中、矢印で指す向き)と定義する。
図1に示すように、本発明の第1の態様によるフィルタ装置1は、一端が受電点Pに接続され、所定の次数の高調波電流に同調する同調フィルタ11と、同調フィルタ11の他の一端に直接接続されるアクティブフィルタ12と、を備える。
【0016】
本発明の第1の態様によるアクティブフィルタ12は、受電点Pに対して電源系統側を流れる電源系統電流iSに含まれる高調波電流iShを抑制するとともに、受電点Pに対して負荷回路側を流れる負荷電流iLに含まれる高調波電流のうち所定の次数とは異なる次数の負荷側高調波電流iLhが同調フィルタ11を流れるときに発生する電圧降下分を打ち消すような、アクティブフィルタ出力電圧を発生する。
【0017】
このため、フィルタ装置1は、
電源系統電流iSに含まれる高調波電流iShを抑制する電圧分を発生するようにアクティブフィルタ12を制御するフィードバック指令値を、電源系統電流iSを用いて作成するフィードバック制御回路13と、
負荷側高調波電流iLhが同調フィルタ11を流れるときに発生する電圧降下分を打ち消す電圧分を発生するようにアクティブフィルタ12を制御するフィードフォワード指令値14を、負荷電流iLを用いて作成するフィードフォワード制御回路14と、
フィードバック指令値とフィードフォワード指令値とを加算してアクティブフィルタ12を構成するスイッチング素子のスイッチング指令値を作成する加算回路15と、を備える。
【0018】
図2は、本発明の第2の態様によるフィルタ装置を示す概略図である。
本発明の第2の態様は、上述した第1の態様によるフィルタ装置をさらに簡単化したものである。
図2に示すように、本発明の第2の態様によるフィルタ装置1は、一端が受電点Pに接続され、所定の次数の高調波電流に同調する同調フィルタ11と、同調フィルタ11の他の一端に直接接続されるアクティブフィルタ12と、を備える。
【0019】
本発明の第2の態様によるアクティブフィルタ12は、受電点Pに対して電源系統側を流れる電源系統電流iSに含まれる高調波電流iShを抑制するようなアクティブフィルタ出力電圧を発生する。
このため、フィルタ装置1は、アクティブフィルタ12が上記のアクティブフィルタ出力電圧を発生するように電源系統電流iSを用いて制御するフィードバック制御回路13を備える。
【0020】
本発明によれば、ハイブリッドフィルタに従来必要であった整合用変圧器を必要としないので構造が容易であり、装置を小型軽量化することができる。また、製造コストも低減することができる。
さらに、従来のフィルタに比べても系統電流内に含まれる高調波電流の総合高調波歪(THD)をさらに低減することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
まず、本発明によるフィルタ装置の補償原理について説明する。
図3、本発明によるフィルタ装置の等価回路を示す図である。
図3(a)は、アクティブフィルタ12を出力電圧VAFの電圧源、同調フィルタ11をインピーダンスZFとして本発明によるフィルタ装置を等価回路で表した図である。ここで、系統電圧をVS、電源系統電流をIS、系統インピーダンスをLS、負荷電流をIL、フィルタ電流をIFとする。
【0022】
図1もしくは2を参照して説明したように、本発明のフィルタ装置1によれば、受電点Pに対して電源系統側を流れる電源系統電流iSに含まれる高調波電流iShを抑制するようにアクティブフィルタ12のアクティブフィルタ出力電圧を制御するため、電源系統電流iSをフィードバックしてアクティブフィルタ12内のスイッチング素子を制御する。そこで、アクティブフィルタ12の電圧指令値VAF *は、電源系統電流ISをK倍のゲインで増倍して、
【0023】
【数1】
Figure 0004247357
【0024】
としてフィードバック制御で与えられるものとする。
図3(b)は、アクティブフィルタが接続されず同調フィルタ11のみを考えた場合(すなわち、K=0)の等価回路図である。負荷電流ILに含まれる負荷側高調波電流ILhは、系統インピーダンスLSと同調フィルタ11のインピーダンスZFとで分流される。分流された電流をそれぞれIShおよびIFhデとする。
【0025】
図3(a)および(b)を参照すると、アクティブフィルタ12の出力電圧VAFを適切に調整すれば、系統電圧側へ分流していた高調波成分を同調フィルタへ流し込むように作用し、電源系統側を流れる高調波電流を抑制できることがわかる。
次に、負荷側高調波電流に対する特性を考える。
【0026】
系統電圧の高調波成分をゼロと仮定すると、電源系統電流ILに含まれる高調波電流ILh、受電点電圧の高調波成分VPh、アクティブフィルタ出力電圧VAFは、それぞれ、
【0027】
【数2】
Figure 0004247357
【0028】
【数3】
Figure 0004247357
【0029】
【数4】
Figure 0004247357
【0030】
となる。
ここで、式(2)に注目すると、図3(b)に示されるように、ゲインKを純抵抗としてみなしたときの純抵抗Kが系統電圧源と直列に接続された等価回路として表されることがわかる。
式(2)および式(3)から、ゲインKを大きくすればするほど、電源系統電流ILおよび受電点電圧VPでの高調波成分が補償されることがわかる。したがって、アクティブフィルタ出力電圧は、同調フィルタ11に負荷側高調波電流ILhを流し込むための電圧ZFFとして作用することがわかる。
【0031】
図3(b)において、純抵抗Kが同調フィルタのインピーダンスZFに対して十分に大きければ、負荷回路から発生した高調波電流の、電源系統への流出が抑制される。
また、純抵抗Kが系統インピーダンスZFよりも十分に大きければ、系統インピーダンスZFの変化は、フィルタ装置の補償特性に影響を与えない。つまり、フィルタ装置の設置場所は制限されない。
【0032】
さらに、純抵抗Kは、反共振に対するダンピング抵抗として働き、高調波拡大現象を抑制することができる。
したがって、同調フィルタとアクティブフィルタとを組み合わせてフィルタ装置を構成した場合、ゲインKをできるだけ大きくしたフィードバック制御を適用してアクティブフィルタ出力電圧を制御することが好ましいと考えられる。しかしながら、実際には、制御回路においては制御遅れがあるのでゲインを大きくしすぎると発振してしまう。
【0033】
そこで、本発明では、上述のフィードバック制御のゲインを発振しない適度な大きさに設定し、その分フィードフォワード制御の助けを借りてアクティブフィルタ出力電圧を制御する。フィードフォワード制御の詳細については本発明の実施例において述べる。
本発明の実施例によるフィルタ装置の具体的な構成について説明する。
【0034】
図4は、本発明の実施例によるフィルタ装置を示す回路構成図である。
ここでは、電源系統2と負荷回路3との間の受電点Pにおいて、本実施例によるフィルタ装置1の一端が接続される場合を説明する。なお、本実施例においては、パーセントインピーダンスの基準を、3.3kV、50Hz、300kVAとする。
【0035】
本実施例では電源系統2を三相交流系統としたが、これは本発明を限定するものではない。本発明によるフィルタ装置1を単相交流系統やその他の多相交流系統の場合についても適用することができる。
ここでは例として、三相交流系統の系統電圧を3.3kV、周波数を50Hzとする。以下、系統電圧をvS、系統インピーダンスをLSで表す。図4の実施例では、系統インピーダンスLSを0.58mH(0.5%)とする。
【0036】
高調波発生源である負荷回路3は、図4の実施例では、300kWのダイオード整流器としている。このダイオード整流器の直流側コンデンサをCd、直流出力電圧をVd、交流側のインピーダンスをLACとする。図4に示す負荷回路3のパラメータを表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004247357
【0038】
以上の前提条件のもとで、本実施例によるフィルタ装置の回路構成を図4を参照して説明する。
本実施例では三相交流系統に適用した場合を扱っているので、高調波発生源である負荷回路3からは、主として5次、7次、11次、13次などの高調波電流が発生し得るが、最も多いのは5次高調波電流であり、これに7次高調波電流が続く。このような高調波電流を本実施例によるフィルタ装置1を用いて除去することになる。
【0039】
本実施例のフィルタ装置1内の同調フィルタ11は、コンデンサCFと、このコンデンサCFに直列接続されたリアクトルLFとからなるLCフィルタである。ここで、同調フィルタ11の内部抵抗をRFとする。
本発明における同調フィルタ11は、上述したように所定の次数の高調波電流に同調される。一般にコンデンサおよびリアクトルからなる同調フィルタは、同調すべき高調波の次数が高いほどその大きさは小さくなる。
【0040】
そこで、本実施例では、フィルタ装置全体の大きさおよび重量と、後述するアクティブフィルタ12の出力とのバランスを考慮し、例えば7次高調波に同調するように同調フィルタを設計する。本発明のフィルタ装置においては、7次以外、すなわち、5次、11次13次などの高調波電流については、後述する所定のアクティブフィルタ出力電圧をアクティブフィルタ12が出力できるように制御することで除去する。ここで、7次高調波に同調した同調フィルタ11のフィルタ定数の例を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0004247357
【0042】
同調フィルタの高調波抑制効果は、後述のアクティブフィルタによりさらに改善されるので、同調フィルタのフィルタ定数は、それほど厳密に設定する必要はなく、同調すべき高調波に対するフィルタ定数の設計値の、例えば±10%程度付近で十分な高調波抑制効果を得ることができる。すなわち、本発明によれば、設計が容易であるという利点を有する。
【0043】
なお、本実施例では、同調すべき高調波成分を7次としたが、この次数は本発明を限定するものではない。三相交流系統の場合では、同調フィルタの同調すべき高調波成分として5次、11次、13次などを選んでもよい。
しかしながら、同調フィルタ11を例えば5次の高調波に同調させると、同調フィルタを構成するリアクトルLFが大型化し、結果としてフィルタ装置全体が大型化することになるので、あまり有利とはいえない。
【0044】
また、同調フィルタ11を例えば11次の高調波電流に同調させると、主として5次および7次の高調波電流をアクティブフィルタ12が抑制するように制御しなければならない。上述したように、三相交流系統においては発生し得る高調波成分のうち5次成分が最も大きく、これに7次成分が続く。したがって、同調フィルタを11次高調波に同調させると、7次高調波に同調させた場合に比べ、同調フィルタ自体の大きさを小さくすることができる利点を有するものの、アクティブフィルタ出力電圧を大きくしなければならず、非経済的であるといえる。
【0045】
このようなことから、フィルタ装置全体の大きさおよび重量とアクティブフィルタの出力とのバランスを考慮すると、同調フィルタについては、本実施例で示したように7次高調波に同調させるのが最も好ましいといえる。
例えば、本発明によるフィルタ装置を単相交流系統に適用した場合は、3次高調波成分が最も大きくなるので、同様な理由でフィルタ装置全体の大きさおよび重量とアクティブフィルタ12の出力とのバランスを考慮し、同調フィルタを例えば5次高調波に同調するように設計すればよい。
【0046】
本実施例のフィルタ装置1内のアクティブフィルタ12は、三相PWM変換器として実現される。その容量を10kVAとする。
アクティブフィルタ12である三相PWM変換器を構成するスイッチング素子として、本実施例ではIGBTを使用し、各相2個ずつ、合計6個設ける。なお、スイッチング素子は他の素子であってもよく、例えばMOSFETなどであってもよい。
【0047】
上述したように、本発明によるフィルタ装置1によれば、同調フィルタとアクティブフィルタとを整合用変圧器を介さずに直接接続するために、アクティブフィルタ内のスイッチング素子(本実施例ではIGBT)の耐圧として、所定の値よりも大きいものを選択する。次にこの理由について説明する。
同調フィルタ11は、同調された次数の高調波に対しては、低インピーダンス特性を示す。その一方で、同調された次数の以外の高調波に対しては、高インピーダンス特性を示す。つまり、同調された次数の以外の高調波が同調フィルタに流れると、電圧降下が発生することになる。
【0048】
従来例においては、上述したように、アクティブフィルタを構成するスイッチング素子の電圧定格と出力電圧との整合を取るためにアクティブフィルタとLCフィルタとの間に整合用変圧器を設け、この整合用変圧器を適切に設計することにより、同調フィルタにおけるこのような電圧降下分に対処していた。
しかし、本発明によるフィルタ装置には整合用変圧器は設けない。
【0049】
またさらに、本発明におけるアクティブフィルタ12は、図1を参照して説明したように特に第1の態様では、受電点Pに対して電源系統側を流れる電源系統電流iSに含まれる高調波電流iShを抑制するとともに、受電点Pに対して負荷回路3側を流れる負荷電流iLに含まれる高調波電流のうち所定の次数とは異なる次数の負荷側高調波電流iLhが同調フィルタ11を流れるときに発生する電圧降下分を打ち消すような、アクティブフィルタ出力電圧を発生する必要がある。
【0050】
よって、本発明のフィルタ装置1を設計する際には、負荷電流iLに含まれる高調波電流のうち所定の次数とは異なる次数の負荷側高調波電流iLhが、同調フィルタ11を流れたときに発生する電圧降下分よりも大きい耐圧を有するスイッチング素子を選択び、これを使用する。
なお、IGBTについては、現在のところ、600V、1200V、1700Vなどの耐圧を有するものが市販されている。上述した各パラメータおよび系統電圧の値を考慮し、本実施例では、例えば600Vの耐圧を有するIGBTを使用する。
【0051】
アクティブフィルタ12の直流側電圧Vdcは、本実施例では300V(IGBTの耐圧の1/2)に設定する。
この直流側電圧Vdcは、バッテリなどの独立直流電源を用いて実現してもよいが、この場合は装置の大型化を免れ得ない。そこで、本実施例では、アクティブフィルタ12の直流側に直流コンデンサCdcを設け、後述する直流電圧制御ループによりスイッチング素子を制御して系統側から有効電力を取り入れ、直流コンデンサCdcを充電する。本実施例においては、コンデンサCdcのキャパシタンスを例えば1500μFとする。
【0052】
以上が本発明の実施例におけるフィルタ装置1の具体的な回路構成である。
続いて、図4で示した本発明の実施例によるフィルタ装置1内のアクティブフィルタ12についての具体的な制御について説明する。
上述したように、本発明においては、同調フィルタは、所定の次数の高調波電流に同調させて設計され、当該高調波電流を吸収する。さらに、アクティブフィルタについては、同調させた次数以外の次数を有する高調波電流に対しても抑制効果をもたせるために、換言すれば、同調フィルタの同調周波数以外の高調波周波数に対しても良好な高調波抑制効果をもたせるために、上述の第1の態様もしくは第2の態様において示されたようなアクティブフィルタ出力電圧をアクティブフィルタが出力できるように制御する。
【0053】
まず、上述の本発明の第1の態様におけるフィルタ装置1内のアクティブフィルタ12についての制御回路に関して説明する。
図1を参照して説明したように、本発明の第1の態様によるアクティブフィルタ12は、電源系統電流iSに含まれる高調波電流iShを抑制するとともに、負荷電流iLに含まれる高調波電流のうち所定の次数とは異なる次数の負荷側高調波電流iLhが同調フィルタ11を流れるときに発生する電圧降下分を打ち消すような、アクティブフィルタ出力電圧を発生する。
【0054】
上記アクティブフィルタ電圧をアクティブフィルタ12が出力するようにするために、本発明によるフィルタ装置1は、アクティブフィルタ12を構成する各スイッチング素子を制御するための制御回路として、フィードバック制御回路13と、フィードフォワード制御回路14と、加算回路15と、を備える。
フィードバック制御回路13は、電源系統電流iSに含まれる高調波電流iShを抑制する電圧分を発生するようにアクティブフィルタ12を制御するフィードバック指令値を、電源系統電流iSを用いて作成する。
【0055】
フィードフォワード制御回路14は、負荷側高調波電流iLhが同調フィルタ11を流れるときに発生する電圧降下分を打ち消す電圧分を発生するように12アクティブフィルタを制御するフィードフォワード指令値14を、負荷電流iLを用いて作成する。
加算回路15は、フィードバック指令値とフィードフォワード指令値とを加算してアクティブフィルタ12を構成するスイッチング素子のスイッチング指令値を作成する。
【0056】
上述のフィードバック制御回路13、フィードフォワード制御回路14、および加算回路15の具体的な実現例を図5および6を参照して説明する。
図5および6は、図4で示した本発明の実施例によるフィルタ装置内のアクティブフィルタの制御回路を具体的に示すブロック図である。
図4で示した本発明の実施例によるフィルタ装置1内のアクティブフィルタ12において、フィードバック制御回路13は、図5に示すように実現される。
【0057】
電源系統電流iSに含まれる高調波電流iShを抽出するために、まず、電源系統電流iSを電流検出器などで検出する。図4の実施例は三相電源系統であり、電源系統電流iSの各相u、v、wの電流を、iSu、iSv、iSwとする。
検出された三相の電源系統電流iSu、iSv、iSwは、ブロック21で回転座標変換される。なお、本実施例ではdq変換を用いたが、他の回転座標変換、例えばpq座標変換を用いてもよい。
【0058】
ブロック22はPLL(Phase Locked Loop)であり、受電点Pの電圧のうち、一相分(例えばu相)の受電点電圧vPuから位相情報を抽出する。
ブロック23はsin/cos生成器であり、ブロック22で抽出された位相情報から、ブロック21の回転座標変換に用いる基本波成分sinω1、cosω1と、5次の成分sinω5、cosω5とを抽出する。ここで5次の成分を抽出するのは、後で詳しく説明するフィードフォワード制御回路14で用いるためである。
【0059】
ブロック24はハイパスフィルタである。上述したように、ブロック21において、固定座標上の三相の電源系統電流iSu、iSv、iSwが、基本波成分ω1を用いて、角周波数ω1で回転するdq回転座標上の二相電流id、iqに変換されるが、電源系統電流の三相固定座標上における基本波成分を除去して高調波成分を抽出するために、角周波数ω1で回転するdq回転座標上における二相電流id、iqをブロック24のハイパスフィルタに通過させる。これにより、dq回転座標上における二相高調波電流idh、iqhを抽出できる。なお、本実施例では、電源系統の周波数は50Hzであるので、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を例えば16Hzとする。
【0060】
ところで、本実施例では、アクティブフィルタ12の直流側に直流コンデンサCdcを設け、直流コンデンサCdcを充電する有効電力を系統側から取り入れる。このための直流電圧制御ループは、図5に示す実施例では次のとおりである。まず、直流コンデンサCdcの直流電圧Vdcを検出し、この直流電圧Vdcと指令値Vdc *(本実施例では300V)との差を計算する。次に、この差を適当にゲイン補正することによって直流電圧制御用指令値Δiq *を作成する。この直流電圧制御用指令値Δiq *は、ブロック24で生成された二相高調波電流のうちのq軸分の高調波電流iqhに加算される。このようにして直流電圧制御ループが実現される。
【0061】
ブロック25では、二相高調波電流のd軸分idh、および二相高調波電流のq軸分iqhと直流電圧制御用指令値Δiq *との加算値が、ブロック23で生成された基本波成分sinω1、cosω1を用いて、dq逆変換され、三相固定座標上における三相電流値に戻される。この三相電流値にゲインKが掛け算され、フィードバック指令値が作成される。
【0062】
以上説明したブロック21〜25によりフィードバック制御回路13が実現される。これにより、電源系統電流iSに含まれる高調波電流iShを抑制するように作用するフィードバック指令値が作成される。
続いて、フォードフォワード制御回路14について説明する。
本発明のフィルタ装置によれば、同調フィルタを所定の次数の高調波電流に同調させて当該高調波電流を吸収させ、その一方で、アクティブフィルタを適切に制御することにより、同調フィルタの同調周波数以外の高調波周波数に対しても良好な高調波抑制効果をもたせる。上述のフィードバック制御回路13は、この高調波抑制効果をもたらすものであったが、本実施例では、高調波抑制効果をさらに高めるために、図1に示したように、フィードフォワード制御回路14をさらに設ける。
【0063】
図1を参照して説明したように、本発明の第1の態様ではさらに、負荷電流iLに含まれる高調波電流のうち、同調フィルタ11に同調した高調波電流の次数とは異なる次数の負荷側高調波電流iLhが同調フィルタ11を流れるときに発生する電圧降下分を打ち消すような電圧分を、アクティブフィルタに発生させる。三相交流系統においては、高調波電流として5次成分が負荷回路から最も多く発生する。図4の実施例においては、同調フィルタ11は7次の高調波電流に同調させたが、このような同調フィルタ11だけでは5次高調波電流を抑制することができない。
【0064】
ここで、負荷回路3から発生した三相の負荷側高調波電流iLhのうちの5次高調波電流をαβ固定座標上で表したものがiαβであるとすると、dq回転座標上では、式(5)のように表される。
【0065】
【数5】
Figure 0004247357
【0066】
図4において、同調フィルタ11のインピーダンスは、式(6)のように表される。
【0067】
【数6】
Figure 0004247357
【0068】
ここで、伝達関数の回転座標変換について説明する。
ある線形システムにおいて、入力をx(t)、そのラプラス変換をX(s)、出力をy(t)、そのラプラス変換をY(s)、入力から出力への伝達関数をG(s)とすると、
【0069】
【数7】
Figure 0004247357
【0070】
の関係がある。時間t、角周波数ωとしたとき、入力x(t)および出力y(t)の回転座標変換は、それぞれ式(8)および式(9)のように表される。
【0071】
【数8】
Figure 0004247357
【0072】
【数9】
Figure 0004247357
【0073】
ここで、伝達関数G(s)を回転座標変換したとき、回転座標上においてG’(s)で表されるとすると、線形システムにおいては、
【0074】
【数10】
Figure 0004247357
【0075】
の関係がある。
【0076】
【数11】
Figure 0004247357
【0077】
としたとき、ラプラス変換においては、
【0078】
【数12】
Figure 0004247357
【0079】
である。線形システムにおいても当然に上記関係は有効であるので、式(12)が得られる。
【0080】
【数13】
Figure 0004247357
【0081】
したがって、角周波数ωのときの回転座標上の伝達関数は式(13)で表すことができる。
【0082】
【数14】
Figure 0004247357
【0083】
つまり、固定座標上のラプラス変換を、回転座標上のラプラス変換に変換するには、「s」を「s+jω」にすればよい。このことから、式(6)のように表せる同調フィルタ11の固定座標上のインピーダンスは、回転座標上では式(14)のようになる。
【0084】
【数15】
Figure 0004247357
【0085】
定常状態における同調フィルタ11のインピーダンスは、ラプラス変換におけるいわゆる最終値の定理を式(14)に適用することで、式(15)のように表せる。
【0086】
【数16】
Figure 0004247357
【0087】
定常状態において、同調フィルタ11に5次の高調波電流i’L5(dq回転座標上)が流れると電圧降下が生じるが、本発明では、この電圧降下分を打ち消すような電圧分をアクティブフィルタ12にさらに出力させる。すなわち、当該電圧分をアクティブフィルタ12にさらに出力させるための、アクティブフィルタ内のスイッチング素子に対するdq回転座標上の指令値v*5は、式(16)のように表せる。
【0088】
【数17】
Figure 0004247357
【0089】
すなわち、5次の高調波電流がわかれば式(16)を用いてスイッチング指令値v*5を演算することができる。
式(16)で表されるスイッチング指令値を作成するフィードフォワード制御回路14は、図4で示した本発明の実施例によるフィルタ装置1において、図6に示すように実現できる。
【0090】
まず、負荷電流iLを電流検出器などで検出する。検出された負荷電流ILの各相u、v、wの電流を、iLu、iLv、iLwとする。
ブロック31において、検出された三相の負荷電流iLu、iLv、iLwは、ブロック23で抽出された5次の成分sinω5、cosω5を用いてdq変換される。
【0091】
ブロック32はローパスフィルタである。上述したように、ブロック31において、固定座標上の三相の負荷電流iLu、iLv、iLwは、角周波数ω5で回転するdq回転座標上の二相電流iLd、iLqに変換されるが、負荷電流の三相固定座標上における5次高調波成分は、角周波数ω5で回転するdq回転座標上では直流分に相当する。したがって、dq回転座標上における上述の二相電流id、iqをブロック32のローパスフィルタに通過させ、dq回転座標上における二相の5次の高調波電流iLd5、iLq5を抽出する。なお、dq回転座標上における二相の5次の高調波電流iLd5、iLq5は定常状態にあるものとする。また、本実施例では、ローパスフィルタのカットオフ周波数を例えば16Hzとする。
【0092】
抽出された二相の5次の高調波電流iLd5、iLq5は、アクティブフィルタ内のスイッチング素子に対するスイッチング指令値を演算するために、ブロック33に入力される。
今、5次高調波成分において、回転座標平面と複素平面との間には式(17)のような関係がある。
【0093】
【数18】
Figure 0004247357
【0094】
したがって、式(16)および式(17)から、式(18)で表されるような、5次高調波電流が同調フィルタを流れることによって発生する電圧降下分を打ち消す補償電圧を作成するための指令値vd5 *、Vq5 *(dq回転座標上)が得られる。
【0095】
【数19】
Figure 0004247357
【0096】
ブロック33において式(18)を演算することにより作成された指令値vd5 *、Vq5 *は、ブロック34において、ブロック23で生成された5次の成分ω5を用いて、dq逆変換され、三相固定座標上における三相電流値に戻される。これがフィードフォワード指令値となる。
以上説明したフィードバック制御回路13で作成されたフィードバック指令値とフィードフォワード制御回路14で生成されたフィードフォワード指令値とは、加算回路15において加算され、アクティブフィルタ12を構成するスイッチング素子のスイッチング指令値vAFu *、vAFv *、vAFw *が作成される。
【0097】
本実施例におけるアクティブフィルタ12は、三相電圧形PWM変換器である。したがって、このスイッチング指令値vAFu *、vAFv *、vAFw *をPWM電圧指令とし、三角波キャリア信号(例えば10kHz)と比較することで三相電圧形PWM変換器のPWM信号を作成する。本実施例においては、このPWM信号をスイッチング素子であるIGBTのゲート回路に入力し、IGBTをスイッチングさせる。
【0098】
本発明の実施例によるフィルタ装置の構成は以上のとおりである。
次に本発明の実施例によるフィルタ装置の制御回路および同調フィルタの種々の変形例について説明する。
まず、フィルタ装置の制御回路の変形例をいくつか示す。
本実施例では同調フィルタを7次高調波電流に同調させ、アクティブフィルタ内のフィードフォワード制御回路では、同調フィルタに同調させた次数以外の次数を有する高調波成分として5次高調波電流に関して、フィードフォワード指令値を作成した。この変形例として、5次高調波電流の他に、例えば11次高調波電流や13次高調波電流に関してもフィードフォワード指令値を作成してもよい。この場合は、各次数の高調波ごとにフィードフォワード制御回路を設け、各フィードフォワード制御回路で作成されたフィードフォワード指令値を全て加算回路において加算すればよい。これにより、さらに高性能の高調波抑制が実現可能となる。
【0099】
これとは逆に、アクティブフィルタ内のフィードフォワード制御回路は設けず、フィードバック制御回路のみでアクティブフィルタの制御を実現してもよい。これは図2を参照して説明した本発明の第2の態様に相当する。図7は、本発明の第2の態様での実施例におけるフィルタ装置内のアクティブフィルタの制御回路を示す図である。
【0100】
図7に示す制御回路は、ブロック23において5次の成分sinω5およびcosω5を作成しない点以外は、図6に示したフィードバック制御回路と全く同じであるので、詳しい説明は省略する。
ここで、図5および6に示す制御回路を有する本発明の実施例、ならびに図7に示す制御回路のみを有する変形例に係るシミュレーション結果を示す。
【0101】
シミュレーション解析に用いた各素子のパラメータ、各電圧値および容量は既に述べたとおりである。
図8は、図5および6に示す本発明の実施例におけるフィルタ装置に係るシミュレーション結果を示す波形図であり、図9は、図7に示す本発明の変形例におけるフィルタ装置に係るシミュレーション結果を示す波形図である。
【0102】
図8および9においては、上から、一相分の受電点電圧vP、一相分の電源系統電流iS、一相分の負荷電流iL、一相分のフィルタ電流iF、負荷回路における直流出力電圧Vd、アクティブフィルタ出力電圧vAF、アクティブフィルタ内の直流コンデンサ電圧Vdcのシミュレーション波形をそれぞれ示している。
図10は、図8および9に示したシミュレーション結果におけるスペクトル解析図である。横軸は高調波の次数を示し、縦軸は高調波電流の実効値を示す。
【0103】
図10(a)は負荷電流のスペクトル解析値を示す。
また、図10(b) は、図5および6に示す本発明の実施例におけるフィルタ装置、つまりアクティブフィルタをフィードバック制御回路およびフィードフォワード制御回路を用いて制御したフィルタ装置を設置した場合の電源系統電流のスペクトル解析値を示す。
【0104】
さらに、図10(c) は、図7に示す本発明の変形例におけるフィルタ装置、つまりアクティブフィルタをフィードバック制御回路のみを用いて制御したフィルタ装置を設置した場合の電源系統電流のスペクトル解析値を示す。
また、表3は、図10のスペクトル解析値の高調波対基本波の電流比を示す。各値の単位は%で示している。
【0105】
【表3】
Figure 0004247357
【0106】
図8〜10および表3において、特に負荷電流iLと電源系統電流iSとを注目してみると、本発明のフィルタ装置により、電源系統電流iSに含まれる高調波が抑制されていることがわかる。
また、図8および9、もしくは図10(b)および(c)を比較してみると、フィードフォワード制御回路を有しないフィードバック制御回路のみ有するフィルタ装置は、フィードフォワード制御回路およびフィードバック制御回路の両方を有するのフィルタ装置に比較すると、高調波電流の総合高調波歪(THD)が若干高くなっているが、実用上問題の無い程度の高調波抑制効果を得ることができている。
【0107】
次に、フィルタ装置の同調フィルタの変形例を示す。
本発明のフィルタ装置内の同調フィルタに関しては、同調すべき高調波成分を1つの次数のみに設定するのではなく、複数の高調波成分に同調させてもよい。図11は、本発明によるフィルタ装置内の同調フィルタの変形例を示す図である。図11(a)に示す変形例では、5次高調波電流および7次高調波電流に同調させた各同調フィルタとハイパスフィルタとをそれぞれ並列接続させている。図11(b)に示す変形例では、5次高調波電流、7次高調波電流、11次高調波電流および13次高調波電流に同調させた各同調フィルタをそれぞれ並列接続させている。
【0108】
いずれの変形例においても、アクティブフィルタ内にフィードフォワード制御回路を設けた場合では、同調フィルタに同調させた次数以外の次数を有する高調波成分に関して、フィードフォワード指令値を作成するようにすればよい。もちろん、フィードフォワード制御回路を設けずにフィードバック制御回路のみでアクティブフィルタ内のスイッチング素子を制御してもよい。
【0109】
なお、図5〜7に示したフィードバック制御回路およびフィードフォワード制御回路は、各種アナログ素子などの組み合わせで実現することができるが、DSPを用いて可能な限り演算上で処理するようにしてもよい。この場合、例えばノッチフィルタなどを用いて電源系統電流および負荷回路電流に含まれる高調波電流を抽出してDSPに入力し、DSPでは上述したフィードバック制御における計算およびフィードフォワード制御における式(18)の計算を実行することで、スイッチング指令値を得てもよい。
【0110】
また、従来例においては図12に示すように、ハイブリッドフィルタ51内のアクティブフィルタ53の出力側には、スイッチング素子のスイッチングリプルを除去するためのスイッチングリプル除去用フィルタ74が設けられていた。スイッチングリプルは高い周波数成分を有しているが、従来例におけるハイブリッドフィルタ51内のLCフィルタ52を構成するハイパスフィルタ73は、高い周波数成分に対してはインピーダンス特性が低く、したがって、スイッチングリプル電流が系統に流出しやすいので、ハイブリッドフィルタ51内のアクティブフィルタ53の出力側にスイッチングリプル除去用フィルタ74を設けなければならなかった。
【0111】
これに対し、本発明におけるフィルタ装置においては、同調フィルタを構成するリアクトルのリアクタンス分が大きいので同調フィルタを設けただけで、スイッチングリプル電流を抑制することができる。したがって、本発明においては、ハイブリッドフィルタを構成する際に従来必要であったスイッチングリプル除去用フィルタを必要としなくなるので、装置をより一層小型化することができる。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ハイブリッド形式のフィルタ装置において、所定の次数の高調波電流に同調する同調フィルタにアクティブフィルタを直接接続するので、従来必要であった整合用変圧器を必要とせず、構造が容易である。また、装置自体を小型軽量化が容易であり、製造コストも低減される。
【0113】
そして、本発明のフィルタ装置によれば、同調フィルタを所定の次数の高調波電流に同調させて当該高調波電流を吸収させ、その一方で、アクティブフィルタを適切に制御することにより、同調フィルタの同調周波数以外の高調波周波数に対しても良好な高調波抑制効果をもたせている。
近年では、インバータを用いて高出力モータを駆動するインバータドライブシステムが実用化されている。このようなインバータドライブシステムにおいては、交流電力を直流電力に変換する電力変換器として例えばダイオード整流器が使用されている。このダイオード整流器は、系統側から見れば高調波発生源である。このような高圧システムにおいては、フィルタ装置を構成した場合は必然的に装置の大型化は免れ得なかった。しかし、本発明によれば、整合変圧器およびスイッチングリプル除去用フィルタを必要としないので装置の小型軽量化が容易であるので、このような高圧システムにおいて本発明は特に有用であるといえる。
【0114】
また、同調フィルタの高調波抑制効果は、アクティブフィルタによりさらに改善されるので、同調フィルタのフィルタ定数は、それほど厳密に設定する必要はなく、同調すべき高調波に対するフィルタ定数の設計値の、例えば±10%程度付近で十分な高調波抑制効果を得ることができ、設計が容易であるといえる。
なお、三相交流系統の例では、フィルタ装置全体の大きさおよび重量とアクティブフィルタの出力とのバランスを考慮すると、同調フィルタについては、7次高調波に同調させるのが最も好ましいといえる。
【0115】
また、アクティブフィルタを有するフィルタ装置が避けては通れない問題である、スイッチング素子のスイッチング動作に起因するスイッチングリプルの発生については、本発明においては、同調フィルタを構成するリアクトルのリアクタンス分が大きいのでスイッチングリプル電流を抑制することができ、したがってスイッチングリプル除去用フィルタを必要としない。したがって装置を従来例に比べてより一層小型化することができる。
【0116】
また、LCフィルタにおいては系統インピーダンスとの間で反共振を生じる可能性があったが、本発明においては、フィルタ装置内のアクティブフィルタのフィードバック制御に用いるゲインを適切に設定すればこれを回避することができるので、フィルタ装置の設置場所は制限されない。
フィルタ装置内のアクティブフィルタの直流側は、バッテリなどの独立直流電源を用いて実現してもよいが、直流コンデンサを設け、直流電圧制御ループにより系統側から取り入れた有効電力を直流コンデンサの充電に用いれば、バッテリ交換を省くことができメンテナンスが容易となる。
【0117】
本発明の第1の態様によれば、電源系統電流に含まれる高調波電流を抑制するとともに、負荷電流に含まれる高調波電流のうち所定の次数とは異なる次数の負荷側高調波電流が同調フィルタ11を流れるときに発生する電圧降下分を打ち消すようなアクティブフィルタ出力電圧をアクティブフィルタが発生するように、アクティブフィルタ内のスイッチング素子をフィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いて制御することで、従来の他のフィルタと比べても系統電流内に含まれる高調波電流の総合高調波歪(THD)を大幅に低減することができる。
【0118】
また、本発明の第2の態様によれば、電源系統電流に含まれる高調波電流を抑制するアクティブフィルタ出力電圧をアクティブフィルタが発生するようにアクティブフィルタ内のスイッチング素子を制御するという、第1の態様を簡素化した制御方法をとっても、実用上問題ない程度に高調波電流を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の態様によるフィルタ装置を示す概略図である。
【図2】本発明の第2の態様によるフィルタ装置を示す概略図である。
【図3】本発明によるフィルタ装置の等価回路を示す図である。
【図4】本発明の実施例によるフィルタ装置を示す回路構成図である。
【図5】図4で示した本発明の実施例によるフィルタ装置内のアクティブフィルタの制御回路を具体的に示すブロック図(その1)である。
【図6】図4で示した本発明の実施例によるフィルタ装置内のアクティブフィルタの制御回路を具体的に示すブロック図(その2)である。
【図7】本発明の第2の態様での実施例におけるフィルタ装置内のアクティブフィルタの制御回路を示す図である。
【図8】図5および6に示す本発明の実施例におけるフィルタ装置に係るシミュレーション結果を示す波形図である。
【図9】図7に示す本発明の変形例におけるフィルタ装置に係るシミュレーション結果を示す波形図である。
【図10】図8および9に示したシミュレーション結果においてスペクトル解析した図であって、
(a)は負荷電流のスペクトル解析値を示す図であり、
(b)は、図5および6に示す本発明の実施例におけるフィルタ装置を設置した場合の電源系統電流のスペクトル解析値を示す図であり、
(c)は、図7に示す本発明の変形例におけるフィルタ装置を設置した場合の電源系統電流のスペクトル解析値を示す図である。
【図11】本発明によるフィルタ装置内の同調フィルタの変形例を示す図である。
【図12】従来例におけるハイブリッドフィルタを例示する図である。
【符号の説明】
1…フィルタ装置
2…電源系統
3…負荷回路
11…同調フィルタ
12…アクティブフィルタ
13…フィードバック制御回路
14…フィードフォワード制御回路
15…フィードバック制御回路
P…受電点

Claims (6)

  1. 電源系統と負荷回路との間の受電点において一端が接続され、高調波電流を除去するフィルタ装置であって、
    一端が前記受電点に接続され、所定の次数の高調波電流に同調する同調フィルタと、
    該同調フィルタの他の一端に直接接続されるアクティブフィルタであって、前記受電点に対して前記電源系統側を流れる電源系統電流に含まれる高調波電流を抑制し、かつ、前記受電点に対して前記負荷回路側を流れる負荷電流に含まれる高調波電流のうち前記所定の次数とは異なる次数の負荷側高調波電流が前記同調フィルタを流れるときに発生する電圧降下分を打ち消すような、アクティブフィルタ出力電圧を発生するアクティブフィルタと、を備えることを特徴とするフィルタ装置。
  2. 前記電源系統電流に含まれる高調波電流を抑制する電圧分を発生するように前記アクティブフィルタを制御するフィードバック指令値を、前記電源系統電流を用いて作成するフィードバック制御回路と、
    前記負荷側高調波電流が前記同調フィルタを流れるときに発生する電圧降下分を打ち消す電圧分を発生するように前記アクティブフィルタを制御するフィードフォワード指令値を、前記負荷電流を用いて作成するフィードフォワード制御回路と、
    前記フィードバック指令値と前記フィードフォワード指令値とを加算して前記アクティブフィルタを構成するスイッチング素子のスイッチング指令値を作成する加算回路と、を備える請求項に記載のフィルタ装置。
  3. 前記フィードフォワード制御回路を、前記所定の次数とは異なる次数の負荷側高調波電流ごとに少なくとも1つ備える請求項に記載のフィルタ装置。
  4. 前記アクティブフィルタを構成するスイッチング素子の耐圧が、前記受電点に対して前記負荷回路側を流れる負荷電流に含まれる高調波電流のうち前記所定の次数とは異なる次数の負荷側高調波電流が前記同調フィルタを流れたときに発生する電圧降下分よりも大きい請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
  5. 前記同調フィルタを互いに並列接続して備える請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
  6. 前記同調フィルタは、前記所定の次数の高調波電流に同調するように選択されたリアクトルおよび該リアクトルに直列接続されたコンデンサからなる請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
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